JP2001226733A - イリジウム添加ニオブ基合金 - Google Patents
イリジウム添加ニオブ基合金Info
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- JP2001226733A JP2001226733A JP2000036351A JP2000036351A JP2001226733A JP 2001226733 A JP2001226733 A JP 2001226733A JP 2000036351 A JP2000036351 A JP 2000036351A JP 2000036351 A JP2000036351 A JP 2000036351A JP 2001226733 A JP2001226733 A JP 2001226733A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】1500℃以上の高温域において十分な強度を
有し、かつ常温から高温までの靭性の優れた、新たなニ
オブ基合金を提供する。 【解決手段】3〜11at%のIrを含有し、残部が実
質的にNbからなるイリジウム添加ニオブ基合金。ま
た、3〜6at%のIrを含有し、かつ5〜30at%
のMoと5〜15at%のWのいずれか一方又は双方を
含有して、残部が実質的にNbからなるイリジウム添加
ニオブ基合金。
有し、かつ常温から高温までの靭性の優れた、新たなニ
オブ基合金を提供する。 【解決手段】3〜11at%のIrを含有し、残部が実
質的にNbからなるイリジウム添加ニオブ基合金。ま
た、3〜6at%のIrを含有し、かつ5〜30at%
のMoと5〜15at%のWのいずれか一方又は双方を
含有して、残部が実質的にNbからなるイリジウム添加
ニオブ基合金。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン部材
等の超高温耐熱材料として使用される、高温強度と靭性
の優れたニオブ基合金に関する。
等の超高温耐熱材料として使用される、高温強度と靭性
の優れたニオブ基合金に関する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料の節減と地球環境保全の観点か
ら、火力発電の熱効率の向上が求められ、ガスタービン
の運転温度の一層の高温化が急務の課題となっている。
現在、ガスタービン部材には主にNi基超合金が用いら
れているが、その耐熱温度の向上はほぼ限界に達してい
る。そのため、より高温で使用しうる新たな耐熱材料が
必要となっており、その一つとして高融点金属であるN
bをベースにした材料が注目されている。
ら、火力発電の熱効率の向上が求められ、ガスタービン
の運転温度の一層の高温化が急務の課題となっている。
現在、ガスタービン部材には主にNi基超合金が用いら
れているが、その耐熱温度の向上はほぼ限界に達してい
る。そのため、より高温で使用しうる新たな耐熱材料が
必要となっており、その一つとして高融点金属であるN
bをベースにした材料が注目されている。
【0003】Nbは融点が約2470℃で延性にも富む
金属であるが、高温強度が著しく低いため、固溶強化型
又は析出強化型のニオブ基合金や、Nbの金属間化合物
とくにNb−Al系金属間化合物に関して、種々の検討
が行われている。
金属であるが、高温強度が著しく低いため、固溶強化型
又は析出強化型のニオブ基合金や、Nbの金属間化合物
とくにNb−Al系金属間化合物に関して、種々の検討
が行われている。
【0004】固溶強化型のニオブ基合金の例として、1
0at%程度のWと数at%以下のZr,V等を含む合
金が知られている。また、析出強化型のニオブ基合金の
例としては、3〜16at%のSiを含むNb−Si合
金が知られている。しかし、これらのニオブ基合金は、
1400℃以上の高温域において十分な強度を有すると
は言い難い。
0at%程度のWと数at%以下のZr,V等を含む合
金が知られている。また、析出強化型のニオブ基合金の
例としては、3〜16at%のSiを含むNb−Si合
金が知られている。しかし、これらのニオブ基合金は、
1400℃以上の高温域において十分な強度を有すると
は言い難い。
【0005】また、Nb−Al系金属間化合物として
は、A15型結晶構造を有するNb3Alが注目されて
いる。Nb3Alは室温付近では極めて脆いため、第三
元素を添加して常温靭性や高温強度を改善する試みがな
されており、例えば特開平6−122935号公報に
は、第三元素としてW,Taを添加したNb−Al系金
属間化合物が提案されている。
は、A15型結晶構造を有するNb3Alが注目されて
いる。Nb3Alは室温付近では極めて脆いため、第三
元素を添加して常温靭性や高温強度を改善する試みがな
されており、例えば特開平6−122935号公報に
は、第三元素としてW,Taを添加したNb−Al系金
属間化合物が提案されている。
【0006】しかし、このような第三元素の添加によっ
ても、硬くて脆いという金属間化合物の基本的性質を大
幅に改善することは難しく、構造材料として実用化する
ことは容易ではない。また、Nb−Al系金属間化合物
は、Nb3Al以外のNb2AlやNbAlの相が析出す
るとさらに脆化するため、析出相の制御が難しいことも
問題である。
ても、硬くて脆いという金属間化合物の基本的性質を大
幅に改善することは難しく、構造材料として実用化する
ことは容易ではない。また、Nb−Al系金属間化合物
は、Nb3Al以外のNb2AlやNbAlの相が析出す
るとさらに脆化するため、析出相の制御が難しいことも
問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ガスタービンの高温運
転を図るための一つの目標として、タービン部材の耐用
温度が1500℃以上であることが望まれる。従来の固
溶強化型や析出強化型のニオブ基合金は、かかる高温域
における強度が十分でない。また、Nb−Al系金属間
化合物は高温強度は大きくても、常温から中間温度域で
の靭性が不十分で、タービン部材としての実用化が難し
い。
転を図るための一つの目標として、タービン部材の耐用
温度が1500℃以上であることが望まれる。従来の固
溶強化型や析出強化型のニオブ基合金は、かかる高温域
における強度が十分でない。また、Nb−Al系金属間
化合物は高温強度は大きくても、常温から中間温度域で
の靭性が不十分で、タービン部材としての実用化が難し
い。
【0008】そこで、本発明は、1500℃以上の高温
域において十分な強度を有し、かつ常温から高温までの
靭性の優れた、新たなニオブ基合金を提供することを目
的とする。
域において十分な強度を有し、かつ常温から高温までの
靭性の優れた、新たなニオブ基合金を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新たな合
金元素として面心立方構造を有するIrに着目して、N
bへのIrの添加効果を種々検討した結果、従来から固
溶強化元素として知られている体心立方構造のW,M
o,Ta,V等に比して顕著な強化効果を有することを
知見し、高温強度と靭性とのバランスから適正な組成範
囲についての知見を得た。また、所定量のIr添加に加
えて、第三元素としてMoとWのいずれか一方又は双方
を添加することにより、高温強度や靭性の一層の向上を
図りうることを知見した。
金元素として面心立方構造を有するIrに着目して、N
bへのIrの添加効果を種々検討した結果、従来から固
溶強化元素として知られている体心立方構造のW,M
o,Ta,V等に比して顕著な強化効果を有することを
知見し、高温強度と靭性とのバランスから適正な組成範
囲についての知見を得た。また、所定量のIr添加に加
えて、第三元素としてMoとWのいずれか一方又は双方
を添加することにより、高温強度や靭性の一層の向上を
図りうることを知見した。
【0010】これらの知見に基づく本発明の要旨は、3
〜11at%のIrを含有し、残部が実質的にNbから
なるイリジウム添加ニオブ基合金である。また、3〜6
at%のIrを含有し、かつ5〜30at%のMoと5
〜15at%のWのいずれか一方又は双方を含有して、
残部が実質的にNbからなるイリジウム添加ニオブ基合
金である。
〜11at%のIrを含有し、残部が実質的にNbから
なるイリジウム添加ニオブ基合金である。また、3〜6
at%のIrを含有し、かつ5〜30at%のMoと5
〜15at%のWのいずれか一方又は双方を含有して、
残部が実質的にNbからなるイリジウム添加ニオブ基合
金である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、Nb−X(X:I
r,Mo,W)二元系合金について、後記実施例に示す
ような方法で、試料の調整と1500℃における圧縮強
度の評価を行い、添加元素による高温強度の向上効果を
比較した。その結果、添加元素Xの濃度と0.2%耐力
との間に図1に示す関係があることが見出された。図に
みられるように、Ir添加による強度の向上効果は、W
やMoよりも著しく大きい。
r,Mo,W)二元系合金について、後記実施例に示す
ような方法で、試料の調整と1500℃における圧縮強
度の評価を行い、添加元素による高温強度の向上効果を
比較した。その結果、添加元素Xの濃度と0.2%耐力
との間に図1に示す関係があることが見出された。図に
みられるように、Ir添加による強度の向上効果は、W
やMoよりも著しく大きい。
【0012】図3に示すNb−Ir二元系状態図から明
らかなように、Irが6at%(原子%)程度以下の領
域(図の右端)はNb−Ir固溶体単相の領域で、この
領域でのIrの効果は固溶強化効果である。Irの濃度
が6at%を越えると、Ir固溶相と金属間化合物であ
るNB3Ir析出相との2相域になり、この領域での強
度の増大は、固溶強化と析出強化との複合効果によると
考えられる。本発明者らの知見によれば、上記の2相域
においては、析出相の増加に伴って高温強度は増大する
が、析出相の割合があるレベルを越えると、合金の高温
延性が著しく低下し、脆化する。
らかなように、Irが6at%(原子%)程度以下の領
域(図の右端)はNb−Ir固溶体単相の領域で、この
領域でのIrの効果は固溶強化効果である。Irの濃度
が6at%を越えると、Ir固溶相と金属間化合物であ
るNB3Ir析出相との2相域になり、この領域での強
度の増大は、固溶強化と析出強化との複合効果によると
考えられる。本発明者らの知見によれば、上記の2相域
においては、析出相の増加に伴って高温強度は増大する
が、析出相の割合があるレベルを越えると、合金の高温
延性が著しく低下し、脆化する。
【0013】したがって、本発明の第一のニオブ基合金
(以下、第一合金という)は、Irを3〜11at%含
有するNb−Ir二元系合金で、固溶相単相の合金又は
固溶相を主体とし比較的少量のNb3Ir析出相を含む
2相合金である。
(以下、第一合金という)は、Irを3〜11at%含
有するNb−Ir二元系合金で、固溶相単相の合金又は
固溶相を主体とし比較的少量のNb3Ir析出相を含む
2相合金である。
【0014】第一合金におけるIrの下限を3at%と
する理由は、これ未満では高温強度が不十分であり、I
rの上限を11at%とする理由は、これを越えるとN
b3Ir析出相の割合が大きくなって常温靭性が低下す
るためである。
する理由は、これ未満では高温強度が不十分であり、I
rの上限を11at%とする理由は、これを越えるとN
b3Ir析出相の割合が大きくなって常温靭性が低下す
るためである。
【0015】本発明の第二のニオブ基合金(以下、第二
合金という)は、Irを3〜6at%含有し、さらに第
三元素として、5〜30at%のMoと5〜15at%
のWのいずれか一方又は双方を含有するニオブ基合金で
ある。上記濃度範囲のIrはNbに固溶し、体心立方構
造のMo及びWも容易にNb中に固溶するから、この第
二合金は固溶強化型の単相合金である。
合金という)は、Irを3〜6at%含有し、さらに第
三元素として、5〜30at%のMoと5〜15at%
のWのいずれか一方又は双方を含有するニオブ基合金で
ある。上記濃度範囲のIrはNbに固溶し、体心立方構
造のMo及びWも容易にNb中に固溶するから、この第
二合金は固溶強化型の単相合金である。
【0016】このようにNb−Ir固溶相中に第三元素
であるMo又は/及びWを添加することによって、さら
に高温強度の増大を図ることができる。後記実施例に示
すように、第三元素によるニオブ基合金高温強度の増加
分は、図1に示すような第三元素単独での強度増加分に
ほぼ等しい。また、第二合金は単相合金であるから、析
出相による脆化の問題がなく常温から高温までの靭性に
優れる。
であるMo又は/及びWを添加することによって、さら
に高温強度の増大を図ることができる。後記実施例に示
すように、第三元素によるニオブ基合金高温強度の増加
分は、図1に示すような第三元素単独での強度増加分に
ほぼ等しい。また、第二合金は単相合金であるから、析
出相による脆化の問題がなく常温から高温までの靭性に
優れる。
【0017】第二合金において、Irの濃度範囲を3〜
6at%とする理由は、これ未満ではIrによる固溶強
化効果が十分でなく、これを越えるとNb3Irの析出
相が生成するためである。また、第三元素であるMoの
濃度を5at%以上、Wの濃度を5atm%以上とする
理由は、これ未満では第三元素の添加による高温強度の
向上効果がほとんど得られないためである。
6at%とする理由は、これ未満ではIrによる固溶強
化効果が十分でなく、これを越えるとNb3Irの析出
相が生成するためである。また、第三元素であるMoの
濃度を5at%以上、Wの濃度を5atm%以上とする
理由は、これ未満では第三元素の添加による高温強度の
向上効果がほとんど得られないためである。
【0018】さらに、第三元素であるMoの濃度を30
at%以下、Wの濃度を15at%以下とする理由は、
いずれか一方がこれを越えると常温靭性が不十分になる
ためである。すなわち、後記実施例に示すように、Nb
−Ir−X(X:MoとWの一方又は双方)合金の常温
(25℃)のシャルピー試験を行い、その破面を観察し
て脆性破面率を求めて評価した結果、図2に示すよう
に、Moが30at%、Wが15at%を越えると、常
温靭性が著しく低下し、構造材として必要な靭性を確保
しえなくなることが明らかにされた。
at%以下、Wの濃度を15at%以下とする理由は、
いずれか一方がこれを越えると常温靭性が不十分になる
ためである。すなわち、後記実施例に示すように、Nb
−Ir−X(X:MoとWの一方又は双方)合金の常温
(25℃)のシャルピー試験を行い、その破面を観察し
て脆性破面率を求めて評価した結果、図2に示すよう
に、Moが30at%、Wが15at%を越えると、常
温靭性が著しく低下し、構造材として必要な靭性を確保
しえなくなることが明らかにされた。
【0019】本発明のIr添加ニオブ基合金は、高温強
度と靭性に優れるのみならず、耐酸化を目的として、合
金基材表面にIr被膜を形成した場合に、Ir被膜の密
着性と耐久性を高めうるという効果を有する。
度と靭性に優れるのみならず、耐酸化を目的として、合
金基材表面にIr被膜を形成した場合に、Ir被膜の密
着性と耐久性を高めうるという効果を有する。
【0020】周知のようにニオブ基合金は高温での耐酸
化性に問題があり、耐酸化コーティングの一つとして、
合金基材表面にIr被膜を形成する方法が知られてい
る。しかし、このIr被膜は、基材との密着性が十分で
なかったり、熱膨張率の差により亀裂や剥離が生じるこ
とが少くない。また、Ir被膜を形成した合金部材を長
時間加熱すると、IrがNb基合金中に拡散して酸素遮
断効果が失われるという問題がある。
化性に問題があり、耐酸化コーティングの一つとして、
合金基材表面にIr被膜を形成する方法が知られてい
る。しかし、このIr被膜は、基材との密着性が十分で
なかったり、熱膨張率の差により亀裂や剥離が生じるこ
とが少くない。また、Ir被膜を形成した合金部材を長
時間加熱すると、IrがNb基合金中に拡散して酸素遮
断効果が失われるという問題がある。
【0021】しかし、本発明のIr添加ニオブ基合金に
Ir被膜を形成した場合には、基材自体にIrが含まれ
るため、その密着性が改善され、また熱応力が緩和され
て、Ir被膜に亀裂や剥離が生じるのを軽減するという
効果を有する。また、基材自体に固溶限界に近いIrが
含有されているために、被膜から基材へのIrの拡散が
大幅に減少し、被膜の耐久性を高めると効果を有する。
なお本合金は、上記組成の添加元素を含有し、残部が実
質的にNbであればよく、不可避的不純物や少量の他の
添加元素を含んでいてもよい。
Ir被膜を形成した場合には、基材自体にIrが含まれ
るため、その密着性が改善され、また熱応力が緩和され
て、Ir被膜に亀裂や剥離が生じるのを軽減するという
効果を有する。また、基材自体に固溶限界に近いIrが
含有されているために、被膜から基材へのIrの拡散が
大幅に減少し、被膜の耐久性を高めると効果を有する。
なお本合金は、上記組成の添加元素を含有し、残部が実
質的にNbであればよく、不可避的不純物や少量の他の
添加元素を含んでいてもよい。
【0022】次に、本発明のニオブ基合金の製造方法に
ついて述べる。本発明のニオブ基合金の成形体は、溶解
・凝固法によっても、粉末焼結法によっても製造するこ
とができる。溶解・凝固法としては、例えば高周波加熱
スカル溶解法、プラズマアーク等によるハース溶解法や
真空アーク、プラズマアーク、電子ビーム等を熱源とし
て、原料を水冷鋳型内に連続的に供給して溶解しインゴ
ットを形成する逐次溶解・凝固法等のいずれによっても
よい。また、生成したインゴットを必要に応じて均質化
熱処理をすればよい。
ついて述べる。本発明のニオブ基合金の成形体は、溶解
・凝固法によっても、粉末焼結法によっても製造するこ
とができる。溶解・凝固法としては、例えば高周波加熱
スカル溶解法、プラズマアーク等によるハース溶解法や
真空アーク、プラズマアーク、電子ビーム等を熱源とし
て、原料を水冷鋳型内に連続的に供給して溶解しインゴ
ットを形成する逐次溶解・凝固法等のいずれによっても
よい。また、生成したインゴットを必要に応じて均質化
熱処理をすればよい。
【0023】粉末焼結法としては、配合原料をMA(メ
カニカルアロイイング)法等により所定の粒度まで粉砕
・混合し、各種の粉末焼結法(例えば、ホットプレス、
HIP処理、放電プラズマ焼結法など)により成形体を
形成して、必要に応じて熱処理を行えばよい。だだし、
Nb,Mo,W等はいずれも酸化され易く、酸素のピッ
クアップは材料の強度特性等を著しく劣化させるから、
粉末焼結法においては、粉砕−焼結−熱処理の各工程を
不活性ガス雰囲気又は真空下で行うことが必要である。
カニカルアロイイング)法等により所定の粒度まで粉砕
・混合し、各種の粉末焼結法(例えば、ホットプレス、
HIP処理、放電プラズマ焼結法など)により成形体を
形成して、必要に応じて熱処理を行えばよい。だだし、
Nb,Mo,W等はいずれも酸化され易く、酸素のピッ
クアップは材料の強度特性等を著しく劣化させるから、
粉末焼結法においては、粉砕−焼結−熱処理の各工程を
不活性ガス雰囲気又は真空下で行うことが必要である。
【0024】本発明のニオブ基合金は、固溶強化型の単
相合金又は固溶相を主体とし一部析出相を含む2相合金
である。その強化機構は主に固溶強化によるものであっ
て、析出相の制御に格別の条件を必要としない。
相合金又は固溶相を主体とし一部析出相を含む2相合金
である。その強化機構は主に固溶強化によるものであっ
て、析出相の制御に格別の条件を必要としない。
【0025】したがって、本発明のニオブ基合金におい
ては、溶解・凝固法における凝固速度や均質化熱処理の
条件、或いは粉末焼結法における焼結条件や熱処理条件
を必ずしも厳密に制御する必要はなく、かなり広い製造
条件の中で安定して良好な特性を有する合金成形体を製
造することができる。
ては、溶解・凝固法における凝固速度や均質化熱処理の
条件、或いは粉末焼結法における焼結条件や熱処理条件
を必ずしも厳密に制御する必要はなく、かなり広い製造
条件の中で安定して良好な特性を有する合金成形体を製
造することができる。
【0026】
【実施例】(実施例1)純度99.9%以上の粒状のN
b,Ir,Mo,Wを原料とし、水冷銅鋳内で真空アー
ク溶解してNb−X(X:Ir,Mo,W)の二元系合
金のインゴットを製造した。Irの濃度は0〜18at
%の範囲で6段階に変えた。また、比較例であるMo,
Wの場合は、それぞれXを10、20、30at%とし
た。真空アーク溶解における投入電力は10〜30KV
A、真空度は約10-5Torrとした。生成したインゴ
ットのサイズは幅30×長さ100×厚み10mmであ
った。このインゴットをAr雰囲気下で1800℃×2
4hrの均質化熱処理を行い、放電加工により所定寸法
の供試材を切出した。
b,Ir,Mo,Wを原料とし、水冷銅鋳内で真空アー
ク溶解してNb−X(X:Ir,Mo,W)の二元系合
金のインゴットを製造した。Irの濃度は0〜18at
%の範囲で6段階に変えた。また、比較例であるMo,
Wの場合は、それぞれXを10、20、30at%とし
た。真空アーク溶解における投入電力は10〜30KV
A、真空度は約10-5Torrとした。生成したインゴ
ットのサイズは幅30×長さ100×厚み10mmであ
った。このインゴットをAr雰囲気下で1800℃×2
4hrの均質化熱処理を行い、放電加工により所定寸法
の供試材を切出した。
【0027】このように作製した二元系合金試料につい
て、高温圧縮試験による高温強度の測定と常温シャルピ
ー試験での試験片の脆性破面率の測定を行った。高温圧
縮試験は、3mm角、高さ6mmの試料を用いて、Ar
雰囲気下で試験温度1500℃、歪速度3×10-4s-1
の条件で行った。得られた歪一応力曲線から0.2%耐
力を判定した。また、常温のシャルピー試験はJISK
−5400に準ずる方法で行い、試験後の試験片両破面
を観察し、各々の明瞭な脆性破面の面積率を求め、その
平均値をもって脆性破面率とした。これらの測定結果を
表1に示す。
て、高温圧縮試験による高温強度の測定と常温シャルピ
ー試験での試験片の脆性破面率の測定を行った。高温圧
縮試験は、3mm角、高さ6mmの試料を用いて、Ar
雰囲気下で試験温度1500℃、歪速度3×10-4s-1
の条件で行った。得られた歪一応力曲線から0.2%耐
力を判定した。また、常温のシャルピー試験はJISK
−5400に準ずる方法で行い、試験後の試験片両破面
を観察し、各々の明瞭な脆性破面の面積率を求め、その
平均値をもって脆性破面率とした。これらの測定結果を
表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1のデータより、Nb−X二元系におけ
る添加元素Xの濃度と0.2%耐力の関係をプロットし
た結果を図1に示す。図にみられるように、Ir添加に
より1500℃での強度が顕著に向上することが明らか
になった。
る添加元素Xの濃度と0.2%耐力の関係をプロットし
た結果を図1に示す。図にみられるように、Ir添加に
より1500℃での強度が顕著に向上することが明らか
になった。
【0030】(実施例2)Nb−Ir−X(X:Mo,
Wの1種以上)系合金の試料を実施例1と同様の方法で
作成し、実施例1と同様に、高温圧縮試験と常温のシャ
ルピー試験を行い、0.2%耐力および脆性破面率を測
定した。これらの測定結果を表2に示す。
Wの1種以上)系合金の試料を実施例1と同様の方法で
作成し、実施例1と同様に、高温圧縮試験と常温のシャ
ルピー試験を行い、0.2%耐力および脆性破面率を測
定した。これらの測定結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2に見られるように、Nb−Ir系とN
b−Ir−X系の0.2%耐力を比較すると、同一Ir
濃度の場合いずれもXの添加により0.2%耐力が増大
している。例えば、Irが6at%の場合、15at%
のMo添加で0.2%耐力が約130MPa、5at%
のW添加で0.2%耐力が約50MPa増大している
(表1のNo.3と表2のNo.3及びNo.8との比
較)。このように、第三元素Xによる0.2%耐力の増
分は、図1に見られるようなX単独の0.2%耐力の増
分にほぼ等しい。
b−Ir−X系の0.2%耐力を比較すると、同一Ir
濃度の場合いずれもXの添加により0.2%耐力が増大
している。例えば、Irが6at%の場合、15at%
のMo添加で0.2%耐力が約130MPa、5at%
のW添加で0.2%耐力が約50MPa増大している
(表1のNo.3と表2のNo.3及びNo.8との比
較)。このように、第三元素Xによる0.2%耐力の増
分は、図1に見られるようなX単独の0.2%耐力の増
分にほぼ等しい。
【0033】また、Nb−6Ir−X系における添加元
素Xの濃度と常温における脆性破面率との関係を図2に
示した。図2に見られるように、Moが30at%、W
が15at%を越えると脆性破面率が50%以上にな
り、常温靭性が著しく低下することが明らかになった。
素Xの濃度と常温における脆性破面率との関係を図2に
示した。図2に見られるように、Moが30at%、W
が15at%を越えると脆性破面率が50%以上にな
り、常温靭性が著しく低下することが明らかになった。
【0034】
【発明の効果】本発明により、1500℃以上の高温域
における強度が十分に大きく、構造材料として必要な靭
性を兼ね備えたニオブ基合金を提供することが可能にな
った。また、本発明のイリジウム添加ニオブ基合金は、
耐酸化を目的としてその表面にIr被膜を形成した場合
に、基材への被膜の密着性を高めて、被膜に亀裂や剥離
が生じるのを軽減するという効果、および被膜から基材
へのIrの拡散を抑制して、被膜の耐久性を高めると効
果を有する。
における強度が十分に大きく、構造材料として必要な靭
性を兼ね備えたニオブ基合金を提供することが可能にな
った。また、本発明のイリジウム添加ニオブ基合金は、
耐酸化を目的としてその表面にIr被膜を形成した場合
に、基材への被膜の密着性を高めて、被膜に亀裂や剥離
が生じるのを軽減するという効果、および被膜から基材
へのIrの拡散を抑制して、被膜の耐久性を高めると効
果を有する。
【図1】本実施例におけるNb−X二元系合金の添加元
素Xの濃度と0.2%耐力との関係を示す図である。
素Xの濃度と0.2%耐力との関係を示す図である。
【図2】本実施例におけるNb−6Ir−X三元系合金
の添加元素Xの濃度と常温における脆性破面率との関係
を示す図である。
の添加元素Xの濃度と常温における脆性破面率との関係
を示す図である。
【図3】Nb−Ir二元系合金の状態図の例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 棚橋 浩之 山口県宇部市大字沖宇部573番地の3 株 式会社超高温材料研究所山口研究所内 (72)発明者 譚 毅 山口県宇部市大字沖宇部573番地の3 株 式会社超高温材料研究所山口研究所内 (72)発明者 馬 朝利 山口県宇部市大字沖宇部573番地の3 株 式会社超高温材料研究所山口研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 3〜11at%のIrを含有し、残部が
実質的にNbからなるイリジウム添加ニオブ基合金。 - 【請求項2】 3〜6at%のIrを含有し、かつ5〜
30at%のMoと5〜15at%のWのいずれか一方
又は双方を含有して、残部が実質的にNbからなるイリ
ジウム添加ニオブ基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000036351A JP2001226733A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | イリジウム添加ニオブ基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000036351A JP2001226733A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | イリジウム添加ニオブ基合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001226733A true JP2001226733A (ja) | 2001-08-21 |
Family
ID=18560401
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000036351A Pending JP2001226733A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | イリジウム添加ニオブ基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001226733A (ja) |
-
2000
- 2000-02-15 JP JP2000036351A patent/JP2001226733A/ja active Pending
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