JP2001229541A - 光情報記録方法、光情報記録再生方法および光情報記録再生装置 - Google Patents

光情報記録方法、光情報記録再生方法および光情報記録再生装置

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JP2001229541A
JP2001229541A JP2000034123A JP2000034123A JP2001229541A JP 2001229541 A JP2001229541 A JP 2001229541A JP 2000034123 A JP2000034123 A JP 2000034123A JP 2000034123 A JP2000034123 A JP 2000034123A JP 2001229541 A JP2001229541 A JP 2001229541A
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淳二 富永
Takashi Nakano
隆志 中野
Nobufumi Atoda
伸史 阿刀田
Hiroshi Fuji
寛 藤
Hiroyuki Katayama
博之 片山
Kenji Ota
賢司 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラック密度を高め、光記録媒体に対して高
い記録密度での記録を可能とする。 【解決手段】 照射される記録光量の強弱によって結晶
状態とアモルファス状態とに相変化する記録層5を備え
た光記録媒体を使用し、記録層5に記録光を照射してこ
の記録光の照射中心の周囲にリング状結晶の記録マーク
7を形成させることにより、この記録マーク7を、トラ
ックt1a〜t3a方向に記録するとともに、隣り合うトラ
ックt1a・t2aに記録されるもの同士が重なり合うよう
に記録する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型の光記録
媒体にリング状の記録マークを記録する光情報記録方
法、光の回折限界を越えた小さな開口から発生する近接
場光を使用して記録マークを再生する光情報記録再生方
法および光情報記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光情報記録の分野においては、記
録密度を高めるために種々の記録方式が開発されてい
る。たとえば、光磁気方式や相変化方式の光変調記録に
おいては、円形あるいは長円形のマークを記録するため
の記録レーザパルスの波形制御がよく知られている。ま
た、光磁気方式の磁界変調記録においては、情報に応じ
て磁界反転を行うと同時に、クロックに基づいてレーザ
をパルス照射することにより、高トラック密度が得られ
る矢羽形マークを記録することが行われている。このよ
うに、光情報記録の分野における記録マークの形状とし
ては、円形と矢羽形とに大別されていた。
【0003】一方、特開平6−111328号公報に
は、記録密度をさらに向上できるものとして、リング状
のマークを記録する方式が提案されている。この方式
は、光磁気方式の光変調記録において、重ね書き可能な
記録媒体にリング状の記録マークをトラック方向に重ね
て記録するものである。この方式では、線記録密度を高
めることができるとともに、記録マークが幅広となるの
でS/N比が良好となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
記載の光磁気記録において、上記のリング状の記録マー
クは所定幅の磁壁が環状に形成されたものであるが、こ
の磁壁の幅の2倍以下の径のリング状マークは記録する
ことができない。したがって、上記光記録において、S
/N比が良好な幅の広いマークは記録可能であるもの
の、トラック密度が磁壁の厚み、即ち記録マークの直径
によって制限される結果、トラック密度を高めることが
できないという問題点を有している。
【0005】本発明は上記問題点に鑑み、記録情報とし
て幅の広いマークを記録可能であるとともに、トラック
密度を向上することができる光情報記録方法、光情報記
録再生方法および光情報記録再生装置の提供を目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の光情報記録方法は、照射される記録光量
の強弱によって結晶状態とアモルファス状態とに相変化
する記録層を備えた光記録媒体を使用し、前記記録層に
記録光を照射してこの記録光の照射中心の周囲にリング
状結晶の記録マークを形成させることにより、この記録
マークを、トラック方向に記録するとともに、隣り合う
トラックに記録されるもの同士が重なり合うように記録
することを特徴としている。
【0007】上記の構成によれば、光記録媒体の記録層
に記録光を照射することにより、この記録光の照射中心
の周囲が相変化し、リング状結晶からなる記録マークが
形成される。そして、このリング状の記録情報としての
記録マークは、トラック方向に記録するとともに、隣り
合うトラックに記録されるもの同士が重なり合うように
記録する。
【0008】このようにして記録マークを記録すること
により、トラック幅をリング状の記録マークの径よりも
狭くすることができ、トラック密度を高めることができ
る。この結果、光記録媒体に対して高い記録密度での記
録が可能となる。
【0009】上記の光情報記録方法は、前記記録マーク
をその中心が前記トラックの幅方向の中心からトラック
の幅方向の一方向側へずれるように記録する構成として
もよい。
【0010】上記の構成によれば、隣り合うトラックに
記録する記録マーク同士の重なり量を多くして、さらに
トラック密度を高め、光記録媒体に対するさらに高い記
録密度での記録も可能となる。
【0011】本発明の光情報記録再生方法は、照射され
る記録光量の強弱によって反射率または透過率が変化す
る記録層と、照射される再生光量の強弱によって透過率
が変化する再生層とを備えた光記録媒体を使用し、情報
記録時に、前記記録層に記録光を照射してこの記録光の
照射中心の周囲に反射率または透過率が変化したリング
状の記録マークを形成させることにより、この記録マー
クを、トラック方向に記録するとともに、隣り合うトラ
ックに記録されるもの同士が重なり合うように記録し、
情報再生時に、前記再生層に再生光を照射してこの再生
光の照射中心に透過率の高いアパーチャを発生させ、こ
のアパーチャを介して前記記録マークを読み出すことを
特徴としている。
【0012】上記の構成によれば、情報記録時には、光
記録媒体の記録層に記録光を照射することにより、この
記録光の照射中心の周囲の反射率または透過率が変化
し、リング状の記録マークが形成される。そして、この
リング状の記録情報としての記録マークは、トラック方
向に記録するとともに、隣り合うトラックに記録される
もの同士が重なり合うように記録する。
【0013】このようにして記録マークを記録すること
により、トラック幅をリング状の記録マークの径よりも
狭くすることができ、トラック密度を高めることができ
る。この結果、光記録媒体に対して高い記録密度での記
録が可能となる。
【0014】一方、情報再生時には、再生層に再生光を
照射することにより、この再生光の照射中心に透過率の
高いアパーチャが発生する。そして、このアパーチャを
介して記録マークを読み出す。
【0015】このように、透過率の高いアパーチャを介
して記録マークを読み出すことにより、S/N比の良好
な再生を行うことができる。
【0016】上記の光情報記録再生方法は、前記記録マ
ークをその中心が前記トラックの幅方向の中心からトラ
ックの幅方向の一方向側へずれるように記録する構成と
してもよい。
【0017】上記の構成によれば、隣り合うトラックに
記録する記録マーク同士の重なり量を多くして、さらに
トラック密度を高め、光記録媒体に対するさらに高い記
録密度での記録も可能となる。
【0018】本発明の光情報記録再生装置は、照射され
る記録光量の強弱によって反射率または透過率が変化す
る記録層、および照射される再生光量の強弱によって透
過率が変化する再生層を備えた光記録媒体を使用し、前
記光記録媒体に光を照射する光照射手段と、情報記録時
に、前記記録層に記録光が照射されてこの記録光の照射
中心の周囲に反射率または透過率が変化したリング状の
記録マークが形成され、この記録マークが、トラック方
向に並んで記録されるとともに、隣り合うトラックに記
録されるもの同士が重なり合うように記録される一方、
情報再生時に、前記再生層に再生光が照射されてこの再
生光の照射中心に透過率の高いアパーチャが発生するよ
うに前記光照射手段を制御する制御手段と、前記アパー
チャを介して前記光照射手段により読み出された信号を
再生する再生手段とを備えていることを特徴としてい
る。
【0019】上記の構成によれば、情報記録時には、制
御手段にて制御される光照射手段から光記録媒体の記録
層に記録光を照射することにより、この記録光の照射中
心の周囲の反射率または透過率が変化し、リング状の記
録マークが形成される。そして、光照射手段は、このリ
ング状の記録情報としての記録マークを、トラック方向
に記録するとともに、隣り合うトラックに記録されるも
の同士が重なり合うように記録する。
【0020】このようにして記録マークを記録すること
により、トラック幅をリング状の記録マークの径よりも
狭くすることができ、トラック密度を高めることができ
る。この結果、光記録媒体に対して高い記録密度での記
録が可能となる。
【0021】一方、情報再生時には、制御手段にて制御
される光照射手段から再生層に再生光を照射することに
より、この再生光の照射中心に透過率の高いアパーチャ
が発生する。そして、光照射手段は、このアパーチャを
介して記録マークを読み出す。
【0022】このように、透過率の高いアパーチャを介
して記録マークを読み出すことにより、S/N比の良好
な再生を行うことができる。
【0023】上記の光情報記録再生装置は、前記制御手
段が、前記記録層における記録光の照射部分の温度がリ
ング状の記録マークを形成可能な温度となるように、記
録光強度、記録光照射時間、および光照射手段と光記録
媒体との相対速度のうちの少なくとも一つを制御する構
成としてもよい。
【0024】上記の構成によれば、制御手段が、記録層
における記録光の照射部分の温度がリング状の記録マー
クを形成可能な温度となるように、記録光強度、記録光
照射時間、および光照射手段と光記録媒体との相対速度
のうちの少なくとも一つを制御するので、リング状の記
録マークを安定して記録することができ、光の回折限界
を超えた高密度記録再生を達成することができる。
【0025】上記の光情報記録再生装置は、前記制御手
段が、前記記録マークの中心が前記トラックの幅方向の
中心からトラックの幅方向の一方向側へずれた状態で記
録マークが記録されるように前記光照射手段を制御する
構成としてもよい。
【0026】上記の構成によれば、隣り合うトラックに
記録する記録マーク同士の重なり量を多くして、さらに
トラック密度を高め、光記録媒体に対するさらに高い記
録密度での記録も可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態を図1ないし図8に基づいて以下に説明する。本
実施の形態において使用される光記録媒体としての光デ
ィスクは、相変化型であり、図2に示す構造となってい
る。この構造は雑誌「エレクトロニクス」(オーム社発
行)の1998年10月号の100〜102頁に開示さ
れている。
【0028】同図において、光ディスク1は、基板2上
にマスク層3、保護層4、記録層5および保護層6がこ
の順序に積層されたものとなっている。記録層5には、
後述のように、レーザビーム9から対物レンズ10を介
して得られるレーザスポット9aを光ディスク1に照射
することにより、記録マーク7が記録される。
【0029】上記の記録層5は相変化材料であるGe2
Sb2 Te5 によって形成されている。マスク層3はア
ンチモン膜からなる。マスク層3の材料としては、照射
されたレーザスポット9aの中心部分に相当する部分が
不透明から透明に変化するものが適しており、実験の結
果、上記アンチモン膜が最適であることが分かってい
る。したがって、マスク層3には、レーザスポット9a
が照射された場合、スポット径よりも小さい径のアパー
チャ8が発生し、このアパーチャ8を通じて記録層5に
記録された記録マーク7を読み出すことが可能となる。
【0030】上記保護層4の厚みは、レーザスポット9
aからアパーチャ8において発生した近接場光(エバネ
ッセント光)9bにより記録マーク7を読み出せる寸法
に設定されている。この寸法は、実験の結果、近接場光
9bの到達可能距離以内であることが分かっている。こ
れにより、数十nm以下の記録マーク7の再生が可能と
なる。
【0031】上記の光ディスク1に対して情報の記録再
生動作を行う光情報記録再生装置は、図3に示す構成を
備えている。即ち、この光情報記録再生装置11は、光
学ピックアップ(光照射手段)12、レーザ駆動回路1
3、記録制御回路(制御手段)14および再生回路(再
生手段)15を備えている。
【0032】この光情報記録再生装置11において、記
録制御回路14から出力された記録信号は、レーザ駆動
回路13を経て、光学ピックアップ12が備える半導体
レーザに送られ、レーザビーム9として出力される。光
学ピックアップ12は前記対物レンズ10を備え、この
対物レンズ10によりレーザビーム9を光ディスク1上
にレーザスポット9aとして集光させる。これにより、
情報の記録時においては、光ディスク1に記録マーク7
が記録される。また、情報の再生時においては、光ディ
スク1にレーザビーム9が照射され、記録マーク7から
の反射光が光学ピックアップ12が備えるフォトディテ
クタにより電気信号に変換される。この電気信号は再生
回路15に送られ、所定の信号に再生される。
【0033】上記の構成において、光ディスク1に対す
る情報の記録再生方法について説明する。
【0034】先ず、図4により相変化光記録媒体に対す
るリング状結晶21を利用した記録マーク7の記録方法
について説明する。相変化光記録媒体においては、従来
の光変調記録における円形の記録マークの周囲にリング
状結晶21が発生することが知られている。この現象は
例えば特開平1−217735号公報にも開示されてい
る。このリング状結晶21は粒径が大きく、ノイズの原
因となるため、従来はこの結晶21が発生しないように
記録媒体の開発がなされてきた。しかしながら、研究を
重ねた結果、上記のリング状結晶21を利用して、即ち
リング状結晶21を記録マーク7として記録すると、マ
ーク長を数十nmまで短くすることができ、従来の光磁
気記録方式に比べて高密度記録が可能であることがわか
った。なお、図4に示す記録層5において、リング状結
晶21以外の部分はアモルファス22である。
【0035】次に、記録層5の記録マーク7の再生方法
について説明する。記録層5の記録マーク7を再生する
場合、リングを形成する結晶壁の幅であるマーク長(図
4参照)は数十nmであるため、従来の再生方式では光
の回折限界により再生は困難である。そこで、図2に示
した、回折限界を超えて記録マーク7を再生可能な光記
録媒体、即ち光ディスク1を使用する。光ディスク1を
使用した場合、アパーチャ8において発生する近接場光
9bを利用して数十nm以下のマーク長を有するリング
状の記録マーク7を読み出すことができる。
【0036】なお、図5に示すように、例えば上記リン
グ状の記録マーク7と同じマーク長を有する円形の記録
マーク31を読み出す場合は、アパーチャ8内に占める
記録マーク31の面積が小さいため、上記記録マーク7
に比べて信号強度が小さく、S/N比が低下する。ま
た、記録マーク31は幅が狭いため、レーザビーム9の
高精度(nmオーダー)のトラッキング制御を行わなけ
れば、安定した読み出しは不可能である。これに対し、
リング状の記録マーク7はマーク幅が広いため、トラッ
キングのずれの許容範囲が大きく、安定した再生信号を
得ることが可能となる。
【0037】ここで、上記の記録マーク7を光ディスク
1のトラックに記録していった場合、トラック密度、即
ち光ディスク1の径方向におけるトラックの間隔は記録
マーク7のリング径によって制限され、光ディスク1全
体として十分に高い記録密度を得ることができない。そ
こで、本実施の形態においては、図1に示すような記録
方法によってトラック密度を高めている。
【0038】即ち、図1において、先ず、トラックt1a
に沿って記録マーク7を記録する。次に、トラック
2a、トラックt3a、…に沿って順次記録マーク7を記
録する。このとき、記録マーク7は、隣り合うトラック
に記録されるものの端部同士が重なり合うように記録す
る。これにより、上記端部同士が離れた状態で記録マー
ク7を記録する場合よりもトラック密度を高めることが
できる。この結果、高い線記録密度を維持した状態で光
ディスク1の記録密度をさらに高めることができる。
【0039】なお、図1に示した構成においては、記録
マーク7の中心をアパーチャ8が走査するため、記録マ
ーク7は、所定のトラックを走査するアパーチャ8とそ
のトラックの隣のトラックに記録された記録マーク7の
端部とが重ならないように記録する必要がある。これ
は、上記重なりによる再生信号量の低下と、隣接トラッ
クの記録マーク7からのクロストークの発生を防止する
ためである。
【0040】光情報記録再生装置11において、リング
状の記録マーク7をトラック方向に重なるように記録す
る際には、記録制御回路14が記録パワー、記録パルス
長(記録光照射時間)や光ディスク1の線速度(光学ピ
ックアップ12と光ディスク1との相対速度)を最適に
制御する。
【0041】また、再生時には、光学ピックアップ12
から記録時よりも弱いレーザビーム9が光ディスク1に
照射され、その反射光が光学ピックアップ12のフォト
ディテクタにより電気信号に変換される。このようにし
て読み出された電気信号は再生回路15により、情報と
して再生される。
【0042】次に、光ディスク1に記録マークを記録す
る場合の温度と記録マークの形状との関係について説明
する。
【0043】記録層5におけるレーザビーム9の照射領
域の温度が低い場合には、レーザスポット9aの中心
(照射中心)である高温部に、図6(a)に示すよう
に、円形の結晶からなる前記の記録マーク31が形成さ
れる。結晶の反射率あるいは透過率は、アモルファスの
部位と異なるので、このような記録マーク31を再生す
ると、図6(a)の下部に示すように、再生信号波形h
に、記録マーク31に応じて1個のパルスbが生じる。
【0044】一方、記録層5におけるレーザビーム9の
照射領域の温度が高い場合、レーザスポット9aの中心
(照射中心)の高温部は、図6(b)に示すように、ア
モルファスとなる一方、その周囲にはリング状結晶2
1、即ち記録マーク7が形成される。この記録マーク7
を再生すると、図6(b)の下部に示すように、再生波
形hに、記録マーク7の前部および後部の結晶壁部に対
応して2個のパルスd1・d2が発生する。
【0045】記録時における記録層5の温度を制御する
には、図3に示した記録制御回路14が、レーザ駆動回
路13と光ディスク1の駆動系との少なくとも一方を制
御して、レーザビーム9の記録パワー、記録パルス長ま
たは線速度の少なくとも1つを適度に調整すればよい。
【0046】図7(a)〜図7(d)は、記録用のレー
ザビーム9のパワー(記録パワー;Pw)を変えなが
ら、光ディスク1に記録マークを形成し、形成した記録
マークから得られた再生波形をオシロスコープにて測定
した結果を示す説明図である。
【0047】すなわち、この測定は、レーザビーム9の
記録パワーを12mWから15mWに上げながら、光デ
ィスク1における記録層5に約2μmの径を有する記録
マークを形成し、形成された記録マークを従来の光ピッ
クアップにより再生することによって行った。
【0048】これらの図より、記録パワーを上げるにつ
れて、再生波形のパルスが1つから2つに増え、記録マ
ークがリング状に形成されていることがわかる。
【0049】また、図8(a)〜図8(d)は、光ディ
スク1の線速度を変えながら、光ディスク1に記録マー
クを形成し、形成した記録マークから得られた再生波形
をオシロスコープにて測定した結果を示す説明図であ
る。
【0050】すなわち、この測定は、線速度を7m/s
(秒速7m)から4m/sへ次第に下げながら、記録層
5に約2μmの径を有する記録マークを形成し、形成さ
れた記録マークを従来の光ピックアップにより再生する
ことによって行われた。なお、記録層5におけるレーザ
ビームの照射領域の温度は、線速度が低いほど高くな
る。
【0051】これらの図から、線速度を7m/sとして
記録した場合には、再生波形のパルスは1個であるが、
線速度を6m/s〜5m/sとして記録した場合には、
再生波形のパルスは2個になり、記録マークがリング状
に形成されたことがわかった。なお、線速度を4m/s
として記録した場合には、照射領域の温度が上昇しすぎ
て照射中心の膜が破壊され、リング状結晶を形成できな
いことが確認できた。
【0052】上記のように、リング状の記録マーク7を
形成するには、レーザビーム9の照射領域の温度を適切
な温度に調節する。このため、光情報記録再生装置11
では、記録層5におけるレーザビーム9の照射領域の温
度が記録マーク7を形成可能な温度となるように、記録
制御回路14が、レーザ駆動回路13と光ディスク1の
駆動系との少なくとも一方を制御して、レーザビーム9
の記録パワー、記録パルス長、線速度の少なくとも1つ
を調整するようになっている。
【0053】なお、上記の説明では、約2μmの径を有
する記録マークを用いて測定を行っているが、これらの
記録マークは、従来の光ピックアップおよびオシロスコ
ープによって再生信号を得るために、便宜上、特別に大
きく形成したものである。
【0054】〔実施の形態2〕本発明の実施の他の形態
を図9および図10に基づいて以下に説明する。なお、
説明の便宜上、前記の図面に示した部材と同一の機能を
有する部材には同一の符号を付記し、その説明を省略す
る。
【0055】本実施の形態の光情報記録再生装置11で
は、図1に示した記録方法に対してさらにトラック密度
を高めるため、図9に示すように、隣り合うトラック、
例えばトラックt1bとトラックt2bに記録された記録マ
ーク7の端部同士の重なり量を、図1に示した記録方法
の場合よりも多くしている。
【0056】即ち、図1に示した記録方法では、記録マ
ーク7をその中心がトラックの幅方向(トラック方向に
対する直交方向)の中心と一致するように記録する。こ
れに対し、本実施の形態においては、記録マーク7をそ
の中心がトラックの幅方向の中心からトラックの幅方向
の一方向側へずれるように記録する。
【0057】これにより、各トラックt1b、トラックt
2b、トラックt3b、…間の間隔をさらに狭くしてトラッ
ク密度を高めることができ、この結果、光ディスク1に
対し、さらに高い記録密度での記録が可能となる。
【0058】なお、上記の記録方法では、アパーチャ8
の走査位置を記録マーク7の中心から端部側へ近づける
ことになる。この場合、図10に示すように、アパーチ
ャ8の走査経路上、即ち例えばトラックt1b上における
トラック方向に隣り合う記録マーク7同士の間隔g
2 は、アパーチャ8の走査位置が、記録マーク7の中心
である場合の間隔g1 と比較して、記録マーク7の端部
側へ近づくほど狭くなる。このため、トラック方向に隣
り合う記録マーク7同士の分離が悪くなる場合がある。
このときには、上記の間隔g2 を少なくとも上記の間隔
1 と同じになるまで広げればよい。
【0059】この場合には、図1に示した記録方法と比
較して、トラック密度が高くなる一方、トラック方向に
隣り合う記録マーク7同士の間隔が広くなって線密度が
低くなる。結局、トラック密度の上昇と線密度の低下と
が同時に生じるため、前者が勝る場合に限り総合的な面
密度が上がることになる。即ち、光ディスク1における
総合的な面密度は、記録マーク7における結晶壁部の
幅、記録マーク7の直径、楕円率およびアパーチャ径等
の諸条件によって左右されることになる。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の光情報記録方法
は、照射される記録光量の強弱によって結晶状態とアモ
ルファス状態とに相変化する記録層を備えた光記録媒体
を使用し、前記記録層に記録光を照射してこの記録光の
照射中心の周囲にリング状結晶の記録マークを形成させ
ることにより、この記録マークを、トラック方向に記録
するとともに、隣り合うトラックに記録されるもの同士
が重なり合うように記録する構成である。
【0061】これにより、トラック幅をリング状の記録
マークの径よりも狭くすることができ、トラック密度を
高めることができる。この結果、光記録媒体に対して高
い記録密度での記録が可能であるという効果を奏する。
【0062】上記の光情報記録方法は、前記記録マーク
をその中心が前記トラックの幅方向の中心からトラック
の幅方向の一方向側へずれるように記録する構成であ
る。
【0063】これにより、隣り合うトラックに記録する
記録マーク同士の重なり量を多くして、さらにトラック
密度を高め、光記録媒体に対するさらに高い記録密度で
の記録も可能であるという効果を奏する。
【0064】本発明の光情報記録再生方法は、照射され
る記録光量の強弱によって反射率または透過率が変化す
る記録層と、照射される再生光量の強弱によって透過率
が変化する再生層とを備えた光記録媒体を使用し、情報
記録時に、前記記録層に記録光を照射してこの記録光の
照射中心の周囲に反射率または透過率が変化したリング
状の記録マークを形成させることにより、この記録マー
クを、トラック方向に記録するとともに、隣り合うトラ
ックに記録されるもの同士が重なり合うように記録し、
情報再生時に、前記再生層に再生光を照射してこの再生
光の照射中心に透過率の高いアパーチャを発生させ、こ
のアパーチャを介して前記記録マークを読み出す構成で
ある。
【0065】これにより、トラック幅をリング状の記録
マークの径よりも狭くすることができ、トラック密度を
高めることができる。この結果、光記録媒体に対して高
い記録密度での記録が可能となる。また、透過率の高い
アパーチャを介して記録マークを読み出すので、S/N
比の良好な再生を行うことができるという効果を奏す
る。
【0066】上記の光情報記録再生方法は、前記記録マ
ークをその中心が前記トラックの幅方向の中心からトラ
ックの幅方向の一方向側へずれるように記録する構成で
ある。
【0067】これにより、さらにトラック密度を高め、
光記録媒体に対するさらに高い記録密度での記録も可能
となるという効果を奏する。
【0068】本発明の光情報記録再生装置は、照射され
る記録光量の強弱によって反射率または透過率が変化す
る記録層、および照射される再生光量の強弱によって透
過率が変化する再生層を備えた光記録媒体を使用し、前
記光記録媒体に光を照射する光照射手段と、情報記録時
に、前記記録層に記録光が照射されてこの記録光の照射
中心の周囲に反射率または透過率が変化したリング状の
記録マークが形成され、この記録マークが、トラック方
向に並んで記録されるとともに、隣り合うトラックに記
録されるもの同士が重なり合うように記録される一方、
情報再生時に、前記再生層に再生光が照射されてこの再
生光の照射中心に透過率の高いアパーチャが発生するよ
うに前記光照射手段を制御する制御手段と、前記アパー
チャを介して前記光照射手段により読み出された信号を
再生する再生手段とを備えている構成である。
【0069】これにより、トラック幅をリング状の記録
マークの径よりも狭くすることができ、トラック密度を
高めることができる。この結果、光記録媒体に対して高
い記録密度での記録が可能となる。また、透過率の高い
アパーチャを介して記録マークを読み出すので、S/N
比の良好な再生を行うことができるという効果を奏す
る。
【0070】上記の光情報記録再生装置は、前記制御手
段が、前記記録層における記録光の照射部分の温度がリ
ング状の記録マークを形成可能な温度となるように、記
録光強度、記録光照射時間、および光照射手段と光記録
媒体との相対速度のうちの少なくとも一つを制御する構
成である。
【0071】これにより、リング状の記録マークを安定
して記録することができ、光の回折限界を超えた高密度
記録再生を達成することができるという効果を奏する。
【0072】上記の光情報記録再生装置は、前記制御手
段が、前記記録マークの中心が前記トラックの幅方向の
中心からトラックの幅方向の一方向側へずれた状態で記
録マークが記録されるように前記光照射手段を制御する
構成である。
【0073】これにより、さらにトラック密度を高め、
光記録媒体に対するさらに高い記録密度での記録も可能
となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における記録マークの記
録方法を示す説明図である。
【図2】図1に示した記録方法により記録マークが記録
される光ディスクの構成を示す説明図である。
【図3】図1に示した記録方法を実施する光情報記録再
生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した記録方法の前提となる、相変化光
記録媒体に対するリング状結晶を利用した記録マークの
記録方法を示す説明図である。
【図5】図4に示した相変化光記録媒体に対する円形の
記録マークの記録方法を示す説明図である。
【図6】図6(a)は、図2に示した光ディスクにおい
て、レーザビームによる記録温度が低い場合に形成され
る記録マークとその再生信号とを示す説明図、図6
(b)は同光ディスクにおいて、レーザビームによる記
録温度が高い場合に形成される記録マークとその再生信
号とを示す説明図である。
【図7】図7(a)は、図2に示した光ディスクに形成
された記録マークの再生波形をオシロスコープにて測定
した結果を示す図面代用写真であって、記録マークを形
成する際の記録パワーを12mWとした場合、図7
(b)は記録パワーを13mWとした場合、図7(c)
は記録パワーを14mWとした場合、図7(d)は記録
パワーを15mWとした場合を示すものである。
【図8】図8(a)は、図2に示した光ディスクに形成
された記録マークの再生波形をオシロスコープにて測定
した結果を示す図面代用写真であって、記録マークを形
成する際の線速度を7m/sとした場合、図8(b)は
線速度を6m/sとした場合、図8(c)は線速度を5
m/sとした場合、図8(d)は線速度を4m/sとし
た場合を示すものである。
【図9】本発明の実施の他の形態における記録マークの
記録方法を示す説明図である。
【図10】図1と図9に示した記録方法におけるトラッ
ク方向に隣り合う記録マーク同士の間隔の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 光ディスク(光記録媒体) 5 記録層 7 記録マーク 8 アパーチャ 9 レーザビーム 9a レーザスポット 9b 近接場光 10 対物レンズ 11 光情報記録再生装置 12 光学ピックアップ(光照射手段) 13 レーザ駆動回路 14 記録制御回路(制御手段) 15 再生回路(再生手段) 21 リング状結晶 22 アモルファス t1a〜t3a トラック t1b〜t3b トラック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 隆志 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術院 産業技術融合領域研究所内 (72)発明者 阿刀田 伸史 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術院 産業技術融合領域研究所内 (72)発明者 藤 寛 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術院 産業技術融合領域研究所内 (72)発明者 片山 博之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5D090 BB05 BB16 CC01 CC04 DD05 EE03 FF11 FF22 FF45 KK01 5D119 AA22 BB04 BB10 DA01 DA05 EB04 EB08 EC34 EC36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】照射される記録光量の強弱によって結晶状
    態とアモルファス状態とに相変化する記録層を備えた光
    記録媒体を使用し、 前記記録層に記録光を照射してこの記録光の照射中心の
    周囲にリング状結晶の記録マークを形成させることによ
    り、この記録マークを、トラック方向に記録するととも
    に、隣り合うトラックに記録されるもの同士が重なり合
    うように記録することを特徴とする光情報記録方法。
  2. 【請求項2】前記記録マークをその中心が前記トラック
    の幅方向の中心からトラックの幅方向の一方向側へずれ
    るように記録することを特徴とする請求項1に記載の光
    情報記録方法。
  3. 【請求項3】照射される記録光量の強弱によって反射率
    または透過率が変化する記録層と、照射される再生光量
    の強弱によって透過率が変化する再生層とを備えた光記
    録媒体を使用し、 情報記録時に、前記記録層に記録光を照射してこの記録
    光の照射中心の周囲に反射率または透過率が変化したリ
    ング状の記録マークを形成させることにより、この記録
    マークを、トラック方向に記録するとともに、隣り合う
    トラックに記録されるもの同士が重なり合うように記録
    し、 情報再生時に、前記再生層に再生光を照射してこの再生
    光の照射中心に透過率の高いアパーチャを発生させ、こ
    のアパーチャを介して前記記録マークを読み出すことを
    特徴とする光情報記録再生方法。
  4. 【請求項4】前記記録マークをその中心が前記トラック
    の幅方向の中心からトラックの幅方向の一方向側へずれ
    るように記録することを特徴とする請求項3に記載の光
    情報記録再生方法。
  5. 【請求項5】照射される記録光量の強弱によって反射率
    または透過率が変化する記録層、および照射される再生
    光量の強弱によって透過率が変化する再生層を備えた光
    記録媒体を使用し、 前記光記録媒体に光を照射する光照射手段と、 情報記録時に、前記記録層に記録光が照射されてこの記
    録光の照射中心の周囲に反射率または透過率が変化した
    リング状の記録マークが形成され、この記録マークが、
    トラック方向に並んで記録されるとともに、隣り合うト
    ラックに記録されるもの同士が重なり合うように記録さ
    れる一方、情報再生時に、前記再生層に再生光が照射さ
    れてこの再生光の照射中心に透過率の高いアパーチャが
    発生するように前記光照射手段を制御する制御手段と、 前記アパーチャを介して前記光照射手段により読み出さ
    れた信号を再生する再生手段とを備えていることを特徴
    とする光情報記録再生装置。
  6. 【請求項6】前記制御手段は、前記記録層における記録
    光の照射部分の温度がリング状の記録マークを形成可能
    な温度となるように、記録光強度、記録光照射時間、お
    よび光照射手段と光記録媒体との相対速度のうちの少な
    くとも一つを制御するものであることを特徴とする請求
    項5に記載の光情報記録再生装置。
  7. 【請求項7】前記制御手段は、前記記録マークの中心が
    前記トラックの幅方向の中心からトラックの幅方向の一
    方向側へずれた状態で記録マークが記録されるように前
    記光照射手段を制御するものであることを特徴とする請
    求項5に記載の光情報記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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