JP2001223170A - 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法 - Google Patents

結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法

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JP2001223170A
JP2001223170A JP2000033255A JP2000033255A JP2001223170A JP 2001223170 A JP2001223170 A JP 2001223170A JP 2000033255 A JP2000033255 A JP 2000033255A JP 2000033255 A JP2000033255 A JP 2000033255A JP 2001223170 A JP2001223170 A JP 2001223170A
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thin film
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silicon
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Keiji Okamoto
圭史 岡本
Masashi Yoshimi
雅士 吉見
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温プラズマCVD法で形成する結晶質シリ
コン系半導体薄膜の成膜速度を高速化することによっ
て、その生産効率を高めるとともにその特性をも改善す
る。 【解決手段】 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法
は、そのシリコン系薄膜を基板上にプラズマCVD法で
堆積する条件として:プラズマ放電電極間距離が1.5
cm以内であり;反応室圧力が667Pa以上であり;
反応ガスにおけるシラン系ガスに対する水素ガスの流量
比が100倍以上であり;プラズマ放電電力密度が10
0mW/cm2以上に設定され、そして、ガス吹出し電
極から導入された反応ガスが電極間で流れる下流側に進
むにつれて、ガス吹出し電極の所定の単位面積あたりか
ら吹出される反応ガスにおける水素に対するシラン系ガ
スの比率が増大させられること特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体薄膜の製造方
法に関し、特に、結晶質シリコン系(シリコン合金を含
む)半導体薄膜の低コスト化と特性改善に関するもので
ある。なお、本明細書において、「結晶質」と「微結
晶」と「多結晶」の用語は、シリコン系薄膜の技術分野
で一般に用いられているように、部分的に非晶質状態を
含むものをも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】現在では、プラズマCVD法が、種々の
半導体薄膜を形成するためにしばしば利用されている。
代表的な例としては、薄膜太陽電池、電子写真コピー機
の感光ドラム、液晶ディスプレイのTFTアレイなどに
必要とされるシリコン系薄膜がプラズマCVD法を利用
して形成されている。
【0003】ここで、薄膜太陽電池を例にとれば、その
代表的なものとして非晶質シリコン系太陽電池がある。
非晶質光電変換材料は通常200℃前後の低い成膜温度
の下でプラズマCVD法によって形成されるので、ガラ
ス,ステンレス,有機フィルム等の安価な基板上に形成
することができ、低コストの光電変換装置のための有力
材料として期待されている。また、非晶質シリコンにお
いては可視光領域での吸収係数が大きいので、500n
m以下の薄い膜厚の非晶質光電変換層を用いた太陽電池
において15mA/cm2以上の短絡電流が実現されて
いる。
【0004】しかし、非晶質シリコン系材料では、Steb
ler-Wronskey効果と呼ばれるように、光電変換特性が長
期間の光照射によって低下するなどの問題を抱えてお
り、さらにその有効感度波長領域が800nm程度まで
である。したがって、非晶質シリコン系材料を用いた光
電変換装置においては、その信頼性や高性能化には限界
が見られ、基板選択の自由度や低コストプロセスを利用
し得るという本来の利点が十分には生かされていない。
【0005】これに対して、近年では、たとえば多結晶
シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含
む半導体薄膜を利用した光電変換装置の開発が精力的に
行なわれている。これらの開発は、安価な基板上に低温
プロセスで良質の結晶質シリコン薄膜を形成することに
よって光電変換装置の低コスト化と高性能化を両立させ
るという試みであり、太陽電池だけでなく光センサ等の
さまざまな光電変換装置への応用が期待されている。
【0006】これらの結晶質シリコン薄膜の形成方法と
しては、たとえばCVD法やスパッタリング法にて基板
上に直接堆積させるか、同様のプロセスで一旦非晶質膜
を堆積させた後に熱アニールやレーザアニールを行なう
ことによって結晶化を図るなどの方法があるが、いずれ
にしても前述のような安価な基板を用いるためには55
0℃以下のプロセスで行なう必要がある。
【0007】そのようなプロセスの中でも、プラズマC
VD法によって直接結晶質シリコン薄膜を堆積させる手
法は、プロセスの低温化や薄膜の大面積化が最も容易で
あり、しかも比較的簡便なプロセスで高品質な膜が得ら
れるものと期待されている。このような手法で多結晶シ
リコン薄膜を得る場合、結晶質を含む高品質シリコン薄
膜を何らかのプロセスで一旦基板上に形成した後に、こ
れをシード層または結晶化制御層としてその上に成膜を
することによって、比較的低温でも良質の多結晶シリコ
ン薄膜が形成され得る。
【0008】一方、水素でシラン系原料ガスを10倍以
上希釈しかつプラズマ反応室内圧力を1.3〜133P
a(10mTorr〜1Torr)の範囲内に設定して
プラズマCVD法で成膜することによって、微結晶シリ
コン薄膜が得られることはよく知られており、この場合
には200℃前後の温度でもシリコン薄膜が容易に微結
晶化され得る。たとえば、微結晶シリコンのpin接合
からなる光電変換ユニットを含む光電変換装置がAppl,
Phys, Lett., Vol 65, 1994, p.860に記載されている。
この光電変換ユニットは、簡便にプラズマCVD法で順
次積層されたp型半導体層、光電変換層たるi型半導体
層およびn型半導体層からなり、これらの半導体層のす
べてが微結晶シリコンであることを特徴としている。と
ころが、高品質の結晶質シリコン膜、さらには高性能の
シリコン系薄膜光電変換装置を得るためには、従来の製
法や条件の下ではその成膜速度が厚さ方向で0.6μm
/hrに満たないほど遅く、非晶質シリコン膜の場合と
同程度かもしくはそれ以下でしかない。
【0009】他方、低温プラズマCVD法で比較的高い
(667Pa)の圧力条件の下でシリコン膜を形成した
例が、特開平4−137725に記載されている。しか
し、この事例はガラス等の基板上に直接シリコン薄膜を
堆積させたものであり、特開平4−137725に開示
された発明に対する比較例であって、その膜の品質は低
くて光電変換装置へ応用できるものではない。
【0010】また、一般にプラズマCVD法の圧力条件
を高くすれば、プラズマ反応室内にパウダー状の生成物
やダストなどが大量に発生する。その場合、堆積中の膜
表面にそれらのダスト等が飛来して堆積膜中に取り込ま
れる危険性が高く、膜中のピンホールの発生原因とな
る。そして、そのような膜質の劣化を低減するために
は、反応室内のクリーニングを頻繁に行なわなければな
らなくなる。特に、550℃以下のような低温条件で成
膜する場合には、反応室圧力を高くした場合のこれらの
問題が顕著となる。しかも、太陽電池のような光電変換
装置の製造においては、大面積の薄膜を堆積させる必要
があるので、製品歩留りの低下や成膜装置維持管理ため
の労力およびコストの増大という問題を招く。
【0011】したがって、シリコン系薄膜をプラズマC
VD法を用いて製造する場合には、上述のように従来か
ら通常は133Pa以下の圧力条件が用いられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述のような結晶質シ
リコン系半導体薄膜を含む光電変換装置においては、以
下のような問題がある。すなわち、多結晶シリコンであ
ろうと部分的に非晶質相を含む微結晶シリコンであろう
と、太陽電池の光電変換層として用いる場合には、結晶
質シリコンの光吸収係数を考えれば、太陽光を十分に吸
収させるためには少なくとも数μmから数十μmもの膜
厚が要求される。これは、非晶質シリコン光電変換層の
場合に比べれば1桁弱から2桁も厚いことになる。
【0013】しかるに、これまでの技術によれば、プラ
ズマCVD法によって低温で良質の結晶質シリコン系半
導体薄膜を得るためには、温度,反応室内圧力,高周波
パワー,ならびにガス流量比というような種々の成膜条
件パラメータを検討しても、その成膜速度は非晶質シリ
コン膜の場合と同程度もしくはそれ以下であって、たと
えば0.6μm/hr程度にしかならなかった。この問
題を言い換えれば、結晶質シリコン薄膜光電変換層は非
晶質シリコン光電変換層の何倍から何10倍もの成膜時
間を要することになり、光電変換装置の製造工程のスル
ープットの向上が困難となって低コスト化の妨げとな
る。
【0014】上述のような従来技術の課題に鑑み、本発
明の目的は、低温プラズマCVD法で形成する結晶質シ
リコン系半導体薄膜の成膜速度を高めて製造工程のスル
ープットを向上させ、かつそのシリコン系薄膜の特性を
改善させることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による結晶質シリ
コン系半導体薄膜の製造方法においては、基板上にその
シリコン系薄膜をプラズマCVD法で堆積する条件とし
て:プラズマ反応室内において第1の電極上に基板が配
置され;その基板に対向して第2の電極が配置され;第
2電極は中空であって基板に対向する面に複数のガス吹
出し開口を有し、シリコン系薄膜を堆積するための反応
ガスの少なくとも一部はそれらのガス吹出し開口を通し
てプラズマ反応室内に導入され;基板と第2の電極との
間の距離が1.5cm以内に設定され;プラズマ反応室
内の圧力が667Pa以上に設定され;反応ガスは主成
分としてシラン系ガスと水素ガスを含み、反応室内に導
入される全反応ガスに含まれるシラン系ガスに対する水
素ガスの流量比が100倍以上であり;プラズマ放電電
力密度が100mW/cm2以上に設定され;シリコン
系薄膜の堆積速度が1μm/h以上であり、そして、第
2電極から導入された反応ガスが基板と第2電極との間
で流れる下流側に進むにつれて、第2電極の所定の単位
面積あたりから吹出される反応ガスにおける水素に対す
るシラン系ガスの比率が増大させられることを特徴とし
ている。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の1つの実施の形
態により製造される結晶質シリコン系半導体薄膜を含む
シリコン系薄膜光電変換装置を模式的な斜視図で図解し
ている。この光電変換装置の基板101にはステンレス
等の金属、有機フィルム、または低融点の安価なガラス
等が用いられ得る。
【0017】基板101上の裏面電極110は、下記の
薄膜(A)と(B)のうちの1以上を含み、たとえば蒸
着法やスパッタリング法によって形成され得る。 (A) Ti,Cr,Al,Ag,Au,CuおよびP
tから選択された少なくとも1以上の金属またはこれら
の合金からなる層を含む金属薄膜。 (B) ITO,SnO2およびZnOから選択された
少なくとも1以上の酸化物からなる層を含む透明導電性
薄膜。
【0018】裏面電極110上には光電変換ユニット1
11の内の1導電型半導体層104がプラズマCVD法
にて堆積される。この1導電型半導体層104として
は、たとえば導電型決定不純物原子であるリンが0.0
1原子%以上ドープされたn型シリコン層、またはボロ
ンが0.01原子%以上ドープされたp型シリコン層な
どが用いられ得る。しかし、1導電型半導体層104に
関するこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原
子としてはたとえばp型シリコン層においてはアルミニ
ウム等でもよく、またシリコンカーバイドやシリコンゲ
ルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。1導電型シ
リコン系薄膜104は、多結晶,微結晶,または非晶質
のいずれでもよく、その膜厚は1〜100nmの範囲内
に設定され、より好ましくは2〜30nmの範囲内に設
定される。
【0019】結晶質を含むシリコン系薄膜の光電変換層
105としては、ノンドープのi型多結晶シリコン薄膜
や体積結晶化分率80%以上のi型微結晶シリコン薄
膜、または微量の不純物を含む弱p型もしくは弱n型で
光電変換効率を十分に備えているシリコン系薄膜材料が
使用され得る。また、光電変換層105はこれらの材料
に限定されず、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニ
ウム等の合金材料を用いてもよい。光電変換層105の
膜厚は0.5〜10μmの範囲内にあり、結晶質シリコ
ン薄膜光電変換層として必要かつ十分な膜厚を有してい
る。
【0020】結晶質シリコン系光電変換層105の成膜
は、通常に広く用いられている平行平板電極型プラズマ
CVD法で行なわれ、周波数が150MHz以下でHF
帯からVHF帯までの高周波電源が用いられ得る。な
お、これらのプラズマCVD法における結晶質シリコン
系光電変換層105の成膜温度は、上述した安価な基板
が使用され得る550℃以下である。
【0021】結晶質シリコン系薄膜光電変換層105の
堆積時において、プラズマCVD反応室内で基板を設置
している電極とその基板に対向する電極との距離が1.
5cm以内に設定され、反応室内圧力が667Pa以上
に設定される。また、そのときの高周波パワー密度は1
00mW/cm2以上であることが好ましい。さらに、
反応室内に導入されるガスの主成分としてシラン系ガス
と水素ガスを含み、かつシラン系ガスに対する水素ガス
の流量比は50倍以上にされることが好ましく、100
倍以上にされることがさらに好ましい。シラン系ガスと
してはモノシラン,ジシラン等が好ましいが、これらに
加えて四フッ化ケイ素,四塩化ケイ素,ジクロルシラン
等のハロゲン化ケイ素ガスを用いてもよい。また、これ
らに加えて希ガス等の不活性ガス、好ましくはヘリウ
ム,ネオン,アルゴン等を用いもよい。以上のような結
晶質シリコン系光電変換層105の形成条件において、
その成膜速度が1μm/時以上にされ得る。
【0022】この結晶質シリコン系薄膜105に含まれ
る結晶粒の多くは、下地層104から上方に柱状に延び
て成長している。これらの多くの結晶粒は膜面に平行に
(110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折で求
めた(220)回折ピークに対する(111)回折ピー
クの強度比は1/5以下であることが好ましく、1/1
0以下であることがより好ましい。なお、下地層である
1導電型層104の表面形状が実質的に平面である場合
でも、光電変換層105の形成後のその表面にはその膜
厚よりも約1桁ほど小さい間隔の微細な凹凸を有する表
面テクスチャ構造が形成される。また、得られる結晶質
シリコン系薄膜105は、2次イオン質量分析法により
求められる水素含有量が0.1原子%以上で20原子%
以下の範囲内にあることが好ましい。
【0023】本発明における結晶質シリコン系薄膜10
5の形成方法では、従来の133Pa以下の圧力条件に
比べて高圧力が用いられるので、膜中のイオンダメージ
が極力低減できる。したがって、成膜速度を速めるため
に高周波パワーを高くしたりガス流量を増加させても、
堆積膜表面でのイオンダメージが少なくて、良質の膜が
高速度で形成され得る。また、高圧力条件で成膜を行な
えば反応室内のパウダー生成による汚染が懸念される
が、原料ガスが水素のような高熱伝導性ガスで大量に希
釈されているので、このような問題も起こりにくい。
【0024】さらに、以下のような理由により、本発明
では、従来法の場合に比べて高品質の結晶質シリコン系
薄膜105が得られる。まず、成膜速度が速いので、反
応室内に残留している酸素や窒素等の不純物原子が膜中
に取り込まれる割合が減少する。また、膜成長初期にお
ける結晶核生成時間が短いために相対的に核発生密度が
減少し、大粒径で強く結晶配向した結晶粒が形成されや
すくなる。さらに、高圧力で成膜すれば、結晶粒界や粒
内の欠陥が水素でパッシベーションされやすく、それら
の欠陥密度も減少する。
【0025】図2において、上述のような結晶質シリコ
ン系薄膜105を形成するために好ましく用いられ得る
プラズマCVD装置の一例が、模式的な断面図で図解さ
れている。このプラズマCVD装置においては、反応室
221内にプラズマ228を生じさせるために、下方の
放電電極222と上方の電極223が設けられている。
これらの互いに上下に対向する2つの電極222,22
3は少なくとも一方が上下方向、水平方向および/また
は傾斜方向に可動であり、相互の間隔を1.5cm以下
に縮小することができるとともに1.5cm以上に拡大
することもできる。
【0026】基板101はバルブ(図示せず)を備えた
出入口225を介して反応室221内に導入され、上方
の電極223上に装着され得る。このとき、電極223
へ基板を装着することを容易にするために、両電極22
2,223の間隔が1.5cm以上に拡大される。下方
の電極222は反応ガス226を導くように中空にされ
ており、その上面は複数のガス吹出し開口を有してい
る。上方の電極223上に基板101が装着されれば、
これと下方電極222との間隔が1.5cm以下に縮小
される。反応室221の内部は、排気流路227を介し
て真空引きされるとともに、下方電極222の複数のガ
ス吹出し開口から反応ガスが供給され、それによって所
定の圧力に保持され得る。
【0027】ところで、非晶質シリコン膜の形成に用い
られる従来の成膜方法では、放電電極間の距離が比較的
大きくて電極面積も小さかったので、ガス吹出し電極の
中央部から吹出されるガスと周辺部から吹出されるガス
との組成比が同じであっても、得られる非晶質シリコン
膜において場所的にその特性の不均一性が生じることは
なかった。しかし、高品質の結晶質シリコン膜を形成す
るためには、前述のように放電電極間距離が狭くされ、
また成膜速度が速いのでシラン系ガスとその100倍以
上の水素を含む反応ガスの全流量が非常に大きいので、
ガス吹出し電極から導入された反応ガスの流れとプラズ
マ反応によるガスの消費との関係が問題になってくる。
特に、基板サイズが10cmを超えれば、反応ガスの流
れとその消費との関係が結晶質シリコン膜の特性の場所
的な不均一性に与える影響が無視できなくなる。
【0028】より具体的には、結晶質シリコン膜が堆積
される間、反応ガスの流れの中でシラン系ガスはその膜
の原料ガスとして消費されていく。しかし、反応ガス中
の水素はその膜中に取込まれたとしても少量であってほ
とんど消費されないので、放電電極間から反応室外へ排
気されることになる。したがって、ガス吹出し電極から
導入された反応ガスがその電極の中央部から周辺部に向
かう方向の流れる場合、そのガス流の下流側である電極
周辺部では、反応ガスに含まれる水素の比率が高くな
る。また、電極の中央部から吹出された水素は電極周辺
部に至るまでにプラズマに長く晒されるのでラジカルな
どの活性種になっている割合が高くなり、電極周辺部で
は反応しやすい水素の比率がさらに上がることになる。
そして、このような状況の下では、形成された結晶質シ
リコン膜の中央部と周辺部とにおいて大きな特性差を生
じ、基板面積が大きいほどその特性差が顕著になる。
【0029】したがって、本発明ではこのような問題を
防止するために、ガス吹出し電極から導入された反応ガ
スが放電電極間で流れる下流側に進むにつれて、ガス吹
出し電極の所定の単位面積あたりに導入される反応ガス
における水素に対するシラン系ガスの比率が増大させら
れる。こうすることによって、基板上で実際に反応に関
与するシラン系ガスと水素との比率が反応ガス流の上流
と下流にかかわらず一定に保たれ、場所的に特性の変動
がなくて均質で高品質の結晶質シリコン膜が形成され得
る。
【0030】このように実際に反応に関与するシラン系
ガスと水素との比率を調整する方法の具体例としては、
ガス吹出し電極の複数の開口のうち、反応ガスの上流側
に配置された開口に比べて下流側に配置された開口から
吹出される反応ガスにおけるシラン系ガスの比率を高め
ればよい。
【0031】また、ガス吹出し電極においてシラン系ガ
スと水素ガスとを一定の比率で含む反応ガスを吹出す複
数の開口をほぼ均一な密度で設け、さらに、その一定比
率より高い比率でシラン系ガスを含む反応ガスを吹出す
複数の開口を反応ガスの上流側より下流側に多く設けて
もよい。
【0032】図3において、放電電極対の中央部から周
辺部の方向に反応ガスが流れるCVD法の場合に用いら
れ得るガス吹出し電極の一例の一部が、模式的な平面図
で示されている。このガス吹出し電極310において
は、白丸印で表わされた第1種類の複数の開口311が
ほぼ均一な密度で配置され、黒丸印で表わされた第2種
類の複数の開口312は電極310の中央部近くに比べ
て周辺部近くにおいて多く設けられている。すなわち、
第1種類の開口311はシラン系ガスと水素ガスとを一
定の比率で含む反応ガスを吹出し、第2種類の開口31
2はその一定比率より高い比率でシラン系ガスを含む反
応ガスを吹出すために用いられる。
【0033】図4においては、放電電極対の一方端縁側
から他方端縁側の方向に反応ガスが流れるCVD装置の
一例が模式的な断面図で示されている。このようなCV
D装置では、反応室400内において、ヒータを含む基
板保持電極420上に基板101が装着される。基板保
持電極420に対向して、ガス吹出し電極410が配置
されている。ガス吹出し電極410からは、矢印411
によって表わされているように、反応ガスが導入され
る。これと同時に、反応室400内には矢印430で表
わされているように、水素ガスまたはそれに加えてシラ
ン系ガスを含む反応ガスが右側から導入される。反応室
400内のガス圧は、矢印440で表わされているよう
に排気ポンプ(図示せず)によって左側に排気すること
によって所定の値に維持される。すなわち、ガス吹出し
電極410から導入された反応ガス411と反応室40
0の右側から導入された水素または反応ガスとのいずれ
もが電極対の右端縁側から左端縁側に向かう方向に流れ
る。
【0034】したがって、このような場合には、ガス吹
出し電極410において、右端縁側に近い開口に比べて
左端縁側に近い開口から吹出される反応ガスにおけるシ
ラン系ガスの比率を高めればよい。またはこの代わり
に、ガス吹出し電極410においてシラン系ガスと水素
ガスとを一定の比率で含む反応ガスを吹出す複数の開口
をほぼ均一な密度で設け、さらに、その一定比率より高
い比率でシラン系ガスを含む反応ガスを吹出す複数の開
口をガス吹出し電極410の右端縁側に近い領域に比べ
て左端縁側に近い領域に多く設けてもよい。
【0035】光電変換層105上には、その下地層10
4とは逆タイプの導電型半導体層106としてのシリコ
ン系薄膜がプラズマCVD法によって堆積される。この
逆導電型シリコン系薄膜106としては、たとえば導電
型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ド
ープされたp型シリコン薄膜、またはリンが0.01原
子%以上ドープされたn型シリコン薄膜などが用いられ
得る。しかし、逆導電型半導体層106についてのこれ
らの条件は限定的なものではなく、不純物原子としては
たとえばp型シリコンにおいてはアルミニウム等でもよ
く、またシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等
の合金材料の膜を用いてもよい。この逆導電型シリコン
系薄膜106は、多結晶,微結晶,または非晶質のいず
れでもよく、その膜厚は3〜100nmの範囲内に設定
され、より好ましくは5〜50nmの範囲内に設定され
る。
【0036】光電変換ユニット111上には、ITO,
SnO2,ZnO等から選択された少なくとも1以上の
層からなる透明導電性酸化膜107が形成され、さらに
この上にグリッド電極としてAl,Ag,Au,Cu,
Pt等から選択された少なくとも1以上の金属またはこ
れらの合金の層を含む櫛形状の金属電極108がスパッ
タリング法または蒸着法によって形成され、これによっ
て図1に示されているような光電変換装置が完成する。
【0037】なお、図1は本発明による製造方法とプラ
ズマCVD装置が適用され得るシリコン系薄膜光電変換
装置の1つを例示しているだけであって、本発明は、図
1に示されているような結晶質光電変換層を含む少なく
とも1つの結晶系薄膜光電変換ユニットに加えて、周知
の方法で形成される非晶質光電変換層を含む少なくとも
もう1つの非晶質系薄膜光電変換ユニットをも含むタン
デム型光電変換装置にも適用し得ることは言うまでもな
い。
【0038】以上で一例として述べたシリコン系薄膜光
電変換装置の一連の製造工程のうちで、スループットを
向上させる上で従来から最も大きな課題であったのは、
大きな膜厚を必要とする結晶質シリコン系半導体薄膜1
05の製造工程であったことは言うまでもない。しかし
ながら、本発明によれば、その結晶質シリコン系半導体
薄膜の成膜速度が大幅に向上し、しかも、より良質の膜
が得られることから、このようなシリコン系半導体薄膜
を利用する種々の半導体装置の高性能化と低コスト化に
大きく貢献することができる。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、安価な
基板上に結晶質を含むシリコン系半導体薄膜をプラズマ
CVD法によって低温で形成する際に従来技術に比べて
成膜速度を大幅に向上させることができ、しかも良好な
膜質が得られるので、結晶質シリコン系半導体薄膜を利
用する種々の半導体装置の高性能化と低コスト化の両方
に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による製法によって得ら
れる結晶質シリコン系薄膜光電変換装置の一例を示す模
式的な斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態による製法において用い
られ得るプラズマCVD装置を示す模式的な断面図であ
る。
【図3】 本発明の実施の形態による製法において用い
られ得るガス吹出し電極の一例の一部を模式的に示す平
面図である。
【図4】 本発明の実施の形態による製法において用い
られ得るCVD装置の一部を示す模式的な断面図であ
る。
【符号の説明】
101 ガラス等の基板、102 Ag等の膜、103
ZnO等の膜、104 たとえばn型の第1導電型微
結晶シリコン層、105 結晶質シリコン系光電変換
層、106 たとえばp型の逆導電型多結晶シリコン
層、107 ITO等の透明導電膜、108 Ag等の
櫛形電極、109 照射光、110 裏面電極、111
結晶質シリコン系光電変換ユニット、221 プラズ
マ反応室、222 反応ガス吹出し電極、223 基板
装着用電極、225 基板出入口、226 反応ガス、
228 プラズマ、227 排気、310 ガス吹出し
電極、311 シラン系ガスと水素とを一定比率で含む
反応ガスを吹出す開口、312開口311に比べてシラ
ン系ガスを多く含む反応ガスを吹出す開口、400プラ
ズマ反応室、410 ガス吹出し電極、411 反応ガ
ス、420 基板保持電極、430 水素ガスまたは反
応ガス、440 排気。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F045 AA08 AB03 AB04 AC01 AD05 AD06 AD07 AE21 CA13 DA58 EE13 EE15 EF05 EF08 EF09 EH13 5F051 AA03 BA14 CA07 CA08 CA15 CA34 CA35 CA36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法
    であって、 基板上に前記シリコン系薄膜をプラズマCVD法で堆積
    する条件として、 プラズマ反応室内において第1の電極上に前記基板が配
    置され、 前記基板に対向して第2の電極が配置され、 前記第2電極は中空であって前記基板に対向する面に複
    数のガス吹出し開口を有し、前記シリコン系薄膜を堆積
    するための反応ガスの少なくとも一部は前記ガス吹出し
    開口を通して前記プラズマ反応室内に導入され、 前記基板と前記第2の電極との間の距離が1.5cm以
    内に設定され、 前記プラズマ反応室内の圧力が667Pa(5Tor
    r)以上に設定され、 前記反応ガスは主成分としてシラン系ガスと水素ガスを
    含み、前記反応室内に導入される全反応ガスに含まれる
    シラン系ガスに対する水素ガスの流量比が100倍以上
    であり、 プラズマ放電電力密度が100mW/cm2以上に設定
    され、 前記シリコン系薄膜の堆積速度が1μm/h以上であ
    り、 そして、前記第2電極から導入された反応ガスが前記基
    板と前記第2電極との間で流れる下流側に進むにつれ
    て、前記第2電極の所定の単位面積あたりから吹出され
    る反応ガスにおける水素に対するシラン系ガスの比率が
    増大させられることを特徴とする結晶質シリコン系半導
    体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2電極においてシラン系ガスと水
    素ガスとを一定の比率で含む反応ガスを吹出す複数の開
    口がほぼ均一な密度で設けられ、さらに、前記一定比率
    より高い比率でシラン系ガスを含む反応ガスを吹出す複
    数の開口が前記反応ガスの上流側より下流側に多く設け
    られていることを特徴とする請求項1に記載の結晶質シ
    リコン系半導体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2電極から吹出された反応ガス
    は、その第2電極の一方端縁側方向から付加的に供給さ
    れる反応ガスまたは水素ガスとともに他方端側へ向けて
    流れることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶
    質シリコン系半導体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記シリコン系薄膜は100〜400℃
    の範囲内の下地温度の下で形成され得る多結晶シリコン
    膜または体積結晶化分率80%以上の微結晶シリコン膜
    であり、0.1原子%以上で20原子%以下の水素を含
    有し、そして0.5〜10μmの範囲内の膜厚を有して
    いることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に
    記載の結晶質シリコン系半導体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記シリコン系薄膜はその膜面に平行に
    (110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折にお
    ける(220)回折ピークに対する(111)回折ピー
    クの強度比が1/5以下であることを特徴とする請求項
    1から4のいずれかの項に記載の結晶質シリコン系半導
    体薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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