JP2001240615A - 反応性液状ポリマー及びその製造方法 - Google Patents

反応性液状ポリマー及びその製造方法

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JP2001240615A
JP2001240615A JP2000054126A JP2000054126A JP2001240615A JP 2001240615 A JP2001240615 A JP 2001240615A JP 2000054126 A JP2000054126 A JP 2000054126A JP 2000054126 A JP2000054126 A JP 2000054126A JP 2001240615 A JP2001240615 A JP 2001240615A
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reactive liquid
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Masatoshi Yoshida
雅年 吉田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、新規な反応性液状ポリマー
を提供することであり、さらに詳細には従来公知の多官
能性重合性単量体が有していた欠点である、架橋の局在
化及び未反応物の残存を解決する、新規な反応性液状ポ
リマーを提供することである。また、その他の目的とし
ては、上記の新規な反応性液状ポリマーの好適な製造方
法を提供することである。 【解決手段】 少なくとも一分子中に2個以上の重合性
不飽和基を有する液状ポリマーであって、数平均分子量
が2,000以上、23゜Cにおける粘度が100Pa
・s以下、重合性不飽和基濃度が500〜10,000
g/molである反応性液状ポリマーが、上記課題を解
決することを見出した。また、本発明の反応性液状ポリ
マーを得る方法としては、重合性不飽和単量体(A)を
メルカプタン存在下にラジカル重合して得られる、数平
均分子量が2,000以上、且つ23゜Cにおける粘度が
100Pa・s以下の液状ポリマーに、反応性基を介し
て一分子中に2個以上の重合性不飽和基を導入すること
を特徴とする反応性液状ポリマーの製造方法を採用する
事が有用であった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の目的は、硬化性樹
脂、UVや光硬化用樹脂、架橋剤、樹脂改質剤などとし
て有用な重合性不飽和基を有する新規な反応性液状ポリ
マーを提供することに関する。また、その他の目的とし
ては、前述の新規な反応性液状ポリマーの簡便な製造方
法を提供することに関する。また、本発明の反応性液状
ポリマーを用いてなる硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、UV硬化用樹脂、架橋剤、樹脂改
質剤として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メタ)アクリ
レートに代表される多官能(メタ)アクリレート;ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン
ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールまた
はその水素添加物のジ(メタ)アクリレートなど比較的
分子量の高い二官能(メタ)アクリレートが知られてい
る。
【0003】ところが、多官能(メタ)アクリレート
は、プラスチックレンズのハードコートなどに利用され
るものの架橋密度が高すぎて変形に追随できず脆いとい
う欠点を有している。同じように、UVインキのバイン
ダーとして使用した場合も架橋密度が高すぎる欠点を有
している。これらの欠点を補う目的で、前述の比較的分
子量の高い二官能(メタ)アクリレートが併用される。
【0004】架橋剤として使用する場合、やはり従来の
多官能(メタ)アクリレートでは架橋密度の高い部分が
架橋されてできた架橋体中に局在化するため、伸びと強
度を両立させる目的や、均一な架橋体を形成する目的に
は好ましくなかった。この均一な状態とは、例えば、架
橋体の中で、架橋密度の高い部分と架橋密度の低い部分
の局在化が少ない状態である。
【0005】この場合、つまり、架橋剤としての多官能
アクリレートは、比較的分子量の高い二官能(メタ)ア
クリレートが好ましく利用される。しかしながら、二官
能性であるため二つの官能基が共に反応しなければ架橋
形態を取らせることができず、実用途で充分に架橋に寄
与している割合は少ないと考えられている。また、反応
率の低い段階では未反応の低分子成分として残存し物性
低下を引き起こすため、必ずしも満足できるものではな
かった。
【0006】ポリブタジエンジオールに不飽和基を導入
したものは、樹脂改質剤としても使用される。例えば、
不飽和ポリエステルに添加することで硬化物の強靭性が
向上する。しかしながら、熱変形温度が顕著に低下する
ため、その使用量には限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、新規
な反応性液状ポリマーを提供することにあり、さらに詳
細には例えば架橋剤用途として、従来公知の多官能アク
リレート等の多官能重合性単量体が有していた欠点であ
る、架橋の局在化、未反応物の残存を解決する事のでき
る新規な反応性液状ポリマーを提供することである。
【0008】本発明の他の課題は、上記の新規な反応性
液状ポリマーの製造方法を提供することである。また、
他の課題は、上記反応性液状ポリマーを用いてなる、各
種用途に適応できる硬化性樹脂組成物を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め本発明者らは鋭意研究の結果、数平均分子量が2,0
00以上、23゜Cにおける粘度が100Pa・s以下、
重合性不飽和基濃度が500〜10,000g/mol
及び少なくとも一分子中に2個以上の重合性不飽和基を
有する新規な反応性液状ポリマーが、上記の課題を解決
できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、数平均分子量を2,000以上
とすることで架橋点間距離を十分に離すことで架橋の局
在化を防止し、また23゜Cにおける粘度を100Pa
・s以下とすることで取扱い性や作業性を確保し、重合
性不飽和基濃度を500〜10,000g/molとす
ることで分子量からだけでなく反応性液状ポリマーが持
つ重合性不飽和基濃度の観点からも架橋の局在化を防止
する事が可能になった。また上記の反応性液状ポリマー
に一分子中に2個以上の重合性不飽和基を導入すること
で使用時に未反応重合性成分として残存する事を防止す
る事が可能となった。またより好ましくは、上記の反応
性液状ポリマーに一分子中に2個を超える重合性不飽和
基を導入することでさらに、硬化性が向上する。本発明
の新規な反応性液状ポリマーは、重合性不飽和単量体成
分(A)をメルカプタン存在下にラジカル重合して得ら
れる、数平均分子量が2,000以上且つ23゜Cにおけ
る粘度が100Pa・s以下の官能基を持つ液状ポリマ
ーに、該液状ポリマーが持つ官能基と反応しうる反応性
基を有する不飽和単量体を反応させ、その反応性基を介
して一分子中に2個以上の重合性不飽和基を導入する事
により合成する事ができる。
【0011】本発明の新規な反応性液状ポリマーは、重
合性不飽和単量体成分(A)をメルカプタン存在下にラ
ジカル重合して得られる、数平均分子量が2,000以
上且つ23゜Cにおける粘度が100Pa・s以下の官
能基を持つ液状ポリマーに、該液状ポリマーが持つ官能
基と反応しうる反応性基を有する不飽和単量体を反応さ
せ、好ましくは、その反応性基を介して一分子中に2個
を超える重合性不飽和基を導入する事により合成する事
ができる。
【0012】より好ましくは、例えばトリメルカプタン
等の多官能メルカプタン存在下に、上記重合性不飽和単
量体成分(A)をラジカル重合させる事により得られる
液状ポリマーを用いて本発明の反応性液状ポリマーを得
る事である。
【0013】本発明の反応性液状ポリマーの原料である
液状ポリマーの原料としての重合性不飽和単量体成分
(A)は、ラジカル重合するものであれば特に限定され
ない。例えば、エチレン、(メタ)アクリル酸、炭素数
1〜30のアルキル基またはシクロアルキル基またはアリ
ール基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)
アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニ
ルカルバゾール、塩化ビニル、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエンなどに代表されるビニル化合物
類;塩化ビニリデン、α−シアノアクリル酸エステル、
α−クロロアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチル
アクリル酸エステル及びその誘導体、イタコン酸、イタ
コン酸エステルなどに代表されるビニリデン化合物類;
フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステ
ル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸
ジエステル、ビニレンカーボネートなどに代表されるビ
ニレン化合物類;ブタジエン、クロロプレン、イソプレ
ンなどに代表されるジエン化合物類;アリルエステル
類、前記化合物類の水素の一部または全部がフッ素また
は重水素で置換された化合物類などを挙げることがで
き、これらの一種以上を使用することができる。
【0014】この中で本発明の反応性液状ポリマーが良
好な物性を持つためには、液状ポリマーの原料として
は、(メタ)アクリル酸エステル系の単量体を用いる事
が好ましい。より好ましくは、使用される全重合性単量
体成分中、50−99.9重量%が(メタ)アクリル酸
エステル系単量体である事が好ましく、60−99.9
重量%がより好ましい。より好ましくは、70−99.
5重量%である。さらに好ましくは、80−99.0重
量%である。この様に本発明の反応性液状ポリマーにあ
っては、アクリル系単量体を用いて重合した結果得られ
る液状ポリマーを原料にする事が好ましい。つまり、本
発明の反応性液状ポリマーにあっては、アクリル系の反
応性液状ポリマーである事が、耐水性や耐候性の点で好
ましい。
【0015】この際、得られるポリマーに常態で液状の
形態つまり具体的には、数平均分子量が2,000以上
でかつ23゜Cにおける粘度が100Pa・s以下のポリ
マーであるためには、炭素数4〜16のアルキル基又は
シクロアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル
を原料として使用して重合することが好ましく、より好
ましくは全重合性不飽和単量体成分(A)の60〜9
9.9重量%が、炭素数4〜16のアルキル基又はシクロ
アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを含ん
でなる単量体組成物であることが好ましい。より好まし
くは、この組成範囲が70〜99.5重量%である。よ
り好ましくは80〜99.0重量%である。
【0016】本発明の反応性液状ポリマーを合成するに
は、上記重合性不飽和単量体成分(A)として、カルボ
キシル基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、オ
キサゾリン基、アジリジニル基、シクロカーボネート
基、カルボン酸無水物基など、重合性不飽和基以外の官
能基を有する重合性単量体成分(以後単量体成分(B)
と呼ぶ)を一定量共重合する必要がある。
【0017】このような、重合性不飽和基以外の官能基
を有する重合性単量体成分(B)を用いて、重合を行い
液状ポリマーを製造する事で、本発明の反応性液状ポリ
マーの原料である液状ポリマーに反応性基を導入する事
ができる。そしてこの反応性基は、液状ポリマーに重合
性不飽和基を導入する際の反応性の官能基として利用さ
れる。具体的には、上記液状ポリマーが持つ官能基と反
応する事のできる官能基を有する不飽和単量体を液状ポ
リマーに反応させ、その反応性基を介して1分子中に2
個を以上の重合性不飽和基を液状ポリマーに導入する事
ができる。この製造方法を採用する事が、本発明の反応
性液状ポリマーを得る上で好ましい製造形態である。よ
り好ましくは、1分子中に2個を超える重合性不飽和基
を液状ポリマーに導入する事ができる。
【0018】本発明の反応性液状ポリマーの原料の液状
ポリマーにあっては、カルボキシル基、水酸基、イソシ
アネート基、エポキシ基、オキサゾリン基、アジリジニ
ル基、シクロカーボネート基、カルボン酸無水物基から
選択される少なくとも1種以上の官能基を有したポリマ
ーである事が好ましい。液状ポリマー100重量%に対
して、この官能基の量は、0.1〜40重量%が好まし
い。より好ましくは、0.5〜30重量%である。さら
に好ましくは1〜20重量%である。最も好ましくは1
〜10重量%である。後述の様に、単量体(B)成分の
量を調整して重合することでこの量の調整が可能であ
る。所望の目的で調整すればよい。
【0019】単量体成分(B)は重合性不飽和単量体成
分(A)として分類されるものであるが、液状ポリマー
に重合性不飽和基を導入するために使用されることか
ら、特に詳細に記述する。本発明で使用できる、単量体
成分(B)としては、例えば(メタ)アクリル酸、フマ
ル酸、フマル酸のハーフエステル、マレイン酸、マレイ
ン酸のハーフエステル、イタコン酸、イタコン酸のハー
フエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トと酸無水物のハーフエステル、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートと酸無水物のハーフエステルなど
の水酸基含有単量体と酸無水物のハーフエステルなどに
代表されるカルボキシル基含有重合性不飽和単量体類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール
モノ(メタ)アクリレートなどに代表される水酸基含有
重合性不飽和単量体類;イソシアネートエチル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリルイソシアネート、水酸
基含有重合性不飽和単量体とジイソシアネート化合物の
1:1反応物などに代表されるイソシアネート基含有重
合性不飽和単量体類;グリシジル(メタ)アクリレー
ト、アリルグリシジルエ−テル、カルボキシル基含有重
合性不飽和単量体とジエポキシ化合物の1:1反応物な
どに代表されるエポキシ基含有重合性不飽和単量体類;
イソプロペニルオキサゾリン、カルボキシル基含有重合
性不飽和単量体とジオキサゾリン化合物の1:1反応物
などに代表されるオキサゾリン基含有重合性不飽和単量
体類;アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸ビニ
ルのエチレンイミンマイケル付加物などに代表されるア
ジリジニル基含有重合性不飽和単量体類;エポキシ基含
有重合性不飽和単量体のエポキシ基に二酸化炭素を反応
させたエチレンカーボネートなどに代表されるシクロカ
ーボネート基含有重合性不飽和単量体類などが挙げら
れ、これらの一種以上を使用する事ができる。好ましい
使用量は0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜3
0重量%、さらに好ましくは1〜20重量%で最も好ま
しくは1〜10重量%である。0.1重量%よりも少ない
量では得られる反応性液状ポリマーの重合性不飽和基濃
度を500〜10,000g/molとすることが難し
く、40重量%を越えて使用すると、得られる反応性液
状ポリマーのもう一つの重要な物性である23℃におけ
る粘度が100Pa・sを越えてしまう可能性がある。
【0020】また、本発明の反応性液状ポリマーの重合
性不飽和基濃度は、特に限定されるものではないが、よ
り好ましくは、600〜8,000g/molである。
さらに好ましくは、700〜7,000g/molであ
る。反応性液状ポリマーの用途、使用形態で決める事が
可能である。また、上記の23℃における粘度である
が、より好ましくは、90Pa・s以下である。その下
限は、用途により設定することが可能である。下限値は
特に限定されないが、例えば0.1Pa・s以上であ
る。
【0021】重合性不飽和単量体(A)を重合する方法
としては、従来公知の乳化重合方法、懸濁重合方法、溶
液重合方法、塊状重合方法のいずれでも行うことができ
る。なかでも、溶液重合方法及び塊状重合方法が好まし
く、全重合性成分に対して、40重量%以下の溶剤を使用
する高濃度溶液重合がより好ましく、特に塊状重合方法
が好ましい。
【0022】本発明の反応性液状ポリマーは23℃にお
ける粘度が100Pa・s以下であるためその取扱性に
優れており、溶剤を含まない形態で流通される場合もあ
る。重合性不飽和単量体成分(A)以外の重合しない成
分存在下、つまりトルエン等の溶媒下の溶液重合で重合
を行った場合は、当該成分を除去する工程を必要とす
る。例えば溶液重合では溶媒を除去する工程が必要とな
る。その点、塊状重合であれば除去しなければならない
成分を含まないため、好ましい。このようにして得られ
た所望の官能基が導入された液状ポリマーに、この導入
された液状ポリマーが持つ官能基と反応する事のできる
単量体(B)由来の官能基を介して重合性不飽和基を導
入することにより、本発明の反応性液状ポリマーを製造
する。
【0023】本発明の製造方法で使用されるメルカプタ
ン化合物は、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタ
ン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ド
デシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコー
ル酸のエステル、チオプロピオン酸、チオプロピオン酸
のエステル、チオサリチル酸、チオサリチル酸のエステ
ル、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタンなど
に代表されるモノメルカプタン類;エチレンジチオー
ル、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールのよ
うなジオールとカルボキシル基含有メルカプタンのジエ
ステル化物に代表されるジメルカプタン類;チオグリセ
リン、等である。これらのメルカプタン化合物の1種以
上を使用する事ができる。
【0024】また、以下に示すメルカプト基3個以上有
している多価メルカプタンを使用する事が好ましい。具
体的には、トリメチロールプロパンとカルボキシル基含
有メルカプタンのトリエステル化物などに代表されるト
リメルカプタン類;ペンタエリスリトールとカルボキシ
ル基含有メルカプタンのテトラメルカプタン化物に代表
されるテトラメルカプタン類;ジペンタエリスリトール
とカルボキシル基含有メルカプタンのヘキサエステル化
物などに代表されるヘキサメルカプタン類;ポリエポキ
シ化合物に硫化水素を反応させたポリメルカプタン類;
ポリカルボキシ化合物にメルカプトエタノールを反応さ
せたポリメルカプタン類などが挙げられ、分子量調整の
目的に合せて適当量が使用される。これらメルカプタン
化合物の使用量は、重合用単量体組成物の合計量100
重量%に対して、好ましくは0.1〜30重量%、より好
ましくは1〜10重量%である。
【0025】また、本発明の反応性液状ポリマーの原料
である液状ポリマーを製造するにあたり、上記の多価メ
ルカプタンを使用することで、重合してできた液状ポリ
マーが分岐構造をとる液状ポリマーが得られる。これを
原料にして重合性不飽和基を導入することにより、最終
的に得られる反応性液状ポリマーの粘度の低下効果が期
待できるので、本発明の反応性液状ポリマーを得る上で
好ましい形態である。
【0026】また、本発明の反応性液状ポリマーの構造
としては、これらメルカプタン化合物の中で多価メルカ
プタンを重合時に使用して、単量体成分を重合した結果
得られる星型構造を持つ液状ポリマーを原料にした、星
型構造を持つ反応性液状ポリマーである事が好ましい。
【0027】上記の星型構造とは、例えば、具体的に
は、上記多価メルカプタンの各メルカプタン元素を重合
の開始点として、上記単量体成分の重合が開始する事に
よって得られる構造である。具体的には、本発明の製造
方法で用いる単量体成分を重合して得られる鎖部分が多
価メルカプタンのメルカプト基の水素を除いた残基を中
心にして星型に延びた構造の事を示している。
【0028】本発明の反応性液状ポリマーの構造として
は、この星型構造を取る事により、各種の良好な物性を
持ちかつ、低い粘度を合わせ持つ反応性液状ポリマーが
得られるので、好ましい実施形態である。
【0029】また本発明の反応性液状ポリマーの構造と
してより好ましくは、星型ブロック構造である。また、
より好ましくは、トリメルカプタンよりメルカプト元素
が多い多価メルカプタン化合物を用いて得られたさらに
複雑な構造の星型構造である事が好ましい。勿論これら
列記したメルカプタン類から選択される少なくとも1以
上のメルカプタン類を使用する事ができる。
【0030】本発明の製造方法で使用されるラジカル重
合開始剤は、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロ二トリル、2,2'−アゾビス(2,4,
−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブ
チロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1
−カーボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4,4−ト
リメチルペンタン)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−
メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シア
ノバレリックアシッド)、2,2'−アゾビス(2−ヒド
ロキシメチルプロピオネート)、ポリアゾ化合物などに
代表されるアゾ化合物類;イソブチリルパーオキサイ
ド、クミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイ
ド、ラウリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルネオ
デカノエート、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム、過酸化水素、ポリ過酸化物などに代
表されるパーオキサイド類;パーオキサイドと金属、パ
ーオキサイドとアミンなどに代表されるレドックス開始
剤類;ジアセチル、ベンゾインに代表される光開始剤;
テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウ
ラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィ
ド、ベンジルジエチルジチオカーバメートなどに代表さ
れるチオカーバメート類、TEMPO誘導体類、金属化合物
/アルキルハロゲン化合物などが挙げられ、これらの一
種以上を使用することができる。
【0031】重合温度は、0〜200℃、好ましくは50〜15
0℃、より好ましくは70〜130℃である。重合温度が100
〜150℃の間ではメルカプタンによる重合が自発的に、
しかも適度な速度で進行するため重合開始剤は不要の場
合もある。特に塊状重合する場合採用できる好ましい形
態である。
【0032】得られた所望の単量体(B)由来の官能基
を持つ液状ポリマーに、該液状ポリマーが持つ官能基と
反応することのできる官能基を介して重合性不飽和基を
導入して反応性液状ポリマーを合成する方法としては、
例えば、重合開始剤を十分に消費させた後及び/又は重
合禁止剤を添加して、液状ポリマーが有する単量体
(B)由来の官能基が、カルボキシル基である場合は水
酸基含有重合性不飽和単量体、エポキシ基含有重合性不
飽和単量体、オキサゾリン基含有重合性不飽和単量体、
アジリジニル基含有重合性不飽和単量体及びシクロカー
ボネート基含有重合性不飽和単量体などを50〜150℃加
熱下反応させることにより、重合性不飽和基を導入す
る。
【0033】また同様にして、単量体(B)由来の官能
基が水酸基である場合は、例えば、カルボキシル基含有
重合性不飽和単量体、イソシアネート基含有重合性不飽
和単量体及びシクロカーボネート基含有重合性不飽和単
量体を反応させる。同様に、液状ポリマーに導入した単
量体(B)由来の官能基と反応性を有する官能基含有重
合性不飽和単量体を様々な組み合わせで50〜150℃加熱
下反応させることで重合性不飽和基を導入し、反応性液
状ポリマーを得ことができる。
【0034】また、本発明の反応性液状ポリマーの製造
方法として、上記の塊状重合形態を採用するために、原
料である液状ポリマーを得るにあたり、所望の粘度にな
る様に単量体成分を選択することが好ましい。具体的に
は、炭素数4〜16のアルキル基又はシクロアルキル基
を有するアクリル酸エステルを、60〜99.9重量%
含有する単量体成分を重合することで得られた、23℃
における粘度が上記の値以下の液状ポリマーを使用する
ことが好ましい。この様な塊状重合形態を採用すること
で、例えば、トルエン等の反応溶媒である揮発性成分が
含まれない状態、つまり低臭気性の反応性液状ポリマー
を得ることができる。スチレンやアクリレートの様な揮
発性単量体を含有していないので、硬化時、モノマーの
揮発や泡立ち等の問題も発生しない様な反応性液状ポリ
マーを製造することが可能となる。本発明の反応性液状
ポリマーの好ましい1形態である。
【0035】このようにして得られた反応性液状ポリマ
ーは、熱および/または光硬化用樹脂、UV硬化用樹脂、
架橋剤、樹脂改質剤などとして有用なものである。具体
的には、本発明の反応性液状ポリマーは、さらに以下に
列記されるラジカル重合開始剤(パーオキサイド等の熱
ラジカル重合開始剤でも、ジアセチル、ベンゾイン等に
代表される光重合開始剤であってもよい。)を配合、あ
るいは用いる事で硬化性樹脂組成物として用いる事がで
きる。またさらに充填剤やガラス繊維や顔料等を配合、
あるいは用いる事により、各種用途に適合できる成形材
料も製造する事ができる。
【0036】本発明の硬化性樹脂組成物で使用されるラ
ジカル重合開始剤は、2,2'−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロ二トリル、2,2'−アゾビス
(2,4,−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビ
スイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキ
サン−1−カーボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,
4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2'−アゾ
ビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス
(4−シアノバレリックアシッド)、2,2'−アゾビス
(2−ヒドロキシメチルプロピオネート)、ポリアゾ化
合物などに代表されるアゾ化合物類;イソブチリルパー
オキサイド、クミルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キサイド、ラウリルパーオキサイド、サクシニックアシ
ッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルネオデカノエート、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ポリ過酸化物な
どに代表されるパーオキサイド類;パーオキサイドと金
属や、パーオキサイドとアミンなどに代表されるレドッ
クス開始剤類;ジアセチル、ベンゾインに代表される光
開始剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエ
チルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジス
ルフィド、ベンジルジエチルジチオカーバメートなどに
代表されるチオカーバメート類、TEMPO誘導体類、金属
化合物/アルキルハロゲン化合物などが挙げられ、これ
らの一種以上を使用することができる。これらの添加量
は、例えば、硬化性樹脂組成物100重量%に対して、
0.1〜5重量%である。
【0037】また、硬化性組成物の所望の目的や、また
使用時の硬化形態により、パーオキサイドの様な熱ラジ
カル重合開始剤とベンゾイン等の光重合開始剤を併用す
る事もできる。
【0038】本発明の硬化性樹脂組成物中の、本発明の
反応性液状ポリマーの含有量は、特に限定しないが、た
とえば、本発明の硬化性樹脂組成物を100重量%とし
た場合、20−100重量%より好ましくは、30−1
00重量%である。硬化に支障がなければ、他の添加剤
例えば、カップリング剤、顔料、等の添加剤を配合する
事ができる。これら添加剤の配合量は特に限定されるも
のではない。またさらに充填剤や繊維(ガラス繊維や金
属繊維や有機繊維等、繊維の種類は限定しないが、)を
配合して、各種成形材料とすることもできる。また、他
の硬化性の樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂やポリ
エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アク
リレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の所望の割
合で配合することもできる。また、スチレン等の反応性
溶媒が配合されていてもかまわない。
【0039】使用形態により、事前に各種添加剤や重合
開始剤を配合する事もできるし、硬化直前に配合する事
もできる。
【0040】特に本発明の硬化性組成物においては、反
応性液状ポリマーが好ましくは星型ブロック構造という
特殊な構造を有しているので、反応性液状ポリマー自体
が分子量の高い割には低粘度であり、かつ反応性が高
い。また得られた硬化性樹脂を硬化して得た、硬化物の
脆さもなく非常に良好な組成物となる。
【0041】また、本発明の硬化性樹脂組成物は必要に
応じて、さらに架橋性モノマーを配合して強度物性を改
良する事も可能である。この場合、硬化性樹脂組成物1
00重量%に対して、架橋性モノマーの配合量は、0.
5から20重量%が好ましい。架橋性モノマーの量が多
いと、本発明の反応性液状ポリマーが持つ柔らかい物性
が出難くなり、その硬化物がもろくなる場合がある。よ
り好ましくは、1から10重量%である。
【0042】上記架橋性モノマーとしては、特に限定さ
れるものではないが、例えば以下の、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート等の多官能(メタ)アクリレート;エポキシ(メ
タ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられるこの
中から選択される少なくとも1種の架橋剤を使用でき
る。また、上記の架橋性単量体の添加量は、その種類や
本発明の反応性液状重合体との組み合わせ、あるいは用
途や所望される物性等に応じて設定すればよく、特に限
定されるものではない。また、これら架橋性モノマーは
概して沸点が高く、組成物とした配合して場合でも、十
分に良好な低臭気の硬化性樹脂組成物とする事ができ
る。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定される
ものではない。
【0044】(実施例1)撹拌装置、窒素導入管、温度
計、冷却管を備えた2,000mlのフラスコに酢酸エチル200
部を仕込み、窒素置換しながら沸点まで昇温した。ここ
に、予め容易しておいたアクリル酸ブチル(BA)460
部、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)460部及びアク
リル酸(AA)72部からなる重合性不飽和単量体(A)混合
物の20重量%をフラスコに投入した。続いて、ペンタ
エリスリトールテトラキスチオグリコレート95.2部、
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.25部及び酢酸エ
チル100部からなる開始剤溶液の20重量%を投入して
重合を開始した。
【0045】重合開始30分後、重合性単量体混合物及
び開始剤溶液の滴下を開始し、2.5時間かけて滴下を
終了した。2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.0
部及び酢酸エチル10部からなるブースターを2分割し、
滴下終了後30分、60分にそれぞれ投入し、90分間
熟成を行った。
【0046】このようにして得られた液状ポリマー溶液
の不揮発濃度は77.2重量%で重合率98.5%、数
平均分子量(Mn)3,800、重量平均分子量(M
w)5,700、分子量分布(Mw/Mn)1.50
で、分子量分布の狭いものであった。
【0047】続いて、溶剤の除去を行うため加熱を続け
て揮発成分を除去した。溶剤除去開始90分後内温が1
31℃に達し、不揮発分濃度は99.8%であった。
【0048】内温を90℃まで冷却し、重合禁止剤であ
るトパノール0.373部、メタクリル酸グリシジル1
42部、反応触媒であるベンジルトリブチルアンモニウ
ムクロライド2.86部を投入し8時間反応させて、液
状ポリマーのカルボキシル基とメタクリル酸グリシジル
のエポキシ基を介して重合性不飽和基であるメタクリル
酸エステル基が導入された、反応性液状ポリマー(1)
を得た。
【0049】得られた反応性液状ポリマー(1)は、M
n=4,200、Mw=7,000、Mw/Mn=1.
65、重合性不飽和基濃度1,530g/mol、23
℃での粘度17,500cpsであった。重合性不飽和
基濃度は、液状ポリマーのカルボキシル基がメタクリル
酸グリシジルと反応して酸価が変化するのを追跡するこ
とにより求められた。又、一分子中の平均重合性不飽和
基は、数平均分子量/重合性不飽和基濃度=4,200
/ 1,530=2.75として算出された。(実施例2) メルカプタンの種類を変えた以外は実施例
1と同じ手法で反応性液状ポリマー(2)を得た。使用
したメルカプタンは同モル量(0.22mol)であるが、
実施例1が4価のメルカプタンであるのに対して、実施
例2は1価のメルカプタンである点で異なり、その影響
から得られた反応性液状ポリマーの粘度は1/2倍程度
実施例1の方が小さくなっている。これは、分岐構造に
よる粘度低下効果を表わすもので、同分子量であれば直
鎖の反応性液状ポリマーよりも分岐の反応性液状ポリマ
ーの方が低粘度で扱えるため、作業性に優れていること
が分かった。
【0050】(実施例3)実施例1と同様の方法により
液状ポリマーを合成し、液状ポリマーの水酸基及びカル
ボキシル基にイソシアネート基含有重合性不飽和単量体
であるイソシアネートエチルメタクリレートを反応させ
た。
【0051】反応はジブチル錫ジラウレートを触媒と
し、80℃の温度で反応させた。反応は、ガスクロでイ
ソシアネートエチルメタクリレートを追跡することによ
り確認した。得られた反応性液状ポリマー(3)の性状
を表1に示した。
【0052】(実施例4)実施例1と同様の装置に、予
め重合性不飽和単量体(A)にメルカプタンを溶解させ
た混合液の50%を投入し、110℃まで加熱した。1
0分後発熱が確認され、重合の開始が認められた。ここ
に、残りの混合液を2時間かけて滴下しながら重合を進
めた。滴下終了後140℃まで昇温し、2時間熟成を行
った。不揮発分濃度は、99.1%であった。重合開始
剤を使用していないので、急激な発熱なく塊状重合する
ことができただけでなく、揮発成分を除去する余分な工
程を省略することができた。
【0053】得られた液状ポリマーのオキサゾリン基及
びアジリジニル基にカルボキシル基含有重合性不飽和単
量体を反応させた。反応は、メタクリル酸のガスクロ及
び酸価測定で追跡することで確認した。得られた反応性
液状ポリマー(4)の性状を表.1に示した。
【0054】(実施例5)実施例1と同様の装置に、予
め重合性不飽和単量体(A)にメルカプタンを溶解させ
た混合液の50%を投入し、110℃まで加熱した。1
0分後発熱が確認され、重合の開始が認められた。ここ
に、残りの混合液を2時間かけて滴下しながら重合を進
めた。
【0055】滴下終了後140℃まで昇温し、2時間熟
成を行った。不揮発分濃度は、98.5%であった。重
合開始剤を使用していないので、急激な発熱なく塊状重
合することができただけでなく、揮発成分を除去する余
分な工程を省略することができた。
【0056】得られた液状ポリマーのグリシジル基にカ
ルボキシル基含有重合性不飽和単量体を反応させた。反
応は、メタクリル酸のガスクロ及び酸価測定により確認
した。得られた反応性液状ポリマー(5)の性状を表.
1に示した。
【0057】(比較例1)メルカプタンの量を十分の一
とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、比較
用反応性ポリマー(1')を得た。詳細な性状は、表.
2に示す。当該ポリマーは、粘度測定ができないほど高
粘度であるため取扱い作業性に劣っていた。
【0058】(比較例2)重合性不飽和単量体(A)を
表.2に示すものに変更した以外は、実施例2と同じ操
作を行い比較用反応性ポリマー(2')を得た。詳しい
性状は、表.2に示した。当該ポリマーは、炭素数4〜
16のアルキル基及び/又はシクロアルキル基からなる
アクリル酸エステルの割合が少ないためか、粘度が非常
に高いものであった。
【0059】(比較例3)重合性不飽和単量体(A)を
表.2に示すものに変更して、実施例1と同じ操作を行
い比較用反応性ポリマー(3')を得た。詳しい性状
は、表.2に示した。
【0060】以下、本発明の反応性液状ポリマーと重合
開始剤を配合してなる硬化性樹脂組成物の1実施形態を
示す。当該比較用反応性ポリマー(3')100部に対
して、重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル0.5部を溶解し、2枚のガラス板と3mmのスペーサ
ーで作成した型枠に注入して、60゜Cの恒温槽で8時
間硬化させた。同様に、実施例1で得られた反応性液状
ポリマー(1)を硬化させて強度比較を行ったところ、
当該比較用反応性ポリマーは重合性不飽和基濃度が38
0g/molと高いため架橋密度が大きく、該比較用反
応性ポリマーを配合してなる硬化性樹脂組成物の硬化物
は、非常に脆い硬化物であった。
【0061】一方、反応性液状ポリマー(1)は適度な
柔らかさを有しており、その反応性液状ポリマー(1)
を配合してなる硬化性樹脂組成物の硬化物は、我々の目
的とした硬化物性であった。これにより、本発明の硬化
性樹脂組成物は良好な実施形態である事が示される。
【0062】また、上記と同様な2種類の硬化性樹脂組
成物100部に対し、架橋剤であるトリメチロールプロ
パントリメタクリレートを5部配合した硬化性樹脂組成
物を作成した。その硬化性樹脂組成物を上記と同様な硬
化条件にて硬化させた。
【0063】その結果、反応性液状ポリマー(1)を配
合してなる硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度が高くなっ
た。しかし、脆くはならなかった。かつ同様に強度比較
を行ったが、その架橋剤を配合した硬化性樹脂組成物の
硬化物は、比較用反応性ポリマーを用いた硬化性樹脂組
成物の硬化物よりも靭性が付与されており、軟らかさと
適度な硬度を兼ね備えた良好な物性の硬化物が得られ
た。当該比較用反応性ポリマー(3')が配合された硬
化性樹脂組成物に、上記の架橋剤を配合した例は、さら
にその硬化物が硬く、かつもろくなった。
【0064】また反応性液状ポリマー(1)に、さらに
充填剤として水酸化アルミを30部配合し、上記と同じ
重合開始剤を配合して重合性組成物を製造し、今度は1
5mmのスペーサーの注型枠に注型し、同様な硬化温度
にて硬化させた。この充填剤が配合された硬化性樹脂組
成物も良好な硬化性を示した。
【0065】(比較例4)メルカプタンを使用しない以
外は実施例4と同じ操作を行い、比較用反応性ポリマー
(4')の合成を試みた。
【0066】比較例4では塊状重合を試みたが、重合の
開始とともに急激な温度上昇が認められ、30分後には
ゲル化のため巻き上がりが認められた。結果として、メ
ルカプタン不在下での塊状重合は不可能であることが分
かった。
【0067】実施例1から5の重合体の組成と製造条
件、得られた反応性液状ポリマーの物性をまとめて表.
1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】以下に同様に、表2に比較例1から4の結
果を示す。
【0070】
【表2】
【0071】なお、表1と表2中にある略号は、 LTA;ラウリル・トリデシルアクリレート 2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート BA;ブチルアクリレート MMA;メチルメタクリレート ST;スチレン AA;アクリル酸 HEA;ヒドロキシエチルアクリレート GMA;グリシジルメタクリレート IPO;イソプロペニルオキサゾリン MAZ;アジリジニルエチルメタクリレート PETG;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコ
レート TGO;オクチルチオグリコレート DM;ドデシルメルカプタン AIBN;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル MAA;メタクリル酸 IEM;イソシアネートエチルメタクリレート BBAC;ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド DTDL;ジブチル錫ジラウレート 粘度;23゜CにおけるB型粘度計による溶液粘度
(Pa・S) 濃度;重合性不飽和基濃度(g/mol) 個数;ポリマー1分子当たりの重合性不飽和基の平均個
数=数平均分子量/重合性不飽 和基濃度 である。
【0072】
【発明の効果】以下まとめると、本発明の構成は以下で
ある。
【0073】本発明の反応性液状ポリマーは、少なくと
も一分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する液状ポ
リマーであり、その液状ポリマーの数平均分子量が2,
000以上、23゜Cにおける粘度が100Pa・s以
下、重合性不飽和基濃度が500〜10,000g/m
ol及びことを特徴として持っている。より好ましく
は、本発明の反応性液状ポリマーは、少なくとも一分子
中に2個を超える重合性不飽和基を有する液状ポリマー
である。
【0074】また、上記液状ポリマーの構造が、炭素数
4〜16のアルキル基またはシクロアルキル基を有する
アクリル酸アルキルエステルを、60〜99.9重量%含
有する単量体成分を重合して得られる構造を有している
ことがより好ましい形態である。
【0075】また、本発明の反応性液状ポリマーの具体
的な製造方法としては、重合性不飽和単量体成分(A)
をメルカプタン存在下にラジカル重合して得られる液状
ポリマーに、該液状ポリマーが持つ官能基と反応しうる
反応性基を有する不飽和単量体を反応させ、その反応性
基を介して一分子中に2個を越える重合性不飽和基を導
入する製造方法を採用する事が好ましい。
【0076】また、より具体的には、上記液状ポリマー
が、数平均分子量が2,000以上且つ23゜Cにおける
粘度が100Pa・s以下の官能基を持つ液状ポリマー
である事である。
【0077】また、より具体的には、重合性不飽和単量
体成分(A)が、炭素数4〜16のアルキル基又はシク
ロアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを6
0〜99.9重量%を含むことがより好ましい。また、そ
の反応形態としては、上記重合性不飽和基単量体成分
(A)のラジカル重合を塊状で行うことが好ましい。
【0078】以上の構成を採用することで、架橋の局在
化及び未反応物の残存を解決する、新規な反応性液状ポ
リマーを提供する事ができた。具体的には、本発明で得
られた反応性液状ポリマーは、所定の数平均分子量を持
ち、かつ良好な硬化性を持ちながら、23℃の粘度が所
定値以下である様な、作業性の良好な反応性液状ポリマ
ーである。また、適度な重合性不飽和基濃度を有してい
るために、例えば、架橋剤として用いた時架橋の局在化
が起こりにくい。また、1分子中に少なくとも2個以上
の重合性不飽和結合を有しているために、硬化性が良好
で、硬化させた時に、未反応物として残りにくい。より
好ましくは、1分子中に2個を超える重合性二重結合を
有しているために、より、硬化性が良好である。同様に
硬化させた時に、未反応物として残りにくい。
【0079】また、塊状重合で製造された、本発明の反
応性液状ポリマーは、所望により揮発成分の少ない、実
質的に、揮発成分が10%以下、より好ましくは5%以
下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%
以下の反応性液状ポリマーとする事ができ、例えば低臭
気性の硬化性樹脂等に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AA01 AA02 BA03 BA07 BA08 BA09 BA10 BA11 BA19 BA20 BA21 CD04 CD09 4J100 AL03P AL04P AL05P AL08P AL08Q AL09Q AL10Q AL79Q AL80Q BA03Q BA04H BA08H BA08Q BA15H BA42Q BC02P BC43H FA18 HA62 JA05 JA33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一分子中に2個以上の重合性不
    飽和基を有する液状ポリマーであり、その液状ポリマー
    の数平均分子量が2,000以上、23゜Cにおける粘度
    が100Pa・s以下、重合性不飽和基濃度が500〜
    10,000g/molであることを特徴とする反応性
    液状ポリマー。
  2. 【請求項2】上記液状ポリマーの構造が、炭素数4〜1
    6のアルキル基又はシクロアルキル基を有するアクリル
    酸アルキルエステルを、60〜99.9重量%含有する単
    量体成分を重合して得られる構造を有していることを特
    徴とする請求項1記載の反応性液状ポリマー。
  3. 【請求項3】上記液状ポリマーの構造が、星型構造から
    なる分岐構造を有していることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の反応性液状ポリマー。
  4. 【請求項4】重合性不飽和単量体成分(A)をメルカプ
    タン存在下にラジカル重合して得られる、液状ポリマー
    に、該液状ポリマーが持つ官能基と反応しうる反応性基
    を有する不飽和単量体を反応させ、その反応性基を介し
    て一分子中に2個を越える重合性不飽和基を導入するこ
    とを特徴とする反応性液状ポリマーの製造方法。
  5. 【請求項5】重合性不飽和単量体成分(A)が、炭素数
    4〜16のアルキル基又はシクロアルキル基を有するア
    クリル酸アルキルエステルを60〜99.9重量%を含む
    ことを特徴とする請求項4記載の反応性液状ポリマーの
    製造方法。
  6. 【請求項6】重合性不飽和基単量体成分(A)のラジカ
    ル重合を塊状重合で行うことを特徴とする請求項5また
    は6に記載の反応性液状ポリマーの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1から3のいずれか1項に記載の液
    状反応性ポリマーを用いてなる硬化性樹脂組成物。
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