JP2001241064A - 作業車両のキャブ及びキャブ壁製造方法 - Google Patents

作業車両のキャブ及びキャブ壁製造方法

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JP2001241064A JP2000054538A JP2000054538A JP2001241064A JP 2001241064 A JP2001241064 A JP 2001241064A JP 2000054538 A JP2000054538 A JP 2000054538A JP 2000054538 A JP2000054538 A JP 2000054538A JP 2001241064 A JP2001241064 A JP 2001241064A
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喜三郎 鈴木
Yasushi Nakatsuji
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧ショベル等の作業車両において、簡単
な構成で騒音や振動の低減効果を得られる作業車両のキ
ャブ及びキャブ壁製造方法を提供を提供する。 【解決手段】 二重構造の壁を有する作業車両のキャ
ブ10において、二重構造壁11の内部に発泡材21,
23を発泡させて充填してなることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル等の
作業車両のキャブ及びキャブ壁製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧ショベル等の作業車両において、オ
ペレータの運転環境を向上するために、エンジンや油圧
ポンプ等の動力源が発する騒音や振動を低減することは
重要課題である。この騒音や振動を低減するために、作
業車両のキャブにおいては、キャブの壁面を二重構造に
することが一般的に行われている。しかしながら、運転
環境の更なる向上を要求される昨今においては、単にキ
ャブの壁面を二重構造にするだけでは騒音や振動の低減
は不十分となっている。
【0003】この課題を解決する先行技術として、例え
ば、特開平8−81976号公報に開示された技術が知
られており、図7は、同公報に記載されたキャブ側面断
面図である。すなわち、油圧ショベルのキャブ30は壁
面として、天井31と後面壁32と床33とを有してい
る。天井31の下方には、内壁34が天井31と間隔を
おいて設けられており、床33の上方及び後面壁32の
前方には、内壁35が床33の後方及び後面壁34と間
隔をおいて設けられている。この構造によりキャブ30
は、天井31と内壁34とにより遮音空間Aを、そし
て、後面壁32と床33と内壁35とにより遮音空間B
を形成し、かつ、内壁34,35を硬質吸音板と金属板
とにより構成することにより、キャブ30内の騒音を低
減している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述公
報記載の構成では、内壁34,35の構造が、間隔をお
いて配置された2枚の硬質吸音板と、硬質吸音板の間に
間隔をおいて配置された1枚の金属板とから構成されて
おり、構造が複雑でコストがかかってしまう。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するため、油
圧ショベル等の作業車両において、簡単な構成で騒音や
振動の低減効果を得られる作業車両のキャブ及びキャブ
壁製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、本発明は、二重構造の壁を有する
作業車両のキャブにおいて、二重構造壁の内部に発泡材
を発泡させて充填してなることを特徴としている。さら
に、上記二重構造壁を製造する際は、二重構造壁の内部
に未発泡の発泡材を収容し、壁の加熱を伴う製造工程中
に発泡材を発泡させて二重構造壁の内部に充填させるよ
うにしたことを特徴としている。
【0007】本発明によると、内部に発泡材を発泡充填
した二重構造壁という簡単な構成により、騒音や振動の
透過を低減できる作業車両のキャブを得ることができ
る。また、二重構造壁を製造する際は、二重構造壁の内
部に未発泡シート状態の発泡材を貼着し、加熱を伴う製
造工程(例えば、塗装工程)の加熱を利用して発泡させ
るという簡単な工程により、騒音や振動の透過を低減で
きる作業車両のキャブを得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明を
適用する油圧ショベルの側面図である。油圧ショベル
は、下部走行体2と、下部走行体2に対して旋回自在に
装着された上部旋回体4と、上部旋回体4の前部中央に
その基端部を上部旋回体4に対して揺動自在に装着され
た作業機6とを有している。上部旋回体4には、その前
部左側にキャブ10が装着されると共に、その後部にエ
ンジン、油圧ポンプ等からなる動力装置8が装着されて
いる。
【0009】図2は、本発明の第1実施形態を説明する
図である。キャブ10の後面壁11は、外側後面壁11
aと、この外側後面壁11aと所定間隔を隔てた内側後面
壁11bとを有する二重構造である。二重構造壁の内部
(外側後面壁11aと内側後面壁11bと左側壁12と右
側壁13と後部上側壁14と床15とに囲まれた部分)
は、複数列に充填された硬化型発泡材23により複数部
分に仕切られると共に、仕切られた部分にはそれぞれ軟
質型発泡材21が充填されている。軟質型発泡材21
は、加熱により膨張・発泡するゴム系の発泡充填材で、
吸音・遮音効果に優れている。硬化型発泡材23は、加
熱により発泡硬化して硬質発泡体となる熱硬化型高剛性
発泡充填材で、補強効果に優れている。軟質型発泡材2
1及び硬化型発泡材23(以後、発泡材21,23と呼
ぶ)は共に、未発泡状態ではシート形態にて取り扱われ
る。
【0010】二重構造壁の内部に発泡材21,23を充
填する工程を説明する。まず、発泡材21,23の未発
泡シートを所定形状に切断し、内側後壁面11bの内側
面の所定箇所に貼着する。つぎに、外側後面壁11aを
溶接し、二重構造を完成させる。つぎに、電着塗装を施
し、焼き付け乾燥のために炉で加熱する。この塗装工程
における加熱により、発泡材21,23の未発泡シート
は発泡し、二重構造壁の内部は発泡材21,23により
発泡充填される。発泡材21,23の発泡温度は、成分
により調整できるので、軟質型発泡材21は塗装工程の
例えば最高温度程度にて発泡するように調整し、硬化型
発泡材23は例えば前記最高温度より20℃程度低い温
度にて発泡するように調整しておく。これにより、加熱
による温度上昇に伴い、まず硬化型発泡材23が発泡し
始め、二重構造壁の内部に硬化型発泡材23による仕切
りを形成していく。その後、軟質型発泡材21が発泡し
始め、硬化型発泡材23により複数に仕切られた二重構
造壁の内部の空間を軟質型発泡材21で充填してしま
う。
【0011】二重構造壁の内部に、未発泡シート状態の
発泡材21,23を貼着し、塗装工程の加熱を利用して
発泡させるという簡単な構成と工程により、二重構造壁
の内部に発泡材21,23を充填することができる。ま
た、硬化型発泡材23は発泡完了した後は外側後面壁1
1a及び内側後面壁11bに固着し、リブとしての補強機
能により後面壁11の剛性を高める。これにより、吸音
効果に加え振動低減効果も向上し、騒音源であり振動源
である動力装置8に近いキャブ10の後面壁11からキ
ャブ10内部への騒音や振動の侵入を低減することが可
能となる。また、上記構造によれば、剛性を確保するた
めのプレス絞りが不要となり、また、板厚を薄くするこ
とも可能となるので、コスト低減や重量軽減の効果も得
られる。なお、硬化型発泡材23を省略して軟質型発泡
材21のみを二重構造壁の内部に充填しても、剛性の向
上効果は落ちるが、騒音や振動の低減効果を得ることは
できる。
【0012】図3は、軟質型発泡材21及び硬化型発泡
材23の図2の例での配置パターンである。水平方向に
硬化型発泡材23を略等間隔で3本配置し壁面を4つに
仕切ると共に、仕切られた部分にそれぞれ軟質型発泡材
21を配置している。発泡材21,23は発泡膨張する
ので、未発泡シート状態の発泡材21,23は、充填容
積に対応した大きさに切断されたものを配置すればよ
い。なお、仕切り機能と補強機能を有する硬化型発泡材
23の配置パターンは、上記に限定されず、例えば、図
4に示すように格子状に配置し、仕切られたそれぞれの
部分に軟質型発泡材21を配置するようにしてもよい。
【0013】図5は、本発明の第2実施形態として、ド
ア16に適用した例を示している。発泡材21,23の
発泡工程は第1実施例と同様であるので、発泡充填した
態様について説明する。ドア16は、一辺をヒンジ17
a,17bにより回動自在にキャブ10に装着されてお
り、他辺部の中央付近にドア16を閉じてロックするた
めのドアロック18を備えている。また、ドア16は二
重構造壁であるが、視界性向上のためドア面積の大半を
占める窓19a,19bを備えているため、ドア16の周
辺部は中空の柱形状の枠構造となっている。ドア16の
枠構造の内部は所定間隔をおいて硬化型発泡材23によ
り複数の節状に仕切られ、残りの部分にそれぞれ軟質型
発泡材21が充填されている。
【0014】ドア16を閉じてロックしたとき、キャブ
10との間のドアシール(図示せず)を均一に撓ませる
ために、ドア16の剛性は重要であるが、上記構造によ
ると、剛性を要求されるドア16の枠構造は、剛性の必
要な箇所の硬化型発泡材23による節状構造により剛性
を高めることができる。これにより、軟質型発泡材21
の吸音効果と共にドアシール部からの騒音の侵入を低減
することができる。
【0015】図6は、本発明の第3実施形態として、キ
ャブ10の右側壁13に適用した例を示している。発泡
材21,23の発泡工程は第1実施例と同様であるの
で、発泡充填した態様について説明する。キャブ10の
右側壁13は、外側右側壁13aと、この外側右側壁1
3aと所定間隔を隔てた内側右側壁13bとを有する二重
構造である。硬化型発泡材23が、右側壁13の二重構
造壁の内部を前後に仕切る形態で充填されている。そし
て、仕切られた後方側の二重構造壁の内部には軟質型発
泡材21が充填されている。
【0016】キャブ10の右側壁13の後部は、騒音源
であり振動源である動力装置8に近いが、上記構造によ
り充填された軟質型発泡材21の吸音効果により、キャ
ブ10の右側壁13の後部からの騒音及び振動の侵入を
低減することができる。また、上記構成によれば、硬化
型発泡材23が仕切りを形成し、その仕切りにより形成
された空間に軟質型発泡材21を充填することにより、
必要な範囲のみに軟質型発泡材21を充填することが可
能となる。なお、本実施形態においても、硬化型発泡材
23を補強のために所望の形状にて加えてもよい。
【0017】以上説明した実施形態においては、油圧シ
ョベルのキャブに適用した例にて説明したが、これに限
定するものではなく、騒音低減や振動低減が望まれる構
造物に本発明を適用するこも可能である。また、本発明
の二重構造壁は、ドア16の枠構造でも触れたように、
中空の柱形状のものも含む。
【0018】以上説明したように、本発明によれば、内
部に発泡材を発泡充填した二重構造壁という簡単な構成
により、騒音や振動の透過を低減できる作業車両のキャ
ブを得ることができる。また、二重構造壁の内部に、未
発泡シート状態の発泡材を貼着し、塗装工程の加熱を利
用して発泡させるという簡単な工程により、騒音や振動
の透過を低減できる作業車両のキャブを得ることができ
る。さらに、硬化型発泡材を併用して仕切りを設けるこ
とにより、壁面強度が向上するので、振動低減効果が向
上すると共に、剛性を確保するためのプレス絞りが不要
となり、また、板厚を薄くすることも可能となり、コス
ト低減や重量軽減の効果も得られる。また、硬化型発泡
材と軟質型発泡材とに発泡温度差を設けて、先に硬化型
発泡材を発泡させるので、確実に仕切りを形成でき、ま
た、種々の形状の構造物に対しても精度よく剛性補強が
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する油圧ショベルの側面図であ
る。
【図2】本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の発泡材の配置パターン
を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の別態様の発泡材の配置
パターンを示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す斜視図である。
【図7】従来技術のキャブの断面図である。
【符号の説明】
8…動力装置、10…キャブ、11…後面壁、12,1
3…側壁、16…ドア、21…軟質型発泡材、23…硬
化型発泡材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 国昭 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所中央研究所内 (72)発明者 中島 八郎 大阪府大阪市西淀川区御幣島1丁目6番27 号 株式会社タカハシワークス内 (72)発明者 鈴木 喜三郎 大阪府大阪市西淀川区御幣島1丁目6番27 号 株式会社タカハシワークス内 (72)発明者 中辻 裕史 大阪府大阪市西淀川区御幣島1丁目6番27 号 株式会社タカハシワークス内 Fターム(参考) 2D015 EA02 3D114 AA05 AA16 BA01 CA10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二重構造の壁を有する作業車両のキャブ
    において、 二重構造壁の内部に発泡材を発泡させて充填してなるこ
    とを特徴とする作業車両のキャブ。
  2. 【請求項2】 二重構造の壁を有する作業車両のキャブ
    の壁製造方法において、 二重構造壁の内部に未発泡の発泡材を収容し、壁の加熱
    を伴う製造工程中に発泡材を発泡させて二重構造壁の内
    部に充填させるようにしたことを特徴とする作業車両の
    キャブ壁製造方法。
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