JP2001253227A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP2001253227A
JP2001253227A JP2000069938A JP2000069938A JP2001253227A JP 2001253227 A JP2001253227 A JP 2001253227A JP 2000069938 A JP2000069938 A JP 2000069938A JP 2000069938 A JP2000069938 A JP 2000069938A JP 2001253227 A JP2001253227 A JP 2001253227A
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JP
Japan
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heat exchanger
heat
compressor
refrigerant
heating
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JP2000069938A
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English (en)
Inventor
Yasutaka Negishi
康隆 根岸
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Valeo Thermal Systems Japan Corp
Original Assignee
Zexel Valeo Climate Control Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デュアルエアコン用のヒートポンプサイクル
において、サイクル内に寝込む冷媒を低減しつつ低温環
境下においても暖房能力を確保し、温水熱交換器の熱源
である温水の昇温性をよくして速やかに暖房性の向上を
図る。 【解決手段】 冷媒を圧縮するコンプレッサ16と、空
調ユニット外に配された室外コンデンサ1と、フロント
空調ユニット1内に配されたフロント送風機8、エバポ
レータ4、フロントサブコンデンサ5、フロント温水ヒ
ータ6と、リア空調ユニット2内に配された、リア送風
機9、リアサブコンデンサ11、リア温水ヒータ12と
を備え、暖房運転時に、リア送風機9を停止させると共
に、コンプレッサ16によって圧縮された冷媒を、リア
サブコンデンサ11を介してエバポレータ4へ供給し、
このエバポレータ4で放熱させた後に室外コンデンサ1
をバイパスしてコンプレッサに戻すホットガス供給用の
回路を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヒートポンプを
利用した車両用空調装置、より具体的には、2つの異な
る領域、例えば、車室の例えば前席側領域と後席側領域
とを空調するそれぞれの空調ユニットを備え、それぞれ
の領域の暖房能力を調節できるようにしたヒートポンプ
サイクルを有する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車室の前席側領域と後席側領域とを格別
に空調する所謂デュアルエアコンとして、特開平5−8
5141号公報に示されるように、空調ダクト内に冷房
サイクルの一部をなすエバポレータと、エンジン冷却水
を熱源とするヒータコアとを配し、ヒータコアを通過す
る空気とバイパスする空気との割合を調節するミックス
ドアを配した空調ユニットを前席側と後席側とにそれぞ
れ設けたものが知られている。
【0003】このようなデュアルエアコンにおいては、
昨今のエンジン燃焼効率の向上などから、エンジン冷却
水が十分な暖房熱源となりにくい点が指摘されている。
つまり、空調ユニットが、特開平5−85141号公報
に示されるように、空調ダクト内に冷房サイクルの一部
をなすエバポレータと、エンジン冷却水を熱源とするヒ
ータコアとを配し、ミックスドアによってヒータコアを
通過する空気とバイパスする空気との割合を調節する構
成となっている場合に、このような空調ユニットを前席
側と後席側とにそれぞれ設けてデュアルエアコンを構成
すると、エンジン廃熱量が低下しているにも拘わらず、
エンジン冷却水を前席側と後席側の両ヒータコアに分配
しなければならず、暖房能力の不足が顕著になる。この
ため、暖房運転時において、不足する暖房能力を補うた
めに、デュアルエアコンにおいてもヒートポンプサイク
ルを併用するようにした技術が本発明者によって研究さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ヒートポン
プサイクルを補助暖房装置として併用したとしても、低
温環境下において十分な能力が得られない場合がある。
特に、低外気時(例えば、−20℃)においては、ヒー
トポンプサイクル内の冷媒温度と冷媒圧力とが下がって
いるため、コンプレッサの吸入側において冷媒の単位質
量当たりの体積(比容積)が大きくなっており、コンプ
レッサの吸い込む冷媒重量流量が小さくなる。よって、
十分な冷媒循環量が得られなくなることから高圧圧力の
上昇も鈍くなり、ヒートポンプによる補助暖房能力が十
分に確保されなくなる。
【0005】この対策として、コンプレッサから吐出し
た高温、高圧のガス冷媒、即ち、ホットガスを、凝縮器
をバイパスして蒸発器へ導き、ここで放熱させた後にコ
ンプレッサに戻すホットガス供給回路を設け、低温環境
下において暖房能力を向上させるようにした技術、例え
ば、特開平6−135221号公報や、特開平11−4
2934号公報などに示されている技術を利用すること
が考えられる。
【0006】しかしながら、従来用いられているホット
ガス供給回路は、そもそもシングルエアコンを想定した
ヒートポンプサイクルに適用されるものであり、デュア
ルエアコンに対応したヒートポンプサイクルに適用する
ためには、格別の配慮が必要となる。即ち、デュアルエ
アコンにあっては、一方の空調ユニットと他方の空調ユ
ニットのそれぞれに吸熱機能を有する熱交換器が配され
るので、単純にシングルエアコンの構成を利用して一方
の空調ユニットの吸熱機能を有する熱交換器に冷媒を流
したのでは、他方の空調ユニットの吸熱機能を有する熱
交換器や、この熱交換器に至るまで経路に冷媒が寝込
み、冷媒循環量が通常の運転時に比べて相対的に減少し
てしまい、この点からも暖房能力の向上が妨げられてい
る。
【0007】また、デュアルエアコンの暖房にあって
は、シングルエアコンのように単に能力調整を行えばよ
いだけではなく、それぞれの被空調領域の要請に応じた
制御、即ち、優先して暖房させたい被空調領域を選択で
きるようにする必要があり、この要請を満たす構成を前
提としつつ、ホットガスを補助暖房として用いることが
できるようにする必要がある。
【0008】また、デュアルエアコンに対応したヒート
ポンプサイクルにあっては、配管数も多くなるので、上
述した従来技術に示されるように、凝縮器をバイパスす
る経路を単にホットガス供給用として用いたのでは利用
効率が悪い。
【0009】そこで、この発明においては、車室内の2
つの異なる領域、例えば、前席側領域と後席側領域との
暖房性能の向上を図るために温水熱交換器の補助熱源と
して利用されるデュアルエアコン用のヒートポンプサイ
クルにあって、サイクル内に寝込む冷媒を低減しつつ、
低温環境下においてヒートポンプによっても十分に暖房
能力を得ることができないような場合でも暖房能力を確
保することができ、また、温水熱交換器の熱源である温
水の昇温性をよくして速やかに暖房性の向上を図ること
ができる車両用空調装置を提供することを課題としてい
る。
【0010】さらに、優先して暖房させたい被空調領域
を選択する要請を満たしつつ、低温環境下においても暖
房能力を確保することができる構成を構築すること、さ
らには、既存の構成を利用して低温環境下における暖房
能力を確保することができる車両用空調装置を提供する
ことを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、この発明に係る車両用空調装置は、車室の第1の領
域を空調する第1空調ユニットと第2の領域を空調する
第2空調ユニットとを備えた車両用空調装置において、
冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記空調ユニット外に
配された第1の熱交換器と、前記第1空調ユニット内に
配された、第1の送風機、吸熱機能を有する第2の熱交
換器、放熱機能と吸熱機能とを択一的に選択する第3の
熱交換器、及び、前記コンプレッサの動力源を冷却する
ための冷却水を熱源とする第1の温水熱交換器と、前記
第2空調ユニット内に配された、第2の送風機、放熱機
能と吸熱機能とを択一的に選択する第4の熱交換器、及
び、前記コンプレッサの動力源を冷却するための冷却水
を熱源とする第2の温水熱交換器とを備え、暖房運転時
に、前記第2の送風機を停止させると共に、前記コンプ
レッサによって圧縮された冷媒を、前記第4の熱交換器
を通過させた後に前記第2の熱交換器へ供給し、この第
2の熱交換器で放熱させた後に第1の熱交換器をバイパ
スして前記コンプレッサに戻す回路を構成するホットガ
ス供給手段を具備することを特徴としている(請求項
1)。
【0012】したがって、暖房運転時におけるホットガ
ス供給手段により、前記コンプレッサから吐出した高
温、高圧のガス冷媒(ホットガス)は、第4の熱交換器
を通過するものの、第2の送風機が停止していることか
ら、第4の熱交換器では積極的な熱交換はなく、高温状
態を維持して第2の熱交換器へ供給され、ここで放熱さ
れた後に第1の熱交換器で熱交換されることなくコンプ
レッサに戻されるので、第2の熱交換器によってここを
通過する空気が加熱されることから、この第2の熱交換
器によって低温環境下においても暖房能力を補うことが
できるようになる。また、コンプレッサの吸い込み冷媒
温度と冷媒圧力とが上昇することから、コンプレッサの
吸入側において冷媒の単位質量当たりの体積(比容積)
が小さくなり、コンプレッサの吸い込み冷媒重量流量が
大きくなる。このため、冷媒循環量が十分に得られるよ
うになり、コンプレッサの吐出圧力が上がってくる。よ
って、コンプレッサ動力が上昇し、コンプレッサの動力
源(エンジン)の負荷が増大してくるので、動力源を冷
却するための冷却水の昇温性が向上し、この冷却水を熱
源とする温水熱交換器の暖房能力が向上してくる。この
ように、コンプレッサの動力源を冷却するための冷却水
の温度をホットガス供給手段によって上昇させることが
できるので、十分な暖房能力を確保することができるよ
うになる。
【0013】さらに、コンプレッサから吐出したホット
ガスを第2空調ユニット内に配された選択的に吸熱機能
を有する第4の熱交換器と、第1空調ユニットに配され
た吸熱機能を有する第2の熱交換器とに通過させた後に
第1の熱交換器をバイパスしてコンプレッサに戻すよう
にしたので、それぞれの空調ユニットにホットガスが循
環されるようになり、寝込み冷媒を低減することができ
るようになる。
【0014】特に、このような構成は、暖房運転時にお
いて、前記コンプレッサによって圧縮された冷媒を、少
なくとも前記第3の熱交換器を放熱器として用いてここ
で放熱し、減圧した後に前記第2の熱交換器で吸熱し、
しかる後に前記第1の熱交換器を通過又は前記第1の熱
交換器をバイパスする迂回経路を通過して前記コンプレ
ッサに戻す第1暖房回路と、前記コンプレッサによって
圧縮された冷媒を、前記第4の熱交換器を放熱器として
用いてここで放熱し、減圧した後に前記第2の熱交換器
で吸熱し、しかる後に第1の熱交換器を通過又は前記迂
回経路を通過して前記コンプレッサに戻す第2暖房回路
とを選択可能とし、前記ホットガス供給手段を、前記第
2の送風機を停止させると共に、前記コンプレッサによ
って圧縮された冷媒を、前記第4の熱交換器を通過させ
た後に前記第2の熱交換器へ供給し、この第2の熱交換
器で放熱させた後に前記迂回経路を通って前記コンプレ
ッサに戻す構成において利用されるとよい(請求項
2)。
【0015】このような構成によれば、暖房運転時にお
いては、第1暖房回路によって第1の領域を優先した暖
房運転が行われ、第2の暖房回路によって第2の領域を
優先した暖房運転が行われる構成となっており、この構
成を前提として、ホットガス供給手段によってコンプレ
ッサから吐出した冷媒が第4の熱交換器を経て第2の熱
交換器で放熱された後に第1の熱交換器をバイパスして
コンプレッサに戻される構成が付加されたものとなって
いる。つまり、ホットガス供給手段によれば、第2の送
風機が停止していることから、第4の熱交換器を通過す
る際には冷媒は積極的に冷却されることがなく、また、
第1の熱交換器をバイパスすることからこの第1の熱交
換器で放熱されることもなく、全体として温度と圧力の
高いガス冷媒(ホットガス)をコンプレッサに戻すこと
ができるようになる。
【0016】また、第1暖房回路と第2暖房回路のそれ
ぞれは、第2の熱交換器で吸熱した後に第1の熱交換器
を通過又は迂回経路を通過してコンプレッサに戻す構成
となっていることから、ホットガス供給手段によって利
用される迂回経路は、これら第1暖房回路と第2暖房回
路とで利用した既存の構成をそのまま利用することがで
きる。
【0017】上述の構成を実現するより具体的な構成と
しては、車室の第1の領域を空調する第1空調ユニット
と第2の領域を空調する第2空調ユニットとを備えた車
両用空調装置において、冷媒を圧縮するコンプレッサ
と、前記空調ユニット外に配された第1の熱交換器と、
前記第1空調ユニット内に配された、第1の送風機、吸
熱機能を有する第2の熱交換器、放熱機能と吸熱機能と
を択一的に選択する第3の熱交換器、及び、前記コンプ
レッサの動力源を冷却するための冷却水を熱源とする第
1の温水熱交換器と、前記第2空調ユニット内に配され
た、第2の送風機、放熱機能と吸熱機能とを択一的に選
択する第4の熱交換器、及び、前記コンプレッサの動力
源を冷却するための冷却水を熱源とする第2の温水熱交
換器とを備え、前記第2の熱交換器の流入側に設けられ
る第1の膨張手段と、前記第4の熱交換器の冷媒が流出
入する一方の側に設けられる第2の膨張手段と、前記コ
ンプレッサの吐出側から冷媒を供給する熱交換器と前記
コンプレッサの吸入側へ冷媒を戻す熱交換器とが切り換
えられて運転モードに応じて冷媒の流方向を規制する第
1の流方向規制手段と、前記第2の熱交換器の流入側に
接続する熱交換器と前記第2の熱交換器の流出側に接続
する熱交換器とが切り換えられて、前記運転モードに拘
わらず前記第1の膨張手段を介して前記第2の熱交換器
の流入側から冷媒を導入するよう冷媒の流方向を規制す
る第2の流方向規制手段とを有し、冷房運転時において
は、前記コンプレッサによって圧縮された冷媒を、前記
第1の流方向規制手段を介して前記第1の熱交換器へ供
給し、ここで放熱した後に前記第2の流方向規制手段を
介して前記第1及び第2の膨張手段へ導き、前記第1の
膨張手段で減圧した後に前記第2の熱交換器で吸熱し、
さらに前記第3の熱交換器を吸熱器として用いてここで
吸熱し、しかる後に前記コンプレッサへ戻すと共に、前
記第2の膨張手段で減圧した後に前記第4の熱交換器へ
供給し、この第4の熱交換器を吸熱器として用いてここ
で吸熱し、しかる後に前記コンプレッサへ戻す冷房回路
を構成し、暖房運転時においては、前記コンプレッサに
よって圧縮された冷媒を、前記第1の流方向規制手段を
介して少なくとも前記第3の熱交換器へ供給した後に前
記第2の流方向規制手段を介して前記第1の膨張手段へ
導き、ここで減圧した後に前記第2の熱交換器へ供給
し、しかる後に前記第2の流方向規制手段を介して前記
第1の熱交換器を通過又は前記第1の熱交換器をバイパ
スする迂回経路を通過して前記コンプレッサに戻す第1
暖房回路と、前記コンプレッサによって圧縮された冷媒
を前記第4の熱交換器を通過させた後に前記第1の膨張
手段へ導き、ここで減圧した後に前記第2の熱交換器へ
供給し、しかる後に前記第2の流方向規制手段を介して
前記第1の熱交換器を通過又は前記迂回経路を通過して
前記コンプレッサに戻す第2暖房回路とを選択可能と
し、さらに、暖房運転時に、前記コンプレッサによって
圧縮された冷媒を、前記第1の流方向規制手段を介して
前記第4の熱交換器を通過させた後に前記第2の熱交換
器へ供給し、この第2の熱交換器で放熱させた後に前記
第2の流方向規制手段を介して前記迂回経路を通って前
記コンプレッサに戻すと共に、前記第2の送風機を停止
させるようにしたホットガス供給手段を具備する構成が
考えられる(請求項3)。
【0018】このような構成においては、第1の流方向
規制手段によって、異なる運転モードの経路(暖房運転
時の冷媒経路と冷房運転時の冷媒経路)を接続してコン
プレッサから吐出する冷媒の流方向を運転モードに応じ
て切り換えることができ、第2の流方向規制手段によっ
て、運転モードに拘わらず、冷媒の流方向を一方向に整
えて第2の熱交換器の流入側へ導くことができる。ま
た、第1暖房回路と第2暖房回路との選択によって、暖
房運転時の冷媒経路を第1空調ユニットによる暖房運転
を優先させるか第2空調ユニットによる暖房運転を優先
させるかを切り換えることができる。
【0019】尚、上述のホットガス供給手段は、暖房運
転の起動初期に暖房能力の増大要請を満たす条件が具備
している間、作動させるようにするとよい(請求項
4)。ここで、暖房運転の起動初期に暖房能力の増大要
請を満たす条件を具備しているか否かは、例えば、コン
プレッサの動力源を冷却するための冷却水の温度が所定
温度以下であるか否か、コンプレッサの吸入側での冷媒
圧力が所定圧以下であるか否か、第2の熱交換器の吸い
込み空気温度が所定温度以下であるか否か、第2の熱交
換器の吹出空気温度が所定温度以下であるか否か、又
は、暖房運転を開始してからの時間が所定時間以内であ
るか否か等によっては判断するとよい。
【0020】また、上述の構成は、ワンボックスカー等
のように、第1の領域を車室の前席側領域とし、第2の
領域を車室の後席側領域とするデュアルエアコンなどに
有効である(請求項5)。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面により説明する。図1において、本発明に係る車両用
空調装置の構成例が示され、この車両用空調装置は、車
室の前席側領域を空調するフロント空調ユニット1と、
後席側領域を空調するリア空調ユニット2とを備えてい
る。
【0022】フロント空調ユニット1は、空調通路3に
エバポレータ4、フロントサブコンデンサ5、フロント
温水ヒータ6が配置され、フロント温水ヒータ6の上流
側に配置されたエアミックスドア7によってフロント温
水ヒータ6を通過する空気とバイパスする空気との割合
が調節されるようになっている。ここで、エバポレータ
4とフロントサブコンデンサ5は、通路断面全体を遮る
ように通風方向に並設され、上流から送られてくる空気
を全て通過するようになっており、フロントサブコンデ
ンサ5は、エバポレータ4の下流側に配置され、暖房時
には放熱機能を有し、冷房時には吸熱機能を有するもの
となっている。また、フロント温水ヒータ6は、フロン
トサブコンデンサ5の下流側に配されてユニット内の一
部を2分してなる一方の通路上を遮るように設けられて
いる。
【0023】実際においては、図には示されていない
が、最上流側にはインテーク装置が配置され、内気入口
と外気入口との開口割合がインテークドアによって調整
されるようになっており、また、内気入口と外気入口と
に臨むようにフロント送風機8が収納され、このフロン
ト送風機8の回転により吸引された空気をエバポレータ
4へ圧送するようにしている。また、フロント温水ヒー
タ6よりも下流側には、デフロスト吹出口、ベント吹出
口、およびヒート吹出口に分かれて前席側領域に開口
し、その分かれた部分にモードドアが設けられ、このモ
ードドアを操作することにより吹出モードが切り換えら
れるようになっている。
【0024】これに対して、リア空調ユニット2は、リ
ア送風機9によって内気のみを空調通路10に吸引する
もので、リア送風機9の下流側には、リアサブコンデン
サ11及びリア温水ヒータ12が配置され、リア温水ヒ
ータ12の上流側に配置されたエアミックスドア13に
よってリア温水ヒータ12を通過する空気とバイパスす
る空気との割合が調節されるようになっている。リアサ
ブコンデンサ11は、空調通路10の通路断面全体を遮
るように設けられ、上流から送られてくる空気を全て通
過するようになっており、暖房時には放熱機能を有し、
冷房時には吸熱機能を有するもので、その切り替えは、
後述するようになっている。また、リア温水ヒータ12
は、リアサブコンデンサ11よりも下流側に配置され、
ユニット内の一部を2分してなる一方の通路上を遮るよ
うに設けられている。
【0025】フロント温水ヒータ6及びリア温水ヒータ
12は、温水を熱源として通過空気を加熱するもので、
温水としては、エンジン冷却水が用いられ、エンジン1
4から発生する廃熱によって加熱されるエンジン冷却水
をポンプによって各温水ヒータ6、12に循環させる構
成となっている。
【0026】空調ユニット外の例えばエンジンルームに
は、室外コンデンサ15と、エンジン14からの動力を
受けて回転されるように構成されたコンプレッサ16
(電磁クラッチ16aによってエンジン動力の伝達が断
続可能)等が配置され、このサイクルにおいては、四方
弁31を用いてその接続部(α、β、γ、δ)をα−
β、γ−δの連通状態(暖房時連通状態:HOT)と、
α−δ、β−γの連通状態(冷房時連通状態:COL
D)とに切り替えることで、暖房運転と冷房運転とが切
り換えられるようになっており、また、複数の逆止弁3
2a,32b,32c,32dの組合せによって前記運
転モードの切り替えによって異なる冷媒の流方向を一方
向に整えている。この四方弁31によって第1の流方向
規制手段が構成され、複数の逆止弁32a,32b,3
2c,32dによって第2の流方向規制手段が構成され
ている。
【0027】即ち、この例におけるサイクル構成では、
エバポレータ4の冷媒流入側に第1の膨張装置18を設
け、リアサブコンデンサ11の冷媒が流出入する一方の
側に、このリアサブコンデンサ11の冷媒が流出入する
一方の側から流出する冷媒の流れのみを許容する逆止弁
19と、第2の膨張装置20とを並列に接続して構成さ
れた並列回路21を接続し、コンプレッサ16の吐出側
(D)を四方弁31のα接続部に接続し、この四方弁3
1のδ接続部を室外コンデンサ15の冷媒が流出入する
一方の側に接続し、γ接続部を逆止弁22、アキュムレ
ータ17を介してコンプレッサ16の吸入側(S)に接
続し、β接続部を2系統に分岐して、一方を第1の二方
向弁41を介してフロントサブコンデンサ5の冷媒が流
出入する一方の側に接続すると共に、他方をリアサブコ
ンデンサ11の他方の側に接続している。
【0028】第2の流方向規制手段は、1つの四方弁に
よって構成することも可能であるが、この例では、4つ
の逆止弁32a,32b,32c,32dを用いて代替
されているもので、四方弁の各接続部(α〜δ)と対応
させた場合に、γ接続部からβ接続部とδ接続部とに向
かう流れのみを許容し、β接続部とδ接続部とからα接
続部に向かう流れのみを許容するように各逆止弁32
a,32b,32c,32dを接続したブリッジ回路3
2に構成されている。
【0029】フロントサブコンデンサ5の他方の側はブ
リッジ回路32のβ接続部(逆止弁32bの流出側と逆
止弁32dの流入側との間)に接続され、ブリッジ回路
32のγ接続部はエバポレータ4の冷媒流出側に、ブリ
ッジ回路のα接続部は、第1の膨張装置18を介してエ
バポレータ4の冷媒流入側に接続されると共に並列回路
21を介してリアサブコンデンサ11の一方の側に接続
されている。また、ブリッジ回路32のδ接続部は、第
2の二方向弁42を介して室外コンデンサ15の他方の
側に接続されると共に、第3の二方向弁43によって開
閉される室外コンデンサ14をバイパスする迂回経路2
3を介して室外コンデンサ15の一方の側とコンプレッ
サ16の吸入側(S)との間(この例では、四方弁31
のγ接続部に接続された逆止弁22とアキュムレータ1
7との間)に接続されている。
【0030】ここで、膨張装置18,20は、弁開度の
調節を不用としたオリフィスによって構成されている
が、電気的に弁開度が制御される電気制御式膨張弁であ
っても、また、非電気制御式の膨張弁であってもよい。
【0031】30は、温度設定や吸入モード、冷暖房の
切り換えなどをマニュアル設定する操作パネル25や外
気温度(Ta)を検出する外気温センサ26、エバポレ
ータ4の出口や室外コンデンサ15の流入口などに設け
られて室外コンデンサ15を通過する冷媒温度(Tb)
を実質的に検出する冷媒温度センサ27等の各種センサ
からの信号が入力される制御部であり、この制御部30
は、図示しない中央演算処理装置(CPU)、読出専用
メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RA
M)、入出力ポート(I/O)等を備えると共に、コン
プレッサ16、エアミックスドア7,13、第1乃至第
3の二方向弁41〜43、四方弁31、送風機8,9な
どを制御する駆動回路を有して構成され、ROMに与え
られた所定のプログラムにしたがって各種入力信号を処
理し、コンプレッサ16の稼動・停止(ON/OF
F)、エアミックスドア7,13の開度、第1乃至第3
の二方向弁41〜43の開閉、四方弁31の切り替え、
送風機8、9の回転数等を制御するようになっている。
【0032】上述した図1に示される構成を理解し易く
するために機能的に簡略して書き直したものが図2に示
されており、図中、第1の四方弁31によって構成され
る第1の流方向規制手段によってコンプレッサ16から
の吐出冷媒及び吸入冷媒の流方向を規制するようにして
いる。即ち、コンプレッサ16の吐出口や吸入口は決ま
っていることから、第1の流方向規制手段(四方弁3
1)によって吐出冷媒が直接流入する熱交換器を空調ユ
ニット内の熱交換器とするか、室外コンデンサ15とす
るかを適宜切り換えることで、暖房運転を構成する冷媒
の流れ(暖房回路)と冷房運転を構成する冷媒の流れ
(冷房回路)とを結合してこれを適宜切り換える機能を
持たせている。そして、四方弁31によって暖房回路が
選択された場合に、第1の二方向弁41で構成される優
先暖房切り換え手段によって、後述する前席優先暖房と
後席優先暖房とを切り換える機能を持たせている。ま
た、第2の流方向規制手段を構成するブリッジ回路32
によって冷房運転と暖房運転とで異なる冷媒の流れを一
方向に整えてエバポレータ4に対して必ず第1の膨張弁
18が設けられた流入側から冷媒を流入させる機能を持
たせている。
【0033】さらに、このサイクル構成において特徴的
であるのは、リアサブコンデンサ11の冷媒が流出入す
る一方の側を並列回路21を介してブリッジ回路32と
第1の膨張装置18との間に接続した点にあり、このよ
うな箇所(図中「A」の接続点で示す箇所)でフロント
空調ユニット側の経路とリア空調ユニット側の経路とを
接続したことによって、リア空調ユニット2に配された
リアサブコンデンサ11を放熱器として用いたり吸熱器
として用いることができるようになっている。
【0034】図3において、制御部30による制御動作
例がフロチャートとして示され、以下、このフロチャー
トに基づいて説明すると、空調装置は、送風機8,9を
駆動させるスイッチが投入されたか否かを判定し(ステ
ップ50)、投入されていないと判定された場合には、
空調装置を作動させず、投入されていると判定された場
合には、コンプレッサを作動させるスイッチ、即ち、エ
アコンスイッチが投入されたか否かを判定する(ステッ
プ52)。ここで、コンプレッサを作動させるスイッチ
が投入されていないと判定された場合には、空調装置を
作動させず、投入されていると判定された場合には、暖
房運転が選択されているのか冷房運転が選択されている
のかを判定する(ステップ54)。冷房運転が選択され
ていると判定された場合には、冷房運転制御が行われ
(ステップ56)、暖房運転が選択されていると判定さ
れた場合には、除湿暖房運転の要請があるか否かを判定
する(ステップ58)。この除湿暖房運転の要請がある
か否かの判定は、例えば、エンジン冷却水の水温が所定
温度よりも低いか否か、あるいは、外気温が所定温度よ
りも低いか否か等によって行われる。
【0035】除湿暖房運転の要請が無いと判定された場
合には、温水暖房運転制御が行われる(ステップ6
0)。これに対して、除湿暖房運転の要請が無いと判定
された場合には、除湿暖房の起動時にウォームアップの
要請があるか否かを判定する(ステップ62)。このウ
ォームアップの要請があるか否かの判定は、除湿暖房起
動時のエンジン冷却水が所定温度以下であるか否かによ
って、除湿暖房起動時のコンプレッサの吸入冷媒圧力が
所定圧以下であるか否かによって、除湿暖房起動時のエ
バポレータの吸い込み空気温度が所定温度以下であるか
否かによって、除湿暖房起動時のエバポレータ出口側空
気温度が所定温度以下であるか否かによって、除湿暖房
を始めてから所定時間内であるか否か等によって判定さ
れる。つまり、これらのいずれの判定も、除湿暖房起動
時に十分な暖房能力が得られない状態であるか否かを判
定するために用いられる。
【0036】ステップ62でウォームアップの要請がな
いと判定された場合には、ヒートポンプサイクルの暖房
制御を安定した状態で行う除湿暖房運転制御(安定除湿
暖房運転制御)を行い、要請に応じて通常暖房運転か、
前席優先暖房運転か、後席優先暖房運転かを選択的に行
う(ステップ64)。これに対して、ステップ62でウ
ォームアップの要請があると判定された場合には、ホッ
トガス供給運転制御を行う。
【0037】上述したステップ56の冷房運転制御、ス
テップ60の温水暖房制御、ステップ64の安定除湿暖
房運転制御、ステップ66のホットガス供給運転制御に
ついてその詳細を説明すると、ステップ56の冷房運転
制御は、表1に示すように、第1の二方向弁41を開、
第2の二方向弁42を開、第3の二方向弁43を閉にす
る。また、四方弁31を冷房時連通状態(COLD)と
し、エアミックスドア7,13を、温水ヒータ6,12
への通風量が小さくなる位置、特に、冷房負荷が大きい
場合や急速クールダウンを要する場合には、温水ヒータ
6,12への通風量が最小となる位置に設定し、所望の
送風能力で両ユニットの送風機8,9を駆動する。
【0038】
【表1】
【0039】すると、コンプレッサ15から吐出した高
温高圧冷媒は、図4の太線で示されるように、四方弁3
1を通って直接室外コンデンサ15に入って放熱し、そ
の後、ブリッジ回路32の逆止弁32cを通って第1の
膨張装置18へ至り、ここで減圧されてエバポレータ4
に入る。このエバポレータ4に入った冷媒は、ここで吸
熱された後にブリッジ回路32の逆止弁32bを介して
フロントサブコンデンサ5に至り、フロントサブコンデ
ンサ5を吸熱器として用いてここで更に吸熱される。ま
た、ブリッジ回路32の逆止弁32cを通った冷媒は、
第2の膨張装置20へ至り、ここで減圧されてリアサブ
コンデンサ11に入り、このリアサブコンデンサ11を
吸熱器として用いてここで吸熱される。そして、フロン
トサブコンデンサ5を通過した冷媒は、第1の二方向弁
41を通過してリアサブコンデンサ11から流出した冷
媒と合流し、四方弁31を介してアキュムレータ17へ
送られ、ここで気液分離された後に気相冷媒のみがコン
プレッサ16へ戻される。
【0040】よって、フロントサブコンデンサ5とリア
サブコンデンサ11とが吸熱器として用いられるので、
フロント空調ユニット1では、ユニット内に導入される
空気が、エバポレータ4で冷却され、さらにフロントサ
ブコンデンサ5で冷却された後に、エアミックスドア7
がフルクールの位置に設定されていれば、フロント温水
ヒータ6を通過することなく前席側領域に供給される。
また、リア空調ユニット2では、ユニット内に導入され
る空気は、リアサブコンデンサ11で冷却され、エアミ
ックスドア13がフルクールの位置に設定されていれ
ば、リア温水ヒータ12を通過することなくそのまま後
席側領域に供給される。
【0041】ステップ60の温水暖房制御は、ヒートポ
ンプサイクルを用いず、単に、フロント温水ヒータ6と
リア温水ヒータ12のみを利用して、エアミックスドア
7,13の開度を調節することによって、各温水ヒータ
6,12への通風量を調節すると共に、所望の送風能力
で両ユニットの送風機8,9を駆動する制御である。こ
の温水暖房制御には、温水ヒータを利用した通常の暖房
制御と、今まで除湿暖房運転であった状態がエンジン冷
却水の上昇等に伴って温水暖房運転へ移行する場合の移
行制御とが含まれている。
【0042】ステップ64の安定除湿暖房運転制御は、
温水ヒータによる暖房だけでは能力が十分に得られない
場合にこれを補うためにヒートポンプサイクルを利用す
る制御であり、前席側領域の暖房と後席側領域の暖房と
に優劣をつけることなく暖房運転を行う通常暖房運転
と、前席側領域の暖房を後席側領域の暖房よりも優先さ
せた暖房運転を行う前席優先暖房運転と、後席側領域の
暖房を前席側領域の暖房よりも優先させた暖房運転を行
う後席優先暖房運転とが選択的に行われる制御である。
【0043】このうち、通常暖房運転(前席側と後席側
の両方を暖房する暖房運転)においては、表1に示すよ
うに、第1の二方向弁41を開、第2の二方向弁42を
開、第3の二方向弁42を閉にする。また、四方弁31
を暖房時連通状態(HOT)とし、エアミックスドア
7,13を、温水ヒータ6,12への通風量が大きくな
る位置、特に、暖房負荷が大きい場合や即暖性を要する
場合には、温水ヒータ6,12への通風量が最大となる
位置に設定し、所望の送風能力で両ユニットの送風機
8,9を駆動する。
【0044】すると、冷媒の流れは、コンプレッサ16
の吐出側(D)から、図5の太線に示されるように、四
方弁31を介してフロントサブコンデンサ5へ直接供給
され、その後、ブリッジ回路32の逆止弁32dを介し
て第1の膨張装置18へ導かれる。また、コンプレッサ
16から吐出した高温高圧冷媒は、四方弁31を介して
リアサブコンデンサ11へ直接供給され、その後、逆止
弁19を通って第1の膨張装置18へ導かれる。そし
て、第1の膨張装置18に導かれた冷媒は、ここで減圧
された後にエバポレータ4に入り、このエバポレータ4
からブリッジ回路32の逆止弁32aを通って室外コン
デンサ15へ送られ、しかる後に四方弁31を介してア
キュムレータ17へ至り、ここで気液分離された後に気
相冷媒のみがコンプレッサ15へ戻される。
【0045】よって、フロントサブコンデンサ5とリア
サブコンデンサ11とが放熱器として用いられるので、
フロント空調ユニット1では、ユニット内に導入される
空気が、エバポレータ4で除湿され、フロントサブコン
デンサ5で暖められた後に更にフロント温水ヒータ6を
通過して加熱される。フロント温水ヒータ6やフロント
サブコンデンサ5での放熱量の絶対値はエバポレータ4
での吸熱量の絶対値よりも大きく設定されるのが通常で
あるから、ユニット内に導入される空気は、エバポレー
タ4で冷却除湿されるものの、フロントサブコンデンサ
5やフロント温水ヒータ6によってエバポレータ4で冷
却された以上に加熱され、全体として除湿された温かい
空気として前席側領域に供給される。また、リア空調ユ
ニット2では、コンプレッサ16から吐出した高温高圧
の冷媒が直接供給されるので、リア空調ユニット内に導
入される空気は、リアサブコンデンサ11を通過する際
に加熱され、更に、リア温水ヒータ12を通過して加熱
されて後席側領域へ供給される。
【0046】前席側の暖房を後席側よりも優先して行う
前席優先暖房運転時においては、表1に示すように、通
常暖房運転時と同様、第1の二方向弁41を開、第2の
二方向弁42を開、第3の二方向弁43を閉にし、第1
及び第2の四方弁31,32を暖房時連通状態(HO
T)とする。通常暖房運転時と異なるのは、フロント空
調ユニット1のフロント送風機8を所望の送風能力で駆
動するものの、リア空調ユニット2のリア送風機9を停
止状態とする点にある。
【0047】すると、冷媒の流れは、図5に示されるよ
うに、通常暖房運転時と同様に流れ、フロント空調ユニ
ット1では、ユニット内に導入される空気が、エバポレ
ータ4で除湿され、フロントサブコンデンサ5で暖めら
れた後に更にフロント温水ヒータ6を通過して加熱さ
れ、全体として除湿された温かい空気として前席側領域
に供給される。この場合には、リアサブコンデンサ11
へも冷媒が供給されているが、リア送風機9が停止して
いることから、リア空調ユニット2へ強制的に導入され
る空気はなく、リア空調ユニット2のリアサブコンデン
サ11やリア温水ヒータ12によって加熱された空気が
後席側領域へ積極的に供給されることがなく、実質的に
後席側での暖房が抑えられる。このように、後席側領域
の暖房が実質的に行われないにも拘わらず、冷媒をリア
サブコンデンサ11へ供給するようにしているのは、リ
アサブコンデンサ11内に冷媒が寝込んで、コンプレッ
サ16の潤滑に必要なオイルが十分に循環されなくなる
不都合を回避するためである。
【0048】これに対して、後席側の暖房を前席側より
も優先して行う後席優先暖房運転時においては、表1に
示すように、第1の二方向弁41を閉、第2の二方向弁
42を開、第2の二方向弁42を閉にする。また、四方
弁31を暖房時連通状態(HOT)とし、エアミックス
ドア7,12を、通常暖房時と同様の位置に設定し、所
望の送風能力で両空調ユニットの送風機8,9を駆動す
る。
【0049】すると、冷媒の流れは、図6の太線に示さ
れるように、四方弁31を介してリアサブコンデンサ1
1へ直接供給され、その後、逆止弁19を通過し、第1
の膨張装置18で減圧された後にエバポレータ4に入
り、このエバポレータ4からブリッジ回路32の逆止弁
32aを通って室外コンデンサ15へ送られる。そし
て、この室外コンデンサ15を通過した後に第1の四方
弁31を介してアキュムレータ17へ送られ、ここで気
液分離された後に気相冷媒のみがコンプレッサ16へ戻
される。この場合には、フロントサブコンデンサ5へは
冷媒は供給されない。
【0050】よって、フロントサブコンデンサ5は熱交
換器として機能せず、リアサブコンデンサ11は放熱器
として用いられるので、フロント空調ユニット1では、
ユニット内に導入される空気が、エバポレータ4で除湿
され、フロントサブコンデンサ5で熱交換されることな
くフロント温水ヒータ6を通過して加熱され、全体とし
て除湿された温かい空気として前席側領域に供給され
る。また、リア空調ユニット2では、リアサブコンデン
サ11が放熱器として用いられので、ユニット内に導入
される空気がリアサブコンデンサ11で加熱され、更
に、リア温水ヒータ12を通過して加熱されて後席側領
域へ供給される。したがって、フロント空調ユニット1
ではフロント温水ヒータ6のみによって加熱されるの
で、フロント温水ヒータ6へ供給される温水の温度が低
ければ暖房能力は小さいが、リア空調ユニット2ではリ
アサブコンデンサ11とリア温水ヒータ12とによって
加熱されるので、前席側よりも優先して吹出空気温度を
高めることができ、また、リア温水ヒータ12へ供給さ
れる温水の温度が低い場合でもリアサブコンデンサ11
によってこれを補うことができる。
【0051】したがって、上述の構成によれば、温水ヒ
ータ6,12による温水を利用した加熱機構に加えてヒ
ートポンプサイクルによる熱源が付加されているので、
エンジン冷却水によっても十分に暖房能力が得られない
場合でも、これを補うことができ、しかも、暖房能力の
向上を図りたい領域(前席側領域又は後席側領域)を選
択することができる。
【0052】また、上述の暖房制御によれば、空調ユニ
ットに導入される空気を常にエバポレータ4で除湿する
ので、窓晴れを確保するための外気導入量を減らして換
気負荷を低減することができ、このため、従来のように
窓晴れを確保するために100%外気導入を行う必要が
なくなり、従来に比べてより少ない動力で暖房が行える
ようになる。
【0053】さらに、温水ヒータ6,12はサブコンデ
ンサ5,11の下流側に配置されることから、温水ヒー
タにはサブコンデンサを通過した比較的温度の高い空気
が導かれることになるので、温水ヒータ6,12におい
ては発熱量を減少させることができ、その分、温水ヒー
タを流れる温水の温度の低下を抑えることができる。ま
た、ヒートポンプサイクルを稼動させるためにコンプレ
ッサ16をエンジン14で駆動していることから、ヒー
トポンプ稼動時にはエンジン負荷が通常よりも少し高く
なり、このため、エンジンからの排熱が多くなるので、
エンジン冷却水の温度を高めることができ、よって、温
水ヒータ6,12へ供給される水温を高めて暖房能力を
向上させることができるようになる。
【0054】ところで、上述のステップ64の暖房運転
制御にあっては、第2の二方向弁42を開、第3の二方
向弁43を閉とする場合について説明したが、室外コン
デンサ15を通過する際にここを通過する冷媒が放熱さ
れてしまうと、暖房能力の向上を図る要請に反すること
となる。このため、除湿暖房運転の安定状態において
は、エバポレータ4を通過した後の冷媒をできるだけ放
熱しないような構成、即ち、できるだけ吸熱するような
構成とすることが好ましい。
【0055】即ち、外気温Taと室外コンデンサ15を
通過する冷媒温度Tb(又は、室外コンデンサ15の温
度)とを比較し、外気温が高い場合には、室外コンデン
サ15を通過する冷媒は吸熱することから、吸熱能力を
高めて暖房能力の向上を図る要請と一致することにな
る。このため、この場合には、表2に示されるように、
第2の二方向弁を開、第3の二方向弁を閉とし、冷媒を
室外コンデンサ15を通してさらに吸熱させた後にコン
プレッサ16へ戻す。
【0056】
【表2】
【0057】これに対して、外気温が低い場合(Ta<
Tbの場合)には、室外コンデンサ15を通過する冷媒
は逆に放熱することになるので、吸熱能力を高めて暖房
能力の向上を図る要請に反することから、この場合に
は、第2の二方向弁を閉、第3の二方向弁を開とし、図
7に示されるように、エバポレータ4から流出した冷媒
をブリッジ回路32の逆止弁32aを通過させた後に迂
回経路23を通すことで室外コンデンサ15をバイパス
して冷媒を直接アキュムレータ17へ送り、室外コンデ
ンサ15で放熱しないようにしてコンプレッサ16へ戻
す(コンプレッサの吐出側(D)からエバポレータまで
の冷媒の流れは、図5又は図6と同様であるので省略す
る)。この際、迂回経路23が断熱材で覆われていた
り、ダッシュパネル側を通るようにレイアウトされてい
れば、外気との接触が一層断たれ、暖房能力を損なうこ
とが無くなる。
【0058】以上の構成において、外気温が非常に低く
なる等の低温環境下にあっては、上述したヒートポンプ
を利用した暖房運転(除湿暖房運転)を行っても、その
初期にはエンジン冷却水が低いことに加え、ユニットに
導入される空気温度も低くなるので、十分な暖房能力が
得られなくなる。そこで、本構成においては、かかる環
境下であることをステップ62によって判定して以下述
べるホットガス供給運転が行われる。
【0059】即ち、ステップ66のホットガス供給運転
は、表1にも示されるように、第1の二方向弁41を
閉、第2の二方向弁42を閉、第3の二方向弁43を開
にする。また、四方弁31を暖房時連通状態(HOT)
とし、フロント送風機8を予め設定されたウォームアッ
プ時における回転状態に設定し、リア送風機9を停止さ
せる。
【0060】すると、コンプレッサ16から吐出した冷
媒は、図8の太線に示されるように、その全てが四方弁
31を介してリアサブコンデンサ11へ直接供給され、
その後、逆止弁19を通って第1の膨張装置18へ導か
れ、ここで膨張された後にエバポレータ4に入り、この
エバポレータ4からブリッジ回路32の逆止弁32aを
通り、しかる後に迂回経路23を通ってアキュムレータ
17へ送られ、しかる後にコンプレッサ16へ戻され
る。即ち、エバポレータ4から流出した冷媒は、室外コ
ンデンサ15をバイパスしてコンプレッサ16に戻され
る。
【0061】したがって、コンプレッサから吐出した高
温高圧のガス冷媒は、第1の膨張装置18で減圧される
ものの、リア送風機9が停止していることから、リアサ
ブコンデンサ11を通過する際には殆ど放熱せず、凝縮
されることがないので、第1の膨張装置18を通過して
も気相冷媒のままであり、温度と圧力の高い状態を維持
してエバポレータ4に入り、ここで放熱される。そし
て、エバポレータ4を通過した冷媒は、室外コンデンサ
15をバイパスすることから、室外コンデンサ15で放
熱されることなくコンプレッサ16に戻される。
【0062】よって、コンプレッサ16の吸入側の冷媒
温度と冷媒圧力が上昇することから、コンプレッサ16
の吸入側において冷媒の単位質量当たりの体積(比容
積)が小さくなり、コンプレッサの吸い込み冷媒重量流
量が大きくなる。このため、冷媒循環量が十分に得られ
るようになり、コンプレッサの吐出圧力が上がってく
る。よって、コンプレッサの動力が上昇することから、
エンジン負荷が増大し、エンジン冷却水の昇温性が向上
し、速やかに暖房能力を高めることができる。
【0063】そして、エンジン冷却水の温度が所定温度
以上になった場合など、温水暖房のみによって、或い
は、温水暖房とヒートポンプの組合せによって十分な暖
房能力が得られる状態となった場合には、ステップ5
8、62において、ステップ60や64への暖房制御に
切り換えられるようになっている。
【0064】また、上述の構成によれば、迂回経路23
を設けて、室外コンデンサ15を通過する冷媒温度Tb
(又は、室外コンデンサ15の温度)よりも外気温が低
い場合には冷媒を迂回経路23を通して室外コンデンサ
14をバイパスする既存の構成があり、この既存の構成
を利用してホットガス供給回路が構成されているので、
ホットガスを供給するために特別な回路構成を新設する
必要がなく、既存のサイクル構成でバルブの切り換えと
ファン制御とによってホットガス供給を実現することが
できる利点がある。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように、この発明において
は、デュアルエアコンに対応したヒートポンプサイクル
において、ホットガス供給手段により、前記コンプレッ
サから吐出した高温、高圧のガス冷媒(ホットガス)を
第2空調ユニットに配された第4の熱交換器を経て第1
空調ユニットに配された第2の熱交換器で放熱し、しか
る後に、第1の熱交換器で熱交換されることなくコンプ
レッサに戻すので、第2の熱交換器によってここを通過
する空気がホットガスによって加熱されるようになり、
この第2の熱交換器によって低温環境下においても暖房
能力を補うことができるようになる。
【0066】また、ホットガス供給手段により、コンプ
レッサの吸い込み冷媒温度と冷媒圧力とが上昇してコン
プレッサの吸い込み冷媒重量流量が大きくなることか
ら、冷媒循環量が上昇してコンプレッサの吐出圧力が上
昇し、これによってコンプレッサ動力が上昇してコンプ
レッサの動力源(エンジン)の負荷が増大してくる。よ
って、コンプレッサの動力源からの廃熱が多くなるの
で、動力源を冷却するための冷却水の温度が低い場合で
もホットガス供給手段によって冷却水の昇温性を向上さ
せることができ、この冷却水を熱源とする温水熱交換器
の暖房能力を向上させることができる。つまり、コンプ
レッサの動力源を冷却するための冷却水の温度をホット
ガス供給手段によって速やかに上昇させることができ、
十分な暖房能力を確保することができるようになる。
【0067】さらに、コンプレッサから吐出したホット
ガスを第2空調ユニット内に配された第4の熱交換器と
第1空調ユニットに配された第2の熱交換器とを通過さ
せた後に第1の熱交換器をバイパスしてコンプレッサに
戻すようにしたので、それぞれの空調ユニットにホット
ガスが循環されるようになり、寝込み冷媒の低減を図る
ことができる。
【0068】また、暖房運転時において、コンプレッサ
によって圧縮された冷媒を、少なくとも第3の熱交換器
を放熱器として用いてここで放熱し、減圧した後に第2
の熱交換器で吸熱し、しかる後に第1の熱交換器を通過
又は迂回経路を通過してコンプレッサに戻す第1暖房回
路と、コンプレッサによって圧縮された冷媒を、第4の
熱交換器を放熱器として用いてここで放熱し、減圧した
後に第2の熱交換器で吸熱し、しかる後に第1の熱交換
器を通過又は迂回経路を通過してコンプレッサに戻す第
2暖房回路とを選択可能とし、ホットガス供給手段を、
第2の送風機を停止させると共に、コンプレッサによっ
て圧縮された冷媒を、第4の熱交換器を通過させた後に
第2の熱交換器へ供給し、この第2の熱交換器で放熱し
た後に迂回経路を通ってコンプレッサに戻す構成とすれ
ば、暖房運転時においては、第1暖房回路によって第1
の領域を優先した暖房運転が行われ、第2暖房回路によ
って第2の領域を優先した暖房運転が行われる構成とな
っており、優先して暖房させたい被空調領域を選択する
要請を満たしつつ、低温環境下においても暖房能力を確
保することができる構成を構築することができる。
【0069】しかも、第1暖房回路と第2暖房回路のそ
れぞれは、第2の熱交換器で吸熱した後に第1の熱交換
器を通過又は迂回経路を通過してコンプレッサに戻す構
成となっていることから、ホットガス供給手段によって
利用される迂回経路は、これら第1暖房回路と第2暖房
回路とで利用した既存の構成をそのまま利用して低温環
境下における暖房能力も確保することができる。
【0070】さらに、前記ホットガス供給手段は、前記
暖房運転の起動初期に暖房能力の増大要請を満たす条件
が具備している間、作動するものとしておけば、特に暖
房初期のウォームアップを効果的に行うことができる。
また、第1の領域を車室の前席側領域とし、第2の領域
を車室の後席側領域とした場合には、ワンボックスカー
などのような車両の前後方向で被空調空間が大きい車両
に搭載するデュアルエアコンに適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る車両用空調装置の構成例
を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す構成例を簡易的に書き直し
た図である。
【図3】図3は、制御部による運転制御の作動例を示す
フローチャートである。
【図4】図4は、冷房運転時の冷媒経路を太線で強調し
て描いた図である。
【図5】図5は、通常暖房運転時と前席優先暖房運転時
の冷媒経路を太線で強調して描いた図である。
【図6】図6は、後席優先暖房運転時の冷媒経路を太線
で強調して描いた図である。
【図7】図7は、暖房運転時に外気温Taと室外コンデ
ンサを通過する冷媒温度(又は、室外コンデンサの温
度)Tbとを比較し、Ta<Tbであるときの冷媒経路
を太線で強調して描いた図である。
【図8】図8は、ホットガス供給運転時の冷媒経路を太
線で強調して描いた図である。
【符号の説明】
1 フロント空調ユニット 2 リア空調ユニット 4 エバポレータ 5 フロントサブコンデンサ 6 フロント温水ヒータ 8 フロント送風機 9 リア送風機 11 リアサブコンデンサ 12 リア温水ヒータ 15 室外コンデンサ 16 コンプレッサ 18 第1の膨張弁 20 第2の膨張弁 23 迂回経路 31 四方弁 32 ブリッジ回路 32a,32b,32c,32d 逆止弁 41 第1の二方向弁 42 第2の二方向弁 43 第3の二方向弁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室の第1の領域を空調する第1空調ユ
    ニットと第2の領域を空調する第2空調ユニットとを備
    えた車両用空調装置において、 冷媒を圧縮するコンプレッサと、 前記空調ユニット外に配された第1の熱交換器と、 前記第1空調ユニット内に配された、第1の送風機、吸
    熱機能を有する第2の熱交換器、放熱機能と吸熱機能と
    を択一的に選択する第3の熱交換器、及び、前記コンプ
    レッサの動力源を冷却するための冷却水を熱源とする第
    1の温水熱交換器と、 前記第2空調ユニット内に配された、第2の送風機、放
    熱機能と吸熱機能とを択一的に選択する第4の熱交換
    器、及び、前記コンプレッサの動力源を冷却するための
    冷却水を熱源とする第2の温水熱交換器とを備え、 暖房運転時に、前記第2の送風機を停止させると共に、
    前記コンプレッサによって圧縮された冷媒を、前記第4
    の熱交換器を通過させた後に前記第2の熱交換器へ供給
    し、この第2の熱交換器で放熱させた後に第1の熱交換
    器をバイパスして前記コンプレッサに戻す回路を構成す
    るホットガス供給手段を具備することを特徴とする車両
    用空調装置。
  2. 【請求項2】 暖房運転時においては、前記コンプレッ
    サによって圧縮された冷媒を、少なくとも前記第3の熱
    交換器を放熱器として用いてここで放熱し、減圧した後
    に前記第2の熱交換器で吸熱し、しかる後に前記第1の
    熱交換器を通過又は前記第1の熱交換器をバイパスする
    迂回経路を通過して前記コンプレッサに戻す第1暖房回
    路と、前記コンプレッサによって圧縮された冷媒を、前
    記第4の熱交換器を放熱器として用いてここで放熱し、
    減圧した後に前記第2の熱交換器で吸熱し、しかる後に
    第1の熱交換器を通過又は前記迂回経路を通過して前記
    コンプレッサに戻す第2暖房回路とを選択可能とし、 前記ホットガス供給手段は、前記第2の送風機を停止さ
    せると共に、前記コンプレッサによって圧縮された冷媒
    を、前記第4の熱交換器を通過させた後に前記第2の熱
    交換器へ供給し、この第2の熱交換器で放熱させた後に
    前記迂回経路を通って前記コンプレッサに戻すものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
  3. 【請求項3】 車室の第1の領域を空調する第1空調ユ
    ニットと第2の領域を空調する第2空調ユニットとを備
    えた車両用空調装置において、 冷媒を圧縮するコンプレッサと、 前記空調ユニット外に配された第1の熱交換器と、 前記第1空調ユニット内に配された、第1の送風機、吸
    熱機能を有する第2の熱交換器、放熱機能と吸熱機能と
    を択一的に選択する第3の熱交換器、及び、前記コンプ
    レッサの動力源を冷却するための冷却水を熱源とする第
    1の温水熱交換器と、 前記第2空調ユニット内に配された、第2の送風機、放
    熱機能と吸熱機能とを択一的に選択する第4の熱交換
    器、及び、前記コンプレッサの動力源を冷却するための
    冷却水を熱源とする第2の温水熱交換器とを備え、 前記第2の熱交換器の流入側に設けられる第1の膨張手
    段と、 前記第4の熱交換器の冷媒が流出入する一方の側に設け
    られる第2の膨張手段と、 前記コンプレッサの吐出側から冷媒を供給する熱交換器
    と前記コンプレッサの吸入側へ冷媒を戻す熱交換器とが
    切り換えられて運転モードに応じて冷媒の流方向を規制
    する第1の流方向規制手段と、 前記第2の熱交換器の流入側に接続する熱交換器と前記
    第2の熱交換器の流出側に接続する熱交換器とが切り換
    えられて、前記運転モードに拘わらず前記第1の膨張手
    段を介して前記第2の熱交換器の流入側から冷媒を導入
    するよう冷媒の流方向を規制する第2の流方向規制手段
    とを有し、 冷房運転時においては、前記コンプレッサによって圧縮
    された冷媒を、前記第1の流方向規制手段を介して前記
    第1の熱交換器へ供給し、ここで放熱した後に前記第2
    の流方向規制手段を介して前記第1及び第2の膨張手段
    へ導き、前記第1の膨張手段で減圧した後に前記第2の
    熱交換器で吸熱し、さらに前記第3の熱交換器を吸熱器
    として用いてここで吸熱し、しかる後に前記コンプレッ
    サへ戻すと共に、前記第2の膨張手段で減圧した後に前
    記第4の熱交換器へ供給し、この第4の熱交換器を吸熱
    器として用いてここで吸熱し、しかる後に前記コンプレ
    ッサへ戻す冷房回路を構成し、 暖房運転時においては、前記コンプレッサによって圧縮
    された冷媒を、前記第1の流方向規制手段を介して少な
    くとも前記第3の熱交換器へ供給した後に前記第2の流
    方向規制手段を介して前記第1の膨張手段へ導き、ここ
    で減圧した後に前記第2の熱交換器へ供給し、しかる後
    に前記第2の流方向規制手段を介して前記第1の熱交換
    器を通過又は前記第1の熱交換器をバイパスする迂回経
    路を通過して前記コンプレッサに戻す第1暖房回路と、
    前記コンプレッサによって圧縮された冷媒を前記第4の
    熱交換器を通過させた後に前記第1の膨張手段へ導き、
    ここで減圧した後に前記第2の熱交換器へ供給し、しか
    る後に前記第2の流方向規制手段を介して前記第1の熱
    交換器を通過又は前記迂回経路を通過して前記コンプレ
    ッサに戻す第2暖房回路とを選択可能とし、 さらに、暖房運転時に、前記コンプレッサによって圧縮
    された冷媒を、前記第1の流方向規制手段を介して前記
    第4の熱交換器を通過させた後に前記第2の熱交換器へ
    供給し、この第2の熱交換器で放熱させた後に前記第2
    の流方向規制手段を介して前記迂回経路を通って前記コ
    ンプレッサに戻すと共に、前記第2の送風機を停止させ
    るようにしたホットガス供給手段を具備することを特徴
    とする車両用空調装置。
  4. 【請求項4】 前記ホットガス供給手段は、前記暖房運
    転の起動初期に暖房能力の増大要請を満たす条件が具備
    している間、作動するものである請求項1〜3のいずれ
    かに記載の車両用空調装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の領域は、前記車室の前席側領
    域であり、前記第2の領域は、前記車室の後席側領域で
    ある請求項1又は3記載の車両用空調装置。
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