JP2001252766A - 立向溶接方法 - Google Patents

立向溶接方法

Info

Publication number
JP2001252766A
JP2001252766A JP2000065687A JP2000065687A JP2001252766A JP 2001252766 A JP2001252766 A JP 2001252766A JP 2000065687 A JP2000065687 A JP 2000065687A JP 2000065687 A JP2000065687 A JP 2000065687A JP 2001252766 A JP2001252766 A JP 2001252766A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
work
groove
teaching
teaching point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000065687A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Hashimoto
潔 橋本
Koji Kawakami
浩司 川上
Kenji Sadahiro
健次 定廣
Hiroshi Matsumura
浩史 松村
Hajime Uchiyama
肇 内山
Hideto Wakinaka
秀人 脇中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2000065687A priority Critical patent/JP2001252766A/ja
Publication of JP2001252766A publication Critical patent/JP2001252766A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下側固形タブ13を用いて溶接を行う際に、
少ない溶接材料および溶接時間で良好な溶接品質の溶接
を行うことができると共に、下側固形タブ13を取り除
いたときに良好な美観を得ることができるようにする。 【解決手段】 立向姿勢にされたワーク開先の端部を下
側固形タブ13で塞ぐと共にルート側を裏当金12で塞
いだ後、溶接トーチ7のワイヤ先端をウィービングさせ
ながら上昇させることによって、ワーク開先を溶接する
ものである。ワーク開先を下側固形タブ13側の端部領
域とこれ以外の本溶接部領域とに区分し、始端部領域に
おいては、下側固形タブ13の溶接特性を考慮した溶接
条件を設定すると共に、ワーク11の溶接線において少
なくとも一箇所以上でワーク11の目違いを測定する目
違いセンシングを行い、そこで得た目違い量に基づいて
ワイヤ先端のウィービング位置を補正することにより溶
接を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立向姿勢にされた
ワーク開先を溶接する立向溶接方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アーク溶接ロボット等の自動溶接装置に
より立向姿勢の完全溶け込み継手溶接を行う場合におい
て、導電性材料で形成されたスチールタブを溶接継手の
端部に取り付けて溶接を行うと、スチールタブを溶接後
に取り外すときに手間がかかる。従って、近年において
は、セラミックス等の非導電性材料で形成された取り外
しの容易な固形タブをスチールタブの代わりに用いて溶
接する方法が注目されている。
【0003】ところが、上記の固形タブは、非導電性材
料がアークを不安定化させ易いと共に湯流れを引き起こ
し易いという溶接特性を有しているため、溶接継手の端
部における溶接品質を十分に高いものにすることが困難
であるという問題がある。そこで、従来から、固形タブ
を用いた場合でも十分に高い溶接品質を得ることができ
るように、各種の方法や構成が提案されている。
【0004】例えば特開昭57−68289号公報に
は、非導電性材料からなる固形フラックス層の表面に鉄
粉層を形成し、この鉄粉層の導電性によりアークの安定
化を図った固形タブが提案されている。また、固形タブ
の表面に鉄粉層を形成しただけでは、鉄粉層から蒸発す
る不純物によりアークが不安定化することによって、良
好な溶接品質を得ることが困難であるため、特開平11
−90626号公報においては、固形タブを開先を有す
るように形成し、この固形タブをワークに取り付けたと
きに、ワーク開先の両端部に固形タブによる開先を存在
させるようにする。そして、固形タブの開先を固形タブ
用の溶接条件で溶接し、ワーク開先をワーク用の溶接条
件で溶接することによって、固形タブにおける不純物の
発生を抑制し、ワーク開先の全域を良好な溶接品質でも
って溶接することを可能にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、ワークの両端部に固形タブによる開先を存
在させ、この開先を固形タブ用の溶接条件で溶接する方
法では、ワーク開先の溶接に加えて固形タブのタブ開先
に対する溶接も必要になるため、溶接材料および溶接時
間が余分に必要になるという問題がある。さらに、溶接
後に固形タブをワークから取り除いたときに、タブ開先
に形成された溶接部分がワーク側に残るため、このまま
では最終製品として美観が悪いという問題もある。
【0006】従って、本発明は、固形タブを用いて溶接
を行う際に、少ない溶接材料および溶接時間で良好な溶
接品質の溶接を行うことができると共に、固形タブを取
り除いたときに良好な美観を得ることができる溶接方法
を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、立向姿勢にされた突合せ継ぎ手
の溶接において、ワーク開先のルート側を裏当金で塞ぐ
と共に下端部を固形タブで塞いだ後、溶接トーチのワイ
ヤ先端をウィービングさせながら上昇させることによっ
て、該ワーク開先を溶接する立向溶接方法において、前
記ワーク開先を始端側の始端部領域および終端側の終端
部領域とこれ以外の本溶接部領域とに区分し、前記始端
部領域においては、前記固形タブの溶接特性を考慮した
溶接条件を設定すると共に、前記ワークの溶接線におい
て少なくとも一箇所以上でワークの目違いを測定する目
違いセンシングを行い、そこで得た目違い量に基づいて
前記ワイヤ先端のウィービング位置および溶接条件を補
正することにより溶接を行うことを特徴としている。
【0008】上記の構成によれば、端部領域において
は、固形タブの溶接特性を考慮した溶接条件を設定する
ことによって、固形タブによる溶接品質の低下を防止す
ることができる。さらに、端部領域の溶接条件の品質保
証幅が固形タブの溶接特性により狭いものとなっていて
も、目違いセンシングで得た目違い量に基づいてワイヤ
先端のウィービング位置を補正することによって、この
狭い品質保証幅の範囲内に溶接条件を確実に存在させる
ことができる。これにより、端部領域および本溶接部領
域からなるワーク開先の全体を良好な品質で溶接するこ
とができる。そして、この場合における溶接は、ワーク
開先内の端部領域と本溶接部領域とで行われるため、従
来のようなワーク開先と共にタブ開先を溶接する場合と
比較して、溶接材料および溶接時間を低減することがで
きる。さらに、溶接後に固形タブを取り除いたときに、
従来のようなタブ開先の溶接部分が極めて少量しか残ら
ないため、良好な美観を得ることができる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の立向溶
接方法であって、前記ウィービングによる運棒パターン
の1周期を1ループとし、前記ウィービングの軌跡中に
含まれる教示点の位置座標を、X軸(溶接始端から溶接
終端に向かう方向を+、短い方のワーク鋼板の下端を
0)、Y軸(溶接方向から開先を投影して開先面のある
方向を+、ルートギャップの中心を0)、Z軸(ルート
側から開先側に+、裏当金面を0)で表し、固形タブの
溝深さをD(mm)としたとき、前記端部領域に含まれ
る教示点のうち、ワークと裏当金あるいは下層溶接ビー
ド表面と固形タブとの接点に最も近い教示点P1の位置
座標(xp1,yp1,zp1)および反対側のワーク
と裏当金と固形タブとの接点に最も近い教示点P2の位
置座標(xp2,yp2,zp2)におけるX座標(x
p1,xp2)の少なくとも一方の値が−D−2(m
m)以上かつ+3(mm)以下であり、前記教示点P1
および教示点P2に対して、190A〜250Aの溶接
電流と0.2〜3.0sの停止時間が溶接条件として設
定されていることを特徴としている。上記の構成よれ
ば、ワークや裏当金に対する良好な溶け込みやなじみを
得ることができると共に、ビード形状の劣化や溶接トー
チのワークへの干渉を防止することができる。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の立向溶接方法であって、ワークに対して水平方向を前
後角0°とし、上向方向を+、下向方向を−としたと
き、前記ワーク開先の始端部領域での最初のループにお
ける溶接トーチの前後角α1°と、前記本溶接部のルー
プ中の溶接トーチの前後角αw°との関係が、αw−1
0≦α1≦αwであることを特徴としている。上記の構
成によれば、溶接トーチの固形タブへの接触を防止する
ことができると共に、良好な溶け込みを得ることができ
る。
【0011】請求項4の発明は、請求項1ないし3の何
れか1項に記載の立向溶接方法であって、溶接始端側の
端部領域における開口部側に位置する少なくとも一つ以
上の教示点に対して、0.2s〜2.5sのアーク停止
時間が溶接条件として設定されていることを特徴として
いる。上記の構成によれば、溶融池の熱量を放出させる
ことによって、開口部側のビードの垂れを防止し、フラ
ットな形状を得ることができる。
【0012】請求項5の発明は、請求項1ないし4の何
れか1項に記載の立向溶接方法であって、本溶接部領域
の開口部側の教示点が含まれる平面と、母材の開先面が
含まれる2平面と、該パスにおけるルート側の全教示点
のうち最も大きいX座標を有する教示点Emax が含まれ
てX軸に直交する平面と、前記教示点Emax が含まれて
XZ平面に直交し、かつX軸に直交する平面とη(15
°≦η<60°)の角度をなす平面の合計5面に囲まれ
た領域において、本溶接部領域におけるルート側教示点
のZ座標の平均値をZR、開口側教示点のZ座標の平均
値をZKとしたとき、Z座標がZR+(ZK−ZR)/
3以上ZK以下を満たす教示点が、溶接終了点を除いて
少なくとも2つ以上含まれることを特徴としている。上
記の構成によれば、終端部領域で開先肩部の溶接残しを
発生させることなく、良好な形状を有する終端部溶接ビ
ードを形成することができる。
【0013】請求項6の発明は、請求項5に記載の立向
溶接方法であって、前記ワークに対して水平方向を前後
角0°とし、上向方向を+、下向方向を−としたとき、
該教示点において溶接トーチの前後角αE°が、前記前
後角αW°に対して、αW−15≦αE≦αW−5であ
るように設定され、かつ110A〜160Aの溶接電流
が溶接条件として設定されていることを特徴としてい
る。上記の構成によれば、ワークのアンダーカットを防
止し、ビード形状を整えると共に、スパッタの飛散を減
少させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1ないし
図20に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係る
立向溶接方法は、例えば図1に示すように、開先壁11
a・11aが左右に位置した立向き姿勢となるようにセ
ットされたワーク(母材)11・11の下面に下側固形
タブ13を取り付けた状態でワーク11の開先を溶接す
る立向溶接装置において実施される。
【0015】上記の立向溶接装置は、複数の自由度を有
した多関節型の溶接ロボット10と、図示しないロボッ
トコントローラおよびオフライン教示装置とを備えてい
る。溶接ロボット10は、床面に固設されたベース1を
有している。ベース1には、基台2がθ1 方向に旋回可
能に設けられており、基台2には、第1アーム3がθ 2
方向に揺動可能に縦設されている。第1アーム3は、主
アーム3aおよび副アーム3bからなっており、主アー
ム3aおよび副アーム3bは、自由端側において第2ア
ーム4をそれぞれθ3 方向に回動自在に軸支している。
【0016】上記の第2アーム4の自由端側には、手首
部材5がθ4 方向およびθ5 方向に揺動可能および回動
可能に設けられている。手首部材5には、トーチブラケ
ット6を介して溶接トーチ7が設けられている。そし
て、溶接トーチ7は、上述の各方向θ1 〜θ5 の揺動、
回転および旋回により任意の姿勢で任意の位置に移動さ
れるようになっている。
【0017】上記の溶接ロボット10には、このロボッ
ト10の姿勢や動作を制御する図示しないロボットコン
トローラが接続されている。ロボットコントローラは、
溶接ロボット10等の外部装置との信号を入出力する入
出力部を備えていると共に、この入出力部に信号バスを
介して接続された記憶部、演算部および通信部を有して
いる。記憶部は、ギャップセンシングプログラムや目違
いセンシングプログラム、溶接プログラム等の各種のプ
ログラムを記憶すると共に、ギャップセンシング結果や
目違いセンシング結果等の各種のデータを記憶する。ま
た、通信部は、教示ペンダントやオフライン教示装置に
着脱可能に接続されており、これらの装置との間で各種
のプログラムやデータを送受信可能にしている。
【0018】上記のオフライン教示装置は、プログラム
作成ルーチン等のソフトウエアを実行可能になってい
る。このソフトウエアは、ワークデータや溶接条件デー
タに基づいてギャップセンシングプログラムを作成し、
このプログラムをロボットコントローラに送信した後、
ロボットコントローラからのギャップセンシング結果を
受け取る第1処理と、目違いセンシングプログラムを作
成し、このプログラムをロボットコントローラに送信し
た後、ロボットコントローラからの目違いセンシング結
果を受け取る第2処理と、ギャップセンシング結果およ
び目違いセンシング結果に基づいて溶接プログラムを作
成し、このプログラムをロボットコントローラに送信す
る第3処理とを実行可能にしている。
【0019】ここで、ワークデータとは、ワーク寸法
(溶接長)・形状・板厚等のデータを意味する。溶接条
件データとは、各種板厚の継手において、パス数・パス
毎の運棒パターンおよび上昇速度・1ループに含まれる
教示点の数および各教示点の(基準開先における相対的
な)座標、各教示点または教示点間の移動中における溶
接電流・溶接電圧・移動速度・トーチ角度などのデータ
を意味する。尚、基準開先とは、例えば開先幅が6m
m、開先角度が35°、レ型、目違いなし等のように、
或る一定の条件を前提としたワーク誤差を含まない開先
を意味する。
【0020】また、ギャップセンシングとは、ワーク開
先の下端部(始端部)から上端部(終端部)におけるル
ートギャップを求める動作のことであり、このルートギ
ャップを溶接ロボット10に求めさせるロボット軌跡・
制御プログラムをギャップセンシングプログラムと称
し、このプログラムの実行により得られたルートギャッ
プをギャップセンシング結果と称する。そして、このギ
ャップセンシング結果に基づいて溶接トーチ軌跡や溶着
金属量(溶接速度)を補正するように溶接プログラムを
作成する機能をギャップセンシング機能と称する。
【0021】また、目違いセンシングとは、両方のワー
ク表面における板厚方向(Z方向)の位置情報を計測
し、両方のワーク表面が面一の状態からどの程度ずれて
いるか(ワーク開先の目違い量)を求める動作のことで
あり、この目違い量を溶接ロボット10に求めさせるロ
ボット軌跡・制御プログラムを目違いセンシングプログ
ラムと称し、このプログラムの実行により得られた目違
い量を目違いセンシング結果と称する。そして、この目
違いセンシング結果に基づいて溶接トーチ軌跡や溶着金
属量(溶接速度)を補正するように溶接プログラムを作
成する機能を目違いセンシング機能と称する。尚、この
目違いセンシングは、ワーク11の溶接線において少な
くとも一箇所以上で行う必要があるが、溶接線の始端
部、中間部、終端部など複数箇所で行っても良いし、溶
接線の全線を連続的に行っても良い。
【0022】上記のように構成された立向溶接装置によ
り溶接されるワーク11の下面に取り付けられる下側固
形タブ13は、MgO、SiO2 、Al2 3 、CaC
3等を主成分とする非導電性材料により形成されてい
る。尚、下側固形タブ13は、上記の非導電性材料のみ
からなっていても良いし、非導電性材料からなるコア部
と、コア部の表面に形成された導電性材料からなる表層
部とからなっていても良い。
【0023】上記の下側固形タブ13は、図3(a)・
(b)にも示すように、平面視四角形の板状に形成され
ている。下側固形タブ13の上面および下面には、ワー
ク11の端面が当接される凸面部13aと、凸面部13
aに対して所定の溝深さD(mm)に設定された凹面部
13bとが形成されている。そして、これらの凸面部1
3aと凹面部13bとの境界線は、ワーク11の開先に
一致する傾斜角度に設定されている。
【0024】尚、下側固形タブ13は、凸面部13aお
よび凹面部13bが固形タブ13の上面および下面に同
一方向の傾斜角度の境界線を有するように形成されてい
ても良いし、図4(a)・(b)に示すように、逆方向
の傾斜角度の境界線を有するように形成されていても良
い。さらに、下側固形タブ13は、図5(a)・(b)
に示すように、一対の凸面部13a・13aが両端部に
左右対称に平行配置され、これらの凸面部13a・13
a間に凹面部13bが存在するように形成されていても
良い。
【0025】また、図1に示すように、ワーク11の上
端面には、開先を延長させる上側固形タブ14が取り付
けられている。上側固形タブ14は、形状が長方体形状
であることを除いて上述の下側固形タブ13と同一の構
成にされており、一端面14aがワーク11の開先壁1
1aに対して面一とされている。尚、一方のワーク11
の上端面が他方のワーク11の上端面よりも低い位置に
存在する場合には、一方のワーク11の上端面に上側固
形タブ14が取り付けられる。また、図2に示すよう
に、一方のワーク11の上端面と他方のワーク11の上
端面とが同一の高さ位置に存在する場合には、両ワーク
11・11の上端面に上側固形タブ14・14がそれぞ
れ取り付けられる。
【0026】上記の構成において、立向溶接装置の動作
を通じて立向溶接方法について説明する。
【0027】先ず、図1に示すように、溶接ロボット1
0の動作領域内にワーク(母材)11・11が搬入さ
れ、開先壁11a・11aを左右に位置させた立向き姿
勢となるようにワーク11・11がセットされる。この
後、これらのワーク11・11の裏側に裏当金12が押
し当てられることによって、両開先壁11a・11aで
形成された開先のルート側が塞がれると共に、ワーク1
1・11の下面に下側固形タブ13が押し当てられるこ
とによって、上下方向に設定された開先の下端が塞がれ
る。さらに、ワーク11・11の上端面の高さ位置に違
いがあれば、高さ位置が低い方のワーク11の上端面に
上側固形タブ14が載置され、上側固形タブ14の一端
面14aがワーク11の開先壁11aに対して面一にさ
れることによって、開先が上方に延長される。
【0028】尚、図2に示すように、ワーク11・11
の上端面の高さ位置が同一であれば、両ワーク11・1
1の上端面に上側固形タブ14・14がそれぞれ載置さ
れ、各上側固形タブ14の一端面14aが各ワーク11
の開先壁11aに対して面一にされることによって、開
先が上方に延長される。
【0029】次いで、初期設定として、各パス毎に溶接
速度・教示点の座標等の適切な条件が設定され、オフラ
イン教示装置に対してワークデータおよび溶接条件デー
タが入力される。これらのデータの入力が完了し、オフ
ライン教示装置においてソフトウエアが実行されると、
図6に示すように、運転条件データが読み込まれた後
(S1)、ソフトウエア中の第1処理が実行されること
によって、オフライン教示装置とロボットコントローラ
との間でギャップセンシング実行動作が行われる。
【0030】即ち、オフライン教示装置においては、運
転条件データに基づいてギャップセンシングプログラム
を作成し、このプログラムをロボットコントローラに送
信した後、ロボットコントローラからのギャップセンシ
ング結果の受信を待つ。一方、ロボットコントローラに
おいては、受信したギャップセンシングプログラムを実
行し、溶接ロボット10を作動させることによって、溶
接トーチ7のセンシングによりワーク開先の上端から下
端までのルートギャップを求め、ギャップセンシング結
果としてオフライン教示装置に送信する。そして、オフ
ライン教示装置は、ギャップセンシング結果を受信した
ときに、この結果を取り込んで記憶する(S2)。
【0031】次に、オフライン教示装置においてソフト
ウエア中の第2処理が実行されることによって、オフラ
イン教示装置とロボットコントローラとの間で目違いセ
ンシング実行動作が行われる。
【0032】即ち、オフライン教示装置においては、運
転条件データに基づいて目違いセンシングプログラムを
作成し、このプログラムをロボットコントローラに送信
した後、ロボットコントローラからの目違いセンシング
結果の受信を待つ。一方、ロボットコントローラにおい
ては、受信した目違いセンシングプログラムを実行し、
溶接ロボット10を作動させることによって、溶接トー
チ7のセンシングによりワーク開先の目違い量を求め、
目違いセンシング結果としてオフライン教示装置に送信
する。そして、オフライン教示装置は、目違いセンシン
グ結果を受信したときに、この結果を取り込んで記憶す
る(S3)。
【0033】次に、ソフトウエア中の第3処理が実行さ
れることによって、オフライン教示装置とロボットコン
トローラとの間で溶接プログラム実行動作が行われる。
【0034】即ち、先ず、オフライン教示装置において
は、図7に示すように、溶接プログラム作成ルーチンを
実行し、前処理としてビード形成部の高さと、始端乗り
移り部の高さと、終端乗り移り部の高さとを計算する
(S11)。この後、本処理を実行し、図8および図9
に示すように、ビード形成部におけるギャップ中央部・
底部およびトーチ角度を計算する。また、始端乗り移り
部、終端乗り移り部および本溶接部における上昇ピッ
チ、ギャップ中央部・底部およびトーチ角度を計算する
と共に、ギャップセンシング結果および目違いセンシン
グ結果に基づいてギャップ中央部・底部・幅を補正す
る。
【0035】ここで、目違いセンシング結果に基づいて
始端乗り移り部および終端乗り移り部におけるギャップ
中央部・底部・幅を補正する理由は、下側固形タブ13
との関係で最適な溶接条件(溶接速度や溶接トーチ軌跡
等)を得る必要があるからである。
【0036】具体的には、ワーク11の取り付け誤差等
により目違いが生じていると、図10(a)〜(c)に
示すように、ルートギャップGが同一であっても、溶着
領域を構成する多角形の各頂点の相対的な位置関係が変
わると共に溶着断面積が増減する。そして、この状態で
下側固形タブ13に接する部分の溶接を行うと、下側固
形タブ13に対する溶接速度や溶接トーチ軌跡が正規の
位置から外れることによって、下側固形タブ13への溶
着金属量が適正量に対して増減することになる。
【0037】また、図8に示すように、下側固形タブ1
3は、スチールタブと比較したときに、溶着金属量が適
正量よりも多い場合に溶接ビードが垂れ落ち易い一方、
少ない場合に次のパスで適正な位置にアークが当たらず
に溶け込みやビードなじみの不足が発生したり、アンダ
ーカット等の不具合が発生し易いという溶接特性があ
る。また、スチールタブは、溶接後にタブ部を除去する
ため、始終端部の溶接ビード品質が悪くても特に問題は
ないが、下側固形タブ13においては、タブ部を除去す
る作業を行わない点に特徴があるため、始終端部の溶接
ビード品質は極めて重要である。これにより、下側固形
タブ13を使用する場合には、スチールタブを使用する
場合よりも溶着金属量を正確に制御して始終端部領域の
溶接ビード品質を良好にする必要があり、これを実現し
ようとすると、目違いセンシング結果に基づいて始終端
部領域におけるギャップ中央部・底部・幅を補正し、下
側固形タブ13との関係で最適な溶接条件(溶接速度や
溶接トーチ軌跡等)を得ることが必要になるからである
(S12)。
【0038】この後、以上のようにして溶接プログラム
が完成されると、後処理が行われた後(S13)、図6
に示すように、オフライン教示装置からロボットコント
ローラに送信される。そして、S4において、この溶接
プログラムがロボットコントローラに実行されることに
よって、溶接継手の1パス目の溶接が行われる。
【0039】先ず、図11に示すように、始端部の溶接
開始点に溶接トーチ7が移動された後、矩形状の運棒パ
ターンのウィービングでもってトーチ先端が移動されな
がら溶接方向に上昇される。これにより、運棒パターン
の1周期分の1ループ毎に板状のビードが溶接方向に積
層されることになる。尚、『運棒パターンの1周期分の
1ループ』とは、或る教示点から運棒を開始して開先に
対しての位置関係が上昇成分を除いて教示点と略同様に
対応している教示点に至るまでのことを意味する。
【0040】この際、ビード形成部および始端乗り移り
部からなる溶接始端側の端部領域(始端部領域)の溶接
時においては、始端の下側固形タブ13にとって最適な
溶接条件(溶接電流、溶接電圧、停止時間、次教示点へ
の移動速度、移動中の溶接電流、トーチ角度、アークの
ON/OFF)が設定される。
【0041】具体的には、始端部領域に含まれる教示点
のうち、ワーク11の壁面(ワーク壁)と裏当金12と
下側固形タブ13との接点に最も近い教示点P1の位置
座標(xp1,yp1,zp1)および反対側のワーク
壁と裏当金12と下側固形タブ13との接点に最も近い
教示点P2の位置座標(xp2,yp2,zp2)にお
けるX座標(xp1,xp2)の少なくとも一方の値が
−D−2mm以上かつ+3mm以下に設定される。この
理由は、X座標(xp1,xp2)が−D−2mm未満
であると、溶接トーチ7から突出された溶接ワイヤが下
側固形タブ13に突っ込んでしまうことによって、始端
部領域のビード形状が劣化したり、溶接トーチ7がワー
ク11等に干渉する危険性が高まるからである。一方、
X座標(xp1,xp2)が−D+3mmを越えると、
始端部領域のビードなじみが不十分になるからである。
【0042】但し、教示点の位置座標は、図12(a)
・(b)に示すように、X軸(溶接始端から溶接終端に
向かう方向を+、短い方のワーク鋼板の端部を0)、Y
軸(溶接方向から開先を投影して開先面のある方向を
+、ルートギャップの中心を0)、Z軸(ルート側から
開先側に+、裏当金面を0)で表されるものとする。ま
た、下側固形タブ13が溝深さDmmを有しているもの
とする。
【0043】また、図11に示すように、上記の教示点
P1・P2においては、溶接電流が190A〜250A
の範囲に設定される。これは、溶接電流が190A未満
であると、溶け込みが不十分になる一方、250Aを越
えると、裏当金12等をアークで抜いてしまって溶け落
ち等が発生するという問題があるからである。尚、この
ような問題を確実に防止するには、溶接電流が200A
〜240Aの範囲であることが望ましい。
【0044】さらに、教示点P1・P2における溶接ト
ーチ7に対して0.2s〜3.0sの停止時間が設けら
れる。これは、0.2s未満であると、溶融池が十分に
形成されずにビード形状が不良になる一方、3.0sを
越えると、溶融池が大きくなって開口部側へのビードの
垂れ落ちが発生するからである。尚、このような問題を
確実に防止するには、0.5s〜3.0sの停止時間で
あることが望ましい。
【0045】また、始端部領域の最初のループは、図1
3に示すように、溶接トーチ7が前後角α1°に設定さ
れることによって、溶接トーチ7の下側固形タブ13へ
の接触や溶け込み不良が防止される。一方、本溶接部領
域の他のループは、溶接トーチ7が前後角αwに設定さ
れる。尚、前後角α1°と前後角αw°とは、αw−1
0°≦α1≦αw°の関係に設定されている。これは、
α1がαw−10°未満であると、アークが下側固形タ
ブ13を過度に溶かしてビード形状を劣化させるおそれ
がある一方、α1がαw°よりも大きいと、溶接トーチ
7が下側固形タブ13に接触して下側固形タブ13を外
してしまうおそれがあるからである。尚、ビード形状を
保ちながら、溶込みを確実に確保するには、αw−5°
≦α1≦αw−1.5°の関係にあることが望ましい。
【0046】また、図11に示すように、始端部領域に
含まれる少なくとも一つ以上の開口部側の教示点におい
ては、0.2s〜2.5sのアーク停止時間が設けられ
ることによって、溶融池の熱量が放出される。この結
果、開口部側のビードの垂れが防止され、ビード面がフ
ラットな形状にされる。尚、アーク停止時間を0.2s
〜2.5sに範囲に設定した理由は、0.2s未満であ
ると、溶融池の放熱が不十分になる一方、2.5sを越
えると、溶融池が冷却されすぎて再アーク性が低下する
からである。
【0047】次に、本溶接部領域において溶接を行う場
合には、図14に示すように、1ループ中で最外縁に位
置する教示点のうち、ルート側のワーク11の開先壁1
1aに最も近い2点をR1:(xr1,yr1,zr
1)およびR2:(xr2,yr2,zr2)とし、開
先側のワーク11の開先壁11aに最も近い2点をK
1:(xk1,yk1,zk1)およびK2:(xk
2,yk2,zk2)としたとき、下記の(1)式で定
義される面角度θが15°以上60°未満の範囲で適当
な値に設定される。これにより、溶融池と開先面との接
線が確保され、溶接金属に働く重力に対する開先面と溶
融池の表面張力が相対的に大きくされることによって、
溶接時における開先開口部側へのビードの垂れ落ちが防
止される。
【0048】 θ=tan -1([(xr1+xr2)/2-(xk1+xk2)/2]/[(zk1+zk2)/2-(xr1+xr2)/2]) ・・・(1)
【0049】次に、上記の面角度θでもって本溶接部領
域における溶接を完了した後、ビード形成部および終端
乗り移り部からなる溶接終端側の端部領域(終端部領
域)において溶接を行うときに、面角度θを保ったまま
溶接を行うと、終端部領域で図15に示すような開先肩
部の溶接残しが発生し易い。逆に、図16に示すよう
に、溶接残しが発生しないように溶接長を長くすると、
ルート側のビード余盛りが過大となってビード形状を劣
化させたり、溶接材料および溶接時間が余分に必要にな
って不経済となる。さらにワーク11の上端から裏当金
12の突出しがあまり長くない場合は、ルート側のビー
ドが裏当金12を越えて溢れてしまうという不都合が発
生する場合もある。
【0050】そこで、図14に示すように、終端部領域
の溶接は、面角度θを少なくしていく(開先側に溶接ビ
ードを多く形成する)ように設定された教示点に基づい
て行われる。これにより、終端部領域で開先肩部の溶接
残しを発生させることなく、良好な形状を有する終端部
溶接ビードが形成される。
【0051】具体的には、図17ないし図20に示すよ
うに、本溶接部領域の開口部側の教示点が含まれる平面
と、母材の開先面が含まれる2平面と、該パスにおける
ルート側の全教示点のうち最も大きいX座標を有する教
示点Emax が含まれてX軸に直交する平面と、前記教示
点Emax が含まれてXZ平面に直交し、かつX軸に直交
する平面とη(15°≦η<60°)の角度をなす平面
の合計5面に囲まれた領域Eにおいて、本溶接部領域に
おけるルート側教示点のZ座標の平均値をZR、開口側
教示点のZ座標の平均値をZKとしたとき、Z座標がZ
R+(ZK−ZR)/3以上ZK以下を満たす教示点
が、溶接終了点を除いて少なくとも2つ以上含まれるよ
うに設定される。
【0052】ここで、角度ηを15°≦η<60°の範
囲に限定する理由は、終端部領域の境界を定義する斜平
面の角度ηを本溶接部における面角度θと同義にするた
めである。
【0053】また、教示点のZ座標をZG/3以上ZG
以下の位置に限定する理由は、本溶接部領域における開
口側教示点のZ座標の平均値をZG(ほぼビードの厚み
と考えて良い)としたとき、Z座標がZG/3以下であ
ると、開先側のビードが十分に形成されない一方、ZG
を越えると、終端ビード形成が本溶接部に対してオーバ
ーハング気味となってビード形状を劣化させるからであ
る。但し、ZGが比較的に小さいとき(5mm未満)
は、Z座標はZG/2以上ZG以下であっても良い。ま
た、上記の教示点が溶接終了点を除いて少なくとも2つ
以上含まれる必要がある理由は、両開先の近傍に教示点
を配置し、溶接残しを防止するためである。但し、ZG
が5mm以上の場合は、少なくとも4つ以上含まれるこ
とが望ましい(両開先近傍に2つずつ配置)。
【0054】尚、終端部領域においては、両開先の角部
分の溶け落ちやアンダーカットを確実に防止するため、
一時的にアークをOFFにする処理やビード形状を整え
るための低い電流で停止する処理等が追加されても良
く、そのような処理が各教示点で行われると、教示点数
が合計10個以上になる場合もある。
【0055】さらに、終端部領域においては、下記の溶
接条件(溶接電流、溶接電圧、停止時間、次教示点への
移動速度、移動中の溶接電流、トーチ角度、アークのO
N/OFF等)が設定される。即ち、ワーク11に対し
て水平方向を前後角0°とし、上向方向を+、下向方向
を−としたとき、教示点において溶接トーチ7の前後角
αE°が、前後角αW°に対して、αW−15≦αE≦
αW−5であるように設定され、かつ110A〜160
Aの溶接電流が溶接条件として設定されることによっ
て、ワーク11のアンダーカットが防止され、ビード形
状が整えられ、スパッタの飛散が減少される。
【0056】ここで、αEがαW°に対してαW−15
≦αE≦αW−5となるように設定されるのは、以下の
理由による。即ち、立向溶接では溶接トーチ7の移動方
向によっては溶融池に対して極端な前進角がついてスパ
ッタが発生し易いが、溶融池近傍の開先が壁となるた
め、周囲へのスパッタ飛散は抑制される。しかし、終端
部領域では、溶融池の周囲に開先が残っていないため、
スパッタ飛散が増大する。そこで、αEをαW°に対し
てαW−15≦αE≦αW−5となるように設定するこ
とによって、溶融地に対する角度を適正に保ち、スパッ
タの発生を減じることでスパッタの飛散も減少させるよ
うにするためである。尚、この角度がαW−5°以上で
は上記の効果がなく、αW−15°未満ではビードが垂
れ易くなる。
【0057】また、溶接電流が110A〜160Aの範
囲に設定される理由は、110Aであると、アーク安定
性が低下してビード形状が損なわれる一方、160Aを
越えると、ワーク11のアンダーカットが発生するから
である。尚、アンダーカットを確実に防止するために
は、110A〜150Aに設定することがより望まし
い。
【0058】さらに、終端部領域の溶接時においては、
図1や図2に示すように、上側固形タブ14により開先
が延長されているため、開先側の角の溶け落ちが確実に
防止されると共に、ビードなじみが良好にされる。
【0059】この後、図6に示すように、以上のように
して1パス目の溶接が完了すると(S4)、次のパスが
存在するか否かが判定され(S5)、次のパスが存在す
れば(S5,YES)、上述のS4が再実行される。一
方、次のパスが存在しなければ(S5,NO)、次の継
手が存在するか否か否かが判定され(S6)、存在すれ
ば(S6,YES)、S2から再実行される。一方、次
の継手が存在しなければ(S6,NO)、全ての溶接が
完了したと判断されて運転が終了される。
【0060】以上のように、本実施形態の立向溶接方法
は、図1に示すように、立向姿勢にされた突合せ継ぎ手
の溶接において、ワーク開先のルート側を裏当金12で
塞ぐと共に下端部を下側固形タブ13で塞いだ後、溶接
トーチ7のワイヤ先端をウィービングさせながら上昇さ
せることによって、ワーク開先を溶接するものであり、
ワーク開先を始端側の端部領域(始端部領域)および終
端側の端部領域(終端部領域)とこれ以外の本溶接部領
域とに区分し、始端部領域においては、下側固形タブ1
3の溶接特性を考慮した溶接条件を設定すると共に、ワ
ーク11の溶接線において少なくとも一箇所以上でワー
ク11の目違いを測定する目違いセンシングを行い、そ
こで得た目違い量に基づいてワイヤ先端のウィービング
位置ならびに溶接条件を補正することにより溶接を行う
ようになっている。
【0061】これにより、端部領域においては、下側固
形タブ13の溶接特性を考慮した溶接条件を設定するこ
とによって、下側固形タブ13による溶接品質の低下を
防止することができる。さらに、端部領域の溶接条件の
品質保証幅が下側固形タブ13の溶接特性により狭いも
のとなっていても、目違いセンシングで得た目違い量に
基づいてワイヤ先端のウィービング位置を補正すること
によって、この狭い品質保証幅の範囲内に溶接条件を確
実に存在させることができる。これにより、端部領域お
よび本溶接部領域からなるワーク開先の全体を良好な品
質で溶接することができる。そして、この場合における
溶接は、ワーク開先内の端部領域と本溶接部領域とで行
われるため、従来のようなワーク開先と共にタブ開先を
溶接する場合と比較して溶接材料および溶接時間を低減
することができる。さらに、溶接後に下側固形タブ13
を取り除いたときに、従来のようなタブ開先の溶接部分
が残らないため、良好な美観を得ることができる。
【0062】また、本実施形態においては、複数の自由
度を有した多関節型の溶接ロボット10に適用した場合
について説明しているが、これに限定されるものではな
く、他の方式の自動溶接装置に適用することもできる。
【0063】
【実施例】本実施形態の立向溶接方法について、表1お
よび表2の供試材料および基本溶接条件で実際に溶接を
行った場合を具体的に説明する。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】先ず、表3に示すように、各種の母材板厚
を有するワークを準備した後、レ型形状またはV型形状
に突き合わせ、No.1〜21の母材板厚、開先角度お
よび積層条件でもって溶接を行った。
【0067】
【表3】
【0068】ここで、表3中における『ルートギャップ
S側』は、始端側のルートギャップを意味し、『ルート
ギャップE側』とは終端側のルートギャップを意味す
る。また、『目違い(mm)』の欄において、+(プラ
ス)は+Y方向にあるワークが+Z方向にずれているこ
とを意味し、−(マイナス)は同ワークが−Z方向にず
れていることを意味し、数値はずれ量(mm)を示す。
【0069】また、『D(mm)』は、下側固形タブの
溝深さを示す。『面角度』は、(1)式で定義される面
角度θを示す。『ZR』は、本溶接部領域のルート側の
教示点Z座標の平均値を示し、『ZK』は、本溶接部領
域の開先側の教示点Z座標の平均値を示す。尚、これら
の値は、基準開先に対する相対座標であるため、ギャッ
プ変動により調整され、さらに後述の表4における『条
件補正:有り』の場合は、目違い量に応じても調整され
る。
【0070】また、No.1〜21の溶接時における各
パス毎の始終端溶接条件は、表4に示すようにした。
【0071】
【表4】
【0072】ここで、表4中における『ワーク条件』
は、板厚(mm)−パスNo.を示す。また、『領域区
分』の欄は、ワーク開先を始端部領域、終端部領域、お
よび本溶接部領域に区分しているか否かを示すためのも
のであり、『あり』が各領域に区分していることを示
し、『なし』が各領域に区分していないことを示す。ま
た、『条件補正』の欄は、目違いセンシングによる目違
い量に基づいてウィービング位置および溶接条件を補正
しているか否かを示すためのものであり、『あり』が補
正していることを示し、『なし』が補正していないこと
を示す。
【0073】『SLP1』および『SLP2』は、始端
部領域の第1ループに含まれる教示点のうち、ワークと
裏当金あるいは下層溶接ビード表面と下側固形タブとの
接点に最も近い教示点、および反対側のワークと裏当金
あるいは下層ビード表面と下側固形タブとの接点に最も
近い教示点を示す。尚、『X』は教示点のX座標値であ
り、『溶接電流』は停止時間中に設定されている溶接電
流である。
【0074】『トーチ角度』は、溶接トーチの前後角を
示す。そして、『α1』は、始端部領域の第1ループに
おける溶接トーチの前後角を示し、『αW』は、本溶接
部領域における溶接トーチの前後角を示す。また、『始
端部のアークOFF処理』は、溶接中にアークを一時的
に停止する処理を示す。そして、『教示点数』は、アー
クの一時的に停止する処理が溶接条件として設定されて
いる教示点の数を示し、『処理時間』は、アークの停止
時間を示す。
【0075】『終端部』の欄における『領域Eに含まれ
る教示点数』は、終端部に含まれる教示点のうち、下記
の関係式(2)〜(4)を満たす領域E内にある教示点
の数を示す。
【0076】 Xmax −ztanη≦x≦Xmax ・・・(2) −3 ≦y≦3+ztan35° ・・・(3) ZR+(ZK−ZR)/3≦z≦ZK ・・・(4)
【0077】但し、上記の関係式(2)〜(4)中にお
ける『Xmax 』は、該パスにおけるルート側の全教示点
のうち、最も大きいX座標を有する教示点のX座標値で
ある。『(x,y,z)』は、教示点の座標値である。
『η』は、表3の面角度である。『Z』は、本溶接部領
域におけるルート側教示点のZ座標値の平均である。
『ZK』は、本溶接部領域における開口側教示点のZ座
標値の平均である。
【0078】さらに、No.2およびNo.3の溶接時
における1 パス目の溶接施工条件は、表5〜表11に示
すようにした。尚、表5は、始端部第1ループの溶接条
件(25t,1パス目)である。表6は、始端部第2ル
ープの溶接条件(25t,1パス目)である。表7は、
始端部第3ループの溶接条件(25t,1パス目)であ
る。表8は、溶接条件(25t,1パス目)である。表
9は、終端乗り移り部第1ループの溶接条件(25t,
1パス目)である。表10は、終端乗り移り部第2ルー
プの溶接条件(25t,1パス目)である。表11は、
終端部ループの溶接条件(25t,1パス目)である。
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
【表11】
【0086】表5から表11における『ブースト電流』
は、停止中の溶接電流である。尚、溶接電圧は、ロボッ
トコントローラから溶接電源への指示電圧であるため、
%表示としている。『移動速度』は、現在の教示点から
次教示点にアーク点が移動する速度である。『アークO
FF時間』は、一時的にアークを切っている時間を示
し、その値が0(ゼロ)の場合はアークが継続して出て
いることを示す。『α1』、『α2』、『αE』は溶接
トーチの前後角を示す。
【0087】以上のNo.1〜21の溶接条件に基づい
て溶接を行うことによって、始端部のビード形状、なじ
み、および溶込みの状態を測定すると共に、終端部のビ
ード形状および耐アンダーカット性を測定し、合否を判
定した結果を表12に示す。
【0088】
【表12】
【0089】ここで、表12中における『◎』は優、
『○』は良、『△』はやや不良、『×』は劣を示す。ま
た、『耐アンダーカット性』の欄において、『○』は合
格を示し、『×』は不合格を示す。尚、耐アンダーカッ
ト性の不合格は、深さが1.0mmを越えるという第
1条件、0.5mm≦深さ≦1・0mmであって、且
つ一つの長さが7.0mmを越えるか両端面の合計長さ
が21mmを越えるという第2条件のうちの何れか一方
の条件・を満たすときに判定される。
【0090】この結果、No.1〜7は、各種の板厚、
開先条件のワーク11を対象に溶接しているが、始端部
のビード形状、なじみ、溶け込み、および終端部のビー
ド形状、耐アンダーカット性に関して極めて良好な結果
が得られており、本発明例である。
【0091】No.8〜21は、母材板厚25mm、3
5°レ型開先の試験体を溶接したものである。そして、
No.8,9,12,14,17,18は、始端部のビ
ード形状、なじみ、溶け込み、および終端部のビード形
状、耐アンダーカット性に関して良好な結果が得られて
おり、本発明例である。また、No.10は、目違いセ
ンシングおよび目違い量による条件補正を行い、ワーク
開先を始端部、終端部、本溶接部の各領域に区分して溶
接条件を設定している。1パス目および2パス目の教示
点SLP1のX座標値が−D−2(mm)よりも小さいため
に、始端部のビード形状がやや不良になっているが、合
格範囲(本発明例)である。
【0092】No.11は、目違いセンシングおよび目
違い量による条件補正を行い、ワーク開先を始端部、終
端部、本溶接部の各領域に区分して溶接条件等を設定し
ている。1パス目および2パス目の教示点SLP1のX座標
が3(mm)よりも大きいために、始端部のなじみがや
や不良であると共に溶け込みも少し浅めであったが、合
格範囲(本発明例)である。
【0093】No.13は、目違いセンシングおよび目
違い量による条件補正を行い、ワーク開先を始端部、終
端部、本溶接部の各領域に区分して溶接条件を設定して
いる。1パス目および2パス目の教示点SLP1の停止時間
が0.2秒未満であったために、始端部の溶け込みがや
や不良であったが、合格範囲(本発明例)である。
【0094】No.15は、目違いセンシングおよび目
違い量による条件補正を行い、ワーク開先を始端部、終
端部、本溶接部の各領域に区分して溶接条件を設定して
いる。1パス目の教示点SLP1の停止時間が3.0秒を越
えてるため、始端部のビード形状がやや不良であった
が、合格範囲(本発明例)である。
【0095】No.16は、目違いセンシングおよび目
違い量による条件補正を行い、ワーク開先を始端部、終
端部、本溶接部の各領域に区分して溶接条件を設定して
いる。1パス目の教示点SLP1ならびに教示点SLP2の停止
中の溶接電流が190A未満に設定されているため、始
端部のなじみおよび溶込みが良ではなかったが、合格範
囲(本発明例)である。
【0096】No.19は、目違いセンシングおよび目
違い量による条件補正を行い、ワーク開先を始端部、終
端部、本溶接部の各領域に区分して溶接条件を設定して
いる。1パス目の教示点SLP1および教示点SLP2の停止中
の溶接電流が250Aを越えて設定されているため、始
端部のビード形状がやや不良であったが、合格範囲(本
発明例)である。
【0097】No.20は、目違いセンシングを実施し
て目違い量に応じた条件補正を行ったものの、ワーク開
先を始端部、終端部、本溶接部の各領域に区分せず、全
て本溶接部の溶接条件で施工したため、全ての評価項目
で劣っており、不合格(比較例)である。
【0098】No.21は、ワーク開先を始端部、終端
部、本溶接部の各領域に区分してそれぞれの最適な施工
条件で溶接したものの、ワーク11に+1.4mmの目
違いがあるにも拘わらず、目違いセンシングおよび目違
い量による条件補正を行わなかったため、ワイヤの狙い
位置や溶着量に狂いが生じたまま施工したため、全ての
評価項目で劣っており、不合格(比較例)である。
【0099】
【発明の効果】請求項1の発明は、立向姿勢にされた突
合せ継ぎ手の溶接において、ワーク開先のルート側を裏
当金で塞ぐと共に下端部を固形タブで塞いだ後、溶接ト
ーチのワイヤ先端をウィービングさせながら上昇させる
ことによって、該ワーク開先を溶接する立向溶接方法に
おいて、前記ワーク開先を始端側の始端部領域および終
端側の終端部領域とこれ以外の本溶接部領域とに区分
し、前記始端部領域においては、前記固形タブの溶接特
性を考慮した溶接条件を設定すると共に、前記ワークの
溶接線において少なくとも一箇所以上でワークの目違い
を測定する目違いセンシングを行い、そこで得た目違い
量に基づいて前記ワイヤ先端のウィービング位置および
溶接条件を補正することにより溶接を行う構成である。
【0100】上記の構成によれば、端部領域において
は、固形タブの溶接特性を考慮した溶接条件を設定する
ことによって、固形タブによる溶接品質の低下を防止す
ることができる。さらに、端部領域の溶接条件の品質保
証幅が固形タブの溶接特性により狭いものとなっていて
も、目違いセンシングで得た目違い量に基づいてワイヤ
先端のウィービング位置を補正することによって、この
狭い品質保証幅の範囲内に溶接条件を確実に存在させる
ことができる。これにより、端部領域および本溶接部領
域からなるワーク開先の全体を良好な品質で溶接するこ
とができる。そして、この場合における溶接は、ワーク
開先内の端部領域と本溶接部領域とで行われるため、従
来のようなワーク開先と共にタブ開先を溶接する場合と
比較して、溶接材料および溶接時間を低減することがで
きる。さらに、溶接後に固形タブを取り除いたときに、
従来のようなタブ開先の溶接部分が極めて少量しか残ら
ないため、良好な美観を得ることができる。
【0101】請求項2の発明は、請求項1記載の立向溶
接方法であって、前記ウィービングによる運棒パターン
の1周期を1ループとし、前記ウィービングの軌跡中に
含まれる教示点の位置座標を、X軸(溶接始端から溶接
終端に向かう方向を+、短い方のワーク鋼板の下端を
0)、Y軸(溶接方向から開先を投影して開先面のある
方向を+、ルートギャップの中心を0)、Z軸(ルート
側から開先側に+、裏当金面を0)で表し、固形タブの
溝深さをD(mm)としたとき、前記端部領域に含まれ
る教示点のうち、ワークと裏当金あるいは下層溶接ビー
ド表面と固形タブとの接点に最も近い教示点P1の位置
座標(xp1,yp1,zp1)および反対側のワーク
と裏当金と固形タブとの接点に最も近い教示点P2の位
置座標(xp2,yp2,zp2)におけるX座標(x
p1,xp2)の少なくとも一方の値が−D−2(m
m)以上かつ+3(mm)以下であり、前記教示点P1
および教示点P2に対して、190A〜250Aの溶接
電流と0.2〜3.0sの停止時間が溶接条件として設
定されている構成である。上記の構成よれば、ワークや
裏当金に対する良好な溶け込みやなじみを得ることがで
きると共に、ビード形状の劣化や溶接トーチのワークへ
の干渉を防止することができる。
【0102】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の立向溶接方法であって、ワークに対して水平方向を前
後角0°とし、上向方向を+、下向方向を−としたと
き、前記ワーク開先の始端部領域での最初のループにお
ける溶接トーチの前後角α1°と、前記本溶接部のルー
プ中の溶接トーチの前後角αw°との関係が、αw−1
0≦α1≦αwである構成である。上記の構成によれ
ば、溶接トーチの固形タブへの接触を防止することがで
きると共に、良好な溶け込みを得ることができる。
【0103】請求項4の発明は、請求項1ないし3の何
れか1項に記載の立向溶接方法であって、溶接始端側の
端部領域における開口部側に位置する少なくとも一つ以
上の教示点に対して、0.2s〜2.5sのアーク停止
時間が溶接条件として設定されている構成である。上記
の構成によれば、溶融池の熱量を放出させることによっ
て、開口部側のビードの垂れを防止し、フラットな形状
を得ることができる。
【0104】請求項5の発明は、請求項1ないし4の何
れか1項に記載の立向溶接方法であって、本溶接部領域
の開口部側の教示点が含まれる平面と、母材の開先面が
含まれる2平面と、該パスにおけるルート側の全教示点
のうち最も大きいX座標を有する教示点Emax が含まれ
てX軸に直交する平面と、前記教示点Emax が含まれて
XZ平面に直交し、かつX軸に直交する平面とη(15
°≦η<60°)の角度をなす平面の合計5面に囲まれ
た領域において、本溶接部領域におけるルート側教示点
のZ座標の平均値をZR、開口側教示点のZ座標の平均
値をZKとしたとき、Z座標がZR+(ZK−ZR)/
3以上ZK以下を満たす教示点が、溶接終了点を除いて
少なくとも2つ以上含まれる構成である。上記の構成に
よれば、終端部領域で開先肩部の溶接残しを発生させる
ことなく、良好な形状を有する終端部溶接ビードを形成
することができる。
【0105】請求項6の発明は、請求項5に記載の立向
溶接方法であって、前記ワークに対して水平方向を前後
角0°とし、上向方向を+、下向方向を−としたとき、
該教示点において溶接トーチの前後角αE°が、前記前
後角αW°に対して、αW−15≦αE≦αW−5であ
るように設定され、かつ110A〜160Aの溶接電流
が溶接条件として設定されている構成である。上記の構
成によれば、ワークのアンダーカットを防止し、ビード
形状を整えると共に、スパッタの飛散を減少させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立向溶接を行う状態を示す説明図である。
【図2】立向溶接を行う状態を示す説明図である。
【図3】固形タブを示すものであり、(a)は正面図、
(b)は平面図である。
【図4】固形タブを示すものであり、(a)は正面図、
(b)は平面図である。
【図5】固形タブを示すものであり、(a)は正面図、
(b)は平面図である。
【図6】オフライン教示装置とのロボットコントローラ
との動作状態を示すフローチャートである。
【図7】溶接プログラム作成ルーチンのフローチャート
である。
【図8】ビード形成部の状態を示す説明図である。
【図9】溶接過程を示す説明図である。
【図10】目違い量の状態を示す説明図であり、(a)
は正規の状態、(b)は一方のワークがずれた状態、
(c)は他方のワークがずれた状態である。
【図11】運棒パターンを示す説明図である。
【図12】教示点の位置座標を示す説明図であり、
(a)は正面視した状態、(b)は正面視した状態、
(c)は側面視した状態である。
【図13】溶接トーチの前後角を示す説明図である。
【図14】溶接過程を示す説明図である。
【図15】肩部の溶接残しの状態を示す説明図である。
【図16】ルート部側の余盛過大の状態を示す説明図で
ある。
【図17】終端部領域の教示点の位置関係を示す説明図
である。
【図18】終端部領域の教示点の位置関係を示す説明図
である。
【図19】終端部領域の教示点の位置関係を示す説明図
である。
【図20】終端部領域の教示点の位置関係を示す説明図
である。
【符号の説明】
7 溶接トーチ 10 溶接ロボット 11 ワーク 12 裏当金 13 下側固形タブ 14 上側固形タブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定廣 健次 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 松村 浩史 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 内山 肇 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 脇中 秀人 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 Fターム(参考) 4E081 AA09 BA40 BB04 CA09 DA05 DA09 DA20 DA28 DA36 DA40 DA62 DA72 EA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立向姿勢にされた突合せ継ぎ手の溶接に
    おいて、ワーク開先のルート側を裏当金で塞ぐと共に下
    端部を固形タブで塞いだ後、溶接トーチのワイヤ先端を
    ウィービングさせながら上昇させることによって、該ワ
    ーク開先を溶接する立向溶接方法において、 前記ワーク開先を始端側の始端部領域および終端側の終
    端部領域とこれ以外の本溶接部領域とに区分し、 前記始端部領域においては、前記固形タブの溶接特性を
    考慮した溶接条件を設定すると共に、前記ワークの溶接
    線において少なくとも一箇所以上でワークの目違いを測
    定する目違いセンシングを行い、そこで得た目違い量に
    基づいて前記ワイヤ先端のウィービング位置および溶接
    条件を補正することにより溶接を行うことを特徴とする
    立向溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記ウィービングによる運棒パターンの
    1周期を1ループとし、 前記ウィービングの軌跡中に含まれる教示点の位置座標
    を、X軸(溶接始端から溶接終端に向かう方向を+、短
    い方のワーク鋼板の下端を0)、Y軸(溶接方向から開
    先を投影して開先面のある方向を+、ルートギャップの
    中心を0)、Z軸(ルート側から開先側に+、裏当金面
    を0)で表し、 固形タブの溝深さをD(mm)としたとき、 前記端部領域に含まれる教示点のうち、ワークと裏当金
    あるいは下層溶接ビード表面と固形タブとの接点に最も
    近い教示点P1の位置座標(xp1,yp1,zp1)
    および反対側のワークと裏当金と固形タブとの接点に最
    も近い教示点P2の位置座標(xp2,yp2,zp
    2)におけるX座標(xp1,xp2)の少なくとも一
    方の値が−D−2(mm)以上かつ+3(mm)以下で
    あり、 前記教示点P1および教示点P2に対して、190A〜
    250Aの溶接電流と0.2〜3.0sの停止時間が溶
    接条件として設定されていることを特徴とする請求項1
    記載の立向溶接方法。
  3. 【請求項3】 ワークに対して水平方向を前後角0°と
    し、上向方向を+、下向方向を−としたとき、前記ワー
    ク開先の始端部領域での最初のループにおける溶接トー
    チの前後角α1°と、前記本溶接部のループ中の溶接ト
    ーチの前後角αw°との関係が、αw−10≦α1≦α
    wであることを特徴とする請求項1または2記載の立向
    溶接方法。
  4. 【請求項4】 溶接始端側の端部領域における開口部側
    に位置する少なくとも一つ以上の教示点に対して、0.
    2s〜2.5sのアーク停止時間が溶接条件として設定
    されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか
    1項に記載の立向溶接方法。
  5. 【請求項5】 本溶接部領域の開口部側の教示点が含ま
    れる平面と、母材の開先面が含まれる2平面と、該パス
    におけるルート側の全教示点のうち最も大きいX座標を
    有する教示点Emax が含まれてX軸に直交する平面と、
    前記教示点Emax が含まれてXZ平面に直交し、かつX
    軸に直交する平面とη(15°≦η<60°)の角度を
    なす平面の合計5面に囲まれた領域において、本溶接部
    領域におけるルート側教示点のZ座標の平均値をZR、
    開口側教示点のZ座標の平均値をZKとしたとき、Z座
    標がZR+(ZK−ZR)/3以上ZK以下を満たす教
    示点が、溶接終了点を除いて少なくとも2つ以上含まれ
    ることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記
    載の立向溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記ワークに対して水平方向を前後角0
    °とし、上向方向を+、下向方向を−としたとき、該教
    示点において溶接トーチの前後角αE°が、前記前後角
    αW°に対して、αW−15≦αE≦αW−5であるよ
    うに設定され、かつ110A〜160Aの溶接電流が溶
    接条件として設定されていることを特徴とする請求項5
    記載の立向溶接方法。
JP2000065687A 2000-03-06 2000-03-06 立向溶接方法 Pending JP2001252766A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000065687A JP2001252766A (ja) 2000-03-06 2000-03-06 立向溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000065687A JP2001252766A (ja) 2000-03-06 2000-03-06 立向溶接方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001252766A true JP2001252766A (ja) 2001-09-18

Family

ID=18585171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000065687A Pending JP2001252766A (ja) 2000-03-06 2000-03-06 立向溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001252766A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004223584A (ja) * 2003-01-24 2004-08-12 Hitachi Constr Mach Co Ltd 溶接装置及び溶接方法
JP2010115700A (ja) * 2008-11-14 2010-05-27 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 狭開先溶接方法及び狭開先溶接装置
KR101614249B1 (ko) * 2015-06-01 2016-04-20 세원셀론텍(주) 파이프 맞대기 서브머지드 아크용접장치
CN114799527A (zh) * 2022-06-15 2022-07-29 华北水利水电大学 一种薄板激光电弧复合高速立焊方法及装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004223584A (ja) * 2003-01-24 2004-08-12 Hitachi Constr Mach Co Ltd 溶接装置及び溶接方法
JP4640908B2 (ja) * 2003-01-24 2011-03-02 日立建機株式会社 溶接装置及び溶接方法
JP2010115700A (ja) * 2008-11-14 2010-05-27 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 狭開先溶接方法及び狭開先溶接装置
KR101614249B1 (ko) * 2015-06-01 2016-04-20 세원셀론텍(주) 파이프 맞대기 서브머지드 아크용접장치
CN114799527A (zh) * 2022-06-15 2022-07-29 华北水利水电大学 一种薄板激光电弧复合高速立焊方法及装置
CN114799527B (zh) * 2022-06-15 2023-04-28 华北水利水电大学 一种薄板激光电弧复合高速立焊方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021057307A1 (zh) 一种mag仰对接单面焊双面成型焊接方法
KR101991608B1 (ko) 수평 필릿 용접 방법, 수평 필릿 용접 시스템 및 프로그램
CN107530811A (zh) 水平角焊方法、水平角焊系统以及程序
CN109982802B (zh) 免清根全熔透焊接方法和焊接接头
CN104853875A (zh) 窄坡口气体保护弧焊方法
CN110052692A (zh) V型坡口机器人焊接路径规划方法及系统
KR102416076B1 (ko) 위빙 제어 방법 및 위빙 제어 시스템
JP2000167670A (ja) 高強度厚肉鋼材のすみ肉溶接方法
JP2001047233A (ja) 鉄道レールを溶接する方法および装置
CN101274386A (zh) 单面焊接装置及单面焊接方法
JP4109911B2 (ja) 多層盛溶接方法
JP2002028780A (ja) 横向溶接方法
JP2001252766A (ja) 立向溶接方法
JP2001252767A (ja) 立向溶接方法
JP2001205436A (ja) 立向溶接方法
JP4761689B2 (ja) 多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置
JP2023023454A (ja) 多電極片面サブマージアーク溶接方法
JPH02205267A (ja) 消耗電極式アーク溶接方法
JP6607677B2 (ja) 4電極片面1層サブマージアーク溶接方法
JPH09108838A (ja) 溶接装置
JP5866947B2 (ja) 疲労特性に優れた重ねすみ肉アーク溶接継手およびその製造方法
KR20140063034A (ko) 용접 그루브 한쪽 면만을 이용한 다층 위빙 용접선 자동 추적방법
WO2023203788A1 (ja) 積層設計方法、溶接条件設定方法、溶接制御方法、溶接制御装置、および溶接システム
JPH06234074A (ja) 溶接ロボットによる溶接方法
JP2003211269A (ja) 消耗電極式アーク溶接装置および消耗電極式アーク溶接方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100326

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101214