JP2001255993A - 弾性波を用いたコンピュータ入出力装置 - Google Patents

弾性波を用いたコンピュータ入出力装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性表面波、もしくはラム波を用いることに
より、触覚を介した小型かつ簡便な弾性波を用いたコン
ピュータ入出力装置を提供する。 【解決手段】 弾性波を用いたコンピュータ入出力装置
において、駆動用電極22,23,24,25を備えた
弾性波基板21と、この弾性波基板21上に配置される
微小鋼球を有する触感部を備え、この触感部の上面のな
ぞり動作により前記弾性波基板表面の振動を操作者に伝
えることにより出力装置として機能し、前記操作者の操
作力が弾性波の伝搬に与える影響を電極により検出する
ことにより入力装置として機能させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの入
出力装置に係り、特に固体表面の粗さ、模様および力を
擬似的に出力し、人の指の位置、大きさ、および向きを
入力する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振動型触覚ディスプレイは、可聴
域周波数を用いたものが主であった。また、100kH
z以下の超音波振動を用いて低摩擦感、あるいは単一微
小突起感を提示するディスプレイが提案されていた(例
えば、特開平11−45147号公報、特開平11−1
10127号公報、特開平10−240431号公報、
特開平6−149458号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
は時間周波数が低いため弾性振動の空間解像度が低く、
皮膚接触面よりも微細なテクスチャ、表面粗さ感などの
提示、すなわち表面の微小突起数が増加していくような
触感の提示は不可能である。
【0004】また、超音波振動の発生にはランジュバン
型振動子を用いるため駆動部が大きくなり、装置の小型
化が困難な上、各種力覚提示システムヘの装着、組み込
みが困難である。
【0005】更に、出力装置のみとしてしか用いられて
いないため、人間のなぞり動作に応じた触覚提示を行う
には、入力装置を別途用意し、手指を束縛してその運動
を計測する必要が生じていた。
【0006】本発明は、かかる状況に鑑みて、従来、1
00kHz以下の駆動周波数を用いていた振動型触覚デ
ィスプレイを、数MHz以上の弾性表面波、もしくはラ
ム波を用いることで、皮膚接触面よりも微細な任意の表
面形状を提示する出力装置と、人間の指の位置、姿勢、
運動を計測する入力装置とを兼ね備えた装置を提供し、
これにより、触覚を介した小型かつ簡便な弾性波を用い
たコンピュータ入出力装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を発明するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕弾性波を用いたコンピュータ入出力装置におい
て、駆動検出用電極を備えた弾性波基板と、この弾性波
基板上に配置される微小固体を有する触感部を備え、こ
の触感部の上面のなぞり動作により前記弾性波基板表面
の振動を操作者に伝えることにより出力装置として機能
し、前記操作者の操作力が弾性波の伝搬に与える影響を
電極により検出することにより入力装置として機能させ
ることを特徴とする。
【0008】〔2〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記弾性波は弾性表面
波又はラム波であることを特徴とする。
【0009】〔3〕上記〔2〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記弾性表面波はレイ
リー波であることを特徴とする。
【0010】〔4〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板表面の
振動がこの弾性波基板上に励振する進行波であり、この
進行波を前記触感部を介して操作者に伝達し、任意の固
体表面をなぞったときに発生する力を擬似的に表現する
ことを特徴とする。
【0011】〔5〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板表面の
振動がこの弾性波基板上に励振する進行波もしくは定在
波による駆動力もしくは摩擦力の大きさの変化を前記触
感部を介して操作者に伝達し、任意の固体表面の表面粗
さを擬似的に表現することを特徴とする。
【0012】〔6〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記駆動検出用電極に
印加される、駆動交流電圧の振幅に変調をかけて任意の
振動振幅を励振することを特徴とする。
【0013】〔7〕上記〔6〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記駆動交流電圧の振
幅変調の波形および周期を変化させて、任意の固体表面
粗さを擬似的に表現することを特徴とする。
【0014】〔8〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板上の振
動分布を時間的空間的に変化させ、任意の固体表面模様
を擬似的に表現することを特徴とする。
【0015】
〔9〕上記〔1〕記載の弾性波を用いたコ
ンピュータ入出力装置において、前記触感部で弾性波基
板をなぞった際に、なぞる速度に応じて弾性波基板上の
振動分布を時間的に変化させ、任意の固体表面模様を擬
似的に表現することを特徴とする。
【0016】〔10〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板上に
微小な振動領域を分布させて点字モニタとすることを特
徴とする。
【0017】〔11〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、前記触感部で弾性波
基板を押さえた際に、伝搬する弾性波の減衰および反射
を電極により検出し、押さえる力の向きと大きさを入力
することを特徴とする。
【0018】〔12〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、前記触感部で弾性波
基板を押さえた際に、伝搬する弾性波の減衰および反射
を電極により検出し、押さえている弾性波基板上の位置
を入力することを特徴とする。
【0019】〔13〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、任意の固体を弾性波
基板に押さえつけ、伝搬する弾性波の減衰および反射を
電極により検出し、固体表面の剛性もしくは弾性を入力
することを特徴とする。
【0020】〔14〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板上の
振動を前記触感部を介して操作者の体表面に伝え、超音
波治療を可能とすることを特徴とする。
【0021】〔15〕上記〔1〕記載の弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置において、前記弾性波基板上で
振幅、周波数可変の振動を前記触感部を介して操作者の
体表面に提示することで、操作者の機械受容器の性能、
触覚弁別能、皮膚感覚特性の解析、診断を可能とするこ
とを特徴とする。
【0022】〔16〕上記〔1〕、〔4〕、〔5〕、
〔7〕、〔8〕、
〔9〕、〔11〕、〔12〕、〔1
3〕、〔14〕又は〔15〕記載の弾性波を用いたコン
ピュータ入出力装置において、前記触感部は装着具であ
ることを特徴とする。
【0023】上記のように、 〔A〕弾性波基板上の触感部に高い剛性をもった微小固
体を備え、弾性波基板表面に弾性波の進行波を励振し、
振動による駆動力を触感部表面に摩擦力を介して伝達
し、操作者の体表面に刺激として与え、任意の固体表面
の粗さ及び形状を擬似的に表現することができる。
【0024】〔B〕操作者が実際に表面粗さを持った触
感部表面をなぞった際に感ずる微小振動と同じ周波数
で、弾性表面波が生じる駆動力に対して変調をかけ、周
期的な駆動力の変化によって任意の固体表面の粗さを擬
似的に表現することができる。
【0025】〔C〕上記〔A〕の弾性波基板表面に定在
波を励振した場合、定在波の振幅または有無に応じて基
板表面の見かけ上の摩擦係数が変化する。定在波の励振
を制御することにより、任意に摩擦係数を変化させ固体
表面の粗さを擬似的に表現することができる。
【0026】〔D〕弾性波基板表面に振動を平面上に分
布させ、発生する駆動力に空間的な分布を与え、任意の
固体表面の形状を擬似的に表現することができる。
【0027】〔E〕弾性波基板表面にトランスデューサ
電極を対向して配置し、片方の電極より弾性波を微小時
間励振し、触感部表面の高い剛性をもった微小な固体が
伝搬する弾性波に与える影響による弾性波の反射及び減
衰を対向して配置された電極により検出し、触感部の電
極に対する相対位置及び接触圧力を検出し、計算により
指の運動を検出することができる。
【0028】〔F〕上記〔E〕の対向電極を並列に配置
することにより、弾性波基板上での位置を検出すること
ができ、コンピュータ内での計算により指の運動、姿勢
を検出することができる。
【0029】〔G〕上記〔F〕の対向電極列を直交配置
することで、それぞれの駆動用電極から連続的に弾性波
を放出し、検出用電極において弾性波の減衰を観察し、
減衰を観測した電極対の交差により、指の2次元平面内
の位置を知ることができる。
【0030】〔H〕操作者の指に上記〔A〕の触感部を
設け、弾性波基板を用いて指に振動を与え、振動の刺激
の強弱などにより、疲労度を検査し、振動により指を刺
激してリラクゼーション効果を誘発し、また、操作者の
機械受容器の性能、触覚弁別能、皮膚感覚特性の診断を
行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しながら詳細に説明する。
【0032】図1は本発明の基本的な実施例を示す弾性
波を用いたコンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極
配置を示す図(その1)である。
【0033】弾性波基板10の表面に弾性波を励振する
駆動用電極1が配置されている。その駆動用電極1にそ
の幾何形状で決定される周波数の交流電圧を印加する
と、弾性波の進行波が励振されて、弾性波基板10の長
手方向に伝搬する。弾性波が励振されている状態で、触
感部(装着具)11(図6参照)を介して駆動用電極1
以外の基板表面に触ると、弾性波の振動が超音波モータ
と同様に水平方向の駆動力として伝達し、指がせん断力
を受け、弾性波が励振されていない状態ではせん断力を
受けない。また、弾性波が励振されている時、基板表面
波は微小に振動しているため、摩擦係数は見かけ上小さ
くなり、弾性波が励振されていない状態では大きくな
る。
【0034】印加する交流電圧に対して、ある周期のパ
ルス波により変調をかけることで、基板表面の波動の励
振に時間的な分布ができ、指がせん断力を受けかつ基板
表面の摩擦係数が小さくなる瞬間と、指がせん断力を受
けず、かつ基板表面の摩擦係数が大きくなる瞬間とが分
布される。弾性波としてレイリー波を用いた場合、伝搬
速度が4000m/sと速いので指の大きさの範囲であ
れば、上記の分布は一様に出てくる。この結果、触感部
11を介して弾性波基板10を触っている状態、もしく
は弾性波基板10をなぞっている状態において、指が固
体表面をなぞったときの感覚を擬似的に表現することが
できる。また、このパルス波の周波数及びデューティ比
を適切に選択することで、任意の表面粗さの固体表面を
なぞった時の感覚を擬似的に表現することが可能であ
る。さらに、駆動用電極1に交流電圧が印加されていな
い時間を利用して触感部11により反射された弾性波の
受波を行う。弾性波の送出を停止してから反射波を受波
するまでの時間と反射波の強度を計測することで、触感
部11と駆動用電極1の相対距離及び触感部の接触圧力
を知ることができ、弾性波基板10と1個の駆動用電極
の組み合わせだけでもコンピュータ入出力装置とするこ
とは十分である。
【0035】図2は本発明の基本的な実施例を示す弾性
波を用いたコンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極
配置を示す図(その2)である。
【0036】弾性波基板10の表面に弾性波を励振する
駆動用電極1,2が対向配置されている。駆動用電極
1,2に同時に交流電圧を印加すると、対向する駆動用
電極1,2の間で弾性波の定在波が励振される。弾性波
の定在波が励振されている時、基板表面は微小に振動し
ているため、触感部11(図6参照)は鉛直方向の微小
な力を受け、摩擦係数は見かけ上小さくなる。反対に弾
性波の定在波が励振されていない状態では触感部11は
力を受けず、基板表面の見かけ上の摩擦係数は大きくな
る。上記と同様に駆動用電極1,2に印加する交流電圧
をパルス波で変調することで、基板表面の見かけ上の摩
擦係数を連続的に変化させることができ、触感部11を
介して基板表面をなぞると表面粗さの粗い固体表面をな
ぞったような感覚を覚える。
【0037】図3は本発明の基本的な実施例を示す弾性
波を用いたコンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極
配置を示す図(その3)である。
【0038】この図において、弾性波基板10の表面に
対向配置された駆動用電極1,2の背後に反射器41,
42を配置することによって、機械的エネルギーを弾性
波基板表面に閉じ込めることができ、より少ない電気エ
ネルギーで弾性波の定在波を励振することができる。こ
の場合、弾性波駆動用の駆動用電極1,2とは別に検出
用電極40を設ける。この検出用電極40には駆動周波
数とは異なる交流電圧で弾性波を励振する。すると反射
器41,42は検出用の弾性波には同調しないので、反
射器として機能せず、検出用電極40から送出された弾
性波は進行波となる。よって、上記と同様の原理によ
り、触感部11で触れている位置と強さを検出すること
ができる。
【0039】図4は本発明の基本的な実施例を示す弾性
波を用いたコンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極
配置を示す図(その4)である。
【0040】図4において、51は湾曲した弾性波基板
を示している。この基板表面に予め触感部52を取り付
けておき、電極部分は絶縁体で覆っておく。すると、触
感部52の部分を身体の任意の部分に押し当てることが
でき、指先に限らず身体の任意の部分に情報を出力する
ことができるようになる。
【0041】操作者の体表面に上記した触感部52を装
着し、弾性体基板51を用いて振動の振幅、周波数を変
化させて体表面に提示することで、機械受容器の特性を
解析するための刺激提示装置として用いることができ、
さらに、皮膚中に存在する機械受容器の性能の診断、触
覚弁別能の計測による触覚に関する神経系、中枢系の診
断を行うことができる。
【0042】図5は本発明の実施例を示す弾性波を用い
たコンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示
す図、図6は人間が装着し、これを介して弾性波基板と
接触する触感部を有する装着具の斜視図である。
【0043】これらの図において、弾性波基板10のx
軸方向(左右方向)の両側に第1の駆動用電極1と第2
の駆動用電極2とが配置され、その駆動用電極1の背部
には入力用電極3、その駆動用電極2の背部には入力用
電極4が設けられている。
【0044】また、弾性波基板10のy軸方向(上下方
向)の両側に第1の駆動用電極5と第2の駆動用電極6
とが配置され、その駆動用電極5の背部には入力用電極
7、その駆動用電極6の背部には入力用電極8が設けら
れている。
【0045】第1、第2の駆動用電極1,2に駆動高周
波電源15を接続し、その駆動用電極ピッチで決まる共
振周波数、数MHzから数100MHzの振動を用いて
駆動する。例えば、両端から同相で50MHzを5波分
程度信号を入力すれば、波動は弾性波基板10において
中央部で出会い、(基板長さ)/(レイリー波速度)=
0.02/4000(sec)後に他端に到着して吸収
される。従って、4000/0.02=200(kH
z)で5波入力を繰り返せば、弾性波基板10の中央部
に200(kHz)で明滅する、領域幅80μm×5波
=400μmの、大振幅振動領域が発生することにな
る。
【0046】この振動領域は、両端からの入力を調整す
ることで、任意の場所に生成することができる。また、
連続的移動も可能である。
【0047】従って、1次元では、2〔cm〕/400
〔μm〕=50領域を順に振動領域とすることができ
る。この時全領域をスキャンする周波数は、200(k
Hz)/50=4(kHz)となり、人間には全領域が
同時に振動領域となっていることと等価となる。更に、
2cm×2cmの弾性波基板10の2次元領域で考えれ
ば、400μm×400μmを1ドットとし、50ドッ
ト×50ドットの任意領域に振動領域を発生させること
ができる。
【0048】以上のことから、空間解像度400μmで
任意の2次元位置に大振幅領域を発生させることが可能
となる。
【0049】従来見られる振動ピンのマトリクス状配置
による振動型触覚提示装置におけるピン間隔は高々1m
m程度であったが、本発明の弾性波を用いる方法では空
間解像度を1mm以下とすることができ、振動領域の連
続的移動が可能であるという特徴を有する。空間解像度
は、駆動周波数を高めることにより、さらに高めること
ができる。
【0050】以下、この弾性波を用いたコンピュータ入
出力装置の動作について説明する。
【0051】上記のような弾性波が発生している弾性波
基板10上を図6に示すような多数の微小鋼球12(例
えば、φ800μm鋼球)を有する触感部11を介して
操作者が指でなぞる。
【0052】この触感部11は、多数の微小鋼球(例え
ば、φ800μm鋼球)12を、剛性の低い弾性薄膜
(例えば、両面テープ)13上に付着させた構成であ
る。この微小鋼球12の径は、提示したい物体表面形状
の空間解像度により決定する。
【0053】図7は本発明の他の実施例を示す弾性波を
用いたコンピュータ入出力装置の弾性波基板とコンピュ
ータとの接続状態を示す図である。ただし、弾性波基板
は拡大して示されている。
【0054】この図において、20はドライバ、21は
弾性波基板、22,23,24,25は駆動用電極、2
6,27,28,29は入力(位置計測)用電極、30
は検波回路、31はADコンバータ、32はコンピュー
タである。
【0055】そこで、駆動用電極22,23,24,2
5に入力用電極26,27,28,29を追加して、そ
の入力用電極26,27,28,29の列を直交配置
し、ドライバ20を介して、駆動用電極22,23,2
4,25より連続的に弾性波を送出することにより、入
力用電極26,27,28,29における減衰を観測す
ることで、指の位置を連続して知ることができる。これ
により、コンピュータ32ヘの位置入力装置が実現され
るとともに、位置情報により出力する触覚情報を変化さ
せることにより、人間を拘束することなく指先の位置を
入力として受け、同時に物体形状等を触覚情報として出
力する小型のコンピュータインターフェース装置とする
ことができる。
【0056】図8は本発明の実施例を示す弾性波を用い
たコンピュータ入出力装置により指先皮膚表面に発生す
る、時間変調可能な分布摩擦力(せん断力)の説明図で
あり、図8(a)は振動オフ時、図8(b)は振動オン
時をそれぞれ示している。
【0057】図8(a)に示すように、弾性波基板10
の非振動領域と触感部11の微小鋼球12が接触する際
には動摩擦力14が発生し、皮膚表面上の微小鋼球12
位置に水平方向にこの動摩擦力14′が加わる。
【0058】一方、図8(b)に示すように、弾性波基
板10の振動領域と触感部11の微小鋼球12が接触す
る際には、超音波振動体との接触による接触時間の減
少、および超音波振動体との接触によるスクイーズ力の
発生に伴う見かけ上の押さえ付け力の減少により摩擦力
18が減少し、皮膚表面上の微小鋼球12位置に水平方
向に作用する摩擦力が減少する。なお、16はレイリー
波波頭駆動力、19はなぞり方向を示す矢印である。
【0059】従って、微小鋼球12として、例えば直径
400μmの微小鋼球を用いれば、皮膚表面上400μ
mの解像度で分布する駆動力を、その振幅は弾性波振幅
により、その時間波形は弾性波の変調波形により、任意
に変化させることができる。
【0060】これにより、任意の物体表面をなぞった際
に皮膚表面に発生する水平力分布を発生させることがで
き、人間の触覚を介したコンピュータ出力装置とするこ
とができる。また、振動領域を移動させれば、指は静止
させたまま、対象側がなぞるような受動触状態を提示で
きる触覚出力装置を提供することができる。
【0061】更に、入力用電極3から、出力用弾性波周
波数の3倍程度の駆動周波数、出力用弾性波振幅の10
分の1程度の振幅をもつ弾性波を位置計測用弾性波とし
て微小時間入力する。入力用電極3においては触感部1
1による反射波が検出され、弾性波を送出してから反射
波を受信するまでの時間より触感部11の2次元的な位
置を検出することができる。入力用電極4においては、
触感部11が接触している領域を通過した弾性波の減衰
が検出されるから、触感部11の弾性波基板10に対す
る接触圧力、もしくは接触面積が計測され、指の運動と
その向き及び姿勢を検出することができる。
【0062】また、触感部(装着具)の代わりに任意の
固体を上記のコンピュータインターフェース装置の弾性
波基板表面に押し付け、その際、入力用の弾性波を励振
すると、固体表面の弾性に応じて弾性波が減衰し、この
固体の基板への接触面積が既知であれば、固体接触部分
を透過した弾性波を検出することで固体表面の弾性もし
くは剛性を検出することができる。
【0063】更に、上記の弾性波基板と触感部をそのま
ま流用し、指に微小な振動を与えてその感度を操作者に
認識させることで、コンピュータが操作者の疲労度を測
定することもできる。
【0064】また、振動出力が触感部(装着具)に物理
的な刺激を与えることにより、リラクゼーションの誘発
やつぼ刺激による治療も可能である。利用する弾性波と
しては、振動特性や温度特性に優れ、素子の高機能化に
適するニオブ酸リチウムなどの単結晶上の弾性表面波、
もしくは、シリコン基板の薄膜構造を利用することによ
り、ラム波を用いることができる。
【0065】なお、上記実施例における触感部の微小鋼
球に代えて、剛性が高いものであれば、他の微小固体
(微小硬球を含む)をも用いることができる。
【0066】上記したように、本発明は、弾性表面波も
しくはラム波を用い、触覚を介した新しいコンピュータ
入出力装置を提供することができる。
【0067】本発明によれば、図5に示したように、弾
性波素子部は、弾性波基板10上に設けられた駆動用電
極(1,2,5,6)と入力用電極(3,4,7,8)
により構成される。駆動用電極(1,2,5,6)は、
駆動用の高周波電源15に接続され、電極の幾何形状に
より決定される共振周波数の正弦波を搬送波とする時間
変調信号で駆動される。電極の片側(1および5、また
は2および6)のみを駆動すれば、弾性波基板上に進行
波が、電極の両側(1および2および5および6)を駆
動すれば弾性波基板上に定在波が励振される。
【0068】触感部11を介して操作者の指を基板に接
触させると、時間変調信号の振幅が小さい期間において
は基板と微小固体(例えば、微小鋼球)との間に摩擦力
が発生するが、時間変調信号の振幅が大きい期間におい
ては、超音波振動体との接触による接触時間の減少、お
よび進行波の場合は波動の波頭による水平方向駆動力の
伝達の2点により、基板と微小固体の摩擦力が減少す
る。従って、指先の皮膚表面に離散的に分布し、せん断
方向に作用する時間変調可能な振動源が発生する。この
振動源が、任意の物体表面をなぞったときに皮膚表面に
発生する振動源と同等の効果をもたらし、表面粗さ感が
操作者に出力される。
【0069】入力用電極(3,4,7,8)において
は、触感部11と弾性波基板10との接触による弾性波
の反射を検出し、弾性波を送出してから反射波を受信す
るまでの時間から接触位置を検出し、弾性波の減衰を検
出して触感部11の接触圧力もしくは接触面積を算出し
て位置情報をもとに指の運動及び姿勢を検出する。入力
用電極(3,4,7,8)対の列を直交配置した場合、
対の片方の電極から連続して弾性波を送出し、もう片方
の電極で減衰を観測する。
【0070】直交配置しているので、それぞれの軸で減
衰を観測した電極対を重ね合わせると2次元平面内での
指の位置を知ることができる。また、指先の位置を入力
すると同時に、位置情報を出力にフィードバックし、人
間の運動に応じた触覚情報を伝達するインタラクティブ
なコンピュータ入出力装置とすることができる。
【0071】装着具と同様に任意の固体を弾性波基板表
面に押しつけると、上記の入力方法と同様の原理によ
り、伝搬する弾性波の減衰を検出することで、固体表面
の弾性、もしくは剛性を知ることができる。装着具を装
着している部分に微小な振動を与え、装着者の振動に対
する感度を測定することで疲労度を計測することができ
る。逆に、弾性波基板による任意の振動が操作者に対す
る物理的な刺激になり、結果的に治療を行うこともでき
る。
【0072】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から除外するものではな
い。
【0073】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。
【0074】(1)従来、100kHz以下の弾性振動
を用い、操作者の指の接触位置、運動計測は別途行わざ
るを得なかった触覚提示装置を、数MHz以上の高周波
弾性表面波もしくはラム波を用いることで、接触位置を
計測すると同時にこれに応じた任意の物体表面粗さ感を
触覚として提示するコンピュータ入出力装置として実現
可能とした。これにより、触覚提示物体の高空間解像度
化、触覚提示物体の任意性の著しい増加を図ることがで
きる。
【0075】(2)更に、触覚を提示する出力部ととも
に、操作者の手指を非拘束で位置計測する入力部も一体
化することができるため、小型かつ簡便なコンピュータ
入出力装置とすることができる。
【0076】これにより、更にシステムとしての性能の
向上を図ることができる。
【0077】(3)また、弾性振動による触覚の入出力
を通して、操作者の疲労度検査やりラクゼーション効果
の誘発、機械受容器特性の診断に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施例を示す弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示す
図(その1)である。
【図2】本発明の基本的な実施例を示す弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示す
図(その2)である。
【図3】本発明の基本的な実施例を示す弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示す
図(その3)である。
【図4】本発明の基本的な実施例を示す弾性波を用いた
コンピュータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示す
図(その4)である。
【図5】本発明の実施例を示す弾性波を用いたコンピュ
ータ入出力装置の弾性波基板と電極配置を示す図であ
る。
【図6】本発明の実施例を示す弾性波を用いたコンピュ
ータ入出力装置の操作者が指先に装着する触感部を示す
斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す弾性波を用いたコン
ピュータ入出力装置の弾性波基板とコンピュータとの接
続状態を示す図である。
【図8】本発明の実施例を示す本発明の実施例を示す弾
性波を用いたコンピュータ入出力装置により指先皮膚表
面に発生する、時間変調可能な分布摩擦力(せん断力)
の説明図である。
【符号の説明】
1,2,5,6,22,23,24,25 駆動用電
極 3,4,7,8,26,27,28,29 入力(位
置計測)用電極 10,21 弾性波基板 11,52 触感部(装着具) 12 微小鋼球(微小固体) 13 弾性薄膜(両面テープ) 14,14′ 動摩擦力 15 駆動高周波電源 16 レイリー波波頭駆動力 18 摩擦力 19 なぞり方向を示す矢印 20 ドライバ 30 検波回路 31 ADコンバータ 32 コンピュータ 40 検出用電極 41,42 反射器 51 湾曲した弾性波基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B068 AA04 AA21 BB22 BC07 BC13 BD11 BD18 BE06 BE11 CD00 DE11 5B087 AA02 AA06 AB12 BC12 BC13 BC16 BC19 BC26 BC31 DD03 DE00 5E501 AA25 AC37 BA11 CB07 CC20 EA02 FA31

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)駆動検出用電極を備えた弾性波基板
    と、(b)該弾性波基板上に配置される微小固体を有す
    る触感部を備え、(c)該触感部の上面のなぞり動作に
    より前記弾性波基板表面の振動を操作者に伝えることに
    より出力装置として機能し、(d)前記操作者の操作力
    が弾性波の伝搬に与える影響を電極により検出すること
    により入力装置として機能させることを特徴とする弾性
    波を用いたコンピュータ入出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記弾性波は弾性表面波又は
    ラム波であることを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記弾性表面波はレイリー波
    であることを特徴とする弾性波を用いたコンピュータ入
    出力装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記弾性波基板表面の振動が
    該弾性波基板上に励振する進行波であり、該進行波を前
    記触感部を介して操作者に伝達し、任意の固体表面をな
    ぞったときに発生する力を擬似的に表現することを特徴
    とする弾性波を用いたコンピュータ入出力装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記弾性波基板表面の振動が
    該弾性波基板上に励振する進行波もしくは定在波による
    駆動力もしくは摩擦力の大きさの変化を前記触感部を介
    して操作者に伝達し、任意の固体表面の表面粗さを擬似
    的に表現することを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記駆動検出用電極に印加さ
    れる、駆動交流電圧の振幅に変調をかけて任意の振動振
    幅を励振することを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記駆動交流電圧の振幅変調
    の波形および周期を変化させて、任意の固体表面粗さを
    擬似的に表現することを特徴とする弾性波を用いたコン
    ピュータ入出力装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記弾性波基板上の振動分布
    を時間的空間的に変化させ、任意の固体表面模様を擬似
    的に表現することを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置において、前記触感部で前記弾性波基板
    をなぞった際に、なぞる速度に応じて弾性波基板上の振
    動分布を時間的に変化させ、任意の固体表面模様を擬似
    的に表現することを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、前記弾性波基板上に微小な
    振動領域を分布させて点字モニタとすることを特徴とす
    る弾性波を用いたコンピュータ入出力装置。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、前記触感部で弾性波基板を
    押さえた際に、伝搬する弾性波の減衰および反射を電極
    により検出し、押さえる力の向きと大きさを入力するこ
    とを特徴とする弾性波を用いたコンピュータ入出力装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、前記触感部で弾性波基板を
    押さえた際に、伝搬する弾性波の減衰および反射を電極
    により検出し、押さえている弾性波基板上の位置を入力
    することを特徴とする弾性波を用いたコンピュータ入出
    力装置。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、任意の固体を弾性波基板に
    押さえつけ、伝搬する弾性波の減衰および反射を電極に
    より検出し、固体表面の剛性もしくは弾性を入力するこ
    とを特徴とする弾性波を用いたコンピュータ入出力装
    置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、前記弾性波基板上の振動を
    前記触感部を介して操作者の体表面に伝え、超音波治療
    を可能とすることを特徴とする弾性波を用いたコンピュ
    ータ入出力装置。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の弾性波を用いたコンピ
    ュータ入出力装置において、前記弾性波基板上で振幅、
    周波数可変の振動を前記触感部を介して操作者の体表面
    に提示することで、操作者の機械受容器の性能、触覚弁
    別能、皮膚感覚特性の解析、診断を可能とすることを特
    徴とする弾性波を用いたコンピュータ入出力装置。
  16. 【請求項16】 請求項1、4、5、7、8、9、1
    1、12、13、14又は15記載の弾性波を用いたコ
    ンピュータ入出力装置において、前記触感部は装着具で
    あることを特徴とする弾性波を用いたコンピュータ入出
    力装置。
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