JP2001226715A - マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法Info
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- JP2001226715A JP2001226715A JP2000036755A JP2000036755A JP2001226715A JP 2001226715 A JP2001226715 A JP 2001226715A JP 2000036755 A JP2000036755 A JP 2000036755A JP 2000036755 A JP2000036755 A JP 2000036755A JP 2001226715 A JP2001226715 A JP 2001226715A
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- martensitic stainless
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課 題】 生産性悪化や操業自由度低下を伴わずに熱
間圧延時のシートバー割れを確実に防止できるマルテン
サイト系ステンレス鋼の製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%でCr:11.5〜14.0%を含有するマ
ルテンサイト系ステンレス鋼鋳片を連続鋳造後再加熱し
熱間圧延する工程を含むマルテンサイト系ステンレス鋼
の製造方法において、鋳造中の鋳片毎に下記式を用いて
指数DIを算出しその値が450 を超えた鋳片について連続
鋳造後常温付近まで冷却する前に均熱処理する方法。 DI=(-52.67[%C]2+35.95[%C]-0.78)(1+3.3[%Mn])(1+2.5
[%Mo])(1+2.0[%Cr])(1+0.7[%Si])(1+0.6[%Ni])(1+3.3[%
V]) [%XX] :鋳片対応溶鋼のXX成分濃度(単位:質量百分
率)
間圧延時のシートバー割れを確実に防止できるマルテン
サイト系ステンレス鋼の製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%でCr:11.5〜14.0%を含有するマ
ルテンサイト系ステンレス鋼鋳片を連続鋳造後再加熱し
熱間圧延する工程を含むマルテンサイト系ステンレス鋼
の製造方法において、鋳造中の鋳片毎に下記式を用いて
指数DIを算出しその値が450 を超えた鋳片について連続
鋳造後常温付近まで冷却する前に均熱処理する方法。 DI=(-52.67[%C]2+35.95[%C]-0.78)(1+3.3[%Mn])(1+2.5
[%Mo])(1+2.0[%Cr])(1+0.7[%Si])(1+0.6[%Ni])(1+3.3[%
V]) [%XX] :鋳片対応溶鋼のXX成分濃度(単位:質量百分
率)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルテンサイト系
ステンレス鋼の製造方法に関し、とくに熱間粗圧延中に
被圧延材(シートバー)に発生する割れを防止するのに
好適なマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法に関す
る。なお、本発明にいう成分含有量は、特にことわらな
い限り、質量%を意味するものとする。
ステンレス鋼の製造方法に関し、とくに熱間粗圧延中に
被圧延材(シートバー)に発生する割れを防止するのに
好適なマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法に関す
る。なお、本発明にいう成分含有量は、特にことわらな
い限り、質量%を意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト系ステンレス鋼の製造過
程において、鋳造〜熱間圧延工程で被処理材に発生する
割れを防止する技術が幾つか提案されている。例えば特
開昭55−164029号公報では、高炭素(C:0.20〜0.50
%)マルテンサイト系ステンレス鋼鋳片の表面温度を65
0 ℃以下に冷却することなく、断熱材を用いて被包し、
該鋳片の外部を保温カバーで囲覆して、鋳片の保有熱で
長時間保温せしめながら徐冷するという方法が提案され
ている。また、例えば特開昭63−183704号公報では、マ
ルテンサイト系ステンレス鋼を溶融体からの凝固に引き
続く鋳片の冷却過程で、該鋳片の温度がMs点以上で加熱
炉に装入され、しかる後に熱間圧延する方法において、
該熱間圧延に先立って行う加熱温度を1200℃以下とする
方法が提案されている。
程において、鋳造〜熱間圧延工程で被処理材に発生する
割れを防止する技術が幾つか提案されている。例えば特
開昭55−164029号公報では、高炭素(C:0.20〜0.50
%)マルテンサイト系ステンレス鋼鋳片の表面温度を65
0 ℃以下に冷却することなく、断熱材を用いて被包し、
該鋳片の外部を保温カバーで囲覆して、鋳片の保有熱で
長時間保温せしめながら徐冷するという方法が提案され
ている。また、例えば特開昭63−183704号公報では、マ
ルテンサイト系ステンレス鋼を溶融体からの凝固に引き
続く鋳片の冷却過程で、該鋳片の温度がMs点以上で加熱
炉に装入され、しかる後に熱間圧延する方法において、
該熱間圧延に先立って行う加熱温度を1200℃以下とする
方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者の調
査結果によれば、Cr:11.5〜14.0%を含有するマルテン
サイト系ステンレス鋼の製造過程で、C:0.25%未満に
溶製され鋳造されたスラブを放冷して常温付近まで冷却
し、再加熱して熱間粗圧延するときに、シートバーの厚
さ方向に貫通する大きな割れ(シートバー割れ)が発生
する場合が時々あることがわかった。
査結果によれば、Cr:11.5〜14.0%を含有するマルテン
サイト系ステンレス鋼の製造過程で、C:0.25%未満に
溶製され鋳造されたスラブを放冷して常温付近まで冷却
し、再加熱して熱間粗圧延するときに、シートバーの厚
さ方向に貫通する大きな割れ(シートバー割れ)が発生
する場合が時々あることがわかった。
【0004】このようなシートバー割れは、前記特開昭
55−164029号公報の方法をC:0.20%未満の範囲にも適
用し、あるいは前記特開昭63−183704号公報の方法を適
用することにより、防止可能と考えられていたのである
が、このような大きな割れの発生頻度はそれほど高くな
いため、前者の方法では、割れが発生しないスラブの方
が多いにもかかわらずスラブ全数を徐冷しなければなら
なくなって生産にかかるコストが高くつく問題があり、
また、後者の方法では、鋳片が高温の状態で熱延の加熱
炉に装入することを前提としているため、例えば納期は
すぐなのに受注ロットが製鋼の出鋼チャージトン数より
少ないような場合、納期を優先させるために結局出鋼済
全鋳片を加熱炉に装入し熱間圧延を行う必要があって熱
間圧延後鋼帯の余剰品在庫が増加するということが必ず
発生し、操業の自由度が著しく低下すると共に在庫資産
に対する課税額が高くつくという問題がある。
55−164029号公報の方法をC:0.20%未満の範囲にも適
用し、あるいは前記特開昭63−183704号公報の方法を適
用することにより、防止可能と考えられていたのである
が、このような大きな割れの発生頻度はそれほど高くな
いため、前者の方法では、割れが発生しないスラブの方
が多いにもかかわらずスラブ全数を徐冷しなければなら
なくなって生産にかかるコストが高くつく問題があり、
また、後者の方法では、鋳片が高温の状態で熱延の加熱
炉に装入することを前提としているため、例えば納期は
すぐなのに受注ロットが製鋼の出鋼チャージトン数より
少ないような場合、納期を優先させるために結局出鋼済
全鋳片を加熱炉に装入し熱間圧延を行う必要があって熱
間圧延後鋼帯の余剰品在庫が増加するということが必ず
発生し、操業の自由度が著しく低下すると共に在庫資産
に対する課税額が高くつくという問題がある。
【0005】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
熱延後鋼帯余剰品在庫の増加に代表される操業自由度低
下を伴わずに熱間圧延時のシートバー割れを確実に防止
できるマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提供
することを目的とする。
熱延後鋼帯余剰品在庫の増加に代表される操業自由度低
下を伴わずに熱間圧延時のシートバー割れを確実に防止
できるマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために、まず、連続鋳造後の鋳片を常温に放冷
し、その後再加熱して熱間圧延する工程を経るSUS4
10についてシートバー割れが発生する臨界条件を鋭意
調査した。その結果、この臨界条件が化学成分の関数で
表される指数によってよく表現されることを見いだし
た。さらに、SUS410以外の種類のマルテンサイト
系ステンレス鋼についても同様の調査を行い、シートバ
ー割れ発生に対してSUS410と同じ臨界条件が成立
しうる鋼種の範囲を見いだした。
達成するために、まず、連続鋳造後の鋳片を常温に放冷
し、その後再加熱して熱間圧延する工程を経るSUS4
10についてシートバー割れが発生する臨界条件を鋭意
調査した。その結果、この臨界条件が化学成分の関数で
表される指数によってよく表現されることを見いだし
た。さらに、SUS410以外の種類のマルテンサイト
系ステンレス鋼についても同様の調査を行い、シートバ
ー割れ発生に対してSUS410と同じ臨界条件が成立
しうる鋼種の範囲を見いだした。
【0007】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものであり、その要旨とするところは、質量%でC
r:11.5〜14.0%を含有するマルテンサイト系ステンレ
ス鋼鋳片を連続鋳造後再加熱し熱間圧延する工程を含む
マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、鋳
造中の鋳片毎に下記式を用いて指数DIを算出しその値が
450 を超えた鋳片について連続鋳造後常温付近まで冷却
する前に均熱処理することを特徴とするマルテンサイト
系ステンレス鋼の製造方法にある。
れたものであり、その要旨とするところは、質量%でC
r:11.5〜14.0%を含有するマルテンサイト系ステンレ
ス鋼鋳片を連続鋳造後再加熱し熱間圧延する工程を含む
マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、鋳
造中の鋳片毎に下記式を用いて指数DIを算出しその値が
450 を超えた鋳片について連続鋳造後常温付近まで冷却
する前に均熱処理することを特徴とするマルテンサイト
系ステンレス鋼の製造方法にある。
【0008】 記 DI=(-52.67[%C]2+35.95[%C]-0.78)(1+3.3[%Mn])(1+2.5[%Mo])(1+2.0[%Cr])(1 +0.7[%Si])(1+0.6[%Ni])(1+3.3[%V]) ‥‥‥(1) 本発明では、前記均熱処理を650 超〜780 ℃で行うこと
が好ましい。
が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、鋼の化学成分濃
度(含有量)は質量百分率(%)で表される。(1)式
の右辺の各変数[%XX] は、各々対応する成分元素XXの鋼
中濃度値を質量%で表し、そこには現在鋳造中の鋳片に
対応する溶鋼分析値が代入される。指数DIが450 以下の
鋳片ではシートバー割れが発生せず、指数DIが450 超の
鋳片ではシートバー割れが発生する。このシートバー割
れは、鋳片冷却時の局所的なマルテンサイト変態により
鋳片内部に微小割れまたは硬化部が発生し、これがその
後の熱間圧延加工歪によってシートバー厚みを貫通する
大きな割れに成長したものと考えられる。
度(含有量)は質量百分率(%)で表される。(1)式
の右辺の各変数[%XX] は、各々対応する成分元素XXの鋼
中濃度値を質量%で表し、そこには現在鋳造中の鋳片に
対応する溶鋼分析値が代入される。指数DIが450 以下の
鋳片ではシートバー割れが発生せず、指数DIが450 超の
鋳片ではシートバー割れが発生する。このシートバー割
れは、鋳片冷却時の局所的なマルテンサイト変態により
鋳片内部に微小割れまたは硬化部が発生し、これがその
後の熱間圧延加工歪によってシートバー厚みを貫通する
大きな割れに成長したものと考えられる。
【0010】シートバー割れ発生がDI:450 以下で無、
DI:450 超で有という対応関係は、Cr含有量が11.5〜1
4.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼について統計的
に確立されたものであるため、本発明は、質量%でCr:
11.5〜14.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼に限定し
て適用されるべきである。なお、Cr以外の成分範囲とし
ては、マルテンサイト系ステンレス鋼のうちCr:11.5〜
14.0%を含有するJIS−G4304に規定のSUS4
03、SUS410、SUS410S、SUS420J
1、を包括する成分範囲(C:0.25%以下、Si:1.0 %
以下、Mn:1.0 %以下、P:0.040 %以下、S:0.030
%以下)を満たし、かつ、N:0.0050〜0.050 %を含む
ものが好ましい。なお、さらに必要に応じてMo、Ni、
V、Nb、Al、Bの1種または2種以上が添加されたもの
であってもよい。
DI:450 超で有という対応関係は、Cr含有量が11.5〜1
4.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼について統計的
に確立されたものであるため、本発明は、質量%でCr:
11.5〜14.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼に限定し
て適用されるべきである。なお、Cr以外の成分範囲とし
ては、マルテンサイト系ステンレス鋼のうちCr:11.5〜
14.0%を含有するJIS−G4304に規定のSUS4
03、SUS410、SUS410S、SUS420J
1、を包括する成分範囲(C:0.25%以下、Si:1.0 %
以下、Mn:1.0 %以下、P:0.040 %以下、S:0.030
%以下)を満たし、かつ、N:0.0050〜0.050 %を含む
ものが好ましい。なお、さらに必要に応じてMo、Ni、
V、Nb、Al、Bの1種または2種以上が添加されたもの
であってもよい。
【0011】このように、シートバー割れを起こす鋳片
を前もって確実に見分けることができるパラメータとし
て指数DIを見いだし、この指数DIを用いて現在鋳造され
つつある鋳片がシートバー割れを起こすもの(×)か起
こさないもの(○)かを判定し、×と判定された鋳片に
対して均熱処理するようにしたから、この均熱処理によ
って×のものを○に変換できる。判定的中率は、○は10
0 %割れ発生せず、×はDI:450 超〜460 で80%が割れ
発生し、DI:460 超で100 %割れ発生、であり、均熱処
理を行わない○のものにシートバー割れが発生すること
は皆無であった。このような指数を導入したことによ
り、安全をみて実は○であるかもしれない半数以上に対
しても行わざるをえなかった従来の均熱処理の無駄分が
大幅に削減されることとなり、生産コストを最小限に抑
えることができるようになった。また、熱延加熱炉への
鋳片の高温装入を全鋳片については必須としないから操
業の自由度は低下しなくなった。また、鋳片製造時に○
と判定されたものは、完全冷却可能であるため、熱延後
鋼帯よりも課税額の安い鋳片の在庫として保存可能にな
った。よって、万一DIが450 を超えた場合だけ熱延鋼帯
在庫が増えることで済むようになった。
を前もって確実に見分けることができるパラメータとし
て指数DIを見いだし、この指数DIを用いて現在鋳造され
つつある鋳片がシートバー割れを起こすもの(×)か起
こさないもの(○)かを判定し、×と判定された鋳片に
対して均熱処理するようにしたから、この均熱処理によ
って×のものを○に変換できる。判定的中率は、○は10
0 %割れ発生せず、×はDI:450 超〜460 で80%が割れ
発生し、DI:460 超で100 %割れ発生、であり、均熱処
理を行わない○のものにシートバー割れが発生すること
は皆無であった。このような指数を導入したことによ
り、安全をみて実は○であるかもしれない半数以上に対
しても行わざるをえなかった従来の均熱処理の無駄分が
大幅に削減されることとなり、生産コストを最小限に抑
えることができるようになった。また、熱延加熱炉への
鋳片の高温装入を全鋳片については必須としないから操
業の自由度は低下しなくなった。また、鋳片製造時に○
と判定されたものは、完全冷却可能であるため、熱延後
鋼帯よりも課税額の安い鋳片の在庫として保存可能にな
った。よって、万一DIが450 を超えた場合だけ熱延鋼帯
在庫が増えることで済むようになった。
【0012】均熱処理を行う温度範囲は、本発明の製造
対象であるCr:11.5〜14.0%を含有するマルテンサイト
系ステンレス鋼を鋳片冷却途上で恒温保持してフェライ
ト−パーライト変態を促進可能な650 超〜780 ℃が好ま
しい。なお、より好ましくは700 〜780 ℃である。な
お、均熱処理を行う時間は、特に限定されず、鋼種や鋳
片断面サイズに応じて適宜設定すればよいが、概ね8〜
25h程度が適当である。
対象であるCr:11.5〜14.0%を含有するマルテンサイト
系ステンレス鋼を鋳片冷却途上で恒温保持してフェライ
ト−パーライト変態を促進可能な650 超〜780 ℃が好ま
しい。なお、より好ましくは700 〜780 ℃である。な
お、均熱処理を行う時間は、特に限定されず、鋼種や鋳
片断面サイズに応じて適宜設定すればよいが、概ね8〜
25h程度が適当である。
【0013】均熱処理用装置としては、均熱炉、断熱保
温ボックス等が挙げられるが、恒温保持をより確実に行
う観点からは、強制加熱手段を有する均熱炉が好まし
い。また、均熱処理する場合には、鋳片内平均温度を60
℃未満に冷却させないでこれら装置内に入れるのがよ
い。本発明では、鋳片の再加熱およびこれに続く熱間圧
延(熱間粗圧延とこれに続く熱間仕上圧延)以後の工程
は、特に限定すべき点を有さず、常法に従って行えば十
分である。例えば熱間圧延で得られた熱延鋼帯(熱延コ
イル)をそのまま製品としてもよく、また、例えば前記
熱延鋼帯を必要な回数だけ酸洗、焼鈍し、さらに冷間圧
延して得られた冷延鋼帯(冷延コイル)を仕上焼鈍して
製品としてもよい。
温ボックス等が挙げられるが、恒温保持をより確実に行
う観点からは、強制加熱手段を有する均熱炉が好まし
い。また、均熱処理する場合には、鋳片内平均温度を60
℃未満に冷却させないでこれら装置内に入れるのがよ
い。本発明では、鋳片の再加熱およびこれに続く熱間圧
延(熱間粗圧延とこれに続く熱間仕上圧延)以後の工程
は、特に限定すべき点を有さず、常法に従って行えば十
分である。例えば熱間圧延で得られた熱延鋼帯(熱延コ
イル)をそのまま製品としてもよく、また、例えば前記
熱延鋼帯を必要な回数だけ酸洗、焼鈍し、さらに冷間圧
延して得られた冷延鋼帯(冷延コイル)を仕上焼鈍して
製品としてもよい。
【0014】
【実施例】表1に示す、SUS403、SUS410、
SUS420J1の各鋼種に相当する、化学組成(溶鋼
成分値)を有する厚さ200 mmの連続鋳造鋳片の各々に対
し、鋳造中に(1)式を用いて指数DIを算出し、DI≦45
0 のものは鋳片を所定の長さに切断後、実施例として切
断片の全数を放冷し、DI>450 のものは鋳片を所定の長
さに切断後、切断片のうち1本は比較例として放冷し、
残りは実施例として切断ラインの傍らに設置した均熱炉
に装入して表1に示す条件で均熱処理を施した後、抽出
して放冷した。放冷により常温付近まで冷えたこれらの
鋳片を常法に則り加熱炉で1240℃に再加熱し、厚さ30〜
35mmのシートバーに熱間粗圧延してシートバー割れ発生
の有無を調査した。その結果を表1に示す。表1より明
らかなように、シートバー割れは実施例では全く発生せ
ず、比較例では全数発生し、本発明の判定精度が十分で
あることが確認された。
SUS420J1の各鋼種に相当する、化学組成(溶鋼
成分値)を有する厚さ200 mmの連続鋳造鋳片の各々に対
し、鋳造中に(1)式を用いて指数DIを算出し、DI≦45
0 のものは鋳片を所定の長さに切断後、実施例として切
断片の全数を放冷し、DI>450 のものは鋳片を所定の長
さに切断後、切断片のうち1本は比較例として放冷し、
残りは実施例として切断ラインの傍らに設置した均熱炉
に装入して表1に示す条件で均熱処理を施した後、抽出
して放冷した。放冷により常温付近まで冷えたこれらの
鋳片を常法に則り加熱炉で1240℃に再加熱し、厚さ30〜
35mmのシートバーに熱間粗圧延してシートバー割れ発生
の有無を調査した。その結果を表1に示す。表1より明
らかなように、シートバー割れは実施例では全く発生せ
ず、比較例では全数発生し、本発明の判定精度が十分で
あることが確認された。
【0015】
【表1】 この確認実験の後、Cr:11.5〜14.0%を含有するマルテ
ンサイト系ステンレス鋼の連続鋳造から熱間圧延にかけ
ての工程に本発明を恒常的に実施した結果、従来83%程
度にとどまっていた製品歩留りが、究極の100 %に到達
した。
ンサイト系ステンレス鋼の連続鋳造から熱間圧延にかけ
ての工程に本発明を恒常的に実施した結果、従来83%程
度にとどまっていた製品歩留りが、究極の100 %に到達
した。
【0016】
【発明の効果】かくして本発明によれば、質量%で11.5
〜14.0%Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼鋳片がシ
ートバー割れを起こすものか否かを鋳造段階で高精度で
予測できるようになり、必要最小限の均熱処理を施すだ
けでシートバー割れの発生を完全に防止できるようにな
るから、生産性および歩留りが向上し、かつ生産コスト
削減を達成できるという優れた効果を奏する。
〜14.0%Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼鋳片がシ
ートバー割れを起こすものか否かを鋳造段階で高精度で
予測できるようになり、必要最小限の均熱処理を施すだ
けでシートバー割れの発生を完全に防止できるようにな
るから、生産性および歩留りが向上し、かつ生産コスト
削減を達成できるという優れた効果を奏する。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%でCr:11.5〜14.0%を含有するマ
ルテンサイト系ステンレス鋼鋳片を連続鋳造後再加熱し
熱間圧延する工程を含むマルテンサイト系ステンレス鋼
の製造方法において、鋳造中の鋳片毎に下記式を用いて
指数DIを算出しその値が450 を超えた鋳片について連続
鋳造後常温付近まで冷却する前に均熱処理することを特
徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。 記 DI=(-52.67[%C]2+35.95[%C]-0.78)(1+3.3[%Mn])(1+2.5
[%Mo])(1+2.0[%Cr])(1+0.7[%Si])(1+0.6[%Ni])(1+3.3[%
V]) [%XX] :鋳片対応溶鋼のXX成分濃度(単位:質量百分
率) - 【請求項2】 前記均熱処理を650 超〜780 ℃で行う請
求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000036755A JP2001226715A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000036755A JP2001226715A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001226715A true JP2001226715A (ja) | 2001-08-21 |
Family
ID=18560759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000036755A Pending JP2001226715A (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001226715A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103192045A (zh) * | 2013-04-28 | 2013-07-10 | 攀钢集团江油长城特殊钢有限公司 | 一种连续铸造生产大方坯马氏体不锈钢的方法 |
-
2000
- 2000-02-15 JP JP2000036755A patent/JP2001226715A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103192045A (zh) * | 2013-04-28 | 2013-07-10 | 攀钢集团江油长城特殊钢有限公司 | 一种连续铸造生产大方坯马氏体不锈钢的方法 |
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