JP2001242139A - Dnaの電気泳動法 - Google Patents

Dnaの電気泳動法

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JP2001242139A JP2000054166A JP2000054166A JP2001242139A JP 2001242139 A JP2001242139 A JP 2001242139A JP 2000054166 A JP2000054166 A JP 2000054166A JP 2000054166 A JP2000054166 A JP 2000054166A JP 2001242139 A JP2001242139 A JP 2001242139A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プレキャストゲルを特定のpHと
特定の両性電解質を含むゲル緩衝液を用いて調製するこ
とにより、長期保存安定性を有する電気泳動用ポリアク
リルアミドプレキャストゲルを用いるDNAの電気泳動
法を提供する。 【解決手段】 トリス、グリシンを含む一種又は二種の
両性電解質及び一価の酸を含有し、pHが6.0〜7.
5の範囲に調整されているゲル緩衝液を内包するポリア
クリルアミドゲルを、トリス、キレート剤と、酢酸、燐
酸、及び硼酸のいずれか一つの酸を含有し、pHが7.
8〜8.3の範囲に調整されている泳動用緩衝液を用い
て、DNAを電気泳動によって分析する。ポリアクリル
アミドゲルは、保存安定性に優れ、半年から1年以上ゲ
ルの形状変化が無く、DNAの良好な泳動像が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、生化学、医学の分野
におけるDNAの分離分析に利用されるDNAの電気泳
動法に関する。更に詳しくは、この発明は、保存安定性
の良いポリアクリルアミドゲルを用いて分析精度の高い
DNA分析法に適用することができると共に、電気泳動
用プレキャストゲルの利用分野に広く応用することがで
きるDNAの電気泳動法を提供する。
【0002】
【従来の技術】電気泳動法は主としてタンパク質の分析
方法として発展してきたが、分子生物学が進展するに従
ってDNAやRNAの分析調製が必要とされるようにな
ってきた。DNAやRNAのような核酸の分析には、ア
ガロース電気泳動法及びポリアクリルアミドゲル電気泳
動法が繁用されている。核酸は中性緩衝液中では強い陰
性荷電を示し、 その移動度は支持体としてのゲルの分子
篩効果によるため、対象とする核酸の大きさにより0.
3%〜2%程度のアガロースゲル又は3.5%〜20%
程度のポリアクリルアミドゲルが繁用されている。
【0003】アガロースゲルは、比較的大きな孔径を有
しているため、高分子の核酸の分離分析を対象とする場
合に用いられている。アガロースには、電気浸透の強
弱、ゲル強度、融点等の性質の異なる多くの種類があ
る。また、アガロースは天然物であるため、同一会社の
同一製品であってもロットによりしばしば性状に差が見
られる。更に、アガロースゲル電気泳動法を調製に用い
てDNAを精製する場合、しばしばアガロース中の不純
物が混入し、制限酵素、DNAポリメラーゼ、DNAリ
ガーゼ等の酵素の活性を阻害する。このため、アガロー
スゲルを用いたDNAの精製には、フェノール抽出など
による精製法を加味する必要がある。
【0004】一方、ポリアクリルアミドゲルは、比較的
小さな孔径を有しているため、中分子〜低分子の核酸の
分離分析を対象とする場合に用いられている。ポリアク
リルアミドゲルは、合成品であるために化学的に高純度
であり、アガロースゲルに見られるような性状の不均一
の問題点はない。また、処方を変えることによって、分
離特性の異なるポリアクリルアミドゲルを容易に調製す
ることができる。そのため、 様々な分離能を持つように
量産されたプレキャストゲルを予め用意しておき、その
中から適切なプレキャストゲルを選択して用いることに
より、分析の手間を大幅に省くことができる。ポリアク
リルアミドゲルは、均一で再現性の良いことから当該分
野における生産及び品質管理に貢献するところが大であ
る。量産されたポリアクリルアミドゲルを供給するに際
しては、保存安定性が良好であることが期待される。
【0005】アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル
と共にDNAの電気泳動に使用する緩衝液は、主にpH
7.8〜8.3のエチレンジアミン四酢酸( 以下EDT
Aと称す) 又はエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(
以下ETAと称す) を含むトリス( ヒドロキシメチル)
アミノメタン(以下トリスと称す)−酢酸緩衝液( 以下
TAEと称す) 、トリス−硼酸緩衝液( 以下TBEと称
す) 、又はトリス−リン酸緩衝液( 以下TPEと称す)
であり、ゲル緩衝液と泳動用緩衝液の組成が等しい連続
緩衝液系である。
【0006】一方、タンパク質の分離分析で汎用されて
いる、オルンスタイン(L.Ornstein,An
n.N.Y.Acad.Sci.121,321−34
9(1964))とデービス( B.J.Davis,A
nn.N.Y.Acad.Sci.121,404−4
27(1964)) によって提案された方法によって、
DNAの分離分析を行うことも可能である。この方法
は、ゲル緩衝液としてトリスー塩酸緩衝液(オルンスタ
イン−デービスのゲル緩衝液)、泳動用緩衝液としてト
リスーグリシン緩衝液( オルンスタイン−デービスの泳
動用緩衝液) を使用しており、ゲル緩衝液と泳動用緩衝
液の組成の異なる不連続緩衝液系である。不連続緩衝液
系は、連続緩衝液系に比べ少量の試料添加で良好な解像
力をもたらすことが特徴である。
【0007】しかし、公知の電気泳動システムにおいて
は、通常、ポリアクリルアミドゲルの内包するゲル緩衝
液のpHは7.8〜8.8であり、ポリアクリルアミド
中のアミド基は経時的に加水分解反応を受ける。加水分
解反応は、低温条件下でも進行して部分的にアニオン基
を有するゲルを生る。その結果、DNAの泳動距離が短
くなり、 分離像が不鮮明になる。従って、ポリアクリル
アミドゲルは、時間が経過するほど加水分解反応が進行
するため、長期間に渡って保存して使用することが困難
である。ポリアクリルアミドの加水分解を抑制するため
に、ゲル緩衝液中のトリス中和率を高めてpHを下げる
と、連続緩衝液系の場合、泳動時間が非常に長くなり分
析の効率が低下する。不連続緩衝液系の場合、ゲル緩衝
液中のトリスの中和率を高めると、泳動時間が長くなる
だけでなく分離能も劣り、使用に耐えないものとなる。
【0008】ポリアクリルアミドゲルの安定性を改善す
る方法として、トリス、両性電解質及び酸から成るゲル
緩衝液を内包した、長期保存安定性に優れ且つ測定可能
な分子量範囲を著しく拡大したポリアクリルアミドゲル
の製造方法が、特開平4−184163号公報に開示さ
れている。この製造方法によって製造されたポリアクリ
ルアミド電気泳動ゲルは、オルンスタイン−デービスの
泳動用緩衝液又はレムリー( U.K.Laemmli,
Nature 227,680(1970))によって
提案された泳動用緩衝液( レムリーの泳動用緩衝液) を
使用して分析に供することができる。このポリアクリル
アミド電気泳動ゲルは、両性電解質を含有するpH4.
0〜7.5のゲル緩衝液を内包することを特徴とし、そ
の実施例においてpHが6.9〜7.4のゲルの製造が
例示され、冷蔵保存で4ヶ月はタンパク質の移動度に変
化なく安定であるとされている。レムリーの泳動用緩衝
液とは、トリス、グリシン及びドデシル硫酸ナトリウム
( 以下SDSと称す) を含有する緩衝液である。このポ
リアクリルアミドゲルは、タンパク質の分離分析を対象
としているが、オルンスタイン- デービスの泳動用緩衝
液を使用してDNAの分離分析も可能である。特開平4
−184163号公報に実施例として記載されている条
件で製造したゲルは、DNAの分離分析に使用するに当
たり、移動度、染色状態の観点から見て、冷蔵保存で2
ヶ月間安定である。
【0009】しかし、量産されたポリアクリルアミドゲ
ルを供給するに際しては、2ヶ月の保存有効期限では不
十分である。そこで、特開平4−184163号公報に
開示されている方法で製造したポリアクリルアミドゲル
のゲル緩衝液のpHを6.5以下とし、ポリアクリルア
ミドゲルの加水分解を抑制して更に安定性の良い電気泳
動ゲルでのDNAの分析が必須となる。ところが、上記
のpHが低いポリアクリルアミドゲルとオルンスタイン
−デービスの泳動用緩衝液でのDNA分析では鮮明な泳
動像を得ることができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、電気泳動用ポ
リアクリルアミドゲルの加水分解をある程度抑制し、核
酸の分離分析に汎用されている泳動用緩衝液とを使用し
て、長期間に渡って保存可能な電気泳動用ポリアクリル
アミドゲルを用いてDNAの鮮明な分離分析を可能にす
る点について解決すべき課題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
の課題を解決することであり、保存安定性に優れ、保管
有効期限が長い電気泳動ポリアクリルアミドゲルと、核
酸の分析方法として汎用されている泳動用緩衝液を使用
して行い、予め様々な分離特性を持つようにプレキャス
トゲルを量産することを可能にし、泳動時間が長期化せ
ず且つ鮮明な泳動像を得ることが可能なDNAの電気泳
動法を提供することである。
【0012】この発明は、上記の目的を達成するため、
以下のように構成されている。即ち、この発明は、下記
特徴をそれぞれ有するポリアクリルアミドプレキャスト
ゲルと泳動用緩衝液とを用いたDNAの電気泳動方法に
関する。 1)前記ポリアクリルアミドプレキャストゲルに含まれ
るゲル緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン、グリシンを必須とした一種以上の両性電解質、及
び一価の酸を含有し、pHが6.0〜7.5の範囲に調
整されている。 2)前記泳動用緩衝液は、トリス( ヒドロキシメチル)
アミノメタン、キレート剤、並びに酢酸、燐酸及び硼酸
のいずれか一つの酸を含有し、pHが7.8〜8.3の
範囲に調整されている。
【0013】このDNAの電気泳動法において、ゲル緩
衝液中にトリス、グリシンを含む一種又は二種以上の両
性電解質及び一価の酸を含有し、ゲル緩衝液のpHが特
定範囲である水溶液を用いて調製されたポリアクリルア
ミドゲルと、泳動用緩衝液中にトリス、キレート剤及び
酸を含有し、泳動用緩衝液のpHが特定範囲である水溶
液を用いており、ゲルpHが酸性領域に設定されるの
で、ポリアクリルアミドゲルの加水分解をある程度抑制
することが可能であり、冷蔵保存で6ヶ月以上安定であ
るという保存安定性が良好な電気泳動ゲルとなる。単
に、ゲルpHを低下させただけでは、泳動時間が長くな
ったり、泳動像が不鮮明になるので、グリシンを必須と
した一種以上の両性電解質を含有することにより、泳動
時間の短縮が図られ、泳動像が鮮明になる。また、予め
様々な分離特性を持つプレキャストゲルを量産すること
ができる。更に、核酸の電気泳動法として汎用されてい
る泳動用緩衝液が使用される。
【0014】このDNAの電気泳動方法において、前記
ゲル緩衝液に含有される前記両性電解質は、塩基解離定
数の範囲が8.3<pKb<9.6である分子内にカチ
オン性基とアニオン性基を同数有するアミノ酸を含有し
ている。また、前記ゲル緩衝液は、前記一価の酸として
塩酸又は酢酸の少なくとも一つを含有し、長期保存安定
性を目的としてpHが6.0〜6.5の範囲に調整され
ている。ゲル緩衝液のpHをこの範囲に設定することに
より、一層の長期保存安定性が得られる。更にまた、こ
のDNAの電気泳動法において、前記泳動用緩衝液は、
前記キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウムを含有し、前記酸として硼酸を含有している。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明によるDNAの電気泳動
法は、次に述べる特徴をそれぞれ有するポリアクリルア
ミドプレキャストゲルと泳動用緩衝液とを用いることを
特徴としている。ゲル緩衝液は、トリス、グリシンを含
む一種又は二種以上の両性電解質及び一価の酸を含有し
ており、好ましくは、ゲル緩衝液は、トリス、グリシ
ン、塩基解離定数の範囲が8.3<pKb<9.6であ
る分子内にカチオン性基とアニオン性基を同数有するア
ミノ酸及び一価の酸として塩酸及び酢酸を含有してい
る。
【0016】グリシンを含む一種又は二種以上の両性電
解質を含有していなければ、ゲル緩衝液のpHを酸性側
に設定することでトリスの中和率が高まり、泳動ゲル中
のトリス強酸部分とトリス弱酸部分の境界付近で電位勾
配の変化が非常に大きくなる。このため、境界付近に分
離対象が収斂しやすくなり、分画分子量範囲が非常に狭
くなる。また、泳動時間が非常に長くなるため、作業効
率上も好ましくない。
【0017】グリシンは、ゲル緩衝液のpHを下げて
も、泳動ゲル中のトリス強酸部分とトリス弱酸部分の境
界付近における電位勾配の変化を緩やかにするので、T
BEやオルンスタイン- デービスのゲル緩衝液を使用し
たゲルと同様の分画分子量範囲を持たせることができ
る。しかし、ゲル緩衝液のpHを酸性側にするほど、グ
リシン単独では電位勾配の変化を調節する力が十分でな
くなる。そこで、ゲル緩衝液中に、グリシンと塩基解離
定数の範囲が8.3<pKb<9.6である分子内にカ
チオン性基とアニオン性基を同数有するアミノ酸を共存
させることにより、より泳動ゲル中の電位勾配を緩やか
にすることが可能となる。
【0018】グリシンと共存させるアミノ酸のpKbの
範囲は、8.3<pKb<9.6であり、好ましくは
9.0<pKb<9.6である。アミノ酸のpKbの範
囲がpKb<8.3である場合、pKbがトリスよりも
低いことになるため、ゲル緩衝液のpHが変化し、 また
分画分子量範囲が大幅に広くなってしまう。pKb>
9.6の場合、アミノ酸のpKbがグリシンよりも高く
なってしまうため、 ゲル内の電位勾配の変化を緩やかに
する作用に寄与しない。9.0<pKb<9.6である
アミノ酸を使用すると、pKbの低いものから順に陽極
側に移動し、泳動ゲル内の電位勾配は緩やかなものとな
る。9.0<pKb<9.6であるアミノ酸としては、
セリン、トリプトファン、フェニルアラニン等がある
が、好ましくはセリンである。
【0019】更に、グリシンと共存させるアミノ酸は、
分子内にアニオン性基とカチオン性基を同数有するもの
が望ましい。pKbよりやや低いpHでは、全てのアニ
オン性基と全てのカチオン性基とが解離して電気的に中
性となり、pKbより高いpHでは、アニオン性基のみ
が解離しカチオン性基の解離が抑制されるため、負に帯
電する。このため、上記アミノ酸は、実質的に一価の弱
酸としての挙動を示し、疑似弱酸として使用することが
できる。予めゲル緩衝液中に疑似弱酸を添加しておくこ
とにより、泳動ゲル中のトリス弱酸部分の電気抵抗値が
低下し、 更に強酸根の存在下ではpHが低いため、 電気
的に中性であり電気伝導に寄与しない。
【0020】また、ゲル緩衝液のpHは、6.0〜7.
5、好ましくは6.0〜6.5である。ゲル緩衝液のp
Hが7.5より高い場合、ポリアクリルアミドゲルは経
時的に加水分解を受け、プレキャストゲルとしての保管
有効期限を長くもたせることができない。ゲル緩衝液の
pHが6.0より低い場合、ポリアクリルアミドゲルと
しての安定性は良好となるが、トリスの中和率が上がり
すぎて緩衝液としての機能が損なわれる。ゲル緩衝液の
pHは、プレキャストゲルに長期保存安定性を持たせる
ためアクリルアミド自体のpHに近づけることが望まし
い。
【0021】また、泳動用緩衝液は、トリス、キレート
剤と酢酸、燐酸及び硼酸のいずれか一つの酸を含有して
おり、含有する酸としては好ましくは硼酸である。ゲル
緩衝液のpHを6.0〜6.5の範囲に設定した場合、
オルンスタイン−デービスの泳動用緩衝液を使用すると
泳動像が不鮮明となり、DNAの分離分析を行うことが
できない。本発明で使用するTBEの組成は、0.08
92mol/lトリス、0.0890mol/l硼酸、
そして0.0025mol/lETAであり、pHは
8.3であることが望ましい。上記組成の緩衝液は核酸
の分離分析において広く使用されているTBEであるた
め、作業者が効率よく分析を行うことができ、短時間で
泳動が完了し、更に非常に鮮明な泳動像を得ることがで
きる。TAE又はTPEを使用してもDNAの分離分析
は可能であるが、泳動時間がかかりTBEに比べ分析効
率が悪くなる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実施例1 横幅12cm、縦10cmの長方形のガラス板と上部に
凹状の切り込みの入った同寸法のガラス板の間に、厚さ
1 mmのスペーサを挟んでガラスプレートを組み立て
る。アクリルアミド濃度10%(%T)、N,N′−メ
チレンビスアクリルアミド(以下BISと称す)濃度5
%(%C)、並びに表1に記載する濃度の緩衝液組成か
ら成るモノマー溶液に対し、 過硫酸アンモニウム( 以下
APSと称す) 400ppm及びテトラメチルエチレン
ジアミン(以下TEMEDと称す)400ppmを添加
混合後、プレート内に注入し、 常法で重合させ、電気泳
動用ポリアクリルアミドゲルを得た。
【0023】このポリアクリルアミドゲルを用いて分子
量既知の市販マーカーDNAを電気泳動し、 移動距離と
バンドの鮮明さを確認した。マーカーDNAは、30%
(w/v)ショ糖、着色する程度のブロムフェノールブ
ルー(以下BPBと称す)を含んだ10m mol/l
トリス、1 m mol/lETA、20m mol/l
塩化ナトリウム溶液を塩酸でpH7.9に調整した緩衝
液で100倍希釈して試験に使用した。泳動用緩衝液の
組成は、0.0892mol/lトリス、0.0890
mol/l硼酸、2.5m mol/lETAである。
【0024】電気泳動は200V定電圧で行い、上部電
極槽にBPBで着色した電極液を入れた。BPBの泳動
末端がスペーサの下端に来た時点で通電を中止した。染
色には、銀染色法が用いられた。泳動後のゲルを50%
(v/v)メタノール、5%(w/v)トリクロロ酢
酸、3.5%(w/v)スルホサリチル酸水溶液中で2
0分間浸透させてDNAを固定し、 その後、精製水で1
5分間の水洗を2回行った。その後、8%炭酸ナトリウ
ム水溶液と1%(w/v)けいタングステン酸、0.0
2%(w/v)硝酸銀、0.02%(w/v)硝酸アン
モニウム、0.28%(v/v)ホルムアルデヒド水溶
液を1:1の割合で混合させた液に浸透させ、染色し
た。 7分後にバンドが出現したため染色液を捨て、 1%
(v/v)酢酸に15分浸して停止させた。 その結果、
鮮明なDNAのバンドが検出された。
【0025】BPB泳動距離に対する各DNAフラグメ
ントの泳動距離の相対位置を移動度(下記の式で定義さ
れる)として表2に記載する。 移動度(%)=(ウェル下端から各バンドの位置までの
距離)/(ウェル下端からBPBの泳動末端までの距
離)×100 また、各ゲルの泳動時間を表3に記載する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0026】表1、表2、表3に示したように、ゲル緩
衝液のpHが6.3、6.8、7.5である各ポリアク
リルアミドゲルをTBEで泳動した場合、いずれも鮮明
な泳動像が得られ、 DNAフラグメントの移動度や、泳
動時間もほぼ同じであった。
【0027】比較例1 実施例1と同様のガラスプレートを用い、アクリルアミ
ド濃度10%(%T)、BIS濃度5%(%C)並びに
表4に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー溶液
に対し、 実施例1と同様に電気泳動用ポリアクリルアミ
ドゲルを製造した。このポリアクリルアミドゲルを用い
て分子量既知の市販マーカーDNAを電気泳動し、 移動
距離とバンドの鮮明さを確認した。泳動用緩衝液の組成
は0.025mol/lトリス、 0.192mol/l
グリシンであるオルンスタイン−デービスの泳動用緩衝
液を使用した。BPB泳動距離に対する各DNAフラグ
メントの泳動距離の比を移動度として表5に示す。また
泳動時間を表6に示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【0028】表4、表5及び表6に示したように、 ゲル
緩衝液のpHが6.3のポリアクリルアミドゲルをオル
ンスタイン- デービスの泳動用緩衝液を用いて泳動を行
うと、DNAのバンドが不鮮明で検出不可能であった。
そのため、本発明では、硼酸バッファ等が使用される。
【0029】実施例2 実施例1と同様のガラスプレートを用い、アクリルアミ
ド濃度10%(%T)、BIS濃度5%(%C)並びに
表7に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー溶液
に対し、 実施例1と同様に電気泳動用ポリアクリルアミ
ドゲルを製造した。このポリアクリルアミドゲルを5℃
下に保管し、 一定期間ごとに取り出して、実施例1と同
じTBEを使用してDNAの電気泳動を行った。電気泳
動は200V定電圧で行ない、50分経過した時点で泳
動を停止し、移動距離とバンドの鮮明さを確認した。そ
の結果を表8、表9及び表10に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0030】表8に示したようにゲル緩衝液のpHが
7.5のポリアクリルアミドゲルは、5℃下でも経時的
に加水分解を起こし、発生するアニオン基によってDN
Aの移動速度も遅くなる。6ヶ月以上経過したものに、
低分子のフラグメントが検出不可能となるものが現れ
た。また、表9に示したようにゲル緩衝液のpHが6.
8であるポリアクリルアミドゲルは、pH7.5の時に
比べて加水分解速度は低下するが、やはり5℃下で6ヶ
月も経過すると、DNAの移動速度に大きな変化が見ら
れた。それに比べて、表10に示したように、ゲル緩衝
液のpHが6.3であるポリアクリルアミドゲルは、5
℃下で7ヶ月経過してもDNAの移動度、泳動像に変化
が見られず安定であった。
【0031】実施例3 実施例2で作成した電気泳動ゲルについて、5℃下で一
定期間保存後、テンシロン万能試験機(株式会社オリエ
ンテック、型式U−2129) でガラスプレートを上下
に引っ張り、その引っ張り強度を測定した結果を表11
に示す。
【表11】
【0032】表11に示したように、ゲル緩衝液のpH
を下げることで、DNAの移動度や泳動像のみならず、
泳動ゲルの形状も安定に保つことができる。ポリアクリ
ルアミドゲルは加水分解すると膨潤し易くなりガラスプ
レートがずれ易くなる。ゲル緩衝液のpHが7.5の泳
動ゲル( 試料E) はガラスプレートをずらすのに必要な
力( 引っ張り強度) が5℃下2ヶ月後に約1/3となっ
た。それに対し,ゲル緩衝液のpHが6.8の泳動ゲル
( 試料F) は、5℃下6ヶ月後まで製造直後と同等の引
っ張り強度を示していた。それに対し、ゲル緩衝液のp
Hが6.3の泳動ゲル( 試料G) は、5℃下で12ヶ月
後も製造直後と同等の引っ張り強度を示していた。ゲル
緩衝液のpHが6.3の場合、アクリルアミド自体のp
Hに近いためpH6.8の時に比べて著しく加水分解速
度が減少する。その結果、5℃下で1年もの長期間泳動
ゲルの形状が安定に保たれる。
【0033】比較例2 実施例1と同様のガラスプレートを用い、アクリルアミ
ド濃度10%(%T)、BIS濃度5%(%C)並びに
表12に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー溶
液に対し、 実施例1と同様に電気泳動用ポリアクリルア
ミドゲルを製造した。製造した電気泳動ゲルについて、
5℃下で一定期間保存後、テンシロン万能試験機でガラ
スプレートを上下に引っ張り、その引っ張り強度を測定
した結果を表13に示す。
【表12】
【表13】
【0034】表12に示したように、ゲル緩衝液のpH
が8.8である泳動ゲルは、5℃下で1ケ月経過する
と、ガラスプレートをずらすのに必要な力が製造直後に
比べて1/2以下となった。ゲル緩衝液のpHが高いと
泳動ゲルの形状も安定に保つことができなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明によるDNAの電気泳動法は、長
期保存安定性を持つ電気泳動ポリアクリルアミドゲルと
核酸の電気泳動に汎用されている泳動用緩衝液を使用し
てDNAの鮮明な分離分析を行う方法に関するものであ
る。ゲルpHを酸性〜中性領域に設定すればポリアクリ
ルアミドゲルの加水分解をある程度抑制することが可能
であり、保存安定性が良好な電気泳動ゲルとなる。従っ
て、保管有効期限を長く設定することが可能となり、プ
レキャストゲルとして予め様々な分離特性を持つように
量産し、広範囲に供給することが可能となる。このよう
な電気泳動ポリアクリルアミドゲルと、核酸の電気泳動
法として公知であるTBEを使用してDNAの鮮明な分
離分析が可能であることから使用者が経済的かつ効率的
に分析を遂行することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 315G 325E

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記特徴をそれぞれ有するポリアクリル
    アミドプレキャストゲルと泳動用緩衝液とを用いたDN
    Aの電気泳動方法。 1)前記ポリアクリルアミドプレキャストゲルに含まれ
    るゲル緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
    タン、グリシンを必須とした一種以上の両性電解質、及
    び一価の酸を含有し、pHが6.0〜7.5の範囲に調
    整されている。 2)前記泳動用緩衝液は、トリス( ヒドロキシメチル)
    アミノメタン、キレート剤、並びに酢酸、燐酸及び硼酸
    のいずれか一つの酸を含有し、pHが7.8〜8.3の
    範囲に調整されている。
  2. 【請求項2】 前記ゲル緩衝液に含有される前記両性電
    解質は、塩基解離定数の範囲が8.3<pKb<9.6
    である分子内にカチオン性基とアニオン性基を同数有す
    るアミノ酸を含有していることから成る請求項1に記載
    のDNAの電気泳動方法。
  3. 【請求項3】 前記ゲル緩衝液は、前記一価の酸として
    塩酸又は酢酸の少なくとも一つを含有し、長期保存安定
    性を目的としてpHが6.0〜6.5の範囲に調整され
    ていることから成る請求項1に記載のDNAの電気泳動
    方法。
  4. 【請求項4】 前記泳動用緩衝液は、前記キレート剤と
    してエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含有し、前
    記酸として硼酸を含有することから成る請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のDNAの電気泳動方法。
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