JP2001234306A - 高耐食バルクアモルファス合金 - Google Patents

高耐食バルクアモルファス合金

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JP2001234306A JP2000044896A JP2000044896A JP2001234306A JP 2001234306 A JP2001234306 A JP 2001234306A JP 2000044896 A JP2000044896 A JP 2000044896A JP 2000044896 A JP2000044896 A JP 2000044896A JP 2001234306 A JP2001234306 A JP 2001234306A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルク状であってもアモルファス単相構造を
持ち、濃厚酸中でも腐食されない高耐食バルクアモルフ
ァス合金とその製法を提供する。 【解決手段】 TaおよびNbの2種の合計で25〜6
5原子%を含むとともに、前記TaまたはNbのいずれ
か1種を3原子%以上とし、さらに2〜8原子%のPを
含み、残部は実質的にNiからなる組成の合金とする。
この合金をガラス遷移温度以上で結晶化温度以下の過冷
却液体状態の温度範囲にて溶融し、形成予定のバルク形
状に急冷して固化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃厚な酸の激しい
腐食性環境に耐え、溶融状態から超急冷を必要とするこ
となく、バルク成形可能な高耐食アモルファス合金に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、溶融状態から急冷を行う
こと、あるいはスパッターデポジションによって、激し
い腐食性環境で異常な高耐食性を示す多数のアモルファ
ス合金を見いだし特許を出願してきた。この発明は、特
開昭61−210143号および特開昭62−3373
5号に開示されている。
【0003】すなわち、特開昭61−210143号に
て開示した発明は以下の4つの発明からなる。 (1)Taを15〜80原子%含み、残部は実質的にN
iよりなる高耐食アモルファス合金。 (2)Taと、Ti、Zr、NbおよびWよりなる群が
ら選ばれる1種または2種以上の元素とを含み、残部は
実質的にNiよりなり、含有率はTaが10原子%以
上、前記群から選ばれる1種または2種以上の元素が、
Taとの合計で15〜80原子%である高耐食アモルフ
ァス合金。 (3)Taと、Feおよび/またはCoとを含み、残部
は実質的にNiよりなり、含有率はTaが15〜80原
子%、Feおよび/またはCoが75原子%以下、Ni
が7原子%以上である高耐食アモルファス合金。 (4)Taと、Ti、Zr、NbおよびWよりなる群が
ら選ばれる1種または2種以上の元素と、Feおよび/
またはCoとを含み、残部は実質的にNiよりなり、含
有率はTaとTi、Zr、NbおよびWよりなる群がら
選ばれる1種または2種以上とが合計で15〜80原子
%であり、Feおよび/またはCoが75原子%以下、
Niが7原子%以上である高耐食アモルファス合金。
【0004】また、特開昭62−33735号に開示し
た発明は、以下の16の発明からなる。 (1)Taを30〜80原子%含み、残部は実質的にN
iよりなり合計を100原子%とする非酸化性腐食環境
下で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (2)12原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が30〜80原子%含み残部は実質的にNiよりなり
合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下で耐食性
を有する高耐食アモルファス合金。 (3)12原子%以上のTaを含み、Tiおよび/また
はCrとTaとの合計が30〜80原子%含み残部は実
質的にNiよりなり合計を100原子%とする非酸化性
腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (4)12原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が25原子%以上であり、Tiおよび/またはCrと
TaとNbとの合計が30〜80原子%であって残部は
実質的にNiよりなり合計を100原子%とする非酸化
性腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルファス合
金。 (5)30〜80原子%のTaと2原子%以上のNiを
含み、残部は実質的にFeおよび/またはCoからなり
合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下で耐食性
を有する高耐食アモルファス合金。 (6)12原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が30〜80原子%であって、2原子%以上のNiを
含み、残部は実質的にFeおよび/またはCoからなり
合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下で耐食性
を有する高耐食アモルファス合金。 (7)25原子%以上のTaを含み、Tiおよび/また
はCrとTaとの合計が25原子%以上であって、30
〜80原子%であって、2原子%以上のNiを含み、残
部は実質的にFeおよび/またはCoからなり合計を1
00原子%とする非酸化性腐食環境下で耐食性を有する
高耐食アモルファス合金。 (8)12原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が25原子%以上であり、Tiおよび/またはGとT
aとNbとの合計が30〜80原子%であってさらに2
原子%以上のNiを含み、残部は実質的にFeおよび/
またはCoからなり合計を100原子%とする非酸化性
腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (9)20原子%以上60原子%未満のTaと7原子%
以下のPを含み残部は、実質的に20原子%以上のNi
よりなり合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下
で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (10)7原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が20原子%以上80原子%未満であって、7原子%
以下のPを含み、残部は実質的に20原子%以上のNi
よりなり合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下
で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (11)15原子%以上のTaを含み、Tiおよび/ま
たはCrとTaとの合計が20原子%以上80原子%未
満であって、7原子%以下のPを含み、残部は実質的に
20原子%以上のNiよりなり合計を100原子%とす
る非酸化性腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルフ
ァス合金。 (12)7原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が16原子%以上であり、Tiおよび/またはCrと
TaとNbとの合計が20原子%以上80原子%未満で
あり、7原子%以下のPを含み、残部は実質的に20原
子%以上のNiよりなり合計を100原子%とする非酸
化性腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルファス合
金。 (13)20原子%以上80原子%未満のTaと、2原
子%以上のNiと7原子%以下のPを含み、実質的残部
であるFeおよび/またはCoとNiとの合計が20原
子%いじょうであり合計を100原子%とする非酸化性
腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモルファス合金。 (14)7原子%以上のTaとNbとの合計が20原子
%以上80原子%未満であって、2原子%以上のNiと
7原子%以下のPを含み、実質的残部であるFeおよび
/またはCoとNiとの合計が20原子%以上であり、
合計を100原子%とする非酸化性腐食環境下で耐食性
を有する高耐食アモルファス合金。 (15)15原子%以上のTaを含み、Tiおよび/ま
たはCrとTaとの合計が20原子%以上80原子%未
満であって、2原子%以上のNiと7原子%以下のPを
含み、実質的残部であるFeおよび/またはCoとNi
との合計が20原子%以上であり、合計を100原子%
とする非酸化性腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモ
ルファス合金。 (16)7原子%以上のTaを含み、TaとNbとの合
計が16原子%以上であり、Tiおよび/またはCrと
TaとNbとの合計が20原子%以上80原子%未満で
あり、さらに2原子%以上のNiと7原子%以下のPを
含み、実質的残部であるFeおよび/またはCoとNi
との合計が20原子%以上であり、合計を100原子%
とする非酸化性腐食環境下で耐食性を有する高耐食アモ
ルファス合金。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アモルファス
合金の作製には、通常、液体状態から超急冷あるいはス
パッターデポジションを必要とするため、大きさの制限
からその応用には限界があった。
【0006】上述のように液体急冷法あるいはスパッタ
ー法によって、結晶質合金では決して得られない高耐食
性を備えたアモルファス合金が得られるが、液体急冷法
では、厚さ数μmのリボン状合金、スパッター法では下
地を被覆する薄膜合金となるため、その応用が限られ、
バルク状のアモルファス合金の出現が待たれていた。
【0007】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
ので、高耐食性を備えた元素とアモルファス形成能を向
上させる元素の組み合わせによって、銅鋳型に流し込む
方式によってもバルクアモルファス合金が得られるもの
であり、当然、種々の方法で作製する粉末あるいはフレ
ーク状のアモルファス合金を過冷却温度において成形す
ることによってもアモルファス合金が得られるものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】これに対し、本発明者ら
は、これらの合金についてさらに研究した結果、Taを
含むNi−Nb系合金が特にアモルファス形成能が高
く、とりわけ小量のリンを添加することによって、アモ
ルファス形成能が高くなり、かつ強酸中において高耐食
性を示すことを見いだした。
【0009】すなわち、液体急冷Ni−40Nb合金は
アモルファス単相を示すことが知られている。しかし、
銅鋳型鋳造法により作製した直径1mmの円柱状試料は
完全にアモルファスにならないことがX線回折により判
明した。そこで、この合金にP、Si、Bなどの半金属
を添加したところ、Pがアモルファス形成能を上げるの
に最適であることが判明したので、Pの添加量を変えた
合金を作製した。図2は液体急冷法で作製したリボン状
アモルファスNi−Nb−P合金試料の示差走査熱量計
(DSC)を用いて測定したDSC曲線を示している。
Pの添加量が2および5原子%で、約40Kの過冷却液
体領域が現れており(ガラス遷移温度Tg〜結晶化温度
Tx)、ガラス形成能があることが示唆されている。こ
れらと同じ組成の合金を直径1mmの銅鋳型に鋳込んで
作製した円柱状試料のX線回折図はDSC曲線に対応
し、Pの添加量が2および5%でアモルファス化し、こ
れ以外のP量では結晶が現れることを示した。さらに、
直径2mmの円柱状試料で比較すると、2P合金で結晶
相が明瞭に現れるのに対し、5P合金ではアモルファス
単相を示した。
【0010】そこで、Nbの一部をTaに置換した[N
i−(40−x)Nb−xTa]0.95−5Pを作製し、ア
モルファス形成能および耐食性の改善を試みた。図3に
タンタルを10原子%まで添加したNi−Nb−Ta−
5P合金の液体急冷アモルファスリボンとバルク合金の
30℃、6M塩酸中での平均腐食速度を示す。図中、比
較のため純ニッケルおよびニオブの結果も示した。12
M塩酸中ではタンタルを5原子%添加しても、結晶構造
にかかわらず比較的高い腐食速度を示し、試験後の試料
表面には黒褐色の厚い腐食生成物がみられた。しかし、
タンタル量が10原子%になると、アモルファス(液体
急冷リボン)であれば一桁程度腐食速度が低下するの
で、更にタンタル量を増やし、しかもアモルファス化す
ればバルク状試料でも腐食速度がさらに低下することが
期待される。一方、6M塩酸中では、タンタルを添加し
ていないNi−40NbおよびNi−40Nb−5Pで
も10 -3mm/yのオーダの純Nbと同等の比較的低い
腐食速度を示し、更にタンタルを5原子%添加すると、
試験後試料表面は金属光沢が保たれ、重量変化はマイク
ロバランスの測定精度以下になり、優れた耐食性を示
す。このように、過冷却液体域が観察されたNi−40
Nb−(2,5)P合金から銅鋳込み鋳造法により円柱状試
料を作成した結果、直径2mmのガラス合金を作製で
き、また、Nbの一部をTaに置換した合金からもガラ
ス合金を得ることができた。これらのバルク状試料は6
M塩酸中で急冷リボン状試料と同等の高い耐食性を示す
ことが判明したのである。
【0011】これらの知見から、発明者等は、バルクア
モルファス合金の作製に有効な過冷却液体の温度範囲が
広い種々の合金を見いだし、溶融合金を鋼鋳型に流し込
む方法で、直径1mm以上の単相アモルファス合金の作
製に成功し、これらが液体急冷法で作製したリボン状ア
モルファス合金と同様の超耐食性を備えていることを見
いだし本発明に至ったのである。
【0012】本発明は、第1に、TaおよびNbの2種
の合計で25〜65原子%を含むとともに、前記Taま
たはNbのいずれか1種を3原子%以上とし、さらに2
〜8原子%のPを含み、残部は実質的にNiからなる高
耐食バルクアモルファス合金の組成とした。
【0013】また、第2には、TaおよびNbの合計で
20原子%以上含むとともに前記TaまたはNbのいず
れか1種を3原子%以上とし、TiおよびZrのいずれ
か1種または2種と、前記TaおよびNbの1種または
2種との合計で25〜65原子%を含み、さらに2〜8
原子%のPを含み、残部は実質的にNiからなる高耐食
バルクアモルファス合金の組成としたのである。これら
の場合において、「実質的にNiからなる」というの
は、Niの一部若しくは全部を置換してFeおよび/ま
たはCoを含む構成にできることを意味している。
【0014】本発明に係る高耐食バルクアモルファス合
金の製造方法は、上記組成の合金の過冷却液体領域の広
い温度範囲にて過冷却液体状態から急冷固化することに
よりバルクアモルファス合金を作製するようにしてい
る。
【0015】本発明に係る高耐食バルクアモルファス合
金の製造方法は、TaおよびNbの2種の合計で25〜
65原子%を含むとともに、前記TaまたはNbのいず
れか1種を3原子%以上とし、さらに2〜8原子%のP
を含み、残部は実質的にNiからなる合金母材を溶融
し、形成予定のバルク形状に急冷して固化する構成とし
ている。
【0016】また、TaおよびNbの合計で20原子%
以上含むとともに前記TaまたはNbのいずれか1種を
3原子%以上とし、TiおよびZrのいずれか1種また
は2種と、前記TaおよびNbの1種または2種との合
計で25〜65原子%を含み、さらに2〜8原子%のP
を含み、残部は実質的にNiとするからなる合金を溶融
し、形成予定のバルク形状に急冷して固化するして高耐
食バルクアモルファス合金を製造するように構成しても
よい。
【0017】これらの製造方法において、前記組成から
なるアモルファス母材をガラス遷移温度以上で結晶化温
度以下の過冷却液体状態の温度範囲にて溶融し、金属鋳
型により形成されたキャビティ内に充填することにより
急冷固化させることによりキャビティ形状に倣ったバル
ク形状に成形するようにすればよい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下詳述す
る。本発明者らは長年にわたりアモルファス合金の性質
の研究を行い、従来本発明者らが見いだしてきたTa、
Nb、Zr、Tiのように合金に耐食性を付与する元素
を含むNi基アモルファス合金が、濃厚な酸の環境にお
いて著しく高い耐食性を有すること、これに小量のPを
添加することによって、さらに耐食性が向上すると共
に、アモルファス形成能も向上することを組み合わせ、
高耐食アモルファス合金をバルクとして作製することが
可能となるに至った。
【0019】その実施形態に係る高耐食バルクアモルフ
ァス合金は、Ni、Ta、Nb、Pと最低4種類の元素
を含み、また高耐食性を保証するため、TaおよびNb
のいずれか1種を必須元素とすると共に、バルク合金の
作製のために、NiおよびPを必須元素とするものであ
る。
【0020】次の表1に、これら第1および第2の発明
に係る合金の構成元素および含有率を示す。
【表1】 単位は原子%である。 (*1) TaおよびNbのいずれか1種3原子%以上
でかつ両者の合計 (*2) TaおよびNbのいずれか1種3原子%以上
でかつ両者の合計20原子%以上と、TiおよびZrの
いずれか1種または2種との合計 (*3) 実質的にNi
【0021】すなわち、x=3原子%以上とした場合、
次のような態様を採る。数値は原子%である。 Ta(x≧3)+Nb{(25〜65)−x}+P(2〜8)+N
i(残) Nb (x≧3)+Ta{(25〜65)−x}+P(2〜8)+
Ni(残) [Ta(x≧3)+Nb[(≧20)−x]+Zr](20〜65)+P
(2〜8)+Ni(残) [Nb(x≧3)+Ta[(≧20)−x]+Zr](20〜65)+P
(2〜8)+Ni(残) [Ta(x≧3)+Nb[(≧20)−x]+Ti](20〜65)+P
(2〜8)+Ni(残) [Nb(x≧3)+Ta[(≧20)−x]+Ti](20〜65)+P
(2〜8)+Ni(残) 一般的に、溶融状態から1アモルファス合金を作製する
には、104℃以上の高速による超急冷を必要とする。
【0022】これに対し、上記組成の本発明のアモルフ
ァス合金は、アモルファス化能を向上する元素の組み合
わせによって、過冷却液体の温度領域が大きいため、銅
鋳型に流し込むことによって直径1mm以上のアモルフ
ァス合金が得られる。
【0023】次に、本発明における各成分組成を限定す
る理由を述べる。Niは本発明合金触媒の基礎となる元
素であって、Ta、Nb、Zr、Tiを固溶することに
よって、超急冷でアモルファス合金を形成する必須元素
である。
【0024】Ta、Nbは、濃厚な酸中における耐食性
を合金に付与するのに必須の元素であって、第1の発明
においては合計で20原子%以上を必要とする。一方、
NiおよびPと共存してバルクアモルファス合金を形成
するにはTaおよびNbのいずれかを最低3原子%以上
含む4元合金とする必要がある。ただし、TaおよびN
bの総量が多すぎるとアモルファス形成能が減少するの
で、最高はTaおよびNbの合計で65原子%とする必
要がある。
【0025】ZrおよびTiは、濃厚な酸中における耐
食性を合金に付与する元素として、TaおよびNbに次
いで優れているが、TaおよびNbなしでは十分な耐食
性が得られず、さらにアモルファス形成能を向上させる
元素としても、TaおよびNbには劣るため、第2の発
明において、TaおよびNbのいずれか1種3原子%以
上でかつ両者の合計20原子%以上とZrおよびTiの
いずれか1種または2種との合計で25原子%以上とす
る必要がある。また、TaおよびNbの合計とZrおよ
びTiのいずれか1種または2種との合計が多すぎると
アモルファス形成能が減少するので、最高は65原子%
とする必要がある。
【0026】Pは耐食性を向上させると共に、アモルフ
ァス形成能を向上させ、本合金をバルクアモルファス合
金とする必須元素であって、2原子%以上必要とする。
ただし、過剰の添加は却ってアモルファス形成能を減少
させるため、最高は8原子%とする必要がある。なお、
本合金において、Niを置換してFeおよびCoを含む
ことは、本合金の作製と耐食性に、なんら支障はない。
【0027】図1に基づいて、本発明の高耐食バルクア
モルファス合金製造方法の一例を詳述する。図1に示す
ように、製造領域は予め真空にされた後、アルゴンガス
雰囲気に置かれている。表1に示した組成をもつアモル
ファス母材を溶融する石英管1が設けられており、これ
は垂直に配置され、下端部分には吹き出し口が形成され
ている。この石英管1の内部には未溶融のアモルファス
母材が収容される。石英管1は昇降可能とされ、その昇
降ラインを囲むように高周波コイル3が上部位置に配置
されている。そして、前記石英管1の下降端に対向して
銅鋳型4が設置され、この内部にキャビティ5が形成さ
れている。当初未溶融の合金が、高周波コイル3内の位
置に置かれるように、石英管1が引き上げられており、
加熱してアモルファス合金の過冷却液体状態となる温度
範囲まで昇温される。合金が溶融すると、石英管1が銅
鋳型4の真上まで下げられ、アルゴンガス送入孔6から
アルゴンガスを送入することによって溶融合金2は銅鋳
型4に流し込まれキャビティ5の形状で凝固する。この
ような方法によって、本発明の高耐食バルクアモルファ
ス合金が作製できる。
【0028】次に本発明の実施例を示す。
【実施例1】Ni−55原子%、Ta−25原子%、N
b−15原子%、P−5原子%の組成となるように原料
金属を混合し、アルゴンアーク溶融により原料合金を作
製した。この合金を図に示すアルゴン雰囲気中の石英管
1の中で再溶融し、銅鋳型4に流し込むことによって、
直径1mmあるいは2mm、長さ50mmの棒状合金を
得た。機械的破断面を用い、微小焦点X線回折により構
造を調べた結果、棒の中心部においても、単相アモルフ
ァス構造であることが確認された。同合金を30℃の1
2MHCl溶液に浸漬し腐食速度の測定を試みたが、1
週間の浸漬では、マイクロ天秤によっても、腐食による
重量減少が確認できなかった。また、同合金は30℃の
12MHCl溶液において、自己不動態化していること
が判明し、同合金がきわめて高い耐食性を備えているこ
とが確認された。
【0029】
【実施例2】表2の所定組成となるように原料金属を混
合し、アルゴンアーク溶融により原料合金を作製した。
これらの合金を図に示すアルゴン雰囲気中の石英管1の
中で再溶融し、銅鋳型4に流し込むことによって、直径
1mm、長さ50mmの棒状合金を得た。機械的破断面
を用い、微小焦点X線回折により構造を調べた結果、こ
れらの合金は棒の中心部においても、単相アモルファス
構造であることが確認された。これらの合金を30℃の
6MHCl溶液に浸漬し腐食速度の測定を試みたが、1
週間の浸漬では、マイクロ天秤によっても、腐食による
重量減少が確認できなかった。また、これらの合金は3
0℃の6M HCl溶液において、自己不動態化している
ことが判明し、これらの合金がきわめて高い耐食性を備
えていることが確認された。
【0030】
【表2】
【0031】これらの結果、本発明のバルク合金はいず
れもアモルファス単相合金であって、きわめて苛酷な濃
塩酸中においても自己不動態化し、腐食速度が検出され
ない高耐食合金であることが判明した。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明は、Ta、Nb、Z
r、Tiのように合金に耐食性を付与する元素を含むN
i基アモルファス合金が、濃厚な酸の環境において著し
く高い耐食性を有すること、これに小量のPを添加する
ことによって、さらに耐食性が向上すると共に、過冷却
液体領域温度が広くなってアモルファス形成能も向上で
きるので、製造された合金は、バルクアモルファス単相
合金であって、濃厚酸中において高耐食性を備えてたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐食バルクアモルファス合金を製造
するための装置の一例を示す概要断面説明図である。な
お点線で囲んだ部分はアルゴン雰囲気に置かれている。
【図2】液体急冷アモルファスNi−40Nb−xP合
金のDSC曲線図である。
【図3】各種Ni−Nb−Ta−P合金の腐食速度を示
す線図である。
【符号の説明】
1………吹き出し口つき石英管、2………溶融合金、3
………高周波コイル、4………銅鋳型、5………キャビ
ティ、6………アルゴンガス送入孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 幅崎 浩樹 宮城県仙台市太白区長町8丁目2−31− 206 (72)発明者 佐藤 武明 宮城県仙台市泉区高森7丁目14−11 (72)発明者 泉屋 宏一 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造船 株式会社千葉事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TaおよびNbの2種の合計で25〜6
    5原子%を含むとともに、前記TaまたはNbのいずれ
    か1種を3原子%以上とし、さらに2〜8原子%のPを
    含み、残部は実質的にNiからなる高耐食バルクアモル
    ファス合金。
  2. 【請求項2】 TaおよびNbの合計で20原子%以上
    含むとともに前記TaまたはNbのいずれか1種を3原
    子%以上とし、TiおよびZrのいずれか1種または2
    種と、前記TaおよびNbの1種または2種との合計で
    25〜65原子%を含み、さらに2〜8原子%のPを含
    み、残部は実質的にNiからなる高耐食バルクアモルフ
    ァス合金。
  3. 【請求項3】 TaおよびNbの2種の合計で25〜6
    5原子%を含むとともに、前記TaまたはNbのいずれ
    か1種を3原子%以上とし、さらに2〜8原子%のPを
    含み、残部は実質的にNiからなる合金母材を溶融し、
    形成予定のバルク形状に急冷して固化することを特徴と
    する高耐食バルクアモルファス合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 TaおよびNbの合計で20原子%以上
    含むとともに前記TaまたはNbのいずれか1種を3原
    子%以上とし、TiおよびZrのいずれか1種または2
    種と、前記TaおよびNbの1種または2種との合計で
    25〜65原子%を含み、さらに2〜8原子%のPを含
    み、残部は実質的にNiとするからなる合金を溶融し、
    形成予定のバルク形状に急冷して固化することを特徴と
    する高耐食バルクアモルファス合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記組成からなるアモルファス母材をガ
    ラス遷移温度以上で結晶化温度以下の過冷却液体状態の
    温度範囲にて溶融し、金属鋳型により形成されたキャビ
    ティ内に充填することにより急冷固化させることにより
    キャビティ形状に倣ったバルク形状に成形することを特
    徴とする請求項3または4のいずれか1に記載の高耐食
    バルクアモルファス合金の製造方法。
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