JP2001226491A - 粘弾性体およびこれを備えた乗物用シート - Google Patents

粘弾性体およびこれを備えた乗物用シート

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JP2001226491A
JP2001226491A JP2000037636A JP2000037636A JP2001226491A JP 2001226491 A JP2001226491 A JP 2001226491A JP 2000037636 A JP2000037636 A JP 2000037636A JP 2000037636 A JP2000037636 A JP 2000037636A JP 2001226491 A JP2001226491 A JP 2001226491A
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viscoelastic
hollow
thermoplastic elastomer
hollow balloon
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JP2000037636A
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Hiroyuki Ishihara
弘之 石原
Kazuyoshi Kaneko
和佳 金子
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Yamaha Motor Co Ltd
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Yamaha Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性エラストマー中に複数の中空構造体
を分散させた粘弾性体における見かけの圧縮永久歪みを
減少させ、粘弾性体の劣化を抑制する。 【解決手段】 粘弾性体114を構成する粘弾性体にお
いて、内部に分散している中空バルーンの一部を未発泡
の状態とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動や衝撃を緩和
するための粘弾性体と、この粘弾性体を備えた乗物用シ
ートとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に高分子材料の発泡体は衝撃吸収材
料として広く用いられており、例えば、自動車や自動二
輪車における乗物用シートのクッション材として用いら
れている。この衝撃吸収材料として、中空構造体(中空
バルーン)を使用した独立気泡による発泡体は、粘弾性
を有して特に振動・衝撃吸収性に優れており、粘弾性材
料として乗物用シート内に装填することによって用いら
れている。上記中空バルーンは、例えば塩化ビニリデン
などからなる高分子材料の膜から構成された外殻と、こ
の外殻内に封入されたイソブタンなどの低級炭化水素の
液体とから構成されている。
【0003】この中空バルーンを加熱すると、内部液体
の蒸気圧が上昇して内圧が上昇するとともに、熱可塑性
材料である外殻が軟化し、上昇した内圧により膨張す
る。この後、冷却すると、外殻は表面積が増大して膨張
した状態で固化し、内部は内圧の低下により例えばイソ
ブタンが液化せずに気体の状態を維持する。このよう
に、加熱することにより中空バルーンは膨張し、この状
態を冷却した後も維持し続ける。一般に、上述した加熱
による中空バルーンの膨張は、中空バルーンの発泡と表
現され、以降でもこの表現を用いる。
【0004】上記粘弾性材料は、一般に熱硬化性樹脂を
基体(マトリックス)とし、これに中空バルーンを分散
させて加熱発泡させることで形成されているが、熱硬化
性樹脂は、熱硬化に関与する未反応物質が少量ではある
が残留するため、残留する身反応物質の影響による変化
が問題となっている。このため、本願発明者らは、マト
リクスとして熱可塑性エラストマーを用いた粘弾性材料
を検討している。熱可塑性エラストマーは上記未反応物
質がほとんどないため、これらによる影響が無いという
利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した熱
可塑性エラストマーを用いた粘弾性材料による粘弾性体
では、加重により発生する圧縮永久歪みが大きいという
問題があった。熱可塑性エラストマーは分子構造が線状
であるため、線状の分子間で滑りが生じやすく、歪みが
残りやすいため、圧縮永久歪みが大きくなってしまう。
このように圧縮により塑性変形が発生する粘弾性材料か
ら形成した粘弾性体を乗物用シートに用いた場合、シー
トに人が座ることでシートの厚みが減少してしまい、シ
ートのストロークが減少したり、シートの表皮にしわが
生じるため外観上も問題がある。
【0006】本発明は、以上のような問題点を解消する
ためになされたものであり、熱可塑性エラストマー中に
複数の中空構造体を分散させた材料からなる粘弾性体に
おける見かけの圧縮永久歪みを減少させ、粘弾性体の劣
化を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の粘弾性体は、常
温における飽和圧力が大気圧以上である物質を飽和圧力
以下に加圧して液体状態で封入した熱可塑性樹脂の外殻
からなる複数の第1の構造体と、この第1の構造体に封
入された物質の気体が封入された熱可塑性樹脂の外殻か
らなる複数の第2の構造体とが内部に分散した熱可塑性
エラストマーから構成したものである。この発明によれ
ば、熱可塑性エラストマー中に第2の構造体を有するの
で有効な弾力性を持たせることができるとともに、熱可
塑性エラストマー中に第1の構造体が存在するので、粘
弾性体が外力により伸縮するときに発生する熱により第
1の構造体が封入した液体の物質の一部あるいは全てが
気体となり外殻の外形が大きくなり、粘弾性体の体積が
増加する。
【0008】上記発明において、第1の構造体と第2の
構造体の総量は8.3wt%以下としたものである。ま
た、第1の構造体はこの第1の構造体と第2の構造体の
総量の27wt%以下としたものである。また、熱可塑
性エラストマーを、スチレンとイソプレンの共重合体か
ら構成したものである。また、第1の構造体に封入され
た物質は、イソブタンもしくはイソペンタンまたはこれ
らの混合体のいずれかであり、熱可塑性樹脂はポリ塩化
ビニリデン,アクリル,アクリロニトリルコポリマーの
いずれかから構成したものである。また、上記発明にお
いて、熱可塑性エラストマーは、溶媒により希釈して用
いられ、この溶媒はパラフィン系プロセスオイルであれ
ばよい。
【0009】また、本発明の乗物用シートは、上記発明
の粘弾性体と、この粘弾性体と鉛直方向に重ね合わせて
配置された発泡ウレタンとからなる部分と、粘弾性体お
よび発泡ウレタンからなる部分と、クッション体を覆う
シート表皮とから構成したものである。この発明によれ
ば、クッション体を構成する粘弾性体が、第1の構造体
を備えているので、第1の構造体の膨張とともにクッシ
ョン体の体積が増加する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を参照して説明する。本実施の形態では、自動二輪
車のシートのクッション体に組み込む衝撃吸収兼振動減
衰体に粘弾性材料を用いる場合を例にして説明する。図
1は、自動二輪車の一部を示す側面図、図2は図1にお
けるAA断面図である。自動二輪車には、図1に示すよ
うに、シート101が設けられ、このシート101は、
自動二輪車の操縦者が着座する前部着座部101aと、
同乗者が着座する後部着座部101bとが階段状に連続
して一体に形成されている。シート101は、自動二輪
車のメインフレーム102の上方に設置された燃料タン
ク103の後方に配置され、メインフレーム102の後
部から後方に延在する一対のシートレール104に載置
された状態で固定される。
【0011】上記シート101は、図2の断面図に示す
ように、金属または硬質プラスチックなどからなる板状
態のボトムシート111と、この上に固定されたクッシ
ョン体112と、クッション体112を覆うシート表皮
115とから構成されている。シート表皮115は、ボ
トムシート111の周縁に固定されている。クッション
体112は、発泡ウレタンからなるクッション本体11
3と、このクッション本体113に覆われたこの実施の
形態における粘弾性体からなる衝撃吸収兼振動吸収体す
なわち粘弾性体114とから構成されている。粘弾性体
114は、厚さ10mm程度の板状に形成され、シート
101上部より40mm,シート101下部より20m
mの箇所に配置されている。
【0012】上記粘弾性体は、熱可塑性エラストマーか
らなる基体(マトリックス)樹脂に、樹脂製の複数の中
空バルーンが分散されたものである。中空バルーンは、
図3(a)に示すように、外殻がアクリロニトリルコポ
リマーなどの高分子樹脂からなる中空構造体301内
に、イソペンタンなどの低級炭化水素を常温(25℃前
後)で液体302として封入したものである。中空構造
体301内に所定の圧力をかけてイソペンタンを封入す
れば、常温であってもイソペンタンは液化し、内圧に拮
抗する弾性を有する中空構造体301内に液体302が
封入された状態が得られる。
【0013】図3(a)に示す、例えば常温20℃ある
いは25℃で飽和圧力が1500hPa程度の物質を2
000〜3000hPa程度の圧力で液体とし、この液
体302が封入された中空バルーンは、膜厚が1〜2μ
mの中空構造体301の緊縛力により直径が10〜20
μm程度となっている球形であり、未発泡の状態にあ
る。この未発泡の中空バルーンを、例えば100〜20
0℃程度に加熱すると、まず、封入されている液体(イ
ソペンタン)の圧力が上昇して内圧が上昇する。加え
て、加熱することで、外殻のアクリロニトリルコポリマ
ーが軟化する。以上の結果、外殻がのびて液体302の
圧力が飽和圧力以下となり液体302が気化する。外殻
がのびるに対応して液体302の気化量が増加し、図3
(b)に示すように、中空構造体301は、膨張して内
部の体積が増大する。この状態を中空バルーンの発泡と
いう。
【0014】加熱により発泡した中空バルーンは、加熱
の停止とともに冷却され、外殻の材料が固化して中空構
造体は内部の体積が増大した状態で固定される。また、
中空構造体の内部では、体積増加に伴う内圧の低下によ
り、温度が常温程度に低下しても、飽和圧力以下のまま
となり封入されているイソペンタンが液化することなく
気体のままの状態を維持する。この結果、発泡した中空
バルーンは、常温状態となっても中空構造体が収縮した
状態とはならず、気体となった内部物質(イソペンタン
など)の圧力により未発泡状態より大きく膨張した状態
(直径100〜200μm程度)を維持する。なお、加
熱による発泡は、中空バルーンの膜厚や直径のバラツ
キ、および加熱工程において各部が均一な温度とはなり
にくいことにより、発泡しない未発泡中空バルーンが残
る。この未発泡バルーンの全中空バルーンに対する割
合、すなわち未発泡残存率は、加熱温度および加熱時間
を変化させることにより、変化させることができる。
【0015】また、中空バルーンに封入する物質は、イ
ソペンタンに限るものではなく、イソブタンなどであっ
てもよい。中空バルーンに封入する物質は、中空バルー
ンが未発泡の状態では液体で封入され、中空バルーンが
発泡した後は、上述した粘弾性体が使用される環境下で
気体の状態となればよい。また、外殻を構成する材料
は、アクリロニトリルコポリマーに限るものではなく、
アクリル,アクリロニトリルなどのポリマーやこれらの
コポリマーやターポリマーあるいはポリ塩化ビニリデン
であってもよい。この外殻は、発泡温度で軟化して薄膜
形成が可能であり、また、封入する液体・気体を透過し
にくい材料から選択すればよい。
【0016】この実施の形態では、複数の中空バルーン
が分散した熱可塑性エラストマーからなる粘弾性体にお
いて、内部に分散している中空バルーンの一部を未発泡
の状態(第1の構造体)としたものである。前述したよ
うに、熱可塑性エラストマーは、分子構造が線状である
ため、線状の分子間で滑りが生じやすく、歪みが残りや
すい。したがって、残留歪みが残りやすい熱可塑性エラ
ストマーよりなる粘弾性体は、加重により圧縮永久歪み
が発生しやすい。
【0017】このような現象に対して、この実施の形態
のように、上記粘弾性体に未発泡の中空バルーンが存在
していると、圧縮永久歪みが発生する加重が加えられて
変形することによる自己発熱などにより、未発泡の中空
バルーンが発泡して体積が増加する。この結果、粘弾性
体自体の体積が増加するので、圧縮永久歪みによる体積
の減少が、未発泡の中空バルーンの発泡により補完され
る。また、熱可塑性エラストマーにおける残留歪みの発
生は、高温時に発生しやすいので、圧縮永久歪みが発生
する状況では、中空バルーンの発泡がより発生しやすい
環境である。また、太陽光の照射によるシート温度の上
昇によっても、中空バルーンが発泡しやすい状況とな
る。
【0018】中空バルーンは、最適な発泡温度があり、
おおよそ120℃以上の温度で効率よく発泡する。しか
しながら、最適な発泡温度以上にならないとまったく発
泡しないというわけではない。上記中空バルーンは、例
えば80℃程度と120℃より低い温度であっても、徐
々に発泡するものである。したがって、上述したよう
に、熱可塑性エラストマーに圧縮永久歪みが発生しやす
い高温の環境下は、中空バルーンがある程度発泡する条
件となっている。
【0019】ここで、上記粘弾性体について簡単に説明
する。まず、熱可塑性エラストマーについて説明する
と、これは、熱硬化性樹脂とゴム(エラストマー)との
複合材料であり、例えば、スチレンとイソプレン(水素
添加イソプレン)のブロック共重合体から構成されたス
チレン系のものである。この熱可塑性エラストマーを用
い、以下の方法により粘弾性体を得る。まず、熱可塑性
エラストマー100phr(重量部)に対して1000
phrのパラフィン系プロセスオイルを加えて混練す
る。パラフィン系プロセスオイルと混合することで、熱
可塑性エラストマーに所望の柔軟性を与える。なお、パ
ラフィン系プロセスオイルではなく、他の可塑剤などを
添加して所望の柔軟性を得るようにしてもよい。
【0020】つぎに、混練したものをある程度冷却した
後、33phrの中空バルーンを加えて再度混練し、中
空バルーンを発泡させることなく分散させる。つぎに、
未発泡の中空バルーンが分散された材料を、上記熱可塑
性エラストマーのガラス転移温度以上に加熱して流動性
をもたせ、押し出し機により押し出し形成し、これを切
断して板状の粘弾性体を得る。この押し出し形成のとき
の加熱温度は、上記熱可塑性エラストマーの場合120
℃以上であり、押し出し形成とほぼ同時に中空バルーン
が発泡する。したがって、加熱温度や押し出す速度(加
熱保持時間)を調整することで、発泡する中空バルーン
の数を制御し、所定量の未発泡中空バルーンを残す。
【0021】また、この押し出し形成において、中空バ
ルーンの配合量を8.3%(100phr)以上にする
と、押し出し機のダイス先端より押し出された粘弾性体
のシートに割れが発生する。したがって、中空バルーン
の配合量は、8.3%(100phr)未満とした方が
よい。中空バルーンは、外殻にアクリル系樹脂を用い内
部にイソペンタンを封入したものを用いればよい。な
お、この中空バルーンとしては、例えば、日本フェライ
ト社製の「エクスパンセル092DU120YA」や、
松本油脂製薬(株)製の「マツモトマイクロスフェアー
Fシリーズ」を用いればよい。
【0022】板状の粘弾性体を組み込んだ乗物用シート
は、運転者の体重により圧縮され、運転者が乗物用シー
トより降りると粘弾性体は復元して元の板厚に戻る。し
かし、自動二輪車が例えば5年間などの長期にわたって
繰り返し使用されると、自動二輪車に取り付けられてい
るシートに用いられている粘弾性体は復元してもわずか
に縮んだままとなる。この圧縮永久歪みは、使用感強温
度や粘弾性体を構成する材料に影響を受ける。この自動
二輪車を長期に使用することにより発生する圧縮永久歪
みを短時間で再現させる試験として、JIS K6301に規定
された圧縮永久歪み試験がある。
【0023】図4は、圧縮永久歪みによる熱可塑性エラ
ストマーからなる粘弾性体の板厚変化を示す特性図であ
る。図4から明らかなように、粘弾性体が使用される環
境の温度が高いほど圧縮永久歪みによる板厚の変化量が
大きい。一方、熱可塑性エラストマーに分散させた中空
バルーン(発泡済み)の配合量を増加させると、圧縮永
久歪みによる板厚の変化量を減少させることができる。
この圧縮永久歪みは、圧縮永久歪み試験(JIS K6301)
によるものである。試験の条件は、各温度×22時間,
25%圧縮とした。試験温度50℃の場合、圧縮永久歪
みは16.44%であった。また、図5に示すように、
上記粘弾性体の圧縮永久歪み試験による板厚の変化量
は、温度が高いほど大きい。
【0024】図6は、粘弾性体を製造した時点では、未
発泡の中空バルーンを全て発泡させたときの板厚の変化
を示す特性図である。図6に示すように、未発泡の中空
バルーンが多いほど、板厚の増加量が多い。図6のグラ
フ中の数字は、中空バルーンの全配合量である。また、
図7は、上記圧縮永久歪み試験を80℃の温度条件で行
った後、未発泡の中空バルーンを発泡させたときの板厚
の変化量を示す特性図である。未発泡の中空バルーンの
量が多いほど板厚の増加量が多い。また、未発泡の中空
バルーンの割合が多いものは、中空バルーンの全配合量
の変化に対して、板厚の増加量の変化が大きい。図7の
グラフ中の数字は、製造時点における未発泡中空バルー
ンの割合である。
【0025】図8は、粘弾性体を製造した時点における
未発泡の中空バルーンの割合と、上記圧縮永久歪み試験
を80℃の温度条件で行った後で未発泡の中空バルーン
を発泡させたときの板厚の変化との相関図である。図8
のグラフ中の数字は、中空バルーンの全配合量である。
板厚の変化は、圧縮永久歪み試験前の板厚を1として正
規化してある。図8に示したように、中空バルーンの配
合量が少なく、未発泡の中空バルーンの残存量が少ない
ものほど、圧縮永久歪み試験の後における板厚の減少が
多い。この中で、中空バルーンの全配合割合を8.3%
とし、配合した中で27%の中空バルーンを未発泡とし
て残しておいた粘弾性体が、圧縮永久歪み試験前と後で
板厚の変化がない。
【0026】図9は、中空バルーンの配合量をパラメー
タに、粘弾性体を製造した時点における未発泡の中空バ
ルーンの割合と、未発泡の中空バルーンを発泡させたと
きの粘弾性体の線膨張率との関係を示す特性図である。
線膨張率は、発泡による伸び率を百分率で表したもので
あり、発泡前の板状の粘弾性体の板厚で、発泡後の板状
の粘弾性体の板厚増加量を除したものを100倍して得
られる。圧縮永久歪みがa%である場合、b=100a
/(100−a)で求められるb線膨張率となるよう
に、図9から中空バルーンの配合量および粘弾性体を製
造した時点における未発泡中空バルーンの割合を求め、
これを満足するように粘弾性体を形成すれば、未発泡の
中空バルーンの発泡により補償されて圧縮永久歪みを0
とすることができる。
【0027】ここで、中空バルーンの配合量と配合した
中空バルーンの未発泡割合との適正条件について考察す
る。上記粘弾性体を乗物用シートに用いたことによる圧
縮永久歪みで減少する板厚量をt1とし、粘弾性体中の
未発泡の中空バルーンを発泡させることによる板厚の増
加量をt2とする。t1<t2となる状態では、乗物用
シートとして使用すると、図1,2に示した粘弾性体1
14部分が元の状態より厚くなる。これでは、粘弾性体
114上部のクッション本体113に、厚くなった分だ
けの力が常に加わった状態となる。この結果、クッショ
ン本体113の部分Pにクラックが発生する場合があ
る。
【0028】一方、t1>t2となる状態では、乗物用
シートとして使用すると、図1,2に示した粘弾性体1
14部分が元の状態より薄くなるので、上記問題は発生
しない。ただし、t1>>t2では、従来とあまり変わ
らない。したがって、乗物用シートにこの実施の形態の
粘弾性体を用いた場合、図8に示した、圧縮永久歪み試
験前と後で板厚の変化がないという条件がよい。
【0029】なお、上記実施の形態では、スチレンと水
素添加イソプレンのブロック共重合体からなる熱可塑性
エラストマーを用いる例を述べたが、これに限るもので
はない。上記粘弾性体を構成する粘弾性材料に用いる熱
可塑性エラストマーとしては、スチレンとブタジエンの
ブロック共重合体、スチレンとイソプレンのブロック共
重合体、スチレンと水素添加ブタジエンのブロック共重
合体を用いるようにしてもよい。これらの熱可塑性エラ
ストマーでは、スチレン(ポリスチレン)がハードセグ
メントとなり、他の部分、例えばイソプレン(ポリイソ
プレン)がソフトセグメントとなる。
【0030】また、上記粘弾性体に用いる熱可塑性エラ
ストマーとしては、つぎの表1に示すものを用いるよう
にしてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱可塑性エラストマー中に第1の構造体が存在する。こ
の第1の構造体は、加熱されると内部の液体の圧力が上
昇し、かつ熱可塑性樹脂からなる第1の構造体が軟化す
る。したがって、第1の構造体は温度上昇により内部の
液体の気化とともに膨張する。このため、粘弾性材料を
構成する熱可塑性エラストマーが圧縮永久歪みにより体
積減少しても、圧縮永久歪みが発生する過程における温
度上昇による第1の構造体の膨張で、粘弾性材料全体の
体積変化は抑制される。この結果、本発明によれば、粘
弾性材料の劣化を抑制できるという優れた効果が得られ
る。また、上記粘弾性材料から構成した粘弾性体を組み
込んだ乗物用シートが塑性変形を起こしたり、表皮にし
わが生じるなどの問題がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における乗物用シートを用いた自動二
輪車の一部構成を示す構成図である。
【図2】 本発明における乗物用シートの構成を示す概
略的な断面図である。
【図3】 中空バルーンを示す説明図である。
【図4】 圧縮永久歪みによる熱可塑性エラストマーか
らなる粘弾性体の板厚変化を示す特性図である。
【図5】 粘弾性体の圧縮永久歪み試験による板厚の変
化量と温度との関係を示す相関図である。
【図6】 未発泡の中空バルーンを全て発泡させたとき
の粘弾性体の板厚変化を示す特性図である。
【図7】 圧縮永久歪み試験を80℃の温度条件で行っ
た後、未発泡の中空バルーンを発泡させたときの粘弾性
体の板厚の変化量を示す特性図である。
【図8】 未発泡の中空バルーンの割合と、圧縮永久歪
み試験を80℃の温度条件で行った後で未発泡の中空バ
ルーンを発泡させたときの粘弾性体の板厚変化との相関
図である。
【図9】 粘弾性体を製造した時点における未発泡の中
空バルーンの割合と、未発泡の中空バルーンを発泡させ
たときの粘弾性体の線膨張率との関係を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
101…シート、101a…前部着座部、101b…前
部着座部、102…メインフレーム、103…燃料タン
ク、104…シートレール、111…ボトムシート、1
12…クッション体、113…クッション本体、114
…衝撃吸収材、115…シート表皮。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA02 AA12 AA12X AA22X AA26 AA31 AA31X AA34 AA34X AA71 AC02 AE01 AE04 AH11 BA01 BB06 BC03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温における飽和圧力が大気圧以上であ
    る物質を飽和圧力以下に加圧して液体状態で封入した熱
    可塑性樹脂の外殻からなる複数の第1の構造体と、 前記物質の気体が封入された前記熱可塑性樹脂の外殻か
    らなる複数の第2の構造体とが内部に分散した熱可塑性
    エラストマーから構成したことを特徴とする粘弾性体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の粘弾性体において、 前記第1の構造体と前記第2の構造体の総量は8.3w
    t%以下であることを特徴とする粘弾性体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の粘弾性体におい
    て、 前記第1の構造体は、この第1の構造体と前記第2の構
    造体の総量の27wt%以下であることを特徴とする粘
    弾性体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の粘弾
    性体において、 前記熱可塑性エラストマーは、スチレンとイソプレンの
    共重合体から構成したことを特徴とする粘弾性体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の粘弾
    性体において、 前記第1の構造体に封入された物質は、イソブタンもし
    くはイソペンタンまたはこれらの混合体のいずれかであ
    り、 前記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニリデン,アクリル,
    アクリロニトリルコポリマーのいずれかから構成したた
    ことを特徴とする粘弾性体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の粘弾
    性体において、 前記熱可塑性エラストマーは、溶媒により希釈されてい
    ることを特徴とする粘弾性体。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の粘弾性体において、 前記溶媒はパラフィン系プロセスオイルであることを特
    徴とする粘弾性体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれか1項記載の粘弾性
    体と、 この粘弾性体と鉛直方法に重ね合わせて配置された発泡
    ウレタンからなる部分と、 前記粘弾性体および発泡ウレタンからなる部分からなる
    クッション体を覆うシート表皮とから構成したことを特
    徴とする乗物用シート。
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