JPH08187079A - 新規デオキシリボヌクレアーゼ - Google Patents

新規デオキシリボヌクレアーゼ

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JPH08187079A
JPH08187079A JP25564795A JP25564795A JPH08187079A JP H08187079 A JPH08187079 A JP H08187079A JP 25564795 A JP25564795 A JP 25564795A JP 25564795 A JP25564795 A JP 25564795A JP H08187079 A JPH08187079 A JP H08187079A
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dnase
dnaseγ
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロマチンDNA の切断を触媒する新規デオキ
シリボヌクレアーゼ(DNase)α,β及びγの提供。アポ
トーシスに関与する新規DNase γ、そのアミノ酸配列、
DNase γ cDNA と塩基配列及びDNase γに対する抗体の
提供。 【解決手段】 (1) クロマチンDNA のリンカー部位を選
択的に切断し得る新規DNase α,β及びγに関する。ま
た、アポトーシス時のDNA 断片化に関与するDNase γに
関する。(2) DNase γのアミノ酸配列、該酵素をコード
するcDNAのクローン化及び該cDNAの塩基配列に関する。
また、該cDNAを有する組換えベクター、該組換えベクタ
ーを有する形質転換体及び該形質転換体を培養すること
によるDNase γの製造方法に関する。(3) DNase γ又は
その前駆体のアミノ酸配列に親和性を示す抗体に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3種類の新規なデ
オキシリボヌクレアーゼ(以下、単にDNaseとい
う)に関する。詳細には、アポトーシスに特徴的な現象
であるDNAの断片化、すなわちクロマチンDNAをモ
ノまたはオリゴヌクレオソーム単位に分解する反応を触
媒する新規DNaseに関する。また本発明は、上記の
新規DNaseの内の一つ(後述のDNaseγ)のア
ミノ酸配列をコードするDNA、該DNAを含有するベ
クター、該ベクターで形質転換された宿主細胞、該宿主
細胞を培養することによる該DNaseの製造方法、及
び該DNaseもしくはその断片、又はその前駆体ペプ
チドに対して親和性を有する抗体に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】近年、細
胞組織の死に関して、アポトーシス(apoptosis)が注目
されている。このアポトーシスは、病理的細胞死である
壊死(ネクローシス)とは異なり、細胞自身の遺伝子に
最初から組み込まれている死であると考えられている。
すなわち、何らかの外部的または内部的要因が引き金と
なって、アポトーシスをプログラムする遺伝子が活性化
され、当該自壊プログラムが発動することによって起こ
る能動的な細胞死であると考えられている。
【0003】
【表1】
【0004】アポトーシスは、上記表1に示すように非
常に多くの生命現象に関わっている。すなわち、発生過
程での形態形成のみならず、成熟した個体における皮膚
の表皮細胞,小腸や胃の上皮細胞といった正常細胞の交
代(古くなった細胞の除去)、ホルモン依存性の組織で
ある胸腺のグルココルチコイドによる萎縮、去勢による
前立腺の萎縮、さらに自己成分に反応してしまう免疫担
当細胞の排除や、神経栄養因子の除去による神経細胞死
もアポトーシスによることが示唆されている。
【0005】また、アポトーシスは、このような生理的
な細胞死だけでなく、放射線照射を受けた細胞や、ウイ
ルス感染した細胞の細胞死にも見られる。さらにAID
SウイルスによるT細胞の減少もアポトーシスによる細
胞死が原因であることが報告され、注目を集めている。
この他に、薬物や毒物の投与、熱といった化学的および
物理的刺激によってもアポトーシスが起こる。さらにア
ルツハイマー病等の神経変性疾患における神経細胞死、
癌病巣内での腫瘍細胞の自然消失や制癌剤による細胞死
にもアポトーシスが関与していることが明らかになって
いる。
【0006】したがって、アポトーシスの分子機構を解
明することは、個体発生及び発癌の制御(調整)におけ
る細胞死の生化学的意義、役割を理解する上に重要であ
る。
【0007】アポトーシスに共通する特徴的な現象は、
細胞膜の変化(微絨毛の消失)を伴う細胞の縮小、クロ
マチンの凝縮等といった形態上の変化およびクロマチン
DNAの断片化である〔Br. J Cancer 26, 239-257 (19
72) 、Nature 284, 555-556(1980) 〕。中でもクロマチ
ンDNAのヌクレオソーム単位での断片化(図1)は、
アポトーシスの発生要因等の多様性にかかわらず、いず
れのアポトーシス細胞にも共通して見られる最も顕著な
現象であり、このことからアポトーシスのカスケードは
クロマチンDNAの断片化というプロセスに収束するこ
とが示唆されている。
【0008】従来から、当該アポトーシスで生じるクロ
マチンDNAの切断が、Zn2+感受性の、内在性Ca2+
依存性エンドヌクレアーゼによって触媒されることが示
唆されている〔J. Immunol. 132, 38-42 (1984) 、J. B
iol. Chem. 266, 18580-18585 (1991)、 EMBO J. 12, 3
71-377 (1993) 、Biochemistry 32, 9129-9136 (1993)
等〕。かかる示唆のもと、最近、胸腺や培養細胞から、
アポトーシスに関わる酵素の候補として考えられる数種
のエンドヌクレアーゼ(Nuc18、DNaseI、D
NaseII)が精製されている〔Biochem. Biophys. Re
s. Commun. 39, 254-259 (1970) 、J. Biol. Chem. 26
6, 18580-18585 (1991)、 EMBO J. 12, 371-377(1993)
、Arch. Biochem. Biophys. 300, 440-450 (1993)
等〕。しかしながら、かかる酵素は正常な状態の細胞か
ら精製されたものであり、該酵素が実際にアポトーシス
に関与しているか否かについての確かな証拠はまだ得ら
れていない。
【0009】従って、アポトーシスのクロマチンDNA
の断片化に関与するエンドヌクレアーゼおよびその制御
機構の解明は、アポトーシスの分子機構の全容、さらに
は細胞生存および細胞死のメカニズムを理解するうえで
極めて重要である。さらには、アポトーシスが関与する
癌、自己免疫疾患、AIDS等の疾患の診断、予防もし
くは治療薬を開発する手立てとなる点で有用である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アポトー
シスに関与するエンドヌクレアーゼを研究していたとこ
ろ、ラット胸腺細胞の核画分に、クロマチンDNAのリ
ンカー部位を選択的に切断し、アポトーシスに特徴的な
DNA断片化を起こす新規なエンドヌクレアーゼを3種
類見出した。そして、これら3種のエンドヌクレアーゼ
を単離精製し、さらなる研究遂行の結果、そのうちの一
つが、アポトーシスのクロマチンDNAの断片化に関与
するエンドヌクレアーゼであることを確認し、さらに該
エンドヌクレアーゼの一次構造及びその遺伝子の塩基配
列を決定、取得することに成功して本発明を完成した。
【0011】すなわち本発明は次に述べるものである。 (1)クロマチンDNAのリンカー部位を選択的に切断
し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記性状を有
することを特徴とする新規DNase(以下、DNas
eγという)。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 33,000 (SDS−PAGE) (ii) 31,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 7.2 2価陽イオン要求性: Ca2+/Mg2+,Mn2+依存性 Zn2+による阻害 : IC50=40μM DNA切断様式 : 3’−OH,5’−P末端生成型 (2)クロマチンDNAのリンカー部位を選択的に切断
し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記性状を有
することを特徴とする新規DNase(以下、DNas
eαという)。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 32,000 (SDS−PAGE) (ii) 28,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 5.6 2価陽イオン要求性: 非依存性 Zn2+による阻害 : IC50>1mM DNA切断様式 : 3’−P,5’−OH末端生成型 (3)クロマチンDNAのリンカー部位を選択的に切断
し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記性状を有
することを特徴とする新規DNase(以下、DNas
eβという)。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 32,000 (SDS−PAGE) (ii) 30,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 5.6 2価陽イオン要求性: 非依存性 Zn2+による阻害 : IC50>1mM DNA切断様式 : 3’−P,5’−OH末端生成型 (4)実質的に、配列表配列番号1に示されるアミノ酸
配列(アミノ酸番号26〜310)を有する上記(1)
記載の新規DNase。 (5)前駆体ポリペプチドが、N末端プリカーサーペプ
チド領域を有する上記(1)記載の新規DNase。 (6)N末端プリカーサーペプチド領域として、実質的
に配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列(アミノ酸
番号1〜25)を有する上記(4)記載の新規DNas
e。 (7)上記(1)又は(4)〜(6)のいずれかに記載
のDNaseをコードする塩基配列を有するDNA。好
ましくは、配列表配列番号2記載の塩基配列(塩基番号
87〜941)を有するDNA、より好ましくは、配列
表配列番号2記載の塩基配列(塩基番号1〜941)を
有するDNA。 (8)上記(7)のDNAを含有する組換えベクター。 (9)上記(8)の組換えベクターで形質転換された宿
主細胞。 (10)上記(9)の宿主細胞を培養し、得られる培養
物から採取されることを特徴とする上記(1)又は
(4)〜(6)のいずれかに記載のDNaseの製造方
法。 (11)実質的に配列表配列番号1記載のアミノ酸配列
(アミノ酸番号1〜310)の全部又は一部を有するペ
プチドに親和性を示す抗体。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。アポトー
シスに関与するエンドヌクレアーゼを同定するためのア
プローチは、アポトーシス細胞で見られるクロマチンD
NAの各断片の性質とアポトーシス細胞の核から精製し
たエンドヌクレアーゼによって断片化されたDNAの断
片の性質とを比較することである。
【0013】アポトーシス細胞で生じるクロマチンDN
Aの断片は、アポトーシスの進行時間に比例してヌクレ
オソーム単量体,二量体といった短いDNA断片の比率
が増加していくが、完全に単量体に至るまで進行するわ
けではなく、ある程度の状態で停止する。従って、アポ
トーシスをおこした細胞からDNAを抽出してアガロー
スゲル電気泳動法によりDNAを解析すると、そのDN
A泳動像はヌクレオソーム単量体に含まれるDNA(約
180塩基対)の整数倍の長さの断片としてはしご状に
観察される。また、アポトーシスで生じるDNAの断片
化は、Ca2+/Mg2+依存性で、Zn2+により阻害され
る。さらに、産生されるDNA断片は、いずれも5’末
端側にリン酸基を有する3’−OH/5’−P型2本鎖
である。
【0014】(a)本発明DNaseγについて 本発明のDNaseγは、動物細胞の核、好ましくはラ
ット,子ウシ等哺乳類の胸腺、脾臓または肝臓に由来す
る細胞核、より好ましくは子ウシ胸腺またはラット脾臓
由来の細胞の核に存在するエンドヌクレアーゼである。
また当該DNaseγは、アポトーシスの誘導の有無に
かかわらず、正常細胞の核にもアポトーシス細胞の核に
も共に同程度の活性をもって存在する。この点、該DN
aseγは、アポトーシス誘導によって活性が消失する
本発明DNaseαおよびDNaseβと相違する。な
お、ここでいうアポトーシスは、その発生要因により特
に限定されることなく、自然発生的アポトーシスのみな
らず、放射線照射やグルココルチコイド処理等により人
為的に生じるアポトーシスも広く包含される。
【0015】また、本発明のDNaseγは、ドデシル
硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(以下、SDS−PAGEという)により約33,00
0の分子量を示し、ゲル濾過クロマトグラフィーにより
約31,000の分子量を示す単量体ポリペプチドであ
る。なお、SDS−PAGEの好ましい態様は後の実施
例2(1)において引用する参考例4に、およびゲル濾
過クロマトグラフィーの好ましい態様は後の実施例2
(1)に詳述する。
【0016】本発明のDNaseγは、クロマチンDN
Aのリンカー部位を選択的に切断して、5’末端側にリ
ン酸基をもつモノまたはオリゴヌクレオソームを生成す
る(5’−P/3’−OH生成型)DNaseである。
当該DNase活性に最適なpH条件は、中性pH、好
ましくはMOPS−NaOH緩衝液またはトリス塩酸中
でpH約6.8〜約7.6、より好ましくはpH約7.
2である。また、当該DNaseγの活性化には、Ca
2+及びMg2+の両者、またはMn2+単独の少なくともい
ずれかの存在を必要とする(なお、本発明において、C
2+/Mg2+,Mn2+依存性と略す)。当該Ca2+、M
2+またはMn2+の濃度は、それぞれ1〜3mM、好ま
しくはそれぞれ3mMである。より好ましくは、3mM
濃度のCa2+及び3mM濃度のMg2+の両者が存在する
ことである。さらに、DNaseγの活性は、アポトー
シスを阻害することが知られているマイクロモル濃度の
Zn2+に対して感受性を示し、40μMという低濃度の
Zn2+により活性の50%が阻害される(IC50=40
μM)。また、DNaseおよびRNaseの阻害剤で
あるオウリントリカルボン酸100μMで完全に活性が
阻害される。しかしながら、当該DNaseγの活性
は、DNaseIを阻害することが知られているG−ア
クチンによっては阻害されない。
【0017】本発明のDNaseγは、動物組織または
細胞を原料として、その細胞核から抽出精製する方法、
化学的合成による方法または遺伝子組換え技術等の公知
手法を適宜用いることによって製造することができる。
具体的には、下記の方法が例示される。ラット、子ウシ
等哺乳類の胸腺、脾臓または肝臓由来の細胞、好ましく
はラットまたは子ウシの胸腺又は脾臓由来の細胞を原料
として、その細胞から非イオン性界面活性剤の存在下で
中性領域、好ましくはpH約7.8の緩衝液を用いてホ
モジネートすることにより細胞核を単離する。ついで得
られた単離核を硫酸アンモニウムの存在下(好適な態様
としては、0.4〜0.5Mの濃度の硫酸アンモニウム
の使用が挙げられる。)で、必要により超音波処理する
ことにより可溶化して、遠心処理により上清画分を得
る。得られた上清画分を陽イオン交換体、好ましくは強
酸性陽イオン交換体を担体とするカラムクロマトグラフ
ィーにかけ、塩濃度による直線グラジェント法により展
開させて、溶出した活性画分を取得する。ついで該活性
画分をさらに陽イオン交換体、好ましくは弱酸性陽イオ
ン交換体を担体とする高速液体クロマトグラフィー(以
下、HPLCという)にかけ、同様に塩濃度による直線
グラジェント法により展開させる。この際、カラムとし
てCM5PWカラム(5mm I.D.×50mm;東
ソー社製)を、また溶離液として1mM 2−メルカプ
トエタノール、0.1mM PMSFおよび10%エチ
レングリコールを含有する20mM トリス塩酸緩衝液
(pH7.8)を用いてKClの濃度勾配法で展開した
場合、本発明のDNaseγはKCl濃度約0.55M
の位置に溶出される。ついで、該溶出活性画分をヘパリ
ンカラムによるHPLC、ゲル濾過HPLCまたは陽イ
オン交換体によるHPLCなどの公知精製クロマトグラ
フィーを適宜組み合わせることにより、より一層高度に
精製された単量体のDNaseγを取得することができ
る。かくして得られたDNaseγは、さらに透析、遠
心分離、凍結乾燥等を施すことができる。
【0018】本発明のDNaseγは、当該酵素による
DNA断片の切断様式とアポトーシスを起こしたラット
胸腺又は脾臓細胞で産生されるDNA断片の切断様式と
が一致すること、イオン依存性において類似すること、
および当該酵素がアポトーシスを起こしたラット胸腺又
は脾臓細胞核に存在していること等から、胸腺又は脾
臓、特にラット胸腺又は脾臓でのアポトーシスのDNA
断片化に関与する酵素であると考えられる。当該DNa
seγは、ヒトを含む哺乳動物(ウシ、ウマ、マウス、
ラット、モルモット、ウサギ等)で生じるアポトーシス
を分子レベルで解明するツールの一つとして、またDN
aseγの抗体を用いた診断薬またはDNaseγの阻
害剤および活性化剤によるアポトーシス制御性医薬品の
開発、アポトーシスの評価法またはDNaseγの遺伝
子を用いた癌や自己免疫疾患のアポトーシス遺伝子療法
等を確立するための基盤として有用である。
【0019】(b)本発明DNaseαについて 本発明のDNaseαは、動物細胞の核、好ましくはラ
ット,子ウシ等哺乳類の胸腺、脾臓または肝臓に由来す
る細胞核、より好ましくは子ウシ胸腺またはラット脾臓
由来の細胞の核に存在するエンドヌクレアーゼである。
また当該DNaseαは、正常細胞の核に存在し、アポ
トーシス細胞の核には殆ど存在しない。
【0020】また、本発明のDNaseαは、SDS−
PAGEにより約32,000の分子量を示し、ゲル濾
過クロマトグラフィーにより約28,000の分子量を
示す単量体ポリペプチドである。なお、SDS−PAG
Eの好ましい態様は実施例2(1)において引用する参
考例4に、およびゲル濾過クロマトグラフィーの好まし
い態様は実施例2(1)に詳述する。
【0021】本発明DNaseαは、クロマチンDNA
のリンカー部位を選択的に切断して、3’末端側にリン
酸基をもつオリゴヌクレオソームを生成する(3’−P
/5’−OH生成型)DNaseである。当該DNas
e活性に最適なpH条件は、弱酸性pH、好ましくは酢
酸−KOH緩衝液またはMES−NaOH緩衝液中でp
H約5.4〜約6.0、より好ましくはpH約5.6で
ある。また、当該DNaseαの活性は、Ca2+、Mg
2+及びMn2+などの二価の金属イオンの存在の有無に影
響されない。さらにZn2+にも非感受性であり活性を約
50%阻害する濃度は1mM以上である。また、DNa
seおよびRNaseの阻害剤であるオウリントリカル
ボン酸100μMで完全に活性が阻害される。しかしな
がら、本DNaseαの活性は、G−アクチンによって
は阻害されない。
【0022】本発明のDNaseαは、動物組織または
細胞を原料として抽出精製する方法、化学的合成による
方法または遺伝子組換え技術等公知手法を適宜用いるこ
とによって製造することができる。具体的には、下記の
方法が例示される。まず、ラット胸腺由来の細胞から非
イオン性界面活性剤の存在下で中性領域、好ましくはp
H約7.8の緩衝液を用いてホモジネートすることによ
り細胞核を単離する。ついで、硫酸アンモニウムの存在
下(好適な態様としては、0.15〜0.25Mの硫酸
アンモニウムの使用が挙げられる)で、必要により超音
波処理することにより可溶化して、遠心処理により上清
画分を得る。得られた上清画分を陽イオン交換体、好ま
しくは強酸性陽イオン交換体を担体とするカラムクロマ
トグラフィーにかけ、塩濃度による直線グラジェント法
により展開させて、溶出した活性画分を取得する。つい
で該活性画分をさらに陽イオン交換体、好ましくは弱酸
性陽イオン交換体を担体とするHPLCにかけ、同様に
塩濃度による直線グラジェント法により展開させる。こ
の際、カラムとしてCM5PWカラム(5mm I.
D.×50mm;東ソー社製)を、また溶離液として1
mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM PMS
Fおよび10%エチレングリコールを含有する20mM
トリス塩酸緩衝液(pH7.8)を用いてKClでグ
ラジェントをかけた場合、本発明のDNaseαはKC
l濃度約0.25M付近の位置に溶出される。ついで、
該溶出活性画分をヘパリンカラムによるHPLC、ゲル
濾過HPLCおよび陽イオン交換HPLCなど公知精製
クロマトグラフィーを適宜組み合わせることにより、よ
り一層高度に精製された単量体のDNaseαを取得す
ることができる。かくして得られたDNaseαは、さ
らに透析、遠心分離、凍結乾燥等を施すことができる。
【0023】本発明のDNaseαは、ヒトを含む哺乳
動物(ウシ、ウマ、マウス、ラット、モルモット、ウサ
ギ等)で生じるDNA切断様式の解析試薬として、また
当該酵素はウイルスDNAを3’−P/5’−OH生成
型に切断することから抗ウイルス剤を開発するための基
盤となる点で有用である。
【0024】(c)本発明DNaseβについて 本発明のDNaseβは、動物細胞の核、好ましくはラ
ット,子ウシ等哺乳類の胸腺、脾臓または肝臓に由来す
る細胞核、より好ましくは子ウシ胸腺またはラット脾臓
由来の細胞の核に存在するエンドヌクレアーゼである。
また当該DNaseβは、正常細胞の核に存在し、アポ
トーシス細胞の核には殆ど存在しない。
【0025】また、本発明のDNaseβは、SDS−
PAGEによると約32,000の分子量を示し、ゲル
濾過クロマトグラフィーによると約30,000の分子
量を示す。なお、SDS−PAGEの好ましい態様は実
施例2(1)において引用する参考例4に、およびゲル
濾過クロマトグラフィーの好ましい態様は実施例2
(1)に詳述する。
【0026】本発明DNaseβは、クロマチンDNA
のリンカー部位を選択的に切断して、3’末端側にリン
酸基をもつオリゴヌクレオソーム(3’−P/5’−O
H生成型)を生成するDNaseである。当該DNas
e活性に最適なpH条件は、弱酸性pH、好ましくは酢
酸−KOH緩衝液またはMES−NaOH緩衝液中でp
H約5.2〜約6.2、より好ましくはpH約5.6で
ある。また、当該DNaseβは、Ca2+、Mg2+及び
Mn2+などの二価金属陽イオン非依存的に活性を有し、
またZn2+にも非感受性である(50%活性阻害濃度>
約1mM)。また、DNaseおよびRNaseの阻害
剤であるオウリントリカルボン酸100μMで完全に活
性が阻害される。しかしながら、本DNaseβの活性
は、G−アクチンによっては阻害されない。
【0027】本発明のDNaseβは、動物組織または
細胞を原料として抽出精製する方法、化学的合成による
方法または遺伝子組換え技術等公知手法を適宜用いるこ
とによって製造することができる。具体的には、下記の
方法が例示される。まず、ラット胸腺、脾臓または肝臓
由来の細胞を原料として、その細胞から非イオン性界面
活性剤の存在下で中性領域、好ましくはpH約7.8の
緩衝液を用いてホモジネートすることにより細胞核を単
離する。次いで硫酸アンモニウムの存在下(好適な態様
としては、0.2〜0.3Mの硫酸アンモニウムの使用
が挙げられる)で、必要により超音波処理することによ
り可溶化して、遠心処理により上清画分を得る。得られ
た上清画分を陽イオン交換体、好ましくは強酸性陽イオ
ン交換体を担体とするカラムクロマトグラフィーにか
け、塩濃度による直線グラジェント法により展開させ
て、溶出した活性画分を取得する。ついで該活性画分を
さらに陽イオン交換体、好ましくは弱酸性陽イオン交換
体を担体とするHPLCにかけ、同様に塩濃度による直
線グラジェント法により展開させる。この際、カラムと
してCM5PWカラム(5mm I.D.×50mm;
東ソー社製)を、また溶離液として1mM 2−メルカ
プトエタノール、0.1mM PMSFおよび10%エ
チレングリコールを含有する20mM トリス塩酸緩衝
液(pH7.8)を用いてKClでグラジェントをかけ
た場合、本発明のDNaseβはKCl濃度約0.35
M付近の位置に溶出される。ついで、該溶出活性画分を
ヘパリンカラムによるHPLC、ゲル濾過HPLCおよ
び陽イオン交換体によるHPLC等の公知精製クロマト
グラフィーを適宜組み合わせることにより、より一層高
度に精製されたDNaseβを取得することができる。
かくして得られたDNaseβは、透析、遠心分離、凍
結乾燥等を施すことができる。
【0028】本発明のDNaseβは、ヒトを含む哺乳
動物(ウシ、ウマ、マウス、ラット、モルモット、ウサ
ギ等)で生じるDNA切断様式の解析試薬として、また
当該酵素はウイルスDNAを3’−P/5’−OH生成
型に切断することから抗ウイルス剤を開発するための基
盤として有用である。
【0029】(d)本発明DNaseγの一次構造(ア
ミノ酸配列) 本発明DNaseγの好ましい態様は、実質的に配列表
配列番号1に示されるアミノ酸配列中、アミノ酸番号2
6〜310で示されるアミノ酸配列を有するDNase
である。かかるアミノ酸配列は、当該DNaseγの性
状を変化させない限り特に限定されず、アミノ酸配列の
一部で置換、欠失、挿入又は修飾が起こっていてもよ
い。該アミノ酸配列を有するDNaseγは、動物組織
又は細胞の、細胞核から抽出精製する方法、化学合成に
よる方法又は遺伝子組換え技術等の公知手法を適宜用い
ることにより製造できる。好適には、ラット、仔ウシ等
の哺乳類の胸腺、脾臓又は肝臓由来の細胞、より好まし
くは、ラットの脾臓由来の細胞を原料として、上記
(a)に記載の方法と同様の工程により抽出精製する方
法が例示される。また当該DNaseγのアミノ酸配列
は、以下の〜によって得られたデータを総合して同
定する直接的方法、 該酵素を完全加水分解しアミノ酸組成を決定する エドマン法等によりN末端を、加ヒドラジン分解等に
よりC末端を決定する プロテアーゼ又は化学物質を用いて限定分解後、アミ
ノ酸配列分析装置で各断片のアミノ酸配列を決定する 別のプロテアーゼ又は化学物質を用いてと同様の処
理を行う 又は当該DNaseγのcDNAもしくはゲノミックD
NAをクローニングし、そのコード領域(ORF)の塩
基配列より対応するアミノ酸配列を決定する間接的方法
により同定される。
【0030】(e)本発明DNaseγのN末端プリカ
ーサーペプチド領域 また、本発明DNaseγは細胞中で、まずそのN末端
側にプリカーサーペプチド領域を有する前駆体DNas
eγとして合成され、次いでペプチダーゼによって該N
末プリカーサーペプチド領域が切断され、成熟DNas
eγとなる。該N末プリカーサーペプチド領域は、実質
的に、配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列中、ア
ミノ酸番号1〜25で示されるアミノ酸配列を有する。
かかるアミノ酸配列は、当該DNaseγの性状を変化
させることなく、且つ正常にプロセッシングされるもの
であれば特に限定されず、アミノ酸配列の一部で置換、
欠失、挿入又は修飾が起こっていてもよい。該N末プリ
カーサーペプチド領域のアミノ酸配列は、cDNA又は
ゲノミックDNAをクローニングしてその塩基配列を決
定し、該塩基配列に含まれるORFの塩基配列に対応す
るアミノ酸配列と、成熟DNaseγのN末端付近のア
ミノ酸配列とを比較することにより決定することができ
る。
【0031】(f)本発明DNaseγをコードするD
NA 本発明のDNAは、本発明DNaseγのアミノ酸配列
をコードする塩基配列を有するDNAであれば特に限定
されないが、好ましくは配列表配列番号1に示されるア
ミノ酸配列中、アミノ酸番号26〜310で示されるア
ミノ酸配列をコードするDNA、より好ましくは配列表
配列番号2に示される塩基配列中、塩基番号87〜94
1で示される塩基配列を有するDNAである。また、本
発明のDNAは、N末プリカーサーペプチド領域を有す
る本発明DNaseγの前駆体ポリペプチドをコードす
るDNAをも包含する。具体的には、実質的に、配列表
配列番号1に示されるアミノ酸配列中アミノ酸番号1〜
25で示されるアミノ酸配列をN末プリカーサーペプチ
ドとして有するDNaseγをコードするDNAであ
り、好ましくは配列番号1記載のアミノ酸配列中アミノ
酸番号1〜310で示されるアミノ酸配列をコードする
DNA、より好ましくは配列番号2記載の塩基配列中塩
基番号12〜941で示される塩基配列を有するDNA
が例示される。
【0032】また、本発明のDNAはいかなる方法で得
られるものであってもよい。例えばmRNAから調製さ
れる相補DNA(cDNA)、ゲノミックDNAから調
製されるDNA、化学合成によって得られるDNA、R
NA(cDNA)又はDNAを鋳型としてPCR法で増
幅させて得られるDNAおよびこれらの方法を適当に組
み合わせて構築されるDNAをも全て包含するものであ
る。
【0033】例えば、DNaseγを産生する細胞由来
のcDNAライブラリーからDNaseγのcDNAを
クローン化する方法としては、以下の方法が例示され
る。まず、DNaseγを発現・産生するラット胸腺又
は脾臓等の細胞からmRNA〔poly (A) RNA〕を調製す
る。mRNAの調製は、例えばグアニジンチオシアネー
ト法〔Chirgwin, J. M. et al., Biochem., 18, 5294
(1979) 〕、熱フェノール法もしくは酸グアニジン−フ
ェノール−クロロホルム(AGPC)法等の公知の方法
を用いて調製した全RNAをオリゴ(dT)セルロース
やポリU−セファロース等によるアフィニティクロマト
グラフィーにかけることによって行うことができる。次
いで得られたmRNAを鋳型として、例えば逆転写酵素
を用いる等の公知の方法〔Okayama, H. et al., Mol.Ce
ll.Biol., 2, 161 (1982) 及び同誌 3, 280 (1983)、Gu
bler, H. and Hoffman, B.J., Gene, 25, 263(1983)
等〕でcDNA鎖を合成し、RNaseHで鋳型RNA
にニックを導入した後DNAポリメラーゼIで二本鎖c
DNAを作製する。さらに末端平滑化、リンカー結合
後、該cDNAをプラスミドベクターもしくはファージ
ベクターに組み込み、大腸菌を形質転換して、あるいは
インビトロパッケージングを行いcDNAライブラリー
を作製する。
【0034】ここで用いられるプラスミドベクターとし
ては、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限さ
れず、また用いられるファージベクターとしても宿主内
で増殖できるものであれば良い。常法的に用いられるク
ローニング用ベクターとしてpUC119,λgt1
0,λgt11等が例示される。ただし、後述の抗体ス
クリーニングに供する場合は、宿主内でDNaseγ遺
伝子を発現させ得るプロモーターを有したベクターであ
ることが好ましい。
【0035】プラスミドにcDNAを組み込む方法とし
ては、例えば Maniatis, T. ら, モレキュラークローニ
ング,ア・ラボラトリー・マニュアル (Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual, second edition), Cold Spr
ing Harbor Laboratory, 1.53 (1989) に記載の方法な
どが挙げられる。また、ファージベクターにcDNAを
組み込む方法としては、Hyunh,T. V. らの方法(Hyunh,
T.V., DNA Cloning, apractical approach,1,49(198
5))などが挙げられる。簡便には、市販のライゲーショ
ンキット(例えば、宝酒造製等)を用いることもでき
る。このようにして得られる組換えプラスミドやファー
ジベクターは、原核細胞(例えば、E.coliHB1
01,DH5またはMC1061/P3等)等の適当な
宿主に導入する。
【0036】プラスミドを宿主に導入する方法として
は、Maniatis, T.らのモレキュラークローニング,ア・
ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning, A Labo
ratoryManual, second edition), Cold Spring Harbor
Laboratory, 1.74 (1989)に記載の塩化カルシウム法ま
たは塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポ
レーション法等が挙げられる。また、ファージベクター
を宿主に導入する方法としてはファージDNAをインビ
トロパッケージングした後、増殖させた宿主に導入する
方法等が例示される。インビトロパッケージングは、市
販のインビトロパッケージングキット(例えば、ストラ
タジーン社製,アマシャム社製等)を用いることによっ
て簡便に行うことができる。
【0037】上記の方法によって作製されたcDNAラ
イブラリーから、本発明DNaseγをコードするcD
NAを単離する方法は、一般的なcDNAスクリーニン
グ法を組み合わせることによって行うことができる。例
えば、別個にDNaseγの部分アミノ酸配列に対応す
ると考えられるオリゴヌクレオチドを化学合成したの
ち、これを32Pでラベルしてプローブとなし、公知のコ
ロニーハイブリダイゼーション法〔Crunstein, M. and
Hogness, D.S.:Proc. Natl. Acid. Sci. USA 72, 3961
(1975) 〕またはプラークハイブリダイゼーション法〔M
olecular Cloning, A Laboratory Manual, second edit
ion , Cold Spring Harbor Laboratory, 2.108 (198
9)〕により、目的のcDNAを含有するクローンをスク
リーニングする方法、PCRプライマーを作製しDNa
seγの特定領域をPCR法により増幅し、該領域をコ
ードするDNA断片を有するクローンを選択する方法等
が挙げられる。また、cDNAを発現しうるベクター
(例えば、λgt11ファージベクター)を用いて作製
したcDNAライブラリーを用いる場合には、DNas
eγに対する抗体を用いるイムノスクリーニングによ
り、目的のクローンを選択することができる。大量にク
ローンを処理する場合には、PCR法を利用したスクリ
ーニング法を用いることが好ましい。
【0038】この様にして得られたDNAの塩基配列は
マキサム・ギルバート法〔Maxam, A.M. and Gilbert,
W., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 74, 560 (1977)〕
あるいはファージM13を用いたジデオキシターミネー
ション法〔Sanger,f. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. US
A., 74, 5463-5467 (1977)〕によって決定することがで
きる。DNaseγcDNAは、その全部または一部を
上記のようにして得られるクローンから制限酵素等によ
り切り出すことにより取得できる。
【0039】また、ゲノミックDNAライブラリーから
本発明DNaseγをコードするDNAを単離する方法
としては以下の方法が例示される。まず、ラット胸腺又
は脾臓等の細胞からSDSーフェノール法、セチルトリ
メチルアンモニウムブロマイド(CTAB)法等の公知
の方法を用いてゲノミックDNAを調製する。好ましく
はリボヌクレアーゼによりRNAを分解除去する。得ら
れるDNAを適当な制限酵素により部分消化し、得られ
るDNA断片を適当なファージまたはコスミドで増幅し
ライブラリーを作製する。そして目的の配列を有するク
ローンを、例えば放射性標識されたDNAプローブを用
いる方法等により検出し、該クローンからDNaseγ
遺伝子の全部または一部を制限酵素等により切り出し取
得する。
【0040】また、化学的合成による本発明のDNAの
製造は、配列表配列番号2記載の塩基配列中、塩基番号
12〜941で示される塩基配列を基にして、その全部
又は一部を合成することにより行うことができる。
【0041】(g)さらに本発明は、上述のDNase
γをコードするDNAを含有する組換えベクターに関す
る。本発明の組換えベクターとしては、原核細胞及び/
または真核細胞の各種の宿主内で複製保持または自己増
殖できるものであれば特に制限されず、プラスミドベク
ターおよびファージベクターが包含される。当該組換え
ベクターは、簡便には当業界において入手可能な組換え
用ベクター(プラスミドDNAおよびバクテリオファー
ジDNA)に本発明のDNaseγをコードするDNA
を常法により連結することによって調製することができ
る。用いられる組換え用ベクターとして具体的には、大
腸菌由来のプラスミドとして例えばpBR322, pBR325, pU
C12, pUC13など、酵母由来プラスミドとして例えばpSH1
9, pSH15など、枯草菌由来プラスミドとして例えばpUB1
10, pTP5, pC194 などが例示される。また、ファージと
しては、λファージなどのバクテリオファージが、さら
にレトロウイルス、ワクシニヤウイルス、核多角体ウイ
ルスなどの動物や昆虫のウイルス〔pVL1393 (インビト
ロゲン社製) 〕が例示される。
【0042】DNaseγを発現・生産させる目的にお
いては、発現ベクターが有用である。発現ベクターとし
ては、原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主細
胞中でDNaseγ遺伝子を発現し、該酵素を生産する
機能を有するものであれば特に制限されない。宿主細胞
として細菌、特に大腸菌を用いる場合、一般に発現ベク
ターは少なくともプロモーター−オペレーター領域,開
始コドン,本発明DNaseγをコードするDNA,終
止コドン,ターミネーター領域および複製可能単位から
構成される。宿主として酵母,動物細胞または昆虫細胞
を用いる場合、発現ベクターは少なくともプロモータ
ー,開始コドン,本発明DNaseγをコードするDN
A,終止コドンを含んでいることが好ましい。またシグ
ナルペプチドをコードするDNA,エンハンサー配列,
本発明DNaseγ遺伝子の5’側および3’側の非翻
訳領域,スプライシング接合部,ポリアデニレーション
部位,選択マーカー領域または複製可能単位などを含ん
でいてもよい。
【0043】細菌中で本発明のDNaseγを発現させ
るためのプロモーター−オペレータ−領域は、プロモー
ター、オペレーターおよび Shine-Dalgarno(SD) 配列
(例えば、AAGGなど)を含むものである。例えば宿
主がエシェリキア属菌の場合、好適にはTrpプロモー
ター,lacプロモーター,recAプロモーター,λ
PLプロモーター,lppプロモーター,tacプロモ
ーターなどを含むものが例示される。宿主がバチルス属
菌の場合は、SLO1プロモーター,SPO2プロモー
ター,penPプロモーターなどが挙げられる。また、
真核細胞の酵母中で本発明のDNaseγを発現させる
ためのプロモーターとしては、PHO5プロモーター,
PGKプロモーター,GAPプロモーター,ADHプロ
モーターが挙げられ、さらに宿主が哺乳動物細胞等であ
る場合、SV40由来のプロモーター,レトロウイルス
のプロモーター,ヒートショックプロモーターなどが挙
げられる。好ましくは、SV−40,レトロウイルスで
ある。しかし、特にこれらに限定されるものではない。
また、発現にはエンハンサーの利用も効果的な方法であ
る。
【0044】好適な開始コドンとしては、メチオニンコ
ドン(ATG)が例示される。 終止コドンとしては、
常用の終止コドン(例えば、TAG,TGA,TAAな
ど)が例示される。ターミネーター領域としては、通常
用いられる天然または合成のターミネーターを用いるこ
とができる。複製可能単位とは、宿主細胞中でその全D
NA配列を複製することができる能力をもつDNAをい
い、天然のプラスミド,人工的に修飾されたプラスミド
(天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメン
ト)および合成プラスミド等が含まれる。好適なプラス
ミドとしては、E. coli ではプラスミドpBR322、
もしくはその人工的修飾物(pBR322を適当な制限
酵素で処理して得られるDNAフラグメント)が、酵母
では酵母2μプラスミド、もしくは酵母染色体DNA
が、また哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVneo ATCC 371
98, プラスミドpSV2dhfr ATCC 37145,プラスミドpdBPV-
MMTneo ATCC 37224,プラスミドpSV2neo ATCC37149等が
あげられる。
【0045】エンハンサー配列、ポリアデニレーション
部位およびスプライシング接合部位については、例えば
それぞれSV40に由来するもの等、当業者において通
常使用されるものを用いることができる。
【0046】選択マーカーとしては、通常使用されるも
のを常法により用いることができる。例えばテトラサイ
クリン,アンピシリン,またはカナマイシン等の抗生物
質耐性遺伝子等が例示される。
【0047】本発明の発現ベクターは、少なくとも、上
述のプロモーター,開始コドン,本発明のDNaseγ
をコードするDNA,終止コドンおよびターミネーター
領域を連続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結する
ことによって調製することができる。またこの際、所望
により制限酵素での消化やT4DNAリガーゼを用いる
ライゲーション等の常法により適当なDNAフラグメン
ト(例えば、リンカー、他の制限部位など)を用いるこ
とができる。
【0048】(h)本発明の形質転換細胞は、上述の発
現ベクターを宿主細胞に導入することにより調製するこ
とができる。本発明で用いられる宿主細胞としては、前
記の発現ベクターに適合し、形質転換されうるものであ
れば特に限定されず、本発明の技術分野において通常使
用される天然細胞あるいは人工的に樹立された組換え細
胞など種々の細胞〔例えば、細菌(エシェリキア属菌、
バチルス属菌),酵母(サッカロマイセス属、ピキア属
など),動物細胞または昆虫細胞など〕が例示される。
好ましくは大腸菌あるいは動物細胞であり、具体的には
大腸菌(DH5,HB101等)、マウス由来細胞(C
OP、L、C127、Sp2/0、NS−1またはNI
H3 T3 等)、ラット由来細胞、ハムスター由来細胞
(BHKおよびCHO等)、サル由来細胞(COS1、
COS3、COS7、CV1およびVelo等)および
ヒト由来細胞(Hela、2倍体線維芽細胞に由来する
細胞、ミエローマ細胞およびNamalwa等)などが
例示される。
【0049】発現ベクターの宿主細胞への導入(形質転
換又は形質移入)は従来公知の方法を用いて行うことが
できる。 例えば、細菌(E.coli, Bacillus subtilis
等)の場合は、例えばCohen らの方法〔Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA., 69, 2110 (1972)〕、プロトプラスト法
〔Mol. Gen. Genet., 168, 111 (1979) 〕やコンピテン
ト法〔J. Mol. Biol., 56, 209 (1971) 〕によって、Sa
ccharomyces cerevisiaeの場合は、例えばHinnenらの方
法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 75, 1927(1978)〕
やリチウム法〔J. Bacteriol., 153, 163 (1983)〕によ
って、動物細胞の場合は、例えばGrahamの方法〔Virolo
gy, 52, 456 (1973)〕、昆虫細胞の場合は、例えばSumm
ers らの方法〔Mol. Cell. Biol.3, 2156-2165 (1983)
〕によってそれぞれ形質転換することができる。
【0050】(i)本発明のDNaseγは、上記の如
く調製される発現ベクターを含む形質転換細胞(以下、
形質移入体を包含する意味で使用する。)を栄養培地で
培養することによって製造することができる。栄養培地
は、宿主細胞(形質転換体)の生育に必要な炭素源,無
機窒素源もしくは有機窒素源を含でいることが好まし
い。炭素源としては、例えばグルコース,デキストラ
ン,可溶性デンプン,ショ糖などが、無機窒素源もしく
は有機窒素源としては、例えばアンモニウム塩類,硝酸
塩類,アミノ酸,コーンスチープ・リカー,ペプトン,
カゼイン,肉エキス,大豆粕,バレイショ抽出液などが
例示される。また所望により他の栄養素〔例えば、無機
塩(例えば塩化カルシウム,リン酸二水素ナトリウム,
塩化マグネシウム),ビタミン類,抗生物質(例えばテ
トラサイクリン,ネオマイシン,アンピシリン,カナマ
イシン等)など〕を含んでいてもよい。
【0051】培養は当業界において知られている方法に
より行われる。培養条件、例えば温度,培地のpHおよ
び培養時間は、DNaseγが大量に生産されるように
適宜選択される。なお、下記に宿主細胞に応じて用いら
れる具体的な培地および培養条件を例示するが、何らこ
れらに限定されるものではない。
【0052】宿主が細菌,放線菌,酵母,糸状菌である
場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が適当であ
る。好ましくは、pHが5〜8である培地である。宿主
がE. coli の場合、好ましい培地としてLB培地,M9
培地〔Miller. J., Exp. Mol. Genet, p.431, Cold Spr
ing Harbor Laboratory, New York (1972)〕等が例示さ
れる。かかる場合、培養は、必要により通気,攪拌をし
ながら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことが
できる。
【0053】宿主がBacillus属菌の場合、必要により通
気,攪拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96
時間行うことができる。宿主が酵母である場合、培地と
して、例えばBurkholder最小培地〔Bostian. K. L. et
al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980) 〕
が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養
は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、
必要により通気や攪拌を行うこともできる。
【0054】宿主が動物細胞の場合、培地として例えば
約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,
122, 501 (1952)〕,DMEM培地〔Virology, 8, 396
(1959) 〕、RPMI1640培地〔J. Am. Med. Asso
c., 199, 519 (1967) 〕,199培地〔proc. Soc. Ex
p. Biol. Med., 73, 1 (1950)〕等を用いることができ
る。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は
通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要
により通気や攪拌を行うこともできる。
【0055】宿主が昆虫細胞の場合、例えば胎児牛血清
を含むGrace's 培地〔Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 82,
8404 (1985)〕等が挙げられ、そのpHは約5〜8であ
るのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜1
00時間行なわれ、必要により通気や攪拌を行うことも
できる。
【0056】本発明のDNaseγは、上記培養により
得られる培養物より以下のようにして取得できる。すな
わち、本発明のDNaseγが、培養物のうち培養液中
に存在する場合は、得られた培養物を濾過または遠心分
離等の方法で培養濾液(上清)を得、該培養濾液から天
然または合成蛋白質を精製並びに単離するために一般に
用いられる常法に従って該DNaseγを精製、単離す
る。単離,精製方法としては、例えば塩析,溶媒沈澱法
等の溶解度を利用する方法、透析,限外濾過,ゲル濾
過,ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動など分子量の差を利用する方法、イオン交換ク
ロマトグラフィーやヒドロキシルアパタイトクロマトグ
ラフィーなどの荷電を利用する方法、アフィニティーク
ロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、
逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利
用する方法、等電点電気泳動などの等電点の差を利用す
る方法などが挙げられる。
【0057】一方、本発明DNaseγが培養された形
質転換体のペリプラズムまたは細胞質内に存在する場合
は、培養物を濾過または遠心分離などの常法に付して菌
体あるいは細胞を集め、適当な緩衝液に懸濁し、例えば
超音波、リゾチーム及び凍結融解などの方法で細胞等の
細胞壁および/または細胞膜を破壊した後、遠心分離や
濾過などの方法でDNaseγを含有する膜画分を得
る。該膜画分をトライトン−X100等の界面活性剤を
用いて可溶化して粗溶液を得る。そして、当該粗溶液を
先に例示したような常法を用いることにより、単離,精
製することができる。また、当該DNaseγが培養さ
れた形質転換細胞の核内に存在する場合は、常法により
細胞壁及び細胞膜を破壊して核を単離した後、超音波処
理等により核膜を破壊し、遠心処理して上清を得、該上
清を先に例示したような常法を用いることにより、単離
・精製することができる
【0058】また、本発明は、上述のDNaseγもし
くはその前駆体ポリペプチド又はそれらのアミノ酸配列
の一部を有するペプチドに親和性を有する抗体に関す
る。本発明の抗体は、上記性質を有するポリクローナル
抗体およびモノクローナル抗体を共に包含する。また、
当該モノクローナル抗体には、IgG,IgM,Ig
A,IgDおよびIgEなるいずれのイムノグロブリン
クラスに属するモノクローナル抗体をも包含し、好適に
は、IgGまたはIgMイムノグロブリンクラスモノク
ローナル抗体が挙げられる。
【0059】本発明の抗体は常法に従って取得すること
ができる(続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、日
本生化学会編:東京化学同人発行、等)。 例えば、本
発明のポリクローナル抗体は、以下の方法により作製す
ることができる。本発明DNaseγのアミノ酸配列の
一部又は全部を有する(ポリ)ペプチドをウシ血清アル
ブミン、Keyhole Limpets Hemocyanin(KLH)等のキ
ャリアタンパク質に架橋した複合体と、完全(不完全)
フロイントアジュバント〔FCA(FIA)〕との混和
物を抗原として、ウサギ、マウス、ラット、モルモット
又はハムスター等の哺乳動物に免疫(初回免疫から約1
〜4週間毎に1〜数回追加免役し、各追加免疫の約3〜
10日後に部分採血した血清の抗体価を従来公知の抗原
抗体反応を利用して測定、その上昇を確認しておく。さ
らに最終免疫から約3〜10日後全血を採取して抗血清
を精製する。
【0060】また、本発明のDNaseγに対するモノ
クローナル抗体は、いわゆる細胞融合によって製造され
るハイブリドーマ(融合細胞)から製造することができ
る。すなわち、抗体産生細胞と骨髄腫系細胞から融合ハ
イブリドーマを形成し、当該ハイブリドーマをクローン
化し、本発明のDNaseγ又はその前駆体のアミノ酸
配列の一部または全部を有する(ポリ)ペプチドを抗原
として、それに対して特異的親和性を示す抗体を生産す
るクローンを選択することによって製造される。その操
作は免疫抗原として本発明のDNaseγ又はその前駆
体のアミノ酸配列の一部または全部を有する(ポリ)ペ
プチドを使用する以外は、従来既知の手段を用いること
ができる。
【0061】免疫抗原は、例えばDNaseγ又はその
前駆体のアミノ酸配列の一部または全部を有する(ポ
リ)ペプチドを完全又は不完全フロインドアジュバント
とを混和して調製される。免疫化の対象として用いられ
る動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムス
ター又はウサギ等の哺乳動物、好ましくはマウス又はラ
ット、より好ましくはマウスが例示される。免疫は、こ
れらの哺乳動物の皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッ
ト内あるいは腹腔内に1〜数回注射することにより行わ
れる。通常、初回免疫から約1〜4週間毎に1〜4度追
加免疫を行い、さらに約1〜4週間後に最終免疫を行っ
て、該最終免疫より約3〜10日後に免疫感作された動
物から抗体産生細胞が採取される。
【0062】モノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマの調製は、ケーラー及びミルシュタインらの方法
(Nature, Vol.256, pp.495-497, 1975)及びそれに準じ
る修飾方法に従って行うことができる。すなわち、本発
明のモノクローナル抗体は、前述の如く免疫感作された
動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃
等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好まし
くは同種のマウス、ラット、モルモット、ハムスター、
ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウ
ス、ラットまたはヒトの骨髄腫系細胞(ミエローマ)と
の融合により得られる融合細胞(ハイブリドーマ)を培
養することにより調製される。培養は、インビトロ、ま
たはマウス、ラット、モルモット、ハムスターもしくは
ウサギ等の哺乳動物、好ましくはマウスまたはラット、
より好ましくはマウスの腹水中等でのインビボで行うこ
とができ、抗体はそれぞれ該培養上清、または哺乳動物
の腹水から取得することができる。
【0063】細胞融合に用いられる骨髄腫系細胞として
は、例えばマウス由来ミエローマP3/X63-AG8、P3/NSI/1
-Ag4-1、P3/X63-Ag8.U1 、SP2/O-Ag14、FOあるいはBW51
47、ラット由来ミエローマ210RCY3-Ag1.2.3.、ヒト由来
ミエローマU-266AR1、GM1500-6TG-A1-2 、UC729-6 、CE
M-AGR 、D1R11 あるいはCEM-T15 を挙げることができ
る。
【0064】本発明のモノクローナル抗体を産生する融
合細胞クローンのスクリーニングは、融合細胞を、例え
ばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られ
たウエルの培養上清の抗原に対する反応性を、例えばR
IAやELISA等の酵素抗体法によって測定すること
により行うことができる。モノクローナル抗体の精製、
単離は、上述のような方法によって取得される本発明の
モノクローナル抗体を含有する血清、腹水あるいはイオ
ン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52な
ど)、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインA
カラム等のアフィニティーカラムクロマトグラフィーに
付することにより行うことができる。
【0065】本発明の「モノクローナル抗体」は、上述
の製造方法に限定されることなく、いかなる方法で得ら
れたものであってもよい。また、通常「モノクローナル
抗体」は、免疫感作を施す哺乳動物の種類によりそれぞ
れ異なる構造の糖鎖を有するが、本発明における「モノ
クローナル抗体」は該糖鎖の構造差異により限定される
ものではなく、あらゆる哺乳動物由来のモノクローナル
抗体をも包含するものである。さらに、例えばヒトイム
ノグロブリン遺伝子を組み込むことにより、ヒト型抗体
を産生するように遺伝子工学的に作出されたトランスジ
ェニックマウスを用いて得られるヒト型モノクローナル
抗体、あるいは、遺伝子組換え技術により、ある哺乳動
物由来のモノクローナル抗体の定常領域(Fc領域)を
ヒトモノクローナル抗体のFc領域と組み換えたキメラ
モノクローナル抗体、さらには抗原と相補的に直接結合
し得る相補性決定部位(CDR:complementarity dete
rmining region)以外、全領域をヒトモノクローナル抗
体抗体の対応領域と組換えたキメラモノクローナル抗体
も本発明の「モノクローナル抗体」に包含される。
【0066】以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を
より明確に説明するが、本発明はこれらの実施例によっ
て何ら限定されるものではない。
【0067】
【実施例】
参考例1 アポトーシスの誘導 まず、10週齢の雄ラット(アルビノウィスター種)か
ら、胸腺を取り出して10mMグルコースの入ったKr
ebs−Ringerホスフェート溶液で懸濁した。該
胸腺を10Gy量の60Coのγ線で照射するか、または
10-7Mデキサメタゾンによって処理した後、37℃で
4時間インキュベーションすることにより、アポトーシ
スを誘導した。これら処理したアポトーシス胸腺を、電
子顕微鏡による形態上の観察、および2%アガロースゲ
ル電気泳動によるDNAフラグメントの分析に用いた。
【0068】参考例2 ラット胸腺中でのアポトーシス
の特徴 参考例1に従って、γ線照射またはデキサメタゾン処理
によって誘導されたラット胸腺細胞のアポトーシスを特
徴づけるために、アポトーシス細胞の形態上の変化およ
びDNA断片の性質を調べた。 (1)アポトーシス細胞の形態上の変化 γ線照射処理したラット胸腺を、透過性電子顕微鏡で観
察した。正常な胸腺と比較すると、アポトーシスに特徴
的な核内でのクロマチンの凝縮、および細胞表面の微絨
毛の消失といった形態上の変化が明らかに認められた。
また、デキサメタゾンで処理したラットの胸腺において
も同様な形態上の変化が認められた。
【0069】(2)アポトーシス細胞で産生されるDN
A断片の性状 (i)DNA断片のアガロースゲル電気泳動上の挙動 γ照射によりアポトーシスを起こした細胞を、まず溶解
用緩衝液〔50mMトリス塩酸(pH7.8)、10m
M EDTA、0.5%w/v N−ラウロニル サル
コシレートNa〕中で溶解した。得られたDNAを0.
5mg/mlRNaseAで20分間、および0.5m
g/mlプロテイナーゼKで30分間、充分処理した
後、2%アガロースゲル電気泳動に付した。そしてエチ
ジウムブロミドで染色したDNA断片のパターンをUV
照射下で行ったフォトグラフで観察した〔Biochem. Bio
phys. Res. Commun. 194,(1993) 、第30〜31頁参
照〕。その結果、放射線照射胸腺由来の細胞の核DNA
画分の2%アガロースゲル電気泳動は、クロマチンDN
Aのヌクレオソーム間が切断されていることを示すアポ
トーシスの特徴であるはしご状パターンを示した。ま
た、デキサメタゾン処理胸腺由来の細胞DNAのアガロ
ースゲル電気泳動も同様の挙動を示した。
【0070】(ii) DNA切断様式 放射線照射またはデキサメタゾン処理によって誘導され
たアポトーシス胸腺細胞内でのDNA切断様式を、後述
するエンドラベリング法により調べた。もし、産生され
るヌクレオソームDNA断片が、その5’末端にリン酸
基を有し3’末端はフリーであるタイプであるなら
(5’−P/3’−OH生成型)、該DNAは、アルカ
リホスファターゼで前処理することなく、ターミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(以下、Td
Tという)およびα−32P−デオキシシチジントリホス
フェート〔以下、(α−32P)dCTPという〕で処理
することにより、その3’末端をラベルすることがで
き、そして、アルカリホスファターゼで前処理した場合
に限り、ポリヌクレオチドキナーゼおよびγ−32P−ア
デノシントリホスフェート〔以下、(γ−32P)ATP
という〕による処理によって5’末端をラベルすること
ができる。
【0071】エンドラベリング法 まず、参考例1で得られたアポトーシスラット胸腺か
ら、DNAをフェノール/クロロホルム抽出法により単
離した。得られたDNAの3’末端側のラベリングは、
25mMトリス塩酸(pH7.6)、10mM DTT
および1mM CaCl2 の存在下で、DNA断片をT
dT(5U;宝酒造社製)および〔α−32P〕dCTP
(0.83mCi/ml;デュポン社製)とでインキュ
ベーションすることによって行った。一方、5’末端側
のラベリングは、100mMトリス塩酸(pH7.
6)、20mM MgCl2 、10mM DTTおよび
0.2mMスペルミジンの存在下で、DNA断片をT4
ポリヌクレオチドキナーゼ(5U;宝酒造社製)および
(γ−32P)ATP(0.83mCi/ml;ジュポン
社製)とでインキュベーションすることにより行った。
DNA鎖の末端にリン酸基がある場合には、36mMト
リス塩酸(pH8.0)及び1mM MgCl2 の存在
下で子ウシ小腸アルカリホスファターゼ(20U;宝酒
造社製)で前処理することにより除去される。
【0072】ラベリング処理後、酢酸アンモニウム/イ
ソプロパノールで処理して、ラベル化DNAをラベルに
用いられなかったヌクレオチドから沈殿させることによ
り回収した。ラベル化DNAを2%アガロースゲル電気
泳動にかけた後、ゲル中のDNAをナイロン膜に転写
し、そのナイロン膜をオートラジオグラフィーにかけ
た。得られたオートラジオグラムを図2に示す(aは、
放射線照射アポトーシス誘導胸腺由来のDNA、bは、
デキサメタゾン処理アポトーシス誘導胸腺由来のDN
A)。これから明らかなように、放射線照射およびデキ
サメタゾン処理それぞれによって誘導された両者のアポ
トーシス胸腺において、3’−OHと5’−P末端を有
するDNA断片が産生されていることが判明した。これ
らの結果から、アポトーシスは、DNA鎖の3’−OH
/5’−P切断末端を生じるエンドヌクレアーゼによっ
て触媒されるものと考えられた。
【0073】参考例3 エンドヌクレアーゼ(DNas
e)活性の測定 (1)アッセイ1 エンドヌクレアーゼ(DNase)の活性は、内在性の
エンドヌクレアーゼを全く含有しないHeLa S3細
胞(ヒト子宮頸癌上皮細胞)の核を基質として該核のク
ロモソームDNAの分解を2%アガロースゲル電気泳動
で見ることにより測定することができる〔Biochem. Bio
phys. Res. Commun. 194, (1993)、第30〜31頁参
照〕。詳細には、HeLa S3細胞(1.67×10
7 /ml)およびDNase画分を含有する反応混液
(30μl)中で37℃、60分間処理した後、氷上で
冷却することにより反応を停止する。次いで、反応を終
えた反応混液を20,000×gで20秒間遠心し、沈
殿した核を溶解用緩衝液〔50mMトリス塩酸(pH
7.8)、10mM EDTA、0.5%w/v N−
ラウロニル サルコシレートNa〕中で溶解する。得ら
れたDNAを0.5mg/ml RNaseAで20分
間、および0.5mg/mlプロテイナーゼKで30分
間、充分処理した後、2%アガロースゲル電気泳動に付
す。エチジウムブロミドで染色したDNA断片のパター
ンをUV照射下で行ったフォトグラフで観察する。断片
化した割合は(パーセント フラグメンテーション)
を、分子量5kb未満のDNA断片の密度によって求め
る。
【0074】(2)アッセイ2 また、エンドヌクレアーゼ(DNase)の活性は、ス
ーパーコイルドpBSIISK(-) プラスミドを基質とし
て該プラスミドのクロモソームDNAの分解を0.8%
アガロースゲル電気泳動で見ることにより測定すること
ができる。詳細には、スーパーコイルドpBSIISK
(-) プラスミド(6.67mg/ml)およびDNas
e画分を含有する反応混液(30μl)中で37℃、1
0分間処理した後、氷上で冷却することにより反応を停
止する。次いで、反応を終えた反応混液をフェノール/
クロロホルム処理することにより、プラスミドDNAを
抽出し、その水層を0.8%アガロースゲル電気泳動に
付す。エチジウムブロミドで染色したDNA断片のパタ
ーンをUV照射下で行ったフォトグラフで観察する。断
片化した割合は(パーセント フラグメンテーション)
を、分子量5kb未満のDNA断片の密度によって求め
る。
【0075】なお、DNaseαとβの活性を測定する
ための好適な反応液として、3mMMgCl2 、1mM
2−メルカプトエタノール及び0.1mM PMSF
を含有する50mM MES−NaOH(pH5.6)
緩衝液を用いる。また、DNaseγの活性を測定する
ための好適な反応液として、3mM CaCl2 、3m
M MgCl2 、1mM 2−メルカプトエタノール及
び0.1mM PMSFを含有する50mM MOPS
−NaOH(pH7.2)緩衝液を用いる。
【0076】参考例4 DNase−活性ゲルシステム DNaseの活性物を同定し、またそれらの分子量を決
定するために、Rosenthal らによるDNase−活性ゲ
ルシステム〔Anal.Biochem. 80, 76-90, (1977) 参照〕
を少々変えて用いた。すなわち、まず実施例1で精製、
取得した各種DNaseを天然の子ウシ胸腺DNAを2
00μg/ml含むLaemmli SDS−PAGE
ゲル中で電気泳動することにより分離した。なお、標準
タンパクで測定したSDSゲル上での分子量の検量線
は、SDSゲル中の200μg/mlの2重鎖DNAの
存在によっては影響されなかった。電気泳動後、そのゲ
ルを10mMトリス塩酸(pH7.8)および5mM
2−メルカプトエタノールを用いて50℃で1時間洗浄
してSDSを除去し、それから4℃で10mMトリス塩
酸(pH7.8)で一晩おいて、該DNaseをリフォ
ールディングさせた。次いで該ゲルを10mMトリス塩
酸(pH7.8)、3mM CaCl2 および3mM
MgCl2 を含有する溶液を用いて37℃で適当時間イ
ンキュベーションした。明確なヌクレアーゼ活性は、ゲ
ルをエチジウムブロミドで染色して、UVでトランス照
射した後、蛍光バックグランド上で暗領域として検出さ
れた。
【0077】実施例1 DNaseα,βおよびγの精
製 特に示さない限り、以下の処理はすべて0〜4℃で行っ
た。まず、ラット胸腺を0.1%ノイデットP−40(N
P −40) を含有する緩衝液A〔10mMトリス塩酸(p
H7.8)、2mM 2−メルカプトエタノール、0.
3mM PMSF、3mM MgCl2 〕中でホモジネ
ートした。該ホモジネートを600×gで10分間、遠
心分離にかけた。沈殿した核画分(ミトコンドリアを含
有する)を集め、上清画分をさらに150,000×g
で1時間遠心した。その沈殿画分を膜画分(ミクロソー
ムを含有する)と称し、上清画分をサイトゾル画分と称
した。得られた各画分中に存するエンドヌクレアーゼ活
性を参考例3に記載の方法に準じて測定したところ、核
(ミトコンドリア含有)画分、膜(ミクロソーム含有)
画分およびサイトゾル画分にそれぞれ約65%、25%
および10%の活性が局在していた。そこで、核画分を
原料としてエンドヌクレアーゼの精製を行った。
【0078】まず、核画分中のDNase活性物を0.
5M硫安を含有する緩衝液A中で超音波処理することに
より溶解し、核の残骸物は150,000×gで1時間
遠心することにより除去した。得られた上清(核抽出
物)を緩衝液N〔20mMトリス塩酸(pH7.8)、
1mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM PM
SF、10%エチレングリコール〕で平衡化したS−セ
ファロースカラム(1cm I.D.×13cm;ファ
ルマシア社製)に付した。そのカラムを緩衝液Nで洗浄
した後、緩衝液N中の塩濃度(KCl)を0M〜1M
(300分間)まで直線的に増加させることにより展開
させた(流速0.15ml/min)。参考例3のアッ
セイ1の方法で測定した結果、DNaseの活性物は
0.6M KClで溶出したシングルピークとして回収
された。この活性物画分を緩衝液Nで平衡化したCM5
PWカラム(5mm I.D.×50mm;東ソー社
製)によるHPLCに供して、緩衝液Nの0〜1M K
Clの直線グラジェント(35分間)で溶出させた(流
速0.3ml/min)。
【0079】その結果、エンドヌクレアーゼの活性が約
0.24M、0.34Mおよび0.55M KCl濃度
によって溶出される3つの画分にそれぞれ認められ、溶
出順にDNaseα、βおよびγと名付けられた(図
3)。さらに、それぞれの活性画分(DNaseα、D
NaseβおよびDNaseγ)について、ヘパリン5
PW、G2000SWおよびCM5PWカラムを用いた
連続したHPLCにより精製を行った。詳細には、まず
各DNase画分を緩衝液Nで平衡化したヘパリン5P
Wカラム(5mm I.D.×50mm;東ソー社製)
に付し、蛋白質を緩衝液Nの0〜1M KClの直線グ
ラジェント(35分間)で展開、溶出させた(流速0.
3ml/min)。溶出活性画分をさらに0.3M N
aClを含有する緩衝液S〔20mM MOPS−Na
OH(pH7.0)、1mM 2−メルカプトエタノー
ル、0.1mM PMSF、5%エチレングリコール〕
で平衡化したG2000SWカラム(8mm I.D.
×30cm;東ソー社製)を用いたゲル濾過HPLC
(流速0.5ml/min)で精製した。得られたDN
ase画分を最終的に、0.3M NaClを含有する
緩衝液Sで平衡化したCM5PWカラム(5mm I.
D.×50mm;東ソー社製)によるHPLCに付し
て、目的DNaseを緩衝液Sの0.3〜1.5M N
aClの直線グラジェント(35分間)で展開、溶出さ
せた(流速0.3ml/min)。得られたDNase
画分を緩衝液Sに対して透析して0〜4℃で保存した。
なお、HPLCで得られる各フラクション中のDNas
e活性は、参考例3(1)に記載の方法を用いて測定し
た。
【0080】これらのクロマトグラフィーの結果、どの
クロマトグラフィーにおいても、それぞれのDNase
について、複合体および様々な形態の相互変換は見られ
なかった。すなわち、DNaseα,βおよびγはそれ
ぞれ単量体で存在していると考えられた。
【0081】また、同様に放射線照射処理したアポトー
シス胸腺由来の細胞核について精製を行ったCM5PW
HPLCのプロファイルを図4に示す。これから、放
射線照射によりアポトーシスを誘導させるとDNase
αとβの活性が減少するのに対して、DNaseγ活性
は全く影響されないことが分かった。同様な結果がデキ
サメタゾン処理によるアポトーシス胸腺でも見られた。
【0082】実施例2 DNaseの性質 (1)分子量 実施例1に従って精製したDNaseα、βおよびγそ
れぞれの分子量を参考例4に記載のSDS−PAGE再
生法(活性ゲルシステム)によって求めた。この活性ゲ
ルシステムは、SDSを除去した後に再生され、インキ
ュベーション中にDNAを分解するDNaseの能力に
基づくものである。ゲル中のDNaseの局在は、エチ
ジウムブロミド−蛍光バックグラウンド上の暗バンドと
して、DNA蛍光の消失により検出することができる。
結果を図5に示す。DNaseγとのインキュベーショ
ン用溶媒にCa2+/Mg2+を添加すると、33kDaタ
ンパクに相当する部分に非蛍光性のバンドが見られた
(レーン3)。一方、DNaseα(レーン1)および
DNaseβ(レーン2)は、共に32kDaのタンパ
クに相当する部分に非蛍光性のバンドを示した。
【0083】また、DNaseα、βおよびγをそれぞ
れG2000SWカラム(8mmI.D.×30cm;
東ソー社製)を用いたゲル濾過HPLC(流速:0.5
ml/min、溶離液:0.3M NaCl含有緩衝液
S〔20mM MOPS−NaOH(pH7.0)、1
mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM PMS
F、5%エチレングリコール〕)にかけたところ、それ
ぞれ28kDa(図6中、a)、30kDa(図6中、
b)および31kDa(図6中、c)のシングルピーク
として検出された(図6)。
【0084】(2)DNaseの至適pH DNaseα、βおよびγの活性の至適pHは、酸性か
ら塩基性までの様々な緩衝液中でHeLa S3核アッ
セイ(参考例3、アッセイ1)を行い、そのDNA断片
化の割合から求めた。図7に、その結果〔HeLa S
3核アッセイシステムでのDNaseα(図a)、β
(図b)およびγ(図c)のpH依存性〕を示す。な
お、測定に用いた緩衝液は、図7の左端レーンから、酢
酸−KOH緩衝液(pH4.0、pH4.4、pH4.
8、pH5.2およびpH5.6)、MES−NaOH
緩衝液(pH5.6およびpH6.2)、MOPS−N
aOH緩衝液(pH6.8、pH7.2およびpH7.
6)、Tris−HC緩衝液(pH7.4、pH7.
8、pH8.2およびpH9.0)およびCHES−N
aOH緩衝液(pH8.6、pH9.4およびpH1
0.4)である。これからわかるように、DNaseα
の活性は、酢酸−KOH緩衝液(pH5.6)〜MES
−NaOH緩衝液(pH5.6)で見られ、またDNa
seβの活性は酢酸−KOH緩衝液(pH5.6)〜M
ES−NaOH緩衝液(pH5.6、6.2)で見ら
れ、至適pHは共に約5.6であると判断された。一
方、DNaseγの活性は、MOPS−NaOH緩衝液
(pH7.2)付近で最大であり、至適pHは約7.2
であると判断された。
【0085】(3)二価陽イオンの影響 DNaseα、DNaseβおよびDNaseγの活性
に対する二価陽イオンの影響を調べた。具体的には、M
2+の影響は、精製したDNaseα、βおよびγの活
性を3mM CaCl2 の存在下でMgCl2 の濃度を
増加させて測定することにより調べた。またCa2+の影
響は、同様に精製したDNaseα、βおよびγの活性
を3mM MgCl2 の存在下でCaCl2 の濃度を増
加させて測定することにより調べた。さらにZn2+の影
響は、DNaseαおよびβについては、3mM Mg
Cl2 、1mM 2−メルカプトエタノール及び0.1
mM PMSFを含有する50mM MES−NaOH
(pH5.6)緩衝液中でZnCl2 の濃度を増加させ
て調べ、DNaseγについては3mM CaCl2
3mM MgCl2 、1mM 2−メルカプトエタノー
ル及び0.1mMPMSFを含有する50mM MOP
S−NaOH(pH7.2)緩衝液中でZnCl2 の濃
度を増加させて調べた。結果を図8に示す。この結果、
DNaseγは、フル活性のためにCa2+とMg2+の両
者を必要とし、その両者の至適濃度はともに1〜3mM
であった(図8、a,b)。また、DNaseγは、Z
2+に感受性があり、40μMという低濃度のZn2+
よって活性が50%阻害された(図8c)。一方、DN
aseα及びDNaseβの活性は、Mg2+やCa2+
によって影響されず、また1mMまではZn2+の存在に
よっても影響されなかった。しかし、10〜30mMと
いう高濃度の金属イオンの存在により、DNaseγと
同様にDNaseαおよびβのDNase活性も阻害さ
れた。
【0086】また、表2に示す条件下での各DNase
のエンドヌクレアーゼ活性を測定した結果を示す〔参考
例2(1)アッセイ1使用〕。なお、DNaseαおよ
びβは、基質としてHeLa S3細胞核クロマチンD
NA、反応液として3mM MgCl2 、1mM 2−
メルカプトエタノール及び0.1mM PMSFを含有
する50mM MES−NaOH(pH5.6)緩衝液
を用いて測定したエンドヌクレアーゼ活性を100%と
し、またDNaseγは、基質としてHeLa S3細
胞核クロマチンDNA、反応液として3mM CaCl
2 、3mM MgCl2 、1mM 2−メルカプトエタ
ノール及び0.1mM PMSFを含有する50mM
MOPS−NaOH(pH7.2)緩衝液を用いて測定
したエンドヌクレアーゼ活性を100%として活性を換
算した。なお、表中、−は上記最適反応液から該成分を
削除したことを、+は上記最適反応液に該成分を添加し
たことを意味する。
【0087】
【表2】
【0088】(4)DNaseγの加水分解の様式 上記(1)〜(3)で示されたDNaseγの特徴は、
DNaseγがアポトーシスのDNA断片化に関与する
エンドヌクレアーゼである可能性を示唆するものであっ
た。そこで、DNaseγによって処理DNAが、3’
−OH/5’−P末端をもつフラグメントを産生するか
否かを、参考例2(2)(ii)に記載したエンドラベリン
グ法に準じて調べた。結果を図9に示す。これからわか
るように、DNaseγ(図中c)で消化したHeLa
S3細胞核由来の精製DNAがエンドラベルされた時
に、参考例2(図2、a,b)で見られたのと同じラベ
ルパターンが見られた。エンドラベリングの間、DNA
断片の5’末端はアルカリホスファターゼ前処理しなけ
れば、ラベルされなかった(図9、レーン4)。これか
ら、DNaseγは、DNA鎖の3’−OH/5’−P
末端を生じることが判明した。一方、DNaseα(図
中a)とβ(図中b)によって生じたDNA断片は、ア
ルカリホスファターゼ前処理後にのみTdTにより3’
末端がラベル化され、またアルカリホスファアーゼ前処
理しなくても5’末端が全て反応することから、3’−
P/5’−OH末端を有していることが判明した。
【0089】以上の実験結果から、DNaseα,βお
よびγの性状および生理学的意義について次のことがい
える。これら3種のDNaseは、細胞核の中に単量体
の形態で存在しており、クロマチンDNAのリンカー領
域を切断し、ヌクレオソームオリゴマーを産生する。D
Naseαおよびβは、ともに核から容易に可溶化して
得られたことから、核質内に存在するエンドヌクレアー
ゼであると考えられる。一方、DNaseγは、高塩濃
度下で超音波処理しないと可溶化できないことから、あ
る核構造物と強く結合して存在していると考えられた。
【0090】本発明のDNaseγは、その活性にCa
2+およびMg2+の両方を必要とする細胞核に内在するエ
ンドヌクレアーゼである。当該DNaseγによって切
断されるDNA断片の末端は、アポトーシスラット胸腺
で産生されるDNA断片の末端と同じ5’−P/3’−
OH生成型であり、またアポトーシスを抑制することが
知られるμMオーダーのZn2+で、DNaseγの活性
も抑制される。これらのことから、DNaseγは胸腺
のアポトーシスのDNA断片化に関与するエンドヌクレ
アーゼであると考えられる。
【0091】一方、本発明のDNaseαおよびDNa
seβは、物理的および酵素上の性質において上記DN
aseγと相違しており、その相違はクロモソームDN
Aの切断様式および二価の金属陽イオンの要求性におい
て顕著であった。DNaseαおよびβは、DNase
αおよびβと同種の形態の酵素が子ウシ胸腺の細胞核お
よびラット脾臓,肝臓の細胞核に存在していることか
ら、核機能におけるDNA代謝やウイルスDNAの分解
に重要な働きを担っていると考えられる。
【0092】実施例3 DNaseγのcDNAクロー
ニング (1)DNaseγの大量精製 ラット胸腺細胞では、DNaseγの活性(タンパク
量)が低く、部分アミノ酸配列を決定するために必要な
十分量の該タンパクが得られなかった。そこでDNas
eγ活性の高い脾臓細胞よりDNaseγの精製を行っ
た。特に示さない限り、以下の処理は4℃で行った。ラ
ット脾臓細胞100gを0.3%ノイデットP−40(N
P −40) を含有する緩衝液A〔10mMトリス塩酸(p
H7.8)、2mM 2−メルカプトエタノール、0.
3mM PMSF、3mM MgCl2 〕中でホモジネ
ートした。該ホモジネートを600×gで10分間、遠
心分離にかけた。沈殿した核画分を集め、核画分中のD
Nase活性物を0.3M硫安を含有する緩衝液A中で
超音波処理することにより溶解し、核の残骸物は15
0,000×gで1時間遠心することにより除去した。
得られた上清(核抽出物)を緩衝液N〔20mMトリス
塩酸(pH7.8)、1mM 2−メルカプトエタノー
ル、0.1mM PMSF、2.5%エチレングリコー
ル〕で平衡化したS−カートリッジ(バイオラッド社
製)に付した。そのカラムを緩衝液Nで洗浄した後、緩
衝液N中の塩濃度(KCl)を0M〜1M(50分間)
まで直線的に増加させることにより展開させた(流速
2.0ml/min)。参考例3のアッセイ1の方法で
測定した結果、DNaseの活性物は0.6M KCl
で溶出したシングルピークとして回収された。この活性
物画分を緩衝液Nで平衡化したCM5PWカラム(5m
m I.D.×50mm;東ソー社製)によるHPLC
に供して、緩衝液Nの0〜1M KClの直線グラジェ
ント(30分間)で溶出させた(流速0.3ml/mi
n)。
【0093】0.55M KClで溶出したDNase
γ活性画分を、続いてヘパリン5PW、TSKG200
0SWおよびSP5PWカラムを用いた連続したHPL
Cにより精製を行った。詳細には、まず各DNase画
分を緩衝液Nで平衡化したヘパリン5PWカラム(5m
m I.D.×50mm;東ソー社製)に付し、蛋白質
を緩衝液Nの0〜1M KClの直線グラジェント(3
0分間)で展開、溶出させた(流速0.3ml/mi
n)。溶出活性画分をさらに0.3M NaClを含有
する緩衝液M〔20mM MES−NaOH(pH5.
6)、1mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM
PMSF、2.5%エチレングリコール〕で平衡化し
たTSKG2000SWカラム(8mm I.D.×3
0cm;東ソー社製)を用いたゲル濾過HPLC(流速
0.5ml/min)で精製した。得られたDNase
γ画分を最終的に緩衝液Mで平衡化したSP5PWカラ
ム(5mm I.D.×50mm;東ソー社製)による
HPLCに付して、緩衝液Sの0.3〜0.7M Na
Clの直線グラジェント(35分間)で展開、溶出させ
た(流速0.3ml/min)。SP5PW HPLC
のプロファイルを図10に示す。0.58M NaCl
で溶出したDNaseγ活性画分を回収し、SDS−P
AGEに付した。尚、DNase活性は参考例3の
(1)の方法を用いて測定した(図10中)。
【0094】(2)DNaseγの部分アミノ酸配列の
決定 SP5PW HPLCによるDNaseγ精製画分をト
リクロロ酢酸で沈殿処理し、常法に従って〔Laemmli,
U., K., Nature, 227: 680-685 (1970)等〕、10%ア
クリルアミドによるSDS−PAGEにかけ、銀染色に
より33kDaのバンドを検出した(図10中)。次い
で、DNaseγタンパクのバンドをミニトランスブロ
ットセル(バイオラッド社製)を用いてエレクトロブロ
ッティングによりPVDF膜(ミリポア社製)にトラン
スファーし、その一部を用いて気相プロテインシークエ
ンサー(PSQ−1、島津製作所製)によりN末端アミ
ノ酸配列を決定した(表3)。また、残りについては、
まず過剰のメルカプトエタノールを加えてタンパク質内
のジスルフィド結合をスルフヒドリル基に還元後、ヨー
ド酢酸を用いて該スルフヒドリル基をアルキル化し、S
−カルボキシメチル誘導体とした。次いで、Lys−C
エンドペプチダーゼ(ペプチドのリジン残基のカルボキ
シル基側のペプチド結合を特異的に切断する酵素)を含
む緩衝液中にDNaseγタンパクを結合したPVDF
膜を加え、37℃で反応させた。酵素消化後、逆相HP
LCにより膜より遊離する各ペプチドフラグメントを分
離回収した。ペプチドを含むフラクションを波長214
nmでモニターした(図11a)。ピークとして検出さ
れるフラグメントの各フラクションは、遠心エバポレー
ターにて乾燥後、SDS溶液に溶解し、気相プロテイン
シークエンサー(島津製作所、PSQ−1)にかけて、
アミノ酸分析を行い、各ペプチド断片の部分アミノ酸配
列を決定した〔表3、(K)は酵素消化により切断され
たリジン残基を示す〕。さらに、まだ膜上に結合してい
るペプチドをAsp−Nエンドペプチダーゼ(ペプチド
のアスパラギン酸残基のアミノ基側のペプチド結合を特
異的に切断する酵素)で上述の方法により処理し、得ら
れるペプチドフラグメントを同様に逆相HPLCで分離
回収し(図11b)、アミノ酸配列を決定した(表
3)。
【0095】
【表3】
【0096】(3)cDNAライブラリー ラット脾臓cDNAライブラリーは、市販のRat spleen
5'-STRETCH cDNA Library(クロンテック社製)を用い
た。このライブラリーは、成体ラット(Sprague-Dawle
y, オス) の全脾臓より抽出・精製したmRNAから、
オリゴ(dT)ランダムプライマーを用いて調製したc
DNA(平均サイズ:1.8kb)クローン(2×10
6 インディペンデントクローン)をアダプターを介して
λgt11ベクターのEcoRI部位に挿入したもので
ある。
【0097】(4)DNAプローブの作製 表3に示されるDNaseγの部分アミノ酸配列中、下
線で示した配列から推定される塩基配列に基づき、オリ
ゴDNAプローブを合成した。表4に該オリゴDNAプ
ローブの塩基配列を示す(最後のアミノ酸に対応するコ
ドンが1つに絞れない場合は合成しなかった)。
【0098】
【表4】
【0099】(5)スクリーニング スクリーニング用フィルターの作製 大腸菌Y1090r-を0.2%マルトースと10mM
MgSO4 を含む40mlのLB培地で一晩培養後、菌
体を遠心して回収し、該菌体を30〜40mlの10m
M MgSO4 に懸濁した。懸濁液200μlと上記
(3)のラットcDNAを有するλgt11ファージ液
とを混合し、SM10緩衝液〔10mM Tris-HCl(ph7.6),
10mM MgCl 2 , 68mM NaCl,0.1mg/mlゼラチン〕を加えて
全量を400μlとして37℃で20〜30分間インキ
ュベーションした。大腸菌・ファージ混合液を10mM
MgSO4 を含む1.5%LB寒天培地上にまき、次
いで60〜65℃のLBトップアガロース6mlをまい
てよく混合した。トップアガロースが固まったら37℃
で一晩インキュベーションした。インキュベーション
後、該プレートを4℃で1時間静置し、次いでナイロン
フィルター(ポール社製)をトップアガロース上に置き
トランスファーを行った。該ナイロンフィルターを変性
液中で20秒間、次いで中和液中で20秒間処理し、該
フィルターを濾紙上で乾燥させた後さらにUV照射によ
り固定した。
【0100】プローブの標識 上記(4)で作製したオリゴDNAプローブを〔γ−32
P〕ATPとT4キナーゼを用いて、5’末端を32P標
識した。以下の組成の反応液を37℃で30分間インキ
ュベーションした。 10ng/μl オリゴDNA 1μl 10× キナーゼバッファー 4μl 〔γ−32P〕ATP 10μl UPW 23μl T4キナーゼ 2μl
【0101】プラークハイブリダイゼーション 以下のように、プレハイブリダイゼーション液を調製し
た。 5× Denhardt溶液 6× SSPE溶液 0.25% SDS 40μg/ml 熱変性サケ精子DNA 上記で作製したフィルターを該プレハイブリダイゼー
ション液中に入れ、37℃で一晩放置した。次いで、上
記で調製した標識化プローブを適量のプレハイブリダ
イゼーション液と混合し、フィルター1枚あたり5μl
のプローブ溶液を用いて37℃、18時間ハイブリダイ
ズさせた。ハイブリダイゼーション終了後、該フィルタ
ーを0.1% SDSを含む2×SSCで洗い、さらに
0.1% SDSを含む2×SSC中に該フィルターを
入れ、42℃で1〜1.5時間浸とうさせながら洗浄し
た。該操作を3回繰り返した後濾紙上でフィルターを乾
燥させ、オートラジオグラフィーを行った(3日間)。
【0102】オートラジオグラフィーの結果、ポジティ
ブクローンを示すシグナルの位置に対応するトップアガ
ロースを取り出し、500μlの1×λバッファー中に
入れ、室温で30〜60分間放置した後、その103
希釈液1〜10μlを大腸菌Y1090r-懸濁液200
μlと混合した。該混合液を用いて上記〜の操作を
繰り返して二次スクリーニングを行い、単一プラークを
分離した。その結果、16個のポジティブクローンが得
られた。該ポジティブクローンを再び大腸菌Y1090
r-に感染させ、LB寒天培地プレート1枚に一面にプラ
ークができるようにまき、そのλgt11ファージDN
Aを回収した。ファージDNAの回収法の詳細について
は、Maniatisらの方法〔Molecular Cloning, A Laborat
ory Manual, second edition 2.64 (1989)〕を参照し
た。
【0103】(6)サザン法によるcDNAインサート
の確認 回収したファージDNAをBsiwI処理してcDNA
インサートを切り出した後、一部についてアガロースゲ
ル電気泳動を行いエチジウムブロミド染色によりインサ
ートの長さを確認した。電気泳動後、サザンらの方法
〔J.Mol.Biol., 98, p503 (1975)〕に従ってDNAをナ
イロン膜〔バイオダイン、ポール社製〕にトランスファ
ーし、スクリーニングの時と同様にハイブリダイゼーシ
ョンを行った。
【0104】(7)ポジティブクローンのサブクローニ
ング BsiwI処理したファージDNAをアガロースゲル電
気泳動し、GENECLEANII Kitを用いてインサートDNA
を回収した。そして、Klenow酵素で末端平滑化し
た後、T4リガーゼによってインサートDNAをBAP
処理したpBSIIKS(+)のSmaIサイトに組み込
んだ。そのライゲーション溶液を用いてコンピテント大
腸菌DH5αを形質転換した。すなわち、全量7μlの
ライゲーション溶液にコンピテント大腸菌0.3mlを
加えて氷上で数時間放置後、42℃で40秒間熱刺激を
加え氷上に戻し、200μlのLB培地を加え、37℃
で30分間インキュベーションした後、アンピシリン含
有LB寒天培地プレートに注ぎ37℃で一晩インキュベ
ーションした。シングルコロニーを採取し、1.5ml
LB培地に入れ、5時間振盪培養した。遠心した沈殿
からアルカリ法〔Molecular Cloning, A Laboratory Ma
nual, second edition 1.25 (1989)〕によってpBSII
KS(+)DNAを回収した。
【0105】(8)塩基配列の決定 (7)で得られたpBSIIKS(+)DNAからTaKaRa
Taq サイクルシーケンスキット(SIMAZU 用、宝酒造社
製) を用いて、DNAシークエンサー(DSQ−100
0、島津製作所製)でDNaseγ cDNAインサー
トの塩基配列を決定した。その結果、16個のポジティ
ブクローン全てがDNaseγの全長をコードしていた
(配列表配列番号2)。該cDNAクローンの全長は1
208bpであり、その内部に933bpから成るオー
プンリーディングフレーム(配列番号2の塩基番号12
〜944)が存在し、310アミノ酸残基(配列表配列
番号1)をコードしていた。精製したDNaseγタン
パクN末端のアミノ酸配列解析結果と比較したところ、
該DNaseγ遺伝子一次翻訳産物は、N末端側に25
アミノ酸残基(配列番号1のアミノ酸番号1〜25)か
ら成るプリカーサーペプチド領域を有することが判明し
た。したがって、成熟DNaseγタンパクは285ア
ミノ酸残基(配列番号1のアミノ酸番号26〜310)
より成り、かかるアミノ酸配列から推定される該タンパ
ク質の分子量は33,027である。この値は、該タン
パク質のSDS−PAGEによる分子量とよく一致し
た。
【0106】実施例4 DNaseγ抗体の作製 実施例3の(2)で決定された本発明DNaseγの部
分アミノ酸配列を基に、合成した下記の2種のペプチド
を使用抗原としてDNaseγに対するポリクローナル
抗体を作製した。
【0107】KENHNAMDI KEQYAFLYK
【0108】上記2種の合成ペプチドを、それぞれマレ
イミド法によりキャリアタンパクであるKeyhole Limpet
s Hemocyanin(KLH)に架橋した複合体と、完全フロ
イントアジュバント(FCA)との混和物を抗原とし
て、ウサギ〔Kbl:JW、15齢、オス、体重3〜
3.5kg(初回免疫時)、各抗原に対して2羽使用〕
に背部皮下注射により0.5mg免疫した。初回免疫か
ら3週間毎に計3回0.5mgずつ追加免疫し、各追加
免疫の10日後に部分採血し、抗体価を測定しらに最終
免疫(3回目の追加免疫)から10日後に全血を採取し
て抗血清を得た。
【0109】抗体価の測定は以下の方法で行った。抗原
を10μg/mlの濃度でマイクロタイタープレートに
固相化し、ブロッキング後、感作ウサギの部分血(初回
感作後0,31,52日)を101 〜108 まで希釈し
て抗原と反応させた。洗浄後、抗ウサギIgG−ペルオ
キシダーゼ標識二次抗体を反応させ、洗浄後、基質液A
BTSの発色により抗体価を測定した。その結果、いず
れの場合も経時的に抗体価の上昇が確認された(表
5)。
【0111】
【表5】
【0112】
【発明の効果】本発明は、クロマチンDNAのリンカー
部位を選択的に切断する反応を触媒する新規DNase
α,βおよびγを提供するものである。また、本発明は
アポトーシスに関与する新規なDNaseγを提供す
る。さらに本発明はラットのDNaseγのアミノ酸配
列、該アミノ酸配列をコードするDNA、該DNAの塩
基配列、該DNAを有する組換えベクター、該組換えベ
クターで形質転換させた宿主細胞、該宿主細胞を培養す
ることによる該DNaseγの製造方法、及び該DNa
seγもしくはその前駆体、又はそれらの断片に対する
抗体を提供する。
【0113】本発明DNaseγによれば、、アポトー
シスによる生体内での発癌の制御機構、自己免疫の制御
機構、AIDSの発症等を分子レベルで解明することが
可能であり、また、本酵素は癌、自己免疫疾患、ウイル
ス感染症等の予防、治療および診断薬の開発に貢献する
点で有用である。また、癌の悪性度が増すほど、その癌
細胞中のDNaseγの活性が低下すること等から、本
発明DNaseγをもとにして作成される抗体は、癌の
悪性度を診断する試薬として有用であると考えられる。
さらに、DNaseγ活性を指標に探索される阻害剤及
び活性化剤は、新規な“アポトーシス制御性医薬品”と
なり得ることや、DNaseγの遺伝子は癌(センスD
NAの富化によるアポトーシスの促進)、自己免疫疾患
(アンチセンスDNAによるアポトーシス抑制)のアポ
トーシス遺伝子療法を確立するための情報および試料と
して有用であると考えられる。
【0114】一方、本発明のDNaseαおよびβは、
ウイルス感染時に増加しウイルスDNAを切断すること
から、ウイルス感染の治療薬の開発に有用である。ま
た、本発明DNaseαまたはβをもとにして作成され
る抗体は、ウイルス感染等を診断する試薬として有用で
あると考えられる。
【0115】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:310 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 配列: Met Ser Leu Tyr Pro Ala Ser Pro Tyr Leu Ala Ser Leu Leu Leu Phe 5 10 15 Ile Leu Ala Leu His Gly Ala Leu Ser Leu Arg Leu Cys Ser Phe Asn 20 25 30 Val Arg Ser Phe Gly Glu Ser Lys Lys Glu Asn His Asn Ala Met Asp 35 40 45 Ile Ile Val Lys Ile Ile Lys Arg Cys Asp Leu Ile Leu Leu Met Glu 50 55 60 Ile Lys Asp Ser Asn Asn Asn Ile Cys Pro Met Leu Met Glu Lys Leu 65 70 75 80 Asn Gly Asn Ser Arg Arg Ser Thr Thr Tyr Asn Tyr Val Ile Ser Ser 85 90 95 Arg Leu Gly Arg Asn Thr Tyr lys Glu Gln Tyr Ala Phe Leu Tyr Lys 100 105 110 Glu Lys Leu Val Ser Val Lys Ala lys Tyr Leu Tyr His Asp Tyr Gln 115 120 125 Asp Gly Asp Thr Asp Val Phe Ser Arg Glu Pro Phe Val Val Trp Phe 130 135 140 Gln Ala Pro Phe Thr Ala Ala Lys Asp Phe Val Ile Val Pro Leu His 145 150 155 160 Thr Thr Pro Glu Thr Ser Val Lys Glu Ile Asp Glu Leu Ala Asp Val 165 170 175 Tyr Thr Asp Val Arg Arg Arg Trp Lys Ala Glu Ile Phe Ile Phe Met 180 185 190 Gly Asp Phe Asn Ala Gly Cys Ser Tyr Val Pro Lys Lys Ala Trp Lys 195 200 205 Asn Ile Arg Leu Arg Thr Asp Pro Asn Phe Val Trp Leu Ile Gly Asp 210 215 220 Gln Glu Asp Thr Thr Val Lys Lys Ser Thr Ser Cys Ala Tyr Asp Arg 225 230 235 240 Ile Val Val Arg Gly Gln Glu Ile Val Asn Ser Val Val Pro Arg Ser 245 250 255 Ser Gly Val Phe Asp Phe Gln Lys Ala Tyr Glu Leu Ser Glu Glu Glu 260 265 270 Ala Leu Asp Val Ser Asp His Phe Pro Val Glu Phe Lys Leu Gln Ser 275 280 285 Ser Arg Ala Phe Thr Asn Ser Arg Lys Ser Val Ser Leu Lys Lys Lys 290 295 300 Lys Lys Gly Ser Arg Ser 305 310
【0116】配列番号:2 配列の長さ:1208 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジ─:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:12..941 特徴を決定した方法:E 配列: CGAGTGCAAA G ATG TCC CTT TAC CCA GCT TCC CCA TAC CTG GCC TCC CTC 50 Met Ser Leu Tyr Pro Ala Ser Pro Tyr Leu Ala Ser leu 5 10 CTA CTC TTC ATC CTT GCC CTT CAT GGT GCC CTG TCC CTG AGG CTC TGC 98 Leu Leu Phe Ile Leu Ala Leu His Gly Ala Leu Ser Leu Arg Leu Cys 15 20 25 TCC TTC AAT GTG AGG TCC TTT GGA GAG AGC AAG AAG GAA AAC CAC AAT 146 Ser Phe Asn Val Arg Ser Phe Gly Glu Ser Lys Lys Glu Asn His Asn 30 35 40 45 GCC ATG GAT ATC ATT GTG AAG ATC ATC AAA CGC TGC GAC CTC ATA CTG 194 Ala Met Asp Ile Ile Val Lys Ile Ile Lys Arg Cys Asp Leu Ile Leu 50 55 60 CTG ATG GAA ATC AAG GAC AGC AAC AAC AAC ATC TGT CCC ATG CTG ATG 242 Leu Met Glu Ile Lys Asp Ser Asn Asn Asn Ile Cys Pro Met Leu Met 65 70 75 GAG AAG CTG AAT GGA AAC TCA CGA AGA AGC ACG ACA TAC AAC TAC GTG 290 Glu Lys Leu Asn Gly Asn Ser Arg Arg Ser Thr Thr Tyr Asn Tyr Val 80 85 90 ATT AGC TCT CGG CTT GGA AGA AAC ACA TAT AAA GAA CAG TAT GCC TTC 338 Ile Ser Ser Arg Leu Gly Arg Asn Thr Tyr Lys Glu Gln Tyr Ala Phe 95 100 105 CTC TAC AAG GAG AAG CTG GTG TCT GTG AAG GCA AAA TAC CTC TAC CAT 386 Leu Tyr Lys Glu Lys Leu Val Ser Val Lys Ala Lys Tyr Leu Tyr His 110 115 120 125 GAC TAT CAG GAT GGA GAC ACA GAC GTG TTT TCC AGG GAG CCC TTT GTG 434 Asp Tyr Gln Asp Gly Asp Thr Asp Val Phe Ser Arg Glu Pro Phe Val 130 135 140 GTT TGG TTC CAG GCG CCC TTC ACT GCT GCC AAG GAC TTC GTG ATT GTC 482 Val Trp Phe Gln Ala Pro Phe Thr Ala Ala Lys Asp Phe Val Ile Val 145 150 155 CCC TTG CAC ACA ACT CCT GAA ACC TCC GTT AAA GAG ATA GAT GAG CTG 530 Pro Leu His Thr Thr Pro Glu Thr Ser Val lys Glu Ile Asp Glu Leu 160 165 170 GCT GAC GTC TAC ACG GAT GTT AGA AGA CGA TGG AAG GCA GAG ATT TTC 578 Ala Asp Val Tyr Thr Asp Val Arg Arg Arg Trp Lys Ala Glu Ile Phe 175 180 185 ATC TTC ATG GGT GAT TTC AAT GCT GGC TGC AGC TAC GTC CCC AAG AAG 626 Ile Phe Met Gly Asp Phe Asn Ala Gly Cys Ser Tyr Val Pro Lys Lys 190 195 200 205 GCC TGG AAG AAC ATC CGT TTG AGG ACA GAC CCC AAC TTT GTT TGG CTG 674 Ala Trp lys Asn Ile Arg Leu Arg Thr Asp Pro Asn Phe Val Trp Leu 210 215 220 ATT GGG GAC CAA GAG GAC ACC ACG GTC AAG AAG AGC ACC AGC TGT GCC 722 Ile Gly Asp Gln Glu Asp Thr Thr Val Lys Lys Ser Thr Ser Cys Ala 225 230 235 TAT GAC AGG ATT GTC GTT CGC GGA CAA GAG ATA GTC AAC TCT GTG GTT 770 Tyr Asp Arg Ile Val Val Arg Gly Gln Glu Ile Val Asn Ser Val Val 240 245 250 CCC CGC TCC AGT GGC GTC TTT GAC TTT CAG AAA GCT TAT GAG TTG TCT 818 Pro Arg Ser Ser Gly Val Phe Asp Phe Gln lys Ala Tyr Glu Leu Ser 255 260 265 GAA GAG GAG GCC CTG GAT GAT GTC AGT GAC CAC TTT CCA GTT GAG TTT 866 Glu Glu Glu Ala Leu Asp Val Ser Asp His Phe Pro Val Glu Phe Lys 270 275 280 285 AAG CTA AGT TCA AGA GCC TTC ACC AAC AGC CGG AAA TCT GTT TCT CTA 914 Leu Gln Ser Ser Arg Ala Phe Thr Asn Ser Arg Lys Ser Val Ser Leu 290 295 300 AAG AAA AAG AAA AAA GGC AGT CGC TCC TAG GTCTCATGTT GCCATTTTCT 964 Lys Lys Lys Lys Lys Gly Ser Arg Ser 305 310 TTTCTTAAAG TCGTCCCTTG CTTCCAGATA AAATGGCCTC GTGGGTCTCA GCTCTCTGCA 1024 CACTCAGGAA TTAAGACTGG CTAAGCTGTT TTCACTGTCC ACTCTGGTTA ATTTTGCCTG 1084 GAGCCAAGTT GGGAGGAGAG CCTTCTGTTA CATCACCCTG ACCACGGGCA CCCTGCGAAC 1144 CACCATGGGT AACCTGAAGA GACACAAAGT CTATTCCATA ATAAATGCGT GTATTTATTA 1204 CCCG 1208
【0117】配列番号:3 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質
【0118】配列番号:4 配列の長さ:11 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質
【0119】配列番号:5 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質
【0120】配列番号:6 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 配列: Lys Asp Phe Val Ile Val Pro Leu His Thr Thr Pro Glu 5 10 13
【0121】配列番号:7 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質
【0122】配列番号:8 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質
【0123】配列番号:9 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: AARGARAAYC AYAAYGC 17
【0124】配列番号:10 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: AARGARCART AYGCNTTYYT 20
【0125】配列番号:11 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: AARGAYTTYG TNATHG 17
【0126】配列番号:12 配列の長さ:11 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: GAYGTNTTYT C 11
【図面の簡単な説明】
【図1】アポトーシスにおけるDNAの断片化を模式的
に示した図、および断片化されたDNAのアガロースゲ
ル電気泳動像の写真である。
【図2】アポトーシスラット胸腺から抽出したDNAを
エンドラベリング法によって分析したDNAの一部を2
%アガロースゲル電気泳動にかけ、オートラジオグラフ
ィーした結果を示す写真(a,b)である。aは、放射
線照射したアポトーシスラット胸腺から抽出したDN
A、bは、デキサメタゾン処理したアポトーシスラット
胸腺から抽出したDNAを示す。 レーン1:3’末端をラベルする前にアルカリホスファ
ターゼ(APase)と共にインキュベーションしたD
NAを示す。 レーン2:3’末端をラベルする前にAPase非存在
下でインキュベーションしたDNAを示す。 レーン3:5’末端をラベルする前にAPase存在下
でインキュベーションしたDNAを示す。 レーン4:5’末端をラベルする前にAPase非存在
下でインキュベーションしたDNAを示す。
【図3】正常のラット胸腺由来の、S−Sセファロース
により得られたDNaseの活性画分をCM5PWカラ
ムに付したHPLCのプロファイルを示す図、および各
フラクションのアガロースゲル電気泳動像を示す写真で
ある。
【図4】アポトーシスラット胸腺由来の、S−Sセファ
ロースにより得られたDNaseの活性画分をCM5P
Wカラムに付したHPLCのプロファイルを示す図、お
よび各フラクションのアガロースゲル電気泳動像を示す
写真である。
【図5】DNaseα,βおよびγの活性ゲル分析の結
果(電気泳動像)を示す写真である。 レーン1:正常ラット胸腺の細胞核から精製したDNa
seαの分子量を活性ゲルシステムで分析した結果であ
る。 レーン2:正常ラット胸腺の細胞核から精製したDNa
seβの分子量を活性ゲルシステムで分析した結果であ
る。 レーン3:γ線照射したアポトーシス細胞から精製した
DNaseγの分子量を活性ゲルシステムで分析した結
果である。 タンパクの分子量マーカーは、それぞれホスフォリラー
ゼb(97,400)、ウシ血清アルブミン(66,2
00)、オボアルブミン(45,000)、炭酸デヒド
ラターゼ(31,500)、大豆トリプシンインヒビタ
ー(21,500)およびリゾチーム(14,400)
を示す。
【図6】DNaseα(図a)、DNaseβ(図b)
およびDNaseγ(図c)のTSKG−2000SW
ゲル濾過HPLCのプロファイルを示す図である。溶出
は流速0.5ml/minで行った。なお、図a中の挿
入図は、分子量標準品〔IgG(158,000)、オ
ボアルブミン(44,000)、ミオグロビン(17,
000)〕による検量線を示す。
【図7】DNaseα(図a),β(図b)およびγ
(図c)のpH依存性を示す写真(アガロースゲル電気
泳動像)である。精製したDNaseα,βおよびγの
活性を酸性〜塩基性(写真中、向かって左から右)の緩
衝液中でそれぞれ測定した。写真中の左端レーンから、
酢酸−KOH緩衝液(pH4.0、pH4.4、pH
4.8、pH5.2およびpH5.6)、MES−Na
OH緩衝液(pH5.6およびpH6.2)、MOPS
−NaOH緩衝液(pH6.8、pH7.2およびpH
7.6)、Tris−HCl緩衝液(pH7.4、pH
7.8、pH8.2およびpH9.0)およびCHES
−NaOH緩衝液(pH8.6、pH9.4およびpH
10.4)中での結果を示す。
【図8】DNaseα,βおよびγの活性に対する2価
陽イオンの影響を示した図である。aは、精製したDN
aseα(─△─)、β(─□─)、γ(─●─)の活
性を3mM CaCl2 の存在下でMgCl2 の濃度を
増加させて測定した結果を示す。bは、精製したDNa
seα(─△─),β(─□─)およびγ(─●─)の
活性を3mM MgCl2 の存在下でCaCl2 の濃度
を増加させて測定した結果を示す。cは、それぞれのD
Naseに対する至適条件下でZnCl2の濃度を増加
させて測定した結果を示す。
【図9】DNaseα,βおよびγそれぞれによるDN
Aの分解様式を示す写真(2%アガロースゲル電気泳動
したものをオートラジオグラフィーで見たもの)であ
る。写真aは、DNaseαで消化したHeLa S3
細胞核から抽出したDNAの分解様式を、写真bはDN
aseβで消化したHeLa S3細胞核から抽出した
DNAの分解様式を、そして写真cはDNaseγで消
化したHeLa S3細胞核から抽出したDNAの分解
様式を示す。 レーン1:アルカリホスファターゼ(APase)で前
処理した後、3’末端ラベリングしたもの。 レーン2:APaseで前処理しないで、3’末端ラベ
リングしたもの。 レーン3:APaseで前処理した後、5’末端ラベリ
ングしたもの。 レーン4:APaseで前処理しないで、5’末端ラベ
リングしたもの。
【図10】SP5PW HPLCのプロファイル。各フ
ラクションのDNase活性(―●―)、各フラクショ
ンの280nmの吸光度( ―)、NaCl濃度勾配(−
−)。
【図11】逆相HPLCを用いたエンドペプチダーゼに
より限定分解されたDNaseγフラグメントの分離。 a:Lys−Cエンドペプチダーゼで消化されて遊離し
たフラグメント。 b:Lys−Cエンドペプチダーゼ処理でPVDF膜上
に残ったペプチドをさらにAsp−Nエンドペプチダー
ゼで消化したときに遊離するフラグメント。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/09 ZNA //(C12N 1/21 C12R 1:19)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロマチンDNAのリンカー部位を選択
    的に切断し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記
    性状を有することを特徴とするデオキシリボヌクレアー
    ゼ。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 33,000 (SDS−PAGE) (ii) 31,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 7.2 2価陽イオン要求性: Ca2+/Mg2+,Mn2+依存性 Zn2+による阻害 : IC50=40μM DNA切断様式 : 3’−OH,5’−P末端生成型
  2. 【請求項2】 クロマチンDNAのリンカー部位を選択
    的に切断し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記
    性状を有することを特徴とするデオキシリボヌクレアー
    ゼ。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 32,000 (SDS−PAGE) (ii) 28,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 5.6 2価陽イオン要求性: 非依存性 Zn2+による阻害 : IC50>1mM DNA切断様式 : 3’−P,5’−OH末端生成型
  3. 【請求項3】 クロマチンDNAのリンカー部位を選択
    的に切断し得るエンドヌクレアーゼであって、かつ下記
    性状を有することを特徴とするデオキシリボヌクレアー
    ゼ。 局在性 : 細胞核 分子量 : (i) 32,000 (SDS−PAGE) (ii) 30,000 (ゲル濾過法) 至適pH: 5.6 2価陽イオン要求性: 非依存性 Zn2+による阻害 : IC50>1mM DNA切断様式 : 3’−P,5’−OH末端生成型
  4. 【請求項4】 実質的に、配列表配列番号1に示される
    アミノ酸配列中、アミノ酸番号26乃至310で示され
    るアミノ酸配列を有する請求項1記載のデオキシリボヌ
    クレアーゼ。
  5. 【請求項5】 細胞中でプロテアーゼによってプロセッ
    シングされる前の前駆体がN末端プリカーサーペプチド
    領域を有する請求項1記載のデオキシリボヌクレアー
    ゼ。
  6. 【請求項6】 N末端プリカーサーペプチド領域が、実
    質的に配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列中、ア
    ミノ酸番号1乃至25で示されるアミノ酸配列を有する
    請求項4記載のデオキシリボヌクレアーゼ。
  7. 【請求項7】 請求項1又は4〜6のいずれかに記載の
    デオキシリボヌクレアーゼをコードする塩基配列を含む
    DNA。
  8. 【請求項8】 配列表配列番号2に示される塩基配列
    中、塩基番号87乃至941で示される塩基配列を有す
    る請求項7記載のDNA。
  9. 【請求項9】 配列表配列番号2に示される塩基配列
    中、塩基番号12乃至941で示される塩基配列を有す
    る請求項6に記載のDNA。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のいずれかに記載のDN
    Aを含有する組換えベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組換えベクターで形
    質転換された宿主細胞。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の宿主細胞を培養し、
    得られる培養物から請求項1又は4〜6のいずれかに記
    載のデオキシリボヌクレアーゼを採取することを特徴と
    する請求項1又は4〜6のいずれかに記載のデオキシリ
    ボヌクレアーゼの製造法。
  13. 【請求項13】 実質的に、配列表配列番号1に示され
    るアミノ酸配列中、アミノ酸番号1乃至310で示され
    るアミノ酸配列の全部又は一部を有するペプチドに親和
    性を示す抗体。
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JP2003088369A (ja) * 2001-08-10 2003-03-25 Olympus Optical Co Ltd Dnaエンドヌクレアーゼ活性の検出法
JP4522632B2 (ja) * 1999-08-17 2010-08-11 靖一 田沼 新規デオキシリボヌクレアーゼ、それをコードする遺伝子およびそれらの用途
CN114250208A (zh) * 2021-12-22 2022-03-29 武汉瀚海新酶生物科技有限公司 耐高盐高活性DNase I突变体的制备及应用

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