JP2001254166A - 高周波磁気特性に優れた高けい素鋼板の製造方法 - Google Patents
高周波磁気特性に優れた高けい素鋼板の製造方法Info
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Abstract
方法を提供する。 【解決手段】 wt%で、Si:4%未満の鋼板を母材鋼板
として、加熱処理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処
理を順次行い、Si:4%超の高けい素鋼板を製造する方
法において、浸珪処理する際の鋼板へのけい素の添加速
度を0.1wt%/min以上とし、またはさらに下式を満足す
る範囲とし、鋼板に亜結晶粒界を形成させる。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m)、w:鋼帯板幅(m)、S:けい素添加
速度(wt%/min)
Description
の鉄心材料等に使用される高けい素鋼板の製造方法に関
し、特に高周波磁気特性に優れた高けい素鋼板の製造方
法に関する。
料として広く用いられるけい素鋼板には、通常、集合組
織制御および固有抵抗増大のためにSiが添加される。こ
のけい素鋼板の軟磁気特性はSiの添加量と共に向上し、
特に6.5%付近で最高の透磁率を示すことが知られてい
る。また、高けい素鋼と呼ばれるSi含有量が約4%超の
けい素鋼板は、電気抵抗が高いため特に高周波領域での
磁気特性が優れる。しかしSi含有量が4%を越えると加
工性が急激に劣化するため、従来は圧延により工業的規
模で高けい素鋼板を製造することは不可能とされてい
た。しかし近年、浸珪法(例えば、特公平5-49745号公
報等に示される製造技術)による薄板製造技術が開発さ
れ、板厚0.03mm〜0.5mm程度の高けい素鋼板の製造が可
能となった。浸珪法とは、工業的プロセスで圧延が可能
なSi:4%未満の薄鋼板と四塩化けい素とを高温で反応さ
せることによりSiを浸透させ、浸透したSiを板厚方向に
拡散させることにより高けい素鋼板を得る方法であり、
例えば特公平5-49745号公報では、鋼板を四塩化けい素
が5〜35vol%含まれる無酸化性ガス雰囲気中において10
23〜1200℃の温度で連続的に浸珪処理し、コイル状の高
けい素鋼板を得ている。通常、この浸珪処理ではSi供給
用の原料ガスとして四塩化けい素が使用され、この四塩
化けい素は以下に示す浸珪反応式により鋼板と反応して
Si富化層がけい素鋼板表層に成長する。 SiCl4 + 5Fe → Fe3Si + 2FeCl2
層中のSiは、四塩化けい素を含まない無酸化性雰囲気中
で鋼板を均熱処理することにより板厚方向に拡散され
る。
板においても、高周波での更なる低鉄損化が要望されて
いるのが現状である。一般に、けい素鋼板の鉄損は履歴
損失と渦電流損失の和であり、高周波領域で使用された
場合には渦電流損失が全鉄損の大半を占める。渦電流損
失は、磁区構造に依存しており、渦電流低減のための最
も簡便な方法としては、結晶粒を小径化し、粒界を多く
することによる磁区の細分化が挙げられる。
ば、高けい素鋼板の製造方法である浸珪法では、高温長
時間焼鈍が必須であるため、この焼鈍中に板厚の1.5倍
程度の粒径まで粒成長してしまい、結晶粒の小径化は不
可能である。
い素鋼板よりも粗大な方向性けい素鋼板においては、磁
区の細分化技術(例えば、特開平11-124629号公報)に
よる渦電流低減が提案されているが、同様の技術を高け
い素鋼板に適用することは、製造コストや製造安定性に
問題があり実用的ではない。
で、高周波鉄損特性に優れた高けい素鋼板の製造方法を
提供することを目的とする。
に、本発明者らは高けい素鋼板の磁区構造について詳細
な検討を行った。その結果、高けい素鋼板の結晶粒内に
亜結晶粒界が存在すると、磁区が細分化され高周波での
鉄損が低減することを見いだした。
けい素添加速度に依存し、このけい素の添加速度を規定
することにより、高周波磁気特性の向上に有用な亜結晶
粒界が形成されることも見出した。
で、以下のような構成を有する。 [1]wt%で、Si:4%未満の鋼板を母材鋼板として、加熱
処理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処理を順次行
い、Si:4%超の高けい素鋼板を製造する方法におい
て、浸珪処理する際の鋼板へのけい素の添加速度を0.1w
t%/min以上とし、鋼板に亜結晶粒界を形成させること
を特徴とする高周波磁気特性に優れた高けい素鋼板の製
造方法である。
板として、加熱処理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却
処理を順次行い、Si:4%超の高けい素鋼板を高けい素
鋼板を製造する方法において、浸珪処理する際の鋼板へ
のけい素の添加速度を0.1wt%/min以上、かつ、下式を
満足する範囲とし、鋼板に亜結晶粒界を形成させること
を特徴とする高周波磁気特性に優れた高けい素鋼板の製
造方法である。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m) w:鋼帯板幅(m) S:けい素添加速度(wt%/min) なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はすべてwt
%である。
由とともに説明する。本発明による高けい素鋼板の製造
方法は、圧延による製造が容易なSi:4%未満の鋼板を
母材鋼板とし、この母材鋼板に対して加熱処理、浸珪処
理、拡散均熱処理及び冷却処理を順次実施することによ
り高けい素鋼板を製造する。
と、まず、Si:4%未満の鋼を熱間圧延、冷間圧延し、
薄板(母材鋼板)とする。母材鋼板を無酸化性ガス雰囲
気中で浸珪処理温度またはその近傍まで加熱し、次い
で、四塩化けい素が5〜35vol%含まれる無酸化性ガス雰
囲気中において1023〜1200℃の温度で連続的に母材鋼板
に浸珪処理を施す。
塩化けい素を含まない無酸化性ガス雰囲気中で拡散均熱
処理を施し、板表層に生成したSi富化層を板厚方向に拡
散させた後、常温ないし300℃まで冷却し、しかる後巻
き取り、高けい素鋼板を得る。
要に応じて絶縁を目的とする皮膜が塗布される。対象と
なる絶縁皮膜の種類としては、酸素もしくは酸化物を含
む有機タイプ、有機−無機混合タイプ、無機タイプがあ
げられる。また、必要に応じて絶縁・コア形状成形の目
的でワニスが含浸される。
Siは4%超〜7%とするのが好ましい。Siは軟磁性を発現
させるための元素であり、含有量が6.5%で最も優れた
軟磁性を示す。Siが4%以下では高けい素鋼板として所
望の軟磁気特性が得られない。一方、Siが7%を越える
と飽和磁束密度が著しく減少する。従ってSi含有量は4
%超7%以下とするのが好ましい。
い素鋼板の製造方法において、浸珪処理する際の鋼板へ
のけい素の添加速度を0.1wt%/min以上、さらにまた
は、下式を満足する範囲とする。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m) w:鋼帯板幅(m) S:限界けい素添加速度(wt%/min)
結晶粒界を鋼板に形成させるために、浸珪処理する際の
四塩化けい素が5〜35vol%含まれる無酸化性ガス雰囲気
中のけい素に着目し、1minあたりのけい素添加量と亜結
晶粒界形成の関係を調べた。その結果、けい素添加速度
が0.1wt%/min以上であれば、鋼板に亜結晶粒界が形成
され、高周波磁気特性が向上することがわかった。以上
より、けい素添加速度は0.1wt%/min以上、望ましく0.
5wt%/min以上とする。
と鋼帯板厚及び鋼帯板との関係を調べた。通常、浸珪処
理を行うことで材料長手方向に珪素濃度の勾配が生じる
ため鋼板長手方向の格子定数が変化し、鋼板板幅方向に
圧縮応力が発生する。そこで、この圧縮応力・鋼板の座
屈耐力の関係式と得られた実験結果を基に下式を導き、
下式に規定されるけい素添加速度で行うことにより、高
周波磁気特性が向上する上に鋼板形状も良好となること
がわかった。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m) w:鋼帯板幅(m) S:限界けい素添加速度(wt%/min)
りである。Cは軟磁気特性に有害な元素である。特に0.0
1%を越えると時効現象により軟磁性が劣化する。従っ
てC含有量は0.01%以下とするのが好ましい。
改善する。しかしMn含有量が0.5%を越えると飽和磁束
密度の減少が大きくなる。従ってMn含有量は0.5%以下
とするのが好ましい。
有量はできるだけ低いほうが好ましい。経済性及びPが
0.01%以下であれば実質的にその影響は無視できること
から、P含有量は0.01%以下とするのが好ましい。
あるが、本発明のようにSiを4%超含有する鋼では、Si
により良好な軟磁気特性を発現させるためAlを含有する
必要は無い。従って経済性の面からsol.Al含有量は0.2
%以下とするのが好ましい。
ともに軟磁気特性も劣化させるため、その含有量はでき
るだけ低いほうが好ましい。経済性及びSが0.01%以下
であれば実質的にその影響は無視できることから、S含
有量は0.01%以下とするのが好ましい。
外に、本発明の作用効果を無くさない限り、不可避不純
物をはじめ、他の微量元素を含有するものも本発明の対
象とする鋼板の範囲に含まれる。
であるか無方向性けい素鋼板であるかは問わない。ま
た、通常電磁鋼板の表面には絶縁を目的とした皮膜が形
成されたり、ワニスが含浸されたりするが、本発明の効
果はこのような皮膜、ワニスの種類に影響されない。
1、浸珪処理帯2、均熱帯3、冷却帯4を備えた連続浸珪処
理設備において、Si:3.0%の母材鋼板として加熱処
理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処理を施し、Si:
6.5%の高けい素鋼板を製造した。この時、けい素添加
速度を変化させ、高周波磁気特性(鉄損)と亜結晶粒径
を測定した。鋼板の板厚は0.3mmである。ここで、けい
素添加速度(wt%/min)は、浸珪用原料ガス供給ノズルの
吹き出し量の調整や浸珪用原料ガス供給ノズルの供給箇
所数を変更することにより調整した。
定した。 鉄損測定:各サンプルを外径45mm、内径33mmのリングサ
ンプルに加工し、積み厚1mmでの高周波鉄損を測定。
ge Microscopy:電子線後方散乱回折型結晶方位測定装
置)によって方位差0.5度以上7度以下の結晶粒界を検出
することによって測定。
す。図2より、けい素添加速度が0.1wt%/min以上の本発
明例においては、鉄損の改善が認められ、高周波磁気特
性に優れた高けい素鋼板が得られている。一方、けい素
添加速度が0.1wt%/min未満の比較例では鉄損値が高く
なっている。また、図3にけい素添加速度と亜結晶粒径
の関係を示す。
上の本発明例においては、亜結晶粒径が250μm以下にな
っており、高周波磁気特性に有用な亜結晶粒が形成され
ていることがわかる。
1、浸珪処理帯2、均熱帯3、冷却帯4を備えた連続浸珪処
理設備において、Si:3.0%の母材鋼板として加熱処
理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処理を施し、Si:
6.5%の高けい素鋼板を製造した。この時、けい素添加
速度を0.1wt%/min以上の条件下で板幅を変化させ、け
い素添加速度(wt%/min)と板幅の鋼帯の形状への影響を
評価した。鋼板の板厚は0.1mmである。図4にけい素添加
速度、板幅と形状の関係を示す。ここで、けい素添加速
度の調整は実施例1と同様である。また、形状評価は浸
珪処理材を検査員の目視によりある一定長さを検査し、
形状不良の有無を測定した。図4において、○は形状良
好、△は一部形状不良あり、×は形状不良ありである。
下式を満たす領域においては鋼板の形状は良好であるこ
とがわかる。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m) w:鋼帯板幅(m) S:限界けい素添加速度(wt%/min)
波鉄損特性に優れた高けい素鋼板を得ることができる。
また、鋼帯板厚及び鋼帯板幅との関係からけい素添加速
度のさらなる管理を行うことにより、鋼板の形状が良好
でかつ高周波鉄損特性に優れた高けい素鋼板を得ること
ができる。
安定して加工することができるので、トランスやモ−タ
等に使用される鉄心材料として最適である。
る。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 wt%で、Si:4%未満の鋼板を母材鋼板と
して、加熱処理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処理
を順次行い、Si:4%超の高けい素鋼板を製造する方法
において、浸珪処理する際の鋼板へのけい素の添加速度
を0.1wt%/min以上とし、鋼板に亜結晶粒界を形成させ
ることを特徴とする高周波磁気特性に優れた高けい素鋼
板の製造方法。 - 【請求項2】 wt%で、Si:4%未満の鋼板を母材鋼板と
して、加熱処理、浸珪処理、拡散均熱処理及び冷却処理
を順次行い、Si:4%超の高けい素鋼板を製造する方法
において、浸珪処理する際の鋼板へのけい素の添加速度
を0.1wt%/min以上、かつ、下式を満足する範囲とし、
鋼板に亜結晶粒界を形成させることを特徴とする高周波
磁気特性に優れた高けい素鋼板の製造方法。 S≦4.58×105×t1.56/(W2.64) t:鋼帯板厚(m) w:鋼帯板幅(m) S:けい素添加速度(wt%/min)
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---|---|---|---|---|
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- 2000-03-09 JP JP2000064265A patent/JP3598934B2/ja not_active Expired - Fee Related
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