JP2709553B2 - Nb3 Al基金属間化合物 - Google Patents
Nb3 Al基金属間化合物Info
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- JP2709553B2 JP2709553B2 JP4272016A JP27201692A JP2709553B2 JP 2709553 B2 JP2709553 B2 JP 2709553B2 JP 4272016 A JP4272016 A JP 4272016A JP 27201692 A JP27201692 A JP 27201692A JP 2709553 B2 JP2709553 B2 JP 2709553B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高温耐熱材料として
有望なNb3 Al基金属間化合物に関するものである。
Nb3 Al基金属間化合物は、高温耐熱材料として航空
機用エンジンの燃焼器、タービン等に応用が検討されて
いる。
有望なNb3 Al基金属間化合物に関するものである。
Nb3 Al基金属間化合物は、高温耐熱材料として航空
機用エンジンの燃焼器、タービン等に応用が検討されて
いる。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの高出力化、高性能化を
めざして超高温耐熱材料の開発が急務となっている。耐
熱構造用材料としての可能性を秘めた高融点金属間化合
物の研究も活発に行われている(例えば、The Jo
urnal of The Minerals、Met
als & Materials Society、N
o.9、P12(1989))。
めざして超高温耐熱材料の開発が急務となっている。耐
熱構造用材料としての可能性を秘めた高融点金属間化合
物の研究も活発に行われている(例えば、The Jo
urnal of The Minerals、Met
als & Materials Society、N
o.9、P12(1989))。
【0003】Nb−Al系金属間化合物は、Nb3 A
l、Nb2 AlおよびAl3 Nbが存在することが知ら
れているが、その状態図も十分整備されておらず、その
特性も明らかにされていない。しかし、Nb−Al系材
料は比較的低密度かつ高融点であり、高温構造材として
の可能性がある。Nb合金ではHfを含んだNb−Al
高温耐熱合金(米国特許第5000913号明細書)が
公開されているが、Nb固溶体(bcc)をベースにし
たものであり、Nb3 Al等の金属間化合物についての
記述はない。構造用材料としては、A15型結晶構造を
有するNb3 AlとDO22結晶構造を持つAl3 Nbが
候補として考えられているが、第三元素を添加して材料
特性を向上させた例は報告されていない。
l、Nb2 AlおよびAl3 Nbが存在することが知ら
れているが、その状態図も十分整備されておらず、その
特性も明らかにされていない。しかし、Nb−Al系材
料は比較的低密度かつ高融点であり、高温構造材として
の可能性がある。Nb合金ではHfを含んだNb−Al
高温耐熱合金(米国特許第5000913号明細書)が
公開されているが、Nb固溶体(bcc)をベースにし
たものであり、Nb3 Al等の金属間化合物についての
記述はない。構造用材料としては、A15型結晶構造を
有するNb3 AlとDO22結晶構造を持つAl3 Nbが
候補として考えられているが、第三元素を添加して材料
特性を向上させた例は報告されていない。
【0004】Nb−Al系金属間化合物を粉末法によっ
て作製し、高温強度と温度の関係を研究した報告がなさ
れている。前記報告では、Cr、Ti、Zr等の元素を
Nb−20at%AlとNb−25at%Alに添加し
て、添加元素が機械的性質に及ぼす影響について検討を
行った結果、Nb−25at%Al二元系が最も高い高
温強度を有しており、添加元素によって高温強度が低下
することを報告している(Proc.Int.Syp
o.on Intermetallic Compou
nds (JIMIS−6)P633(1991))。
て作製し、高温強度と温度の関係を研究した報告がなさ
れている。前記報告では、Cr、Ti、Zr等の元素を
Nb−20at%AlとNb−25at%Alに添加し
て、添加元素が機械的性質に及ぼす影響について検討を
行った結果、Nb−25at%Al二元系が最も高い高
温強度を有しており、添加元素によって高温強度が低下
することを報告している(Proc.Int.Syp
o.on Intermetallic Compou
nds (JIMIS−6)P633(1991))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Nb3 Al
基金属間化合物に第三元素を加え、成分設計を行うこと
により、高温において高強度を保つ構造用材料を提供し
ようとするものである。
基金属間化合物に第三元素を加え、成分設計を行うこと
により、高温において高強度を保つ構造用材料を提供し
ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1に示すN
b−Al二元系状態図を研究した結果、Nb3 Al金属
間化合物(A15型)が単相で存在する組成域が21a
t%Alから23at%Alの範囲であり、化学量論組
成(Nb−25at%Al)では二相状態であるという
知見を基に、さらに第三元素を固溶させ、(Nb、X)
3 Al金属間化合物をつくることによって化学量論組成
に近い金属間化合物を得ようとする試みを行い、本発明
を完成させたものである。
b−Al二元系状態図を研究した結果、Nb3 Al金属
間化合物(A15型)が単相で存在する組成域が21a
t%Alから23at%Alの範囲であり、化学量論組
成(Nb−25at%Al)では二相状態であるという
知見を基に、さらに第三元素を固溶させ、(Nb、X)
3 Al金属間化合物をつくることによって化学量論組成
に近い金属間化合物を得ようとする試みを行い、本発明
を完成させたものである。
【0007】本発明は、上記目的を達成するために、N
b3 Al金属間化合物にタングステンあるいはタンタル
を添加し、高温における強度を2倍以上に高めることに
成功した。すなわち、本発明の要旨とするところは下記
のとおりである。 (1)高周波スカル溶解法またはプラズマアーク溶解法
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ングステンを下記原子分率成分式によって含有し、16
00℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有すること
を特徴とするNb3 Al基金属間化合物。
b3 Al金属間化合物にタングステンあるいはタンタル
を添加し、高温における強度を2倍以上に高めることに
成功した。すなわち、本発明の要旨とするところは下記
のとおりである。 (1)高周波スカル溶解法またはプラズマアーク溶解法
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ングステンを下記原子分率成分式によって含有し、16
00℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有すること
を特徴とするNb3 Al基金属間化合物。
【0008】 (2)高周波スカル溶解法またはプラズマアーク溶解法
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ンタルを下記原子分率成分式によって含有し、1600
℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有することを特
徴とするNb3 Al基金属間化合物。
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ンタルを下記原子分率成分式によって含有し、1600
℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有することを特
徴とするNb3 Al基金属間化合物。
【0009】 (3)高周波スカル溶解法またはプラズマアーク溶解法
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ンタル、タングステンを下記原子分率成分式によって含
有し、1600℃で100MPa以上の高温圧縮強度を
有することを特徴とするNb3 Al基金属間化合物。
の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法
で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニウム、タ
ンタル、タングステンを下記原子分率成分式によって含
有し、1600℃で100MPa以上の高温圧縮強度を
有することを特徴とするNb3 Al基金属間化合物。
【0010】Nb1-x-yWx Tay Alz (但し 0.01≦x≦0.15 0.01≦y≦0.15 0.18≦z≦0.26) 本発明のNb3 Al基金属間化合物は、次のような方法
によって製造することができる。上記成分を有するNb
3 Al基金属間化合物を、高周波誘導スカル溶解、プラ
ズマアーク溶解等、ニオブ、タングステン、タンタル等
の高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法に
よってインゴットを得る。インゴットは内部欠陥の除去
と均質化を目的として、HIP処理を行う。HIP処理
の条件は温度1600℃以上、圧力1500気圧以上が
望ましい。この他、上記成分をNb、Al、W、Ta等
の素粉末状態で混合し、自己反応燃結法によってバルク
試料を得ることも可能である。
によって製造することができる。上記成分を有するNb
3 Al基金属間化合物を、高周波誘導スカル溶解、プラ
ズマアーク溶解等、ニオブ、タングステン、タンタル等
の高融点金属とアルミニウムを組成制御可能な溶解法に
よってインゴットを得る。インゴットは内部欠陥の除去
と均質化を目的として、HIP処理を行う。HIP処理
の条件は温度1600℃以上、圧力1500気圧以上が
望ましい。この他、上記成分をNb、Al、W、Ta等
の素粉末状態で混合し、自己反応燃結法によってバルク
試料を得ることも可能である。
【0011】次に、本発明でNb3 Al基金属間化合物
のタングステン、タンタル、アルミニウムの成分を前述
のような範囲とした理由について説明する。 タングステン:1〜15原子% タングステンは、Nbと置換する方向でNb3 Alに固
溶する。Nb3 Alに対するタングステンの固溶限に関
するデータはないが、15at%までは固溶可能であ
る。タングステンの固溶による効果によって、Nb3 A
lの融点を上昇させ、かつ固溶硬化による高温強度の向
上が達成できた。15at%超添加し、タングステンが
析出した場合、かえって高温強度を低下させる。
のタングステン、タンタル、アルミニウムの成分を前述
のような範囲とした理由について説明する。 タングステン:1〜15原子% タングステンは、Nbと置換する方向でNb3 Alに固
溶する。Nb3 Alに対するタングステンの固溶限に関
するデータはないが、15at%までは固溶可能であ
る。タングステンの固溶による効果によって、Nb3 A
lの融点を上昇させ、かつ固溶硬化による高温強度の向
上が達成できた。15at%超添加し、タングステンが
析出した場合、かえって高温強度を低下させる。
【0012】タンタル:1〜15原子% 図2にNb−Al−Taの三元状態図を示す(NIOB
IUM Proc.Inter.Symp. Ed
H.Stuart AIME P.325(198
1))。図2の状態図から明かなようにTaはNbと置
換する方向でNb3 Alに43at%の固溶範囲がある
とされている。しかしながら本発明者らが25at%T
aと75at%Nb3 Alの量比を持つ材料を混合して
溶解した場合には、Taの析出が観察され、Nb3 Al
に対するTaの固溶限界が25at%であることが明ら
かとなった。本発明では、Taの固溶限界より低くし、
タンタルの固溶効果によってNb3 Alの融点を上昇さ
せるとともに、固溶硬化によって高温強度を向上させる
ために、Ta添加量としては1at%から15at%と
した。
IUM Proc.Inter.Symp. Ed
H.Stuart AIME P.325(198
1))。図2の状態図から明かなようにTaはNbと置
換する方向でNb3 Alに43at%の固溶範囲がある
とされている。しかしながら本発明者らが25at%T
aと75at%Nb3 Alの量比を持つ材料を混合して
溶解した場合には、Taの析出が観察され、Nb3 Al
に対するTaの固溶限界が25at%であることが明ら
かとなった。本発明では、Taの固溶限界より低くし、
タンタルの固溶効果によってNb3 Alの融点を上昇さ
せるとともに、固溶硬化によって高温強度を向上させる
ために、Ta添加量としては1at%から15at%と
した。
【0013】アルミニウム:18〜26原子% 従来より示されているNb−Al二元系状態図によると
A15型構造を有するNb3 Alは18at%Alから
25at%Alの組成幅を持っていることが示されてい
る。しかしながら、Al量を系統的に変化させて溶解
し、鋳造した材料について、組成と相の関係を詳しく検
討した結果、A15構造を有する金属間化合物が単相で
存在する範囲は、21at%Alから23at%Alで
あることが明かとなった(図1)。
A15型構造を有するNb3 Alは18at%Alから
25at%Alの組成幅を持っていることが示されてい
る。しかしながら、Al量を系統的に変化させて溶解
し、鋳造した材料について、組成と相の関係を詳しく検
討した結果、A15構造を有する金属間化合物が単相で
存在する範囲は、21at%Alから23at%Alで
あることが明かとなった(図1)。
【0014】図1に示す二元系状態図から、Al量が2
3at%超の場合(Nb2 Al+Nb3 Al)の二相領
域となり、Nb2 Alが析出する。Nb2 Alはσ相の
構造を持ち、Nb3 Alよりもさらに脆い金属間化合物
である。Al量が26at%超となり、Nb2 Alの体
積率が増加するとNb3 Al+Nb2 Al二相組織材は
脆く、凝固時の熱歪によって割れが発生する。従って、
Al量は26at%を越えない範囲にする必要がある。
反対にAlが21at%未満の場合、Nb3 Al母相中
にNb固溶体が析出する。Nb固溶体はbcc構造を持
っているため、Nb3 Al金属間化合物に比較して変形
能があり、室温および高温での延性を改善する。しかし
ながら、Nb3 Al+Nb二相組織において、Nb固溶
体の体積率が多くなると高温強度が低下する。従って、
高温強度の優れた材料を得るためには18at%Al以
上であることが望ましい。NbにWあるいはTaを添加
してbcc構造を持つNb固溶体を母相とした耐熱合金
はすでに開発されており、本発明は、Nb3 Al金属間
化合物相を母相としている点に特徴がある。A15型の
Nb3 Alが体積率50%以上であり、母相を形成する
組成範囲は18at%から26at%Alの範囲であ
る。
3at%超の場合(Nb2 Al+Nb3 Al)の二相領
域となり、Nb2 Alが析出する。Nb2 Alはσ相の
構造を持ち、Nb3 Alよりもさらに脆い金属間化合物
である。Al量が26at%超となり、Nb2 Alの体
積率が増加するとNb3 Al+Nb2 Al二相組織材は
脆く、凝固時の熱歪によって割れが発生する。従って、
Al量は26at%を越えない範囲にする必要がある。
反対にAlが21at%未満の場合、Nb3 Al母相中
にNb固溶体が析出する。Nb固溶体はbcc構造を持
っているため、Nb3 Al金属間化合物に比較して変形
能があり、室温および高温での延性を改善する。しかし
ながら、Nb3 Al+Nb二相組織において、Nb固溶
体の体積率が多くなると高温強度が低下する。従って、
高温強度の優れた材料を得るためには18at%Al以
上であることが望ましい。NbにWあるいはTaを添加
してbcc構造を持つNb固溶体を母相とした耐熱合金
はすでに開発されており、本発明は、Nb3 Al金属間
化合物相を母相としている点に特徴がある。A15型の
Nb3 Alが体積率50%以上であり、母相を形成する
組成範囲は18at%から26at%Alの範囲であ
る。
【0015】二元系状態図においてNb、W、Taは互
いに全率固溶する元素群である。添加元素としては、W
あるいはTa単独でなく、複合添加を行っても同様な効
果がある。前述のようにWとTaを同時に各々1at%
から15at%までの範囲で添加した場合、単独添加の
場合と同様に高温強度が上昇する。
いに全率固溶する元素群である。添加元素としては、W
あるいはTa単独でなく、複合添加を行っても同様な効
果がある。前述のようにWとTaを同時に各々1at%
から15at%までの範囲で添加した場合、単独添加の
場合と同様に高温強度が上昇する。
【0016】
【作用】二元系状態図において組成幅を持っている金属
間化合物は、強度等の特性値が組成依存性を示すことが
知られている。化学量論組成近傍の金属間化合物は、規
則状態に近くなっており、構造欠陥を含んでいないた
め、延性等の機械的性質が最も高い値を示すことが予想
される。Nb3 Al金属間化合物の化学量論組成はNb
−25at%Alであるが、図1のNb−Al二元系状
態図に示すように、化学量論組成の合金がA15構造単
相ではなく(A15+σ)相となり、A15型単相のN
b3 Alよりも脆くなった。A15型構造をとるAl組
成は21〜23at%であり、二元系では、Nb3 Al
単相においても完全に規則化しておらず、構造欠陥を含
んでいることを示している。高温強度については、Al
量を増加させるに従って、高温強度が上昇するという報
告があるが、Al組成を系統的に変化させたNb−Al
二元系金属間化合物について高温圧縮試験を行ったとこ
ろ、Al量による変化は添加元素の効果に比べて小さい
ことが明らかとなった。
間化合物は、強度等の特性値が組成依存性を示すことが
知られている。化学量論組成近傍の金属間化合物は、規
則状態に近くなっており、構造欠陥を含んでいないた
め、延性等の機械的性質が最も高い値を示すことが予想
される。Nb3 Al金属間化合物の化学量論組成はNb
−25at%Alであるが、図1のNb−Al二元系状
態図に示すように、化学量論組成の合金がA15構造単
相ではなく(A15+σ)相となり、A15型単相のN
b3 Alよりも脆くなった。A15型構造をとるAl組
成は21〜23at%であり、二元系では、Nb3 Al
単相においても完全に規則化しておらず、構造欠陥を含
んでいることを示している。高温強度については、Al
量を増加させるに従って、高温強度が上昇するという報
告があるが、Al組成を系統的に変化させたNb−Al
二元系金属間化合物について高温圧縮試験を行ったとこ
ろ、Al量による変化は添加元素の効果に比べて小さい
ことが明らかとなった。
【0017】第三元素の効果としては、Wを1at%以
上添加し、(Nb+W)とAlによって金属間化合物を
形成させる。(Nb+W)3 Alの化学量論組成近傍の
成分系をWによってNbを置換する方向で添加すること
が可能である。すなわちA15型構造においてAl原子
位置は固定し、Nb原子位置の一部がWあるいはTaに
置き換わることによって、A15型構造の規則度を高
め、構造欠陥をなくしたものである。欠陥をなくすこと
は、高温において拡散を遅くする働きがあり、高温強度
を著しく向上させたものと考えられる。さらに、拡散速
度が遅くなることはクリープを抑制し、クリープ強度を
高めることも期待できる。
上添加し、(Nb+W)とAlによって金属間化合物を
形成させる。(Nb+W)3 Alの化学量論組成近傍の
成分系をWによってNbを置換する方向で添加すること
が可能である。すなわちA15型構造においてAl原子
位置は固定し、Nb原子位置の一部がWあるいはTaに
置き換わることによって、A15型構造の規則度を高
め、構造欠陥をなくしたものである。欠陥をなくすこと
は、高温において拡散を遅くする働きがあり、高温強度
を著しく向上させたものと考えられる。さらに、拡散速
度が遅くなることはクリープを抑制し、クリープ強度を
高めることも期待できる。
【0018】
実施例1 Wの固溶の効果を確かめるためにNb−Al−W系の金
属間化合物を製造して強度試験を行った。表1に示す仕
込み組成に見合った成分金属(純度99.99%以上)
を秤量混合し、誘導スカルメルト装置により加熱溶解し
た後、水冷銅のハースに鋳造し、約5kgのインゴット
を製造した。このインゴットの中心部から切り出した試
料を組成分析した結果、表1に示すような組成であっ
た。インゴットを熱間静水圧加圧装置(HIP)によ
り、1800℃、1900気圧、4時間の条件にて均質
緻密化処理を行った後、これから5φ×7mmの円柱形
状の試験片を放電加工により切り出した。
属間化合物を製造して強度試験を行った。表1に示す仕
込み組成に見合った成分金属(純度99.99%以上)
を秤量混合し、誘導スカルメルト装置により加熱溶解し
た後、水冷銅のハースに鋳造し、約5kgのインゴット
を製造した。このインゴットの中心部から切り出した試
料を組成分析した結果、表1に示すような組成であっ
た。インゴットを熱間静水圧加圧装置(HIP)によ
り、1800℃、1900気圧、4時間の条件にて均質
緻密化処理を行った後、これから5φ×7mmの円柱形
状の試験片を放電加工により切り出した。
【0019】強度試験として高温圧縮試験を行った。加
熱は加圧治具を通じて直接試料に通電することによって
2分間で1600℃まで昇温し、1分間保持した後、変
形を開始した。温度制御のために試料に白金ロジウム系
の熱電対を取り付け、試験中試料を1600℃に保っ
た。5×10-4/secの歪速度で、約20%試料を圧
縮し、降伏応力の測定を行った結果を表1に示した。試
料No.6はWを9.3at%、Nbを66.6at%
残部Alからなる合金であり、A15型をもつNb3 A
lが主な構成相である。この成分を持つ試料は高温圧縮
強度が221.8MPaを示し、高温強度に優れた材料
であることが判る。本発明の試料No.6についてHI
P後の組織写真を図3に示す。Nb3 Al(A15)が
母相を形成し、微細なNb2 Alが析出した組織となっ
た。
熱は加圧治具を通じて直接試料に通電することによって
2分間で1600℃まで昇温し、1分間保持した後、変
形を開始した。温度制御のために試料に白金ロジウム系
の熱電対を取り付け、試験中試料を1600℃に保っ
た。5×10-4/secの歪速度で、約20%試料を圧
縮し、降伏応力の測定を行った結果を表1に示した。試
料No.6はWを9.3at%、Nbを66.6at%
残部Alからなる合金であり、A15型をもつNb3 A
lが主な構成相である。この成分を持つ試料は高温圧縮
強度が221.8MPaを示し、高温強度に優れた材料
であることが判る。本発明の試料No.6についてHI
P後の組織写真を図3に示す。Nb3 Al(A15)が
母相を形成し、微細なNb2 Alが析出した組織となっ
た。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 同様にTaの添加効果を確かめるためにNb−Al−T
a系の金属間化合物を製造し、HIP処理後、高温圧縮
試験を行った。Taを3.2at%から9.5at%等
量Nbと置換する方向で添加し、Nb+Ta量を81.
5、79.3、77.8、75.5、78.2、76a
t%、Al量を18.4、20.6、22.2、24.
5、21.8、24.0at%と系統的に変化させた材
料である。No.12の組成は二元系状態図(図1)に
よるとNb3 Al+Nb2 Al二相状態であるが、添加
元素によって相平衡状態が変化している。高温圧縮強度
は150.8MPaであり、Nb3 Al二元系材料より
も高くなった。
a系の金属間化合物を製造し、HIP処理後、高温圧縮
試験を行った。Taを3.2at%から9.5at%等
量Nbと置換する方向で添加し、Nb+Ta量を81.
5、79.3、77.8、75.5、78.2、76a
t%、Al量を18.4、20.6、22.2、24.
5、21.8、24.0at%と系統的に変化させた材
料である。No.12の組成は二元系状態図(図1)に
よるとNb3 Al+Nb2 Al二相状態であるが、添加
元素によって相平衡状態が変化している。高温圧縮強度
は150.8MPaであり、Nb3 Al二元系材料より
も高くなった。
【0022】
【表2】
【0023】実施例3 WとTaの複合添加効果を確かめるためにNb−Al−
W−Ta系の金属間化合物を製造し強度試験を行った。
試料No.13、No.14はTaとWの複合添加であ
り、単独添加の場合と同様に、高温圧縮強度を上昇させ
ることができた。
W−Ta系の金属間化合物を製造し強度試験を行った。
試料No.13、No.14はTaとWの複合添加であ
り、単独添加の場合と同様に、高温圧縮強度を上昇させ
ることができた。
【0024】
【表3】
【0025】比較例 比較例としてNb−Al二元系の金属間化合物を製造
し、強度試験を行った。その結果を表4に示す。
し、強度試験を行った。その結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】本発明に従ったNb−Al基金属間化合
物は、Nb−Al二元系金属間化合物に比べて格段に向
上した高温圧縮強度を有するので、1600℃の高温で
有利に使用される耐熱構造用材料を提供することができ
る。
物は、Nb−Al二元系金属間化合物に比べて格段に向
上した高温圧縮強度を有するので、1600℃の高温で
有利に使用される耐熱構造用材料を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nb−Al二元系状態図である。
【図2】Nb‐Al−Ta三元系状態図(NIOBIU
M Proc.Inter.Symp.Ed H.St
uart AIME P.325(1981))であ
る。
M Proc.Inter.Symp.Ed H.St
uart AIME P.325(1981))であ
る。
【図3】試料No.6のHIP処理後の金属顕微鏡組織
写真である。
写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出川 通 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造 船株式会社 玉野事業所内 (72)発明者 鎌田 勤也 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造 船株式会社 玉野事業所内 (56)参考文献 特開 平3−229832(JP,A) 特開 平5−263178(JP,A) 特開 平6−220565(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 高周波スカル溶解法またはプラズマアー
ク溶解法の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能
な溶解法で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニ
ウム、タングステンを下記原子分率成分式によって含有
し、1600℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有
することを特徴とするNb3 Al基金属間化合物。 - 【請求項2】 高周波スカル溶解法またはプラズマアー
ク溶解法の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能
な溶解法で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニ
ウム、タンタルを下記原子分率成分式によって含有し、
1600℃で100MPa以上の高温圧縮強度を有する
ことを特徴とするNb3 Al基金属間化合物。 - 【請求項3】 高周波スカル溶解法またはプラズマアー
ク溶解法の、高融点金属とアルミニウムを組成制御可能
な溶解法で溶解して製造した合金で、ニオブ、アルミニ
ウム、タンタル、タングステンを下記原子分率成分式に
よって含有し、1600℃で100MPa以上の高温圧
縮強度を有することを特徴とするNb3 Al基金属間化
合物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4272016A JP2709553B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | Nb3 Al基金属間化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4272016A JP2709553B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | Nb3 Al基金属間化合物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06122935A JPH06122935A (ja) | 1994-05-06 |
JP2709553B2 true JP2709553B2 (ja) | 1998-02-04 |
Family
ID=17507960
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4272016A Expired - Fee Related JP2709553B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | Nb3 Al基金属間化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2709553B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JPH06220565A (ja) * | 1993-01-21 | 1994-08-09 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 鋳造性に優れたNb−Al系金属間化合物 |
JPH07252554A (ja) * | 1994-03-14 | 1995-10-03 | Natl Res Inst For Metals | Nb−Al系合金の高温酸化抑制方法と そのNb−Al系合金 |
US20170159155A1 (en) | 2015-05-25 | 2017-06-08 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Nb-Silicide Based Composites, High-Temperature Component and High-Temperature Heat Engine Employing the Same |
Family Cites Families (2)
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---|---|---|---|---|
JPH03229832A (ja) * | 1990-02-03 | 1991-10-11 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Nb―Al金属間化合物の製造方法 |
JPH05263178A (ja) * | 1992-03-17 | 1993-10-12 | Hitachi Ltd | 高強度ニオブ合金の製造方法及びニオブ合金 |
-
1992
- 1992-10-09 JP JP4272016A patent/JP2709553B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06122935A (ja) | 1994-05-06 |
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