JP2001248090A - 経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物 - Google Patents

経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物

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JP2001248090A JP2000054681A JP2000054681A JP2001248090A JP 2001248090 A JP2001248090 A JP 2001248090A JP 2000054681 A JP2000054681 A JP 2000054681A JP 2000054681 A JP2000054681 A JP 2000054681A JP 2001248090 A JP2001248090 A JP 2001248090A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙料支持性を向上させることができると共
に、優れた脱水性を有し、長寿命である経糸一重緯糸五
重構造の製紙用織物を提供する。 【解決手段】 本発明の製紙用織物1Aは、上下5層に
配置された第1層緯糸21、第1層補助緯糸211、第
2層緯糸22、第3層緯糸23、第4層緯糸24及び第
5層緯糸25と、これら緯糸を織り成す一重の経糸3と
からなり、該経糸10本で完全組織を構成し、上記経糸
3が、隣り合う第1層緯糸21を第1層補助緯糸211
を挟んで一回織込み、第5層緯糸25を一回織込んでい
る経糸一重緯糸五重構造である。そして、第3層緯糸2
3〜第5層緯糸25は、それぞれ直上の緯糸に対して最
大緯糸1本分、縦方向にずれて配置され、若干三重性が
緩和されている構成である。また、第5層緯糸25は、
経糸9本分の長いクリンプを有し、第1層緯糸21は、
上部へ突出した経糸6本分のクリンプを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経糸一重緯糸五重
構造の製紙用織物に関し、更に詳しくは、紙料支持性や
製紙用織物同士の接合部の強度を向上させることができ
ると共に、優れた脱水性を有し、長寿命である経糸一重
緯糸五重構造の製紙用織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より製紙工程においては、ワイヤー
パートで脱水された湿紙を受け取ってプレスパートへ運
び、プレスロールの間を通してさらに水を絞り、同時に
湿紙の表面を平滑にしてドライパートに送るために、製
紙用織物が利用されている。そして今日、抄造される紙
の品質向上及び抄速の高速化による生産効率向上の要請
に応えるために、製紙用織物として、紙料支持性を向上
させて表面性に優れた紙を効率的に生産できると共に、
強度的に優れた性質を有する製紙用織物の開発が進めら
れている。そして、従来より、紙の表面性を改善すると
共に高速化に耐え得る製紙用織物として、経糸一重緯糸
三重構造の製紙用織物(特開平9−41282号公報、
特開平9−41283号公報、特開平9−41284号
公報等)及び経糸二重緯糸三重構造の製紙用織物(特公
平3−21679号公報)等が提案されているが、かか
る従来品の性質を更に上回る製紙用織物の開発が求めら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、平滑性、紙料支持性及び製紙
用織物同士の接合部の強度を向上させることができると
共に、優れた脱水性を有し、長寿命である経糸一重緯糸
五重構造の製紙用織物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するべく、製紙用織物の構造、経糸と緯糸の織込み
パターンと製紙用織物の性質との関係について鋭意検討
した結果、上下5層に配置された緯糸と、これら緯糸を
織り成す一重の経糸とからなり、該経糸10本又は12
本で完全組織とした、従来にない経糸一重緯糸五重構造
の構成とすることにより、上記目的を達成できることを
見出して本発明を完成するに至った。
【0005】本第1発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙
用織物は、上下5層に配置された第1層緯糸、第2層緯
糸、第3層緯糸、第4層緯糸及び第5層緯糸と、これら
緯糸を織り成す一重の経糸とからなり、該経糸n本
(n:10又は12)で完全組織を構成し、上記経糸
は、製紙面側では第1層緯糸を少なくとも一回織込み、
走行面側では第5層緯糸を少なくとも一回織込んでいる
ことを特徴とする。
【0006】本第1発明の製紙用織物は、かかる経糸一
重緯糸五重構造とすることにより、製紙面側と走行面側
の組織を種々変化させることができる。即ち、従来の経
糸一重緯糸三重構造と比較して、製紙面側は、比較的緻
密な組織とすることにより、平滑性及び紙料支持性を向
上させると同時に、走行面側の緯糸の数を減らして走行
面側を比較的疎な組織とすることができる。これによ
り、脱水負荷を低減して走行負荷を低減することがで
き、その結果、紙料を送る速度を高速化して、表面性に
優れた紙を効率的に生産することができる。また、第3
層緯糸〜第5層緯糸による三重摩耗構造とすることによ
り、第5層緯糸が摩耗しても第4層緯糸、第3層緯糸が
カバーすることにより、製紙用織物の寿命延長を図るこ
とができる。
【0007】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、上記完全組織中の上記第1層緯糸〜第5層
緯糸と経糸の織込みパターンについては特に限定はない
が、本第2発明に示すように、上記第1層緯糸〜第5層
緯糸と経糸の織込みパターンが交互に入れ替わる織込み
パターンとすることができる。例えば、図1に示す経糸
一重緯糸五重構造の製紙用織物では、奇数番の経糸の織
込みパターンが全て(b)の織込みパターンで共通
し、偶数番の経糸の織込みパターンが全て(b)の織
込みパターンで共通している。そして、これらが交互に
入れ替わる構成となっている。かかる構成を採用するこ
とにより、走行面側において第5層緯糸をより下方に突
出させることができる結果、耐摩耗性を向上させ、製紙
用織物の寿命延長を図ることができるので好ましい。
【0008】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、上記「クリンプ間隔」とは、経糸と緯糸と
が織込んで交差する箇所であるナックル部と、隣のナッ
クル部の間に突出して形成される部分(クリンプ)の間
隔を示す。かかるクリンプの間隔については特に限定は
ないが、本第3発明に示すように、上記完全組織の中
で、上記第5層緯糸は経糸n−1本分(n:10又は1
2)のクリンプを有する構成とすることができる(図1
参照)。即ち、経糸10本で完全組織を構成している場
合は経糸9本分のクリンプを有するようにし、経糸12
本で完全組織を構成している場合は経糸11本分のクリ
ンプを有するようにすることができる。かかる長いクリ
ンプ間隔とすることにより、上記第5層緯糸をより下方
に突出させることができる結果、耐摩耗性を向上させ、
製紙用織物の寿命延長を図ることができるので好まし
い。
【0009】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、製紙面側の第1層緯糸が経糸に織込まれる
ことにより、隣の第1層緯糸との間に窪みが形成され
て、製紙面側の紙料支持性に影響を及ぼす場合がある。
かかる窪みを補う方法として、後述のように、隣合う第
1層緯糸の間に、第1層緯糸よりも径の小さい補助緯糸
を織込む他、本第4発明に示すように、上記完全組織の
中で、上記第1層緯糸が経糸6本分のクリンプを有する
構成とすることができる(図1参照)。これにより、補
助緯糸を別途設けなくても、製紙面側で紙料を支持する
上記第1層緯糸の浮きを多くすることにより、紙料の支
持性を向上させることができ、その結果、表面性に優れ
た紙を効率的に抄造することができるので好ましい。
【0010】更に、本第5発明に示すように、上記経糸
が、上記第1層緯糸の上面から上記第3層緯糸と上記第
4層緯糸の間で織込んで上記第3層緯糸においてナック
ル部を有し、続いて、上記第1層緯糸と上記第2層緯糸
の間で織込んで上記第2緯糸においてナックル部を有
し、続いて、上記第5層緯糸の下面で織込んで上記第5
層緯糸においてナックル部を有する織込みパターンとす
ることができる。かかる織込みパターンとすることによ
り、経糸が組織に強固に絡み合い、その結果、織物同士
の接合部の強度を向上させることができるので好まし
い。
【0011】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において上記完全組織中、上記経糸、第1層緯糸〜第
5層緯糸の込数比については限定はなく、必要に応じて
様々な値とすることができる。例えば、本第6発明に示
すように、上記第1層緯糸と上記第2層緯糸の込数の比
率を(2〜4):1としたり、本第7発明に示すよう
に、上記第2層緯糸と上記第3層緯糸の込数の比率を
(1〜2):(2〜1)としたり、本第8発明に示すよ
うに、上記第3層緯糸と上記第4層緯糸の込数の比率を
(1〜2):1としたり、本第9発明に示すように、上
記第4層緯糸と上記第5層緯糸の込数の比率を(1〜
2):1とすることができる。上記第1層緯糸〜第5層
緯糸の本数の比率を上記範囲とすることにより、製紙面
側をより緻密な組織とし、走行面側ではより疎な組織と
することができる。その結果、平滑性及び紙料支持性を
向上させると共に、紙料の水分を効率的に脱水すること
ができるので好ましい。尚、本第6発明の経糸一重緯糸
五重構造の製紙用織物における「第1層緯糸」の込数
は、後述のように第1層補助緯糸を使用した場合は、こ
の第1層補助緯糸も含んで数える。
【0012】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、上記経糸及び上記第1層緯糸〜第5層緯糸
の線径については特に限定はないが、通常、0.13〜
0.40mm、好ましくは0.15〜0.35mm、更
に好ましくは0.15〜0.30mmである。また、本
第10発明及び本第11発明に示すように、上記第3層
緯糸と上記第4層緯糸の線径の比率や上記第4層緯糸と
上記第5層緯糸の線径の比率を1:(1〜2)、好まし
くは1:(1〜1.8)、更に好ましくは1:(1〜
1.5)、最も好ましくは1:(1〜1.3)とするこ
とができる。上記第3層緯糸と上記第4層緯糸の線径の
比率又は上記第4層緯糸と上記第5層緯糸の線径の比率
が1:2を超えると、織込みの際に上記第3層緯糸と上
記第4層緯糸又は上記第4層緯糸と上記第5層緯糸の配
置がずれた場合に、走行面側の組織を疎にすることによ
り形成された湿紙の水分の滑走空間が狭くなって脱水が
困難になる。その結果、脱水負荷の低減、走行負荷の低
減による抄速の高速化が困難となり、製紙効率が低下す
るので好ましくない。
【0013】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、織込まれている第1層緯糸〜第5層緯糸の
配置については特に限定はないが、本第12発明に示す
ように、上記第3層緯糸を上記第2層緯糸に対して縦方
向に0.1〜1本分ずれるように織込んだり、本第13
発明に示すように、上記第4層緯糸を上記第3層緯糸に
対して縦方向に0.1〜1本分ずれるように織込んだ
り、本第14発明に示すように、上記第5層緯糸が上記
第4層緯糸に対して縦方向に0.1〜1本分ずれるよう
に織込むことができる(図1参照)。このように第3層
緯糸、第4層緯糸、第5層緯糸の三重性を意識的に崩し
た構造とすることにより、本発明の経糸一重緯糸五重構
造の製紙用織物の網厚が、必要以上に厚くならないよう
にすることができるので好ましい。
【0014】また、本発明の経糸一重緯糸五重構造の製
紙用織物においては、本第15発明に示すように、上記
緯糸が上記経糸と一回平組織で織込まれる構成とするこ
とができる。ここで平組織とは、図2の(b)の第2層
緯糸22に示すように、経糸3が第2層緯糸22の下に
来るように織込み、続いて、隣りの第2層緯糸22の上
に来るように織込むことにより形成される組織をいう。
かかる構成とすることにより、緯糸の拘束を強くするこ
とができる結果、製紙用織物の接合部の強度を向上させ
ることができる。本第15発明において、上記経糸と1
回平組織で織込まれる緯糸は、図2に示す第2層緯糸で
はなく、第1層緯糸〜第5層緯糸のどれでもいい。ま
た、第1層緯糸〜第5層緯糸の内の1本のみでなく、複
数本の緯糸が1回平組織で織込まれる構成としてもよ
い。
【0015】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物において、第1層緯糸が経糸に織込まれることにより
隣の第1層緯糸との間に形成される窪みを補うため、隣
合う第1層緯糸の間に、第1層緯糸よりも径の小さい補
助緯糸を織込むことができる。かかる補助緯糸を織込む
ことにより上記窪みを補う結果、製紙用織物における製
紙面側の平滑性を向上させて、表面性に優れた紙を抄造
することができる。また、補助緯糸は第1層緯糸よりも
径の小さいことから、織物構造には実質的変化を与えな
い。よって、補助緯糸を織込んでも、依然として優れた
湿紙の脱水効率や長寿命といった本発明の効果を発揮す
ることができる。このような補助緯糸の径は、第1層緯
糸の0.65〜0.95倍、好ましくは0.70〜0.
92倍、更に好ましくは0.75〜0.90倍である。
【0016】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物を構成する上記経糸や上記第1層緯糸〜第5層緯糸の
材質については限定はなく、例えば、ポリエステルモノ
フィラメント、ナイロンモノフィラメント(6ナイロ
ン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン
等)等を使用することができる。この場合、上記経糸や
上記第1層緯糸〜第5層緯糸は、単一の材質で構成され
ているものの他、経糸あるいは緯糸ごとに材質が異なる
2種以上の材質で構成されているものとすることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の経糸一重緯糸五重
構造の製紙用織物について、実施例及び比較例を挙げて
具体的に説明する。 (1)経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物の構造 本実施例の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物1A〜1
Gを図1〜図7に示す。図1〜図3は、経糸10本で完
全組織を構成している経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
物1A〜1Cであり、図4〜図7は、経糸12本で完全
組織を構成している経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物
1D〜1Gである。
【0018】図1〜図7中の(a)は、本実施例の経糸
一重緯糸五重構造の製紙用織物1A〜1Gを示す完全意
匠図である。図中の番号1〜10(図4〜図7では番号
1〜12)は経糸の番号を示す。また、図1〜図7中の
(a)において、四角マスは第1層緯糸21、第1層補
助緯糸211、第2層緯糸22、第3層緯糸23、第4
層緯糸24及び第5層緯糸25を示す。即ち、図1〜図
7(a)の21、211、22、23、24及び25
は、それぞれ、第1層緯糸21、第1層補助緯糸21
1、第2層緯糸22、第3層緯糸23、第4層緯糸24
及び第5層緯糸25を示す。更に、図1〜図7中の
(a)において×印は、経糸3が第1層緯糸21、第1
層補助緯糸211、第2層緯糸22、第3層緯糸23、
第4層緯糸24又は第5層緯糸25の上部に現れている
ことを意味する。例えば、図1(a)の完全意匠図のう
ち、第5層緯糸25を示す四角マスにおいて、×印が9
個連続して続いた後、1個の無印が入った四角マスがあ
ることから、第5層緯糸は、経糸9本分の長いクリンプ
を有していることを示している。
【0019】図1〜図7の(b)は、本実施例の経糸一
重緯糸五重構造の製紙用織物1A〜1Gの経糸部におけ
る縦断面図である。即ち、(b)は、図1〜図7の
(a)の完全意匠図のうち、経糸番号1の所に相当する
部分の縦断面図であり、(b)は、図1〜図7の
(a)の完全意匠図のうち、経糸番号2の所に相当する
部分の縦断面図である。
【0020】図1〜図7に示す本実施例の経糸一重緯糸
五重構造の製紙用織物1A〜1Gは、上下5層に配置さ
れた第1層緯糸21(ポリエステル製、径:0.17m
m)と、隣り合う第1層緯糸21の間に織込まれた第1
層補助緯糸211(ナイロン製、径:0.15mm)
と、第2層緯糸22(ポリエステル製、径:0.27m
m)と、第3層緯糸23、第4層緯糸24及び第5層緯
糸25(いずれもナイロン製、径:0.22mm)と、
これら緯糸を織り成す一重の経糸3(ポリエステル製、
径:0.17mm)とからなる。
【0021】図1〜図7に示すように、経糸3は、隣り
合う第1層緯糸21を第1層補助緯糸211を挟んで一
回織込み、第5層緯糸25を一回織込んでいる経糸一重
緯糸五重構造である。また、図1〜図7に示すように、
本実施例の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物1A〜1
Gは、完全組織の中で、奇数番号の経糸と第1層緯糸〜
第5層緯糸との織込みパターンが(b)で共通し、偶
数番号の経糸と第1層緯糸〜第5層緯糸との織込みパタ
ーンが(b)で共通し、交互に入れ替わる構成となっ
ている。そして、本実施例の経糸一重緯糸五重構造の製
紙用織物1A〜1Gにおいて、抄造の際は第1層緯糸2
1側が製紙面側となり、第5層緯糸25側が走行面側と
なる。更に、図1〜図7に示す本実施例の製紙用織物1
A〜1Gにおいて、第3層緯糸23、第4層緯糸24及
び第5層緯糸25の配置を、それぞれ直上の緯糸の直下
からわずかに縦方向にずらした構成としている。
【0022】図1の製紙用織物1Aでは、(b)に示す
ように、奇数番号の経糸3は、第5層緯糸25を一箇所
で織込んでいるのに対し、偶数番号の経糸3は第4層緯
糸24までのみ織込んでいる完全組織である。また、完
全組織中の緯糸の込数は、第1層緯糸21が10本、第
1層補助緯糸211が10本、第2層緯糸22が10
本、第3層緯糸23〜第5層緯糸25はそれぞれ各5本
である。更に、第1層緯糸21と第2層緯糸22は比較
的二重性が保たれている構成であるのに対し、第3層緯
糸23〜第5層緯糸25は、それぞれ直上の緯糸に対し
て最大緯糸1本分、縦方向にずれて配置され、若干三重
性が緩和されている構成である。即ち、製紙面側は緻密
な組織とし、走行面側は疎な組織となる構成である。こ
れにより、製紙面側で平滑性及び紙料の支持性を向上さ
せ、走行面側においては効率的に紙料の脱水をすること
ができる。また、第5層緯糸25は、経糸9本分の長い
クリンプを有していることから、走行面側の組織を疎に
して紙料の水分を効率的に脱水しつつ、製紙用織物の寿
命を延長することができる。更に、上記(a)におい
て、21の番号を付した四角マスにおいて、空欄の四角
マスが6個続いていることから判るように、製紙面側の
第1層緯糸21は、上部へ突出した経糸6本分のクリン
プを有している。これにより、製紙面側で紙料を支持す
る第1層緯糸21の浮きを多くし、紙料の支持性を向上
させて表面性に優れた紙を効率的に抄造することができ
る。
【0023】図2の製紙用織物1Bでは、(b)に示す
ように、上記図1の製紙用織物1Aと比較して、第2層
緯糸22において、経糸3が平組織で織込まれている
(図2の第2層緯糸22の点線四角で囲んだ箇所)とい
う特徴を有する。かかる構成とすることにより、第1層
緯糸21〜第5層緯糸25の拘束を強くすることができ
る結果、本実施例の製紙用織物同士の接合部の強度を向
上させることができる。
【0024】図3の製紙用織物1Cでは、(b)に示す
ように、上記図2の製紙用織物1Bと比較して、第3層
緯糸23と第4層緯糸24の間に経糸3を通過させると
いう織込みパターンを採用している。かかる構成とする
ことにより、図2の製紙用織物1Bと比較して、第3層
緯糸23と第4層緯糸24の二重性を良好に保つことが
でき、ひいては本発明の特徴である経糸一重緯糸五重構
造構造を維持することができる。
【0025】図4の製紙用織物1Dは、経糸12本で完
全組織を構成している。そして、(b)に示すように、
奇数番号の経糸3は、第5層緯糸25を一箇所で織込ん
でいるのに対し、偶数番号の経糸3は第4層緯糸23ま
でのみ織込んでいる完全組織である。また、完全組織中
の緯糸の込数は、第1層緯糸21が12本、第1層補助
緯糸211が12本、第2層緯糸22が12本、第3層
緯糸23〜第5層緯糸25がそれぞれ各6本である。更
に、第1層緯糸21と第2層緯糸22は比較的二重性が
保たれている構成であるのに対し、第3層緯糸23〜第
5層緯糸25は、それぞれ直上の緯糸に対して最大緯糸
1本分、縦方向にずれて配置され、若干三重性が緩和さ
れている構成である。即ち、製紙面側は緻密な組織と
し、走行面側は疎な組織となる構成である。これによ
り、製紙面側で平滑性及び紙料の支持性を向上させ、走
行面側においては効率的に紙料の脱水をすることができ
る。また、第5層緯糸25は、経糸11本分の長いクリ
ンプを有していることから、走行面側の組織を疎にして
紙料の水分を効率的に脱水しつつ、製紙用織物の寿命を
延長することができる。更に、上記(a)において、2
1の番号を付した四角マスにおいて、空欄の四角マスが
6個続いていることから判るように、製紙面側の第1層
緯糸21は、上部へ突出した経糸6本分のクリンプを有
している。これにより、製紙面側で紙料を支持する第1
層緯糸21の浮きを多くし、紙料の支持性を向上させて
表面性に優れた紙を効率的に抄造することができる。
【0026】図5の製紙用織物1Eでは、(b)に示す
ように、上記図4の製紙用織物1Dと比較して、第2層
緯糸22において、経糸3が平組織で織込まれている
(図5の第2層緯糸22の点線四角で囲んだ箇所)とい
う特徴を有する。かかる構成とすることにより、第1層
緯糸21〜第5層緯糸25の拘束を強くすることができ
る結果、本実施例の製紙用織物同士の接合部の強度を向
上させることができる。
【0027】図6の製紙用織物1F及び図7の製紙用織
物1Gは、図6及び図7の(b)に示すように、完全組
織中の緯糸の込数は、第1層緯糸21が12本、第1層
補助緯糸211が12本、第2層緯糸22が12本、第
3層緯糸23が6本、第4層緯糸24が6本、第5層緯
糸25が3本である。即ち、第4層緯糸24の込数と第
5層緯糸25の込数の比が2:1であり、図4及び図5
の製紙用織物1D及び1Eと比較して、走行面側がより
疎な組織となる構成である。これにより、製紙面側で平
滑性及び紙料の支持性を向上させつつ、走行面側におい
ては更に効率的に紙料の脱水をすることができる。ま
た、図7の製紙用織物1Gでは、図5の製紙用織物1E
と同様に、第2層緯糸22において、経糸3が平組織で
織込まれている(図7の第2層緯糸22の点線四角で囲
んだ箇所)という特徴を有する。かかる構成とすること
により、第1層緯糸21〜第5層緯糸25の拘束を強く
することができる結果、本実施例の製紙用織物同士の接
合部の強度を向上させることができる。
【0028】(2)実施例と比較例の製紙用織物の空隙
量の比較 比較例の製紙用織物として、上記第1層緯糸21、第1
層補助緯糸211、第2層緯糸22及び第3層緯糸23
と、経糸10本で完全組織を構成する、従来より使用さ
れている経糸一重緯糸三重構造の製紙用織物(比較例)
を製造し、これと図1の経糸一重緯糸五重構造の製紙用
織物(実施例)の厚さ及び空隙量(cc/m2)を求め
て比較検討した。空隙量の測定は、上記実施例及び比較
例の製紙用織物をそれぞれ1mづつ使用し、この製紙用
織物の厚さを測定し、この厚さから求められる製紙用織
物の体積から、目付と素材の比重より計算した糸自体の
体積の合計を差し引くことにより求めた。
【0029】その結果、比較例である従来の経糸一重緯
糸三重構造の製紙用織物では、厚さが0.888mmで
あり、空隙量は466cc/m2であった。これに対
し、実施例である図1の経糸一重緯糸五重構造の製紙用
織物では、厚さ1.1mmであり、空隙量は587cc
/m2であった。この結果より、実施例の経糸一重緯糸
五重構造の製紙用織物では、空隙量が従来品と比較して
1.25倍程度増加する結果、抄紙スピードの増加に伴
う水量の増加に対応することができ、これにより、従来
品と比較して、脱水負荷の低減、走行負荷の低減を図る
ことができる。また、実施例の経糸一重緯糸五重構造の
製紙用織物は、線径0.22mmの第4層緯糸及び第5
層緯糸を用いて五重構造としているにもかかわらず、第
3層緯糸〜第5層緯糸の三重性を意図的に緩和すること
により、織物の厚さを理論上の厚さである1.328m
m(0.888+0.22×2)よりも薄い1.1mm
とすることができる。
【0030】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。
【0031】
【発明の効果】本発明の経糸一重緯糸五重構造の製紙用
織物は、上下5層に配置された第1層緯糸、第2層緯
糸、第3層緯糸、第4層緯糸及び第5層緯糸と、これら
緯糸を織り成す一重の経糸とからなり、該経糸n本
(n:10又は12)で完全組織とする構成を採用する
ことにより、従来の製紙用織物と比較して、平滑性、紙
料支持性、及び接合部の強度を向上させることができる
と共に、優れた脱水性を有し、製紙用織物の寿命延長を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の製紙用織物1Aの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図2】実施例の製紙用織物1Bの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図3】実施例の製紙用織物1Cの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図4】実施例の製紙用織物1Dの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図5】実施例の製紙用織物1Eの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図6】実施例の製紙用織物1Fの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【図7】実施例の製紙用織物1Gの完全意匠図(a)及
び縦断面模式図(b)である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G;製紙用織
物、21;第1層緯糸、211;第1層補助緯糸、2
2;第2層緯糸、23;第3層緯糸、24;第4層緯
糸、25;第5層緯糸、3;経糸。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下5層に配置された第1層緯糸、第2
    層緯糸、第3層緯糸、第4層緯糸及び第5層緯糸と、こ
    れら緯糸を織り成す一重の経糸とからなり、該経糸n本
    (n:10又は12)で完全組織を構成し、上記経糸
    は、製紙面側では第1層緯糸を少なくとも一回織込み、
    走行面側では第5層緯糸を少なくとも一回織込んでいる
    ことを特徴とする経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  2. 【請求項2】 上記完全組織の中で、上記第1層緯糸〜
    第5層緯糸と経糸の織込みパターンが交互に入れ替わる
    請求項1記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  3. 【請求項3】 上記完全組織の中で、上記第5層緯糸は
    経糸n−1本分(n:10又は12)のクリンプを有す
    る請求項1又は2記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用
    織物。
  4. 【請求項4】 上記完全組織の中で、上記第1層緯糸が
    経糸6本分のクリンプを有する請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  5. 【請求項5】 上記経糸が、上記第1層緯糸の上面から
    上記第3層緯糸と上記第4層緯糸の間で織込んで上記第
    3緯糸においてナックル部を有し、続いて、上記第1層
    緯糸と上記第2層緯糸の間で織込んで上記第2緯糸にお
    いてナックル部を有し、続いて、上記第5層緯糸の下面
    で織込んで上記第5緯糸においてナックル部を有する請
    求項1乃至4のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造
    の製紙用織物。
  6. 【請求項6】 上記第1層緯糸と上記第2層緯糸の込数
    の比率が、(2〜4):1である請求項1乃至5のいず
    れかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  7. 【請求項7】 上記第2層緯糸と上記第3層緯糸の込数
    の比率が、(1〜2):(2〜1)である請求項1乃至
    6のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織
    物。
  8. 【請求項8】 上記第3層緯糸と上記第4層緯糸の込数
    の比率が、(1〜2):1である請求項1乃至7のいず
    れかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  9. 【請求項9】 上記第4層緯糸と上記第5層緯糸の込数
    の比率が、(1〜2):1である請求項1乃至8のいず
    れかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  10. 【請求項10】 上記第3層緯糸と上記第4層緯糸の線
    径の比率が、1:(1〜2)である請求項1乃至9のい
    ずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  11. 【請求項11】 上記第4層緯糸と上記第5層緯糸の線
    径の比率が、1:(1〜2)である請求項1乃至10の
    いずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造の製紙用織物。
  12. 【請求項12】 上記第3層緯糸が上記第2層緯糸に対
    して縦方向に0.1〜1本分ずれて織込まれている請求
    項1乃至11のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造
    の製紙用織物。
  13. 【請求項13】 上記第4層緯糸が上記第3層緯糸に対
    して縦方向に0.1〜1本分ずれて織込まれている請求
    項1乃至12のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造
    の製紙用織物。
  14. 【請求項14】 上記第5層緯糸が上記第4層緯糸に対
    して縦方向に0.1〜1本分ずれて織込まれている請求
    項1乃至13のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重構造
    の製紙用織物。
  15. 【請求項15】 上記第1層緯糸乃至第5層緯糸のうち
    の少なくとも1本が上記経糸と1回平組織で織込まれる
    請求項1乃至14のいずれかに記載の経糸一重緯糸五重
    構造の製紙用織物。
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