JP2001232201A - 高反応性金属ナトリウム分散体 - Google Patents

高反応性金属ナトリウム分散体

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JP2001232201A
JP2001232201A JP2000052151A JP2000052151A JP2001232201A JP 2001232201 A JP2001232201 A JP 2001232201A JP 2000052151 A JP2000052151 A JP 2000052151A JP 2000052151 A JP2000052151 A JP 2000052151A JP 2001232201 A JP2001232201 A JP 2001232201A
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metal
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Tadayoshi Ogino
忠義 荻野
Hirobumi Kanbayashiyama
博文 上林山
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】有機反応を収率よく、迅速に行わせることがで
き、特にPCBのような難分解性ハロゲン化合物の脱ハ
ロゲン化を迅速かつ確実に行うことができる、反応性の
高い金属ナトリウム分散体を提供する。 【解決手段】活性な金属触媒を含む高反応性金属ナトリ
ウム分散体を用いる。活性な金属触媒は、ニッケル、コ
バルト、パラジウム、ルビジウムおよびプラチナからな
る群より選ばれる1種又は2種以上であり、金属ナトリ
ウムに対して0.01〜1重量%を含んでいる。また前
記、高反応性金属ナトリウム分散体は非イオン系界面活
性剤を金属ナトリウムに対して0.05〜5.0重量%
含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の有機反応、
特に環境汚染物質であるポリ塩化ビフェニル類などの有
機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化に好適に利用される、
高反応性のナトリウム分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属ナトリウム分散体は、そ
の高い反応性により有機反応に頻繁に利用されており、
その高い反応性ゆえ、環境汚染物質であるポリ塩化ビフ
ェニル類等の難分解性ハロゲン化物の脱ハロゲン化に利
用する試みがなされている。
【0003】このように、有機反応、例えば、難分解性
ハロゲン化合物の脱ハロゲン化を金属ナトリウム分散体
を用いて行う場合、処理が不十分で、処理後に未反応の
難分解性ハロゲン化合物が残存することは避ける必要が
あると共に、脱ハロゲン化等の処理を温和な条件でかつ
迅速に行うことが要望されている。このため、用いられ
る金属ナトリウム分散体としては、比較的温和な条件で
あっても反応性が高くなるような、高反応性の金属ナト
リウム分散体が必要であった。
【0004】これに対して、特開平10−110205
号公報には、金属ナトリウムをトランスオイルに分散し
て、5μm程度の平均粒径を持つ金属ナトリウム分散体
を得、これを種々の有機反応に用いることが開示されて
いる。しかしながら、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロ
ゲン化のような処理においては残存するハロゲン化合物
を迅速に実質的に消滅させることが必要であり、また、
アルカリオキシドの合成のような有機反応を行わせるに
しても高い反応収率及び反応の迅速性が望まれている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上
記のような背景において、従来のものに比べ、有機反応
を収率よく、迅速に行わせることができ、特にポリ塩化
ビフェニル(PCB)のような難分解性ハロゲン化合物
の脱ハロゲン化を迅速かつ確実に行うことができる、反
応性の高い金属ナトリウム分散体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属ナトリウム
分散体を製造する際に、ニッケル、コバルト、パラジウ
ム、ルビジウム、プラチナといった水素化反応触媒に用
いられる触媒である活性な金属触媒を添加することで、
より反応性の高い金属ナトリウム分散体を得られ、さら
に一定範囲の非イオン系界面活性剤を含めることでさら
にその反応性が向上できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明の高反応性金属ナトリウム分散体の
原料として用いられる金属ナトリウムとしては、精製等
によりカルシウム分などが取り除かれているものでもよ
いが、通常市販されているようなカルシウムを200〜
300ppm含有したものでもよい。
【0009】また、本発明の高反応性金属ナトリウム分
散体において用いられる活性な金属触媒としては、有機
反応を高速化し、特に有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン
化において反応の高速化あるいは脱ハロゲン化効率を向
上させるために、通常水素化反応の触媒として使用され
る、ニッケル、パラジウム、ルビジウム、プラチナ等の
金属が好ましく用いられ、これらの内でも、価格の面か
らニッケルが好ましく用いられる。用いられる活性な金
属触媒の添加量としては、金属ナトリウムに対し0.0
1〜1重量%、さらに、0.2〜0.5重量%の範囲と
することが好ましい。この範囲にあれば、上記の効果を
より一層奏させることができる。
【0010】さらに、このような構成の本発明の高反応
性金属ナトリウム分散体を製造する際に、非イオン系界
面活性剤を添加して得られる、すなわち、非イオン系界
面活性剤を含んでいることで反応性をさらに向上させる
ことができ、好ましい。これは、その作用機構について
は必ずしも明らかではないが、非イオン系界面活性剤を
製造時に存在させることで、得られる高反応性金属ナト
リウム分散体の粒径が極めて小さくなると共に、製造後
放置しても高反応性金属ナトリウム分散体が沈降しにく
くなり安定化させることができる。用いられる非イオン
系界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル
型、リン酸エステル型、エステル型、含窒素型など種々
のものが市販されており、いずれの使用も可能である
が、上記の効果をより発揮できるため、リン酸エステル
型やエーテルエステル型のものが、さらに、リン酸エス
テル型が好ましく用いられる。
【0011】また、用いられる非イオン系界面活性剤の
添加量としては、高反応性金属ナトリウム分散体製造工
程をより制御してすることで、上記記載の分散安定性及
び微細化という効果をより増強するために、金属ナトリ
ウムに対し0.5〜5.0重量%、さらに1.0〜3.
0重量%の範囲であることが好ましい。
【0012】本発明の高反応性金属ナトリウム分散体の
含有量としては、10〜50重量%とすることが好まし
い。これは、濃度が低すぎる場合には金属ナトリウム以
外の油などの分散媒体が多くなってしまい、移送、貯蔵
などの負担が増加することとなってしまい、また、濃度
が高すぎる場合には、流動性が悪くなって使用しづらく
なってしまうからである。
【0013】本発明の高反応性金属ナトリウム分散体
は、油中に分散されたものであることが好ましく、用い
られる油としては、電気絶縁油(トランスオイル)や流
動パラフィンなど種々の市販品が使用可能であるが、比
重及び粘度、すなわち、金属ナトリウムの比重が、20
℃において0.971前後であり、この比重及び撹拌時
の粘性を考慮して決めることが望ましい。従って、用い
られる油の動粘度としては、常温で2〜15mm2
s、さらに、常温で6〜9mm2/sの範囲であること
が、また、用いられる油の密度としては、0.80〜
0.95kg/リットル、さらに0.87〜0.91k
g/リットルの範囲であることが好ましい。この範囲に
ある油をカルシウム含有金属ナトリウム分散体製造用の
溶媒として用いることで、高反応性金属ナトリウム分散
体を得ることができる。特に、溶媒の比重が金属ナトリ
ウムの比重と近傍にあれば、溶媒中の金属ナトリウムの
浮上速度及び沈降速度を極力小さくできる。さらに、用
いられる油は、金属ナトリウムに対して反応性が実質的
にないものが望ましい。
【0014】本発明の高反応性金属ナトリウム分散体
は、以上のような構成であるが、その製造は、金属ナト
リウムと油を容器に入れて加熱した後、分散させること
で得られ、必要に応じて分散させる際に非イオン系界面
活性剤を加えればよい。
【0015】金属ナトリウムを分散させる際の温度とし
ては、金属ナトリウムの融点が97.7℃前後であり、
この融点を考慮して決めることが望ましい。従って、分
散時の温度としては、金属ナトリウムが溶融状態となる
ような温度に加熱して分散される。一方、分散時の温度
が高すぎる場合には、用いられる分散剤及び油が劣化し
ない程度の温度としておく必要があり、通常100〜1
50℃の温度範囲で分散処理される。
【0016】金属ナトリウムを分散させる際の雰囲気と
しては、得られる金属ナトリウム分散体の劣化が起こら
ないような雰囲気であればよく、通常用いられる溶媒、
金属ナトリウムと実質的に反応しない不活性ガスが用い
られるが、通常、安価なことから窒素雰囲気下で行われ
る。
【0017】分散方法としては、通常用いられる撹拌方
法であればよく、例えば撹拌羽根を用いた撹拌方法など
が挙げられ、撹拌条件としても本発明の目的を達成する
ものであれば公知のいかなる方法も用いることができ
る。また、上記した「Alkali Metal Di
spersions」などに記載の方法なども参考にす
ることもできる。
【0018】また、分散後冷却処理が行われるが、得ら
れる金属ナトリウム分散体のさらなる安定化を図るため
に、冷却の際にも攪拌を継続することが好ましい。
【0019】このようにして得られる本発明の高反応性
金属ナトリウム分散体の粒径としては、平均粒径として
10μm以下、さらに、1〜10μmの範囲が好まし
い。これは、このような微細な粒径を有した金属ナトリ
ウム分散体を有機反応に利用する際、反応性に優れたも
のであるからであり、また、金属ナトリウム分散体を放
置しても沈降しがたくなるからである。これに対し、平
均粒径が10μmを超えるような大きな粒径となると、
その表面積が小さくなって反応性が小さくなることがあ
り、また、放置すれば沈降してしまって使用時に再度撹
拌等して分散させる操作が必要となることがある。
【0020】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の高
反応性金属ナトリウム分散体は、金属ナトリウム分散体
と比較して次のような効果を有する。
【0021】1)反応性が高く、特に有機ハロゲン化合
物の脱ハロゲン化を確実に、かつ迅速に進行させること
ができる。
【0022】2)微細であり、安定化されているため、
沈降が起りにくい。
【0023】3)安価なカルシウム含有金属ナトリウム
を用いることができるため、経済的にカルシウム含有金
属ナトリウム分散体を製造できる。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の方法を実施例により具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定される
ものではない。
【0025】<金属ナトリウム分散体の製造> 実施例1 撹拌機を備えた金属ナトリウム分散体製造装置中に溶媒
として電気絶縁油(トランスオイル) 200.0g、
活性な金属としてニッケル0.68g、200ppmの
カルシウムを含有した金属ナトリウム135.0gを加
え、窒素雰囲気下で110℃に加熱後、界面活性剤とし
てリン酸エステル系界面活性剤を1.35g加え1時間
攪拌して分散を行った。冷却後、光学顕微鏡で粒子径を
調べたところ、平均粒径は3ミクロン(μm)であっ
た。表1には製造条件及び得られた金属ナトリウム分散
体の平均粒径の結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】尚、表1において、金属ナトリウム濃度
(重量%)は、ナトリウム重量/(ナトリウム重量+溶
媒重量)×100 により求めた。また、活性金属量
(重量%)は、活性金属重量/ナトリウム重量×10
0、界面活性剤量(重量%)は、界面活性剤重量/ナト
リウム重量×100 により求めた。
【0028】実施例2〜9 実施例1と同様の装置を用い、表1のように条件を変え
て金属ナトリウム分散体を製造した。表1には製造条件
及び得られた金属ナトリウム分散体の平均粒径の結果を
合わせて示す。
【0029】比較例1 活性な金属としてのニッケルを加えず、界面活性剤とし
てのリン酸エステル系界面活性剤の代わりにオレイン酸
を1.35g加えた以外は、実施例1と同様にして金属
ナトリウム分散体を製造した。平均粒径は20ミクロン
であった。表1には製造条件及び得られた金属ナトリウ
ム分散体の平均粒径の結果を示す。
【0030】以上の実施例1〜9及び比較例1で得た金
属ナトリウム分散体の反応性を検証するために次の方法
により行った。
【0031】実施例10 1リットルのフラスコ中に溶媒としてトランスオイル
(昭和シェル製)500ml、反応試薬として1,2,
4−トリクロロベンゼン 1gを入れ、スターラーで攪
拌しながら、30℃まで加熱した。その後実施例1で製
造した金属ナトリウム分散体10gを加え1時間攪拌、
ついでエタノール20gを30分で滴下、さらに1時間
攪拌し、反応液をサンプリングした。サンプル中のトリ
クロロベンゼン(TCB)及び、TCBが脱ハロゲンし
て生成することがある、ジクロロベンゼン(DCB)と
モノクロロベンゼン(MCB)、さらにTCBが完全に
脱ハロゲンして生成するベンゼンを、内部標準法により
ガスクロマトグラフで分析し、その結果を表2に示し
た。尚、表2では、これらTCB、DCB、MCB及び
ベンゼンの総量に占める各々の存在比を存在量(%)と
して示した。
【0032】
【表2】
【0033】実施例11〜18、比較例2 実施例10と同様の装置、条件で、使用する金属ナトリ
ウム分散体を、表2に示されるように、実施例2〜9及
び比較例1のものを用いて、実施例10と同様の反応及
び分析し、その結果を表2にまとめて示した。
【0034】表2から分かるように、実施例10〜18
では、出発物質のTCBは完全に脱ハロゲン化してベン
ゼンとなっており、これに対して、比較例2では、DC
B及びMCBが残存しているのみならず、出発物質のT
CBも残存しており脱ハロゲン化が不十分であったこと
が分かる。
【0035】実施例19〜23、比較例3〜7 反応条件による反応性の差異について検討するため、実
施例1及び比較例1で製造した金属ナトリウム分散体を用
い、反応温度、反応時間、用いた金属ナトリウム分散体
の量を表3に示す条件にて行った以外は実施例10と同
様にして反応させ、ガスクロマトグラフで分析した。そ
の結果として、表3には反応条件を、表4には、分析結
果を示した。尚、表3の金属ナトリウム分散体の量と
は、反応試薬に含まれる塩素量に対する倍率のことであ
る。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表3及び表4から分かるように、実施例1
9〜23では、温度10〜50℃という比較的低い温度
で30〜60分という短時間でも出発物質のTCBは完
全に脱ハロゲン化してベンゼンとなっており、これに対
して、比較例3〜7では、DCB及びMCBが残存して
いるのみならず、出発物質のTCBも残存しており脱ハ
ロゲン化が不十分であったことが分かる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性な金属触媒を含む高反応性金属ナトリ
    ウム分散体。
  2. 【請求項2】活性な金属触媒が、水素化反応触媒に用い
    られる触媒であることを特徴とする請求項1に記載の高
    反応性金属ナトリウム分散体。
  3. 【請求項3】活性な金属触媒が、ニッケル、コバルト、
    パラジウム、ルビジウム及びプラチナからなる群より選
    ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の高反応性金属ナトリウム分散
    体。
  4. 【請求項4】活性な金属触媒が、金属ナトリウムに対し
    0.01〜1重量%含んでいることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の高反応性金属ナトリウム分散
    体。
  5. 【請求項5】非イオン系界面活性剤が、金属ナトリウム
    に対し0.05〜5.0重量%含んでいることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の高反応性金属ナト
    リウム分散体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004035899A (ja) * 2002-06-06 2004-02-05 Dcr Internatl Environmental Services Bv 化学的に高反応性の金属の一時的不活性化及びその化学的利用に対する方法
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