JP2001247100A - アブレータ - Google Patents
アブレータInfo
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Abstract
剤が不要なアブレータ構造を提供する。 【解決手段】 アブレータ10は宇宙往還機の高温加熱
部位に用いられる。アブレータ10は、基材13の表面
13a側に、所定の含浸厚さだけ樹脂14を高密度に含
浸して形成される。基材13は、機体の断熱材であるセ
ラミックタイルであり、樹脂14を溶媒15で希釈した
溶液16に、基材13の表面13a側を浸漬し、真空環
境下に置くことで樹脂14を所定の含浸厚さだけ、高密
度に含浸させる。高密度で樹脂14が含浸することによ
り、再突入時の表面損耗が低下する。表面側13aと裏
面側13bを接着剤で接着する必要がなく、軌道上にお
いて安定した排熱機能を保持できる。
Description
熱防護材に用いられるアブレータに関する。
熱防護材としてアブレータが用いられる。アブレータ
は、大気圏再突入時の高温加熱時に、それ自身が炭化、
溶融、昇華することにより、機体内部が高温になること
を防ぐ。
を与えないように、アブレータの表面損耗を設計値以下
に抑えることが要求される。このためには、アブレータ
を高密度化する必要があり、その結果、アブレータの重
量が増加する。従来の含浸タイプのアブレータでは、基
材に樹脂を含浸させる際に、溶媒によって樹脂を希釈し
た含浸溶液を準備し、十分な量の溶液中に基材を浸す。
含浸溶液は毛細管現象により基材中に均一に含浸され、
この後、乾燥により溶媒を揮発させてアブレータを完成
させる。
けた断熱材の上に、アブレータが接着される。再突入前
の地球周回軌道においては、熱サイクルによってアブレ
ータと断熱材の接着面も−100〜+100℃程度の熱
サイクルを受けることとなる。また、惑星探査ミッショ
ン等の場合、太陽に面している部分はさらに高温となる
が、それと逆の面は極低温となることが予測され、この
際に−200〜+100℃の温度勾配ができることとな
る。
は、アブレータの密度に依存し、高密度にするほど表面
損耗が小さくなる。しかし上述のアブレータの製造方法
では、表面損耗要求を満足するような高密度で全体が均
一に含浸され、アブレータの重量が増加する。
の熱サイクルおよび−200〜+100℃の温度勾配を
受けるような環境下では、現状のエポキシ系接着剤を用
いているアブレータと断熱材の接着部分において、接着
剤が劣化することにより、要求される排熱機能が損害さ
れる可能性がある。
熱材の接着剤を必要としないアブレータ構造を提供する
ことである。
は、機体の外表面に設けられ、高温加熱時にそれ自身が
炭化、溶融、昇華することにより、機体内部が高温にな
ることを防ぐアブレータにおいて、剛性を有する多孔質
材料である基材の外方に臨む表面側のみに、高密度に樹
脂が含浸されることを特徴とするアブレータである。
に高密度に含浸されることにより、再突入時の表面損耗
が同じであって、従来のアブレータより重量を軽くする
ことが可能であり、逆に、基材と樹脂とを含むアブレー
タ全体の重量を従来のアブレータと同じとして、再突入
時の表面損耗を小さくすることが可能である。
釈した溶液に、基材の表面側を浸漬し、低圧環境下に置
くことで、基材の表面側のみに樹脂を高密度に含浸させ
ることを特徴とする。
漬し、低圧、たとえばほぼ真空にすることにより樹脂を
含浸させることができる。この際、浸漬する含浸溶液の
量を調整することで、含浸厚さ、つまり表面から樹脂が
含浸する厚さを容易に調整することができるとともに、
含浸溶液の樹脂濃度を調整することにより含浸部分の密
度を調整することができる。またこれらの含浸作業を繰
返すことにより、より高密度に樹脂を含浸することがで
きる。
ミックタイルであることを特徴とする。
してセラミックタイルが用いられており、セラミックタ
イルによって外表面が覆われる。その中で、エレボン端
部等の高加熱率部位にアブレータが取付けられる。その
ため、アブレータの基材をセタミックタイルとすること
で、機体の取付方法等もその他のセタミックタイル取付
と同様の方法で適用でき、宇宙往還機のアブレータの基
材としては最適である。
填材を基材に含浸させることを特徴とする。
度であり、樹脂とともにカーボン等の充填材を含浸によ
って充填させることにより、基材の表面側をより高密度
とすることができ、性能向上をはかることができる。
あるアブレータ10を示す断面図である。本実施形態の
アブレータ10は、宇宙往還機の高加熱部位であるエレ
ボン端部に用いられる。エレボン端部は、翼に対してわ
ずかな隙間をあけて対向して配置されるので、再突入時
に非常に高温となる。宇宙往還機の機体の外表面は断熱
材で覆われるが、高加熱部位のみ断熱材だけでなく、ア
ブレータが設けられる。
構体であり、エポキシ樹脂などの接着剤12によってア
ブレータ10が貼付けられる。アブレータ10は、多孔
質材料からなり、密度0.2g/cm程度で、厚さ50
mm程度の基材13に対し、外方に臨む表面13a側に
所定の含浸厚さ、たとえば5〜20mm程度で、所定の
高密度で、たとえば0.7g/cm3以上、好ましく
は、1.0〜1.5g/cm3程度で樹脂14を含浸さ
せて製造する。
して使用される中密度セラミックタイルを用いる。つま
り、本発明のアブレータ1は、断熱材とアブレータとが
一体化した構造となる。セラミックタイルは、シリカ繊
維とアルミナ繊維とを有機または無機のバインダを用い
て成形して形成される。基材としてはこのようなセラミ
ックタイルに限らず、たとえば、アルミナ繊維、カーボ
ン繊維、炭化珪素繊維、ジルコニア繊維などを有機また
は無機のバインダによって成形して形成したものであっ
ても良い。また、基材の他の形態として、カーボンまた
は炭化珪素などのフォーム材から形成したものであって
も良い。
シリコン樹脂、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂を用
いる。本実施形態では、珪素(Si)を含み、炭化後の
表面損耗の低いシリコン樹脂を用いる。次に、図2を参
照してアブレータ10の製造方法の一例について説明す
る。
5で希釈し、含浸溶液16を準備する。ここで、準備す
る溶液の量は、予め定める含浸厚さ、つまりアブレータ
10の外方に臨む表面13aからの樹脂の厚さ、および
基材13の形状、仕様などに基づいて決定する。なお、
計算方法に関しては後述する。 (2)基材13を、表面側13aを下にして、ビーカ2
0の含浸溶液16に浸漬する。 (3)基材13を浸漬したビーカ20をベルジャー22
内に挿入し、密閉して真空ポンプ23で真空引きする。
また、ビーカ20には、所定の含浸厚さに対応した量の
溶液16のみあるので、所定の含浸厚さまで溶液16を
含浸すると、余剰な含浸溶液16がなくなるため、それ
以上は含浸されない。つまり、溶液16は浸漬される基
材13の表面13a側に所定の厚さだけ含浸され、裏面
13b側までは含浸されない。またさらに、大気圧下で
含浸させるより短時間で樹脂14を含浸させることがで
きる。 (4)ビーカ13内の溶液16がほぼ全て基材13に含
浸されると、真空引きを終了し、バルブ24を開いてベ
ルジャー22内の大気開放を行う。 (5)溶液16を含浸した基材13をビーカから取り出
し、恒温槽25に挿入して乾燥させる。すなわち、溶媒
15を揮発させる。 (6)溶媒15が完全に揮発すると、恒温槽25から取
り出し、アブレータ10が完成する。
さだけ高密度に樹脂14を含浸し、断熱材と樹脂14と
が一体となったアブレータ10が得られる。
含浸されることにより、前述した従来技術のアブレータ
と全体の重量をほぼ同じとして、再突入時の表面損耗を
低下させることができる。また、従来は基材13と樹脂
14のアブレータ部分と基材13のみの断熱材部分を接
着剤により固定していたが、これを共通の基材とするこ
とで接着剤が不要となる。
14の密度によって決まり、密度が高いほど、再突入時
の表面損耗を低減することができる。したがって、たと
えば多孔質材料である基材13の空隙率が高く、樹脂1
4を含浸させただけでは充分な密度を得られない場合に
は、たとえばカーボンまたは炭化珪素などの充填材を含
浸させ、密度をさらに高くしてもよい。この場合、充填
材を溶液16に混入して、樹脂14とともに基材13に
充填材を含浸させる。
方法について説明する。まず、ここで用いる基材の形
状、仕様は以下のとおりであるものとする。(図3参
照) 直径:D=4cm 長さ:L=4.5cm 密度:ρt=0.19g/cm3 空隙率:B=92vol%
とする。 樹脂密度:ρr=1.0g/cm3 含浸部分密度:ρi=0.9g/cm3 含浸厚さ:Li=2.0cm
r]は、以下のとおりである。 Mr=ρi×Vi−ρt×Vi (Vi:含浸部分の容積[cm3]) =(ρi−ρt)×Vi =(ρi−ρt)×πD^2/4×Li =17.8[g]
のとおりである。 Vr=Mr/ρr =17.6[cm3]
[Vb]は以下のとおりある。 Vb=Vi×B =πD^2/4×Li×B =23.1[cm3]
中に必要な樹脂を含浸することが可能である。
4は溶媒15(トルエン)で希釈して含浸するものとす
る。 溶媒の重量分率:ws=50wt% 溶媒密度:ρs=0.87g/cm3 溶媒の重量:Ms=17.8[g] 樹脂希釈後の溶液16の容積は約2倍となるため、溶液
16を半分に分け、含浸作業を2回実施する。つまり、
半分の量で含浸、乾燥後、再度含浸作業を行う。なお、
希釈する際の溶媒15の比率は、樹脂の種類および充填
材の有無によって異なる。
[B’]は、以下のようになる。
る。
10は宇宙往還機のエレボン端部に用いられ、再突入時
の加熱条件は以下のとおりである。 (a)温壁加熱率:約0.6MW/m2(約1600
℃) (b)動圧:数kPa (c)加熱時間:約1200秒
であることが要求条件となっている。図4に、大気圧下
で基材全体に樹脂14を含浸させた従来のアブレータ
と、本発明のアブレータ10との性能比較を示す。
度(cm/sec)であり、横軸は、表面温度であり、ラ
インL1は、約1600℃であり、ラインL2は、表面
損耗目標値、2.7×10E−4(cm/s)である。
つまり、要求される性能は、ラインL1より高く、ライ
ンL2より低くなる範囲である。
の性能を示す範囲であり、領域Bが、本発明のアブレー
タ10の性能を示す範囲である。それぞれ複数種類のア
ブレータの実験結果が含まれる範囲を示したものであ
る。
では、ほぼ要求条件を満足していることが分かる。ま
た、領域A,Bを比べて分かるように、条件によっては
従来のアブレータに比べて、表面損耗を1/10以下に
抑えることができる。
填材を加えていないので、充填材を加え、さらに高密度
とすることで、さらに性能を向上し、確実に要求条件を
満足することが可能である。
宙往還機に適用する場合について説明したが、本発明は
このような形態に限らず、回収カプセルなどの機体のア
ブレータに適用することも可能である。
る断熱材に樹脂を含浸させてアブレータを形成すること
によって、アブレータと樹脂とを一体化し、断熱材にア
ブレータを接着する必要がなくなる。また、樹脂は基材
の表面側のみに高密度に含浸されることによって、アブ
レータの表面損耗を低下させることができる。
ことにより、基材の表面側のみに高密度に樹脂を含浸さ
せることができる。
イルが用いられるので、セラミックタイルの基材は宇宙
往還機のアブレータとして最も好適である。
とにより、含浸部の密度をさらに高くし、高温加熱時の
表面損耗をさらに低減することができる。
の性能を比較するグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 機体の外表面に設けられ、高温加熱時に
それ自身が炭化、溶融、昇華することにより、機体内部
が高温になることを防ぐアブレータにおいて、剛性を有
する多孔質材料である基材の外方に臨む表面側のみに、
高密度に樹脂が含浸されることを特徴とするアブレー
タ。 - 【請求項2】 樹脂を溶媒に希釈した溶液に、基材の表
面側を浸漬し、低圧環境下に置くことで、基材の表面側
のみに樹脂を高密度に含浸させることを特徴とする請求
項1記載のアブレータ。 - 【請求項3】 前記基材は、セラミックタイルであるこ
とを特徴とする請求項1または2記載のアブレータ。 - 【請求項4】 樹脂とともに充填材を基材に含浸させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の
アブレータ。
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JP2000062250A JP3559797B2 (ja) | 2000-03-07 | 2000-03-07 | アブレータ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015156368A1 (ja) * | 2014-04-10 | 2015-10-15 | 三菱重工業株式会社 | アブレータ及び再突入機並びにそれらの製造方法 |
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- 2000-03-07 JP JP2000062250A patent/JP3559797B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2015202701A (ja) * | 2014-04-10 | 2015-11-16 | 三菱重工業株式会社 | アブレータ及び再突入機並びにそれらの製造方法 |
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