JP2001244752A - 歪補償回路 - Google Patents
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Abstract
置の高出力増幅器の動作点を引き上げ、効率良い信号増
幅を可能にする歪補償回路を提供する。 【解決手段】 複数の無線信号が入力された分配器01
の出力ポート#2と#4との信号がそれぞれミキサMI
X−AとMIX−Bとに入力され、出力ポート#3の信
号が、基底周波数成分及び2倍波周波数成分の少なくと
も一方の偶数乗積非線形歪を生成する偶数乗積生成手段
と、振幅と位相を任意の値に調整できる振幅・位相制御
手段と、任意の位相差で2分配する分配手段とを有する
歪調整手段に入力され、その2つの出力信号がそれぞれ
ミキサMIX−AとMIX−Bとに入力され、それぞれ
の出力信号が合成器02に入力され、分配器01の出力
ポート#1の信号と、合成器02の出力信号とを合成器
01で合成して出力する。
Description
置に用いられる複数信号の共通増幅を必要とする高出力
増幅器で発生する歪を補償し、高出力増幅器の動作点を
引き上げ効率良い信号増幅を可能にする歪補償回路に関
する。
増幅器においては、高出力増幅器の有する非線形性によ
って、次に示すような運用上の制限が必要となる。
し出力飽和点に近付くに従って歪発生量が増加するの
で、動作点をより低い入力レベルに下げて動作させる。
出力飽和点からの動作点を下げることをバックオフとい
い、そのレベル低下量をバックオフ量という。ここで
は、入力に対する出力電力が線形的に予想される点から
2dB下がる点である、2dB-Compression pointを出
力飽和点として考える。一方、高出力増幅器は動作点が
出力飽和点近傍動作時に、電力効率と出力電力が最大と
なり、動作点を下げる(バックオフ量を大きくする)ほど
低くなる。そこで、歪補償回路を用いて高出力増幅器で
発生する歪量の低減を図り、通信条件を満足する歪発生
量以下となるバックオフ量を小さくし、効率の高い動作
点で高出力増幅器を運用することが行われている。
型歪補償回路がある。これは補償対象である高出力増幅
器の有する非線形特性により出力飽和点に近づくに従い
生じる利得圧縮、位相変化の逆特性、すなわち利得伸
長、逆方向位相変化を生成する回路である。高出力増幅
器と同様な利得圧縮、位相変化を持つ非線形経路と線形
経路を逆相で合成するように回路を構成すれば、合成ベ
クトルは利得伸長、逆方向位相変化の軌跡をたどる。
(参考文献:G.Satoh and T.Mizuno: "Impact of a New T
WTA Linearizer Upon QPSK/TDMA Transmission Perform
ance, "IEEE Journal Selected Areas in Communicatio
ns, Vol.SAC-1,No.1, pp.39-45, Jan.1983. R.Inada,
H.Ogawa, S.Kitazume and P.DeSantis: "A Compact 4G
Hz Linearizer for Space Use, "IEEE MTT-S Digest, p
p.323-326, 1986. A.-M.Khilla and D.Leucht: "Linear
ized L/C Band SSPA/Upconverter for Mobile Communic
ationSatellite," AIAA ICSSC Digest, pp.86-93, Feb.
1996.等)
持ち、補償対象である高出力増幅器で発生する歪と逆の
歪になるように振幅、位相調整を行い、互いに相殺する
ことで歪補償を行う回路である(参考文献:野島,岡本,
大山;「マイクロ波SSB-AM方式用プリディストーション
非線形ひずみ補償回路」,電子通信学会論文誌,pp.78-
85, Vo1.J67-B No.1, Jan.1984. [5] N.Imai, T.Noji
ma and T.Murase : "Novel Linearizeer Using Balance
d Circulators an Its Application to Multilevel Dig
ital Radio Systems," IEEE Transactions on Microwav
e Theory and Techniques, Vol.37, No.8, pp.1237-124
3, Aug. 1989.等)。これらは、いずれも歪補償回路とし
て機能し、高出力増幅器で発生する歪を低減する効果を
有している。しかしながら、出力飽和点からのバックオ
フ量でみると、十分に歪を低減しているのはバックオフ
量が大きいところであり、数dB程度のバックオフ量の
小さい領域ではあまり歪低減がなされていない。上記の
例で挙げた歪補償回路では、増幅を受ける無線信号成分
を基に同一周波数帯の非線形歪成分を直接生成し、元の
無線信号成分と合成することで高出力増幅器の非線形特
性と逆特性を持たせる構成を有することと、増幅器の出
力飽和点へ近づくにつれ3次歪だけではなく、5次、7
次、・・のより高次の歪の影響が大きくなり、それぞれ
の歪の位相変化が同一ではないことに起因すると考える
ことができる。
成分と同一周波数帯に歪成分を直接生成するために、歪
成分の中に基となっている信号成分の漏洩分が含まれて
しまい、信号成分と歪成分を合成する際に影響を及ぼし
てしまうことにある。バックオフ量が大きい動作レベル
においては、補償すべき信号成分に対する歪成分の電力
比が出力飽和時に比べ大きく、歪補償回路での信号成分
と歪成分の電力比は補償されるそれと同程度であるの
で、歪成分に歪信号と同程度あるいは少し大きめの信号
成分の漏洩分が存在しても、本来の信号成分に与える影
響は無視できる。しかしながら、出力飽和点近傍では信
号成分と歪成分の電力比が小さくなり漏洩分が無視でき
なくなり、歪成分の調整の際信号成分に与える影響が大
きくなるため、調整が非常に困難となる。
作レベルにおいては出力歪全体のうちで3次非線形性に
よる歪が支配的であり、この領域では歪補償回路におい
て逆特性の歪を生成することが容易であるのに対し、出
力飽和点近傍では高次に至る非線形性による歪が発生
し、逆特性の歪生成が非常に困難になることにある。
は、歪補償回路の特性が被補償高出力増幅器と単純な逆
特性(利得伸長、位相逆回転)では歪低減が難しい点であ
る。つまり、バックオフ量が大きい動作レベルでは、歪
補償回路において高出力増幅器で発生する歪と等振幅比
・逆相の歪を生成すれば、高出力増幅器において互いの
歪が相殺することになるが、実際には歪補償回路におい
て生成した歪成分と信号成分により別の歪成分が高出力
増幅器において発生していることになるので、信号対歪
電力比がある程度大きいバックオフ量が大きい動作レベ
ルにおいては無視できる別の歪成分が、出力飽和点近傍
での信号対歪電力比の小さな領域では無視できないレベ
ルとなる。実際の回路においては、高出力増幅器出力端
での歪を低減させるためには出力飽和点近傍における微
調整が必要であるが、前述のように従来回路は調整性が
悪い。このように上記の従来技術の歪補償回路では出力
飽和点近傍における調整が非常に困難であり、歪低減が
あまり期待できないため、これを克服すべく、EOD(E
ven-order Pre-distortion)適用型歪制御回路が考案さ
れている。
ある。また、図2は、従来のEOD適用型歪制御回路の
機能ブロック図である。EOD適用型歪制御回路は、非
線形歪成分を偶数乗積のうちの基底周波数成分、及び2
倍周波数成分の少なくとも一方、すなわち元の無線信号
成分と異なる周波数帯において扱う方法で、増幅器飽和
点近傍までの歪補償で効果を上げている(関連特許;堀
川他,特願平8-214119、参考文献:堀川,小川:「Even
-order Pre-distortionによる高出力増幅器歪低減の提
案」,信学会通信ソサイエティ大会 B-230.1996.、T.Ka
ho and H.Okazaki, and T.Ohira, "A GaAs Monolithic
Intermodulation Controller for Active Phased Array
Systems," Proc. APMC '98, pp.603-606, Yokohama, J
apan, Dec.1998.)。
180゜可変移相器、VGA1及びVGA2は可変利得
増幅器、×2は2逓倍器、AMODは振幅変調器、OB
Aは基本波周波数帯を取り出すバッファ増幅器である。
2倍波周波数帯の偶数乗積非線形歪をnon-linear path
のMULで発生させ、振幅変調器の変調信号としている
(参考文献:T.Kaho and H.Okazaki, and T.Ohira, "A
GaAs Monolithic Intermodulation Controller for Act
ive Phased Array Systems", Proc.APMC'98, pp.603-60
6, Yokohama, Japan, Dec. 1998)。
ション型リニアライザとして用いる場合は偶数乗積のう
ちの基底周波数成分、及び2倍周波数成分の少なくとも
一方で基本波周波数成分に振幅変調をかける構成となっ
ている。
になる。 AM=(C+α・Mod)・In (1)
C:係数,α:変調度,Mod:変調信号となる。被補
償増幅器の信号、歪の特性に合わせて、式(1)の右辺の
2つの項である通過する信号成分CInとαModIn
の比を調節する必要がある。特に飽和点近傍では信号成
分に対し歪成分の電力が大きくなるため、プリディスト
ーション型リニアライザで発生させる歪のレベルも上げ
る必要がある。
比)を小さくするには問題点がある。マイクロ波帯で振
幅変調回路を構成する場合、FETを用いることが一般
的であるが、式(1)の変調度αと係数Cは独立となら
ず、FETの制御電圧と搬送波Inの入力レベル、変調
信号Modの入力レベルに依存する。変調信号Modの
入力レベルを上げて、FETの制御電圧により変調度α
の値を上げればCIn/αModInを小さくすること
ができるが、入出力特性に非線形性が生じ必ずしも被補
償増幅器の入出力特性と一致しないため、補償するダイ
ナミックレンジが小さくなるという問題点があった。
出力増幅器(参考文献:M.Shigaki et. al: "S-Band Hig
h-Power and High-Efficiency SSPA for Onboarding Sa
tellite," AIAA ICSSC Digest, pp.108-112, Feb.199
6.)について言えば、通常出力飽和点とみなす2dB利
得圧縮点から出力バックオフ量を0dB,1dB,2d
B,3dB,4dBと増やした時にそれぞれの効率は、4
3%、37%、32%、26%と1dBバックオフ量を
増やす毎に効率が5〜6%ずつ低下してしまう。これ
は、無線信号出力電力として1kWが要求される場合、
DC電力としてそれぞれ、2.3kW,2.7kW,3.
1kW,3.8kW,4.8kWが必要となり、また、衛
星搭載として排熱を考慮する場合には、それぞれの必要
なDC電力から信号出力電力1kWを差し引いた値がそ
のまま熱となることを考えなければならない。飽和点近
傍では出力バックオフ量1dBの違いがシステムに多大
に影響することが分かる。
回路では十分な歪低減を得ることのできなかった高出力
増幅器の出力飽和点近傍において、歪補償による歪低減
を可能とし、複数信号の共通増幅を必要とする無線送信
装置に用いられる高出力増幅器の動作点を引き上げ効率
良い信号増幅を可能にする歪補償回路を提供することに
ある。
を共通増幅する増幅手段において発生する歪を補償する
本発明の歪補償回路は、複数の無線信号が、所望の位相
及び電力比でN(N=4以上の整数)分配される第1の分
配手段に入力され、第1の分配手段の第2の出力信号
と、第4の出力信号とが、それぞれ、被変調信号として
第1のミキサと、第2のミキサとに入力され、第1の分
配手段の第3の出力信号が、基底周波数成分及び2倍波
周波数成分の少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を生成
する偶数乗積生成手段と、振幅と位相を任意の値に調整
できる振幅・位相制御手段と、任意の位相差で2分配す
る分配手段とを有する歪調整手段に入力され、歪調整手
段の2つの出力信号が、それぞれ、変調信号として、第
1のミキサと、第2のミキサとに入力され、第1のミキ
サの出力信号と、第2のミキサの出力信号とが、任意の
位相差で合成する第2の合成手段に入力され、第1の分
配手段の第1の出力信号と、第2の合成手段の出力信号
とが、第1の合成手段に入力され、第1の合成手段から
出力信号が得られる回路である。
手段において発生する歪を補償する本発明の歪補償回路
は、複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N
=5以上の整数)分配される第1の分配手段に入力さ
れ、第1の分配手段の第2の出力信号と、第5の出力信
号とが、それぞれ、被変調信号として第1のミキサと、
第2のミキサとに入力され、第1の分配手段の第3の出
力信号と、第4の出力信号とが、それぞれ、基底周波数
成分及び2倍波周波数成分の少なくとも一方の偶数乗積
非線形歪を生成する偶数乗積生成手段と、振幅と位相を
任意の値に調整できる振幅・位相制御手段とを有する第
1の歪調整手段と、第2の歪調整手段とに入力され、第
1の歪調整手段の出力信号と、第2の歪調整手段の出力
信号とが、それぞれ、変調信号として、第1のミキサ
と、第2のミキサとに入力され、第1のミキサの出力信
号と、第2のミキサの出力信号とが、任意の位相差で合
成する第2の合成手段に入力され、第1の分配手段の第
1の出力信号と、第2の合成手段の出力信号とが第1の
合成手段に入力され、第1の合成手段から出力信号が得
られる回路である。
乗積成分の基底周波数成分、及び2倍波周波数成分の少
なくとも一方を用いて、元の複数無線信号とミキシング
し、バランス動作により基本波周波数帯の奇数乗積非線
形歪成分のみを取りだし、信号成分と任意の電力比、位
相差で合成させることを最も主要な特徴とする。
様、生成する偶数乗積非線形歪を用いて歪の制御を行
う。従来のEOD適用型歪制御回路では偶数乗積非線形
歪を振幅変調器の変調信号として用いていたが、本発明
ではバランス型ミキサの変調信号として用いる点で異な
っている。ミキサをバランス動作させることにより、被
変調信号である基本波周波数成分の信号成分出力CIn
は出力合成器で逆相となり打ち消され、基本波周波数帯
に発生する3次非線形性、5次非線形性、7次非線形
性、…の奇数乗積非線形性の歪のみを取り出すことがで
きる。このとき変調信号として入力した偶数乗積非線形
歪を逆相で出力するように位相設定すれば、ミキサの出
力合成器で打ち消し合うことができる。バランス型ミキ
サから取り出した奇数乗積非線形性歪を所望の電力比、
位相差を得るように信号成分と合成することにより、信
号成分と非線形歪成分を独立に制御することが可能であ
る。これにより増幅器飽和点近傍での歪補償効果を上
げ、調整性を高めることができる。
の実施形態を詳細に説明する。
る非線形歪について説明する。高出力増幅器の入出力関
係を示す伝達関数を複素数を用いて表すと、以下のよう
になる。
する場合、偶数乗積の非線形性による歪は伝送帯域内に
は発生せず、3次以上の奇数乗積非線形性により生ずる
歪が問題となる。
波の無線信号が入力信号の場合について説明すると、入
力信号は(2)式において、 1次線形性により利得A1,位相変移θ1を与えら
れ、入力信号振幅に比例する周波数F1,F2の信号と
なり、 3次非線形性により利得A3,位相変移θ3を与えら
れ、入力信号振幅の3乗に比例する周波数2F1−F
2,F1,F2,2F2−F1の歪となり、 5次非線形性により利得A5,位相変移θ5を与えら
れ、入力信号振幅の5乗に比例する周波数3F1−2F
2,2F1−F2,F1,F2,2F2−F1,3F2
−2F1の歪となり、 7次非線形性により利得A7,位相変移θ7を与えら
れ、入力信号振幅の7乗に比例する周波数4F1−3F
2,3F1−2F2,2F1−F2,F1,F2,2F
2−F1,3F2−2F1,4F2−3F1の歪とな
り、 ・・・・・[1] で与えられる全ての信号成分と歪成分が合成されたもの
を出力信号として得ることができる。利得係数Anは次
数が高いほど小さく、バックオフ量が十分大きい場合、
すなわち高出力増幅器の動作点が出力飽和点から見て十
分に低いレベルのときには3次以上の非線形性を無視す
ることができ、線形増幅器として扱うことができる。徐
々に動作点を高くしていくと、非線形歪の出力振幅は入
力信号振幅を非線形次数で累乗したものに比例するの
で、信号成分と歪成分の振幅比が小さくなり、徐々に非
線形歪の影響が現れ始める。まず、3次非線形性による
歪が支配的な動作レベルにあり、さらに、動作点を高く
し出力飽和点に近づくと5次,7次,…とより高次の非
線形性による歪が影響し始める。
歪を扱えるのは解析上での議論であり、実際に各歪成分
毎に独立に観測することはできないが、スペクトラム・
アナライザのような観測装置を用いれば周波数成分毎に
分離した観測は可能である。
表した場合、 周波数F1,F2の入出力特性曲線が1:1の傾斜の
うちは1次線形性が支配的であり、 周波数2F1−F2,2F2−F1の入出力特性曲線
が1:3の傾斜のうちは3次非線形性までが支配的であ
り、 周波数3F1−2F2,3F2−2F1の入出力特性
曲線が1:5の傾斜のうちは5次非線形性までが支配的
であり、 ・・・・・[2] と見なすことができる。もちろん実際の回路、特に多段
に縦続接続された構成の高出力増幅器においては、非線
形特性が多段に重なり合うことで非線形特性曲線に特異
点が現れ、上述の通り整然と入出力特性曲線とならない
場合があるが、傾向としては一致している。一般に出力
飽和点に近づくに従い、信号成分の利得は圧縮され、通
過位相は遅れる方向に変移する。上記の周波数成分毎の
観測と(2)式の関係から、1次線形性による位相変移
θ1と3次非線形性による位相変移θ3が相対的に逆相
に近い傾向にあると考えることで説明できる。文献(N.I
mai,T.Nojima and T.Murase: "Novel Linearizeer Usin
g Balanced Circulators and Its Application to Mult
ilevel Digital Radio Systems," IEEE Transactions o
n Microwave Theory and Techniques, Vol.37, No.8, p
p.1237-1243, Aug. 1989.)においても140〜150°
の相対位相関係になることを算出している。
増幅器において発生する歪を補償するためのEOD適用
型歪制御回路の実施形態を以下に示す。
の偶数乗積のうち基底周波数成分、及び2倍波周波数成
分の少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を構成する2次
非線形歪成分から2N(N≧2)次非線形歪成分までの各
次数の非線形歪成分を各々独立に制御し変調信号とする
振幅変調器が歪補償回路として機能し、後段に接続され
る被補償高出力増幅器の歪低減を行う。原理を以下に説
明する。入力信号に対する偶数乗積の関係は次式のよう
に表すことができる。
と、偶数乗積は基底周波数帯、2倍波周波数帯、4倍波
周波数帯、…と偶数倍波帯に生成される歪となる。
波の無線信号が入力信号の場合の基底周波数成分に生成
される偶数乗積は、 2次線形性により利得B2,位相変移φ2を与えら
れ、入力信号振幅の2乗に比例するDC成分と周波数F
1−F2の歪となり、 4次非線形性により利得B4,位相変移φ4を与えら
れ、入力信号振幅の4乗に比例する周波数F2−F1,
2F2−2F1の歪となり、 6次非線形性により利得B6,位相変移φ6を与えら
れ、入力信号振幅の6乗に比例する周波数F2−F1,
2F2−2F1,3F2−3F1の歪となり、 ・・・・・[3] となる。
乗積は、以下のようになる。 2次線形性により利得B2,位相変移φ2を与えら
れ、入力信号振幅の2乗に比例する周波数2F1,F1
+F2,2F2の歪となり、 4次非線形性により利得B4,位相変移φ4を与えら
れ、入力信号振幅の4乗に比例する周波数3F1−F
2,2F1,F1+F2,2F2,3F2−F1の歪と
なり、 6次非線形性により利得B6,位相変移φ6を与えら
れ、入力信号振幅の6乗に比例する周波数4F1−2F
2,3F1−F2,2F1,F1+F2,2F2,3F
2−F1,4F2−2F1の歪となり、 ・・・・・[4]
になる。 AM=(C+α・Mod)・In=C・In+α・Mod・In (4)
C:係数,α:変調度,Mod:変調信号で表される。
(4)式右辺第1項は入力信号成分の通過分を表してお
り、右辺第2項は偶数乗積のうちの基底周波数成分、及
び2倍波周波数成分の少なくとも一方からなる変調信号
と入力信号成分の積で得られる基本周波数成分に生成さ
れる奇数乗積歪成分を表している。(3)式より、変調信
号に偶数乗積の基底周波数成分、及び2倍波周波数成分
以外の周波数成分が含まれていなければ、信号伝送帯域
内に生成される歪成分は信号成分とは独立に扱うことが
できることが分かる。また、歪成分の調整も偶数乗積の
段階で行うので、基本波信号成分に影響を与えること無
しに、歪調整が可能となる。
を用いる場合、(4)式右辺第2項の内容は、以下で成り
立つ。 2次非線形歪と入力信号成分の積であり、利得α×B
2,位相変移φ2を与えられ、入力信号振幅の3乗に比
例する周波数2F1−F2,F1,F2,2F2−F1の
歪と、 4次非線形歪と入力信号成分の積であり、利得α×B
4,位相変移φ4を与えられ、入力信号振幅の5乗に比
例する周波数3F1−2F2,2F1−F2,F1,F
2,2F2−F1,3F2−F1の歪と、 6次非線形歪と入力信号成分の積であり、利得α×B
6,位相変移φ6を与えられ、入力信号振幅の7乗に比
例する周波数4F1−2F2,3F1−2F2,2F1
−F2,F1,F2,2F2−F1,3F2−F1,4
F2−2F1の歪と、 ・・・・・[5]
分を用いる場合、信号伝送帯域内に生成される非線形歪
成分は、上記の偶数乗積の基底周波数成分の歪を用いた
場合[5]と振幅が半分になるのを除いて全く等しくな
る。但し、2倍波周波数成分の歪を用いる場合には(4)
式に示す振幅変調の際に、3倍波周波数帯に歪成分を生
成してしまうので、伝送帯域内には直接影響はしないも
のの、不要波として処理する必要があるときには、振幅
変調手段にフィルタを付加することで簡単に解決でき
る。ポイントは偶数乗積の基底周波数成分を用いても、
2倍波周波数成分を用いても同じ効果が得られるという
ことである。被補償高出力増幅器と歪補償回路は上述の
関係で表わすことができ、高出力増幅器の出力内容[1]
の以降で記載されている非線形歪に対して、歪補償回
路出力内容[5]に記載されている非線形歪が相殺する関
係にあるために歪低減が可能となるわけである。
は、偶数乗積生成手段においてバイアス調整等により
(3)式中の係数
(4)の変調度<α>を調節することで、基本波信号成分と
は無関係に歪成分を調整し、高出力増幅器で発生する歪
を低減することが可能となる。すなわち、基本波信号成
分に影響を与えずに歪成分の調整が可能となることで、
被補償高出力増幅器飽和点近傍においても微妙な調節が
可能となり、歪低減効果を達成することができる。
合、デュアルゲートFETやFETにより実現する。デ
ュアルケートFETは2つのゲート端子を持っており、
出力振幅が2つのゲート端子入力信号振幅の積に比例す
るので線形な変調特性が得られる。変調される搬送波信
号である被増幅複数無線信号と変調信号である偶数乗積
は別々のゲート端子から入力することにより、両信号を
分離して扱うことができる。より小型、低コストで歪制
御回路を実現するためにはMMIC化が必須である。
使った振幅変調器の機能図である。
幅変調器の場合、ゲートバイアス調整により振幅変調の
深さを調整することが可能であり、すなわち、(4)式中
の変調度<α>の調整が可能となる。しかし変調度αと係
数Cは独立とならなず、FETの制御電圧と搬送波In
の入力レベル、変調信号Modの入力レベルに依存す
る。変調信号Modの入力レベルを上げて、FETの制
御電圧により変調度αの値を上げればCIn/αMod
Inを小さくすることができるが、入出力特性に非線形
性が生じ必ずしも被補償増幅器の入出力特性と一致しな
いため、補償するダイナミックレンジが小さくなるとい
う問題点があることは既に述べた。
と第2項を独立に制御する手法、つまり、信号成分と歪
成分を独立に制御するため、バランス型ミキサを用いる
回路構成を考案した。ミキサをバランス動作させること
により、信号成分出力は逆相で打ち消し、偶数乗積出力
も逆相で打ち消し、基本波周波数帯の奇数乗積非線形歪
の出力を同相で取り出すことができる。
る。以下では、バランス型ミキサの原理を簡単に説明す
る。基本波周波数帯の信号成分が、ミキサ1、ミキサ2
へそれぞれ被変調信号として位相A,Bで入力し、基底
周波数成分、及び2倍波周波数成分の少なくとも一方の
偶数乗積非線形歪成分がミキサ1、ミキサ2へそれぞれ
変調信号(L0)として位相C,Dで入力し、ミキサ1、
ミキサ2の出力のうち、基本波周波数帯はそれぞれ位相
E,Fで合成し、基底周波数帯はそれぞれ位相E',F'
で合成し、2倍波周波数帯はそれぞれ位相E",F"で合
成する合成器の出力では、 ・出力へ漏れ込む基本波周波数成分の位相はミキサ1、
ミキサ2それぞれ、A+E,B+F ・出力へ漏れ込む基底周波数成分の偶数乗積歪成分の位
相はミキサ1、ミキサ2それぞれ、C+E',D+F’ ・出力へ漏れ込む2倍波周波数成分の偶数乗積歪成分の
位相はミキサ1、ミキサ2それぞれ、C+E",D+F" ・基本波周波数成分と基底周波数成分、及び2倍波周波
数成分の少なくとも一方の偶数乗積歪成分とで掛け合わ
された、基本波周波数帯に発生する奇数乗積歪成分の位
相はミキサ1、ミキサ2それぞれ、A+C+E,B+D
+Fとなる。所望のバランス動作を得るためには、 ・合成器の出力において、出力へ漏れ込む基本波周波数
成分をキャンセルするためには、A+EとB+Fが逆相 ・合成器の出力において出力へ漏れ込む基底周波数成分
の偶数乗積非線形歪成分をキャンセルするためには、C
+E'とD+F'が逆相、2倍波周波数成分の偶数乗積非
線形歪成分をキャンセルするためには、C+E"とD+
F"が逆相 ・基本波周波数成分と基底周波数成分、及び2倍波周波
数成分の少なくとも一方の偶数積歪成分とで掛け合わさ
れた、基本波周波数帯に発生する奇数乗積歪成分を取り
出すには、A+C+E=B+D+F 上記の条件を式で表わすと、基底周波数成分においては A+E=B+F±180° (a) C+E'=D+F'±180° (b) A+C+E=B+D+F (c) で、上記3式を満たすためには、 E'=F' あるいはE'=F'±360° C=D±180° である必要がある。
はE'=F'の場合はE=Fとなるため、 A=B±180° となる。
は、E"=2E,F"=2Fという関係になり、E"=F"
の場合はE=Fとなり、式(d)よりA=B±180° E"=F"±360°の場合はE=F±180°となり、
式(d)よりA=B±360°となる。
動作する位相関係の構成図である。
路構成図である。複数の無線信号を共通増幅する増幅手
段において発生する歪を補償する図9の歪補償回路は、
複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N=4
以上の整数)分配される第1の分配器01に入力され、
第1の分配器01の第2の出力ポート#2の信号と、第
4の出力ポート#4の信号とが、それぞれ、被変調信号
として第1のミキサMIX−Aと、第2のミキサMIX
−Bとに入力され、第1の分配器01の第3の出力ポー
ト#3の信号が、基底周波数成分及び2倍波周波数成分
の少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を生成する偶数乗
積生成手段と、振幅と位相を任意の値に調整できる振幅
・位相制御手段と、任意の位相差で2分配する分配手段
とを有する歪調整手段に入力され、歪調整手段の2つの
出力信号が、それぞれ、変調信号として、第1のミキサ
MIX−Aと、第2のミキサMIX−Bとに入力され、
第1のミキサMIX−Aの出力信号と、第2のミキサM
IX−Bの出力信号とが、任意の位相差で合成する第2
の合成器02に入力され、第1の分配器01の第1の出
力ポート#1の信号と、第2の合成器02の出力信号と
が、第1の合成器01に入力され、第1の合成器01か
ら出力信号が得られる回路である。
器又は合成器は、フェーズドアレー用BFN(ビーム形
成回路)のように等分配の分配/合成器の出力/入力端に
可変移相器と可変減衰器を接続したもので実現できる。
1チップMMICで32分配/合成が可能で、かつ36
0°の可変位相を実現しているものもある(参考文献:
鈴木、上綱、大平、小川、「フェーズドアレー用ベクト
ル合成型S帯1チップ可変ビーム形成回路」、信学会通
信総合大会C-2-9, 1997.)。
回路構成図である。複数の無線信号を共通増幅する増幅
手段において発生する歪を補償する図10の歪補償回路
は、複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N
=5以上の整数)分配される第1の分配器01に入力さ
れ、第1の分配器01の第2の出力ポート#2の信号
と、第5の出力ポート#5の信号とが、それぞれ、被変
調信号として第1のミキサMIX−Aと、第2のミキサ
MIX−Bとに入力され、第1の分配器01の第3の出
力ポート#3の信号と、第4の出力ポート#4の信号と
が、それぞれ、基底周波数成分及び2倍波周波数成分の
少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を生成する偶数乗積
生成手段と、振幅と位相を任意の値に調整できる振幅・
位相制御手段とを有する第1の歪調整手段Aと、第2の
歪調整手段Bとに入力され、第1の歪調整手段Aの出力
信号と、第2の歪調整手段Bの出力信号とが、それぞ
れ、変調信号として、第1のミキサMIX−Aと、第2
のミキサMIX−Bとに入力され、第1のミキサMIX
−Aの出力信号と、第2のミキサMIX−Bの出力信号
とが、任意の位相差で合成する第2の合成器02に入力
され、第1の分配器01の第1の出力のポート#1の信
号と、第2の合成器02の出力信号とが第1の合成器0
1に入力され、第1の合成器01から出力信号が得られ
る回路である。
回路構成図である。複数の無線信号を共通増幅する増幅
手段において発生する歪を補償する図11の歪補償回路
は、複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N
=3以上の整数)分配される第1の分配器01と、第1
の分配器01の第2の出力ポート#2の信号が、第2の
分配器02に入力され、第2の分配器02の2つの出力
信号が、それぞれ、被変調信号として、第1のミキサM
IX−Aと、第2のミキサMIX−Bとに入力され、第
1の分配器01の第3の出力ポート#3の信号が、基底
周波数成分及び2倍波周波数成分の少なくとも一方の偶
数乗積非線形歪を生成する偶数乗積生成手段と、振幅と
位相を任意の値に調整できる振幅・位相制御手段と、任
意の位相差で2分配する分配手段とを有する歪調整手段
に入力され、歪調整手段の2つの出力信号が、それぞ
れ、変調信号として、第1のミキサMIX−Aと、第2
のミキサMIX−Bとに入力され、第1のミキサMIX
−Aの出力信号と、第2のミキサMIX−Bの出力信号
とが、任意の位相差で合成する第2の合成器02に入力
され、第1の分配器01の第1の出力ポート#1の信号
と、第2の合成器02の出力信号とが、第1の合成器0
1に入力され、第1の合成器01から出力信号が得られ
る回路である。
イブリッド等を用いて180°とし、ミキサMIX−A
へ入力する変調信号とミキサMIX−Bへ入力する変調
信号との相対位相差も同様に180°に設定し、合成器
02は同位相で合成する場合、ミキサMIX−A、ミキ
サMIX−Bから出力される信号成分は逆相となり、合
成器02において打ち消し合い、ミキサMIX−A、ミ
キサMIX−Bから漏れる、入力した変調信号である基
底周波数成分または2倍波周波数成分の偶数乗積非線形
歪も逆相となり、合成器02において打ち消し合う。一
方、ミキサMIX−A、ミキサMIX−Bにおいて掛け
合わされた基本波周波数帯に発生する奇数乗積歪は同相
となり、合成器02において同相合成される。合成器0
2により取り出した基本波周波数帯に発生する奇数乗積
歪の出力を、分配器01の第1の出力端#1からの信号
成分の出力と所望の比で足し合わせることにより、信号
成分と歪成分の比を独立に制御することができる。
し、ミキサMIX−Aへ入力する変調信号とミキサMI
X−Bへ入力する変調信号との相対位相差を180°、
合成器02は基本波周波数帯では逆相、基底周波数帯、
2倍波周波数帯では同相で合成する場合も同様となる。
することで、調整の自由度が高まり、高出力増幅器の出
力飽和点近傍における歪補償時に更なる微調整が可能と
なる。
構成図である。図12の歪調整手段は、第1の分配器0
1の第3の出力ポート#3の信号が、基本波周波数帯に
おいて180°の可変移相範囲を持つ位相調整手段PS
01に入力され、位相調整手段PS01の出力信号が、
基本波周波数帯において振幅を任意に調整する振幅調整
手段VGA01に入力され、振幅調整手段VGA01の
出力信号が、2倍波周波数成分の偶数乗積非線形歪を生
成する偶数乗積生成手段DIST01に入力され、偶数
乗積生成手段DIST01の出力信号が、該出力信号を
180°±360°×n(n=0,1,2・・)の相対位相
差で2分配する第3の分配器03に入力され、第3の分
配器03から2つの出力信号が出力される回路である。
で位相調整をしてから2倍波周波数帯の偶数乗積非線形
歪を生成するため、歪の位相を360°の範囲で制御す
るには、基本波周波数帯の位相器は180°まで可変の
もので良い。マイクロ波帯の可変移相器を構成するの
に、バラクタダイオードを用いる構成のものが主流であ
るが、バラクタダイオードの可変容量範囲が小さい場
合、1段では360°の可変範囲が達成できない場合が
ある。可変移相器の段数が増えれば損失も増えるため、
180°の可変範囲で良いという利点は大きい。
構成図である。図13の歪調整手段は、第1の分配器0
1の第3の出力ポート#3の信号が、2倍波周波数成分
の偶数乗積非線形歪を生成する偶数乗積生成手段DIS
T01に入力され、偶数乗積生成手段DIST01の出
力信号が、基本波周波数帯において振幅を任意に調整す
る振幅調整手段VGA01に入力され、振幅調整手段V
GA01の出力信号が、基本波周波数帯において180
°の可変移相範囲を持つ位相調整手段PS01に入力さ
れ、位相調整手段PS01の出力信号が、該出力信号を
180°±360°×n(n=0,1,2・・)の相対位相
差で2分配する第3の分配器03に入力され、第3の分
配器03から2つの出力信号が出力される回路である。
及び2倍波周波数成分の少なくとも一方の偶数乗積非線
形歪を生成した後に、偶数乗積非線形歪を360°の範
囲で位相を制御する。マイクロ波帯の可変移相器では、
360°可変範囲を得るためバラクタダイオードの制御
電圧を制御する構成のものが主流であるが、制御電圧に
よってバラクタダイオードの内部抵抗値が変化し、通過
損の振幅変動が生じる。MMICで偶数乗積非線形歪を
発生させる非線形素子としてはFETまたはダイオード
を用いるが、発生する偶数乗積非線形歪のレベルや位相
は入力レベル依存する。図13の構成の利点は、偶数乗
積生成手段が可変移相器の通過損の変動に影響されない
点である。
レベルが高いとバラクタにより不要な歪が発生し、位相
・振幅調整の妨げになる、一方、一般的に逓倍器の変換
損を改善するには、比較的大きな逓倍器への入力レベル
が必要となる。よって上記のような特性の逓倍器、可変
移相器を用いた場合、逓倍器を可変移相器より前段に用
いた方が回路内部の振幅調整手段として増幅器の段数が
少なくてすむため、歪制御回路単体の消費電力を下げる
ことができる。
構成図である。図14の歪調整手段は、第1の分配器0
1の第3の出力ポート#3の信号が、基本波周波数帯に
おいて180°の可変移相範囲を持つ位相調整手段PS
01に入力され、位相調整手段PS01の出力信号が、
基本波周波数帯において振幅を任意に調整する振幅調整
手段VGA01に入力され、振幅調整手段VGA01の
出力信号が、該出力信号を180°±360°×n(n
=0,1,2・・)の相対位相差で2分配する第3の分配
器03に入力され、第3の分配器03の2つの出力信号
が、それぞれ、2倍波周波数成分の偶数乗積非線形歪を
生成する第1の偶数乗積生成手段DIST01と、第2
の偶数乗積生成手段DIST02とに入力され、第1の
偶数乗積生成手段DIST01と、第2の偶数乗積生成
手段DIST02とのそれぞれの出力信号が出力される
回路である。
90°の位相差の2分配を用いてDIST01,DIS
T02で2倍波周波数帯の偶数乗積非線形歪成分を発生
させるため、MIX−A,MIX−Bへ入力する変調信
号である2倍波周波数帯の偶数乗積非線形歪成分の相対
位相差は180°となる。一方、2倍波周波数帯の偶数
乗積非線形歪成分を生成するのに2逓倍器を用いるが、
一般に逓倍器はアンプに比べて入出力整合が取りにくい
傾向がある。入力整合がとれていないと、特にアクティ
ブ型の逓倍器では発振の原因となる。分配器03の2出
力が90°の位相差で出力されるということは、分配器
03の後段に接続される2逓倍器から反射された成分
は、分配器の入力端で180°の位相差で合成され打ち
消し合うことができる。このように図14の構成は、逓
倍器の入力リターンロスの劣化を補償できるという利点
を持っている。
構成図である。図15の歪調整手段は、第1の分配器0
1の第3の出力ポート#3の信号が、該出力信号を18
0°±360°×n(n=0,1,2・・)の相対位相差で
2分配する第3の分配器03に入力され、第3の分配器
のそれぞれの出力信号が、それぞれ、2倍波周波数成分
の偶数乗積非線形歪を生成する第1の偶数乗積生成手段
DIST01と、第2の偶数乗積生成手段DIST02
とに入力され、第1の偶数乗積生成手段DIST01
と、第2の偶数乗積生成手段DIST02とのそれぞれ
の出力信号が、それぞれ、基本波周波数帯において18
0°の可変移相範囲を持つ第1の位相調整手段PS01
と、第2の位相調整手段PS02とに入力され、第1の
位相調整手段PS01と、第2の位相調整手段PS02
とのそれぞれの出力信号が、それぞれ、基本波周波数帯
において振幅を任意に調整する第1の振幅調整手段VG
A01と、第2の振幅調整手段VGA02とに入力さ
れ、第1の振幅調整手段VGA01と、第2の振幅調整
手段VGA02とのそれぞれの出力信号が出力される回
路である。
分配器03を90°ハイブリッドで構成すれば逓倍器の
入力リターンロスの劣化を補償できる利点を持ってい
る。また、図13の回路構成同様、可変移相器が逓倍器
の後段にあるため、逓倍器は可変移相器の振幅変動の影
響を受けないという利点と、逓倍器を可変移相器より前
段に用いているため回路内部の増幅器の段数が少なくて
すむため、歪制御回路単体の消費電力を下げられるとい
う利点がある。
相調整手段PS01及び振幅調整手段VGA01の前段
及び後段が逆であってもよい。
回路構成図である。複数の無線信号を共通増幅する増幅
手段において発生する歪を補償する図16の歪補償回路
は、複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N
=3以上の整数)分配する第1の分配器01と、第1の
分配器01の第2の出力ポート#2の信号が、基本波周
波数帯において180°の可変移相範囲を持つ第1の位
相調整手段PS01に入力され、第1の位相調整手段P
S01の出力信号が、第2の分配器02に入力され、第
2の分配器02の2つの出力信号が、それぞれ、被変調
信号として、第1のミキサMIX−Aと、第2のミキサ
MIX−Aとに入力され、第1の分配器01の第3の出
力ポート#3の信号が、基底周波数成分及び2倍波周波
数成分の少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を生成する
偶数乗積生成手段と、振幅と位相を任意の値に調整でき
る振幅・位相制御手段と、任意の位相差で2分配する分
配手段とを有する歪調整手段に入力され、歪調整手段の
2つの出力信号が、それぞれ、変調信号として、第1の
ミキサMIX−Aと、第2のミキサMIX−Bとに入力
され、第1のミキサMIX−Aの出力信号と、第2のミ
キサMIX−Bの出力信号とが、任意の位相差で合成す
る第2の合成器02に入力され、第1の分配器01の第
1の出力ポート#1の信号と、第2の合成器02の出力
信号とが、第1の合成器01に入力され、第1の合成器
01から出力信号が得られる回路である。
移相器PS01を使って位相調整をするため、基底周波
数成分または2倍波周波数成分の偶数乗積非線形歪を位
相調整をする必要が無くなるか、可変移相範囲が小さく
て済む。また、ミキサの被変調信号は小さい入力レベル
で良いため、可変移相器PS01への入力レベルも小さ
くて良いため歪が発生しにくい。また、ミキサの信号対
歪比を決定するのは主に変調信号である偶数乗積歪であ
るため、発生経路に可変移相器がある場合に比べ、可変
移相器の利得変動の影響が小さいという利点もある。ま
た基底周波数成分の360°可変移相器は、周波数が低
いため大きくなるという欠点があるが、この構成では基
本波周波数の360°可変移相器で良いためMMIC化
に有利である。
段に付加するフィルタにおいてカットする必要がある。
特に基本波周波数成分、すなわち元信号の周波数帯成分
は十分に阻止する必要がある。さらに、ダイオードの前
段にインピーダンス整合回路を付加し元信号の周波数帯
において整合させることで、検波感度を高めることがで
きる。また、FETであればゲートバイアスをピンチオ
フ付近に設定することで同様にV−I曲線のべき乗特性
を利用することができる。ダイオードの場合よりも偶数
次特性を得易く、かつ、利得を得ることができる。ダイ
オードであれば順方向バイアス電流制御で、FETであ
ればゲートバイアス制御でV−I曲線動作点の調整が可
能である。
ことにより、第1の実施形態で説明した補償原理に基づ
く動作が実現され、被補償高出力増幅器の出力飽和点近
傍における歪低減が可能となる。
無線信号の周波数帯が準マイクロ波帯以上(約1GHz
以上)の場合を前提に記述した。それ未満の周波数帯で
は具体的に回路を実現するときに分布定数的回路要素を
集中定数的回路要素で扱うとか、使用するデバイスを周
波数帯に応じたものに変更する等の必要が生じる場合が
あるが、動作原理は全く等価である。
減を得ることのできなかった増幅器の出力飽和点近傍に
おいて、歪補償による歪低減を可能とし、複数信号の共
通増幅を必要とする無線送信装置に用いられる高出力増
幅器の動作点を引き上げ効率良い信号増幅を可能にす
る。また従来の発電能力のままでも高出力化を達成する
ことが可能となり、同じ無線信号電力を得るのに生じる
放熱を低減できるので、排熱能力に限りのある衛星搭載
用増幅器への適用において非常に有用である。
る。
能図である。
能図である。
能図である。
1の構成図である。
2の構成図である。
成図である。
構成図である。
構成図である。
ある。
ある。
ある。
ある。
構成図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 複数の無線信号を共通増幅する増幅手段
において発生する歪を補償する歪補償回路であって、 複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N=4
以上の整数)分配される第1の分配手段に入力され、 前記第1の分配手段の第2の出力信号と、第4の出力信
号とが、それぞれ、被変調信号として第1のミキサと、
第2のミキサとに入力され、 前記第1の分配手段の第3の出力信号が、基底周波数成
分及び2倍波周波数成分の少なくとも一方の偶数乗積非
線形歪を生成する偶数乗積生成手段と、振幅と位相を任
意の値に調整できる振幅・位相制御手段と、任意の位相
差で2分配する分配手段とを有する歪調整手段に入力さ
れ、 前記歪調整手段の2つの出力信号が、それぞれ、変調信
号として、前記第1のミキサと、前記第2のミキサとに
入力され、 前記第1のミキサの出力信号と、前記第2のミキサの出
力信号とが、任意の位相差で合成する第2の合成手段に
入力され、 前記第1の分配手段の第1の出力信号と、前記第2の合
成手段の出力信号とが、第1の合成手段に入力され、 前記第1の合成手段から出力信号が得られることを特徴
とする歪補償回路。 - 【請求項2】 複数の無線信号を共通増幅する増幅手段
において発生する歪を補償する歪補償回路であって、 複数の無線信号が、所望の位相及び電力比でN(N=5
以上の整数)分配される第1の分配手段に入力され、 前記第1の分配手段の第2の出力信号と、第5の出力信
号とが、それぞれ、被変調信号として第1のミキサと、
第2のミキサとに入力され、 前記第1の分配手段の第3の出力信号と、第4の出力信
号とが、それぞれ、基底周波数成分及び2倍波周波数成
分の少なくとも一方の偶数乗積非線形歪を生成する偶数
乗積生成手段と、振幅と位相を任意の値に調整できる振
幅・位相制御手段とを有する第1の歪調整手段と、第2
の歪調整手段とに入力され、 前記第1の歪調整手段の出力信号と、前記第2の歪調整
手段の出力信号とが、それぞれ、変調信号として、前記
第1のミキサと、前記第2のミキサとに入力され、 前記第1のミキサの出力信号と、前記第2のミキサの出
力信号とが、任意の位相差で合成する第2の合成手段に
入力され、 前記第1の分配手段の第1の出力信号と、前記第2の合
成手段の出力信号とが第1の合成手段に入力され、 前記第1の合成手段から出力信号が得られることを特徴
とする歪補償回路。
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