JP2001226557A - 複合樹脂材料、その製造方法、および当該複合樹脂材料から得られる電子機器筐体 - Google Patents

複合樹脂材料、その製造方法、および当該複合樹脂材料から得られる電子機器筐体

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JP2001226557A JP2000038360A JP2000038360A JP2001226557A JP 2001226557 A JP2001226557 A JP 2001226557A JP 2000038360 A JP2000038360 A JP 2000038360A JP 2000038360 A JP2000038360 A JP 2000038360A JP 2001226557 A JP2001226557 A JP 2001226557A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性に優れるとともに、軽量で、しかも耐
衝撃性および剛性に優れる電子機器筐体などの成形品を
提供できるようにする。 【解決手段】 サブミクロンオーダーの微粒子状、たと
えば粒径を0.1〜0.9μmとして、スチレンアクリ
ロニトリル変性エチレンプロピレンジエン共重合体(S
AN−EPDM)を熱可塑性樹脂に分散させた。好まし
くは、SAN−EPDMの添加量を、0.1〜50wt
%とし、また0.1〜1.0wt%の範囲でシリコーン
オイルをさらに添加してもよい。また、熱可塑性樹脂と
しては、ABS樹脂のみにより、あるいはABS樹脂と
他の樹脂とのポリマーアロイを使用する。また、本発明
では、熱可塑性樹脂にSAN−EPDMを添加し、二軸
押出機により溶融混練して、熱可塑性樹脂中に、サブミ
クロンオーダーの微粒子状でSAN−EPDMを分散さ
せる方法をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂に、
エラストマーを分散させた複合樹脂材料、その製造方
法、およびその複合樹脂材料を用いて得られるノートパ
ソコンや携帯電話などの電子機器筐体に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来より、電子機器筐体などの成形材料と
しては、ポリカーボネート(PC)樹脂やアクリルニト
リルブタジエンスチレン共重合(ABS)樹脂が用いら
れている。これらの樹脂は、衝撃的な荷重が加わった場
合に容易にミクロクレーズを発生し、または塑性変形を
起こして衝撃エネルギーを吸収するため、電子機器筐体
に高い耐衝撃性を付与できる。このため、PC樹脂やA
BS樹脂を使用した電子機器筐体筐体は、破壊が起こり
にくいといった利点がある。しかしながら、携帯電話や
ノート型パソコンに代表されるように、近年における携
帯型電子機器の普及に伴い、高い衝撃強度だけでなく、
軽量で、高剛性であることも要求される。そこで、近年
では、ポリマーアロイ化や各種充填剤の添加などを行
い、筐体成形材料である熱可塑性樹脂組成物の様々な改
良が行われている。
【0003】引張強度や曲げ強度などの剛性を向上させ
る方法としては、熱可塑性樹脂に、ガラス繊維やタルク
などの無機充填剤を添加する方法が汎用されている。し
かしながら、この場合には耐衝撃性が低下する。そのた
め、熱可塑性樹脂の耐衝撃性をさらに向上させるべく、
熱可塑性樹脂に、ポリマーアロイ化でエラストマー成分
を分散させる方法がある。
【0004】このような方法については、たとえば特開
平6−200084号公報に開示されている。この公報
には、熱可塑性樹脂に、ブタジエンゴム(BR)、エチ
レンプロピレン共重合体(ERM)、あるいはエチレン
プロピレンジエン共重合体(EPDM)などのエラスト
マー成分を添加することが記載されている。そして、エ
ラストマー成分としては、熱可塑性樹脂との親和性を図
る目的で、熱可塑性樹脂との親和性の有る各種のモノマ
ーをグラフト重合したものを使用することができるとさ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、エラストマー
成分の添加によって耐衝撃性が改善され、また熱可塑性
樹脂との親和性が高いモノマーをグラフト重合させるこ
とによりエラストマー成分の分散性が改善される。しか
しながら、上記公報を含めて、添加すべきエラストマー
成分の粒径に対しては何らの配慮もされていないため、
エラストマー成分を均一に、しかも微粒子状態で分散さ
せるのが困難であり、そのため混練条件が難しく、溶融
時の流動性が低下するといった問題があるばかりか、耐
衝撃性やエラストマー成分の分散性の改善が十分である
とは言い難い。また、エラストマー成分の分散性の改善
が不十分であれば、エラストマー成分の偏在により、局
所的に剛性が低下するといった問題も生じる。このよう
に、耐衝撃性および剛性の双方を高い水準で維持するの
は困難である。
【0006】本発明は、このような事情のもとで考え出
されたものであって、成形性に優れるとともに、軽量
で、しかも耐衝撃性および剛性に優れる電子機器筐体な
どの成形品を提供できるようにすることをその課題とし
ている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性
樹脂に添加するエラストマー成分の粒径に着目し、鋭意
検討した結果、サブミクロンオーダーの微粒子状で熱可
塑性樹脂中にエラストマー成分であるスチレンアクリロ
ニトリル変性エチレンプロピレンジエン共重合体(SA
N−EPDM)を分散させれば、SAN−EPDMが熱
可塑性樹脂内に均一に分散でき、また二軸押出機を利用
した溶融混練により、サブミクロンオーダーの微粒子状
で熱可塑性樹脂中にSAN−EPDMを分散させること
ができるのを見い出し、本発明をするに至った。
【0008】すなわち、本願発明の第1の側面により提
供される複合樹脂材料は、熱可塑性樹脂に、サブミクロ
ンオーダーの微粒子状のスチレンアクリロニトリル変性
エチレンプロピレンジエン共重合体(SAN−EPD
M)を分散させたことを特徴としている。
【0009】この複合樹脂材料では、ゴム弾性に優れる
SAN−EPDMを含んでいるから、複合樹脂材料自体
の耐衝撃性が向上し、ひいてはこの複合樹脂材料から得
られる樹脂成形品の耐衝撃性も向上する。
【0010】また、SAN−EPDMは、ゴムの中では
極めて比重が小さく(0.8〜0.9g/cm3
度)、一般的な熱可塑性樹脂に比べても比重が小さいた
め、SAN−EPDMを添加することにより、複合樹脂
材料の全体としての比重が小さくなる。これにともな
い、本発明の複合樹脂材料から得られる樹脂成形品は、
軽量化が図れるといった利点がある。
【0011】さらに、SAN−EPDMをサブミクロン
オーダーの微粒子状で分散させているから、熱可塑性樹
脂中でのSAN−EPDMの偏在を防止することができ
るばかりか、成形時の流動性を損なうこともない。すな
わち、SAN−EPDMの粒径が小さいため、熱可塑性
樹脂中においてSAN−EPDMを均一に分散されやす
く、SAN−EPDMの偏在も防止できる。これによ
り、SAN−EPDMの偏在による局所的な剛性の低下
を回避して、高い剛性を有する樹脂成形品を提供できる
ようになる。
【0012】以上のような効果を好適に得るためには、
SAN−EPDMを、0.1〜0.9μmの範囲、さら
に好ましくは0.1〜0.5μmの範囲の粒径で、熱可
塑性樹脂中に分散させるのが好ましい。
【0013】ここで、SAN−EPDMの添加量は、複
合樹脂材料の全体重量において、たとえば0.1〜50
wt%の範囲、さらに好ましくは10〜40wt%の範
囲とされる。これは、SAN−EPDMの添加量が余り
に少なければ、耐衝撃性を十分に改善することができな
い一方、 余りに多ければ複合樹脂材料を溶融させたと
きの粘度が大きくなって流動性が損なわれ、成形性が悪
化するからである。
【0014】本発明の複合樹脂材料には、SAN−EP
DMの分散性を高めるべく、シリコーンオイルをさらに
添加してもよい。そうすれば、熱可塑性樹脂中でSAN
−EPDMが均一かつ微粒子状で分散しやすくなる。こ
のシリコーンオイルの添加量は、複合樹脂材料の全体重
量において、たとえば0.1〜1.0wt%の範囲、さ
らに好ましくは0.2〜0.5wt%の範囲とされる。
【0015】また、シリコーンオイルとしては、ストレ
ートシリコーンオイル、およびストレートシリコーンオ
イルに各種の官能基を導入した変成シリコーンオイルの
他、ストレートシリコーンオイルや変成シリコーンオイ
ルに耐熱性向上剤などの添加材を添加したものが使用さ
れる。
【0016】使用するシリコーンオイルは、液状のもの
ばかりでなく、金属石鹸や種々の添加剤を加えて非流動
化したものや、二酸化ケイ素の微粉末や添加剤を加えて
ペースト状にしたものであってもよい。
【0017】本発明において使用する熱可塑性樹脂とし
ては、アクリルニトリルブタジエン共重合体(ABS)
樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリスチレン
(PS)樹脂、芳香族ポリアミド(PA)樹脂、ポリプ
ロピレン(PP)樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)樹脂、ポリエチレンサルフォン(PES)樹
脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、液晶ポリ
マー(LCP)樹脂などが挙げられる。
【0018】これらの熱可塑性樹脂のうち、ABS樹脂
が最も好ましく使用され、ABS樹脂を単独で使用して
もよく、またABS樹脂に例示した他の樹脂から選ばれ
る1以上の樹脂単体をプレンドしたポリマーアロイであ
ってもよい。ところで、SAN−EPDMは、スチレン
とアクリロニトニルで変成されたものであるから、熱可
塑性樹脂として、AS樹脂をマトリックス樹脂とするA
BS樹脂を含むものを使用すれば、SAN−EPDMの
分散性がさらに高まることとなる。
【0019】また、熱可塑性樹脂として、たとえば炭素
繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維(チラ
ノなど)、窒化ケイ素、およびアルミナ繊維などの無機
フィラー、あるいはアラミド繊維(ケブラーなど)、ポ
リエチレン繊維、ポリアクリレート繊維、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)繊維などの有機フィラーを添
加して強化したもの(FRTP:fiber reinforced the
rmoplastic)を使用してもよい。FRTPにおける繊維
の割合は、複合樹脂材料の全重量において、たとえば1
0〜50wt%の範囲とされる。
【0020】本発明の複合樹脂材料は、剛性向上などの
目的で無機充填材を添加したものであってもよい。無機
充填材としては、たとえば炭酸カルシウム、シリカ、タ
ルク、マイカ、カオリン、クレーなどが挙げられる。
【0021】無機充填材としては、その平均粒径が0.
01〜50μmの範囲のもの、さらに好ましくは0.1
〜5μmの範囲のものが使用される。また、無機充填材
の添加量は、複合樹脂材料の全重量において、たとえば
0.1〜20wt%の範囲とされる。無機充填材の平均
粒径や添加量を上記した範囲とするのは、無機充填材の
粒径が余りに大きく、また添加量が多過ぎる場合には、
複合樹脂材料を用いて成形する際の流動性を損なわれる
などの弊害が生じる一方、その添加量が余りに少なけれ
ば無機充填材を添加する目的を達成できないからであ
る。
【0022】無機充填剤を添加する場合には、樹脂成分
中での無機充填剤の分散性を高めるべく、複合樹脂材料
中にカップリング剤を添加し、あるいは予め無機充填剤
をカップリング剤により表面処理しておくのが好まし
い。カップリング剤としては、シラン系のものおよびチ
タネート系のもののいずれであってもよく、添加する無
機充填剤の種類によって適宜選択される。
【0023】シラン系カップリング剤としては、たとえ
ばビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキ
シエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキプロピルト
リエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ある
いはγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが
挙げられる。
【0024】チタネート系カップリング剤としては、た
とえばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、
イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネー
ト、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチル
ホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジト
リデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−
ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデ
シル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス
(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネー
ト、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプ
ロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソ
プロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソ
プロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、
イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、あるいは
イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)
チタネートなどが挙げられる。
【0025】本発明の複合樹脂材料には、たとえば消泡
剤、離型剤、着色剤、あるいは粘度調整剤などといった
種々の副資材を添加してもよい。
【0026】本発明の第2の側面においては、上述した
本発明の第1の側面で記載した複合樹脂材料の製造方法
が提供される。すなわち、熱可塑性樹脂に、スチレンア
クリロニトリル変性エチレンプロピレンジエン共重合体
を添加し、二軸押出機により、180〜300℃の温度
で、スクリュウの回転数を150〜300rpmとして
溶融混練して、熱可塑性樹脂中に、サブミクロンオーダ
ーの微粒子状で、スチレンアクリロニトリル変性エチレ
ンプロピレンジエン共重合体を分散させることを特徴と
する、複合樹脂材料の製造方法が提供される。
【0027】本発明の第3の側面では、上述した本発明
の第1の側面に記載した複合樹脂材料を成形して得られ
る電子機器筐体も提供される。
【0028】かかる電子機器筐体は、比重が小さく、弾
性に富む微粒子状(サブミクロンオーダー)のSAN−
EPDMが添加された複合樹脂材料から得られるため、
軽量で、しかも耐衝撃性に優れるといった利点がある。
また、上記複合樹脂材料には、SAN−EPDMが微粒
子状に均一に分散しているから、電子機器筐体の成形時
における流動性も良く、成形性に優れるといった利点が
ある。もちろん、電子機器筐体内においても、SAN−
EPDMが均一に分散しているから、SAN−EPDM
の偏在により局所的に剛性が低下するといった問題も生
じない。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を比較例と
ともに説明する。
【0030】実施例1 本実施例では、スチレンアクリロニトリル変性エチレン
プロピレンジエン共重合体(SAN−EPDM)(白石
カルシウム(株)製;「ロイヤルタフ372P20」)
とABS樹脂(ダイセル化学(株)製;「セビアン52
0SF」)とを表1に示した重量比(0.1〜50wt
%)で添加し、これを二軸押出機(東洋精機製;「30
C150」)を用いて、約220℃においてスクリュウ
の回転数を250rpmとして溶融混練を行い、本実施
例の複合樹脂材料を得た。次いで、この複合樹脂材料を
用いて、試験片を作成してアイゾット衝撃試験により、
図1に示す電子機器筐体(携帯電話用)を作成して落錘
試験により衝撃強度をそれぞれ評価した。その結果を表
1に示す。
【0031】(アイゾット衝撃試験)本衝撃試験は、J
IS K 711に準じて行った。なお、試験片は、射
出成形機(新潟鉄鋼製;「100ton」)により、幅
3mm、厚さ12.7mm、長さ51.2mmに作成し
た。また、本衝撃試験は、溶融した複合樹脂材料を1方
向から金型内に充填して成形した試験片(フロー)と、
互いに対向する2方向のそれぞれから溶融した複合樹脂
材料を金型内に充填して成形した試験片(ウエルド)と
の2種類について行った。
【0032】(落錘試験)本試験は、射出成形機(新潟
鉄鋼製;「100ton」)により図1に示す形態とさ
れた電子機器筐体(厚さ0.8〜1.2mm)を複数の
作成し、これらの電子機器筐体を用いてJIS K 7
211に準じて行った。なお、電子機器筐体に落下させ
る重錐としては、100g剛球を使用し、電子機器筐体
の数の50%が破壊するときの高さ(50%破壊高さ)
により衝撃強度を評価した。
【0033】比較例1 本比較例では、SAN−EPDMを添加せずに、熱可塑
性樹脂としてのABS樹脂(ダイセル化学(株)製;
「セビアン520SF」)のみにより、実施例1と同様
にして試験片および電子機器筐体を作成するとともに、
アイゾット試験および落錐試験により衝撃強度を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0034】比較例2 本比較例では、熱可塑性樹脂として、ABS樹脂(ダイ
セル化学(株)製;「セビアン520SF」)70wt
%、エラストマーとして、変成していないエチレンプロ
ピレンジエン共重合体(EPDM)30wt%を添加
し、実施例1と同様にして複合樹脂材料を調整した。こ
の複合樹脂材料から、実施例1と同様にして試験片を作
成し、アイゾット試験により衝撃強度を評価した。その
結果を表1に示す。
【0035】比較例3 本比較例では、エラストマー成分としてのSAN−EP
DMに代えて、エチレンプロピレン共重合体(EPR)
(日本合成ゴム(株);「セビアン520SF」)を使
用した。そして、このEPRの添加量を表1に示した量
(10〜30wt%)とし、実施例1と同様にして複合
樹脂材料を調整した。この複合樹脂材料を用いて、試験
片および電子機器筐体を作成し、アイゾット試験および
落錐試験により衝撃強度を評価した。その結果を表1に
示す。
【0036】実施例2 本実施例においては、ABS樹脂(ダイセル化学(株)
製;「セビアン520SF」)に、複合樹脂材料の全体
重量において10wt%となるようにして平均粒径1.
5μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株);「ナ
ノックス♯30」)を添加するとともに、SAN−EP
DM(白石カルシウム(株)製;「ロイヤルタフ372
P20」) を表1に示す割合となるように添加し、実施
例1と同様にして複合樹脂材料を調整した。この複合樹
脂材料を用いて、実施例1と同様にして試験片および電
子機器筐体を作成し、アイゾット試験および落錐試験に
より衝撃強度を評価した。その結果を表1に示す。
【0037】比較例4 本比較例においては、SAN−EPDMを添加せずに、
ABS樹脂(ダイセル化学(株)製;「セビアン520
SF」)に、複合樹脂材料の全体重量において10wt
%となるように炭酸カルシウム(丸尾カルシウム
(株);「ナノックス♯30」)を添加して実施例1と
同様にして複合樹脂材料を調整した。この複合樹脂材料
を用いて、実施例1と同様にして試験片および電子機器
筐体を作成し、アイゾット試験および落錐試験により衝
撃強度を評価した。その結果を表1に示す。
【0038】実施例3 本実施例においては、ABS樹脂(ダイセル化学(株)
製;「セビアン520SF」)に、複合樹脂材料の全体
重量において30wt%となるようにして、繊維長が3
0mm、太さ5〜10μmのガラス繊維(日本板硝子
(株);「マイクログラスロービング」)を添加すると
ともに、SAN−EPDM(白石カルシウム(株)製;
「ロイヤルタフ372P20」) を表1に示す割合とな
るよう添加し、実施例1と同様にして複合樹脂材料を調
整した。この複合樹脂材料を用いて、実施例1と同様に
して試験片および電子機器筐体を作成し、アイゾット試
験および落錐試験により衝撃強度を評価した。その結果
を表1に示す。
【0039】比較例5 本比較例においては、SAN−EPDMを添加せずに、
ABS樹脂(ダイセル化学(株)製;「セビアン520
SF」)に、複合樹脂材料の全体重量において30wt
%となるようにガラス繊維(日本板硝子(株);「マイ
クログラスロービング」)を添加し、実施例1と同様に
して複合樹脂材料を調整した。この複合樹脂材料を用い
て、実施例1と同様にして試験片および電子機器筐体を
作成し、アイゾット試験および落錐試験により衝撃強度
を評価した。その結果を表1に示す。
【0040】実施例4 本実施例においては、SAN−EPDM(白石カルシウ
ム(株)製;「ロイヤルタフ372P20」) とABS
樹脂(ダイセル化学(株)製;「セビアン520S
F」)の重量比を7:3とし、複合樹脂材料の全体重量
において、表1に示す割合になるようにしてシリコーン
オイル(東レダウコーニングシリコーン;「SRX31
0」)を添加して、実施例1と同様にして複合樹脂材料
を調整した。この複合樹脂材料を用いて、実施例1と同
様にして試験片(フロー)を作成し、アイゾット試験に
より衝撃強度を評価した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかなように、ABS樹脂にS
AN−EPDMを添加した実施例1−a〜gと、SAN
−EPDMを添加していない比較例1とでは、明らかに
SAN−EPDMを添加した場合のほうが、アイゾット
衝撃試験および落錐試験の双方において優れている。と
くに、SAN−EPDMの割合を10〜40wt%とし
た実施例1−c〜fにおいて、耐衝撃性の改善が著し
い。このように、ABS樹脂にSAN−EPDMを添加
することにより、耐衝撃性が改善されることが確認され
た。
【0043】エラストマー成分とABS樹脂との重量比
を3:7とした場合に、エラストマー成分としてSAN
−EPDM(実施例1−e)、変成していないEPDM
(比較例2)、およびEPR(比較例3−c)を使用し
た場合をそれぞれ比較すれば分かるように、SAN−E
PDMを使用した場合が最も耐衝撃性の改善の効果が著
しい。なお、EPRを使用する場合には、比較例3−a
〜cから分かるように、その添加量を代えても、耐衝撃
性の改善の効果はほとんど変わらない。
【0044】炭酸カルシウムを添加した場合(実施例2
−a〜gおよび比較例4)やガラス繊維を添加した場合
(実施例3−a〜gおよび比較例5)においても、SA
N−EPDMを添加することにより、耐衝撃性が改善さ
れることが確認された。つまり、得られる成形品の曲げ
強度や引っ張り強度などを向上させる目的で、繊維や無
機充填材を添加すれば耐衝撃性が低下するが、この場合
でも、SAN−EPDMを添加すれば高い耐衝撃性が確
保される。
【0045】SAN−EPDMとともにシリコーンオイ
ルを添加した実施例4−a〜dにおいては、SAN−E
PDMおよびシリコーンオイルともに添加されていない
比較例1に比べて、著しく耐衝撃性が改善されている。
そればかりか、実施例4と略同量のSAN−EPDMを
添加した実施例1−eと比べても、さらに耐衝撃性が改
善されている。このように、SAN−EPDMとともに
シリコーンオイルを添加することで、得られる成形品の
耐衝撃性がさらに改善されることが確認された。
【0046】実施例5 本実施例では、耐衝撃性の面で良好な結果が得られた実
施例1−c〜fの複合樹脂材料について、SAN−ED
PMの分散状態および粒径を透過型電子顕微鏡(日立
製;「H−600」)により確認した。その結果、SA
N−EDPM粒子は、ABS樹脂中に均一に分散してお
り、その粒径は、大部分が0.1〜0.9μmであり、
そのうち0.1〜0.5μmの範囲のものが多かった。
したがって、熱可塑性樹脂に添加するSAN−EDPM
は、粒径を0.1〜0.9μmの範囲、さらに好ましく
は0.1〜0.5μmの範囲として分散させるのが好ま
しい。
【0047】比較例6 本実施例では、まず、SAN−EPDM(白石カルシウ
ム(株)製;「ロイヤルタフ372P20」) とABS
樹脂(ダイセル化学(株)製;「セビアン520S
F」)とを重量比3:7で添加し、これを一軸押出機
(テクノベル製;「SZW−5」)を用いて、約220
℃においてスクリュウの回転数を250rpmとして溶
融混練を行い、複合樹脂材料を得た。この複合樹脂材料
を用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、アイ
ゾット衝撃試験により衝撃強度を評価した。その結果、
フローの試験片では398.86J/cm、ウエルドの
試験片では110.74J/cmであった。この結果
は、配合割合が同様とされ、二軸押出機で溶融混練され
た実施例1−eと比べれば明らかなように、ウエルドの
試験片での耐衝撃性が著しく小さくなっていることを示
している。このようなウエルドの試験片の耐衝撃性の悪
化は、ABS樹脂中におけるSAN−EPDMの分散状
態や粒径に起因しているものと考えられる。
【0048】そこで、本比較例ではさらに、先に得られ
た複合樹脂材料について、EDPMの分散状態および粒
径を透過型電子顕微鏡(日立製;「H−600」)によ
り確認した。その結果、SAN−EPDM粒子は、AB
S樹脂中において、局所的に凝集しており、その粒径
は、大部分が1.0〜2.0μmの範囲内にあった。こ
の結果からも、熱可塑性樹脂に添加するSAN−EDP
Mは、サブミクロンオーダーの微粒子状で分散させるの
が好ましいのが分かる。また、熱可塑性樹脂中に、サブ
ミクロンオーダーの微粒子状でSAN−EPDMを分散
させるには、二軸押出機を使用するのが好ましいことが
分かる。
【0049】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明では,得
られる樹脂成形品、たとえば電子機器筐体の耐衝撃性が
向上するとともに、繊維や無機充填材の添加により剛性
の向上を図る場合であっても、高い衝撃性を維持するこ
とができ、しかも樹脂成形品の軽量化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】落錐試験用の電子機器筐体の外観構成を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 隆之 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 熊井 利夫 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 田中 正二 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB122 BC032 BN142 BN143 BN151 CF072 CF172 CG002 CH072 CL002 CN032 CP033 CP034 FD010 GC00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂に、サブミクロンオーダー
    の微粒子状のスチレンアクリロニトリル変性エチレンプ
    ロピレンジエン共重合体を分散させたことを特徴とす
    る、複合樹脂材料。
  2. 【請求項2】 スチレンアクリロニトリル変性エチレン
    プロピレンジエン共重合体の粒径は、0.1〜0.9μ
    mである、請求項1に記載の複合樹脂材料。
  3. 【請求項3】 スチレンアクリロニトリル変性エチレン
    プロピレンジエン共重合体の添加量は、0.1〜50w
    t%である、請求項1または2に記載の複合樹脂材料。
  4. 【請求項4】 0.1〜1.0wt%のシリコーンオイ
    ルをさらに含んでいる、請求項1ないし3のいずれか1
    つに記載の複合樹脂材料。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂は、ABS樹脂のみによ
    り、あるいはABS樹脂に、ポリカーボネート樹脂、ポ
    リスチレン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリプロピレ
    ン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレ
    ンサルフォン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、およ
    び液晶ポリマー樹脂から選ばれる1以上の樹脂をブレン
    ドしたポリマーアロイにより構成されている、請求項1
    ないし4のいずれか1つに記載の複合樹脂材料。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂に、スチレンアクリロニト
    リル変性エチレンプロピレンジエン共重合体を添加し、
    二軸押出機により、180〜300℃の温度で、スクリ
    ュウの回転数を150〜300rpmとして溶融混練し
    て、熱可塑性樹脂中に、サブミクロンオーダーの微粒子
    状で、スチレンアクリロニトリル変性エチレンプロピレ
    ンジエン共重合体を分散させることを特徴とする、複合
    樹脂材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれか1つに記載
    した複合樹脂材料を成形して得られることを特徴とす
    る、電子機器筐体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111117144A (zh) * 2020-01-17 2020-05-08 内江师范学院 一种改性再生abs纳米复合材料及其制备方法

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