JP2001234094A - インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法

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JP2001234094A
JP2001234094A JP2000043356A JP2000043356A JP2001234094A JP 2001234094 A JP2001234094 A JP 2001234094A JP 2000043356 A JP2000043356 A JP 2000043356A JP 2000043356 A JP2000043356 A JP 2000043356A JP 2001234094 A JP2001234094 A JP 2001234094A
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ink
substance
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pigment
recording
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JP2000043356A
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Hidehiko Komatsu
英彦 小松
Hiroto Nakamura
弘人 中村
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙に対する印字において、比較的低い加
熱温度で、にじみや混色の無い高品位な印字品質が可能
であり、しかも高速印字にも対応可能である。しかもイ
ンクの保存安定性も優れるインクを提供する。 【解決手段】 記録ヘッドよりインクを加熱した記録媒
体上に吐出し、記録画像を形成するインクジェット記録
方法に用いるインクジェット記録用インクであって、少
なくとも水を主成分とする分散媒と、この分散媒中に均
一に分散保持される着色剤と、下記式(I)で示す構造
の物質を含有してなることを特徴とするインクジェット
記録用インク。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドからイ
ンク滴を吐出させ、記録媒体上にインク像を得るインク
ジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録における大きな課題
として、記録媒体上のインクドットのにじみの発生があ
る。更に、インクジェット記録用インクには、印字の乾
燥性がよいこと、すべての被記録体表面に均一に印字で
きること、多色印字の場合に隣り合った色が混じり合わ
ないことなどの特性が要求されている。
【0003】以上のような課題を解決するための一つの
方法として、記録媒体を加熱する方式が考えれられ、例
えば、特開昭62−288042号公報、特開平5−3
30032号公報、特開平6−126952号公報等に
は、記録媒体を印字時、もしくは印字直前に加熱して印
字する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のこれらの方法で
は、記録媒体上の記録ドットの溶媒成分を熱エネルギー
により蒸発させることにより、インクドットのにじみの
低減、印字画像の定着を狙ったものであり、確かに非加
熱の方法と比較して印字品質の向上に対して効果があっ
た。しかしながら、今後、要求が高まると予想される印
字速度の高速化、高品位化への対応を図る場合には、よ
り早く溶媒成分を蒸発させることが必要となり、従って
より高い加熱温度と多大な熱量が必要となってくる。こ
れは最近高まりつつあるオフィス機器に対する省エネル
ギー化への要求に反するものであり、更に加えて、当然
記録媒体に近接するインクジェットヘッドの吐出不良の
発生、記録媒体の熱によるひずみの発生等、新たな問題
を抱えることとなる。
【0005】本発明は、このような従来の課題を解決す
るためのものであり、すなわち、特に普通紙に対する印
字において、比較的低い加熱温度で、にじみや混色の無
い高品位な印字品質を実現し、しかも保存安定性に優れ
るインク、及びインクジェット記録方法を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるインクジェ
ット記録用インクは、記録ヘッドよりインクを加熱した
記録媒体上に吐出し、記録画像を形成するインクジェッ
ト記録方法に用いるインクジェット記録用インクであっ
て、少なくとも水を主成分とする分散媒と、この分散媒
中に均一に分散保持される着色剤と、下記式(I)で示
す構造の物質を含有してなることを特徴とするインクジ
ェット記録用インク。
【0007】
【化2】
【0008】また、着色剤が硫黄含有分散性付与基を表
面に有する表面処理顔料であることを特徴とする。ま
た、前記式(I)で示す構造の物質として、少なくとも
l=6〜18、2/3≦m/n≦3/2の範囲で平均分
子量が1000以上8000以下である物質Aと、l=
4〜10、m=1〜10、n=1〜5、3/2≦m/n
の範囲の物質Bとを同時に含有することを特徴とする。
また、物質Aの含有率が2〜10%であり、物質Bの含
有率が0.5〜5%であることを特徴とする。また、物
質A、及び物質Bの少なくとも一方の曇点が室温以上1
00℃以下の範囲であることを特徴とする。また、物質
A、及び物質Bの少なくとも一方の曇点が40℃以上7
0℃以下の範囲であることを特徴とする。
【0009】また本発明によるインクジェット記録方法
は、記録ヘッドより上記インクを加熱した記録媒体上に
吐出し、記録画像を形成することを特徴とする。また、
記録媒体の加熱温度が、前記物質A及び/又は物質Bの
曇点以上であることを特徴とする。また、記録ヘッドが
圧電素子の力学的作用を利用してインク滴を吐出させる
方式であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明のインクジェット記録
用インクについて説明する。
【0011】本発明のインクジェット記録用インクの着
色剤は、顔料、着色樹脂粒子等、水性媒体に良好に分散
可能であれば特に限定されるものではなく、いずれも使
用することができる。
【0012】本発明のインクに用いることができる顔料
としては、有機顔料、無機顔料等が挙げられ、例えば、
ブラック用の無機顔料としては、ファーネスブラック、
ランブブラック、アセチレンブラック、若しくはチャネ
ルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメント
ブラック7)類、あるいは酸化鉄顔料等を挙げることが
できる。また、ブラック用の有機顔料としては、アニリ
ンブラック(C.l.ピグメントブラック1)等の黒色
有機顔料を用いることができる。
【0013】イエローインク用顔料としては、C.l.
ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、3(ハンザ
イエロー10G)、12、13、14、17、24(フ
ラバントロンイエロー)、34、35、37、53、5
5、65、73、74、81、83、93、94、9
5、97、98、99、108(アントラピリミジンイ
エロー)、109、110、113、117(銅錯塩顔
料)、120、128、133(キノフタロン)、13
8、139(イソインドリノン)、147、151、1
53(ニッケル錯体顔料)、154、167、172、
180などを挙げることができる。
【0014】更に、マゼンタインク用の顔料としては、
C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2、3
(トルイジンレッド)、5(lTR Red)、7、
9、10、11、12、17、30、31、38(ピラ
ゾロンレッド)、42、88(チオインジゴ)、112
(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、
122(ジメチルキナクリドン)、123、144、1
49、150、166、168(アントアントロンオレ
ンジ)、170(ナフトールAS系)、171、17
5、176、177、178、179(ベリレンマルー
ン)、185、187、209(ジクロロキナクリド
ン)、219、224(ベリレン系)、245(ナフト
ールAS糸)、又は、C.I.ピグメントバイオレット
19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレッ
ト)、32、33、36、38、43、50などを挙げ
ることができる。
【0015】更にまた、シアンインク用の顔料として
は、C.l.ピグメントブルー15、15:1、15:
2、15:3、16(無金属フタロシアニン)、18
(アルカリブルートナー)、25、60(スレンブル
ー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)等を
挙げることができる。
【0016】更にまた、マゼンタ、シアン、又はイエロ
ーインク以外のカラーインクに用いる有機顔料として、
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリー
ン)、10(グリーンゴールド)、36、37;C.
I.ピグメントブラウン3、5、25、26;あるいは
C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、1
4、15、16、34、36、38等を用いることがで
きる。
【0017】その他顔料を樹脂等で処理したグラフトカ
ーボン等の加工顔料等も使用することができる。
【0018】本発明で用いるインクにおいては、前記の
顔料を1種で又は2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0019】その添加量は、0.5〜30重量%が好ま
しいが、さらには1.0〜12重量%が好ましい。これ
以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、また
これ以上の添加量では、インクの粘度特性に構造粘性が
生じ、吐出安定性の確保が難しくなる。
【0020】また、顔料の平均粒経は25μm以下の粒
子を用いるが、1μm以下の粒子であることが好まし
く、さらに沈降安定性の面からは、0.3μm以下の粒
子であることがより好ましい。
【0021】本発明においては使用する顔料は、水性媒
体の安定分散の為に顔料表面に分散基を導入することに
よって水に分散可能とした表面処理顔料を使用できる。
この場合の利点としては、分散基が顔料の表面に直接化
学的に、もしくは他の原子団を介して化学的に導入・結
合している為、本発明で用いる前記式(I)の物質や
(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ
(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルなどの
グリコールエーテル類との共存化でも、分散剤で分散さ
せたものより過酷な条件に耐えることができる。
【0022】例えば、インク保存時において、印字時の
記録媒体に対する加熱温度以上の高温にインク液がさら
されても、印字前に室温に戻しさえすれば、凝集等発生
することなく安定した印字記録特性を得ることができ
る。
【0023】顔料の粒子表面に導入する分散基として
は、硫黄含有分散性付与基を挙げることができ、硫黄原
子を含有し、しかも水中分散性を付与する官能基であれ
ば特に限定されず、具体的には、スルフィン酸(S
2 -)基又はスルホン酸(SO3 -)基等である。インク
に含まれる顔料粒子においては、前記の分散性付与基
が、少なくとも粒子表面上に存在すればよく、粒子内部
に含まれていてもよい。
【0024】本発明で用いるインクに含まれる硫黄含有
分散性付与基を表面に有する顔料粒子は、前記の顔料化
合物から、公知の方法によって調製することができる。
例えば、特開平8−283596号、特開平10−11
0110号、特開平10−110111号、又は特開平
10−110114号の各公報に記載の方法で調製され
る水系分散液の形で、前記の硫黄含有分散性付与基を表
面に有する顔料粒子を得ることができる。
【0025】硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料
粒子を含む水系分散液の調製方法の一例を示せば、以下
のとおりである。
【0026】微細な粒子状の顔料を、顔料の3〜200
重量倍量の非プロトン性溶媒(例えば、N−メチル−2
−ピロリドン又はスルホラン)中に入れ、顔料の分散処
理を行いながら、スルホン化剤で処理する。スルホン化
剤としては、例えば、スルホン化ピリジン塩、スルファ
ミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸
化硫黄、発煙硫酸、又は硫酸等を、単独で又は2種以上
を組合せて用いることができる。スルホン化剤による処
理は、加熱(約60〜200℃)下及び撹拌下で行うこ
とができ、加熱は、スルホン化剤の添加前又は添加後に
行うことができる。
【0027】スルホン化処理の後、得られた顔料スラリ
ーから、非プロトン性溶媒と残留するスルホン化剤とを
除去する。除去処理は、水洗、限外濾過、逆浸透、遠心
分離、及び/又は濾過などを繰り返して実施することが
できる。続いて、スルホン化処理顔料を、10〜40重
量%程度の濃度になるように水性液体(特に、イオン交
換水又は蒸留水)中に湿潤剤と共に添加し、更に場合に
より通常の分散処理を短時間行うことにより、顔料の乾
燥工程を経ずに、顔料水性分散液を得ることができる。
【0028】本発明で用いるインクに含まれる前記顔料
粒子における前記分散性付与基の導入量は、顔料粒子1
g当たり、好ましくは10×10-6当量以上である。分
散性付与基の導入量が、顔料粒子1g当たり10×10
-6当量未満であるとインクの保存安定性が低下するだけ
でなく、高い印字濃度が得られなくなることがある。
【0029】また、前述の顔料を水性媒体中に分散させ
る別の方法として、分散剤を使用する場合がある。本発
明のインク組成物において使用することのできる分散剤
としては、その分子骨格がスチレン−アクリル酸共重合
体樹脂であり、重量平均分子量(以後単に分子量と称
す)が1600〜25000かつ酸価が100〜250
のものが使用できる。
【0030】具体例をあげると、ジョンソンポリマー株
式会社製、ジョンクリル68(分子量10000、酸価
195)、ジョンクリル680(分子量3900、酸価
215)、ジョンクリル682(分子量1600、酸価
235)、ジョンクリル550(分子量7500、酸価
200)、ジョンクリル555(分子量5000、酸価
200)、ジョンクリル586(分子量3100、酸価
105)、ジョンクリル683(分子量7300、酸価
150)、B−36(分子量6800、酸価250)等
である。
【0031】前期顔料分散液を水性媒体中で安定した状
態に保つ為、中和剤として、たとえば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アミノメチルプ
ロパノール、2−アミノイソプロパノール、トリエタノ
ールアミン、モルホリン、アンモニア水等を用いること
が出来る。
【0032】本発明に用いることのできるインクの着色
樹脂粒子は、少なくとも樹脂成分、着色剤、及びその性
質向上のため、適宜添加される添加剤からなる。
【0033】着色樹脂粒子として用いることの出来る樹
脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エス
テル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアク
リル酸エステル、ポリエチルアクリル酸エステル、スチ
レンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重
合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ化ビ
ニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン−アクリルアミド共重合体、n−
イソブチルアクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミ
ド、ポリビニルアセタール、ロジン系樹脂、塩化ビニリ
デン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル
−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂等が用いることが
出来る。
【0034】樹脂粒子の着色剤としては油溶性染料、分
散染料、顔料が用いられ、樹脂への着色性、染色性に優
れ、分散媒である水には溶解しないものが好ましい。
【0035】本発明に使用する着色樹脂粒子に用いられ
る油溶性染料、分散染料としては、C.I.ソルベント
ブラック3、5、22、C.I.ソルベントエロー1
9、44、98、104、105、112、113、1
14、C.I.ソルベントレッド8、24、71、10
9、152、155、176、177、179、C.
I.ソルベントブルー2、11、25、78、94、9
5、C.I.ソルベントグリーン26、C.I.ソルベ
ントオレンジ5、40、45、72、63、68、7
8、C.I.ソルベントバイオレット13、31、3
2、33、C.I.デイスパースエロー3、5、56、
60、64、160、C.I.デイスパースレッド4、
5、60、72、73、91、C.I.デイスパースブ
ルー3、7、56、60、79、198、C.I.デイ
スパースオレンジ13、30、等が用いられるがこれら
に限定されるものではない。
【0036】これら染料の添加量は、樹脂の種類、イン
クに対し要求されている特性等に依存して決定される
が、一般には樹脂成分に対し1〜20重量%、好ましく
は2〜15重量%の範囲が良い。
【0037】また、本発明のインクの着色樹脂粒子には
前記した顔料を使用しても良く、その添加量は樹脂に対
し、0.5〜18重量%が好ましいが、さらには1.0
〜12重量%がより好ましい。
【0038】着色樹脂粒子の比重は、水性溶媒中での沈
降や、粒子濃度の不均一化による吐出不安定の回避、ま
た均一な溶媒の浸透性をを得るために、0.95〜1.
2が好ましい。
【0039】本発明のインクに含有する式(I)の物質
は、分散媒の記録紙への浸透性を向上させる効果、また
は曇点以上に加熱されることによって分散媒と着色剤を
分離させる効果を有する。
【0040】
【化3】
【0041】上記の2つの効果について、浸透性を向上
させる効果と着色剤を分離する効果をより得やすい構
造、分子量が異なる場合は2種以上の物質を使用しても
構わない。本発明者らの実験による知見では物質Aとし
て添加する物質は分散媒と着色剤を分離させる効果が、
物質Bとして添加する物質は浸透性を向上させる効果が
大きかった。物質Aの分子量は1000以上8000以
下の範囲である。物質Aの分子量が大きいほど分散媒と
着色剤を分離させる効果も大きくなるが、例えば分子量
が10000を越えるような値になると、常温における
インク粘度も大きくなり、インクジェット記録ヘッドか
らの吐出が難しくなる為適当ではない。
【0042】式(I)で示す物質の少なくとも一つの曇
点は室温以上、且つ100℃以下であることが好まし
い。即ち曇点が室温以下になるとインク容器から記録ヘ
ッドへの供給途中や、記録ヘッド内でインクの供給不良
を起こす恐れがあるためであり、100℃以上にすると
被記録媒体への加熱温度も100℃以上必要となり、こ
れは最近高まりつつあるオフィス機器に対する省エネル
ギー化への要求に反するものであり、更に加えて、当然
記録媒体に近接するインクジェットヘッドの吐出不良の
発生、記録媒体の熱によるひずみの発生等、の問題を抱
えることになる。従って、上記の理由より式(I)で示
す物質の曇点は室温以上、且つ100℃以下であること
が好ましく、より好ましくは40℃以上、且つ70℃以
下である。
【0043】また、式中のRlはアルキル基を示し、例
えばl=4の場合はブチル基を示し、n−ブチル基、イ
ソブチル基、および/またはt−ブチル基を示してい
る。同様にl=5の場合はペンチル基を示し、n−ペン
チル基、および/またはその他の異性体を示す。これは
l=6〜18の場合についても同様である。EOはエチ
レンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、nお
よびmは繰り返し単位であって系全体での平均値を示す
ものである。また、EOとPOは分子中に存在すること
を示していているだけで、式中の順序は実際の物質の順
序と同じとは限らない。
【0044】本発明におけるインクジェット記録用イン
クは、その放置安定性の確保、インクジェット記録ヘッ
ドからの安定吐出達成等の目的で種々の添加剤を添加す
る場合がある。以下、例示する。
【0045】記録ヘッドのノズル前面におけるインクの
乾燥を抑える目的で水溶性のあるグリコール類を添加す
ることができ、その例としてはエチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、分子量2000以下のポリエチレング
リコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピ
レングリコール、イソブチレングリコール、1、4−ブ
タンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペン
タンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセリ
ン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどが
ある。
【0046】また、同様な目的で、多くの種類の糖類を
用いることもできる。その例としては単糖類および多糖
類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リ
ボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラ
クトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セ
ロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオ
ース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキスト
リン類、セルロース類を用いることができる。そしてそ
の添加量は0.05%以上で30%以下がよい。0.0
5%未満ではインクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目
詰まり現象を回復させる効果は少なく、30%を超える
とインクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなる。
一般的な糖類である単糖類および多糖類のグルコース、
マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、ア
ラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、
グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロー
ス、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい
添加量は3〜20%である。アルギン酸およびその塩、
セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎ
ない程度の添加量にする必要がある。
【0047】その他に水と相溶性を有し、インクに含ま
れる水との溶解性の低いグリコールエーテル類やインク
成分の溶解性を向上させ、さらに記録媒体、たとえば紙
に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まり
を防止するために用いることのできるものとして、エタ
ノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソ
プロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコー
ル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチ
レングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエ
チレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エ
チレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシ
ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピ
レングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレン
グリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレング
リコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモ
ノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホ
ルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソ
ルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリア
セチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して
使用することができる。
【0048】また、本発明になるインクにはさらに浸透
性を制御するため、あるいは式(I)の物質の水溶性を
向上させるために他の界面活性剤を添加することも可能
である。添加する界面活性剤は本実施例に示すインク系
との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤の
なかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例として
は、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげら
れる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ
酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−
N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ
油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾ
リン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン
アルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレ
ンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステ
ル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソル
ビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポ
リオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレン
ステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキル
エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含
フッ素系界面活性剤などがある。
【0049】また、例えば防腐剤・防かび剤として安息
香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソ
ルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2
−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキ
セルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プ
ロキセルXL−2、プロキセルTN)などを添加しても
よい。
【0050】またその他必要により、pH調整剤、溶解
助剤あるは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンな
どのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水
酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラ
メチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、
あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿
素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メ
チルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、
ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビ
ウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩など
がある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども
用いることも可能である。
【0051】
【作用】本発明によるインクジェット記録用インク、お
よびインクジェット記録方法を開発する過程で、本発明
者らは以下の知見を得た。もっとも、本発明は以下の推
論によって限定されるものではない。
【0052】従来のインクジェットインク方法において
印字画像のにじみ防止するには、にじみの原因がインク
の記録紙への濡れ広がりであることより、インクの紙へ
の浸透を極力抑えたインクを使用して、熱エネルギーに
よりインク中の溶媒成分を乾燥し、印字画像を乾燥固化
することでにじみを防止することが試みられていた。従
って、高い加熱温度と多大な熱量が必要となり、本発明
者らの実験では水系のインクにおいて少なくとも水の沸
点(100℃)以上の加熱温度が必要であった。
【0053】そこで、本発明者らは、100℃以下の曇
点を有する物質と、着色剤として顔料等の水に不溶性の
微粒子を使用したインクについて、物質の曇点以上に加
熱された記録紙上への印字を試みたところ、にじみの少
ない印字を得ることができた。しかしながらただ曇点を
有する物質を添加しただけでは、多色印字において隣り
合った色が混じり合うことを防止する為に、依然として
高い加熱温度が必要であった。
【0054】本発明者らは式(I)で表される物質Aと
物質Bという2種類の物質を使用することにより、従来
より低い温度でにじみの無い印字と、多色印字時の混色
防止との両特性を得ることに成功した。
【0055】この場合、上記Aの物質が曇点による分散
媒と着色剤との分離を促進してにじみを抑え、物質Bが
インク溶媒の浸透を促進させ多色印字時の混色を防止し
ていると考えられる。インクの浸透性を向上させるた
め、通常の界面活性剤等をインク中に添加した場合、物
質Aのような物質のにじみ防止効果を小さくするという
弊害が生じるが、本発明では物質Bという物質を使用
し、その構造を調節することによりこのような弊害を抑
えている。また、例えば物質Bが室温では水に溶けにく
い場合には、物質Aに物質Bの可溶化剤としての効果を
持たせ、且つ物質Aの曇点を室温以上、例えば70℃に
すれば、安定したインク液として使用することができ
る。
【0056】ここでいう曇点とは、特定の水溶性高分子
について、その水溶液を加熱した場合に高分子の水溶性
が低下して溶液が白濁する温度のことである。
【0057】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0058】図1は、本発明のインクジェット記録用イ
ンク、およびインクジェット記録方法の評価に用いた、
インクジェットプリンタの特徴的な構成を示す斜視図で
ある。
【0059】記録ヘッド6は圧電素子を用いる方式のイ
ンクジェット記録ヘッドであり、インク滴を力学的作用
により吐出する。例えば、これが熱エネルギーによりイ
ンク滴を吐出させる方式のヘッドを使用すると、本発明
によるインクを使用した場合、物質Aおよび物質Bの曇
点以上にインクが加熱され安定した吐出が難しくなる。
【0060】記録ヘッド6は、その複数個のノズルを任
意のマトリクスで配置しており、プラテン1と対峙した
位置に、プラテン1と平行に移動するキャリッジ装置8
に搭載されている。
【0061】また、プラテン1の内部にヒーター2を配
置し、図示しない温度感知手段により記録紙5の表面温
度を感知し、図示しないヒーター制御手段によりプラテ
ン1を加熱して、記録紙5の表面温度が40℃〜100
℃になるように制御されている。本実施例では、基本的
に記録紙5の表面温度が物60℃以上になるように制御
する。
【0062】記録ヘッド6にはインク容器7が接続さ
れ、必要に応じてインクが供給される。
【0063】プラテン1は、アルミニウム製の素管の周
囲に、表面層としてシリコーンゴム等を関層したもので
あり、紙押えローラ3と4が接していて、記録紙5をプ
ラテン1に沿わせており、図示しない駆動装置により回
転する。
【0064】以下、インクジェットプリンタの動作につ
いて説明する。
【0065】まず、インク容器7よりインクが供給さ
れ、記録ヘッド6はそのノズルから印字パターンに従っ
てインク滴を吐出し、プラテン1に内包されたヒーター
2により加熱された記録紙5上にインク像を書き込む。
インクは、記録紙5上で加熱されると、分散媒が記録紙
5へ素早く浸透して着色剤と分散媒とが分離し、着色剤
等の固形分が凝集して記録紙5上に残ることにより、に
じみや混色の無い高印字品質を得ることができる。
【0066】次に各実施例に使用した本発明のインクジ
ェット記録用インクの製造方法について説明し、最後に
各実施例のインクの特性評価について述べる。
【0067】<実施例1> (1)顔料分散液の作製:カーボンブラック カーボンブラック(三菱化学社製「MA−7」)15部
をスルホラン200部中に混合し、アイガーモーターミ
ルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填
率70%及び回転数5000rpmの条件下で1時間分
散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレ
ーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、12
0℃に加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去
したのち、150℃に温度制御した。次いで、三酸化硫
黄25部を加えて6時間反応させ、反応終了後、過剰な
スルホランで数回洗浄した後、水中に注ぎ濾過すること
で表面処理カーボンブラック顔料分散液を得た。
【0068】(2)インクジェット記録用インクの調整 実施例1では着色剤として上記実施例1(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、l
=16、m/n=1で平均分子量3500のものを物質
A(1)(曇点:60℃)、l=4、m=2、n=1の
ものを物質B(1)(曇点:40℃)として使用した。
具体的な組成を以下に示す。
【0069】添加量の表示は全て、固形分(有効成分)
換算した値で示した。以下の実施例におけるの組成中の
添加量の表示も同様である。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例1(1)の顔料分散液 5.0 物質A(1) 3.0 物質B(1) 2.0 グリセリン 12.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例1のインク組成物を得た。
【0070】<実施例2> (1)顔料分散液の作製:カーボンブラック スチレン−アクリル酸共重合体樹脂(ジョンクリル55
0;重量平均分子量=7500;酸価=200)4部、
トリエタノールアミン2.7部、及びイソプロピルアル
コール0.4部を、イオン交換水72.9部に、70℃
の加温下で完全に溶解させた。
【0071】次に、カーボンブラックMA−100(三
菱化学社製)20部を前記溶液に加え、プレミキシング
を行った後、アイガーミル(アイガージャパン社製)で
カーボンブラックの平均粒子径(二次粒子径)が100
nmになるまで分散を行い(ビーズ充填率=70%;メ
ディア径=0.7mm)、20%のカーボンブラック顔
料分散液を得た。
【0072】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例2では着色剤として上記実施例2(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、 l
=16、m/n=1.2で平均分子量6000のものを
物質A(2)(曇点:65℃)、l=5、m=3、n=
1のものを物質B(2)(曇点:55℃)として使用し
た。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例2(1)の顔料分散液 5.0 物質A(2) 2.0 物質B(2) 5.0 マルトース 10.0 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例2のインク組成物を得た。
【0073】<実施例3> (1)顔料分散液の作製:C.I.ピグメントブルー1
5:3 フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:
3)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモー
ターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ
充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時
間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバ
ポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら1
20℃に加熱し、系内に含まれる水分をできるだけ留去
した後、160℃に温度制御した。次いで、スルホン化
ピリジン錯体20部を加えて8時間反応させ、反応終了
後に過剰なキノリンで数回洗浄した後に水中に注ぎ、濾
過することで表面処理フタロシアニン顔料分散液を得
た。
【0074】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例3では着色剤として上記実施例3(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、 l
=18、m/n=1で平均分子量3200のものを物質
A(3)(曇点:54℃)、l=6、m=4、n=2の
ものを物質B(3)(曇点:50℃)として使用した。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例3(1)の顔料分散液 5.0 物質A(3) 9.0 物質B(3) 1.0 グリセリン 10.0 水酸化ナトリウム 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例3のインク組成物を得た。
【0075】<実施例4> (1)顔料分散液の作製:C.I.ピグメントイエロー
110 イソインドリノン顔料(C.I.ピグメンイエロー11
0)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモー
タミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充
填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間
分散させ、分散終了した顔料ペーストと溶剤の混合液を
エバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しなが
ら、120℃に加熱し系内に含まれる水分をできるだけ
留去した後、160℃に温度制御した。次いで、反応剤
としてスルホン化ピリジン錯体20部を加えて4時間反
応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄してか
ら水中に注ぎ、濾過することにより表面処理イソインド
リノン顔料分散液を得た。
【0076】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例4では着色剤として上記実施例4(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、l
=18、m/n=0.9で平均分子量2500の物質A
(4)(曇点:56℃)と、実施例1と同様にl=4、
m=2、n=1の物質B(1)(曇点:40℃)を使用
した。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例4(1)の顔料分散液 5.0 物質A(4) 3.0 物質B(1) 2.0 グリセリン 12.0 モノエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例4のインク組成物を得た。
【0077】<実施例5> (1)顔料分散液の作製:C.I.ピグメントレッド1
22 ジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメントレッド
122)20部をキノリン500部と混合し、アイガー
モータミルM250型(アイガージャパン社製)でビー
ズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2
時間分散させ、分散終了した顔料ペーストと溶剤の混合
液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧し
ながら、120℃に加熱し系内に含まれる水分をできる
だけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、反
応剤としてスルホン化ピリジン錯体20部を加えて4時
間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄し
てから水中に注ぎ、濾過することにより表面処理ジメチ
ルキナクリドン顔料分散液を得た。本実施例5(1)
は、前記実施例4(1)のイソインドリノン顔料をジメ
チルキナクリドン顔料(C.I.ピグメントレッド12
2)に代えたこと以外は、前記実施例4(1)と基本的
に同様な処理方法である。
【0078】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例5では着色剤として上記実施例5(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質として、 実
施例1と同様のl=16、m/n=1で平均分子量35
00の物質A(1)(曇点:60℃)と、実施例3と同
様のl=6、m=4、n=2の物質B(3)(曇点:5
0℃)を使用した。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例5(1)の顔料分散液 5.0 物質A(1) 3.0 物質B(3) 3.0 グリセリン 12.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例5のインク組成物を得た。
【0079】<実施例6> (1)顔料分散液の作製 処理するカーボンブラックをPrintex150T
(DEGUSSA社製)とすること以外は、前記実施例
1(1)に記載の操作を繰り返して、表面処理カーボン
ブラック顔料分散液を得た。
【0080】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例6では着色剤として前記実施例6(1)で得た顔
料分散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、物
質Aとして実施例1と同様の l=16、m/n=1で
平均分子量3500の物質A(1)(曇点:60℃)使
用し、物質Bについては用いなかった。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例6(1)の顔料分散液 5.0 物質A(1) 10.0 グリセリン 12.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例6のインク組成物を得た。 <実施例7> (1)顔料分散液の作製 実施例7では、前記実施例6で作製した表面処理カーボ
ンブラック顔料分散液を使用した。
【0081】(2)インクジェット記録用インクの調製 実施例7では着色剤として前記実施例6(1)の顔料分
散液を使用した。式(I)の構造の物質のうち、物質A
については使用せず、物質Bとして実施例1と同様の
l=4、m=2、n=1の物質B(1)(曇点:40
℃)を使用した。 (インクの調製) 添加量(重量%) 実施例6(1)の顔料分散液 5.0 物質B(1) 5.0 グリセリン 12.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による実施例7のインク組成物を得た。
【0082】<比較例1> (1)顔料分散液の作製 比較例1では、前記実施例2で作製したカーボンブラッ
ク顔料分散液を使用した。
【0083】(2)インクジェット記録用インクの調製 比較例1では着色剤として前記実施例2(1)の顔料分
散液を使用した。式(I)の構造の物質については使用
しなかった。
【0084】 添加量(重量%) 実施例2(1)の顔料分散液 5.0 グリセリン 15.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による比較例1のインク組成物を得た。
【0085】<比較例2> (1)顔料分散液の作製 比較例2では、前記実施例2で作製したカーボンブラッ
ク顔料分散液を使用した。
【0086】(2)インクジェット記録用インクの調製 比較例2では着色剤として前記実施例2(1)の顔料分
散液を使用した。式(I)の構造の物質として、前記実
施例1と同様のl=16、m/n=1で平均分子量35
00の物質A(1)(曇点:60℃)と、l=4、m=
2、n=1の物質B(1)(曇点:40℃)を使用し
た。
【0087】 添加量(重量%) 実施例2(1)の顔料分散液 5.0 物質A(1) 3.0 物質B(1) 3.0 グリセリン 12.0 トリエタノールアミン 0.8 イオン交換水 残量 前記成分を混合してインク組成物とした。こうして得ら
れたインク組成物を、金属メッシュフィルター(真鍋工
業株式会社製;綾織り=2300メッシュ)に通過させ
て、本発明による比較例2のインク組成物を得た。
【0088】続いて各実施例で作製したインクの特性評
価結果について示す。
【0089】<特性評価> 「1.印字画像のエッジのシャープ度」実施例1〜実施
例7、及び比較例1、比較例2のインクについて図1の
インクジェットプリンタを用いて、普通紙に対する印字
を行い印字サンプルのエッジ部分のにじみについて評価
した。加熱温度は実施例1〜実施例7、及び比較例1に
ついては60℃、比較例2については35℃とした。以
下評価基準を示す。
【0090】A :殆どの印画パターンでにじみが
なくエッジがシャープであり、 紙種による差も無い。
【0091】B :印画パターンにより若干エッジ
が乱れるが実用上問題なく、紙種による差も小さい。
【0092】C :全ての紙種、もしくは一部の紙
種で印画パターンによりエッジが乱れ、画像がぼやけて
実用に耐えない。
【0093】評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】「2.速乾性」実施例1〜実施例7、及び
比較例1、比較例2のインクについて図1のインクジェ
ットプリンタを用いて、普通紙に対する印字を行い印字
サンプルの乾燥性について評価を行った。加熱温度は実
施例1〜実施例7、及び比較例1については60℃、比
較例2については35℃とした。以下評価基準を示す。
【0096】A :5秒後指でさわっても印字物が
地汚れしない。
【0097】B :5秒後指でさわると印字物が地
汚れする。30秒後指でさわっても地汚れしない。
【0098】C :30秒後指でさわっても印字物
が地汚れする。
【0099】評価結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】「3.多色印字における隣り合う色同士の
ブリード」実施例1〜実施例7、及び比較例1、比較例
2のインクについて図1のインクジェットプリンタを用
いて、普通紙に対する多色印字のブリード評価を行っ
た。組み合わせは以下の通りである。
【0102】 組み合わせ1 Bk :実施例1のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 組み合わせ2 Bk :実施例2のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 組み合わせ3 Bk :実施例6のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 組み合わせ4 Bk :実施例7のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 組み合わせ5 Bk :比較例1のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 組み合わせ6 Bk :比較例2のインク C、Y、M:実施例3〜実施例5のインク 加熱温度は組み合わせ1〜5については60℃、組み合
わせ6については35℃とした。評価はブラックインク
と他のカラーインクとの境界部分にて行った。以下評価
基準を示す。
【0103】A :隣り合った色同士混色すること
なく、境界部分がシャープで良好な印字品質。
【0104】B :隣り合った色同士混色して、境
界部分がぼやけるが実用上問題ない。
【0105】C :隣り合った色同士混色して、境
界部分が大きくぼやけ文字等の認識が困難であり、実用
に耐えない。
【0106】評価結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】「4.放置安定性」実施例1〜実施例7、
及び比較例1、比較例2のインクをそれぞれガラス製の
サンプルビンに入れ、50℃で1週間放置し後のインク
中の析出物の有無を観察した。析出物は、インク2cc
を直径1mm、孔径10μmのフィルターに通して、5
0倍の顕微鏡観察にてフィルター上の残渣の数から判断
した。以下評価基準を示す。
【0109】A :フィルター上に残渣が200
個以下。
【0110】B :フィルター上に残渣が200
〜500個。
【0111】C :フィルター上の残渣が500
個以上。
【0112】評価結果を表4に示す。
【0113】
【表4】
【0114】「5.吐出安定性」実施例1〜実施例5、
及び比較例1〜比較例4のインクについて上記印字試験
を通して、ドット抜け、飛行曲がり等の有無により吐出
安定性を評価した。以下評価基準を示す。
【0115】A :ドット抜け、飛行曲がりが殆ど
発生せず、印字試験を通して良好な吐出である。
【0116】B :ドット抜け、飛行曲がりが時折
発生して、印字画像が乱れ、吐出が不安定である。
【0117】評価結果を表5に示す。
【0118】
【表5】
【0119】以上の評価結果から明らかなように、本発
明のインクジェット記録用インク、およびインクジェッ
ト記録方法により、特に普通紙に対する印字において、
比較的低い加熱温度で、にじみや混色の無い高品位な印
字品質が可能であり、しかも高速印字にも対応可能であ
る。しかもインクの保存安定性、吐出安定性も優れるも
のとなる。
【0120】尚、本発明はこれらの実施例に限定される
と考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り
種々の変更は可能である。
【0121】
【発明の効果】以上述べたように本発明によると、特に
普通紙に対する印字において、比較的低い加熱温度で、
にじみや混色の無い高品位な印字品質が可能であり、し
かも高速印字にも対応可能という効果を有し、インクの
保存安定性、吐出安定性も優れるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の印字評価に用いたインクジェ
ット記録装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 :プラテン 2 :ヒーター 3 :紙押えローラー 4 :紙押えローラー 5 :記録紙 6 :記録ヘッド 7 :インク容器 8 :キャリッジ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA05 FA04 FC02 HA41 2H086 BA02 BA53 BA55 BA59 BA62 4J039 AD03 AD09 AE07 BA04 BC07 BC12 BC59 BC60 BE01 BE22 CA06 EA10 EA15 EA16 EA17 EA19 EA20 EA21 EA42 EA43 EA44 EA47 GA24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドよりインクを加熱した記録媒
    体上に吐出し、記録画像を形成するインクジェット記録
    方法に用いるインクジェット記録用インクであって、 少なくとも水を主成分とする分散媒と、この分散媒中に
    均一に分散保持される着色剤と、下記式(I)で示す構
    造の物質を含有してなることを特徴とするインクジェッ
    ト記録用インク。 【化1】
  2. 【請求項2】 着色剤が硫黄含有分散性付与基を表面
    に有する表面処理顔料であることを特徴とする請求項1
    記載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 前記式(I)で示す構造の物質として、
    少なくともl=6〜18、2/3≦m/n≦3/2の範
    囲で平均分子量が1000以上8000以下である物質
    Aと、l=4〜10、m=1〜10、n=1〜5、3/
    2≦m/nの範囲の物質Bとを同時に含有することを特
    徴とする請求項1及び2記載のインクジェット記録用イ
    ンク。
  4. 【請求項4】 物質Aの含有率が2〜10%であり、物
    質Bの含有率が0.5〜5%であることを特徴とする請
    求項3記載のインクジェット記録用インク。
  5. 【請求項5】 物質A、及び物質Bの少なくとも一方の
    曇点が室温以上100℃以下の範囲であることを特徴と
    する請求項3及び4記載のインクジェット記録用イン
    ク。
  6. 【請求項6】 物質A、及び物質Bの少なくとも一方の
    曇点が40℃以上70℃以下の範囲であることを特徴と
    する請求項3〜5記載のインクジェット記録用インク。
  7. 【請求項7】 記録ヘッドより請求項1〜6記載のイン
    クを加熱した記録媒体上に吐出し、記録画像を形成する
    インクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 記録媒体の加熱温度が、前記物質A及び
    /又は物質Bの曇点以上であることを特徴とする請求項
    7記載のインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 記録ヘッドが圧電素子の力学的作用を利
    用してインク滴を吐出させる方式であることを特徴とす
    る請求項7及び8記載のインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008056862A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Pentel Corp ボールペン用水性インキ
JP2009256618A (ja) * 2008-03-19 2009-11-05 Fujifilm Corp インクジェット記録液
JP2011031615A (ja) * 2009-07-29 2011-02-17 Xerox Corp 相転移インク印刷用ローラ

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