JP2001232728A - 表面を保護された透明プラスチック複合体 - Google Patents

表面を保護された透明プラスチック複合体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明によれば、耐摩耗性および耐剥離性が
著しく改善された透明プラスチック複合体が提供され
る。 【解決手段】 透明プラスチック基材表面に、第1層と
して、樹脂成分の少なくとも50重量%がアクリル樹脂
であって、かつ該アクリル樹脂は、アルキルメタクリレ
ートに基づく繰返し単位を50モル%以上含むアクリル
樹脂である樹脂組成物から形成される塗膜層(I)が積
層され、その第1層上に第2層として、下記a成分、b
成分およびc成分(A)コロイダルシリカ(a成分)
(B)トリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成
分)および(C)テトラアルコキシシランの加水分解縮
合物(c成分)より形成されたオルガノシロキサン樹脂
であって、該オルガノシロキサン樹脂は、a成分が5〜
45重量%、b成分が50〜80重量%およびc成分が
2〜30重量%である樹脂組成物の熱硬化塗膜層(I
I)が積層された表面を保護された透明プラスチック複
合体、およびこの複合体の窓ガラスへの使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面を保護された透
明プラスチック複合体に関する。さらに詳しくは透明プ
ラスチック基材表面上にアクリル樹脂を主とする層とオ
ルガノシロキサン樹脂の硬化物層とが順次積層された、
耐摩耗性および耐剥離性が著しく改善された透明プラス
チック複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は、耐衝撃性、軽量
性、加工性等の特長を生かして、多方面の用途で使用さ
れている。特に、透明プラスチックであるアクリル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂等はガラス
の代替として幅広く利用されている。しかし、これらの
樹脂は耐摩耗性に乏しく表面が傷つきやすく、また溶剤
に侵されやすい等の欠点を有している。
【0003】近年、その軽量性、安全性を活かして窓ガ
ラス、ことに自動車の窓ガラスに有機ガラスとして透明
プラスチックシートを適用しようとする動きがある。こ
のような用途に透明プラスチックシートを適用する場
合、例えば前面ガラスではワイパー作動時のすり傷発生
を防止する必要があり、サイドウィンドーではウィンド
ー昇降時のすり傷発生を防止する必要がある。このよう
な用途ではガラス並みの特に高いレベルの耐摩耗性が要
求される。
【0004】また自動車窓ガラスは屋外の様々な環境に
長期間さらされる。このような用途では、ガラス並みの
高いレベルの耐摩耗性および耐候性が要求される。
【0005】これらの欠点を改良する目的で、従来から
プラスチック基材に必要であれば接着層を形成し、その
表面をシロキサン系の硬化被膜を被覆することにより耐
摩耗性を改良する数多くの提案がなされてきている。例
えば特開昭51−2736号公報および特開昭55−9
4971号公報にはトリヒドロキシシラン部分縮合物と
コロイダルシリカからなるコーティング用組成物が記載
されている。また、特開昭48−26822号公報およ
び特開昭51−33128号公報にはアルキルトリアル
コキシシランとテトラアルコキシシランとの部分縮合物
を主成分とするコーティング用組成物が記載されてい
る。しかしながら、トリヒドロキシシラン部分縮合物と
コロイダルシリカからなるコーティング用組成物や、ア
ルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシラン
との部分縮合物を主成分とするコーティング用組成物か
ら得られる硬化被膜を透明プラスチック基材に積層した
ものはある程度の優れた耐摩耗性を有しているが、特に
自動車窓ガラス等の用途に対して耐摩耗性は十分でな
く、さらなる耐摩耗性の改良が求められている。
【0006】さらに特開昭63−278979号公報お
よび特開平1−306476号公報にはアルキルトリア
ルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮合物に
コロイドダルシリカを添加したコーティング用組成物が
記載されている。しかしながら、これらのコーティング
用組成物は主として、天然大理石や金属など無機物の表
面保護を目的に開発されており、プラスチック基材上に
良好な密着性を持った保護層を形成することを保証して
いない。実際に前記特許記載のコーティング用組成物を
ポリカーボネート樹脂上に接着層を介して形成したとこ
ろコロイダルシリカ、トリアルコキシシラン、テトラア
ルコキシシランの組成比についてプラスチック上に保護
層を形成するという観点からの十分な検討がなされてい
ないために、コート層の加熱硬化時にコート層にクラッ
クが入ったり、十分な耐摩耗性が得られなかったりし
た。また、初期の加熱硬化時には、クラックの発生がな
く、十分な耐摩耗性が得られる組成でも、再度加熱また
は沸騰水に浸漬するなどの処理を行うと、硬化反応がほ
ぼ完全に進行すること、およびプラスチック基材とコー
ト層の熱膨張率が異なることが原因でコート層にクラッ
クが発生するという問題があり、プラスチック基材に適
用するという観点から、さらなる改良が求められてい
る。
【0007】また、ポリカーボネート樹脂基材表面上に
接着層(プライマー層)およびシロキサン系樹脂硬化被
膜を積層した被覆プラスチック成形体において、接着層
に紫外線吸収剤を含有せしめることにより、耐候性を改
良する数多くの提案がなされてきている。例えば特開昭
61−86259号公報、特開平2−16048号公
報、特開平2−16129号公報、特開平4−1061
61号公報および特開平5−255526号公報などを
挙げることができる。
【0008】このように接着層に紫外線吸収剤を含有せ
しめることにより耐候性が改善されるが、紫外線吸収剤
の種類によっては、トップ層コート時に紫外線吸収剤が
トップ層用コート液に染み出す結果、トップ層の耐摩耗
性が低下したり、長期の屋外暴露により添加した紫外線
吸収剤がブリードアウトして、コーティング膜が剥離し
たり、ポリカーボネート樹脂成形体が黄変したりするな
どの問題が生じることがあるので紫外線吸収剤の選択は
注意が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、従来にない高いレベルの耐摩耗性を有する硬化被膜
で表面を保護された透明プラスチック複合体を提供する
ことにある。
【0010】本発明の第2の目的は、屋外にさらした環
境条件においても、硬化被膜層にクラックの発生は起ら
ず、また紫外線吸収剤のブリードアウトも発生しない透
明プラスチック複合体を提供することにある。
【0011】本発明の第3の目的は、長期間の使用にお
いて透明プラスチック基材の表面に施された被膜層が、
剥離せず、また透明プラスチック基材の黄変や劣化が極
めて少ない透明プラスチック複合体を提供することにあ
る。
【0012】本発明の他の目的は、自動車、電車および
航空機などの軽量化が要望されている輸送機器におい
て、軽量で、長期間の使用において透明性が失われない
窓ガラス用に適した透明プラスチック複合体を提供する
ことにある。
【0013】そこで本発明者は、前記本発明の目的を達
成するため鋭意研究を重ねた結果、透明プラスチック基
材表面に、特定組成を有するアクリル樹脂塗膜層(第1
層)およびその塗膜層の表面に特定組成を有するオルガ
ノシロキサン樹脂硬化層(第2層)を積層した複合体
は、従来にない高いレベルの耐摩耗性を有する表面特性
を有すること、屋外にさらした環境条件下において、耐
剥離性に優れクラックの発生量も極めて少ないこと、長
期間の使用においても透明性も維持され、紫外線に対し
ても黄変や劣化が少ないことを見出し本発明に到達し
た。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、透明プラスチック表面に、第1層として、樹脂成分
の少なくとも50重量%がアクリル樹脂であって、かつ
該アクリル樹脂は、下記式(I−a)
【0015】
【化20】
【0016】(ただし、式中R1は炭素数1〜4のアル
キル基である。)で示される繰返し単位を50モル%以
上含むアクリル樹脂である樹脂組成物から形成される塗
膜層(I)が積層され、その第1層上に第2層として、
下記a成分、b成分およびc成分 (A)コロイダルシリカ(a成分) (B)下記式(II−1)で表されるトリアルコキシシ
ランの加水分解縮合物(b成分)
【0017】
【化21】
【0018】(ただし、式中R2は炭素数1〜4のアル
キル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ
基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキ
シル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された
炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は炭素数1〜4
のアルキル基である。)および (C)下記式(II−2)で表されるテトラアルコキシ
シランの加水分解縮合物(c成分)
【0019】
【化22】
【0020】(ただし、式中R4は炭素数1〜4のアル
キル基である。)より形成されたオルガノシロキサン樹
脂であって、該オルガノシロキサン樹脂は、a成分が5
〜45重量%、b成分がR2SiO3/2として換算して5
0〜80重量%およびc成分がSiO2として換算して
2〜30重量%である樹脂組成物の熱硬化塗膜層(I
I)が積層された表面を保護された透明プラスチック複
合体が提供される。
【0021】以下本発明の透明プラスチック複合体につ
いてさらに詳細に説明する。本発明の透明プラスチック
複合体は、簡単に説明すると透明プラスチック基材、そ
の表面に形成された特定のアクリル樹脂組成物からなる
塗膜層(第1層)およびその第1層の表面に形成された
特定のオルガノシロキサン樹脂組成物からなる硬化塗膜
層(第2層)より構成される。第1層および第2層は透
明プラスチック基材の片面または両面のいずれに形成さ
れていてもよい。
【0022】本明細書においては、透明プラスチック複
合体を構成する、透明プラスチック基材、塗膜層(第1
層)および硬化塗膜層(第2層)の順序に従って、それ
ぞれを具体的かつ詳細に説明する。
【0023】本発明の透明プラスチック複合体を構成す
る透明プラスチック基材は、透明なフィルム、シートあ
るいはボード状の形状したプラスチック成形体である。
ここで透明とは、プラスチック成形体のヘーズ値が10
%以下、好ましくは8%以下の透明性を有するものをい
う。そして透明プラスチック基材は、0.001〜10
mm、好ましくは0.02〜8mmであり、特に透明プ
ラスチック基材を形成するプラスチックが芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の場合好ましくは0.1〜8mmの厚さ
を有するものが利用される。この厚さは、必ずしも均一
である必要はなく、ゆるやかな厚みの変化を有していて
も何等差支えない。
【0024】透明プラスチック基材を形成するプラスチ
ックは、前記透明性および形状を有するプラスチックで
あればよいが、具体的には、(a)芳香族ポリカーボネ
ート樹脂;(b)ポリメチルメタクリレート等のアクリ
ル樹脂;(c)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタ
レート)等のポリエステル樹脂;(d)ポリスチレン;
(e)ポリプロピレン;(f)ポリアリレート、および
(g)ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。第1層
との接着性および優れた耐摩耗性を有する基材としての
有用性等により(a)ポリカーボネート樹脂および
(b)ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が好
ましく、特に(a)ポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0025】次に、透明プラスチック基材として適した
芳香族ポリカーボネート樹脂について説明する。
【0026】使用されるポリカーボネート樹脂は、通常
二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法
または溶融重合法で反応させて得られるものである。こ
こで使用される二価フェノールの代表的な例としては、
例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、
2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒド
ロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒ
ドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレ
ン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−
ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,
α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプ
ロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
ケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルお
よび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙
げられ、なかでも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)アルカン類が好ましく、特に、ビスフェノールAが
好ましく使用される。これらは単独または2種以上を混
合して使用できる。
【0027】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0028】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融重合法によって反応させてポ
リカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じ
て触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を
使用してもよい。また、ポリカーボネート樹脂は三官能
以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカー
ボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能
性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹
脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹
脂の2種以上の混合物であってもよい。
【0029】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0030】また、かかる溶液重合において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、例えばフェノール、
p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノー
ルおよびイソオクチルフェノールが挙げられ、なかでも
p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
【0031】溶融重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネー
トエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコ
ールまたはフェノールを留出させる方法により行われ
る。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの
沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲で
ある。反応後期には反応系を1,300Pa〜13Pa
(10〜0.1Torr)程度に減圧して生成するアル
コールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時
間は通常1〜4時間程度である。
【0032】得られるポリカーボネート樹脂は、そのポ
リマー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、
20℃で測定した比粘度で表して0.25〜0.6好ま
しくは0.3〜0.55の範囲となるものが好ましい。
上記製造方法により得られたポリカーボネート樹脂は、
通常のフィルムやシートの製造法、例えばTダイ押出機
により溶融押出法で成形する方法によって、本発明で使
用される所望の厚さのポリカーボネート樹脂基材を得る
ことができる。
【0033】本発明の透明プラスチック複合体は、前記
透明プラスチック基材の表面に、第1層として樹脂成分
の少なくとも50重量%がアクリル樹脂よりなる樹脂組
成物から形成される塗膜層(I)が積層されている。こ
の塗膜層(I)は、透明プラスチック基材と熱硬化塗膜
層(II)との間に介在し、両者を強固に接着させる役
割を果す。
【0034】この第1層の塗膜層(I)の主成分である
アクリル樹脂は、下記式(I−a)
【0035】
【化23】
【0036】(ただし、式中R1は炭素数1〜4のアル
キル基である。)で示される繰返し単位を全繰返し単位
中50モル%以上含む重合体である。このアクリル樹脂
は、全繰返し単位中、前記式(I−a)の繰返し単位を
60モル%以上含むのが好ましく、70モル%以上含む
のがより好ましい。アクリル樹脂として、前記式(I−
a)の繰返し単位が50モル%未満のものは、透明プラ
スチック基材と第2層の熱硬化塗膜層(II)との密着
性が劣り好ましくない。
【0037】上記アクリル樹脂は、50モル%以上のア
ルキルメタクリレートモノマーと50モル%以下のビニ
ル系モノマーを重合して得られるポリマーである。アル
キルメタクリレートモノマーとしては、具体的にはメチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメ
タクリレートおよびブチルメタクリレートが挙げられ、
これらは単独または2種以上を混合して使用できる。な
かでもメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレー
トが好ましい。特にメチルメタクリレートが優れてい
る。
【0038】また、他のビニル系モノマーとしてはアル
キルメタクリレートモノマーと共重合可能なものであ
り、ことに接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、ア
クリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体が好まし
く使用される。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等
が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使
用できる。また、アクリル樹脂の2種以上を混合した混
合物であってもよい。
【0039】また、かかるアクリル樹脂は、熱硬化型で
あることが好ましく、そのため0.01モル%以上50
モル%未満の架橋性の反応基を持つビニル系モノマーを
含有することが望ましい。かかる架橋性の反応基を持つ
ビニル系モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】上記アクリル樹脂の分子量は、重量平均分
子量で20,000〜600,000が好ましく、5
0,000〜400,000がより好ましい。かかる分
子量範囲の上記アクリル樹脂は、第1層としての密着性
や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
【0041】本発明において、透明プラスチック基板表
面に積層される塗膜層(I)は、前記アクリル樹脂が少
なくとも50重量%含有される樹脂組成物より形成され
る。樹脂組成物中の前記アクリル樹脂の含有割合は、少
なくとも60重量%であることが好ましい。
【0042】本発明において、透明プラスチック基板表
面に積層される塗膜層(I)を形成するアクリル樹脂
は、後述する共重合アクリル樹脂であることができる。
この共重合アクリル樹脂は、塗膜層(I)を形成するア
クリル樹脂として好ましい態様である。
【0043】すなわち、共重合アクリル樹脂は、前記式
(I−a)および下記式(I−b)および/または(I
−c)
【0044】
【化24】
【0045】(ただし、式中Xは水素原子もしくはメチ
ル基であり、R5は炭素数2〜5のアルキレン基であ
り、R6は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0ま
たは1の整数である。)
【0046】
【化25】
【0047】(ただし、式中Yは水素原子もしくはメチ
ル基であり、R9は炭素数2〜5のアルキレン基であ
る。)で示される繰返し単位からなる共重合アクリル樹
脂であり、該共重合アクリル樹脂は、(I−a):
〔(I−b)+(I−c)〕の単位割合がモル比で9
9.5:0.5〜50:50の範囲のものである。
【0048】この共重合アクリル樹脂は、(I−a):
〔(I−b)+(I−c)〕の単位割合がモル比で9
9:1〜60:40の範囲が好ましく、97:3〜7
0:30の範囲がより好ましい。
【0049】かかる共重合アクリル樹脂は、前記アルキ
ルメタクリレートモノマーに対して、アルコキシシリル
基を有するアクリレート(またはメタクリレート)モノ
マーおよび/またはヒドロキシ基を有するアクリレート
(またはメタクリレート)モノマーを共重合成分として
共重合することにより得ることができる。前記式(I−
b)を示す繰返し単位を与えるアルコキシシリル基を有
するアクリレート(またはメタクリレート)モノマーと
しては、具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランお
よび3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
等が挙げられ、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ランおよび3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシランが好ましく、特に3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランが好ましく使用される。
【0050】アルコキシシリル基を有するアクリレート
(またはメタクリレート)モノマーをアルキルメタクリ
レートモノマーに共重合して得られた共重合アクリル樹
脂を使用することにより、第2層のオルガノシロキサン
樹脂熱硬化層との接着性がより高まり、透明プラスチッ
ク複合体の耐熱水性がさらに向上し、また、上記割合の
範囲で共重合したものは、ゲル化し難く保存安定性に優
れる。かかる共重合アクリル樹脂は、アルコキシシリル
基を有するため、第2層と構造的に類似しており親和性
があるため、第2層との密着性がより高まるものと推定
される。
【0051】一方前記式(I−c)を示す繰返し単位を
与えるヒドロキシ基を有するアクリレート(またはメタ
クリレート)モノマーとしては、具体的には、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよ
び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げら
れ、なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好
ましく採用される。
【0052】次に、共重合アクリル樹脂の他の好ましい
態様について説明する。この他の態様は、前記共重合ア
クリル樹脂として、さらに紫外線吸収剤残基を有するア
クリレート(またはメタクリレート)を共重合した樹脂
である。
【0053】すなわち、他の態様としての共重合アクリ
ル樹脂は、下記式(I−d)
【0054】
【化26】
【0055】(ただし、式中Zは水素原子もしくはメチ
ル基であり、R10は炭素数2〜5のアルキレン基であ
り、Wは紫外線吸収剤残基を示す)で示される単位を、
前記式(I−a)と〔(I−b)+(I−c)〕との合
計単位当り、0.3〜40モル%含有する共重合アクリ
ル樹脂である。
【0056】前記式(I−d)で表される紫外線吸収剤
残基を有するアクリレート(またはメタクリレート)単
位は、前記式(I−a)と〔(I−b)+(I−c)〕
との合計単位当り、0.3〜40モル%好ましくは0.
5〜30モル%含有される。
【0057】ここで紫外線吸収剤残基とは、紫外線吸収
剤としての機能を有する誘導体基を意味し、前記式(I
−d)において基R10を介してアクリレート(またはメ
タクリレート)のカルボキシル基とエステル結合した紫
外線吸収剤の基を意味する。
【0058】この式(I−d)を示す繰返し単位を与え
る紫外線吸収剤残基を有するアクリレート(またはメタ
クリレート)モノマーとしては、具体的には2−(2′
−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−
メタクリロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシプ
ロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒ
ドロキシ−5′−メタクリロキシプロポキシフェニル)
−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′
−メタクリロキシエチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−メタク
リロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−メタクリ
ロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタク
リロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−(メタクリロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキ
シ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリ
ロイルオキシエチル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0059】前記式(I−d)を示す繰返し単位を含有
する共重合アクリル樹脂を塗膜層(I)の樹脂成分とし
て使用することにより、耐候性が優れた透明プラスチッ
ク複合体を得ることができる。さらに塗膜層(I)のア
クリル樹脂成分中に、紫外線吸収剤を配合する場合、そ
の配合量を少なくすることができる。すなわち、アクリ
ル樹脂中に多量の紫外線吸収剤を配合した場合、紫外線
吸収剤がブリードアウトすることがあるが、その弊害を
軽減することができる。
【0060】本発明の塗膜層(I)におけるアクリル樹
脂中には、アルコキシシランの加水分解縮合物を配合す
ることができる。すなわち、塗膜層(I)として前記ア
クリル樹脂および下記式(I−e)で示されるアルコキ
シシランの加水分解縮合物の混合物よりなり、該アクリ
ル樹脂:該加水分解縮合物の割合が重量で99:1〜6
0:40、好ましくは97:3〜70:30の範囲であ
る混合物より形成される層が使用される。この割合は、
加水分解縮合物をR7r−SiO4-r/2として換算した量
で示す。
【0061】
【化27】
【0062】(ただし、式中R7は炭素数1〜4のアル
キル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ
基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキ
シル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された
炭素数1〜3のアルキル基であり、R8は炭素数1〜4
のアルキル基であり、rは0〜2の整数である。)
【0063】前記式(I−e)で表されるアルコキシシ
ランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラn−プロポキシシシラン、テトラ
イソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テ
トライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ア
ミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、な
かでもアルキルトリアルコキシシランが好ましく、特に
メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシ
ランが好ましい。これらは単独もしくは混合して使用で
きる。
【0064】このアルコキシシランの加水分解縮合物は
酸性条件下、前記式(I−e)のアルコキシシランのア
ルコキシ基1当量に対して通常0.2〜4当量、好まし
くは0.5〜2当量、さらに好ましくは1〜1.5当量
の水を用いて20〜40℃で1時間〜数日間加水分解縮
合反応させることによって得られる。該加水分解縮合反
応には酸が使用され、かかる酸としては塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無
機酸またはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ
酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホ
ン酸等の有機酸が挙げられ、酢酸や塩酸などの揮発性の
酸が好ましい。該酸は無機酸を使用する場合は通常0.
0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.1規定
の濃度で使用し、有機酸を使用する場合はアルコキシシ
ラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好まし
くは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0065】かかるアルコキシシラン加水分解縮合物を
配合する場合には、好ましくはさらに該アルコキシシラ
ン加水分解縮合物の縮合反応を促進する目的で触媒が添
加される。かかる触媒としてはギ酸、プロピオン酸、酪
酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリ
チウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属
塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、テトラメチル
アンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の四級
アンモニウム塩が挙げられ、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましく
使用される。かかる触媒はアルコキシシラン加水分解縮
合物100重量部に対して好ましくは0.5〜10重量
部、より好ましくは1〜5重量部の範囲で使用される。
【0066】本発明の塗膜層(I)におけるアクリル樹
脂中には、前記式(I−e)の加水分解縮合物を混合し
た場合にさらにメラミン樹脂を配合することができる。
メラミン樹脂を配合することによって、透明プラスチッ
ク基板と硬化塗膜層(II)との密着性などの物性を改
良することができる。配合するメラミン樹脂としては、
例えばヘキサメトキシメチルメラミンに代表される完全
アルキル型メチル化メラミン、ヘキサメトキシメチルメ
ラミンのメトキシメチル基の一部がメチロール基になっ
たもの、イミノ基になったもの、ブトキシメチル基にな
ったもの、あるいはヘキサブトキシメチルメラミンに代
表される完全アルキル型ブチル化メラミン等が挙げら
れ、具体的には三井サイテック(株)製のサイメル30
0、サイメル301、サイメル303、サイメル35
0、サイメル370、サイメル771、サイメル32
5、サイメル712、サイメル202、サイメル20
7、サイメル212等が挙げられる。かかる樹脂の中で
ヘキサメトキシメチル化メラミンに代表される完全アル
キル型メチル化メラミンが好ましく使用される。かかる
樹脂としては具体的には三井サイテック(株)製のサイ
メル300(平均重合度1.35、メトキシメチル基の
比率95%以上)、サイメル301(平均重合度1.
5、メトキシメチル基の比率90%以上)、サイメル3
03(平均重合度1.7、メトキシメチル基の比率90
%以上)、サイメル350(平均重合度1.6、メトキ
シメチル基の比率85%以上)が挙げられる。これらの
メラミン樹脂は単独もしくは混合して使用される。メラ
ミン樹脂を使用する場合には、好ましくはさらに該メラ
ミン樹脂の硬化を促進するため酸触媒が添加して使用さ
れる。かかる酸触媒としては塩酸、硫酸、硝酸、リン
酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、マ
レイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ
酸、コハク酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエ
ンスルホン酸等の有機酸が用いられ、好ましくはマレイ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸の
ように十分な酸性度を持つ不揮発性の酸が用いられる。
かかる酸触媒はメラミン樹脂100重量部に対して好ま
しくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜5重量
部の範囲で使用される。
【0067】メラミン樹脂の好ましい配合量は、アクリ
ル樹脂および前記式(I−e)で示される化合物の加水
分解縮合物の合計100重量部に対して1〜20重量部
が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。このよう
な範囲で混合することにより、この塗膜層(I)は透明
プラスチック基材および硬化塗膜層(II)との良好な
密着性を保つことができる。
【0068】また本発明の塗膜層(I)におけるアクリ
ル樹脂中には、透明プラスチック基材の耐候性、ことに
光安定化のために、光安定剤および紫外線吸収剤を配合
することができる。これらは、通常プラスチックの光安
定剤および紫外線吸収剤として使用されているものであ
ればよいが、とりわけ透明プラスチック基材の透明性を
失わないものが望ましい。
【0069】該光安定剤としては、例えばビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネ
ート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイル
オキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバ
メート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フ
ェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケル
ビス(オクチルフェニル)サルファイド、ニッケルコン
プレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオ
カーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これら光
安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜
層(I)のアクリル樹脂100重量部に対して好ましく
は0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜10重
量部用いられる。
【0070】また、該紫外線吸収剤としては、例えば
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、4−ベンジロキシ−2−ヒ
ドロキシベンゾフェノン、4−ドテシロキシ−2−ヒド
ロキシベンゾフェノン、2−2′−ジヒドロキシ−4,
4′−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイ
ル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、
等のベンゾフェノン類、2−(2′−ヒドロキシ−5′
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−
ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−
2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t
−ペンチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル
−6−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジル)
フェノール、ビス(3−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル−2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)
メタン等のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ
−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシ
ル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等の
シアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p−オ
クチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエ
チル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2
−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジ
リデンマロネート類、2−(4,6−ジフェニル−1,
3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフ
ェノール等のトリアジン類が挙げられる。これらの剤は
単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0071】紫外線吸収剤としては、ある特定組成の混
合溶媒に対して一定割合以上溶解しないものが好まし
い。このような特徴を持つ紫外線吸収剤を用いた場合、
硬化塗膜層(II)用塗装液塗装時に硬化塗膜層(I
I)用塗装液中に溶出しないため、硬化塗膜層(II)
の耐摩耗性を損うことがなく、耐摩耗性および耐候性に
優れた透明プラスチック複合体を得ることができる。す
なわち、紫外線吸収剤として、イソプロパノール100
重量部、メタノール30重量部、水15重量部からなる
混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度が1.5
g/L以下のものを好ましく使用することができる。
【0072】かかる紫外線吸収剤としては具体的には4
−ベンジロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ビス
(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェ
ニル)メタン、等のベンゾフェノン類、2−(2′−ヒ
ドロキシ−5′−t−オクチフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−
ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t
−ペンチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル
−6−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジル)
フェノール、ビス(3−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル−2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)
メタン等のベンゾトリアゾール類、2−(4,6−ジフ
ェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘ
キシロキシフェノール等のトリアジン類が挙げられる。
【0073】また、透明プラスチック基材を形成するプ
ラスチックが芳香族ポリカーボネート樹脂の場合、特に
好ましい紫外線吸収剤として、2−(3’−t−ブチル
−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−
オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4,6
−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−
5−ヘキシロキシフェノールが挙げられる。
【0074】前述した種々の紫外線吸収剤は、塗膜層
(Iのアクリル樹脂100重量部に対して、0.7〜1
00重量部、好ましくは3〜60重量部、I)で表され
る紫外線吸収剤残基を有する共重合アクリル樹脂を使用
する場合、前記式(I−d)単位の重量と紫外線吸収剤
の重量の和が前記範囲内になるように配合される。すな
わち、本明細書において紫外線吸収剤の量を表す場合、
紫外線吸収剤は、添加される紫外線吸収剤の他に、共重
合アクリル樹脂として前記式(I−d)の繰返し単位が
含まれている時には、式(I−d)の紫外線吸収剤残基
の量(つまりWの合計量)も含めた量として計算するこ
ととする。
【0075】本発明において、透明プラスチック基板の
表面に、第1層の塗膜層(I)を形成する方法は、前記
アクリル樹脂を適当な溶媒に溶解してコートし、溶媒を
除去する方法が一般的であり好ましい。すなわち、前記
アクリル樹脂成分(共重合アクリル樹脂および他の樹脂
配合物を含む)を、必要に応じて、光安定剤および/ま
たは紫外線吸収剤と一緒に基材である透明プラスチック
と反応したり該透明プラスチックを溶解したりしない揮
発性の溶媒に溶解して、このコーティング組成物を調製
して透明プラスチック基材表面に塗布し、次いで該溶媒
を加熱等により除去することにより行われる。必要であ
れば溶媒の除去後にさらに40〜140℃に加熱して架
橋性基を架橋させることも好ましく行われる。
【0076】かかる溶媒としてはアセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エ
チル、酢酸エトキシエチル等のエステル類;メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1
−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル
−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等のアル
コール類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、
灯油等の炭化水素類;アセトニトリル、ニトロメタン、
水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種
以上を混合して使用してもよい。かかるコーティング組
成物中の塗膜樹脂からなる固形分の濃度は1〜50重量
%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
【0077】上記コーティング組成物のプラスチック基
材への塗布はバーコート法、ディップコート法、フロー
コート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラ
ーコート法等の方法を、塗装される基材の大きさや形状
に応じて適宜選択することができる。かかるコーティン
グ組成物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱
変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去が行われ、さ
らに必要であれば溶媒の除去後に40〜140℃に加熱
して架橋性基を架橋させ、第1層としての塗膜層(I)
を積層した透明プラスチック基材が得られる。
【0078】第1層の塗膜層(I)の厚さは、透明プラ
スチック基材と第2層とを十分に接着し、また、前記種
々の添加剤の必要量を保持し得るのに必要な膜厚であれ
ばよく、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ま
しくは1〜5μmである。
【0079】前記アクリル樹脂を主とする塗膜層からな
る第1層を形成することにより、第2層と透明プラスチ
ック基材との密着性が良好となり、耐摩耗性および耐候
性に優れた透明プラスチック複合体を得ることができ
る。
【0080】本発明の透明プラスチック複合体は、前記
した透明プラスチック基板表面に積層された塗膜層
(I)の表面にさらに特定組成のオルガノシロキサン樹
脂よりなる熱硬化塗膜層(II)が第2層として積層さ
れている。
【0081】この第2層は、下記a成分、b成分および
c成分 (A)コロイダルシリカ(a成分) (B)下記式(II−1)で表されるトリアルコキシシ
ランの加水分解縮合物(b成分)
【0082】
【化28】
【0083】(ただし、式中R2は炭素数1〜4のアル
キル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ
基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキ
シル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された
炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は炭素数1〜4
のアルキル基である。)および (C)下記式(II−2)で表されるテトラアルコキシ
シランの加水分解縮合物(c成分)
【0084】
【化29】
【0085】(ただし、式中R4は炭素数1〜4のアル
キル基である。)より形成されたオルガノシロキサン樹
脂であって、該オルガノシロキサン樹脂は、a成分が5
〜45重量%、b成分がR2SiO3/2として換算して5
0〜80重量%およびc成分がSiO2として換算して
2〜30重量%である樹脂組成物の熱硬化塗膜層(I
I)である。
【0086】第2層は、好適には上記(A)コロイダル
シリカ(a成分)、(B)トリアルコキシシランの加水
分解縮合物(b成分)および(C)テトラアルコキシシ
ランの加水分解縮合物(c成分)からなるオルガノシロ
キサン樹脂固形分、酸、硬化触媒および溶媒からなるコ
ーティング用組成物を用いて形成される。次に前記a成
分、b成分およびc成分のそれぞれについて説明する。
【0087】a成分のコロイダルシリカとしては直径5
〜200nm、好ましくは5〜40nmのシリカ微粒子
が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたもので
ある。該コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒
分散型のどちらでも使用できるが、水分散型のものを用
いるのが好ましい。かかるコロイダルシリカとして、具
体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化
学工業(株)製のスノーテックスO、塩基性水溶液中で
分散させた商品として日産化学工業(株)製のスノーテ
ックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)
製のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に
分散させた商品として日産化学工業(株)製のMA−S
T、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG
−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST
等が挙げられる。
【0088】b成分であるトリアルコキシシランの加水
分解縮合物は、前記式(II−1)のトリアルコキシシ
ランを加水分解縮合反応させたものである。
【0089】かかるトリアルコキシシランとしては、例
えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエ
トキシシランなどが挙げられ、これらは単独もしくは混
合して使用できる。
【0090】また、特に耐摩耗性に優れたコート層を形
成するコーティング用組成物を得るためには全トリアル
コキシシラン中70重量%以上がメチルトリアルコキシ
シランであることが好ましく、実質的に全量がメチルト
リアルコキシシランであることがさらに好ましい。ただ
し密着性の改善、親水性、撥水性等の機能発現を目的と
して少量のメチルトリアルコキシシラン以外の上記トリ
アルコキシシラン類を添加することもできる。
【0091】c成分であるテトラアルコキシシランの加
水分解縮合物は前記式(II−2)のテトラアルコキシ
シランを加水分解縮合反応させたものである。かかるテ
トラアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシ
シシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブ
トキシシラン、テトライソブトキシシランなどが挙げら
れ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シランである。これらのテトラアルコキシシランは単独
もしくは混合して使用できる。
【0092】b成分およびc成分は、該アルコキシシラ
ンの一部または全部が加水分解したものおよび該加水分
解物の一部または全部が縮合反応した縮合物等の混合物
であり、これらはゾルゲル反応をさせることにより得ら
れるものである。
【0093】a〜c成分からなるオルガノシロキサン樹
脂固形分は、以下の(1)および(2)からなるプロセ
スを経て調製することが、沈殿の生成がなく、より耐摩
耗性に優れる硬化層(II)を得ることができ好ましく
採用される。
【0094】プロセス(1):コロイダルシリカ分散液
中で前記式(II−1)のトリアルコキシシランを酸性
条件下加水分解縮合反応させる。
【0095】ここで、トリアルコキシシランの加水分解
反応に必要な水は水分散型のコロイダルシリカ分散液を
使用した場合はこの分散液から供給され、必要であれば
さらに水を加えてもよい。その際トリアルコキシシラン
1当量に対して通常1〜10当量、好ましくは1.5〜
7当量、さらに好ましくは3〜5当量の水が用いられ
る。
【0096】前述のようにトリアルコキシシランの加水
分解縮合反応は、酸性条件下で行う必要があり、かかる
条件で加水分解を行うために一般的には加水分解剤とし
て酸が使用される。かかる酸は、あらかじめトリアルコ
キシシランまたはコロイダルシリカ分散液に添加する
か、両者を混合後に添加してもよい。また酸の添加は1
回あるいは2回以上に分けることもできる。かかる酸と
しては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、
スルファミン酸等の無機酸またはギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、
パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHの
コントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機
カルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0097】かかる酸として無機酸を使用する場合は通
常0.0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.
1規定の濃度で使用し、有機酸を使用する場合はトリア
ルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量
部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0098】トリアルコキシシランの加水分解、縮合反
応の条件は使用するトリアルコキシシランの種類、反応
系中に共存するコロイダルシリカの種類および量によっ
て変化するので一概には云えないが、通常、反応系の温
度が20〜40℃、反応時間が1時間〜数日間である。
【0099】プロセス(2):(i)プロセス(1)の
反応で得られた反応液に前記式(II−2)のテトラア
ルコキシシランを添加し、加水分解縮合反応せしめる、
または(ii)プロセス(1)の反応で得られた反応液
と、あらかじめ前記式(II−2)のテトラアルコキシ
シランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混
合する。
【0100】(i)プロセス(1)の反応で得られた反
応液にテトラアルコキシシランを添加し加水分解縮合反
応せしめる場合、この加水分解縮合反応は酸性条件下で
行われる。プロセス(1)の反応で得られた反応液は通
常、酸性で水を含んでいるのでテトラアルコキシシラン
はそのまま添加するだけでもよいし、必要であればさら
に水および酸を添加してもよい。かかる酸としては前記
した酸と同様のものが使用され、酢酸や塩酸などの揮発
性の酸が好ましい。該酸は無機酸を使用する場合は通常
0.0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.1
規定の濃度で使用し、有機酸を使用する場合はテトラア
ルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量
部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0101】加水分解反応に必要な水はテトラアルコキ
シシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましく
は2〜50当量、さらに好ましくは4〜30当量の水が
用いられる。
【0102】テトラアルコキシシランの加水分解および
縮合反応の条件は使用するテトラアルコキシシランの種
類および反応系中に共存するコロイダルシリカの種類お
よび量によって変化するので一概には云えないが、通
常、反応系の温度が20〜40℃、反応時間が10分間
〜数日間である。
【0103】一方、(ii)プロセス(1)の反応で得
られた反応液と、あらかじめ前記式(II−2)のテト
ラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた
反応液とを混合することもできる。この場合は、あらか
じめテトラアルコキシシランを加水分解縮合させておく
必要がある。この加水分解縮合反応は酸性条件下、テト
ラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当
量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜2
0当量の水を用いて20〜40℃で1時間〜数日反応さ
せることによって行われる。該加水分解縮合反応には酸
が使用され、かかる酸としては前記した酸と同様のもの
が挙げられ、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。
該酸は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2規
定、好ましくは0.001〜0.1規定の濃度で使用
し、有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン1
00重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1
〜30重量部の範囲で使用される。
【0104】前記オルガノシロキサン樹脂固形分である
a〜c成分の各成分の混合割合はコーティング用組成物
溶液の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐
擦傷性、密着性およびクラック発生の有無等の点から決
められ、好ましくはa成分が15〜35重量%、b成分
がR2SiO3/2に換算して55〜75重量%、c成分が
SiO2に換算して3〜20重量%で用いられる。
【0105】硬化塗膜層(II)におけるオルガノシロ
キサン樹脂固形分であるa〜c成分の特に好ましい割合
は、b成分がR2SiO3/2として換算して60〜75重
量%の範囲であって、(i)b成分が60重量%以上6
5重量%未満の場合、a成分が25〜35重量%でかつ
c成分がSiO2として換算して3〜10重量%である
か、または(ii)b成分が65重量%以上75重量%
以下の場合、a成分が15〜30重量%でかつc成分が
SiO2として換算して5〜20重量%である範囲であ
る。
【0106】上記第2層に使用されるコーティング用組
成物は通常さらに硬化触媒を含有するのが好ましい。か
かる触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、
酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩あるいは
ベンジルトリメチルアンモニウム塩、テトラメチルアン
モニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の四級アン
モニウム塩が挙げられる。とりわけ酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好
ましく使用される。コロイダルシリカとして塩基性水分
散型コロイダルシリカを使用し、アルコキシシランの加
水分解の際に酸として脂肪族カルボン酸を使用した場合
には、該コーティング用組成物中に既に硬化触媒が含有
されていることになる。望ましい含有量は硬化条件によ
り変化するが、a〜c成分からなるオルガノシロキサン
樹脂固形分100重量部に対して、硬化触媒が好ましく
は0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.1
〜5重量部である。
【0107】前記第2層のコーティング用組成物に用い
られる溶媒としては前記オルガノシロキサン樹脂固形分
が安定に溶解することが必要であり、そのためには少な
くとも20重量%以上、好ましくは50重量%以上がア
ルコールであることが望ましい。かかるアルコールとし
ては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタ
ノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシ
エタノール等が挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコ
ールが好ましく、溶解性、安定性および塗工性の点で2
−プロパノールが特に好ましい。該溶媒中には水分散型
コロイダルシリカ中の水で該加水分解反応に関与しない
水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低
級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使
用した場合にはその分散媒の有機溶媒、コーティング用
組成物のpH調節のために添加される酸も含まれる。p
H調節のために使用される酸としては塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無
機酸またはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ
酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホ
ン酸等の有機酸が挙げられる。これらの中で、pHのコ
ントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カ
ルボン酸が好ましい。その他の溶媒としては水/アルコ
ールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2
−ジメトキシエタン等のエーテル類;および酢酸エチ
ル、酢酸エトキシエチル等のエステル類が挙げられる。
溶媒はa〜c成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形
分100重量部に対して好ましくは50〜900重量
部、より好ましくは150〜700重量部である。
【0108】第2層のコーティング用組成物は、酸およ
び硬化触媒の含有量を調節することによりpHを3.0
〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調製することが
望ましい。これにより、常温でのコーティング用組成物
のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。該
コーティング用組成物は、通常数時間から数日間さらに
熟成させることにより安定な組成物になる。
【0109】第2層のコーティング用組成物は、透明プ
ラスチック基材上に形成された第1層上にコーティング
され、加熱硬化することにより第2層が形成される。コ
ート方法としては、バーコート法、ディップコート法、
フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、
ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の大きさ
や形状に応じて適宜選択することができる。かかる組成
物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱変形温
度以下の温度下で溶媒を乾燥、除去した後、加熱硬化す
る。かかる熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高
い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好
ましい。なお、常温では、熱硬化が進まず、硬化被膜を
得ることができない。これは、コーティング用組成物中
のオルガノシロキサン樹脂固形分が部分的に縮合したも
のであることを意味する。かかる熱硬化の過程で、残留
するSi−OHが縮合反応を起こしてSi−O−Si結
合を形成し、耐摩耗性に優れたコート層となる。熱硬化
は好ましくは50℃〜200℃の範囲で10分間〜4時
間、より好ましくは80℃〜160℃の範囲で20分間
〜3時間、特に透明プラスチック基材を形成するプラス
チックが芳香族ポリカーボネート樹脂の場合好ましくは
100℃〜140℃の範囲で30分間〜2時間加熱硬化
する。
【0110】第2層の厚みは、通常2〜10μm、好ま
しくは3〜8μmである。硬化塗膜層(II)の厚みが
かかる範囲であると、熱硬化時に発生する応力のために
硬化塗膜層(II)にクラックが発生したり、硬化塗膜
層(II)と基材との密着性が低下したりすることがな
く、本発明の目的とする十分な耐摩耗性を有する硬化塗
膜層(II)が得られることとなる。
【0111】さらに、本発明の第1層および第2層の上
記コーティング用組成物には塗工性並びに得られる塗膜
の平滑性を向上する目的で公知のレベリング剤を配合す
ることができる。配合量はコーティング用組成物100
重量部に対して0.01〜2重量部の範囲が好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で染料、顔料、フ
ィラーなどを添加してもよい。
【0112】次に本発明の透明プラスチック複合体の特
に好ましい実施態様について説明する。すなわち、本発
明の透明プラスチック複合体は、透明プラスチック基材
が芳香族ポリカーボネート樹脂よりなり、その表面に下
記(A)〜(D)の塗膜層(I)および硬化塗膜層(I
I)の組合せが積層された複合体が物性に優れているの
で最も好ましい。 (A)(1)該塗膜層(I)は、下記式(I−a)およ
び式(I−b)
【0113】
【化30】
【0114】(ただし、式中R1は前記式(I−a)と
同じ定義を有する。)
【0115】
【化31】
【0116】(ただし、式中X、R5、R6は前記式(I
−b)と同じ定義を有する。)で示される繰返し単位か
らなり、(I−a):(I−b)の単位割合が97:3
〜70:30の範囲である共重合アクリル樹脂100重
量部に対して、紫外線吸収剤3〜60重量部を含有する
樹脂組成物より形成され、ここで紫外線吸収剤は、イソ
プロパノール100重量部、メタノール30重量部およ
び水15重量部よりなる混合溶媒に対して、25℃で測
定された溶解度が1.5g/L以下であり、かつ(2)
該塗膜層(II)は、a成分が15〜35重量%、b成
分がR2SiO3/2として換算して55〜75重量%およ
びc成分がSiO2として換算して3〜20重量%であ
る樹脂組成物の熱硬化層である透明プラスチック複合
体。 (B)(1)該塗膜層(I)は、下記式(I−a)、式
(I−b)および式(I−d)
【0117】
【化32】
【0118】(ただし、式中R1は前記式(I−a)と
同じ定義を有する。)
【0119】
【化33】
【0120】(ただし、式中X、R5、R6およびnは、
前記式(I−b)と同じ定義を有する。)
【0121】
【化34】
【0122】(ただし、式中Z、R10およびWは、前記
式(I−d)と同じ定義を有する。)で示される繰返し
単位からなり、(I−a):(I−b):(I−d)の
単位割合が96.7〜60:3〜30:0.3〜15の
範囲である共重合アクリル樹脂100重量部に対して、
紫外線吸収剤3〜60重量部を含有する樹脂組成物より
形成され、ここで紫外線吸収剤は、イソプロパノール1
00重量部、メタノール30重量部および水15重量部
よりなる混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度
が1.5g/L以下であり、かつ(2)該塗膜層(I
I)は、a成分が15〜35重量%、b成分がR2Si
3/2として換算して55〜75重量%およびc成分が
SiO2として換算して3〜20重量%である樹脂組成
物の熱硬化層である透明プラスチック複合体。 (C)(1)該塗膜層(I)は、下記式(I−a)およ
び式(I−c)
【0123】
【化35】
【0124】(ただし、式中R1は前記式(I−a)と
同じ定義を有する。)
【0125】
【化36】
【0126】(ただし、式中YおよびR9は前記式(I
−c)と同じ定義を有する。)で示される繰返し単位か
らなり、(I−a):(I−c)の単位割合が95:5
〜60:40の範囲である共重合アクリル樹脂100重
量部、下記式(I−e)
【0127】
【化37】
【0128】(ただし、式中R7、R8およびはrは前記
式(I−e)と同じ定義を有する。)で示される化合物
の加水分解縮合物の混合物(R7 rSiO4-r/2に換算し
て)を、該共重合アクリル樹脂:該加水分解縮合物の割
合が重量で99:1〜60:40の範囲となる量、メラ
ミン樹脂を、該共重合アクリル樹脂および該加水分解縮
合物の合計100重量部当り3〜15重量部の範囲とな
る量および紫外線吸収剤を、該共重合アクリル樹脂10
0重量部当り3〜60重量部を含有する樹脂組成物より
形成され、ここで紫外線吸収剤はイソプロパノール10
0重量部、メタノール30重量部および水15重量部よ
りなる混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度が
1.5g/L以下であり、かつ(2)該塗膜層(II)
は、a成分が15〜35重量%、b成分がR2SiO3/2
として換算して55〜75重量%およびc成分がSiO
2として換算して3〜20重量%である樹脂組成物の熱
硬化層である透明プラスチック複合体。 (D)(1)該塗膜層(I)は、下記式(I−a)、式
(I−c)および式(I−d)
【0129】
【化38】
【0130】(ただし、式中R1は前記式(I−a)と
同じ定義を有する。)
【0131】
【化39】
【0132】(ただし、式中YおよびR9は前記式(I
−c)と同じ定義を有する。)
【0133】
【化40】
【0134】(ただし、式中Z、R10およびWは、前記
式(I−d)と同じ定義を有する。)で示される繰返し
単位からなり、(I−a):(I−c):(I−d)の
単位割合が94.7〜50:5〜40:0.3〜15の
範囲である共重合アクリル樹脂100重量部、下記式
(I−e)
【0135】
【化41】
【0136】(ただし、式中R7、R8およびはrは前記
式(I−e)と同じ定義を有する。)で示される化合物
の加水分解縮合物の混合物(R7 rSiO4-r/2に換算し
て)を、該共重合アクリル樹脂:該加水分解縮合物の割
合が重量で99:1〜60:40の範囲となる量、メラ
ミン樹脂を、該共重合アクリル樹脂および該加水分解縮
合物の合計100重量部当り3〜15重量部の範囲とな
る量および紫外線吸収剤を、該共重合アクリル樹脂10
0重量部当り3〜60重量部を含有する樹脂組成物より
形成され、ここで紫外線吸収剤はイソプロパノール10
0重量部、メタノール30重量部および水15重量部よ
りなる混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度が
1.5g/L以下であり、かつ(2)該塗膜層(II)
は、a成分が15〜35重量%、b成分がR2SiO3/2
として換算して55〜75重量%およびc成分がSiO
2として換算して3〜20重量%である樹脂組成物の熱
硬化層である透明プラスチック複合体。
【0137】かくして得られる本発明の表面を保護され
た透明プラスチック複合体は、アクリル樹脂層を主とす
る第1層並びにコロイダルシリカ、トリアルコキシシラ
ン加水分解縮合物およびテトラアルコキシシラン加水分
解縮合物からなるオルガノポリシロキサン樹脂を熱硬化
してなる第2層を有することにより、従来にない高いレ
ベルの耐摩耗性を持った複合体となる。
【0138】本発明の透明プラスチック複合体は、厚さ
が0.001〜10mm、好ましくは0.02〜8mm
の範囲であり、特に透明プラスチック基材を形成するプ
ラスチックが芳香族ポリカーボネート樹脂の場合好まし
くは0.1〜8mmの範囲であるのが実用的である。さ
らに本発明の透明プラスチック複合体は、高温高湿条件
下においてクラックが発生せず、ことに沸水中3時間保
持した後の表面において実質的にクラックの発生は認め
られない。
【0139】かかる透明プラスチック複合体は、航空
機、車輛、自動車の窓、建設機械の窓、ビル、家、ガレ
ージ、温室、アーケードの窓、前照灯レンズ、光学用の
レンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯の
レンズ、カーブミラー、風防、銘板、その他各種シー
ト、フィルム等に好適に使用することができる。
【0140】また、本発明で得られる透明プラスチック
複合体は、Calibrase社製CS−10F摩耗輪
を使用し、荷重500g下1,000回転のテーバー摩
耗試験(ASTM D1044)を行い、その試験前後
のヘーズ値の変化が2%以下である。これはJIS規格
において、自動車前面窓ガラスの外側が、上記と同様の
条件下におけるテーバー摩耗試験の試験前後のヘーズ値
の変化が2%以下を要するという規格を、本発明で得ら
れる透明プラスチック複合体が満足しており、かかる複
合体は、ことに自動車用または航空機用の窓ガラスとし
て好適に使用される。
【0141】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが本発
明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、得
られた透明ポリカーボネート樹脂複合体は以下の方法に
よって評価した。また、実施例中の部および%は重量部
および重量%を意味する。
【0142】(1)外観評価:目視にて試験片のコート
層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を
確認した。
【0143】(2)密着性:コート層にカッターナイフ
で1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着
テープ(商品名“セロテープ”)を圧着し、垂直に強く
引き剥がして基材上に残った碁盤目の数で評価した(J
IS K5400に準拠)。また、該碁盤目に対して上
記テープ圧着、剥離操作を更に2回繰り返した後、基材
上に残った碁盤目の数で評価した。
【0144】(3)耐摩耗性:Calibrase社製
CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000
回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘ
ーズ(%)とテーバー摩耗試験前のヘーズ(%)との差
△H(%)を測定して評価した(ASTM D1044
に準拠)。 (ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過
率、Tt:全光線透過率) (ヘーズ測定は日本電色(株)製ヘーズメーター100
1DPを用いて行った。)
【0145】(4)耐沸騰水性:試験片を沸騰水中に3
時間浸漬した後のコート層の外観、密着性を評価した。
【0146】(5)耐侯性:試験片をスガ試験機(株)
製サンシャインウェザーメータ−WEL−SUN−HC
H−Bを用いて(ブラックパネル温度:63℃、120
分中18分降雨条件下)、1,000時間暴露試験し、
試験片を取り出して外観、密着性および試験前後の黄色
度変化(△YI)を評価した。(黄色度(YI)測定は
日本電色(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて
行った。)
【0147】(6)分子量測定:カラムとしてShod
ex GPCA−804を用い、テトラヒドロフランを
溶離液に使用してのGPC測定によりポリスチレン換算
の重量平均分子量を求めた。
【0148】(アクリル樹脂(AC−1)〜(AC−1
6)の合成) 参考例1 還流冷却器および攪拌装置を備え、窒素置換したフラス
コ中にメチルメタクリレート(以下MMAと略称する)
65部、2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール(以下MEBTと略
称する)25部、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン(以下MPTMSと略称する)10部、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.16部および1,2−ジメ
トキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次い
で、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得
られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、M
MA/MEBT/MPTMSの組成比が重量比で65/
25/10(モル比で85/10/5)の共重合アクリ
ル樹脂(以下AC−1と略称する)86部を得た。該共
重合体の重量平均分子量は90,000であった。
【0149】参考例2〜16 表1に示すモノマー組成を変更する以外に参考例1と同
様にして合成を行い、アクリル樹脂(AC−2〜AC−
16)を得た。各アクリル樹脂の組成および分子量を表
1に示した。
【0150】
【表1】
【0151】(オルガノシロキサン樹脂溶液の調製) 参考例17 メチルトリメトキシシラン142部、蒸留水72部、酢
酸20部を氷水で冷却下混合した。この混合液を25℃
で1時間攪拌し、イソプロパノール116部で希釈して
メチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(以下X
と略す)350部を得た。
【0152】参考例18 テトラエトキシシラン208部、0.01N塩酸81部
を氷水で冷却下混合した。この混合液を25℃で3時間
攪拌し、イソプロパノール11部で希釈してテトラエト
キシシラン加水分解縮合物溶液(以下Yと略す)300
部を得た。
【0153】(アクリル樹脂溶液(h−1)〜(h−2
1)の調製) 参考例19 前記共重合アクリル樹脂(AC−1)9部を4−メチル
−2−ペンタノン60部、2−ブタノール30部に溶解
してアクリル樹脂溶液(h−1)99部を得た。
【0154】参考例20〜参考例39 参考例19と同様にして各種共重合アクリル樹脂を用い
てアクリル樹脂溶液(h−2)〜(h−21)を調製し
た。それぞれの組成を表2に示した。
【0155】
【表2】
【0156】(オルガノシロキサン樹脂溶液(i−1)
〜(i−5)の調製) 参考例40 メチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)8
0部、テトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(Y)
20部、および硬化触媒としてテトラブチルアンモニウ
ムヒドロキシド1部を混合してオルガノシロキサン樹脂
溶液(i−1)を得た。
【0157】参考例41〜参考例44 参考例40と同様にして各々の組成のオルガノシロキサ
ン樹脂溶液(i−2)〜(i−5)を調製した。それぞ
れの組成を表3に示した。
【0158】
【表3】
【0159】(メラミン樹脂配合物(j−1)〜(j−
4)の調製) 参考例45 サイメル303(三井サイテック製ヘキサメトキシメチ
ル化メラミン樹脂)100部および硬化触媒としてパラ
トルエンスルホン酸3部を混合してメラミン樹脂配合物
(j−1)を得た。
【0160】参考例46〜参考例48 参考例45と同様にして各々の組成のメラミン樹脂配合
物(j−2)〜(j−4)を調製した。それぞれの組成
を表4に示した。
【0161】
【表4】
【0162】(第1層塗装液(I−1)〜(I−23)
の調製) 参考例49 アクリル樹脂溶液(h−1)99部および2−(2′−
ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール(以下、UV−1と呼称する)1部を混合して
溶解し、第1層塗装液(I−1)100部を得た。
【0163】参考例50 アクリル樹脂溶液(h−2)98部および2−(2′−
ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール(以下、UV−2
と呼称する)2部を混合して溶解し、第1層塗装液(I
−2)100部を得た。
【0164】参考例51 アクリル樹脂溶液(h−3)84.3部、シロキサン樹
脂溶液(i−2)12部、メラミン樹脂配合物(j−
1)1.7部および2−(2′−ヒドロキシ−3′−t
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール(以下、UV−3と呼称する)2部を混合
して溶解し、第1層塗装液(I−3)100部を得た。
【0165】参考例52〜参考例71 参考例49または参考例51と同様にして、表5に示す
組成の第1層塗装液(I−4)〜(I−23)を調製し
た。それぞれの組成を表5に示した。
【0166】
【表5】
【0167】(第2層塗装液(II−1)〜(II−1
4)の調製) 参考例72 水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)
製 スノーテックス30(以下S−30と略す)固形分
濃度30重量%)100部に蒸留水2部、酢酸20部を
加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリ
メトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃
で1時間攪拌して得られた反応液に、テトラエトキシシ
ラン加水分解縮合物溶液(Y)30部および硬化触媒と
して酢酸ナトリウム2部を室温下で混合し、イソプロパ
ノール200部で希釈して第2層塗装液(II−1)4
84部を得た。コート液のpHは5.0であった。
【0168】参考例73 水分散型コロイダルシリカ分散液(S−30)100部
に酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷
却下メチルトリメトキシシラン122部を加えた。この
混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、テ
トラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(Y)50部お
よび硬化触媒として酢酸カリウム1部を氷冷却下で混合
し、イソプロパノール408部で希釈して第2層塗装液
(II−2)を得た。コート液のpHは4.7であっ
た。
【0169】参考例74 水分散型コロイダルシリカ分散液(S−30)100部
に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散
液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部
を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られ
た反応液にテトラメトキシシラン15.2部を加えた。
この混合液を25℃で1時間攪拌した後、硬化触媒とし
て酢酸ナトリウム1部を室温下で混合し、イソプロパノ
ール200部で希釈して第2層塗装液(II−3)47
8.2部を得た。コート液のpHは4.8であった。
【0170】参考例75〜参考例85 参考例72または参考例74と同様にして、表6に示す
組成の第2層塗装液(II−4)〜(II−14)を調
製した。それそれの組成を表6に示した。
【0171】
【表6】
【0172】
【0173】実施例1 透明な0.5mm厚のポリカーボネート樹脂(以下PC
樹脂と略称する)製シート上に、第1層塗装液(I−
1)をワイヤバー(バーコート法)で塗布し、25℃で
20分間静置後、120℃で20分間熱硬化させた。第
1層の膜厚は2.0μmであった。次いで、該シートの
被膜表面上に第2層塗装液(II−1)をワイヤバーで
塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱
硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmであった。得ら
れたPC樹脂複合体の評価結果を表7に示した。
【0174】実施例2 透明な0.5mm厚のPC樹脂製シートを垂直につる
し、シート上部からノズルで第1層塗装液(I−2)を
流し塗りし、25℃で20分間静置後、120℃で30
分間熱硬化させた。第1層の膜厚は3.0μmであっ
た。次いで、該シートの被膜表面上に第2層塗装液(I
I−2)を第1層の塗装と同様にして塗布し、25℃で
20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。第2
層の膜厚は3.5μmであった。得られたPC樹脂複合
体の評価結果を表7に示した。
【0175】実施例3 直方体のディップコート槽を第1層塗装液(I−3)で
満たし、透明な0.5mm厚のPC樹脂製シートをコー
ト液に浸漬しておき、PC樹脂製シートを一定速度で引
き上げて、25℃で30分間静置後、120℃で40分
間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmであった。
次いで、該シートの被膜表面上に第2層塗装液(II−
3)を第1層の塗装と同様にして塗布し、25℃で20
分間静置後、110℃で2時間熱硬化させた。第2層の
膜厚は6.0μmであった。得られたPC樹脂複合体の
評価結果を表7に示した。
【0176】実施例4〜実施例24および比較例1〜比
較例5 実施例3と同様にして塗装、熱硬化処理を行いPC樹脂
複合体を作成した。該PC樹脂複合体の性能を評価し、
表7に示した。
【0177】
【表7】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】なお、表1〜表7中において、表中の略号
はそれぞれ以下をさす。 MTMOS;メチルトリメトキシシラン TEOS:テトラエトキシシラン TMOS:テトラメトキシシラン S−30;水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学
工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重
量%、平均粒子径20nm) UV−1;2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−2;2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル
−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール UV−3;2−(2′−ヒドロキシ−3′,5−ジ−t
−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール UV−4;2−4−ジヒドロキシベンゾフェノン MMA:メチルメタクリレート EMA:エチルメタクリレート MEBT:2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシ
エチルフェニル)ベンゾトリアゾール MEBP:2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシエチル
ベンゾフェノン HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン MEK:2-ブタノン MIBK:4−メチル−2−ペンタノン 2−BuOH:2−ブタノール IPA:イソプロパノール EtOH:エタノール EGE:2−エトキシエタノール PMA:1−メトキシ−2−プロパノール AcONa:酢酸ナトリウム AcOK:酢酸カリウム NBu4OH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド p−TSA:パラトルエンスルホン酸
【0182】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性および耐剥離性が著し
く改善された透明プラスチック複合体は、自動車、電車
および航空機などの軽量化が要望されている輸送機器に
おいて、軽量で、長期間の使用において透明性が失われ
ない窓ガラス用に適しており、その奏する工業的効果は
格別である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 133/06 C09D 133/06 183/02 183/02 183/04 183/04 // C08L 33:04 C08L 33:04 Fターム(参考) 4F006 AA22 AA33 AA42 AB24 AB39 AB76 BA02 BA03 CA04 CA05 4F100 AA20C AK01A AK25B AK25K AK36B AK45A AK52C AK52K AL01B AL05B AL08B BA03 BA07 BA10A BA10C CA07B CC00B CC00C GB31 JB12C JK09 JL11 4J038 CG141 CH031 CJ131 CJ151 CJ181 DA162 DL022 DL031 DL051 DL081 DL101 GA01 GA02 GA03 GA07 GA09 GA15 HA446 KA12 KA20 MA10 NA03 NA04 NA11 NA12 NA17 PA19 PB05 PB07 PC08

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明プラスチック基材表面に、第1層と
    して、樹脂成分の少なくとも50重量%がアクリル樹脂
    であって、かつ該アクリル樹脂は、下記式(I−a) 【化1】 (ただし、式中R1は炭素数1〜4のアルキル基であ
    る。)で示される繰返し単位を50モル%以上含むアク
    リル樹脂である樹脂組成物から形成される塗膜層(I)
    が積層され、その第1層上に第2層として、下記a成
    分、b成分およびc成分 (A)コロイダルシリカ(a成分) (B)下記式(II−1)で表されるトリアルコキシシ
    ランの加水分解縮合物(b成分) 【化2】 (ただし、式中R2は炭素数1〜4のアルキル基、ビニ
    ル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキ
    シ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる
    群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3の
    アルキル基であり、R3は炭素数1〜4のアルキル基で
    ある。)および (C)下記式(II−2)で表されるテトラアルコキシ
    シランの加水分解縮合物(c成分) 【化3】 (ただし、式中R4は炭素数1〜4のアルキル基であ
    る。)より形成されたオルガノシロキサン樹脂であっ
    て、該オルガノシロキサン樹脂は、a成分が5〜45重
    量%、b成分がR2SiO3/2として換算して50〜80
    重量%およびc成分がSiO2として換算して2〜30
    重量%である樹脂組成物の熱硬化塗膜層(II)が積層
    された表面を保護された透明プラスチック複合体。
  2. 【請求項2】 該塗膜層(I)中のアクリル樹脂は、前
    記式(I−a)および下記式(I−b)および/または
    (I−c) 【化4】 (ただし、式中Xは水素原子もしくはメチル基であり、
    5は炭素数2〜5のアルキレン基であり、R6は炭素数
    1〜4のアルキル基であり、nは0または1の整数であ
    る。) 【化5】 (ただし、式中Yは水素原子もしくはメチル基であり、
    9は炭素数2〜5のアルキレン基である。)で示され
    る繰返し単位からなる共重合アクリル樹脂であり、該共
    重合アクリル樹脂は、(I−a):〔(I−b)+(I
    −c)〕の単位割合が99.5:0.5〜50:50の
    範囲である請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  3. 【請求項3】 該共重合アクリル樹脂は、下記式(I−
    d) 【化6】 (ただし、式中Zは水素原子もしくはメチル基であり、
    10は炭素数2〜5のアルキレン基であり、Wは紫外線
    吸収剤残基を示す)で示される単位を、前記式(I−
    a)と〔(I−b)+(I−c)〕との合計単位当り、
    0.3〜40モル%含有する共重合アクリル樹脂である
    請求項2記載の透明プラスチック複合体。
  4. 【請求項4】 該塗膜層(I)は、アクリル樹脂および
    下記式(I−e) 【化7】 (ただし、式中R7は炭素数1〜4のアルキル基、ビニ
    ル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキ
    シ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる
    群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3の
    アルキル基であり、R8は炭素数1〜4のアルキル基で
    あり、rは0〜2の整数である。)で示される化合物の
    加水分解縮合物の混合物よりなり、該アクリル樹脂:該
    加水分解縮合物(R7 rSiO4-r/2に換算して)の割合
    が重量で99:1〜60:40の範囲である請求項1〜
    3のいずれか記載の透明プラスチック複合体。
  5. 【請求項5】 該塗膜層(I)は、さらにメラミン樹脂
    をアクリル樹脂および前記式(I−e)で示される化合
    物の加水分解縮合物の合計100重量部に対して1〜2
    0重量部の範囲で含有する請求項4記載の透明プラスチ
    ック複合体。
  6. 【請求項6】 該塗膜層(I)は、さらに紫外線吸収剤
    を該アクリル樹脂100重量部に対して、0.7〜10
    0重量部含有する請求項1〜4記載の透明プラスチック
    複合体。
  7. 【請求項7】 該紫外線吸収剤は、イソプロパノール1
    00重量部、メタノール30重量部および水15重量部
    よりなる混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度
    が1.5g/L以下である請求項6記載の透明プラスチ
    ック複合体。
  8. 【請求項8】 該塗膜層(II)は、a成分が15〜3
    5重量%、b成分がR2SiO3/2として換算して55〜
    75重量%およびc成分がSiO2として換算して3〜
    20重量%である樹脂組成物の熱硬化層である請求項1
    記載の透明プラスチック複合体。
  9. 【請求項9】 (1)該塗膜層(I)は、下記式(I−
    a)および式(I−b) 【化8】 (ただし、式中R1は前記式(I−a)と同じ定義を有
    する。) 【化9】 (ただし、式中X、R5、R6およびnは前記式(I−
    b)と同じ定義を有する。)で示される繰返し単位から
    なり、(I−a):(I−b)の単位割合が97:3〜
    70:30の範囲である共重合アクリル樹脂100重量
    部に対して、紫外線吸収剤3〜60重量部を含有する樹
    脂組成物より形成され、ここで紫外線吸収剤は、イソプ
    ロパノール100重量部、メタノール30重量部および
    水15重量部よりなる混合溶媒に対して、25℃で測定
    された溶解度が1.5g/L以下であり、かつ(2)該
    塗膜層(II)は、a成分が15〜35重量%、b成分
    がR2SiO3/2として換算して55〜75重量%および
    c成分がSiO2として換算して3〜20重量%である
    樹脂組成物の熱硬化層である請求項1記載の透明プラス
    チック複合体。
  10. 【請求項10】 (1)該塗膜層(I)は、下記式(I
    −a)、式(I−b)および式(I−d) 【化10】 (ただし、式中R1は前記式(I−a)と同じ定義を有
    する。) 【化11】 (ただし、式中X、R5、R6およびnは、前記式(I−
    b)と同じ定義を有する。) 【化12】 (ただし、式中Z、R10およびWは、前記式(I−d)
    と同じ定義を有する。)で示される繰返し単位からな
    り、(I−a):(I−b):(I−d)の単位割合が
    96.7〜60:3〜30:0.3〜15の範囲である
    共重合アクリル樹脂100重量部に対して、紫外線吸収
    剤3〜60重量部を含有する樹脂組成物より形成され、
    ここで紫外線吸収剤は、イソプロパノール100重量
    部、メタノール30重量部および水15重量部よりなる
    混合溶媒に対して、25℃で測定された溶解度が1.5
    g/L以下であり、かつ(2)該塗膜層(II)は、a
    成分が15〜35重量%、b成分がR2SiO3/2として
    換算して55〜75重量%およびc成分がSiO2とし
    て換算して3〜20重量%である樹脂組成物の熱硬化層
    である請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  11. 【請求項11】 (1)該塗膜層(I)は、下記式(I
    −a)および式(I−c) 【化13】 (ただし、式中R1は前記式(I−a)と同じ定義を有
    する。) 【化14】 (ただし、式中YおよびR9は前記式(I−c)と同じ
    定義を有する。)で示される繰返し単位からなり、(I
    −a):(I−c)の単位割合が95:5〜60:40
    の範囲である共重合アクリル樹脂100重量部、下記式
    (I−e) 【化15】 (ただし、式中R7、R8およびはrは前記式(I−e)
    と同じ定義を有する。)で示される化合物の加水分解縮
    合物の混合物(R7 rSiO4-r/2に換算して)を、該共
    重合アクリル樹脂:該加水分解縮合物の割合が重量で9
    9:1〜60:40の範囲となる量、メラミン樹脂を、
    該共重合アクリル樹脂および該加水分解縮合物の合計1
    00重量部当り3〜15重量部の範囲となる量および紫
    外線吸収剤を、該共重合アクリル樹脂100重量部当り
    3〜60重量部を含有する樹脂組成物より形成され、こ
    こで紫外線吸収剤はイソプロパノール100重量部、メ
    タノール30重量部および水15重量部よりなる混合溶
    媒に対して、25℃で測定された溶解度が1.5g/L
    以下であり、かつ(2)該塗膜層(II)は、a成分が
    15〜35重量%、b成分がR2SiO3/2として換算し
    て55〜75重量%およびc成分がSiO2として換算
    して3〜20重量%である樹脂組成物の熱硬化層である
    請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  12. 【請求項12】 (1)該塗膜層(I)は、下記式(I
    −a)、式(I−c)および式(I−d) 【化16】 (ただし、式中R1は前記式(I−a)と同じ定義を有
    する。) 【化17】 (ただし、式中YおよびR9は前記式(I−c)と同じ
    定義を有する。) 【化18】 (ただし、式中Z、R10およびWは、前記式(I−d)
    と同じ定義を有する。)で示される繰返し単位からな
    り、(I−a):(I−c):(I−d)の単位割合が
    94.7〜50:5〜40:0.3〜15の範囲である
    共重合アクリル樹脂100重量部、下記式(I−e) 【化19】 (ただし、式中R7、R8およびはrは前記式(I−e)
    と同じ定義を有する。)で示される化合物の加水分解縮
    合物の混合物(R7 rSiO4-r/2に換算して)を、該共
    重合アクリル樹脂:該加水分解縮合物の割合が重量で9
    9:1〜60:40の範囲となる量、メラミン樹脂を、
    該共重合アクリル樹脂および該加水分解縮合物の合計1
    00重量部当り3〜15重量部の範囲となる量および紫
    外線吸収剤を、該共重合アクリル樹脂100重量部当り
    3〜60重量部を含有する樹脂組成物より形成され、こ
    こで紫外線吸収剤はイソプロパノール100重量部、メ
    タノール30重量部および水15重量部よりなる混合溶
    媒に対して、25℃で測定された溶解度が1.5g/L
    以下であり、かつ(2)該塗膜層(II)は、a成分が
    15〜35重量%、b成分がR2SiO3/2として換算し
    て55〜75重量%およびc成分がSiO2として換算
    して3〜20重量%である樹脂組成物の熱硬化層である
    請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  13. 【請求項13】 該透明プラスチック基材が、芳香族ポ
    リカーボネート樹脂よりなる請求項1記載の透明プラス
    チック複合体。
  14. 【請求項14】 厚さが0.001〜10mmの範囲で
    ある請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  15. 【請求項15】 ASTM D1044によるテーバー
    摩耗試験(Calibrase社製CS−10F摩耗輪を使用
    し、荷重500g下1,000回転で測定)による表面
    の摩耗テストの結果、ヘーズ値の変化が2%以下である
    請求項1記載の透明プラスチック複合体。
  16. 【請求項16】 沸水中、3時間保持した後の表面にお
    けるクラックの発生が実質的には認められない請求項1
    記載の透明プラスチック複合体。
  17. 【請求項17】 請求項1記載の透明プラスチック複合
    体よりなる有機窓ガラス。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の透明プラスチック複合
    体よりなる車輌または航空機用有機窓ガラス。
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