JP2001245669A - 新規シチジンデアミナーゼ - Google Patents
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Abstract
ン遺伝子のクラススイッチ組換え、体細胞超変異(soma
tic hypermutation)及びアフィニティーマチュレーシ
ョン(affinity maturation)のような胚中心機能(ger
minal center function)に特有な遺伝子修飾(genetic
editing)において重要な役割を担い、種々の免疫性疾
患の発症に関与すると考えられる新規RNA修飾デアミナ
ーゼ、該酵素をコードするDNA、並びに該酵素に対する
抗体を提供する。 【解決手段】 サイトカインの刺激による細胞の活性化
に伴い極めて高い割合でIgMからIgAへのクラススイッチ
組換えを起こすマウスB細胞クローンCH12F3-2につい
て、刺激を与えた該B細胞と未刺激の該B細胞の場合の
各々についてcDNAライブラリーを作製し、これらを用い
てサブトラクションクローニングを行うことにより、RN
A編集酵素の1つであるAPOBEC-1と構造的な関連性を有
し、APOBEC-1と同様のシチジンデアミナーゼ活性を有す
るAID(Activation-Induced cytidineDeaminase)と命
名した新規タンパクをコードする遺伝子を見出した。
Description
ーゼ活性を有する新規タンパク及びその断片、該タンパ
クをコードするDNA及びその断片(cDNA、ゲノミック
DNA、及びプライマーDNA)、該DNAを含む発現ベクタ
ー、該発現ベクターで形質転換された形質転換細胞、該
タンパク若しくはその断片に反応性を有する抗体、該抗
体を産生する細胞、並びに該タンパクの産生、該タンパ
クをコードする遺伝子のmRNAへの転写、若しくは該タン
パクの酵素活性を調節する物質を同定する方法に関す
る。
は、抗原特異的記憶B細胞(antigen specific memory c
ell)や長命形質細胞(long-lived plasma cell)への
成熟の最終過程に必要な極めて特殊化した微小環境を構
成する(Embo J., Vol.16, No.11, p.2996-3006, 199;
Semin. Immunol., Vol.4, No.1, p.11-17, 1992)。こ
の微小環境では、免疫グロブリンの遺伝子情報の2つの
主要な編集が起こることが知られている(J. Exp. Me
d., Vol.173, No.5, p.1165-1175, 1991; Embo. J.,Vo
l.12, No.13, p.4955-4967, 1993; Adv. Exp. Med. Bio
l., Vol.186, p.145-151, 1985; Nature, Vol.342, No.
6252, p.929-931, 1989; Cell, Vol.67, No.6,p.1121-1
129)。
ation)(Curr. Opin. Immunol., Vol.7, No.2, p.248-
254, 1995; Annu. Rev. Immunol., Vol.14, p.441-457,
1996; Science, Vol.244, No.4909, p.1152-1157, 198
9)で免疫グロブリンの可変領域をコードするエクソン
遺伝子に、広範囲に点変異(point mutation)が起こる
現象である。この点変異の蓄積により、細胞表面上に高
親和性の免疫グロブリンを発現するB細胞の選別並びに
それに伴う抗体の親和性成熟(affinity maturation)
が生じる(Embo. J., Vol.4, No.2, p.345-350, 1985;
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.85, No.21, p.8206-
8210, 1988)。その結果、免疫グロブリン遺伝子は、新
たな機能的遺伝子として編集される。
s switch recombination; CSR)である。この組換え
は、免疫グロブリンの重鎖定常領域をコードするエクソ
ンを取り替えることにより、補体結合(complement fix
ation)のような抗体のエフェクター機能を選択するもの
である(Curr. Top. Microbiol. Immunol., Vol.217,
p.151-169, 1996; Annu. Rev. Immunol., Vol.8, p.717
-735, 1990)。これら2つのタイプの遺伝子編集(genet
ic editing)は、有害な微生物を除去するための有効な
液性免疫応答にとって極めて重要である。これらの遺伝
子的事象の分子メカニズムは、数十年にわたる精力的な
研究にも拘らず未だ解明されていない。
イッチの分子メカニズムを解明するための研究ツールと
してマウスB細胞クローンCH12F3-2を単離した。このB
細胞株では、IL-4、TGF-β及びCD40Lによる刺激の数時
間後にIgMからIgAへのクラススイッチ組換え(CSR)が
始まり、最終的に80%以上の細胞がIgA陽性に至る(Imm
unity, Vol.9, p.1-10, 1998; Curr. Biol., Vol.8, N
o.4, p.227-230, 1998;Int. Immunol., Vol.8, No.2,
p.193-201, 1996)。
て、本発明者らはさらにクラススイッチ組換えの切断点
(breakpoint)が、スイッチ領域(switch region; S r
egion)と称される特徴的な反復配列にだけでなく、そ
の隣接配列中にも分布することを報告してきた(Curr.
Biol., Vol.8, No.4, p.227-230, 1998)。しかしなが
ら、該切断点は、スイッチ領域の上流にあるIエクソン
及び下流にあるCエクソン中には、希であった。また、
これまでに蓄積された科学的証拠により、Iエクソン及
びCエクソンの転写並びに該転写物のスプライシングが
クラススイッチ組換えに必須であるということが示され
ている(Cell, Vol.73, No.6, p.1155-1164, 1993; Sci
ence, Vol.259, No.5097, p.984-987, 1993; Proc. Nat
l. Acad.Sci, USA, Vol.90, No.8, p.3705-3709, 1993;
Cell, Vol.81, No.6, p.833-836, 1995)。
て該転写物が直接的または間接的に関与していることを
示唆するものである。このことから本発明者らは、クラ
ススイッチは、スイッチ領域の塩基配列が認識されるの
ではなく、DNAとRNAの複合体の構造が認識することによ
り開始されるとの理論を提唱するものである。この考え
方は、前記マウスB細胞クローンCH12F3-2にミニ染色体
を導入することによりSα領域をSε領域またはSγ領
域に置き換えた場合であっても、該細胞はサイトカイン
の刺激によりミニ染色体におけるクラススイッチ組換え
を効率的に起こすという事実によってさらに裏付けられ
る(Immunity, Vol.9, p.1-10, 1998)。
イプの遺伝子編集(genetic editing)であるRNA編集
が、限られたゲノムから機能的な遺伝子を生み出すため
の手段として広く用いられる(Cell, Vol.81, No.6, p.
833-836, 1995; Cell, Vol.81,No.6, p.837-840, 199
5)。例えば、哺乳動物ではアポリポプロテインB(apo
B)、AMPA受容体、Wilms tumor-1、αガラクトシダーゼ
及びnurofibromatosis type-1のmRNA並びにtRNA-Aspな
ど非常に多くの分子のmRNAの編集が報告されている(T
rends Genet., Vol.12, No.10, p.418-424, 1996; Cur
r. Opin. Genet. Dev., Vol.6, No.2, p.221-231, 199
6)。哺乳動物のRNA編集の分子メカニズムは未だ解明さ
れていないが、APOBEC-1(apolipoprotein B mRNA edit
ing enzyme,catalytic polypeptide-1)により行われる
apoBのmRNAの編集については次第に解明されつつある
(Science, VOl.260, No.5115, p.1816-1819, 1993; J.
Biol.Chem., Vol.268, No.28, p.20709-20712, 199
3)。
ミンをコードするコドンCAAの最初の塩基C(シトシン)
が脱アミノ化反応によりU(ウリジン)に変換されるこ
とによりUAAに改変される。その結果、apoBのmRNA中に
in-frameストップコドンが作られる(J. Cell., Vol.8
1, No.2, p.187-195, 1995; J. Cell., Vol.50, No.6,
p.831-840, 1987; Science, Vol.238, No.4825, p.363-
266, 1987)。apoB-100及びapoB-48は、各々編集された
apoBのmRNA及び未編集のmRNAの翻訳物であり、これらの
蛋白は、各々全く異なった生理学的機能を有する(J. B
iol. Chem., Vol.271, No.5, p.2353-2356, 1996)。
specific RNA-editing)には、補助因子(auxiliary fa
ctor)が必要とされる(Science, VOl.260, No.5115,
p.1816-1819, 1993; J. Biol. Chem., Vol.268, No.28,
p.20709-20712, 1993)。補助因子がない場合には、AP
OBEC-1は、シチジンデアミナーゼ活性を示すだけであ
り、RNAに対しては非特異的な低い親和性しか有しない
(J. Biol. Chem., Vol.268, No.28, p.20709-20712, 1
993; J. Cell., Vol.81, No.2, p.187-195, 1995; J.
Biol. Chem., Vol.270, No.24, p.14768-14775, 1995;
J. Biol. Chem., Vol.270, No.24, p.14762-14767, 199
5)。該補助因子の発現及び活性は、apoBのmRNAの編集
が起こっている臓器でだけでなく、APOBEC-1を検出不能
なレベルでしか発現していない臓器あるいはapoBのmRNA
の編集が起こっていない臓器においても見られる(Scie
nce, VOl.260, No.5115, p.1816-1819, 1993; J. Biol.
Chem., Vol.268, No.28, p.20709-20712, 1993; Nucle
ic Acids Res., Vol.22, No.10, p.1874-1879, 1994; P
roc Natl. Acad. Sci, USA, Vol.91, No.18, p.8522-85
26, 1994; J. Biol. Chem., Vol.269, No.34, p.21725-
21734, 1994)。
因子の予期せぬ発現は、該補助因子がより一般的な細胞
性機能に関与するか、あるいは他の未知のRNAの編集に
関与する可能性を暗示するものである。免疫グロブリン
に係る遺伝子編集であるクラススイッチ組換え(CSR)
及び超変異(hypermutation)はRNA編集により行われて
いる可能性を有することから、上述した免疫グロブリン
遺伝子の遺伝子編集においてRNA編集が起こっているか
否かを明らかにすることは非常に興味深い。
素の1つであるAPOBEC-1と構造的な関連性を有し、免疫
グロブリン遺伝子の遺伝子編集などが起こる胚中心B細
胞でのRNA編集に関与する新規なシチジンデアミナーゼ
であるAID(Activation-Induced cytidine Deaminas
e)、並びに該酵素をコードするDNAを提供するものであ
る。
ブリン遺伝子の主要な遺伝子編集の一つであるクラスス
イッチ組換え(CSR)に関与する新規遺伝子について鋭
意探索した結果、サイトカインの刺激による細胞の活性
化に伴い極めて高い割合でIgMからIgAへのクラススイッ
チ組換えを起こすことが証明されているマウスB細胞ク
ローンCH12F3-2について、刺激を与えた該B細胞と未刺
激の該B細胞の場合の各々についてcDNAライブラリーを
作製し、これらを用いてサブトラクションクローニング
を行うことにより、RNA編集酵素の1つであるAPOBEC-1
と構造的な関連性を有し、APOBEC-1と同様のシチジンデ
アミナーゼ活性を有するAID(Activation-Induced cyti
dine Deaminase)と命名したマウス及びヒト由来の新規
タンパクをコードする遺伝子を見出した。
徴を有し、B細胞の活性化の制御、並びに免疫グロブリ
ン遺伝子のクラススイッチ組換え、体細胞超変異(soma
tichypermutation)及びアフィニティーマチュレーショ
ン(affinity maturation)のような胚中心機能(germi
nal center function)に特有な遺伝子修飾(genetic e
diting)において重要な役割を担うRNA修飾デアミナー
ゼであると考えられる。
算上の分子量が約24kDaと算出される198個のアミノ酸か
ら構成される(マウス:配列番号2、及びヒト:配列番
号8)。マウスAID蛋白はSDS-PAGEによると約28kDaを示
す。 (2) AID蛋白のORFのアミノ酸配列は、APOBEC-1(apolip
oprotein B mRNA editing enzyme, catalytic polypept
ide-1)とマウス由来の蛋白では34%、ヒト由来の蛋白
では約26%のアミノ酸同一性を有する。 (3) AID蛋白は、シトシン ヌクレオシド/ヌクレオチド
デアミナーゼ ファミリー(cytosine nucleoside/nucl
eotide deaminase family)に属する蛋白のアミノ酸配
列中に保存されているデアミナーゼ活性の活性中心であ
るシチジン/デオキシシチジンデアミナーゼモチーフ(c
ytidine/deoxycitidine deaminase motif)を有してい
る。 (4) AID蛋白のシチジンデアミナーゼモチーフは、RNA編
集デアミナーゼのサブグループに近縁である。 (5) AID蛋白は、APOBEC-1と同様に、蛋白と蛋白との相
互作用に重要であると考えられているロイシンに富んだ
領域(Leucine-rich region)を有している。また、該A
ID蛋白のLeucine-rich region中の4つのロイシンは、
ウサギ、ラット、マウス及びヒトのAPOBEC-1のLeucine-
rich region中に保存されている。
がRNAに結合するための必須のアミノ酸残基であると報
告されている全てのアミノ酸残基(Phe66、Phe87、His6
1、Glu63及びCys93)が保存されている。 (7) AID蛋白は、APOBEC-1及びE.coli由来のシチジンデ
アミナーゼ(ECCDA)と同様に、C末端側にホモダイマー
を形成するための偽活性化部位ドメイン(pseudoactive
site domain)を有していた。AID蛋白は、ホモダイマ
ーを形成する可能性、または他の補助蛋白と会合する可
能性がある。 (8) AID蛋白は、濃度依存的なシチジンデアミナーゼ活
性を示す。このシチジンデアミナーゼ活性は、シチジン
デアミナーゼの特異的阻害剤であるテトラヒドロウリジ
ン(tetrahydrouridine, THU)により濃度依存的に阻害
される。また、AID蛋白のシチジンデアミナーゼ活性
は、亜鉛キレート化剤である1,10-o-phenanthrolineに
より阻害される一方で、その不活性型異性体である1,7-
o-phenanthrolineでは阻害が弱いことから、AID蛋白
は、APOBEC-1と同様に亜鉛依存的シチジンデアミナーゼ
であると考えられる。 (9) AID蛋白のmRNAは、リンパ節(mesenteric lymphnod
e)(腸管膜または扁桃腺)で強い発現が見られる。ま
た、脾臓でも弱い発現が見られる。 (10) AID蛋白のmRNAの発現は、胸腺以外の各種リンパ性
組織(パイエル板(Peyer's patch)、腸管膜リンパ
節、腋窩リンパ節、脾臓、骨髄)で見られる。特に、リ
ンパ節やパイエル板などの末梢リンパ器官で顕著な発現
が見られる。一方、一次性リンパ器官での発現は該末梢
リンパ器官での発現と比べ低い。
β)による刺激によりIgMからIgAへのクラススイッチが
起こるマウスB細胞クローンCH12F3-2でのAID mRNAの発
現は、該サイトカインによる刺激がない場合には検出限
界程度であるが、サイトカインの刺激により、刺激後約
3時間で発現が誘導され、約12時間後に最大の発現が見
られる。 (12) マウスB細胞クローンCH12F3-2でのAID mRNAの発
現は、IL-4、CD40L及びTGF-βのいずれか1つのサイト
カインによる刺激に比べ、該3種類のサイトカインで刺
激した場合に強い発現が誘導される。また、このマウス
B細胞クローンCH12F3-2でのサイトカインによるAID mR
NAの発現誘導は、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミ
ドにより阻害されることから、AID mRNAの発現増強に
は、蛋白の新規合成(de novo synthesis)が必要であ
ると考えられる。 (13) in vitro試験においては、正常マウス脾臓B細胞
を、LPSのみ、LPS+IL-4、またはLPS+TGF-βで刺激する
とAID mRNAの発現増強が見られる。 (14) in vivo試験においては、正常マウスを、生体に投
与するとクローナル細胞増幅(clonal expansion)及び
胚中心形成(germinal center formation)を誘導し免
疫グロブリン遺伝子のクラススイッチ組換え及びアフィ
ニティーマチュレーションを引き起こすことが知られて
いる羊赤血球(SRBC)で免疫すると、免疫後5日目以降
にAID mRNAの有意な発現増強が見られる。 (15) SRBCによる免疫により誘導されるin vivoでのAID
mRNAの発現増強は、脾臓のCD19陽性B細胞で特異的に見
られる。 (16) リンパ性器官でのAID mRNAの発現誘導は、抗原に
よる刺激により活性化されたB細胞を多く含んでいる胚
中心で特異的に見られる。 (17) ヒトAID遺伝子は、APOBEC-1遺伝子のが存在する染
色体遺伝子座である12p13.1に近い、遺伝子座12p13に位
置する。
は、種々の疾患を惹起する引き金となる非自己抗原(外
来性抗原、自己反応性細胞など)を生体から排除するた
めの抗原特異的免疫グロブリン(特異性抗体)の生成に
必要な種々の生体メカニズムを制御する機能を有すると
考えられる。抗原に高い特異性を有する免疫グロブリン
の生成のメカニズムとしては、B細胞の活性化、免疫グ
ロブリン遺伝子のクラススイッチ組換え、体細胞超変異
(somatic hypermutation)及びアフィニティーマチュ
レーション(affinity maturation)のような胚中心機
能(germinal center function)が挙げられる。本発明
のAID蛋白は、そのような胚中心B細胞で起こる遺伝子
編集(genetic editing)(例えば、クラススイッチ組
換え、体細胞変異)において重要な役割を担う酵素の一
つと考えられる。
原特異的な活性化、クラススイッチ組換え、体細胞変異
などの胚中心B細胞機能不全を誘導し、体液性免疫不全
症を引き起こす原因となりうる。逆にAID蛋白の機能の
亢進は、不適切なB細胞の活性化や、不必要なクラスス
イッチ組換えや体細胞変異を来し、アレルギー疾患や自
己免疫疾患を引き起こす可能性がある。従って、本発明
のAID蛋白及びAID蛋白をコードする遺伝子の機能を制御
することにより、例えばB細胞の機能不全(例えば、Ig
A欠損症、IgA腎症、γグロブリン血症、高IgM血症な
ど)あるいは免疫グロブリンのクラススイッチの不全に
起因する種々の免疫不全症、自己免疫疾患またはアレル
ギーの予防並びに治療することが可能であると考えら
れ、本発明のAID蛋白及び該AID蛋白をコードする遺伝子
は、そのような疾患治療のための医薬品開発のターゲッ
トとなり得る。
る遺伝子の機能を制御することにより発症予防、病状の
軽減、治療及び/または対症療法効果が期待される疾患
としては、例えば、先天的な免疫系の異常を伴う原発性
免疫不全症候群、主としてBリンパ球の欠損、減少ある
いは機能異常により発症すると考えられている種々の免
疫不全症(例えば、伴性無γグロブリン血症、成長ホル
モン欠乏を伴う伴性無γグロブリン血症、IgM高値を伴
う免疫グロブリン欠乏症、選択的IgM欠損症、選択的IgE
欠損症、免疫グロブリン重鎖遺伝子欠失変異症、κ鎖欠
乏症、IgA欠乏症、IgGサブクラス選択的欠乏症、CVID
(common variable immunodeficiency)、乳児一過性低
γグロブリン血症、Rosen症候群、重症複合免疫不全症
(伴性、常染色体劣性)、ADA(adenosine deaminase)
欠損症、PNP(purine nucleoside phosphorylase)欠損
症、MHCクラスII欠損症、細網異形成症、Wiskott-Aldri
ch症候群、ataxia telangiectasia、DiGeorge症候群、
染色体異常、家族性Ig異化過多症、高IgE症候群、Gitli
n症候群、Nezelof症候群、Good症候群、骨異形成症、ト
ランスコバランミン症候群、セクレタリービース症候
群、など)、後天的な原因により引き起こされた免疫系
の傷害を伴う続発性免疫不全症候群(例えば、AIDSな
ど)であり抗体産生不全を伴う種々の疾患、及び/また
は種々のアレルギー性疾患(例えば、気管支喘息、アト
ピー性皮膚炎、結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー
性腸炎、薬剤性アレルギー、食品アレルギー、アレルギ
ー性じんましん、糸球体腎炎など)が挙げられる。即
ち、本発明のAID蛋白及びその断片、AID蛋白をコードす
るDNA及びその断片、並びにAID蛋白に対する抗体
は、そのような疾患の予防または治療のための医薬品開
発のための試薬として有用である。
機能を遺伝子レベルで制御するアンチセンス医薬品とし
て、また遺伝子治療での使用において有用である。該タ
ンパクまたはその断片(例えば、酵素活性部位)は、そ
れ自体医薬品として有用である。また、本発明のDNAの
一つである本発明のAIDタンパク(特にヒトAIDタンパ
ク)をコードするゲノミックDNAの塩基配列中の任意の
部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAは、ポリ
メラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCR)
におけるプライマーDNAとして有用である。該プライマ
ーDNAの一対を用いたPCRにより、本発明のAIDタンパク
(特にヒトAIDタンパク)をコードするゲノミックDNAの
任意の部分塩基配列を増幅することができる。例えば、
ある免疫不全症やアレルギーがAIDタンパクをコードす
るゲノミックDNA(特にエクソン)の塩基配列に変異あ
るいは欠失が原因であると推定される場合には、該プラ
イマーDNAの一対を用いたPCRにより免疫不全症患者また
はアレルギー患者の組織または細胞から取得したAIDタ
ンパクをコードするゲノミックDNAの任意の部分塩基配
列を増幅し、PCR産物の有無、大きさ及び該PCR産物の塩
基配列を解析し、該塩基配列と健常人由来のAIDタンパ
クをコードするゲノミックDNA中の対応塩基配列とを比
較することにより該ゲノミックDNA中の変異または欠失
を同定することができる。即ち、この方法は、例えば、
免疫不全症やアレルギー疾患とAIDタンパクとの関連性
を解明できるだけでなく、AIDタンパクがある種の疾患
(例えば、免疫不全症及び/またはアレルギー)の発症
の原因である場合には、上記の方法により該疾患の診断
が可能である。
抗体またはその一部は、AID蛋白の機能を制御すること
による抗体医薬品として極めて有用である。さらに、本
発明の遺伝子(DNA)、タンパク、及び抗体は、本発
明のタンパク(酵素)と相互作用(結合)する基質(例
えば、RNAなど)あるいは本発明のタンパクと会合する
他の補助蛋白の探索、並びに該基質や補助蛋白をターゲ
ットとした医薬品を開発するための試薬として有用であ
る。
哺乳動物(マウスなど)由来のAID蛋白の遺伝子情報を
もとに、それらの遺伝子を破壊(不活性化)することに
よりモデル動物を作成することが可能である。このモデ
ル動物の物理学的、生物学的、病理学的及び遺伝子的特
徴を分析することにより、本発明に係る遺伝子及びタン
パクの機能を解明することが可能となる。さらに、その
ようにして内在性遺伝子が破壊された該モデル動物、本
発明の態様の一つであるヒト由来のAID遺伝子あるいは
変異を有するヒト由来のAID遺伝子(例えば、免疫不全
患者由来の変異ヒトAID遺伝子)を導入することによ
り、本発明のヒト由来のAID遺伝子あるいは変異ヒトAID
遺伝子のみを有するモデル動物を作成することが可能で
ある。このモデル動物に、該導入されたヒト由来AID遺
伝子をターゲットとした薬剤(化合物、抗体等)を投与
することにより、その薬剤の治療学的効果を評価するこ
とが可能となる。さらに、本発明の他の一つである、本
発明のAID蛋白の産生若しくは該AID蛋白をコードする遺
伝子のmRNAへの転写を調節する物質、または該AID蛋白
の酵素活性(例えば、シチジンデアミナーゼ活性)を阻
害する物質を同定する方法は、上述のようなAID蛋白ま
たはAID遺伝子が関与すると考えられる種々の疾患(特
に、免疫不全症及び/またはアレルギー)を治療または
予防するための医薬品の開発する手段として極めて有用
である。
ノミックDNA、及びそれらの任意の断片)、タンパク、
発現ベクター、形質転換体、抗体医薬組成物、細胞、該
DNA断片のプライマーDNAとしての使用、並びにスク
リーニング方法を初めて提供するものである。 (1)配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ
酸配列を有するタンパクをコードするDNAまたはその
断片。 (2)該タンパクが、シチジンデアミナーゼ活性を有す
ることを特徴とする前記(1)に記載のDNAまたはそ
の断片。 (3)配列番号1または配列番号7に記載される塩基配
列を含むDNAまたはその断片。 (4)下記(a)または(b)の塩基配列を含むDNA
またはその断片: (a)配列番号1に記載される塩基配列の塩基番号93乃
至689の塩基配列;または、(b)配列番号7に記載さ
れる塩基配列の塩基番号80乃至676の塩基配列。 (5)下記(a)または(b)のいずれかのDNAまた
はその断片:(a)配列番号1に記載される塩基配列を
有するDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有する
タンパクの相同タンパクでありシチジンデアミナーゼ活
性を有する哺乳動物由来のタンパクをコードするDNA
またはその断片;または(b)配列番号7に記載される
塩基配列を有するDNAにストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズし、配列番号8に記載されるアミノ酸配
列を有するタンパクの相同タンパクでありシチジンデア
ミナーゼ活性を有する哺乳動物由来のタンパクをコード
するDNAまたはその断片。 (6)配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ
酸配列を有するタンパクまたはその断片。 (7)配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ
酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク
であって、シチジンデアミナーゼ活性を有するタンパク
またはその断片。 (8)下記(a)または(b)のいずれかのタンパク: (a)配列番号1に記載される塩基配列を有するDNA
にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDN
Aによってコードされるアミノ酸配列を有し、配列番号
2に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同タ
ンパクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳動
物由来のタンパク;または(b)配列番号7に記載され
る塩基配列を有するDNAにストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするDNAによってコードされるアミ
ノ酸配列を有し、配列番号8に記載されるアミノ酸配列
を有するタンパクの相同タンパクでありシチジンデアミ
ナーゼ活性を有する哺乳動物由来のタンパク。 (9)前記(1)乃至前記(5)のいずれかに記載のD
NA若しくはその断片を含む発現ベクター。 (10)前記(9)記載の発現ベクターで形質転換され
た形質転換細胞。 (11)前記(6)乃至前記(8)のいずれかに記載の
タンパクまたはその断片に反応性を有する抗体または該
抗体の一部。 (12)抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴
とする前記(11)記載の抗体または該抗体の一部。 (13)前記(11)または前記(12)記載の抗体若
しくは該抗体の一部及び薬学的に許容され得る担体を含
んでなる医薬組成物。 (14)前記(6)乃至前記(8)のいずれかに記載の
タンパクまたはその断片に反応性を有するモノクローナ
ル抗体を産生する細胞。 (15)該細胞が、モノクローナル抗体を産生する能力
を有する非ヒト哺乳動物由来のB細胞と哺乳動物由来の
ミエローマ細胞とを融合して得られる融合細胞であるこ
とを特徴とする前記(14)に記載の細胞。 (16)該細胞が、該モノクローナル抗体の重鎖をコー
ドするDNA若しくはその軽鎖をコードするDNAのい
ずれか一方のDNA、または両方のDNAが細胞内に導
入されることにより形質転換された遺伝子組換え細胞で
あることを特徴とする前記(15)に記載の細胞。 (17)下記(a)乃至(c)のいずれかの塩基配列を
含むゲノミックDNAまたはその断片: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列;または、 (c)配列番号35に記載される塩基配列。(18)下
記(a)乃至(e)のいずれかの塩基配列を含むゲノミ
ックDNAまたはその断片: (a)配列番号11に記載される塩基配列; (b)配列番号12に記載される塩基配列; (c)配列番号13に記載される塩基配列; (d)配列番号14に記載される塩基配列;または (e)配列番号15に記載される塩基配列。 (19)下記(a)乃至(h)のいずれかの塩基配列中
の任意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するDN
A: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列; (c)配列番号11に記載される塩基配列; (d)配列番号12に記載される塩基配列; (e)配列番号13に記載される塩基配列; (f)配列番号14に記載される塩基配列; (g)配列番号15に記載される塩基配列;または (h)配列番号25に記載される塩基配列。(20)該
DNAが下記(a)乃至(q)のいずれかの塩基配列を
有することを特徴とする前記(19)に記載のDNA: (a)配列番号18に記載される塩基配列; (b)配列番号19に記載される塩基配列; (c)配列番号20に記載される塩基配列; (d)配列番号21に記載される塩基配列; (e)配列番号22に記載される塩基配列; (f)配列番号23に記載される塩基配列; (g)配列番号24に記載される塩基配列; (h)配列番号25に記載される塩基配列; (i)配列番号26に記載される塩基配列; (j)配列番号27に記載される塩基配列; (k)配列番号28に記載される塩基配列; (l)配列番号29に記載される塩基配列; (m)配列番号30に記載される塩基配列; (n)配列番号31に記載される塩基配列; (o)配列番号32に記載される塩基配列; (p)配列番号33に記載される塩基配列;または (q)配列番号34に記載される塩基配列。 (21)前記(19)または前記(20)に記載のDN
Aのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reactio
n)におけるプライマーDNAとしての使用。 (22)下記(a)乃至(n)のいずれかの一対のDN
Aのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reactio
n)におけるプライマーDNAとしての使用: (a)配列番号31に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号32に記載される塩基配列を有するDN
A; (b)配列番号20に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号22に記載される塩基配列を有するDN
A; (c)配列番号21に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号30に記載される塩基配列を有するDN
A; (d)配列番号24に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号25に記載される塩基配列を有するDN
A; (e)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号27に記載される塩基配列を有するDN
A; (f)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (g)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (h)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号27に記載される塩基配列を有するDN
A; (i)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (j)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (k)配列番号34に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (l)配列番号34に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (m)配列番号33に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A;または (n)配列番号18に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号19に記載される塩基配列を有するDN
A。 (23)配列番号2若しくは配列番号8に記載のアミノ
酸配列を有するAIDタンパクをコードする遺伝子のmRNA
への転写または該AIDタンパクの産生を調節する能力を
有する物質を同定する方法であって、下記の工程を含む
ことを特徴とする方法: (a)該AIDタンパクを産生する細胞を該物質の存在下
及び不存在下の各々の条件下で培養する工程;及び
(b)(i)該物質の存在下で培養した細胞が産生する
該AIDタンパクのレベルと該物質の不存在下で培養した
細胞が産生する該AIDタンパクのレベルを比較する工
程;若しくは(ii)該物質の存在下で培養した細胞中で
転写された該AIDタンパクをコードするmRNAのレベルと
該物質の不存在下で培養した細胞中で転写された該AID
タンパクをコードするmRNAのレベルとを比較する工程。 (24)配列番号2若しくは配列番号8に記載のアミノ
酸配列を有するAIDタンパクをコードする遺伝子のmRNA
への転写または該AIDタンパクの産生を調節する能力を
有する物質を同定する方法であって、下記の工程を含む
ことを特徴とする方法: (a)該AIDタンパク及び該AIDタンパク以外の他のタン
パクを産生する細胞であって、該細胞における該他のタ
ンパクをコードする遺伝子のmRNAへの転写が、該AIDタ
ンパクをコードする遺伝子のmRNAへの転写のシグナルの
程度に依存して起こるものであることを特徴とする細胞
を、該物質の存在下及び不存在下の各々の条件下で培養
する工程;及び(b)該物質の存在下で培養した細胞が
産生する該他のタンパクのレベルと該物質の不存在下で
培養した細胞が産生する該他のタンパクのレベルを比較
する工程。 (25)該細胞が、該タンパクをコードする遺伝子で形
質転換された遺伝子組換え細胞であることを特徴とする
前記(23)または前記(24)に記載の方法。 (26)該細胞が、該タンパクをコードする遺伝子及び
該他のタンパクをコードする遺伝子で形質転換された遺
伝子組換え細胞であることを特徴とする前記(24)に
記載の方法。 (27)該他のタンパクが、レポータータンパクである
ことを特徴とする前記(26)に記載の方法。 (28)該他のタンパクのレベルの比較が、該レポータ
ータンパクが発するシグナルのレベルの比較であること
を特徴とする前記(27)に記載の方法。 (29)該レポータータンパクが、ルシフェラーゼであ
ることを特徴とする前記(27)または前記(28)に
記載の方法。 (30) 配列番号2若しくは配列番号8に記載のアミ
ノ酸配列を有するAIDタンパクの酵素活性を阻害する能
力を有する物質を同定する方法であって、下記(a)ま
たは(b)の工程を含むことを特徴とする方法: (a)哺乳動物由来のB細胞を含む組織またはB細胞
を、該物質の存在下または不存在下の各々の条件下で培
養し、該各々の条件下での培養したB細胞中の該AIDタ
ンパクの酵素活性を比較する工程;または(b)(i)
内在性AID遺伝子のmRNAへの転写が阻害されるように該
内在性AID遺伝子が不活性化されたAID遺伝子ノックアウ
トマウスまたは正常マウスの各々に、該物質を投与する
工程;及び(ii)該各々のマウスから単離されるB細胞
中の該AIDタンパクの酵素活性を比較する工程。 (31)該酵素活性が、シチジンデアミナーゼ活性であ
ることを特徴とする前記(30)に記載の方法。
味、並びに本発明のタンパク、DNA、抗体及び細胞の
一般的製造方法を明らかにすることにより、本発明を詳
細に説明する。本発明の「タンパクまたはその断片」と
は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラッ
ト、ハムスター、モルモット、及びマウスなどの哺乳動
物由来のタンパク及びその断片(フラグメント)であ
り、好ましくはヒト、ウサギ、ラットまたはマウス由来
のタンパク若しくはその断片であり、特に好ましくはヒ
トまたはマウス由来のタンパク及びその断片(フラグメ
ント)である。
かのタンパクまたはその断片である。 <1>配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ酸
配列を有するタンパクまたはその断片。 <2>配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ酸
配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパクで
あって、シチジンデアミナーゼ活性を有するタンパクま
たはその断片。 <3>配列番号1に記載される塩基配列を有するDNAに
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
によってコードされるアミノ酸配列を有し、配列番号2
に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同タン
パクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳動物
由来のタンパク。 <4>配列番号7に記載される塩基配列を有するDNAに
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
によってコードされるアミノ酸配列を有し、配列番号8
に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同タン
パクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳動物
由来のタンパク。
する」とは、該アミノ酸配列中の複数個のアミノ酸、好
ましくは1乃至10個のアミノ酸、特に好ましくは1乃
至5個のアミノ酸が置換、欠失及び/または修飾されて
いるアミノ酸配列を有するタンパク、並びに該アミノ酸
配列に、複数個のアミノ酸、好ましくは1乃至10個の
アミノ酸、特に好ましくは1乃至5個のアミノ酸が付加
されたアミノ酸配列を有することを意味する。
r)分子、同一のアミノ酸配列を有するもう1本の鎖と
会合してなるホモダイマ−(homodimer)、異なるアミノ
酸配列を有する他のもう1本の鎖と会合してなるヘテロ
ダイマ−(heterodimer)、及びトリマー(trimer)やテト
ラマー(tetramer)などのオリゴマ−(origomer)も包含
される。また「タンパクの断片」とは、上述した本発明
のAID蛋白が有するアミノ酸配列中の任意の部分配列
(フラグメント)を意味し、例えば、AID蛋白がシチジ
ンデアミナーゼ活性に代表されるような酵素活性を発現
するために必須である酵素活性部位、あるいはAID蛋白
が基質(例えば、RNAなど)や種々の補助蛋白と結合若
しくは会合するために必須な相互作用部位などを挙げる
ことができる。
表記するために用いられるアルファベットの三文字ある
いは一文字は、各々次に示すアミノ酸を意味する。(Gl
y/G)グリシン、(Ala/A)アラニン、(Val/V)バリ
ン、(Leu/L)ロイシン、(Ile/I)イソロイシン、
(Ser/S)セリン、(Thr/T)スレオニン、(Asp/D)
アスパラギン酸、(Glu/E)グルタミン酸、(Asn/N)
アスパラギン、(Glu/Q)グルタミン、(Lys/K)リジ
ン、(Arg/R)アルギニン、(Cys/C)システイン、
(Met/M)メチオニン、(Phe/F)フェニルアラニン、
(Tyr/Y)チロシン、(Trp/W)トリプトファン、(Hi
s/H)ヒスチジン、(Pro/P)プロリン。
述するような遺伝子組換え技術のほか、化学的合成法、
細胞培養方法等のような当該技術的分野において知られ
る公知の方法あるいはその修飾方法を適宜用いることに
より製造することができる。また、本発明のAID蛋白を
他の蛋白(例えば、GST(Glutathione S-transferase)
など)との組換え融合蛋白として発現させることもでき
る。この場合には、GSTに特異的に結合する他の蛋白分
子を固定化した吸着剤を用いるアフィニティーカラムク
ロマトグラフィーを用いることにより該融合蛋白を極め
て容易に精製することが可能であるという点で利点を有
する。さらに、該GST対する種々の抗体が提供されてい
ることから、該GSTに対する抗体を用いたイムノアッセ
イ(ELISAなど)により、該融合蛋白の定量を簡便に行
うことができる。
クまたはその断片をコードするDNAであって、本発明
のタンパクをコードし得るいかなる塩基配列をも包含
し、ゲノミックDNAまたはcDNAのいずれをも包含
する。また、該DNAは、同一のアミノ酸をコードする
コドンであればどのようなコドンから構成されるDNA
をも含む。また、本発明におけるDNAは、哺乳動物の
AID蛋白をコードするDNAを包含し、好ましい態様と
しては、マウスAID蛋白またはヒトAID蛋白をコードする
DNAを挙げることができる。
る。 <1>配列番号2または配列番号8に記載されるアミノ酸
配列を有するタンパクをコードするDNA。 <2>該タンパクが、シチジンデアミナーゼ活性を有する
ことを特徴とする前記(1)に記載のDNA。 <3>配列番号1または配列番号7に記載される塩基配列
を含むDNA。 <4>配列番号1に記載される塩基配列の塩基番号93乃至6
89の塩基配列を有するDNA。 <5>配列番号7に記載される塩基番号80乃至676の塩基配
列を有するDNA。 <6>配列番号1に記載される塩基配列を有するDNAに
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番
号2に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同
タンパクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳
動物由来のタンパクをコードするDNA。 <7>配列番号7に記載される塩基配列を有するDNAに
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番
号8に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同
タンパクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳
動物由来のタンパクをコードするDNA。 <8>下記(a)乃至(c)のいずれかの塩基配列を含む
ゲノミックDNAまたはその断片: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列;または、 (c)配列番号35に記載される塩基配列。 <9>下記(a)乃至(e)のいずれかの塩基配列を含む
ゲノミックDNAまたはその断片: (a)配列番号11に記載される塩基配列; (b)配列番号12に記載される塩基配列; (c)配列番号13に記載される塩基配列; (d)配列番号14に記載される塩基配列;または (e)配列番号15に記載される塩基配列。 <10>下記(a)乃至(h)のいずれかの塩基配列中の任
意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列; (c)配列番号11に記載される塩基配列; (d)配列番号12に記載される塩基配列; (e)配列番号13に記載される塩基配列; (f)配列番号14に記載される塩基配列; (g)配列番号15に記載される塩基配列;または、 (h)配列番号35に記載される塩基配列。 <11>該DNAが下記(a)乃至(q)のいずれかの塩基
配列を有するDNA: (a)配列番号18に記載される塩基配列; (b)配列番号19に記載される塩基配列; (c)配列番号20に記載される塩基配列; (d)配列番号21に記載される塩基配列; (e)配列番号22に記載される塩基配列; (f)配列番号23に記載される塩基配列; (g)配列番号24に記載される塩基配列; (h)配列番号25に記載される塩基配列; (i)配列番号26に記載される塩基配列; (j)配列番号27に記載される塩基配列; (k)配列番号28に記載される塩基配列; (l)配列番号29に記載される塩基配列; (m)配列番号30に記載される塩基配列; (n)配列番号31に記載される塩基配列; (o)配列番号32に記載される塩基配列; (p)配列番号33に記載される塩基配列;または (q)配列番号34に記載される塩基配列。
るいはその断片を構成するアミノ酸配列中に複数個のア
ミノ酸、好ましくは1乃至10個のアミノ酸、特に好ま
しくは1乃至5個のアミノ酸を置換、欠失及び/または
修飾するか、若しくは該アミノ酸配列に複数個のアミノ
酸、好ましくは1乃至10個のアミノ酸、特に好ましく
は1乃至5個のアミノ酸を挿入することによって得られ
る変異タンパク若しくはその断片をコードするDNAも
本発明のDNAに包含される。
ては、例えば、次のような条件を挙げることができる。
例えば、50塩基以上のプローブを用い、0.9%NaCl下
でハイブリダイゼーションを行う場合には、、50%の解
離を生ずる温度(Tm)の目安を下記計算式から求め、
ハイブリダイゼーションの温度を下記計算式のように設
定することができる。
−0.61×(フォルムアミド)%(nはプローブの塩基数
を示す。) 温度=Tm−25℃ また、100塩基以上のプローブ(G+C=40〜50%の場合)を
用いる場合には、Tmが下記(1)及び(2)のように
変化することを目安する。 (1)1%ミスマッチ毎に、Tmが約1℃下がる。 (2)フォルムアミド1%毎に、Tmが0.6〜0.7℃下が
る。 従って、完全相補鎖の組み合わせの場合の温度条件は下
記のようにすることができる。 (A)65〜75℃(フォルムアミド無添加) (B)35〜45℃(50%フォルムアミド存在下) また、不完全相補鎖の組み合わせの場合の温度条件は下
記のようにすることができる。 (A)45〜55℃(フォルムアミド無添加) (B)35〜42℃(30%フォルムアミド存在下) また、23塩基以下のプローブを用いる場合の温度条件
は、37℃とすることもできるし、また下記計算式を目
安とすることもできる。 温度=2℃×(A+Tの数)+4℃×(C+Gの数)−5℃
得られるものであってもよい。例えばmRNAから調製
される相補DNA(cDNA)、ゲノムDNAから調製
されるDNA、化学合成によって得られるDNA、RN
AまたはDNAを鋳型としてPCR法で増幅させて得ら
れるDNAおよびこれらの方法を適当に組み合わせて構
築されるDNAをも全て包含するものである。本発明の
タンパクをコードするDNAは、常法に従って本発明の
タンパクのmRNAからcDNAをクローン化する方
法、ゲノムDNAを単離してスプライシング処理する方
法、化学合成する方法等により取得することができる。
AからcDNAをクローン化する方法としては、以下の
方法が例示される。まず、本発明のタンパクを発現・産
生する前述のような組織あるいは細胞から該本発明のタ
ンパクをコードするmRNAを調製する。mRNAの調
製は、例えばグアニジンチオシアネート法(Chirgwin
ら、Biochemistry,Vol.18, p.5294, 1979)、熱フェノ
ール法もしくはAGPC法等の公知の方法を用いて調製
した全RNAをオリゴ(dT)セルロースやポリU−セ
ファロース等によるアフィニティクロマトグラフィーに
かけることによって行うことができる。
えば逆転写酵素を用いる等の公知の方法、例えばオカヤ
マらの方法(Mol.Cell.Biol., Vol.2, p.161, 1982; Mo
l.Cell. Biol., Vol.3, p.280, 1983)やHoffmanらの方
法(Gene, Vol.25, p.263, 1983)等によりcDNA鎖
を合成し、cDNAの二本鎖cDNAへの変換を行う。
このcDNAをプラスミドベクター、ファージベクター
またはコスミドベクターに組み込み、大腸菌を形質転換
して、あるいはインビトロパッケージング後、大腸菌に
形質移入(トランスフェクト)することによりcDNA
ライブラリーを作製する。
ては、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限さ
れず、また用いられるファージベクターとしても宿主内
で増殖できるものであれば良い。常法的に用いられるク
ローニング用ベクターとしてpUC19、λgt10、λgt11等
が例示される。ただし、後述の免疫学的スクリーニング
に供する場合は、宿主内で本発明のタンパクをコードす
る遺伝子を発現させうるプロモーターを有したベクター
であることが好ましい。
ては、例えばManiatisらの方法(Molecular Cloning, A
Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Ha
rborLaboratory, p.1.53, 1989)に記載の方法などが挙
げられる。また、ファージベクターにcDNAを組み込
む方法としては、Hyunhらの方法(DNA Cloning, apract
ical approach, Vol.1, p.49, 1985)などが挙げられ
る。簡便には、市販のクローニングキット(例えば、宝
酒造製等)を用いることもできる。このようにして得ら
れる組換えプラスミドやファージベクターは、原核細胞
(例えば、E.coli: HB101, DH5αまたはMC1061/P3等)
等の適当な宿主に導入する。
は、(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, seco
nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Vol.1.7
4, 1989)に記載の塩化カルシウム法または塩化 カルシ
ウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法等
が挙げられる。また、ファージベクターを宿主に導入す
る方法としてはファージDNAをインビトロパッケージ
ングした後、増殖させた宿主に導入する方法等が例示さ
れる。インビトロパッケージングは、市販のインビトロ
パッケージングキット(例えば、ストラタジーン製、ア
マシャム製等)を用いることによって簡便に行うことが
できる。
の刺激に依存して細胞内で産生が増強される蛋白をコー
ドするcDNAの同定は、刺激を与えた細胞由来のmRNAを基
に作製したcDNAライブラリー(tester cDNA library)
と未刺激の細胞由来のmRNAを基に作製したcDNAライブラ
リー(driver cDNA library)の2つのcDNAライブラリ
ーを用い、例えば、抑制PCR効果(Nucleic Acids Res.,
Vol.23, p.1087-1088, 1995)を利用したサプレッショ
ンサブトラクトハイブリダイゼーション法(supression
subtract hybridization (SSH))(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, Vol.93, p.6025-6030, 1996; Anal. Bioche
m., Vol.240, p.90-97, 1996)により同定することがで
きる。
NAライブラリーの調製は、市販のキット、例えば、PCR-
Select Subtraction Kit(CLONTECH製、カタログ番号:
K1804-1)を用いることができる。実験操作は、該キッ
トに添付の実験操作手順書に従って行うことができる。
適切な刺激物質で刺激した細胞、及び未刺激の細胞の各
々から、既報(Nucleic Acids Res., Vol.26, No.4, p.
911-918, 1998)と同様にしてpolyA+RNAをする。次い
で、各々のpolyA+RNA試料を基に逆転写酵素を用い常法
に従ってcDNAを調製する。刺激した細胞から調製したcD
NAをテスターcDNA(tester cDNA)として、また未刺激
の細胞由来のcDNAをドライバーcDNA(driver cDNA)と
して用いる。前記既報及び該市販のキットに添付の実験
操作マニュアルに従って、テスターcDNAにドライバーcD
NAを加えサブトラクションを行う。なお、サブトラクシ
ョンの効率は、テスターcDNAに、コントロールとして適
当な外来性DNAを少量加えることによりモニターする。
サブトラクションの後、該外来性DNAを濃縮する。サブ
トラクションされたcDNA(subtracted cDNA)を、常法
に従って適当なプラスミド発現ベクター中にクローニン
グしプラスミドライブラリーを作製する。
のコロニーを、ディファレンシャルハイブリダイゼーシ
ョン法によりスクリーニングする(Nucleic Acids Re
s., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998; 臨床免疫, Vol.2
9, No.Suppl.17, p.451-459, 1997)。ここで、ハイブ
リダイゼーションプローブとしては、前記テスターcDNA
及びドライバーcDNAの各々を放射性標識したものを用い
ることができる。なお、目的のDNAを含むクローンと前
記外来性DNAを含むクローンの区別は、レプリカントフ
ルターに該外来性DNAをハイブリダイズさせることによ
り行うことができる。放射性標識ドライバーcDNAプロー
ブよりも放射性標識テスターcDNAプローブに対してより
強いシグナルを発するクローンを同定し、目的のcDNAま
たはcDNA断片を得ることができる。
の単離は、他の一般的なcDNAのスクリーニング法を用
いることによっても行うことができる。例えば、前記の
サブトラクションクローニングで単離した本発明のタン
パクをコードするcDNA若しくはcDNA断片、あるいは別個
に化学合成した本発明のタンパクのアミノ酸配列に対応
するオリゴヌクレオチドを32Pでラベルしてプローブと
なし、公知のコロニーハイブリダイゼーション法(Crun
steinら, Proc. Natl. Acid. Sci. USA, Vol.72, p.396
1, 1975)またはプラークハイブリダイゼーション法(M
olecular Cloning, A Laboratory Manual, second edit
ion , Cold Spring Harbor Laboratory, p.2.108, 198
9)により、市販または所望に応じ独自に調製したcDNA
ライブラリーをスクリーニングする方法が挙げられる。
さらに、前記のサブトラクションクローニングで単離し
た本発明のタンパクをコードするcDNA若しくはcDNA断片
の塩基配列を基に一対のPCRプライマーを作製し、全長c
DNAライブラリーを鋳型として該プライマーを用いたPCR
により本発明のタンパクをコードするcDNAを含むDNAを
増幅する方法を挙げることができる。
製したcDNAライブラリーを用いる場合には、本発明のタ
ンパクに反応性を有する抗体を用いる抗原抗体反応を利
用して、目的のクローンを選択することができる。大量
にクローンを処理する場合には、PCR法を利用したスク
リーニング法を用いることが好ましい。この様にして得
られたDNAの塩基配列はマキサム・ギルバート法(マ
キサム(Maxamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.
74, p.560, 1977)あるいはファージM13を用いたジデオ
キシヌクレオチド合成鎖停止の方法(Sangerら、Proc.N
atl. Acad. Sci. USA., Vol.74, p.5463-5467, 1977)
によって決定することができる。市販のDNAシークエン
サーを用いると簡便に塩基配列を決定することが可能で
ある。本発明のタンパクをコードする遺伝子は、その全
部または一部を上記のようにして得られるクローンから
制限酵素等により切り出すことにより取得できる。
クを発現する細胞に由来するゲノムDNAから本発明の
タンパクをコードするDNAを単離することによる調製
方法としては、例えば以下の方法が例示される。該細胞
を好ましくはSDSまたはプロテナーゼK等を用いて溶
解し、フェノールによる抽出を反復してDNAの脱蛋白
質を行う。RNAを好ましくはリボヌクレアーゼにより
消化する。得られるDNAを適当な制限酵素により部分
消化し、得られるDNA断片を適当なファージまたはコ
スミドで増幅しライブラリーを作成する。そして目的の
配列を有するクローンを、例えば放射性標識されたDN
Aプローブを用いる方法等により検出し、該クローンか
ら本発明のタンパクをコードする遺伝子の全部または一
部を制限酵素等により切り出し取得する。例えば、ヒト
由来タンパクをコードするcDNAを取得する場合に
は、さらにヒトゲノムDNA(染色体DNA)が導入さ
れたコスミドライスラリーを作製(「ラボマニュアルヒ
トゲノムマッピング」、堀雅明及び中村祐輔 編、丸善
出版)し、該コスミドライブラリーをスクリーニング
することにより、目的タンパクのコーディング領域のD
NAを含む陽性クローンを得、該陽性クローンから切り
出したコーディングDNAをプローブとして用い、前述
のcDNAライブラリーをスクリーニングすることによ
り調製することもできる。
ク(特にヒトAIDタンパク)をコードするDNA(cDNA
やゲノミックDNA)の任意の断片に関する。当該cDNAや
ゲノミックDNAの塩基配列の任意の部分塩基配列に相補
的な塩基配列を有するDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(p
olymerase chain reaction; PCR)におけるプライマーD
NAとして有用である。該プライマーDNAの一対を用いたP
CRにより、本発明のAIDタンパク(特にヒトAIDタンパ
ク)をコードするゲノミックDNAの任意の部分塩基配列
を増幅することができる。
がAIDタンパクをコードするゲノミックDNA(特にエクソ
ン)の塩基配列に変異あるいは欠失が原因であると推定
される場合には、そのようなゲノムDNAの変異または欠
失の存否は、下記のようなPCRにより解析することがで
きる。 (1)本発明のAID蛋白をコードするゲノミックDNAの任
意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有する一対のプ
ライマーDNAを作製する。 (2)免疫不全症患者またはアレルギー患者の組織また
は細胞から取得したAIDタンパクをコードするゲノミッ
クDNAを鋳型として、該一対のプライマーDNAを用いて、
該ゲノミックDNAの目的の部分塩基配列を増幅する。 (3)PCR産物の有無、及び該PCR産物の塩基配列を解析
し、該塩基配列と健常人由来のAIDタンパクをコードす
るゲノミックDNA中の対応塩基配列とを比較することに
より該ゲノミックDNA中の変異または欠失を同定する。 即ち、この方法は、例えば、免疫不全症及び/またはア
レルギーとAIDタンパクとの関連性を解明できるだけで
なく、AIDタンパクがある種の疾患(例えば、免疫不全
症またはアレルギー性疾患)の発症の原因である場合に
は、上記の方法により該疾患の診断が可能である。
記が挙げられる。 <1>下記(a)乃至(h)のいずれかの塩基配列中の任
意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列; (c)配列番号11に記載される塩基配列; (d)配列番号12に記載される塩基配列; (e)配列番号13に記載される塩基配列; (f)配列番号14に記載される塩基配列; (g)配列番号15に記載される塩基配列;または、 (h)配列番号35に記載される塩基配列。
ずれかの塩基配列を有するDNA: (a)配列番号18に記載される塩基配列; (b)配列番号19に記載される塩基配列; (c)配列番号20に記載される塩基配列; (d)配列番号21に記載される塩基配列; (e)配列番号22に記載される塩基配列; (f)配列番号23に記載される塩基配列; (g)配列番号24に記載される塩基配列; (h)配列番号25に記載される塩基配列; (i)配列番号26に記載される塩基配列; (j)配列番号27に記載される塩基配列; (k)配列番号28に記載される塩基配列; (l)配列番号29に記載される塩基配列; (m)配列番号30に記載される塩基配列; (n)配列番号31に記載される塩基配列; (o)配列番号32に記載される塩基配列; (p)配列番号33に記載される塩基配列;または (q)配列番号34に記載される塩基配列。
ーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)における
プライマーDNAとしての使用に関する。上述のような
PCRによる遺伝子増幅及びそれを解析することによる診
断におけるPCRに用いられるプライマーDNAの組み合わせ
としては、例えば下記を挙げることができる。 <1>配列番号31に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号32に記載される塩基配列を有するDNA; <2>配列番号20に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号22に記載される塩基配列を有するDNA; <3>配列番号21に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号30に記載される塩基配列を有するDNA; <4>配列番号24に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号25に記載される塩基配列を有するDNA; <5>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号27に記載される塩基配列を有するDNA; <6>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <7>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <8>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号27に記載される塩基配列を有するDNA; <9>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <10>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <11>配列番号34に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <12>配列番号34に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <13>配列番号33に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA;
または <14>配列番号18に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号19に記載される塩基配列を有するDNA。
をコードするDNAを含有する組換えベクターに関す
る。本発明の組換えベクターとしては、原核細胞及び/
または真核細胞の各種の宿主内で複製保持または自己増
殖できるものであれば特に制限されず、プラスミドベク
ターおよびファージベクターが包含される。
おいて入手可能な組換え用ベクター(プラスミドDNA
およびバクテリアファージDNA)に本発明のタンパク
をコードするDNAを常法により連結することによって
調製することができる。用いられる組換え用ベクターと
して具体的には、大腸菌由来のプラスミドとして例えば
pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pUC19など、酵母由来
プラスミドとして例えばpSH19、pSH15など、枯草菌由来
プラスミドとして例えばpUB110、pTP5、pC194 などが例
示される。また、ファージとしては、λファージなどの
バクテリオファージが、さらにレトロウイルス、ワクシ
ニヤウイルス、核多角体ウイルスなどの動物や昆虫のウ
イルス(pVL1393、インビトロゲン製)が例示される。
現させ本発明のタンパクを生産させる目的においては、
発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、原
核細胞および/または真核細胞の各種の宿主細胞中で本
発明のタンパクをコードする遺伝子を発現し、これら蛋
白質を生産する機能を有するものであれば特に制限され
ない。例えば、pMAL C2 、pEF-BOS(ヌクレイックアシ
ッドリサーチ(NucleicAcid Research)、第18巻、第
5322頁、1990年等)あるいはpME18S(実験医学
別冊「遺伝子工学ハンドブック」、1992年等)等を
挙げることができる。また、本発明のタンパクは他の別
のタンパクとの融合蛋白として製造することもできる。
例えば、GST(Glutathione S-transferase)との融合蛋
白として調製する場合には、本発明の蛋白をコードする
cDNAを、例えば、プラスミドpGEX4T1(Pharmacia製)中
にサブクローニングし、大腸菌DH5αを形質転換して該
形質転換体を培養することにより調製することができ
る。
場合、一般に発現ベクターは少なくともプロモーター−
オペレーター領域、開始コドン、本発明のタンパクをコ
ードするDNA、終止コドン、ターミネーター領域およ
び複製可能単位から構成される。宿主として酵母、動物
細胞または昆虫細胞を用いる場合、発現ベクターは少な
くともプロモーター、開始コドン、本発明のタンパクを
コードするDNA、終止コドンを含んでいることが好ま
しい。またシグナルペプチドをコードするDNA、エン
ハンサー配列、本発明のタンパクをコードする遺伝子の
5’側および3’側の非翻訳領域、スプライシング接合
部、ポリアデニレーション部位、選択マーカー領域また
は複製可能単位などを含んでいてもよい。また、目的に
応じて通常用いられる遺伝子増幅遺伝子(マーカー)を
含んでいてもよい。
めのプロモーター−オペレータ−領域は、プロモータ
ー、オペレーター及びShine-Dalgarno(SD) 配列(例え
ば、AAGGなど)を含むものである。例えば宿主がエシェ
リキア属菌の場合、好適にはTrpプロモーター、lacプロ
モーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lpp
プロモーター、tacプロモーターなどを含むものが例示
される。酵母中で本発明のタンパクを発現させるための
プロモーターとしては、PH05プロモーター、PGKプロモ
ーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターが挙げら
れ、宿主がバチルス属菌の場合は、SL01プロモーター、
SP02プロモーター、penPプロモーターなどが挙げられ
る。また、宿主が哺乳動物細胞等の真核細胞である場
合、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモ
ーター、ヒートショックプロモーターなどが挙げられ
る。好ましくは、SV40、レトロウイルスである。しか
し、特にこれらに限定されるものではない。また、発現
にはエンハンサーの利用も効果的な方法である。
ドン(ATG)が例示される。終止コドンとしては、常用
の終止コドン(例えば、TAG、TGA、TAA)が例示され
る。ターミネーター領域としては、通常用いられる天然
または合成のターミネーターを用いることができる。
NA配列を複製することができる能力をもつDNAを言
い、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド
(天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメン
ト)および合成プラスミド等が含まれる。好適なプラス
ミドとしては、E. coli ではプラスミドpBR322、
もしくはその人工的修飾物(pBR322を適当な制限
酵素で処理して得られるDNAフラグメント)が、酵母
では酵母2μプラスミド、もしくは酵母染色体DNA
が、また哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVneo ATCC 371
98、プラスミドpSV2dhfr ATCC 37145、プラスミドpdBPV
-MMTneo ATCC 37224、プラスミドpSV2neo ATCC 37149等
があげられる。
部位およびスプライシング接合部位については、例えば
それぞれSV40に由来するもの等、当業者において通常使
用されるものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、通常使用されるものを常法により用いることがで
きる。例えばテトラサイクリン、アンピシリン、または
カナマイシン等の抗生物質耐性遺伝子等が例示される。
レダクターゼ(DHFR)遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝
子、ネオマイシン耐性遺伝子、グルタミン酸合成酵素遺
伝子、アデノシンデアミナーゼ遺伝子、オルニチンデカ
ルボキシラーゼ遺伝子、ヒグロマイシン−B−ホスホト
ランスフェラーゼ遺伝子、アスパルラートトランスカル
バミラーゼ遺伝子等を例示することができる。本発明の
発現ベクターは、少なくとも、上述のプロモーター、開
始コドン、本発明のタンパクをコードするDNA、終止
コドンおよびターミネーター領域を連続的かつ環状に適
当な複製可能単位に連結することによって調製すること
ができる。またこの際、所望により制限酵素での消化や
T4 DNAリガーゼを用いるライゲーション等の常法により
適当なDNAフラグメント(例えば、リンカー、他の制
限酵素切断部位など)を用いることができる。
ターを宿主細胞に導入することにより調製することがで
きる。本発明で用いられる宿主細胞としては、前記の発
現ベクターに適合し、形質転換されうるものであれば特
に限定されず、本発明の技術分野において通常使用され
る天然細胞あるいは人工的に樹立された組換細胞など種
々の細胞(例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチルス
属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属など)、
動物細胞または昆虫細胞などが例示される。
り、具体的には大腸菌(DH5α、TB1、HB101等)、マウ
ス由来細胞(COP、L、C127、Sp2/0、NS-1またはNIH3T3
等)、ラット由来細胞(PC12,PC12h)、ハムスター由来
細胞(BHK及びCHO等)、サル由来細胞(COS1、COS3、CO
S7、CV1及びVelo等)およびヒト由来細胞(Hela、2倍
体線維芽細胞に由来する細胞、ミエローマ細胞およびHe
pG2等)などが例示される。
換(形質移入))は従来公知の方法を用いて行うことが
できる。例えば、細菌(E.coli、Bacillus subtilis
等)の場合は、例えばCohenらの方法(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA., Vol.69, p.2110, 1972)、プロトプラス
ト法(Mol. Gen. Genet., Vol.168, p.111, 1979)やコ
ンピテント法(J. Mol.Biol., Vol.56, p.209, 1971)
によって、Saccharomyces cerevisiaeの場合は、例えば
Hinnenらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.7
5, p.1927, 1978)やリチウム法(J. Bacteriol., Vol.
153, p.163, 1983)によって、動物細胞の場合は、例え
ばGrahamの方法(Virology, Vol.52, p.456, 1973)、
昆虫細胞の場合は、例えばSummersらの方法(Mol. Cel
l. Biol., Vol.3, p.2156-2165, 1983)によってそれぞ
れ形質転換することができる。
る発現ベクターを含む形質転換細胞(以下、形質移入体
を包含する意味で使用する。)を栄養培地で培養するこ
とによって製造することができる。栄養培地は、宿主細
胞(形質転換体)の生育に必要な炭素源、無機窒素源も
しくは有機窒素源を含でいることが好ましい。炭素源と
しては、例えばグルコース、デキストラン、可溶性デン
プン、ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源と
しては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ
酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉
エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。
また所望により他の栄養素(例えば、無機塩(例えば塩
化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシ
ウム)、ビタミン類、抗生物質(例えばテトラサイクリ
ン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)な
ど)を含んでいてもよい。培養は当業界において知られ
ている方法により行われる。培養条件、例えば温度、培
地のpHおよび培養時間は、本発明のタンパクが大量に
生産されるように適宜選択される。
具体的な培地および培養条件を例示するが、何らこれら
に限定されるものではない。宿主が細菌、放線菌、酵
母、糸状菌である場合、例えば上記栄養源を含有する液
体培地が適当である。好ましくは、pHが5〜8である培
地である。宿主がE. coliの場合、好ましい培地としてL
B培地、M9培地(Millerら、 Exp.Mol. Genet、Cold Spr
ing Harbor Laboratory, p.431, 1972)等が例示され
る。かかる場合、培養は、必要により通気、撹拌しなが
ら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことができる。宿
主がBacillus属菌の場合、必要により通気、撹拌をしな
がら、通常30〜40℃、約16〜96時間行うことができる。
ばBurkholder最小培(Bostian, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, Vol.77, p.4505, 1980)が挙げられ、pHは5〜
8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で約14
〜144時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこと
もできる。宿主が動物細胞の場合、培地として例えば約
5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, Vol.12
2, p.501, 1952)、 DMEM培地(Virology, Vol.8, p.39
6, 1959)、RPMI1640培地(J. Am. Med. Assoc., Vol.1
99, p.519, 1967)、199培地(proc. Soc. Exp. Biol.
Med., Vol.73, p.1, 1950)等を用いることができる。
培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約
30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や撹
拌を行うこともできる。宿主が昆虫細胞の場合、例えば
胎児牛血清を含むGrace's 培地(Proc. Natl.Acad. Sc
i. USA, Vol.82, p.8404, 1985)等が挙げられ、そのpH
は約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40℃
で15〜100時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行う
こともできる。
換細胞、特に動物細胞を培養し、培養上清中に分泌させ
ることにより製造することができる。得られた培養物を
濾過または遠心分離等の方法で培養濾液(上清)を得、
該培養濾液から天然または合成蛋白質を精製並びに単離
するために一般に用いられる常法に従って該本発明のタ
ンパクを精製、単離する。単離、精製方法としては、例
えば塩析、溶媒沈澱法等の溶解度を利用する方法、透
析、限外濾過、ゲル濾過、ドデシル硫酸ナトリウム−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動など分子量の差を利用す
る方法、イオン交換クロマトグラフィーやヒドロキシル
アパタイトクロマトグラフィーなどの荷電を利用する方
法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親
和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィー
などの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動など
の等電点の差を利用する方法などが挙げられる。
転換体のペリプラズムまたは細胞質内に存在する場合
(例えば、大腸菌)は、培養物を濾過または遠心分離な
どの常法に付して菌体あるいは細胞を集め、適当な緩衝
液に懸濁し、例えば超音波やリゾチーム及び凍結融解な
どの方法で細胞等の細胞壁および/または細胞膜を破壊
した後、遠心分離やろ過などの方法で本発明のタンパク
を含有する膜画分を得る。該膜画分をトライトン−X100
等の界面活性剤を用いて可溶化して粗溶液を得る。そし
て、当該粗溶液を先に例示したような常法を用いること
により、単離、精製することができる。
AIDタンパクをコードするDNA(cDNAまたはゲノミッ
クDNA)を用いれば、ヒトAID蛋白を生体内に分泌するト
ランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製することができ
る。即ち、該ヒト由来のDNAが、非ヒト哺乳動物(例
えばマウス)の内在性遺伝子座上にインテグレート(in
tegrate)されることにより、体内に該DNAによりコ
ードされる本発明のヒトAID蛋白が発現、分泌される。
このトランスジェニック非ヒト哺乳動物も本願の発明に
属する。該トランスジェニック非ヒト哺乳動物は、トラ
ンスジェニック動物の製造において通常使用されるよう
な常法(例えば、最新動物細胞実験マニュアル、エル・
アイ・シー発行、第7章、第361〜第408頁、19
90年を参照)に従って作製することができる。
マウスの場合には、正常マウス胚盤胞(blastcyst)の
から取得した胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell, ES Ce
ll)を、本発明のヒトAID蛋白をコードする遺伝子及び
マーカー遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子)が
発現可能なように挿入された発現ベクターで形質転換す
る。該本発明のヒトAID蛋白をコードする遺伝子が内在
性遺伝子上にインテグレートされたES細胞を、マーカ
ー遺伝子の発現の有無に基づいて常法により選別する。
次いで、選別したES細胞を、別の正常マウスから取得
した受精卵(肺盤胞)にマイクロインジェクションする
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.77, No.12, pp.73
80-7384, 1980;米国特許第4,873,191号公報)。該胚盤
胞を仮親としての別の正常マウスの子宮に移植する。そ
うして該仮親マウスから、ファウンダーマウス(子マウ
ス)が生まれる。該ファウンダーマウスを正常マウスと
交配させることによりヘテロトランスジェニックマウス
を得る。該ヘテロ(heterogeneic)トランスジェニック
マウス同士を交配することにより、メンデルの法則に従
って、ホモ(homogeneic)トランスジェニックマウスが
得られる。
をコードするDNAの塩基配列に基づいて、いわゆる
「ノックアウトマウス」を作製することができる。本発
明における「ノックアウトマウス」とは、本発明のマウ
スAID蛋白をコードする内在性遺伝子がノックアウト
(不活性化)されたマウスであり、例えば相同組換えを
応用したポジティブネガティブセレクション法(米国特
許第5,464,764号公報、同5,487,992号公報、同5,627,05
9号公報 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.86,8932-
8935, 1989、Nature, Vol.342, 435-438, 1989など)を
用いて作製することができ、このようなノックアウト
マウスも本発明の一態様である。
ナル抗体(抗血清)あるいはモノクローナル抗体を意味
し、好ましくはモノクローナル抗体である。具体的に
は、前述の本発明のタンパクまたはその断片(フラグメ
ント)に反応性を有する抗体である。本発明の「抗体」
は、本発明のタンパク(天然体、組換体、合成物、細胞
等)若しくはその断片、あるいは前述のような遺伝子組
換技術により目的タンパクを高発現する形質転換体を、
マウス、ラット、ハムスター、モルモットあるいはウサ
ギ等の哺乳動物に免疫して得られる天然型抗体、遺伝子
組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体及びヒト型抗
体(CDR-grafted抗体)、並び にヒト抗体産生トランス
ジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体も包含
する。またモノクローナル抗体の場合には、IgG、I
gM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイ
ソタイプを有するモノクローナル抗体をも包含する。好
ましくは、IgGまたはIgMである。
清)あるいはモノクローナル抗体は、既存の一般的な製
造方法によって製造することができる。即ち、例えば、
抗原を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freun
d's Adjuvant)とともに、哺乳動物、好ましくは、マウ
ス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、
イヌ、ブタ、ヤギ、ウマあるいはウシ、より好ましくは
マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはウサギ
に免疫する。ポリクローナル抗体は、該免疫感作動物か
ら得た血清から取得することができる。またモノクロー
ナル抗体は、該免疫感作動物から得た該抗体産生細胞と
自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)
からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクロ
ーン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的
親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを
選択することによって製造される。
ようにして製造することができる。即ち、前述のような
本発明のタンパク若しくはその断片あるいは該タンパク
を発現している細胞等をを免疫原として、該免疫原を、
必要に応じてフロイントアジュバント(Freund's Adjuv
ant)とともに、マウス、ラット、ハ ムスター、モルモ
ットあるいはウサギ、好ましくはマウス、ラットあるい
はハムスター(ヒト抗体産生トランスジェニックマウス
のような他の動物由来の抗体を産生するように作出され
たトランスジェニック動物を含む)の皮下内、筋肉内、
静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に1乃至数回注
射するかあるいは移植することにより免疫感作を施す。
通常、初回免疫から約1乃至14日毎に1乃至4回免疫
を行って、最終免疫より約1乃至5日後に免疫感作され
た該哺乳動物から抗体産生細胞が取得される。
ーマの調製は、ケーラー及びミルシュタインらの方法
(Nature, Vol.256, p.495-497, 1975)及びそれに準じ
る修飾方法に従って行うことができる。即ち、前述の如
く免疫感作された哺乳動物から取得される脾臓、リンパ
節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗
体産生細胞と、好ましくはマウス、ラット、モルモッ
ト、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より
好ましくはマウス、ラットまたはヒト由来の自己抗体産
生能のないミエローマ細胞との細胞融合させることによ
り調製される。
ては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63-AG8.653(65
3;ATCC No.CRL1580)、P3/NSI/1-Ag4-1(NS-1)、P3/X
63-Ag8.U1(P3U1)、SP2/0-Ag14(Sp2/0、Sp2)、PAI、
F0ある いはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3-Ag.
2.3.、ヒト由来ミエローマU-266AR1、GM1500-6TG-A1-
2、UC729-6、CEM-AGR、D1R11あるいはCEM-T15を使用す
ることができる。モノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマ
を、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖
の見られたウェルの培養上清の前述のマウス免疫感作で
用いた免疫抗原に対する反応性を、例えばRIAやELISA等
の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうこ
とができる。
の製造は、ハイブリドーマをインビトロ、またはマウ
ス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等、
好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウス
の腹水中等でのインビボで行い、得られた培養上清、ま
たは哺乳動物の腹水から単離することにより行うことが
できる。インビトロで培養する場合には、培養する細胞
種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に
合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、
培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用
いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地か
ら誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施するこ
とが可能である。
地、MCDB153培地あるいは低カルシウムMEM培地等の
低カルシウム培地及びMCDB104培地、MEM培地、D-MEM培
地、RPMI1640培地、ASF104培地あるいはRD培地等の高カ
ルシウム培地等が挙げられ、該基本培地は、目的に応じ
て、例えば血清、ホルモン、サイトカイン及び/または
種々無機あるいは有機物質等を含有することができる。
モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あ
るいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、ユーグロブリン
沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換ク
ロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロ
ブリンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニ
ティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行
うことができる。
ナル抗体をコードする遺伝子をクローニングし、トラン
スジェニック動物作製技術を用いて当該抗体コーディン
グ遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれたトランスジェニ
ックなウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタを作製し、当該ト
ランスジェニック動物のミルク中から当該抗体遺伝子に
由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可
能である(日系サイエンス、1997年4月号、第78頁乃
至84頁)。
工学的に作製されるモノクローナル抗体であって、具体
的には、例えば、その可変領域がマウスイムノグロブリ
ン由来の可変領域であり、かつその定常領域がヒトイム
ノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするマ
ウス/ヒトキメラモノクローナル抗体等のキメラモノク
ローナル抗体を意味する。ヒトイムノグロブリン由来の
定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIg
E等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有
するが、本発明における組換キメラモノクローナル抗体
の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノ
グログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒ
トIgGの定常領域である。本発明におけるキメラモノ
クローナル抗体は、例えば以下のようにして製造するこ
とができる。しかしながら、そのような製造方法に限定
されるものでないことは言うまでもない。
ル抗体は、実験医学(臨時増刊号)、第1.6巻、第10
号、1988年及び特公平3-73280号公報等を参照しながら
作製することができる。即ち、マウスモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマから単離した該マウスモノ
クローナル抗体をコードするDNAから取得した活性な
V H遺伝子(H鎖可変領域をコードする再配列されたV
DJ遺伝子)の下流に、ヒトイムノグロムリンをコード
するDNAから取得したCH遺伝子(H鎖定常領域をコ
ードするC遺伝子)を、また該ハイブリドーマから単離
したマウスモノクローナル抗体をコードするDNAから
取得した活性なVL遺伝子 (L鎖可変領域をコードする
再配列されたVJ遺伝子)の下流にヒトイムノグロムリ
ンをコードするDNAから取得したCL遺伝子(L鎖定
常領域をコードするC遺伝子)を、各々発現可能なよう
に配列して1つ又は別々の発現ベクターに挿入し、該発
現ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換細胞を
培養することにより作製することができる。
抗体産生ハイブリドーマから常法によりDNAを抽出
後、該DNAを適切な制限酵素(例えばEcoRI、HindIII
等)を用いて消化し、電気泳動(例えば0.7%アガロー
スゲル使用)に付してサザンブロット法を行う。泳動し
たゲルを例えばエチジウムブロマイド等で染色し、写真
撮影後、マーカーの位置を付し、ゲルを2回水洗し、0.
25M HCl溶液に15分間浸す。次いで、0.4NのNaOH溶液に1
0分間浸し、その間緩やかに振盪する。常法により、フ
ィルターに移し、4時間後フィルターを回収して2×SSC
で2回洗浄する。フィルターを十分乾燥した後、ベイキ
ング(75℃、3時間)を行う。ベイキング終了後に、該
フィルターを0.1×SSC/0.1%SDS溶液に入れ、65℃で30
分間処理する。次いで、3×SSC/0.1%SDS溶液に浸す。
得られたフィルターをプレハイブリダイゼーション液と
共にビニール袋に入れ、65℃で3〜4時間処理する。
A及びハイブリダイゼーション液を入れ、65℃で12時間
程度反応させる。ハイブリダイゼーション終了後、適切
な塩濃度、反応温度および時間(例えば、2×SSC/0.1%S
DS溶液、室温、10分間)のもとで、フィルターを洗う。
該フィルターをビニール袋に入れ、2×SSCを少量加え、
密封し、オートラジオグラフィーを行う。
クローナル抗体のH鎖及びL鎖を各々コードする再配列
されたVDJ遺伝子及びVJ遺伝子を同定する。同定し
たDNA断片を含む領域をショ糖密度勾配遠心にて分画
し、ファージベクター(例えば、Charon 4A、Charon 2
8、λEMBL3、λEMBL4等)に組み込み、該ファージベク
ターで大腸菌(例えば、LE392、NM539等) を形質転換
し、ゲノムライブラリーを作製する。そのゲノムライブ
ラリーを適当なプローブ(H鎖J遺伝子、L鎖(κ)J
遺伝子等)を用いて、例えばベントンデイビス法(Scie
nce, Vol.196, p.180-182, 1977)に従って、プラーク
ハイブリダイゼーションを行い、再配列されたVDJ遺
伝子あるいはVJ遺伝子を各々含むポジティブクローン
を得る。得られたクローンの制限酵素地図を作製し、塩
基配列を決定し、目的とする再配列されたVH(VDJ)遺伝
子あるいはVL(VJ)遺伝子を含む遺伝子が得られている
ことを確認する。
びヒトCL遺伝子を別に単離する。例えば、ヒトIgG1と
のキメラ抗体を作製する場合には、CH遺伝子であるC
γ1遺伝子とCL遺伝子であるCκ遺伝子を単離する。こ
れらの遺伝子はマウス免疫グロブリン遺伝子とヒト免疫
グロブリン遺伝子の塩基配列の高い相同性を利用してヒ
トCγ1遺伝子及びヒトCκ遺伝子に相当するマウスC
γ1遺伝子及びマウスCκ遺伝子をプローブとして用
い、ヒトゲノムライブラリーから単離することによって
得ることができる。
c. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.75,p.4709-4713, 197
8)からの3kbのHindIII-BamHI断片とクローンMEP10(Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.78, p.474-478, 198
1)からの6.8kbのEcoRI断片をプローブとして用い、ヒ
トのラムダCharon 4A のHaeIII-AluIゲノムライブラリ
ー(Cell, Vol.15, p.1157-1174, 1978)中から、ヒト
Cκ遺伝子を含み、エンハンサー領域を保持しているD
NA断片を単離する。また、ヒトCγ1遺伝子は、例え
ばヒト胎児肝細胞DNAをHindIIIで切断し、アガロー
スゲル電気泳動 で分画した後、5.9kbのバンドをλ788
に挿入し、前記のプローブを用いて単離する。
子とマウスVL遺伝子、及びヒトCH遺伝子とヒトCL遺
伝子を用いて、プロモーター領域及びエンハンサー領域
などを考慮しながらマウスVH遺伝子の下流にヒトCH遺
伝子を、またマウスVL遺伝子の下流にヒトCL遺伝子
を、適切な制限酵素及びDNAリガーゼを用いて、例え
ばpSV2gptあるいはpSV2neo等の発現ベクターに常法に従
って組み込む。この際、マウスVH遺伝子/ヒトCH遺伝
子とマウスVL遺伝子/ヒトCL遺伝子のキメラ遺伝子
は、一つの発現ベクターに同時に配置されてもよいし、
各々別個の発現ベクターに配置することもできる。
発現ベクターを、例えばP3X63・Ag8・653細胞あるいはS
P210細胞といった、自らは抗体を産生していない骨髄腫
細胞にプロトプラスト融合法、DEAE−デキストラン法、
リン酸カルシウム法あるいは電気穿孔法等により導入す
る。形質転換細胞は、発現ベクターに導入された薬物耐
性遺伝子に対応する薬物含有培地中での培養により選別
し、目的とするキメラモノクローナル抗体産生細胞を取
得する。このようにして選別された抗体産生細胞の培養
上清中から目的のキメラモノクローナル抗体を取得す
る。
d抗体)」は、遺伝子工学的に作製されるモノクローナ
ル抗体であって、具体的には、例えば、その超可変領域
の相補性決定領域の一部または全部がマウスモノクロー
ナル抗体に由来する超可変領域の相補性決定領域であ
り、その可変領域の枠組領域がヒトイムノグロブリン由
来の可変領域の枠組領域であり、かつその定常領域がヒ
トイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴と
するヒト型モノクローナル抗体を意味する。
は、抗体の可変領域中の超可変領域に存在し、抗原と相
補的に直接結合する部位である3つの領域(Complement
arity-determining residue;CDR1、CDR2、CDR3)を指
し、また可変領域の枠組領域とは、該3つ相補性決定領
域の前後に介在する比較的保存された4つの領域(Fram
ework;FR1、FR2、FR3、FR4)を指す。換言すれば、例
えばマウスモノクローナル抗体の超可変領域の相補性決
定領域の一部または全部以外の全ての領域が、ヒトイム
ノグロブリンの対応領域と置き代わったモノクローナル
抗体を意味する。ヒトイムノグロブリン由来の定常領域
は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等のア
イソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有するが、
本発明におけるヒト型モノクローナル抗体の定常領域は
いずれのアイソタイプに属するヒトイムノグログリンの
定常領域であってもよい。好ましくは、ヒトIgGの定
常領域である。また、ヒトイムノグロブリン由来の可変
領域の枠組領域についても限定されるものではない。
は、例えば以下のようにして製造することができる。し
かしながら、そのような製造方法に限定されるものでな
いことは言うまでもない。例えば、マウスモノクローナ
ル抗体に由来する組換ヒト型モノクローナル抗体は、特
表平4−506458号公報及び特開昭62−2968
90号公報等を参照して、遺伝子工学的に作製すること
ができる。即ち、マウスモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマから、少なくとも1つのマウスH鎖CD
R遺伝子と該マウスH鎖CDR遺伝子に対応する少なく
とも1つのマウスL鎖CDR遺伝子を単離し、またヒト
イムノグロブリン遺伝子から前記マウスH鎖CDRに対
応するヒトH鎖CDR以外の全領域をコードするヒトH
鎖遺伝子と、前マウスL鎖CDRに対応するヒトL鎖C
DR以外の全領域をコードするヒトL鎖遺伝子を単離す
る。
トH鎖遺伝子を発現可能なように適当な発現ベクターに
導入し、同様に該マウスL鎖CDR遺伝子と該ヒトL鎖
遺伝子を発現可能なように適当なもう1つの発現ベクタ
ーに導入する。または、該マウスH鎖CDR遺伝子/ヒ
トH鎖遺伝子とマウスL鎖CDR遺伝子/ヒトL鎖遺伝
子を同一の発現ベクターに発現可能なように導入するこ
ともできる。このようにして作製された発現ベクターで
宿主細胞を形質転換することによりヒト型モノクローナ
ル抗体産生形質転換細胞を得、該形質転換細胞を培養す
ることにより培養上清中から目的のヒト型モノクローナ
ル抗体を得る。
グロブリンを構成するH鎖の可変領域及びH鎖の定常領
域並びにL鎖の可変領域及びL鎖の定常領域を含む全て
の領域がヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由
来するイムノグロブリンである。ヒト抗体は、常法に従
って、例えば、少なくともヒトイムノグロブリン遺伝子
をマウス等のヒト以外の哺乳動物の遺伝子座中に組込む
ことにより作製されたトランスジェニック動物を、抗原
で免疫感作することにより、前述したポリクローナル抗
体あるいはモノクローナル抗体の作製法と同様にして製
造することができる。例えば、ヒト抗体を産生するトラ
ンスジェニックマウスは、既報(Nature Genetics, Vol.
15, p.146-156, 1997; Nature Genetics, Vol.7, p.13-
21, 1994;表平4-504365号公報;国際出願公開WO94/2558
5号公報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50
頁、1995年;Nature, Vol.368, p.856-859, 1994;
及び特表平6-500233号公報)に記載の方法に従って作製
することができる。
の本発明における抗体、好ましくはモノクローナル抗体
の一部分の領域を意味し、具体的にはF(ab')2、Fab'、F
ab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv
(disulphide stabilised Fv)あるいはdAb(single do
main antibody)である (Exp. Opin. Ther. Patents,
Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。ここで、「F(a
b')2」及び「Fab'」とは、イムノグロブリン(モノ ク
ローナル抗体)を、蛋白分解酵素であるペプシンあるい
はパパイン等で処理することにより製造され、ヒンジ領
域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の前後
で消化されて生成される抗体フラグメントを意味する。
例えば、IgGをパパインで処理すると、ヒンジ領域中
の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の上流で切
断されてVL(L鎖可変領域)とCL(L鎖定常領域)か
らなるL鎖、及びV H(H鎖可変領域)とCHγ1(H鎖
定常領域中のγ1領域)とからなるH鎖フラグメントが
C末端領域でジスルフィド結合により結合した相同な2
つの抗体フラグメントを製造することができる。これら
2つの相同な抗体フラグメントを各々Fab'という。また
IgGをペプシンで処理すると、ヒンジ領域中の2本の
H鎖間に存在するジスルフィド結合の下流で切断されて
前記2つのFab'がヒンジ領域でつながったものよりやや
大きい抗体フラグメントを製造することができる。この
抗体フラグメントをF(ab')2という。
性を有するモノクローナル抗体を産生する細胞」とは、
前述した本発明のモノクローナル抗体を産生する任意の
細胞を意味する。具体的には、下記が包含される。 (1)前述したとおりの、本発明のタンパク、その断片
または該タンパクを産生する細胞等で非ヒト哺乳動物を
免疫して得られる本発明のタンパクまたはその一部に反
応性を有するモノクローナル抗体を産生する該非ヒト哺
乳動物由来のモノクローナル抗体産生B細胞。 (2)そのようにして得られた抗体産生B細胞を哺乳動
物由来のミエローマ細胞と細胞融合して得られる前述の
ハイブリドーマ(融合細胞)。 (3)該モノクローナル抗体産生B細胞またはモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマから単離される該モノク
ローナル抗体をコードする遺伝子(重鎖をコードする遺
伝子若しくは軽鎖をコードする遺伝子のいずれか一方、
または両方の遺伝子)により該B細胞及びハイブリドー
マ以外の細胞を形質転換して得られるモノクローナル抗
体産生形質転換細胞のいずれかを意味する。ここで、前
記(3)に記載のモノクローナル抗体産生形質転換細胞
は、即ち、前記(1)のB細胞または(2)のハイブリ
ドーマが産生するモノクローナル抗体の遺伝子組換え体
を産生する遺伝子組換え細胞を意味する。この組換えモ
ノクローナル抗体産生細胞は、前述したキメラモノクロ
ーナル抗体及びヒト型抗体の製造において使用される方
法と同様にして製造することができる。
される本発明のタンパク若しくはその断片(フラグメン
ト)、抗体または該抗体の一部のいずれかと、薬学的に
許容され得る担体とからなる医薬組成物である。ここで
「薬学的に許容され得る担体」とは、賦形剤、希釈剤、
増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳
香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あ
るいはその他の添加剤等が挙げられる。そのような担体
の一つ以上を用いることにより、錠剤、丸剤、散剤、顆
粒剤、注射剤、液剤、カプセル剤、トロー剤、エリキシ
ル剤、懸濁剤、乳剤あるいはシロップ剤等の形態の医薬
組成物を調製することができる。これらの医薬組成物
は、経口あるいは非経口的に投与することができる。非
経口投与のためのその他の形態としては、一つまたはそ
れ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液
剤、腸溶内投与のための坐剤およびペッサリーなどが含
まれる。
状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬組
成物に含有される活性成分(前記タンパクや抗体など)
の種類などにより異なるが、通常成人一人当たり、一回
につき10μgから1000mg (あるいは10μgから500mg)の
範囲で投与することができる。しかしながら、投与量は
種々の条件により変動するため、上記投与量より少ない
量で十分な場合もあり、また上記の範囲を越える投与量
が必要な場合もある。とりわけ注射剤の場合には、例え
ば生理食塩水あるいは市販の注射用蒸留水等の非毒性の
薬学的に許容され得る担体中に0.1μg抗体/ml担体〜10
mg抗体/ml担体の濃度となるように溶解または懸濁する
ことにより製造することができる。このようにして製造
された注射剤は、処置を必要とするヒト患者に対し、1
回の投与において1kg体重あたり、1μg〜100mgの割
合で、好ましくは50μg〜50mgの割合で、1日あたり1
回〜数回投与することができる。投与の形態としては、
静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは
腹腔内注射のような医療上適当な投与形態が例示でき
る。好ましくは静脈内注射である。
釈剤(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール、オリーブ油のような植物油、エタノールのよう
なアルコール類など)、懸濁剤あるいは乳濁剤として調
製することもできる。そのような注射剤の無菌化は、バ
クテリア保留フィルターを通す濾過滅菌、殺菌剤の配合
または照射により行うことができる。注射剤は、用時調
製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥
法などによって無菌の固体組成物とし、使用前に無菌の
注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することが
できる。
免疫系の異常を伴う原発性免疫不全症候群、主としてB
リンパ球の欠損、減少あるいは機能異常により発症する
と考えられている免疫不全症(例えば、伴性無γグロブ
リン血症、成長ホルモン欠乏を伴う伴性無γグロブリン
血症、IgM高値を伴う免疫グロブリン欠乏症、選択的IgM
欠損症、選択的IgE欠損症、免疫グロブリン重鎖遺伝子
欠失変異症、κ鎖欠乏症、IgA欠乏症、IgGサブクラス選
択的欠乏症、CVID(common variable immunodeficienc
y)、乳児一過性低γグロブリン血症、Rosen症候群、重
症複合免疫不全症(伴性、常染色体劣性)、ADA(adeno
sine deaminase)欠損症、PNP(purinenucleoside phos
phorylase)欠損症、MHCクラスII欠損症、細網異形成
症、Wiskott-Aldrich症候群、ataxia telangiectasia、
DiGeorge症候群、染色体異常、家族性Ig異化過多症、高
IgE症候群、Gitlin症候群、Nezelof症候群、Good症候
群、骨異形成症、トランスコバランミン症候群、セクレ
タリービース症候群、など)、後天的な原因により引き
起こされた免疫系の傷害を伴う続発性免疫不全症候群
(例えば、AIDSなど)であり抗体産生不全を伴う種々の
疾患、及び/または種々のアレルギー性疾患(例えば、
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、結膜炎、アレルギー性
鼻炎、アレルギー性腸炎、薬剤性アレルギー、食品アレ
ルギー、アレルギー性じんましん、糸球体腎炎など)の
予防並びに治療、並びに該疾患に伴う種々の免疫異常に
起因する病状を軽減するための医薬品として有用であ
る。
号7、9乃至15または35のいずれかに記載の塩基配列中
の部分塩基配列を含むDNA若しくは該DNAの一部が
化学修飾されているDNA、または該部分塩基配列に相
補的な塩基配列を含むDNA若しくは該DNAの一部が
化学修飾されているDNA」が包含される。ここで、
「部分塩基配列」とは、配列番号7、9乃至15または35
のいずれかに記載の塩基配列中に含まれる任意の部位に
おける任意の数の塩基からなる部分塩基配列を意味す
る。
ョンまたはRNAハイブリダイゼーションの操作におけ
るプローブとして有用である。当該DNAをプローブと
して用いる目的においては、該部分塩基配列としては、
連続した20塩基以上の部分塩基配列が挙げられ、好ま
しくは、連続した50塩基以上の部分塩基配列、さらに
好ましくは連続した100塩基以上の部分塩基配列、よ
り好ましくは連続した200塩基以上の部分塩基配列、
特に好ましくは連続した300塩基以上の部分塩基配列
が挙げられる。また、前述したとおり上記DNAは、P
CRにおけるプライマーとしても有用である。該DNA
をPCRプライマーとして用いる目的においては、該部
分塩基配列としては、連続した5乃至100塩基の部分
塩基配列が挙げられ、好ましくは、連続した5乃至70
塩基の部分塩基配列、さらに好ましくは連続した5乃至
50塩基の部分塩基配列、より好ましくは連続した5乃
至30塩基の部分塩基配列が挙げられる。
としても有用である。即ち、該DNAは、本発明のAID
蛋白をコードするDNAまたはRNAにハイブリダイズ
することにより、該DNAのmRNAへの転写あるいは
該mRNAのタンパクへの翻訳を阻害することができ
る。上記DNAをアンチセンス医薬として用いる目的に
おいては、該部分塩基配列としては、連続した5乃至1
00塩基の部分塩基配列が挙げられ、好ましくは、連続
した5乃至70塩基の部分塩基配列、さらに好ましくは
連続した5乃至50塩基の部分塩基配列、より好ましく
は連続した5乃至30塩基の部分塩基配列が挙げられ
る。
て用いる場合には、該DNAが患者の体内に投与された
場合の血中半減期の増大(安定性)、細胞内膜の透過性
の増大、あるいは経口投与の場合の消化器官での分解耐
性の増大若しくは吸収の増大などの目的のために、該D
NAの塩基配列の一部に化学修飾を施すことが可能であ
る。化学修飾としては、例えば、オリゴヌクレオチドの
構造中のリン酸結合、リボース、核酸塩基、糖部位、
3’及び/または5’末端等の化学修飾が挙げられる。リ
ン酸結合の修飾としては、1以上の該結合を、ホスホジ
エステル結合(D-オリゴ)、ホスホロチオエート結合、
ホスホロジチオエート結合(S-オリゴ)、メチルホスホ
ネート結合(MP-オリゴ)、ホスホロアミデート結合、
非リン酸結合及びメチルホスホノチオエート結合のいず
れかまたはそれらの組み合わせへの変更を挙げることが
できる。リボースの修飾としては、2'-フルオロリボー
スあるいは2'-O-メチルリボースへなどへの変更を挙げ
ることができる。核酸塩基の修飾としては、5-プロピニ
ルウラシルまたは2-アミノアデニンなどへの変更が挙げ
られる。
りの「本発明のAID蛋白の産生またはAID蛋白をコードす
る遺伝子のmRNAへの転写を調節する物質を同定する方
法」に関する。該本発明の方法は、即ち、「AID蛋白ま
たはAID遺伝子の機能を制御する能力を有する薬剤を選
別(スクリーニング)する方法である。本発明の方法に
用いられる細胞としては、本発明のAID蛋白を産生し得
る細胞であればどのような細胞をも利用し得る。例え
ば、天然の細胞(特に好ましくはマウスまたはヒトの天
然細胞)、本発明のAID蛋白をコードする遺伝子で形質
転換され遺伝子組換え細胞、本発明のAID蛋白をコード
するRNAが導入された細胞などが挙げられる。該遺伝
子組換え細胞の調製に用いられる宿主細胞としては、前
述の本発明のDNAを用いて本発明のタンパクを発現さ
せる方法について詳述した部分に記載された種々の細胞
を用いることができる。
用される天然細胞あるいは人工的に樹立された組換細胞
など種々の細胞(例えば、細菌(エシェリキア属菌、バ
チルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属な
ど)、動物細胞または昆虫細胞などが例示される。好ま
しくは動物細胞であり、具体的には、マウス由来細胞
(COP、L、C127、Sp2/0、NS-1またはNIH3T3等)、ラッ
ト由来細胞(PC12、PC12h等)、ハムスター由来細胞
(BHK及びCHO等)、サル由来細胞(COS1、COS3、COS7、
CV1及びVelo等)およびヒト由来細胞(Hela、2倍体線
維芽細胞に由来する細胞、HEK293細胞、ミエローマ細胞
およびNamalwa等)などが例示される。
在する天然の物質あるいは人工的に調製される任意の物
質を意味する。該物質は、「ペプチド性物質」と「非ペ
プチド性物質」に大別することができる。該「非ペプチ
ド性物質」としては、前述のアンチセンス医薬として有
用な「部分塩基配列を含むDNAあるいはそれらを化学
修飾した化学修飾DNA」、該アンチセンスDNAと同
様の構造的及び薬理学的特徴を有する「アンチセンスR
NA」あるいは化学的に合成された任意の「化合物」を
挙げることができる。ここで、該「化合物」とは、DN
A、RNA及び上記ペプチド性物質を除く化合物であっ
て、分子量約100乃至約1000以下の化合物、好ましくは
分子量約100乃至約800の化合物であり、より好ましくは
分子量約100乃至約600の化合物を挙げることができる。
述した本発明の抗体(好ましくはモノクローナル抗体、
特に好ましくは組換えヒト型モノクローナル抗体若しく
はヒトモノクローナル抗体)、オリゴペプチドまたはそ
れらいずれかの化学修飾体を挙げることができる。オリ
ゴペプチドとしては、5乃至30個のアミノ酸、好まし
くは5乃至20個のアミノ酸からなるペプチドを挙げる
ことができる。該化学修飾は、生体に投与された場合の
血中半減期の増大あるいは経口投与時における消化管で
の分解に対する耐性若しくは吸収性の増大の目的等の種
々の目的に応じて設計することができる。
(28)に記載の方法には、所謂レポータージェーンアッ
セイ(reporter gene assay)が包含される。「レポー
タータンパク」としては、蛍若しくはウミシイタケなど
に由来するルシフェラーゼ、またはクラゲ由来のGFP
(Green Fluorescence Protein)などが好ましい。レポ
ータージーンアッセイは、例えば、下記のような方法が
代表的である。標的蛋白をコードする遺伝子とレポータ
ー蛋白をコードする遺伝子を、該標的蛋白遺伝子のmRNA
への転写のシグナルに依存して該レポータータンパクを
コードする遺伝子のmRNAへの転写が起こるように挿入し
た発現ベクターで、遺伝子組換えタンパクの製造で一般
的に使用される細胞を形質転換して遺伝子組換え細胞を
作製する。得られた形質転換細胞に、被験物質(上述)
を接触させる。該物質の作用に依存して発現される該標
的蛋白のレベルを、該標的蛋白の発現と同時に発現され
る該レポータータンパクが発する蛍光の量を測定するこ
とにより間接的に測定することにより、該化合物が、ト
ランスポーター分子の発現に影響を与えるか否かを分析
する方法(例えば、米国特許第5,436,128号及び米国特
許第5,401,629号を参照できる)。
は、マニュアル作業でも可能であるが、機械(ロボッ
ト)を用いて自動で行う所謂ハイスループットスクリー
ニング(High Throughput Screening)(組織培養工学,
Vol.23, No.13, p.521-524;米国特許第5,670,113号)
を用いることによりより迅速、簡便に行うことができ
る。上記方法で用いられる「細胞」及び「物質」なる用
語は、前記に定義したとおりの意味を有する。
は、本発明のAID蛋白の機能亢進若しくは機能不全、あ
るいはAID遺伝子の機能不全若しくは変異などに起因す
ると考えられる上述したような種々の疾患(特に、種々
の免疫不全症及びアレルギー性疾患)の治療あるいは該
疾患に伴い併発する種々の病状の軽減のための医薬品と
して極めて有用である。
明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみに限
定されるものではないことは言うまでもない。
の培養及び性状の確認 本発明者らによって以前単離したIL-4、TGF-β及びCD40
Lによる刺激の数時間後にIgMからIgAへのクラススイッ
チ組換え(CSR)を起こすマウスB細胞クローンCH12F3-
2を既報と同様にして培養した(Immunity, Vol.9, p.1-
10, 1998; Curr. Biol., Vol.8, No.4, p.227-230, 199
8; Int. Immunol., Vol.8, No.2, p.193-201, 1996)。
該細胞CH12F3-2をIL-4、TGF-β及びCD40Lで刺激する
と、刺激の数時間後にクラススイッチ組換えによりルー
プアウトされるS領域(スイッチ領域)を含む環状DNA
が検出される。既報(Curr. Biol., Vol.8, No.4, p.22
7-230, 1998)と同様にして以下の操作を行った。
胞CH12F3-2及び未刺激の該細胞の各々を、蛋白合成阻害
剤であるシクロヘキシミド(cycloheximide; 200ng/m
l)の存在下または非存在下で6時間培養した。各々の
細胞から、ゲノムDNAを抽出し、該DNAを鋳型として常法
に従ってPCRを行い、Sμ配列及びSα配列を含む環状D
NAを増幅した。PCRは、一対のプライマーαF1及びμR3
を用いたPCR、並びに一対のプライマーαF1及びμR3を
用いたPCRを行った。また、対照としてGAPDH(glyceral
dehyde-3-phosphate dehydrogenase)をコードするゲノ
ムDNAも同様にPCRにより増幅した。PCR産物を、エチジ
ウムブロマイド染色によるゲル電気泳動に供した。この
結果を図1(a)及び図2(a)に示す。
状DNAの増幅の有無を確認するため、マウスSα領域遺
伝子をハイブリダイゼーションプローブとして用い、常
法(L.Sambrook, E.F., Tom Maniatis., Second editio
n, Ed. Molecular Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Sp
ring Harbour, 1989)に従って該PCR産物に対してサザ
ンハイブリダイゼーションを行った。なお、該Sα遺伝
子は、10kbのEcoRI切断断片IgH703をHindIII及びEarIで
切断して得られる1,155bpのDNA断片を用いた(Genbank
#D11468, DNA番号1993-3148)(J. Biol. Chem., Vol.2
68, p.4651-4655)。結果を図1(b)及び図2(b)に示
す。マウスB細胞CH12F3-2は、サイトカインの刺激によ
りクラススイッチ組換えに伴うSα配列を含むループア
ウトされたDNAが生じ、また該DNAの産生はシクロヘキシ
ミドの存在により阻害されることが示された。このこと
から、免疫グロブリン遺伝子のクラススイッチ組換えが
起こるためには、刺激の後の非常に早い段階での蛋白の
新規合成が必要であり、該蛋白がクラススイッチの誘導
に深く関与するものと推測された。
細胞クローンCH12F3-2で発現が増強される遺伝子の同定 マウスB細胞クローンCH12F3-2を刺激後の初期に発現
し、免疫グロブリン遺伝子のクラススイッチ組換えの誘
導を担うことが推測される遺伝子の該CH12F3-2細胞から
の単離を、抑制PCR効果(Nucleic Acids Res., Vol.23,
p.1087-1088, 1995)を利用したサプレッションサブト
ラクトハイブリダイゼーション法(supression subtrac
t hybridization (SSH))(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, Vol.93,p.6025-6030, 1996; Anal. Biochem., Vol.2
40, p.90-97, 1996)により試みた。
グに必要なcDNAライブラリーの調製は、PCR-Select Sub
traction Kit(CLONTECH製、カタログ番号:K1804-1)
を用い、該キットに添付の実験操作手順書に従って行っ
た。IL-4、TGF-β及びCD40Lで5時間刺激したマウスB
細胞クローンCH12F3-2、同サイトカインで12時間刺激し
た同細胞、並びに未刺激の同細胞の各々から、既報(Nu
cleic Acids Res., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998)
と同様にしてpolyA+RNAを単離し、次いで、DNaseIで処
理して混入しているかもしれないゲノムDNAを除去し
た。次いで、各々のpolyA+RNA試料を基に逆転写酵素を
用い常法に従ってcDNAを調製した。前記サイトカインで
各々5時間または12時間刺激したマウスB細胞クローン
CH12F3-2から調製した各々のcDNAを各々当モル量で混合
しテスターcDNA(tester cDNA)として用いた。一方、
未刺激の細胞由来のcDNAをドライバーcDNA(driver cDN
A)として用いた。
て、テスターcDNAにドライバーcDNAを加えサブトラクシ
ョンを行った。なお、サブトラクションの効率は、テス
ターcDNAに、コントロールとして制限酵素HaeIIIで切断
したφX174ファージDNAを少量(1:1000のモル比)加え
ることによりモニターした。サブトラクションの後、該
ファージDNAをモル比で約100倍に濃縮した。サブトラク
ションされたcDNA(subtracted cDNA)を、常法に従っ
てT-ベクター(Promega製)中にクローニングしプラス
ミドライブラリーを作製した。既報と同様にして、該ラ
イブラリーの2,000コロニーを、ディファレンシャルハ
イブリダイゼーション法によりスクリーニングした(Nu
cleic Acids Res., Vol.26,No.4, p.911-918, 1998; 臨
床免疫, Vol.29, No.Suppl.17, p.451-459, 1997)。な
お、前記テスターcDNA及びドライバーcDNAの各々を放射
性標識しハイブリダイゼーションプローブとして用い
た。なお、レプリカントフルターにφX174ファージDNA
をハイブリダイズさせることにより、φX174ファージDN
Aを含むクローンを区別した。
放射性標識テスターcDNAプローブに対してより強いシグ
ナルを発する115クローンを同定し、各々のクローンの
塩基配列をDNAシークエンサーを用いて決定した。該各
々のクローンに挿入されているDNAの放射性標識体をプ
ローブとして用い、IL-4、TGF-β及びCD40Lで刺激した
マウスB細胞クローンCH12F3-2あるいは未刺激の同細胞
株から取得したmRNAに対して常法(L.Sambrook, E.F.,
Tom Maniatis., Second edition, Ed. Molecular Cloni
ng (Nolan, C., Ed.), Cold SpringHarbour, 1989)に
よりノーザンブロッティングを行った。その結果、115
クローンの内の23クローンで前記サイトカインの刺激に
応じた発現増強が見られた。前記で決定した塩基配列情
報から、該23クローンには、各々下記の3種類の既知蛋
白をコードする遺伝子と4種類の新規蛋白をコードする
遺伝子を含む7種類の別々の蛋白をコードする遺伝子の
断片が挿入されていた。即ち、マウスB細胞クローンCH
12F3-2では、IL-4、TGF-β及びCD40Lによる刺激により
該7種類の遺伝子の発現が増強されることが分かった。
IL-4及びCD40Lで刺激すると前記I-a遺伝子及びABCD/MDC
遺伝子の発現が増強されることが知られていることか
ら、本サブトラクションクローニングが有効に行われた
ことが確認された(J. Exp. Med., Vol.188, No.3, p.4
51-463, 1998; Immunity, Vol.5, No.4, p.319-330, 19
96)。
細胞クローンCH12F3-2中での発現 IL-4、TGF-β及びCD40Lで刺激したマウスB細胞クロー
ンCH12F3-2中での新規蛋白23C9をコードする遺伝子の発
現の増強の程度を、常法(L.Sambrook, E.F.,Tom Mania
tis., Second edition, Ed. Molecular Cloning (Nola
n, C., Ed.), Cold Spring Harbour, 1989)に従ってノ
ーザンブロッティングにより解析した。マウスB細胞ク
ローンCH12F3-2を、下記のいずれかの試薬の存在下で12
時間培養した。 (1)IL-4、TGF-β及びCD40Lのみ。 (2)蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミド(200ng/m
l)のみ。 (3)IL-4、TGF-β及びCD40L並びにシクロヘキシミド(20
0ng/ml)。
C9をコードするcDNA断片(1,020bp)の放射性標識体を
プローブとして用い、各々の処理細胞群から既報(Nucl
eicAcids Res., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998)と同
様にして取得したmRNA(各群10μg)に対して常法(L.S
ambrook, E.F., Tom Maniatis., Second edition,Ed. M
olecular Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Spring Har
bour, 1989)によりノーザンブロッティングを行った。
ン及びシクロヘキシミドも加えないで培養したマウスB
細胞クローンCH12F3-2由来のmRNAについても同様にノー
ザンブロッティングを行った。なお、ゲル電気泳動する
mRNAの量は、GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehy
drogenase)のmRNAを指標にして補正した。GAPDH mRNA
のブロッティングのためのプローブは、GFプライマー及
びGRプライマーを用いたRT-PCRにより増幅されたDNAを
用いた(塩基位置:566-1016、Genbank U52599)(Immu
nity, Vol.9, p.1-10, 1998)。結果を図3および図4
に示す。新規蛋白23C9のmRNAの発現は、IL-4、TGF-β及
びCD40Lで刺激したマウスB細胞クローンCH12F3-2で非
常に強く、一方、未刺激の細胞での発現は極めて弱かっ
た。また、該刺激細胞でのmRNAの発現は、蛋白合成阻害
剤の存在によって阻害された。また、該刺激細胞では、
各々別々の長さの塩基長を有するmRNAの発現を示す2つ
のバンドが検出された。
り、元来クラススイッチ組換えをする機能を有していな
い下記の種々のマウス細胞株での新規蛋白23C9のmRNAの
発現を調べた。B細胞株(LyD9、BA/F3、70Z/3、WEHI23
1)、T細胞株(EL-4、2B4)、ミエローマ細胞株(X63、
WEHI-3)。繊維芽細胞株(L929、NIH3T3)、他の細胞株
(F2、P815、ST2)。しかしながら、いずれの細胞にお
いても新規蛋白23C9のmRNAの発現は見られなかった。
cDNAのクローニング 前記実施例で取得した新規蛋白23C9をコードするcDNA断
片(1,020bp)をプローブとして用い、IL-4、TGF-β及
びCD40Lで刺激したマウスB細胞クローンCH12F3-2から
作製したcDNAライブラリー(Nucleic Acids Res., Vol.
26, No.4, p.911-918, 1998)をスクリーニングして、
4つの別々の陽性クローンを取得した。各々のクローン
中のDNAの塩基配列を、常法に従って、DNAシークエンサ
ーを用いて決定した。1つのクローンは、1.2kbの塩基
長を有し、また1つのポリアデニレーション部位を有す
る単一の読み取り枠(open reading frame; ORF)を有
していた。他の3つのクローンは、2.4kbの塩基長を有
し、2つのポリアデニレーション部位を有していた。後
者のクローンの5'側の1.2kbの部分の塩基配列は、前者
の1.2kbのDNAの塩基と同一であった(配列番号1)。
検出された、異なる2つのmRNA転写物(図3および図
4)は、各々3'側のpolyA部位及び5'側のpolyA部位を用
いて転写された前記1.2kb及び2.4kbの各々のcDNAの転写
物に対応するものと思われた。なお、前記でプローブと
して用いた新規蛋白23C9をコードするcDNA断片(1,020b
p)は、23C9の全長cDNAの847乃至1866番目の塩基配列で
あることが分かった。各々のcDNAにおける最初の開始コ
ドンの近傍の塩基配列は、コザックのルール(Kozak's
rule)(Nucleic Acids Res., Vol.15, No.20, p.8125-
8148, 1987)に適合していた。また、該2.4kbのcDNAに
は、3'側の非翻訳領域中に、mRNAの急速な分解を媒介す
ることができるモチーフであるATTTA(Blood, Vol.83,
No.11,p.3182-3187, 1994)が2箇所存在していた。
は、分子量が約24kDaと算出される198個のアミノ酸から
構成されていた(配列番号2)。データベースを用いた
既知蛋白とのホモロジー検索の結果、新規蛋白23C9のOR
Fのアミノ酸配列は、APOBEC-1(apolipoprotein B mRNA
editing enzyme, catalytic polypeptide-1)と34%の
アミノ酸同一性を有していた(Science, VOl.260, No.5
115, p.1816-1819, 1993; J. Biol. Chem., Vol.268, N
o.28, p.20709-20712, 1993)。なお、DNAデータベース
として、GenBank及びEMBLを利用した。蛋白データベー
スとしては、SwissPlotを利用した。また、データベー
ス検索は、BLASTプログラム(J. Mol. Biol., Vol.215,
No.3, p.403-410, 1990)及びFASTAプログラム(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA., Vol.85, No.8, p.2444-2448,
1988)を用いて行った。
に該配列とマウスAPOBEC-1のアミノ酸配列とのアライン
メント(alignment)を図5に示す。PROSITE(Nucleic
Acids Res., Vol.11, No.20, p.2013-2018, 1992)を用
いてオンライン上でモチーフ検索を行った結果、該APOB
EC-1様新規蛋白23C9は、大きなファミリーを形成するシ
トシン ヌクレオシド/ヌクレオチド デアミナーゼファ
ミリー(cytosine nucleoside/nucleotide deaminase f
amily)に属する蛋白のアミノ酸配列中に保存されてお
りデアミナーゼ活性の活性部位であるシチジン/デオキ
シシチジンデアミナーゼモチーフ(cytidine/deoxyciti
dine deaminase motif)を有していた。シトシン ヌク
レオシド/ヌクレオチド デアミナーゼファミリーは、
基質特異性及び活性部位の配列の相同性に基づいて、RN
A編集デアミナーゼ(RNA editing deaminase)、シチジ
ン/デオキシシチジレートデアミナーゼ(cytidine/deo
xycytidylate deaminase)、及びCMP/dCMPデアミナーゼ
に分類される(Cell, Vol.81, No.2, p.187-195, 199
5)。
るAPOBEC-1、シトシンヌクレオシドデアミナーゼ、シト
シンヌクレオチドデアミナーゼ、及び該新規蛋白23C9の
シチジンデアミナーゼモチーフの領域のアラインメント
(alignment)を基に系統樹(phylogenetic tree)を作
成した。なお、比較に用いた既知蛋白の配列は下記のと
おりGenBankより入手した。 ヒト由来ヌクレオシドデアミナーゼ: L27943 マウス由来ヌクレオシドデアミナーゼ: AA388666 S.subtilis由来ヌクレオシドデアミナーゼ: U18532 E.coli由来シチジンデアミナーゼ: X63144 ウサギ由来APOBEC-1: U10695 ヒト由来APOBEC-1: L25877 ラット由来APOBEC-1: U10695 マウス由来APOBEC-1: U21951 T2/T4ファージ由来ヌクレオチドデアミナーゼ: J0517
2 ヒト由来ヌクレオチドデアミナーゼ: L12136 S.cerevisies由来ヌクレオチドデアミナーゼ: U10397
ンデアミナーゼモチーフは、ヌクレオシドデアミナーゼ
及びヌクレオチドデアミナーゼのサブグループより寧ろ
RNA編集デアミナーゼのサブグループに近縁であった。
一方、APOBEC-1のC末端側に存在するロイシンに富んだ
領域(Leucine-rich region)は、蛋白と蛋白との相互
作用に重要であると考えられている(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA., Vol.91, No.18, p.8522-8526, 1994; J.
Biol. Chem., Vol.269, No.34, p.21725-21734, 199
4)。該新規蛋白23C9も、そのC末端側にロイシンに富
んだ領域(Leucine-rich region)を有していた。ま
た、23C9の該領域中の4つのロイシンは、ウサギ、ラ
ット、マウス及びヒトのAPOBEC-1のLeucine-rich regio
n中に保存されていた。
6、Phe87、His61、Glu63及びCys93が必須であることが
知られているが、これら全てのアミノ酸残基が23C9蛋白
の一次構造中に保存されていた(Trends Genet., Vol.1
2, No.10, p.418-424, 1996; Cell, Vol.81, No.2, p.1
87-195, 1995; J. Biol. Chem., Vol.270, No.24, p.14
768-14775, 1995; J. Biol. Chem., Vol.270, No.24,
p.14762-14767, 1995)。この事実から23C9蛋白は、RNA
編集デアミナーゼ活性を有することが推察される。
ンデアミナーゼ(ECCDA)は、それらのC末端側に、偽活
性化部位ドメイン(pseudoactive site domain)を有す
ることが知られているが、該23C9蛋白もAPOBEC-1と同様
の偽活性化部位ドメインを有していた。これは、23C9蛋
白が、他のグループのデアミナーゼ蛋白よりも、APOBEC
-1及びECCDAに近縁であることを示している。これらの
事実から、該新規蛋白23C9を、AID(activation-induce
d cytidine deaminase)と命名した。以下新規蛋白23C9
をAIDと称する。
DNAを、一対のプライマーAID-138(配列番号3)及びAI
D-161(配列番号4)、一対のプライマーAID-118(配列
番号5)及びAID-119(配列番号6)、並びにTaqポリメ
ラーゼを用いたPCRにより常法に従って増幅した。AID-1
18とAID-119の間にはイントロンが存在するため、AIDゲ
ノミックDNA配列に由来するPCR産物を容易に分別するこ
とができる。得られたPCR産物を、常法に従ってpGEX4T1
ベクター(Pharmacia製)中にサブクローニングした。
ベクターの塩基配列を決定し、該ベクター中にクローニ
ングされた全長AIDcDNAの塩基配列中にTaqポリメラーゼ
の使用に由来する点変異が存在しないことを確認した。
を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、全長AI
D cDNAを、GST(glutathione S-transferase)との融合
蛋白として発現させた。AID-GST融合蛋白を、既報と同
様にして、抽出した後、グルタチオンアガロースアフィ
ニティークロマトグラフィー(glutathione agaroseaff
inity chromatography)を用いて精製した(J. Biol. C
hem., Vol.270, No.24, p.14768-14775, 1995)。精製A
ID-GST融合蛋白の分子量を、常法に従って、10%SDS-PA
GE及び銀染色法(silver staining)により分析した。
なお、野生型の大腸菌DH5αから抽出した蛋白を対照と
して用いた。結果を図7に示す。予期したとおり、融合
蛋白は約49kDaの分子量を有するバンドとして検出され
た。該約49kDaの下方に検出されたマイナーバンドは、
一般的に精製過程で頻繁に生ずる蛋白分解物であると考
えられた。また精製AID-GST融合蛋白の分子量を常法に
従って、ウエスタンブロット法により分析した(Genomi
cs, Vol.54, No.1, p.89-98, 1998)。本アッセイに使
用する抗AID蛋白抗体は、市販の実験用ウサギに本発明
のAID蛋白(配列番号:2)のアミノ酸番号116及至132
番目に対応する合成ペプチドを含むマルチプル抗原ペプ
チド(Proc.Natl.Acad.Sci.USA., Vol.85, No.15, p.54
09, 1988)を免疫して調製した。結果を図8に示す。
ゼ活性 AIDのシチジンデアミナーゼ活性を、既報と同様にして
測定した(J. Biol. Chem., Vol.270, No.24, p.14768-
14775, 1995)。前記で調製した精製AID-GST融合蛋白
(2, 4, 6, 8, 10, 20, 40, 60, 100, 200, 300, 400,
及び600ng)を、3.3μCiの[3H]デオキシシチジン(24.8
Ci/mmol,DuPont製)及び250μMシチジンとともに45mMの
Trisを含む緩衝液(pH7.5、総量10μl)中で2乃至4時
間インキュベーションした。次いで、デオキシシチジン
(10μg/mlで2μl)及びデオキシウリジン(10μg/ml
で2μl)を加えて反応を止めた。次いで、遠心分離に
より不溶性物質を除いた後、反応混合物(4μl)をポ
リエチレンイミンーセルロース薄層クロマトグラフィー
プレート(VWR製)に供した。プレートを、イソプロピ
ルアルコール/10%HCl(7:2 v/v)中で展開させた。プ
レートを、紫外線(254nm)に曝して視覚化し、デオキ
シシチジン及びデオキシウリジンに対応するバンドをか
き集めUltima Gold シンチレーション液中に加え、液体
シンチレーション分光計(Packard製)で定量した。結
果を、図9に示す。この結果、AID蛋白は、濃度依存的
なシチジンデアミナーゼ活性を示した。
ンデアミナーゼ活性の、シチジンデアミナーゼの特異的
阻害剤であるテトラヒドロウリジン(tetrahydrouridin
e, THU;0乃至40μM)(Calbiochem製、USA)による阻
害効果を、前記と同様にして測定した。結果を、図10
に示す。AID蛋白のシチジンデアミナーゼ活性は、THUの
濃度に依存して阻害された。また、AID-GST融合蛋白(3
00ng)のシチジンデアミナーゼ活性の、亜鉛キレート化
剤である1,10-o-phenanthroline(0乃至20mM)及びそ
の不活性型異性体である1,7-o-phenanthroline(0乃至
20mM)各々による阻害効果を、前記と同様にして測定し
た。結果を、図11に示す。AID蛋白のシチジンデアミ
ナーゼ活性は、20mMの1,10-o-phenanthrolineにより約9
1%阻害された。不活性型異性体である1,7-o-phenanthr
olineでは、約13%しか阻害されなかった。この結果、A
ID蛋白は、APOBEC-1と同様に亜鉛依存的シチジンデアミ
ナーゼであることが示された。
性 組換えAPOBEC-1は、AU-rich RNAに結合し(Trends Gene
t., Vol.12, No.10, p.418-424, 1996; Cell, Vol.81,
No.2, p.187-195, 1995; J. Biol. Chem., Vol.270, N
o.24, p.14768-14775, 1995; J. Biol. Chem., Vol.27
0, No.24, p.14762-14767, 1995)、また補助因子を含
むニワトリ抽出物の存在下でapoBのRNA編集を進行させ
る。
するとともに機能的なシチジンデアミナーゼ活性を有す
ることから、AID蛋白のRNA編集活性を調べるために、AP
OBEC-1のRNA基質であるAU-rich RNA(5-AU)及びapoB R
NAへの結合性を検討した。ゲルリターデーションアッセ
イ(gel retardation assay)においては、AID蛋白は、
AU-rich RNA(5-AU)に結合性を示さなかった。また、i
n vitro apoB RNAアッセイでは、C(シチジン)からU
(ウリジン)への変換は見られなかった。
グにより常法(L.Sambrook, E.F., Tom Maniatis., Sec
ond edition, Ed. Molecular Cloning (Nolan,C., E
d.), Cold Spring Harbour, 1989;実験医学・別冊、
「遺伝子工学ハンドブック」、羊土社発行、p.133-14
0、1992年)に従って調べた。試料としてのmRNAは、マ
ウスの各種組織(筋肉、脾臓、肺、心臓、リンパ節、
脳、腎臓、胸腺、精巣、肝臓)の各々に由来する細胞か
ら既報(Nucleic AcidsRes., Vol.26, No.4, p.911-91
8, 1998)と同様にして取得したpolyA+RNA(各2μg)
を用いた。polyA+RNAのブロッティングのためのプロー
ブは、前記実施例で取得したAID(23C9)をコードするc
DNA断片(1,020bp)の放射性標識体をプローブとして用
いた。なお、対照として、GAPDH(glyceraldehyde-3-ph
osphate dehydrogenase)のmRNAを同様にしてブロッテ
ィングした。GAPDH mRNAのブロッティングのためのプロ
ーブは、GFプライマー及びGRプライマーを用いたRT-PCR
により増幅されたDNAを用いた(塩基位置:566-1016、G
enbank U52599)(Imunity, Vol.9, p.1-10,1998)。結
果を図12に示す。この結果、AID mRNAは、腸管膜リン
パ節(mesenteric lymphnode)で強い発現が見られた。
また、脾臓でも弱い発現が見られた。
の発現 AID mRNAの各種リンパ性組織での発現を、常法(Imunit
y, Vol.9, p.1-10, 1998)に従ってRT-PCRにより解析し
た。試料としてのmRNAは、マウスの各種リンパ性組織
(パイエル板(Peyer's patch)、腸管膜リンパ節、腋
窩リンパ節、脾臓、骨髄、胸腺)の各々に由来する細胞
から既報(Nucleic Acids Res., Vol.26, No.4, p.911-
918, 1998)と同様にして取得したpolyA+RNAを鋳型に、
常法により逆転写酵素によりcDNAを調製した。得られた
cDNAを鋳型に、PCRによりAID cDNA及びGAPDH cDNAを増
幅した。AID cDNAのPCRには、前述の一対のプライマーA
ID-138(配列番号3)及びAID-161(配列番号4)、一対
のプライマーAID-118(配列番号5)及びAID-119(配列
番号6)、並びにTaqポリメラーゼを用いた。AID-118と
AID-119の間にはイントロンが存在するため、AIDゲノミ
ックDNA配列に由来するPCR産物を容易に分別することが
できる。結果を図13に示す。AID cDNAは、胸腺以外の
全てのリンパ性組織で検出された。特に、リンパ節やパ
イエル板などの末梢リンパ器官で顕著な発現が見られ
た。一方、一次性リンパ器官での発現は該末梢リンパ器
官での発現と比べ低いものであった。
CH12F3-2でのAID mRNAの経時的発現IL-4、TGF-β及びCD
40Lで0乃至60時間刺激したマウスB細胞クローンCH12F
3-2中でのAID mRNAの経時的発現を、常法(L.Sambrook,
E.F., Tom Maniatis., Second edition, Ed. Molecula
r Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Spring Harbour, 1
989)に従ってノーザンブロッティングにより解析し
た。マウスB細胞クローンCH12F3-2を、IL-4、TGF-β及
びCD40Lの存在下で各種時間(0, 3, 5, 12, 24, 36, 48
または60時間)培養した。次いで、前記実施例で取得し
たAID(23C9)をコードするcDNA断片(1,020bp)の放射
性標識体をプローブとして用い、各々の培養群から既報
(Nucleic AcidsRes., Vol.26, No.4, p.911-918, 199
8)と同様にして取得したmRNA(各群10μg)に対して常
法(L.Sambrook, E.F., Tom Maniatis., Second editio
n, Ed. Molecular Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Sp
ring Harbour, 1989)によりノーザンブロッティングを
行った。
H(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)のmRN
Aを指標にして補正した。GAPDH mRNAのブロッティング
のためのプローブは、GFプライマー及びGRプライマーを
用いたRT-PCRにより増幅されたDNAを用いた(塩基位
置:566-1016、Genbank U52599)(Immunity, Vol.9,
p.1-10, 1998)。結果を図14に示す。マウスB細胞ク
ローンCH12F3-2でのAID mRNAの発現は、サイトカインに
よる刺激がない場合には検出不可能な程度であるが、サ
イトカイン(上述)の刺激により、刺激後約3時間で発
現が始まり、約12時間後に最大の発現(約15倍以上)に
至り、48時間後から次第に減少することが示された。
-2でのAID mRNAの発現誘導のサイトカイン特異性 マウスB細胞クローンCH12F3-2中でのAID mRNAの発現誘
導のサイトカイン特異性を、常法(L.Sambrook, E.F.,
Tom Maniatis., Second edition, Ed. Molecular Cloni
ng (Nolan, C., Ed.), Cold Spring Harbour, 1989)に
従ってノーザンブロッティングにより解析した。マウス
B細胞クローンCH12F3-2を、各種組み合わせのサイトカ
イン(IL-4、TGF-β及びCD40Lから選ばれる1以上)の
存在下で12時間培養した。次いで、前記実施例で取得し
たAID(23C9)をコードするcDNA断片(1,020bp)の放射
性標識体をプローブとして用い、各々の培養群から既報
(Nucleic AcidsRes., Vol.26, No.4, p.911-918, 199
8)と同様にして取得したmRNA(各群10μg)に対して常
法(L.Sambrook, E.F., Tom Maniatis., Second editio
n, Ed. Molecular Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Sp
ring Harbour, 1989)によりノーザンブロッティングを
行った。
H(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)のmRN
Aを指標にして補正した。GAPDH mRNAのブロッティング
のためのプローブは、GFプライマー及びGRプライマーを
用いたRT-PCRにより増幅されたDNAを用いた(塩基位
置:566-1016、Genbank U52599)(Immunity, Vol.9,
p.1-10, 1998)。結果を図15に示す。AID-mRNAの発現
誘導は、いずれか1種類のみのサイトカインでは小さな
ものであった。一方、上記上記3種類のサイトカインを
同時に用いた場合には、AID-mRNAの最大の発現誘導が見
られた。前記実施例3で示したように、AID mRNAの発現
誘導は蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミドにより阻
害されることから、AID mRNAの発現増強には、蛋白の新
規合成(de novo synthesis)が必要であると考えられ
る。
D mRNAの発現誘導 B細胞を活性化し免疫グロブリン遺伝子のクラススイッ
チ組換えを誘導するような刺激による脾臓B細胞でのAI
D mRNAの発現誘導の有無を検討した。BALB/cマウス(6
乃至12週齢、清水実験材料(SLC)製)から常法に従っ
て脾臓B細胞を精製、取得した。なお、死細胞及び細胞
断片は、T細胞除去の工程の後、フィコール密度勾配遠
心法により除去した。該精製脾臓B細胞を、既報(Nucl
eic Acids Res., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998)と
同様にして各種組み合わせの刺激物質(IL-4、TGF-β、
CD40L及びLPS(lipopolysaccharide)から選ばれる1以
上)の存在下で4日間培養した。なお、LPSは、Salmone
lla typhosa由来のLPS(50μg/ml、Sigma製)を用い
た。
9)をコードするcDNA断片(1,020bp)の放射性標識体を
プローブとして用い、各々の培養群から既報(Nucleic
AcidsRes., Vol.26, No.4, p.911-918, 1998)と同様に
して取得したmRNA(各群15μg)に対して常法(L.Sambr
ook, E.F., Tom Maniatis., Second edition, Ed. Mole
cular Cloning (Nolan, C., Ed.), Cold Spring Harbou
r, 1989)によりノーザンブロッティングを行った。な
お、ゲル電気泳動するmRNAの量は、GAPDH(glyceraldeh
yde-3-phosphate dehydrogenase)のmRNA及び28S ribos
omal RNAを指標にして補正した。GAPDH mRNAのブロッテ
ィングのためのプローブは、GFプライマー及びGRプライ
マーを用いたRT-PCRにより増幅されたDNAを用いた(塩
基位置:566-1016、Genbank U52599)(Immunity, Vol.
9, p.1-10, 1998)。結果を図16に示す。正常マウス
脾臓B細胞では、LPSのみ、LPS+IL-4、、またはLPS+TGF
-βによる刺激によりAID mRNAの発現増強が見られた。
誘導 各種刺激によるAID mRNAのin vitroでの発現誘導が、in
vivoでも起こるか否かを試験した。BALB/cマウス(6乃
至12週齢、各群5匹、SLC製)を、羊赤血球(SRBC; sh
eepred blood cell)(1×108個、Cosmo Bio.製)を腹
腔内投与することにより免疫した。羊赤血球を免疫され
た生体では、免疫応答に続いて、クローナル細胞増幅
(clonal expansion)及び胚中心形成(germinal cente
r formation)が起き免疫グロブリン遺伝子のクラスス
イッチ組換え及びアフィニティーマチュレーションが引
き起こされることが知られている。
び13日目)の各々に切除した脾臓(各群5匹)から単離
した脾臓細胞からpolyA+RNAを調製した。該polyA+RNA
(各2μg)を、前記実施例と同様にして、AID(23C9)
をコードするcDNA断片(1,020bp)の放射性標識体をプ
ローブとして用いるノーザンブロッティングに供した。
なお、ゲル電気泳動するmRNAの量は、前記実施例と同様
にGAPDHのmRNAを指標にして補正した。結果を図17に
示す。AID mRNAの発現は、SRBCの免疫前(0日)におい
ては最低量しか検出されなかったが、免疫後5日目及び
13日目においては有意な発現増強(約4乃至5倍)が見
られた。
の内のどの細胞種でAID mRNAの発現増強が起こっている
のかを、常法(Imunity, Vol.9, p.1-10, 1998)に従っ
てRT-PCRを用いて解析した。上述と同様にしてSRBCの免
疫から5日後に取得した脾臓から取得した脾臓細胞か
ら、常法により赤血球を除いた後、既報(Eur. J. Immu
nol., Vol.3, No.10,p.645-649, 1973)と同様にしてナ
イロン繊維(和光純薬製)を用いてT細胞と非T細胞に
分けた。T細胞分画には、CD3陽性細胞が90%以上含ま
れており、またB220陽性細胞は20%以下であった。次い
で、抗CD19抗体が接合させたマグネティックビーズ(Mi
ltenyi Biotec.製)を用いるMACS法により、T細胞分画
の濃縮(B細胞の除去)並びにB細胞分画の濃縮を行っ
た。CD19陽性細胞を除いた分画に含まれるB220陽性B細
胞は5%以下であった。一方、CD19陽性細胞を濃縮した
分画に含まれるB220陽性B細胞は60%以上であった。
A+RNAを鋳型に、常法により逆転写酵素によりcDNAを調
製した。得られたcDNAを鋳型に、PCRによりAID cDNA及
びGAPDH cDNAを増幅した。AID cDNAのPCRには、前述の
一対のプライマーAID-138(配列番号3)及びAID-161
(配列番号4)、一対のプライマーAID-118(配列番号
5)及びAID-119(配列番号6)、並びにTaqポリメラー
ゼを用いた。結果を図18に示す。この結果、CD19陽性
B細胞分画及び非T細胞分画において、AID cDNAの増幅
が見られた。即ち、SRBCによる免疫により誘導されるAI
D mRNAの発現増強は、脾臓のCD19陽性B細胞で起こるこ
とが示された。
官における局在 前記実施例の結果から、脾臓におけるAID mRNAの発現の
増強のタイミングは、SRBCによる免疫後の胚中心(germ
inal center; GC)の形成の開始とほぼ一致しているこ
とが分かった。本試験では、リンパ性器官でのAID mRNA
の発現の正確な局在をin situ hybridization法を用い
て解析した。AID蛋白をコードするcDNAがサブクローニ
ングされているpGEX4T1ベクター(前記実施例)を、Eco
RI及びXhoIで消化して切り出したAID cDNAを、プラスミ
ドpBluescriptSK(+)(Stratagene製)中にサブクローニ
ングした。次いで、該プラスミドをEcoRIまたはXhoIで
消化して得た線状化プラスミドDNAを鋳型とし、ジゴキ
シゲニン(digoxigenin)標識rUTP(Boehringer-Mannhe
im製)の存在下で、T3 RNAポリメラーゼまたはT7 RNAポ
リメラーゼを用いてRNAへ転写し、ジゴキシゲニン標識
したアンチセンスプローブ及びセンスプローブを各々調
製した。
の脾臓及びパイエル板の各々からパラホルムアルデヒド
で固定化した凍結組織切片を調製した。また、前記実施
例と同様に正常マウスをSRBCで免疫し、免疫後5日目に
取得した脾臓からパラホルムアルデヒドで固定化した凍
結組織切片を調製した。各々の固定化切片を備えたスラ
イドに該ジゴキシゲニン標識アンチセンスAIDプローブ
またはセンスAIDプローブを加えてハイブリダイゼーシ
ョンを行った。ハイブリダイズしたジゴキシゲニン標識
AIDプローブを、アルカリンフォスファターゼを接合さ
せた抗ジゴキシゲニン抗体を用いて検出した。プローブ
上のジゴキシゲニンに結合した抗ジゴキシゲニン抗体の
局在を、フォスファターゼ反応物(暗い紫様の色)を検
出することにより同定した。なお、この解析は、光学顕
微鏡(light transmission microscope)を用いて行っ
た。
ion及びリボプローブ(riboprobe)の検出は、既報と同
様にして行った(J. Comp. Neurol., Vol.333, No.3,
p.398-416, 1993)。各組識切片の胚中心の位置は、FIT
Cを接合させたPNA(Vector製)で染色し、蛍光顕微鏡で
観察して同定した。結果を図19及び図20に示す。ア
ンチセンスAIDプローブを用いた試験においては、SRBC
免疫マウス(免疫後5日目)由来の脾臓組織切片におい
て複数の明瞭な限局性シグナル(focal signals)が観
察されたが(図19(E)及び図20(E))、SRBCにより免
疫を施していないマウス由来の脾臓組織切片では、シグ
ナルが検出されなかった(図19(B)及び図20(B))。
この結果は、前記実施例で得られたノーザンブロッティ
ングの結果(図17)と一致していた。FITC標識PNAに
よる染色により、SRBC免疫マウス(免疫後5日目)由来
の脾臓組織切片(図19(F)及び図20(F))、並びに正
常パイエル板(図20(I))の両方ともに胚中心の存在
が認められた。また、該両組織切片におけるAID mRNAの
発現も、胚中心に一致して局在していることが分かっ
た。なお、センスAIDプローブを用いた試験では、SRBC
による免疫の有無に拘らず、脾臓及びパイエル板のいず
れの組織切片においてもバックグラウンドとしてのシグ
ナルが検出されなかった。この結果から、AID mRNAの発
現誘導は、抗原による刺激により活性化された胚中心B
細胞で特異的に起こることが示された。
るゲノミックDNAの単離 <15-1> ハイブリダイゼーション用プローブの作製 実施例5で作製したマウスAID蛋白の全長をコードするc
DNAをプラスミドベクターpGEX4T1に挿入して作製した発
現ベクターを鋳型として、一対のPCRプライマー(プラ
イマー170:配列番号16、及びプライマー181:配列番
号17)を用いて上述したとおりの常法に従ってPCRを
行った。得られたPCR産物を上述したとおりの常法によ
り精製し、精製DNAの塩基配列をダイレクトシークエン
ス法で決定し、当該精製DNAが、マウスAID蛋白の全長を
コードする塩基配列に相違ないことを確認した。この精
製DNAを以下の実験におけるハイブリダイゼーション用
プローブとして用いた。
のスクリーニング 前記で調製したプローブを、上述したノーザンブロッテ
ィングにおける放射性標識と同様の方法により放射性同
位体で標識した放射性標識プローブとした。当該標識プ
ローブを用いて、市販のヒトゲノミックDNAライブラリ
ー(カタログ番号:HL1067j; ロット番号:45003;CLON
ETECH製)を、常法に従ってクロスハイブリダイゼーシ
ョン法によりスクリーニングした。ハイブリダイゼーシ
ョン後の洗浄は、2×SSC(0.1%SDS含有、室温下、10
分)で2回、及び2×SSC(0.1%SDS含有、65℃、30分)
で2回行った。ファージDNAのサブクローニングは、ファ
ージDNAを精製した後、該ファージDNA中のNotIで切り出
して得られる約22kbのゲノミックDNAをプラスミドpZero
-2.1のNotI制限酵素部位に挿入することにより行った。
このプラスミドを3CpZeroと命名した。3CPZeroをPstIで
消化して得られるDNA断片を、プラスミドpBlueScript K
S(東洋紡)のPstI部位に連結し、この連結DNAで大腸菌
を形質転換した。常法に従って上記で調製した標識プロ
ーブを用いてコロニーハイブリダーゼーション法によ
り、形質転換細胞をスクリーニングし、複数の陽性クロ
ーンを得た。各々の陽性クローンに挿入されているヒト
ゲノミックDNAの塩基配列を解析し、ヒトAID蛋白をコー
ドするDNAのゲノミックDNAを含む複数のクローンを同定
した。該複数のクローンのうちの2つのクローン中に含
まれるヒトAID蛋白をコードするDNAを含むゲノミックDN
Aの塩基配列の各々を、配列番号9及び配列番号10に
記載した。さらに他の陽性クローンに含まれるヒトAID
蛋白をコードするDNAを含むゲノミックDNAの塩基配列
を、配列番号35に記載した。
るcDNAの単離及びヒトAID蛋白の調製 得られたヒトAID蛋白のコーディング領域を含むゲノミ
ックDNAの塩基配列を、上述で決定したマウスAID蛋白の
全長をコードするcDNA配列と比較することにより、該ヒ
トゲノミックDNA中のヒトAID蛋白コーディング領域を推
定した。推定されたヒトAID蛋白のコーディング領域の
塩基配列を基に一対のRACE-PCR用のプライマーを設計し
た(プライマー22:配列番号18、及びプライマー25:
配列番号19)。既報(J. Biol. Chem., Vol.274, p.1
8470-18476, 1999)に従ってヒトB Lymphoma細胞株RAMO
Sから調製したmRNAを鋳型として、上記一対のプライマ
ーを用いて常法に従ってRACE-PCRを行った。得られたPC
R産物の塩基配列を決定し、ヒトAID蛋白の全長をコード
するcDNAを得た(cDNA配列:配列番号7、及びアミノ酸
配列:配列番号8)。その結果、ヒトAID蛋白(配列番
号8)は、マウスAID蛋白(配列番号2)と非常に高い
アミノ酸配列同一性を有していた(図22)。また、AI
D蛋白の活性領域であるシチジン・デオキシシチジン・
デアミナーゼ・亜鉛結合領域(cytidineand deoxycytid
ilate deaminases zinc-binding region)のアミノ酸配
列(マウスAID及びヒトAIDともに、アミノ酸番号:56乃
至94)は、マウスとヒトの間で完全に一致していた(保
存されていた)。なお、抗AID蛋白抗体の作製(実施例
5)に用いたマウスAID蛋白の部分アミノ酸配列(配列
番号2のアミノ酸番号116及至132番目)は、ヒトAID蛋
白の対応アミノ酸配列(配列番号8のアミノ酸番号116
乃至132番目)と完全に一致することから、該抗体AID蛋
白抗体はマウスAID蛋白だけでなくヒトAID蛋白にも交叉
反応性を有することが期待された。ヒトAID蛋白のN末
にHisタグ(ヒスチジンの10回繰り返しペプチド)が付
加されたHis-AID融合蛋白が産生されるように常法に従
って遺伝子工学的に前記で得たヒトAID cDNAを再構成し
た後、プラスミドpEF-BOS(特開平2-242687号公報)に
挿入し発現ベクターを作成した。該ベクターを、リポフ
ェクタミン(GIBCO BRL製)を用いたリポフェクション
により常法に従って、サル腎臓由来細胞株COS7に導入し
た。得られた遺伝子導入細胞を常法に従ってを培養し、
His-ヒトAID融合蛋白を一過性に発現させた。His-ヒトA
ID融合蛋白を、既報と同様にして抽出、精製した後、Hi
s-ヒトAID融合蛋白の産生を、常法に従って、実施例5
で調製した抗AID抗体及び市販の抗Hisタグ抗体を用いた
ウェスタンブロッティングにより分析した。その結果、
該His-AID蛋白は、いずれの抗体を用いた場合も、約31k
Daの分子量を有するバンドとして検出された。
ノミックDNAのエクソンの決定 前記ヒトAID蛋白の全長をコードするcDNAの塩基配列の
情報をもとに、前記で得たヒトAID蛋白をコードするゲ
ノミックDNAの塩基配列中のエクソンを決定した。その
結果、5つのエクソンから構成されることが判明した。 エクソン1(塩基配列:配列番号11); エクソン2(塩基配列:配列番号12); エクソン3(塩基配列:配列番号13); エクソン4(塩基配列:配列番号14);及び エクソン5(塩基配列:配列番号15)。 なお、エクソン1には、ヒトAID蛋白の最初のメチオニ
ン(配列番号8のアミノ酸番号1)をコードする翻訳開
始コドンATGが含まれ、該開始コドンは、配列番号11
の塩基番号80乃至82番目に対応する。即ち、前記実施例
で得たヒトAIDをコードするDNAを含むゲノミックDNA
(配列番号9、配列番号10及び配列番号35)は、下記の
とおりのイントロン及びエクソンから構成されており、
全長約11kbを有していた。該構成を図23に模式的に示
す。 <配列番号9> イントロン:塩基番号1乃至1031 エクソン1:塩基番号1032乃至1118 イントロン:塩基番号1119乃至5514 <配列番号10> イントロン:塩基番号1乃至1064 エクソン2:塩基番号1065乃至1212 イントロン:塩基番号1213乃至2591 エクソン3:塩基番号2592乃至2862 イントロン:塩基番号2863乃至3155 エクソン4:塩基番号3156乃至3271 イントロン:塩基番号3272乃至3740 エクソン5:塩基番号3741乃至5912 イントロン:塩基番号5913乃至6564 <配列番号35> イントロン:塩基番号1乃至411 エクソン1:塩基番号442乃至528 イントロン:塩基番号529乃至6279 エクソン2:塩基番号6280乃至6427 イントロン:塩基番号6428乃至7806 エクソン3:塩基番号7807乃至8077 イントロン:塩基番号8078乃至8370 エクソン4:塩基番号8371乃至8486 イントロン:塩基番号8487乃至8955 エクソン5:塩基番号8956乃至11067 イントロン:塩基番号11068乃至11204
ノミックDNAの任意の部分塩基配列のPCRによる増幅、並
びに該部分塩基配列中の変異の有無の診断 本発明のAID蛋白は、種々の免疫不全症やアレルギー性
疾患の発症に関与している可能性がある。例えば、ある
免疫不全症またはアレルギー性疾患がAIDタンパクをコ
ードするゲノミックDNA(特にエクソン)の塩基配列に
変異あるいは欠失がその原因の一つである可能性もあ
る。そのようなゲノムDNAの変異または欠失の存否は、
下記のようなPCRにより解析することができる。 (1)本発明のAID蛋白をコードするゲノミックDNAの任
意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有する一対のプ
ライマーDNAを作製する。 (2)免疫不全症患者またはアレルギー患者の組織また
は細胞から取得したAIDタンパクをコードするゲノミッ
クDNAを鋳型として、該一対のプライマーDNAを用いて、
該ゲノミックDNAの目的の部分塩基配列を増幅する。 (3)PCR産物の有無、及び該PCR産物の塩基配列を解析
し、該塩基配列と健常人由来のAIDタンパクをコードす
るゲノミックDNA中の対応塩基配列とを比較することに
より該ゲノミックDNA中の変異または欠失を同定する。 即ち、この方法は、例えば、免疫不全症やアレルギー性
疾患とAIDタンパクとの関連性を解明できるだけでな
く、AIDタンパクがある種の疾患(例えば、免疫不全症
及びアレルギー性疾患)の発症の原因である場合には、
上記の方法により該疾患の診断が可能である。
ゲノミックDNAの任意の部分塩基配列を基に、下記15
種類のプライマーDNAを設計、調製した。 プライマー:p3(配列番号20); プライマー:p9(配列番号21); プライマー:p10(配列番号22); プライマー:p12(配列番号23); プライマー:p14(配列番号24); プライマー:p16(配列番号25); プライマー:p17(配列番号26); プライマー:p19(配列番号27); プライマー:p26(配列番号28); プライマー:p29(配列番号29); プライマー:p36(配列番号30); プライマー:p48(配列番号31); プライマー:p59(配列番号32); プライマー:p85(配列番号33);及び プライマー:p86(配列番号34)。
により一対のプライマーとして用い、また、ヒトB Lymp
homa細胞RAMOSから単離したゲノミックDNAを鋳型とし
て、PCRにより各々の目的のヒトAID蛋白をコードするゲ
ノミックDNAの部分塩基配列を増幅した。各々のプライ
マーペアにより増幅されるゲノミックDNA部分配列の相
対的位置を図21に示した。 <1>配列番号31に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号32に記載される塩基配列を有するDNA; <2>配列番号20に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号22に記載される塩基配列を有するDNA; <3>配列番号21に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号30に記載される塩基配列を有するDNA; <4>配列番号24に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号25に記載される塩基配列を有するDNA; <5>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号27に記載される塩基配列を有するDNA; <6>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <7>配列番号23に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <8>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号27に記載される塩基配列を有するDNA; <9>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <10>配列番号26に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <11>配列番号34に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号28に記載される塩基配列を有するDNA; <12>配列番号34に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA; <13>配列番号33に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号29に記載される塩基配列を有するDNA;
または <14>配列番号18に記載される塩基配列を有するDNA
と配列番号19に記載される塩基配列を有するDNA。
dNTP(各々2.5mM、2μl)、2μMのプライマー1(2μ
l)、2μMのプライマー2(2μl)、ヒトB Lymphoma
細胞から単離したゲノミックDNA(185ng/μl、4μl)
及びTaqポリメラーゼ(5U/ml、0.2μl、Ex Taq(TAKARA
製)またはAmpli Taq(Perkin Elmer製))からなる総
量20.2μlの溶液。 <反応>下記(A)または(B)のいずれかを行った。 (A) 1サイクル(94℃で30秒の反応)及び40サイク
ル(94℃で10秒の反応、54℃で30秒の反応、及び72℃で
3分30秒の反応)の後4℃で保存。 (B) 1サイクル(94℃で30秒の反応)及び40サイク
ル(94℃で10秒の反応、54℃で30秒の反応、及び72℃で
2分10秒の反応)の後4℃で保存。 <PCR装置>市販のPCR装置(Perkin Elmer Thermal Cyc
ler 9700type)を用いた。
DのmRNAの発現 ヒトAID mRNAの各種ヒト臓器組織での発現を、常法(Im
unity, Vol.9, p.1-10, 1998)に従ってRT-PCRにより解
析した。RT-PCRは、市販のヒト組織cDNAパネル(CLONTE
CH製)にセットされた種々ヒト組織のcDNAを鋳型として
常法に従って行った。AID cDNAの増幅には、前記で調製
したプライマーp17(配列番号26)及びp26(配列番号2
8)、並びにTaqポリメラーゼを用いた。なお、対照とし
て、G3PDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenas
e)のcDNAを鋳型として、GFプライマー及びGRプライマ
ー(Immunity, Vol.9, p.1-10,1998)を用いて同様にし
てRT-PCRを行った。結果を図24に示す。その結果、リン
パ節及び扁桃においてmRNAの特異的な発現が認められ
た。この結果は、マウスAIDのmRNAの発現が種々のリン
パ性組織で認められる実験結果(実施例8及び9)と合
致する。一方、上記RT-PCRにおいて、飽和状態のサイク
ル数で上記同様にしてRT-PCRを行った場合には、分析し
たほぼ全ての臓器でAID mRNAの発現が確認された。
上での局在 FISH法(Fluorescence in situ hybridization; 実験医
学・別冊、「遺伝子工学ハンドブック」、羊土社発行、
1992年、p.271-277)により、ヒトAID遺伝子のヒト染色
体上での局在を分析した。前記で単離したヒトAID遺伝
子(エクソン1乃至エクソン5)を含むゲノミックDNA
をニックトランスレーション法(nick translation)に
よりビオチン-11-dUTP(Sigma製)で標識したものをハ
イブリダイゼーションプローブとして用いた。細胞分裂
中期ヒト細胞(metaphase human cell)の染色体に、該
プローブをハイブリダイズさせた。FITC標識アビジン
(fluorescein isothiocyanate-avidin,DCS; Vector La
boratories製)を用いて、ハイブリダイゼーションシグ
ナルを検出した。結果を図25に示す。その結果、ヒト
AID遺伝子は、染色体12p13上に位置していることが明ら
かとなった。また、該位置は、AID蛋白と比較的高いア
ミノ酸配列相同性を有しAID蛋白と同様にシチジンデア
ミナーゼ活性を有する前述のAPOBEC-1の染色体上の位置
である12p13.1と近いことが明らかとなった。acrocallo
sal syndrome、inflammatory bowel syndrome、familia
l periodicfeverなどの疾患は、各々ヒト染色体遺伝子
座12p13.3-12p11.2、12p13.2-12p24.1、及び12p13にお
ける遺伝子の何らかの異常が関与する可能性が報告され
ているもののその原因遺伝子は未だ突き止められていな
い。本発明のヒトAID遺伝子がそのような疾患の発症に
関与している可能性が示唆される。
する引き金となる非自己抗原(外来性抗原、自己反応性
細胞など)を生体から排除するための抗原特異的免疫グ
ロブリン(特異性抗体)の生成に必要な種々の生体メカ
ニズムを制御する機能を有すると考えられる。さらに具
体的には、抗原に高い特異性を有する免疫グロブリンの
生成の特有のメカニズムである、B細胞の活性化、免疫
グロブリン遺伝子のクラススイッチ組換え、体細胞超変
異(somatic hypermutation)及びアフィニティーマチ
ュレーション(affinity maturation)のような胚中心
B細胞(germinalcenter B cells)で起こるRNA編集等
の種々の遺伝子修飾(genetic editing)において重要
な役割を担う酵素の一つと考えられる。本発明のAID蛋
白の機能不全は、B細胞の抗原特異的な活性化、クラス
スイッチ組換え、体細胞変異などの胚中心B細胞機能不
全を誘導し、体液性免疫不全症を引き起こす原因となり
うる。逆にAID蛋白の制御の破綻は、不適切なB細胞の活
性化や、不必要なクラススイッチ組換えや体細胞変異を
来し、アレルギー疾患や自己免疫疾患を引き起こす可能
性がある。
ードする遺伝子の機能を制御することにより、例えばB
細胞の機能不全(例えば、IgA欠損症、IgA腎症、γグロ
ブリン血症、高IgM血症など)あるいは免疫グロブリン
のクラススイッチの不全に起因する種々の免疫不全症や
アレルギー性疾患の予防並びに治療することが可能であ
ると考えられ、本発明のAID蛋白及び該AID蛋白をコード
する遺伝子は、そのような疾患治療のための医薬品開発
のターゲットとなり得る。本発明のAID蛋白またはAID蛋
白をコードする遺伝子の機能を制御することにより発症
予防、病状の軽減、治療及び/または対症療法効果が期
待される疾患としては、例えば、先天的な免疫系の異常
を伴う原発性免疫不全症候群、主としてB細胞の欠損、
減少あるいは機能異常により発症すると考えられている
免疫不全症(例えば、伴性無γグロブリン血症、成長ホ
ルモン欠乏を伴う伴性無γグロブリン血症、IgM高値を
伴う免疫グロブリン欠乏症、選択的IgM欠損症、選択的I
gE欠損症、免疫グロブリン重鎖遺伝子欠失変異症、κ鎖
欠乏症、IgA欠乏症、IgGサブクラス選択的欠乏症、CVID
(common variable immunodeficiency)、乳児一過性低
γグロブリン血症、Rosen症候群、重症複合免疫不全症
(伴性、常染色体劣性)、ADA(adenosine deaminase)
欠損症、PNP(purine nucleoside phosphorylase)欠損
症、MHCクラスII欠損症、細網異形成症、Wiskott-Aldri
ch症候群、ataxia telangiectasia、DiGeorge症候群、
染色体異常、家族性Ig異化過多症、高IgE症候群、Gitli
n症候群、Nezelof症候群、Good症候群、骨異形成症、ト
ランスコバランミン症候群、セクレタリービース症候
群、など)、後天的な原因により引き起こされた免疫系
の傷害を伴う続発性免疫不全症候群(例えば、AIDSな
ど)であり抗体産生不全を伴う種々及び/または種々の
アレルギー性疾患(例えば、気管支喘息、アトピー性皮
膚炎、結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性腸炎、
薬剤性アレルギー、食品アレルギー、アレルギー性じん
ましん、糸球体腎炎など)の疾患などが挙げられる。医
薬品開発のターゲットとなり得る。即ち、本発明のAID
蛋白及びその断片、AID蛋白をコードするDNA及びそ
の断片、並びにAID蛋白に対する抗体は、そのような疾
患の予防または治療のための医薬品開発のための試薬と
して有用である。
機能を遺伝子レベルで制御するアンチセンス医薬品とし
て、また遺伝子治療での使用において有用である。該タ
ンパクまたはその断片(例えば、酵素活性部位)は、そ
の自体医薬品として有用である。さらに本発明のAID蛋
白に反応性を有する抗体またはその一部は、AID蛋白の
機能を制御することによる抗体医薬品として極めて有用
である。さらに、本発明の遺伝子(DNA)、タンパ
ク、及び抗体は、本発明のタンパク(酵素)と相互作用
(結合)する基質(例えば、RNAなど)あるいは本発明
のタンパクと会合する他の補助蛋白の探索、並びに該基
質や補助蛋白をターゲットとした医薬品を開発するため
の試薬として有用である。さらに、本発明の他の一つで
ある、本発明のAID蛋白の産生または該AID蛋白をコード
する遺伝子のmRNAへの転写を調節する物質を同定する方
法は、上述のようなAID蛋白またはAID遺伝子が関与する
と考えられる種々の疾患(特に、免疫不全症及びアレル
ギー性疾患)を治療または予防するための医薬品の開発
する手段として極めて有用である。
プライマー配列AID138。 配列番号:4 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列AID161。 配列番号:5 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列AID118。 配列番号:6 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列AID119。 配列番号:16 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列170 配列番号:17 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列181。 配列番号:18 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列22。 配列番号:19 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列25。 配列番号:20 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p3。 配列番号:21 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p9。 配列番号:22 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p10。 配列番号:23 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p12。 配列番号:24 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p14。 配列番号:25 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p16。 配列番号:26 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p17。 配列番号:27 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p19。 配列番号:28 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p26。 配列番号:29 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p29。 配列番号:30 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p36。 配列番号:31 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p48。 配列番号:32 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p59。 配列番号:33 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p85。 配列番号:34 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p86。
F3-2におけるクラススイッチ組換えに伴いループアウ
トされるSα配列を含むDNAの生成の状態を示す写
真。分図(a)は、各種条件で培養したマウスB細胞ク
ローンCH12F3-2由来のDNAを鋳型としたPCRにより増幅
したクラススイッチ組換えに伴いループアウトされるS
α配列を含むDNAのエチジウムブロマイド染色による
電気泳動状態を示す写真。レーン1及びレーン6は、マ
ーカーDNAの電気泳動状態を示す。レーン2は、IL-
4、CD40L、TGFβ及びシクロヘキシミドのいずれも含ま
ない条件下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン3は、シクロヘキシミドの
みの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン4は、IL-4、CD40L及びTGF
βの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン5は、、IL-4、CD40L、TGF
β及びシクロヘキシミドの存在下で培養した細胞のDNA
を鋳型としたPCR産物の電気泳動状態を示す。分図
(b)は、各種条件で培養したマウスB細胞クローンCH
12F3-2由来のDNAを鋳型としたPCRにより増幅したクラ
ススイッチ組換えに伴いループアウトされるSα配列を
含むDNAのサザンハイブリダイゼーションによる結果
を示す写真。レーン1は、IL-4、CD40L、TGFβ及びシク
ロヘキシミドのいずれも含まない条件下で培養した細胞
のDNAを鋳型としたPCR産物に対するハイブリダイゼーシ
ョンの結果を示す。レーン2は、シクロヘキシミドのみ
の存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物に対
するハイブリダイゼーションの結果を示す。レーン3
は、IL-4、CD40L及びTGFβの存在下で培養した細胞のDN
Aを鋳型としたPCR産物に対するハイブリダイゼーション
の結果を示す。レーン4は、、IL-4、CD40L、TGFβ及び
シクロヘキシミドの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型
としたPCR産物に対するハイブリダイゼーションの結果
を示す。
F3-2におけるクラススイッチ組換えに伴いループアウ
トされるSα配列を含むDNAの生成の状態を示す写
真。分図(a)は、各種条件で培養したマウスB細胞ク
ローンCH12F3-2由来のDNAを鋳型としたPCRにより増幅
したクラススイッチ組換えに伴いループアウトされるS
α配列を含むDNAのエチジウムブロマイド染色による
電気泳動状態を示す写真。レーン1及びレーン6は、マ
ーカーDNAの電気泳動状態を示す。レーン2は、IL-
4、CD40L、TGFβ及びシクロヘキシミドのいずれも含ま
ない条件下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン3は、シクロヘキシミドの
みの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン4は、IL-4、CD40L及びTGF
βの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物の
電気泳動状態を示す。レーン5は、、IL-4、CD40L、TGF
β及びシクロヘキシミドの存在下で培養した細胞のDNA
を鋳型としたPCR産物の電気泳動状態を示す。分図
(b)は、各種条件で培養したマウスB細胞クローンCH
12F3-2由来のDNAを鋳型としたPCRにより増幅したクラ
ススイッチ組換えに伴いループアウトされるSα配列を
含むDNAのサザンハイブリダイゼーションによる結果
を示す写真。レーン1は、IL-4、CD40L、TGFβ及びシク
ロヘキシミドのいずれも含まない条件下で培養した細胞
のDNAを鋳型としたPCR産物に対するハイブリダイゼーシ
ョンの結果を示す。レーン2は、シクロヘキシミドのみ
の存在下で培養した細胞のDNAを鋳型としたPCR産物に対
するハイブリダイゼーションの結果を示す。レーン3
は、IL-4、CD40L及びTGFβの存在下で培養した細胞のDN
Aを鋳型としたPCR産物に対するハイブリダイゼーション
の結果を示す。レーン4は、、IL-4、CD40L、TGFβ及び
シクロヘキシミドの存在下で培養した細胞のDNAを鋳型
としたPCR産物に対するハイブリダイゼーションの結果
を示す。
F3-2由来のmRNAに対する、放射性標識した23C9(AID)
蛋白をコードするcDNA断片をプローブとしてノーザンブ
ロッティングの結果を示す写真。レーン1は、IL-4、CD
40L、TGFβ及びシクロヘキシミドのいずれも含まない条
件下で培養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結
果を示す。レーン2は、シクロヘキシミドのみの存在下
で培養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結果を
示す。レーン3は、IL-4、CD40L及びTGFβの存在下で培
養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結果を示
す。レーン4は、、IL-4、CD40L、TGFβ及びシクロヘキ
シミドの存在下で培養した細胞のmRNAに対するブロッテ
ィングの結果を示す。
F3-2由来のmRNAに対する、放射性標識した23C9(AID)
蛋白をコードするcDNA断片をプローブとしてノーザンブ
ロッティングの結果を示す写真。レーン1は、IL-4、CD
40L、TGFβ及びシクロヘキシミドのいずれも含まない条
件下で培養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結
果を示す。レーン2は、シクロヘキシミドのみの存在下
で培養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結果を
示す。レーン3は、IL-4、CD40L及びTGFβの存在下で培
養した細胞のmRNAに対するブロッティングの結果を示
す。レーン4は、、IL-4、CD40L、TGFβ及びシクロヘキ
シミドの存在下で培養した細胞のmRNAに対するブロッテ
ィングの結果を示す。
ノ酸配列の相同性を示す図。黒い四角(closed box)で
囲まれたアミノ酸は、同一のアミノ酸が一致しているこ
とを示す。白抜きの四角(open box)で囲まれた領域
は、シチジンデアミナーゼモチーフを示す。アスタリス
ク(*)及び矢印が付されたアミノ酸は、ラット、マウ
ス、ウサギ及びヒト由来のAPOBEC-1蛋白のアミノ酸配列
に保存されているアミノ酸であることを示す。
シトシン ヌクレオシド/ヌクレオチド デアミナーゼ フ
ァミリーに属する種々酵素の系統樹を示す図。
おけるAID-GST融合蛋白の電気泳動状態を示す写真。レ
ーン1は、マーカー分子の電気泳動状態を示す。レーン2
は、野生型大腸菌DH5αからの抽出物に含まれる種々蛋
白の電気泳動状態を示す。レーン3は、精製AID-GST融合
蛋白の電気泳動状態を示す。
ロッティングによるAID-GST融合蛋白の電気泳動状態を
示す写真。レーン1は、野生型大腸菌DH5αからの抽出
物に含まれる種々蛋白の電気泳動状態を示す。レーン2
は、精製AID-GST融合蛋白の電気泳動状態を示す。
活性を示す図。
テトラヒドロウリジンによるAID蛋白のシチジンデアミ
ナーゼ活性の阻害効果を示す図。
e及びその不活性化異性体である1,7-o-phenanthroline
の各々によるAID蛋白のシチジンデアミナーゼ活性の阻
害効果を示す図。
ウスの各種組織でのAIDのmRNAの発現状態を示す写真。
組織でのAIDのmRNAの発現状態を示す写真。
性化マウスB細胞クローンCH12F3-2でのAIDのmRNAの経
時的な発現状態を示す写真。
々組み合せのサイトカインで刺激したマウスB細胞クロ
ーンCH12F3-2でのAIDのmRNAの発現状態を示す写真。
々組み合せの刺激物質で刺激したマウス脾臓B細胞での
AIDのmRNAの発現状態を示す写真。
赤血球で免疫したマウス由来の脾臓細胞でのAIDのmRNA
の発現状態を示す写真。
ウスの脾臓由来の各種細胞でのAIDのmRNAの発現状態を
示す写真。
マウス及び羊赤血球で免疫したマウスの各々に由来する
脾臓組織でのAID mRNAの発現の局在を示す写真。分図A
及びDは、センスAIDプローブを用いたハイブリダイゼー
ションでの結果を示す。分図B及びEは、アンチセンスAI
Dプローブを用いたハイブリダイゼーションでのAID mRN
Aの発現の局在を示す。分図C及びFは、FITC標識PNAによ
る染色試験における胚中心の局在を示す。分図A、B及び
Cは、正常マウス由来(羊赤血球の免疫前)の脾臓組織
を用いた試験での結果を示す。分図D、E及びFは、羊赤
血球を免疫したマウスの免疫後5日目に作製した脾臓組
織切片を用いた試験での結果を示す。
マウス及び羊赤血球で免疫したマウスの各々に由来する
脾臓組織及びパイエル板組織の各々でのAID mRNAの発現
の局在を示す写真。分図A、D及びGは、センスAIDプロー
ブを用いたハイブリダイゼーションでの結果を示す。分
図B、E及びHは、アンチセンスAIDプローブを用いたハイ
ブリダイゼーションでのAID mRNAの発現の局在を示す。
分図C、F及びIは、FITC標識PNAによる染色試験における
胚中心の局在を示す。分図A、B及びCは、正常マウス由
来(羊赤血球の免疫前)の脾臓組織を用いた試験での結
果を示す。分図D、E及びFは、羊赤血球を免疫したマウ
スの免疫後5日目に作製した脾臓組織切片を用いた試験
での結果を示す。分図G、H及びIは、羊赤血球を免疫し
たマウスの免疫後5日目に作製したパイエル板(payer's
patch)組織切片を用いた試験での結果を示す。
幅されるヒトAID蛋白をコードするヒトゲノミックDNAの
部分塩基配列の相対的位置を模式的に示す図。
のアミノ酸配列の同一性の程度を模式的に示す図。四角
枠で囲んだ部分は、AID蛋白の活性領域であるシチジン
・デオキシシチジン・デアミナーゼ・亜鉛結合領域(cy
tidine and deoxycytidilate deaminaseszinc-binding
region)を示す。
ゲノミックDNAの構成を模式的に示す図。1乃至5の各
々は、エクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン
4及びエクソン5を示す。
トAIDのmRNAの発現状態を示す写真。
on)により分析した、ヒトAID遺伝子のヒト染色体上の
位置(局在)を示す写真。矢印の先の2つの点部分がヒ
トAID遺伝子が存在する12p13を示す。
Claims (31)
- 【請求項1】 配列番号2または配列番号8に記載され
るアミノ酸配列を有するタンパクをコードするDNAま
たはその断片。 - 【請求項2】 該タンパクが、シチジンデアミナーゼ活
性を有することを特徴とする請求項1に記載のDNAま
たはその断片。 - 【請求項3】 配列番号1または配列番号7に記載され
る塩基配列を含むDNAまたはその断片。 - 【請求項4】 下記(a)または(b)の塩基配列を含
むDNAまたはその断片: (a)配列番号1に記載される塩基配列の塩基番号93乃
至689の塩基配列;または、(b)配列番号7に記載さ
れる塩基配列の塩基番号80乃至676の塩基配列。 - 【請求項5】 下記(a)または(b)のいずれかのD
NAまたはその断片:(a)配列番号1に記載される塩
基配列を有するDNAにストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、配列番号2に記載されるアミノ酸配列
を有するタンパクの相同タンパクでありシチジンデアミ
ナーゼ活性を有する哺乳動物由来のタンパクをコードす
るDNAまたはその断片;または(b)配列番号7に記
載される塩基配列を有するDNAにストリンジェントな
条件下でハイブリダイズし、配列番号8に記載されるア
ミノ酸配列を有するタンパクの相同タンパクでありシチ
ジンデアミナーゼ活性を有する哺乳動物由来のタンパク
をコードするDNAまたはその断片。 - 【請求項6】 配列番号2または配列番号8に記載され
るアミノ酸配列を有するタンパクまたはその断片。 - 【請求項7】 配列番号2または配列番号8に記載され
るアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する
タンパクであって、シチジンデアミナーゼ活性を有する
タンパクまたはその断片。 - 【請求項8】 下記(a)または(b)のいずれかのタ
ンパク: (a)配列番号1に記載される塩基配列を有するDNA
にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDN
Aによってコードされるアミノ酸配列を有し、配列番号
2に記載されるアミノ酸配列を有するタンパクの相同タ
ンパクでありシチジンデアミナーゼ活性を有する哺乳動
物由来のタンパク;または(b)配列番号7に記載され
る塩基配列を有するDNAにストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするDNAによってコードされるアミ
ノ酸配列を有し、配列番号8に記載されるアミノ酸配列
を有するタンパクの相同タンパクでありシチジンデアミ
ナーゼ活性を有する哺乳動物由来のタンパク。 - 【請求項9】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
のDNA若しくはその断片を含む発現ベクター。 - 【請求項10】 請求項9記載の発現ベクターで形質転
換された形質転換細胞。 - 【請求項11】 請求項6乃至請求項8のいずれかに記
載のタンパクまたはその断片に反応性を有する抗体また
は該抗体の一部。 - 【請求項12】 抗体が、モノクローナル抗体であるこ
とを特徴とする請求項11記載の抗体または該抗体の一
部。 - 【請求項13】 請求項11または請求項12記載の抗
体若しくは該抗体の一部及び薬学的に許容され得る担体
を含んでなる医薬組成物。 - 【請求項14】 請求項6乃至請求項8のいずれかに記
載のタンパクまたはその断片に反応性を有するモノクロ
ーナル抗体を産生する細胞。 - 【請求項15】 該細胞が、モノクローナル抗体を産生
する能力を有する非ヒト哺乳動物由来のB細胞と哺乳動
物由来のミエローマ細胞とを融合して得られる融合細胞
であることを特徴とする請求項14に記載の細胞。 - 【請求項16】 該細胞が、該モノクローナル抗体の重
鎖をコードするDNA若しくはその軽鎖をコードするD
NAのいずれか一方のDNA、または両方のDNAが細
胞内に導入されることにより形質転換された遺伝子組換
え細胞であることを特徴とする請求項15に記載の細
胞。 - 【請求項17】 下記(a)乃至(c)のいずれかの塩
基配列を含むゲノミックDNAまたはその断片: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列;または、 (c)配列番号35に記載される塩基配列。 - 【請求項18】 下記(a)乃至(e)のいずれかの塩
基配列を含むゲノミックDNAまたはその断片: (a)配列番号11に記載される塩基配列; (b)配列番号12に記載される塩基配列; (c)配列番号13に記載される塩基配列; (d)配列番号14に記載される塩基配列;または (e)配列番号15に記載される塩基配列。 - 【請求項19】 下記(a)乃至(h)のいずれかの塩
基配列中の任意の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有
するDNA: (a)配列番号9に記載される塩基配列; (b)配列番号10に記載される塩基配列; (c)配列番号11に記載される塩基配列; (d)配列番号12に記載される塩基配列; (e)配列番号13に記載される塩基配列; (f)配列番号14に記載される塩基配列; (g)配列番号15に記載される塩基配列;または、 (h)配列番号35に記載される塩基配列。 - 【請求項20】 該DNAが下記(a)乃至(q)のい
ずれかの塩基配列を有することを特徴とする請求項19
に記載のDNA: (a)配列番号18に記載される塩基配列; (b)配列番号19に記載される塩基配列; (c)配列番号20に記載される塩基配列; (d)配列番号21に記載される塩基配列; (e)配列番号22に記載される塩基配列; (f)配列番号23に記載される塩基配列; (g)配列番号24に記載される塩基配列; (h)配列番号25に記載される塩基配列; (i)配列番号26に記載される塩基配列; (j)配列番号27に記載される塩基配列; (k)配列番号28に記載される塩基配列; (l)配列番号29に記載される塩基配列; (m)配列番号30に記載される塩基配列; (n)配列番号31に記載される塩基配列; (o)配列番号32に記載される塩基配列; (p)配列番号33に記載される塩基配列;または (q)配列番号34に記載される塩基配列。 - 【請求項21】 請求項19または請求項20に記載の
DNAのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain rea
ction)におけるプライマーDNAとしての使用。 - 【請求項22】 下記(a)乃至(n)のいずれかの一
対のDNAのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain
reaction)におけるプライマーDNAとしての使用: (a)配列番号31に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号32に記載される塩基配列を有するDN
A; (b)配列番号20に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号22に記載される塩基配列を有するDN
A; (c)配列番号21に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号30に記載される塩基配列を有するDN
A; (d)配列番号24に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号25に記載される塩基配列を有するDN
A; (e)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号27に記載される塩基配列を有するDN
A; (f)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (g)配列番号23に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (h)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号27に記載される塩基配列を有するDN
A; (i)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (j)配列番号26に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (k)配列番号34に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号28に記載される塩基配列を有するDN
A; (l)配列番号34に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A; (m)配列番号33に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号29に記載される塩基配列を有するDN
A;または (n)配列番号18に記載される塩基配列を有するDN
Aと配列番号19に記載される塩基配列を有するDN
A。 - 【請求項23】 配列番号2若しくは配列番号8に記載
のアミノ酸配列を有するAIDタンパクをコードする遺伝
子のmRNAへの転写または該AIDタンパクの産生を調節す
る能力を有する物質を同定する方法であって、下記の工
程を含むことを特徴とする方法: (a)該AIDタンパクを産生する細胞を該物質の存在下
及び不存在下の各々の条件下で培養する工程;及び
(b)(i)該物質の存在下で培養した細胞が産生する
該AIDタンパクのレベルと該物質の不存在下で培養した
細胞が産生する該AIDタンパクのレベルを比較する工
程;若しくは(ii)該物質の存在下で培養した細胞中で
転写された該AIDタンパクをコードするmRNAのレベルと
該物質の不存在下で培養した細胞中で転写された該AID
タンパクをコードするmRNAのレベルとを比較する工程。 - 【請求項24】 配列番号2若しくは配列番号8に記載
のアミノ酸配列を有するAIDタンパクをコードする遺伝
子のmRNAへの転写または該AIDタンパクの産生を調節す
る能力を有する物質を同定する方法であって、下記の工
程を含むことを特徴とする方法: (a)該AIDタンパク及び該AIDタンパク以外の他のタン
パクを産生する細胞であって、該細胞における該他のタ
ンパクをコードする遺伝子のmRNAへの転写が、該AIDタ
ンパクをコードする遺伝子のmRNAへの転写のシグナルの
程度に依存して起こるものであることを特徴とする細胞
を、該物質の存在下及び不存在下の各々の条件下で培養
する工程;及び(b)該物質の存在下で培養した細胞が
産生する該他のタンパクのレベルと該物質の不存在下で
培養した細胞が産生する該他のタンパクのレベルを比較
する工程。 - 【請求項25】 該細胞が、該タンパクをコードする遺
伝子で形質転換された遺伝子組換え細胞であることを特
徴とする請求項23または請求項24に記載の方法。 - 【請求項26】 該細胞が、該タンパクをコードする遺
伝子及び該他のタンパクをコードする遺伝子で形質転換
された遺伝子組換え細胞であることを特徴とする請求項
24に記載の方法。 - 【請求項27】 該他のタンパクが、レポータータンパ
クであることを特徴とする請求項26に記載の方法。 - 【請求項28】 該他のタンパクのレベルの比較が、該
レポータータンパクが発するシグナルのレベルの比較で
あることを特徴とする請求項27に記載の方法。 - 【請求項29】 該レポータータンパクが、ルシフェラ
ーゼであることを特徴とする請求項27または請求項2
8に記載の方法。 - 【請求項30】 配列番号2若しくは配列番号8に記載
のアミノ酸配列を有するAIDタンパクの酵素活性を阻害
する能力を有する物質を同定する方法であって、下記
(a)または(b)の工程を含むことを特徴とする方
法: (a)哺乳動物由来のB細胞を含む組織またはB細胞
を、該物質の存在下または不存在下の各々の条件下で培
養し、該各々の条件下での培養したB細胞中の該AIDタ
ンパクの酵素活性を比較する工程;または(b)(i)
内在性AID遺伝子のmRNAへの転写が阻害されるように該
内在性AID遺伝子が不活性化されたAID遺伝子ノックアウ
トマウスまたは正常マウスの各々に、該物質を投与する
工程;及び(ii)該各々のマウスから単離されるB細胞
中の該AIDタンパクの酵素活性を比較する工程。 - 【請求項31】 該酵素活性が、シチジンデアミナーゼ
活性であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
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JP17899999 | 1999-06-24 | ||
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JP11-178999 | 1999-12-27 | ||
JP11-87192 | 1999-12-27 | ||
JP37138299 | 1999-12-27 | ||
JP1999371382 | 1999-12-27 | ||
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JP5589184B2 JP5589184B2 (ja) | 2014-09-17 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998040494A1 (en) * | 1997-03-13 | 1998-09-17 | Incyte Pharmaceuticals, Inc. | Novel rna editing enzyme |
-
2000
- 2000-03-28 JP JP2000092981A patent/JP5589184B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998040494A1 (en) * | 1997-03-13 | 1998-09-17 | Incyte Pharmaceuticals, Inc. | Novel rna editing enzyme |
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