JP2001241148A - 屋根材の接続構造 - Google Patents

屋根材の接続構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重ね接続部の内外の圧力差に起因する雨水の
浸入を効果的に防止して充分なシールを図る。 【解決手段】 軒棟方向に連続する谷部1と山部2とを
軒長さ方向に交互に形成して屋根材を形成する。軒側の
屋根材A1の棟側端部に棟側の屋根材A2の軒側端部を
重ねる屋根材の接続構造である。軒側の屋根材A1と棟
側の屋根材A2との重ね接続部3の軒側部に第1パッキ
ンP1を、重ね接続部3の軒棟方向の中間部に第2パッ
キンP2を、重ね接続部3の棟側部に第3パッキンP3
を各々重ね接続部3の軒長さ方向の全長にわたって設け
る。第1パッキンP1の谷部分に通気を兼ねた排水用開
口4を形成し、第2パッキンP2の山部分に通気口5を
形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、谷部と山部とを軒
長さ方向に交互に形成した屋根材の接続構造に関し、詳
しくは、パッキンを介装して重ね接続する場合の重ね接
続部の内外の圧力差に起因する雨水の浸入を効果的に防
止して充分なシールおこなおうとする技術に係るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、図6に示す特開平10−2459
41号公報のように、軒棟方向に連続する谷部1と山部
2とを軒長さ方向に交互に形成して屋根材を形成し、軒
側の屋根材A1の棟側端部に棟側の屋根材A2の軒側端
部を重ねる屋根材の接続構造においては、軒側の屋根材
A1と棟側の屋根材A2との重ね接続部3の軒側部に第
1パッキンPaを、重ね接続部3の棟側部に第2パッキ
ンPbを重ね接続部3の軒長さ方向の全長に設けるもの
である。
【0003】つまり、重ね接続部3の軒長さ方向の全長
にわたるとともに軒側部と棟側部との各々に紐状のパッ
キンPa、Pbを介装するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、重ね接続
部3の軒側及び棟側において紐状のパッキンPa、Pb
を介装する場合に、紐状のパンキンPa、Pbのいずれ
においても屋根材、特に、棟側の屋根材A2との間に微
少な隙間が生じやすく、紐状のパッキンPa、Pbの内
外における気圧の差に起因する雨水の吸込みによって、
容易に雨水がパッキンPa、Pbを越えて屋根裏に浸入
するという問題があった。
【0005】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、重ね接続部にパッキンを介装する場合のパ
ッキン内外の圧力差に起因する雨水の浸入を効果的に防
止して充分なシールを図ることができる屋根材の接続構
造を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1においては、軒
棟方向に連続する谷部1と山部2とを軒長さ方向に交互
に形成して屋根材を形成し、軒側の屋根材A1の棟側端
部に棟側の屋根材A2の軒側端部を重ねる屋根材の接続
構造であって、軒側の屋根材A1と棟側の屋根材A2と
の重ね接続部3の軒側部に第1パッキンP1を、重ね接
続部3の軒棟方向の中間部に第2パッキンP2を、重ね
接続部3の棟側部に第3パッキンP3を各々重ね接続部
3の軒長さ方向の全長にわたって設け、第1パッキンP
1の谷部分に通気を兼ねた排水用開口4を形成し、第2
パッキンP2の山部分に通気口5を、谷部分に通気を兼
ねた排水口6を形成していることを特徴とするものであ
る。
【0007】このような構成によれば、第1パッキンP
1の通気を兼ねた排水用開口4によって第1パッキンP
1の内外における気圧の差をなくし、第2パッキンP2
の山部分の通気口5及び谷部分の排水口6によって第2
パッキンP2の内外の気圧の差をなくし、結果として、
重ね接続部3の外部の気圧と第3パッキンP3以前の内
部の気圧との間に差が生じるのを防止して略等圧とする
のであり、重ね接続部3の内部に内外の気圧の差に起因
して吸込みによる雨水の浸入を防止することができ、つ
まり、負圧によるシール破壊を効果的に防止することが
でき、しかも、第1パッキンP1の通気を兼ねた排水用
開口4及び第2パッキンP2の谷部分に形成した通気を
兼ねた排水口6から第3パッキンP3側に浸入した雨水
は、排水口6及び排水用開口4から屋根勾配によって自
然に排水することができるのであり、このように、流入
した雨水は自然に排水することができるのであり、しか
して、重ね接続部3の内外の圧力差に起因する雨水の浸
入を効果的に防止して充分なシールを図ることができる
ものである。
【0008】請求項2においては、第2パッキンP2の
排水口6には、排水は許すが雨水の流入を阻止する逆止
弁7を設けていることを特徴とするものである。このよ
うな構成によれば、第2パッキンP2の排水口6からの
雨水の浸入を阻止することができ、雨水の吹込みを防止
することができる。
【0009】請求項3においては、逆止弁7は、排水口
6の軒側の上縁部において、弁板8の上端部を弁ケース
9に揺動自在に枢支していることを特徴とするものであ
る。このような構成によれば、逆止弁7は上端部におい
て揺動自在に吊下げられていて、屋根の勾配に起因して
僅かな開き状態になるのであり、このように自然状態で
は開いていることから、浸入した雨水の排水を良好にお
こなうことができながら、逆止弁7に浸入しようとする
風雨によって弁板8を揺動させて閉じることができ、雨
水の浸入を効果的に防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1は概略斜視図、図2は概略断面図、図3は概
略正面図、図4は逆止弁を示している。
【0011】金属製の屋根板10は、ロール成形にて角
波形状に曲げ加工され、このような屋根板10と平坦な
金属板11間に合成樹脂発泡層12を充填発泡させて屋
根材としての断熱屋根パネル13が構成されている。
【0012】断熱屋根パネル13の軒側端部の屋根板1
0の下面の合成樹脂発泡層12及び金属板11が除去さ
れて屋根板10の軒側端部が露出している。本発明は、
上述のような断熱屋根パネル13に実施したが、合成樹
脂発泡層12がない折板屋根材や、二重折板構造で上下
の折板間にロックウールや繊維状の通常の断熱材を充填
した構成の屋根材等に実施してもよいものである。
【0013】断熱屋根パネル13、13を棟軒方向に接
続するのに際して、図2及び図3に示すように、軒側と
棟側の断熱屋根パネル13、13を母屋14に載置し、
軒側の断熱屋根パネル13の棟側端部に棟側の断熱屋根
パネル13の軒側端部を重ねるのであり、このような重
ね接続部3の軒側部に第1パッキンP1を、重ね接続部
3の軒棟方向の中間部に第2パッキンP2を、重ね接続
部3の棟側部に第3パッキンP3を各々重ね接続部3の
軒長さ方向の全長にわたって敷設するのである。
【0014】ところで、第1パッキンP1の谷部分に通
気を兼ねた排水用開口4を形成している。第2パッキン
P2の山部分に通気口5を、谷部分に通気を兼ねた排水
口6を形成している。第3パッキンP3は全長において
均等なシールおこなうものである。このような第1パッ
キンP1乃至第3パッキンP3は、例えば、EPDM、
シリコンゴム、ウレタン、塩ビ等のスポンジ状パッキン
である。
【0015】このような構成によれば、第1パッキンP
1の通気を兼ねた排水用開口4によって第1パッキンP
1の内外における気圧の差をなくすのである。又、第2
パッキンP2の山部分の通気口5及び谷部分の排水口6
によって第2パッキンP2の内外の気圧の差をなくすの
である。このように、重ね接続部3の外部の気圧と第3
パッキンP3以前の内部の気圧との間に差が生じるのを
防止するのであり、重ね接続部3の内外の気圧の差に起
因する雨水の浸入を効果的に防止するのである。
【0016】ところで、このような構成においては、第
1パッキンP1の通気を兼ねた排水用開口4及び第2パ
ッキンP2の谷部分に形成した通気を兼ねた排水口6か
ら第3パッキンP3側に雨水が吹込みによって浸入する
のであり、浸入した雨水は、排水口6及び排水用開口4
から屋根勾配によって自然に排水することができるので
ある。このように、流入した雨水は自然に排水すること
ができるのであり、しかして、重ね接続部3の内外の圧
力差に起因する雨水の浸入を防止して充分なシールを図
るものである。
【0017】図1、図2及び図4に示すように、第2パ
ッキンP2の排水口6には、排水は許すが雨水の流入を
阻止する逆止弁7を設けている。逆止弁7は、排水口6
の軒側の上縁部において、弁板8の上端部を弁ケース9
に揺動自在に軸15にて枢支している。
【0018】このような構成によれば、逆止弁7によっ
て、第2パッキンP2の排水口6からの雨水の浸入を阻
止することができ、雨水の吹込みを防止することができ
るのである。更に、逆止弁7は、排水口6の軒側の上縁
部において、弁板8の上端部を弁ケース9に揺動自在に
枢支していることから、屋根の勾配に起因して僅かな開
き状態になるのであり、このように自然状態では開いて
いることから、浸入した雨水の排水を良好におこなうこ
とができながら、逆止弁7に浸入しようとする突発的な
風雨の吹込み力によって弁板8を揺動させて閉じること
ができ、雨水の浸入を効果的に防止することができるの
である。
【0019】ところで、第1パッキンP1乃至第3パッ
キンP3の配置、第1パッキンP1の谷部分に通気を兼
ねた設けた排水用開口4、第2パッキンP2の山部分に
形成した通気口5、谷部分に通気を兼ねて設けた排水口
6の各寸法は以下のように設定して重ね接続部3の外部
の圧力PXと内部の圧力PYとを等圧になるようにして
いる。
【0020】第1パッキンP1乃至第3パッキンP3は
材質、寸法が等しい同仕様のものであり、第1パッキン
P1の高さHA、第2パッキンP2の高さHB及び第3
パッキンP3の高さHCは1.5cm、幅Wは3.0c
mである。山部2と谷部3とのピッチLCは30cmで
ある。ところで、パッキンの高さHA、HB、HCと
は、自由状態のパッキンの高さを約6割程度圧縮して使
用する圧縮状態の高さを言う。
【0021】この場合、第3パッキンP3は重ね接続部
3の上下の金属板10、10に対して圧接しているが、
実際(ミクロ的)には、隙間が約0.05mm程度生じ
ている。このような隙間をなくすことは不可能であるこ
とから、隙間は残しながら隙間を雨水が越えることを防
止しようとするものである。
【0022】このため、第3パッキン3の1ピッチの上
下面における隙間面積Sに比べて第2パッキンP2と第
3パッキンP3との間の通路断面積S1、第1パッキン
P1と第2パッキンP2との間の通路断面積S2、第2
パッキンP2の山部2の通気口5の横断面積S3、第1
パッキンP1の谷部1の通気を兼ねた排水用開口4の横
断面積S4の各々が5〜7倍以上となるように設定した
ものである。
【0023】しかして、第1パッキンP1と第2パッキ
ンP2との間隔LAは7.5cm、第2パッキンP2と
第3パッキンP3との間隔LBは17.5cmとする。
第1パッキンP1の通気を兼ねた排水用開口4の幅WA
は5.0cmとする。第2パッキンP2の山部2の通気
口5の幅WBは2.0cmとする。山部2と谷部3との
ピッチLCは30cmとする。
【0024】従って、 S=2×LC×0.05mm=2×30cm×0.00
5cm=0.3cm2 S1=LB×HC=17.5cm×1.5cm=26.
25cm2 S2=LA×HB=7.5cm×1.5cm=11.2
5cm2 S3=WB×HB=2.0cm×1.5cm=3.0c
2 S4=WA×HA=5.0cm×1.5cm=7.5c
2 となり、等圧理論から、S1〜S4の何れもSの5倍以
上となる。つまり、S×5≪S1、S2、S3、S4
は、0.3×5≪3.0〜26.25より満足される。
【0025】ところで、逆止弁7の高さmは第2パッキ
ンP2の高さHBに等しく、長さnはパッキンの幅Wに
等しく、弁ケース9の厚さtは2mmである。
【0026】尚、本発明においては、軒側の屋根材A1
と棟側の屋根材A2との断面形状は、例えば、図5
(a)(b)(c)に示すように、一致していなくても
よいものである。そして、第1パッキンP1乃至第3パ
ッキンP3の断面形状は、軒側の屋根材A1と棟側の屋
根材A2とを重ねた形状になるものである。
【0027】
【発明の効果】請求項1においては、軒棟方向に連続す
る谷部と山部とを軒長さ方向に交互に形成して屋根材を
形成し、軒側の屋根材の棟側端部に棟側の屋根材の軒側
端部を重ねる屋根材の接続構造であって、軒側の屋根材
と棟側の屋根材との重ね接続部の軒側部に第1パッキン
を、重ね接続部の軒棟方向の中間部に第2パッキンを、
重ね接続部の棟側部に第3パッキンを各々重ね接続部の
軒長さ方向の全長にわたって設け、第1パッキンの谷部
分に通気を兼ねた排水用開口を形成し、第2パッキンの
山部分に通気口を、谷部分に通気を兼ねた排水口を形成
しているから、第1パッキンの通気を兼ねた排水用開口
によって第1パッキンの内外における気圧の差をなく
し、第2パッキンの山部分の通気口及び谷部分の排水口
によって第2パッキンの内外の気圧の差をなくし、結果
として、重ね接続部の外部の気圧と第3パッキン以前の
内部の気圧との間に差が生じるのを防止して略等圧とす
るのであり、重ね接続部の内部に内外の気圧の差に起因
して吸込みによる雨水の浸入を防止することができ、つ
まり、負圧によるシール破壊を効果的に防止することが
できのである。
【0028】しかも、第1パッキンの通気を兼ねた排水
用開口及び第2パッキンの谷部分に形成した通気を兼ね
た排水口から第3パッキン側に浸入した雨水は、排水口
及び排水用開口から屋根勾配によって自然に排水するこ
とができるのであり、このように、流入した雨水は自然
に排水することができるのである。
【0029】しかして、重ね接続部の内外の圧力差に起
因する雨水の浸入を効果的に防止して充分なシールを図
ることができるという利点がある。
【0030】請求項2においては、第2パッキンの排水
口には、排水は許すが雨水の流入を阻止する逆止弁を設
けているから、請求項1の効果に加えて、第2パッキン
の排水口からの雨水の浸入を阻止することができ、雨水
の吹込みを防止することができるという利点がある。
【0031】請求項3においては、逆止弁は、排水口の
軒側の上縁部において、弁板の上端部を弁ケースに揺動
自在に枢支しているから、請求項2の効果に加えて、逆
止弁は上端部において揺動自在に吊下げられていて、屋
根の勾配に起因して僅かな開き状態になるのであり、こ
のように自然状態では開いていることから、浸入した雨
水の排水を良好におこなうことができながら、逆止弁に
浸入しようとする風雨によって弁板を揺動させて閉じる
ことができ、雨水の浸入を効果的に防止することができ
るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概略斜視図であ
る。
【図2】同上の概略断面図である。
【図3】同上の軒長さ方向の正断面図である。
【図4】同上の逆止弁を示し、(a)は斜視図、(b)
は弁ケースの斜視図、(c)は作用示す説明図である。
【図5】同上の他の実施の形態を示し、(a)(b)
(c)は軒長さ方向の概略断面図である。
【図6】従来例の概略断面図である。
【符号の説明】
1 谷部 2 山部 3 重ね接続部 4 通気を兼ねた排水用開口 5 通気口 6 排水口 7 逆止弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軒棟方向に連続する谷部と山部とを軒長
    さ方向に交互に形成して屋根材を形成し、軒側の屋根材
    の棟側端部に棟側の屋根材の軒側端部を重ねる屋根材の
    接続構造であって、軒側の屋根材と棟側の屋根材との重
    ね接続部の軒側部に第1パッキンを、重ね接続部の軒棟
    方向の中間部に第2パッキンを、重ね接続部の棟側部に
    第3パッキンを各々重ね接続部の軒長さ方向の全長にわ
    たって設け、第1パッキンの谷部分に通気を兼ねた排水
    用開口を形成し、第2パッキンの山部分に通気口を形成
    するとともに谷部分に通気を兼ねた排水口を形成して成
    ることを特徴とする請求項1記載の屋根材の接続構造。
  2. 【請求項2】 第2パッキンの排水口には、排水は許す
    が雨水の流入を阻止する逆止弁を設けて成ることを特徴
    とする請求項1記載の屋根材の接続構造。
  3. 【請求項3】 逆止弁は、排水口の軒側の上縁部におい
    て、弁板の上端部を弁ケースに揺動自在に枢支して成る
    ことを特徴とする請求項2記載の屋根材の接続構造。
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