JP2001221906A - 光学シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光線の透過率が高く、視野角の調整が可能な
光学シート、及びこの光学シートを用いて輝度を向上さ
せたバックライトユニットの提供を目的とするものであ
る。 【解決手段】 シート面にシリンドリカルレンズ部２を
ストライプ状に備えた光学シート１であって、前記シリ
ンドリカルレンズ部２の中心角αが１８０°から臨界角
の２倍を減じた角度以下であることを特徴とするもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置のバ
ックライトユニットに組み込まれる光学シート及びこれ
を用いたバックライトユニットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、液晶層を背面から照ら
して発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下
面側にバックライトユニットが装備されている。かかる
バックライトユニット１０は、一般的には図３に示すよ
うに、光源としての線状のランプ１１と、このランプ１
１に端部が沿うように配置される略方形板状の導光板１
２と、導光板１２の表面側に配設される光拡散シート１
３と、光拡散シート１３の上側に配設されるプリズムシ
ート１４とを備えている。なお、本図面にはプリズムシ
ート１４は１枚しか記載していないが、２枚のプリズム
シート１４を互いのプリズム部１４ａが直交するように
配設する場合もある。

【０００３】このバックライトユニット１０の機能を説
明すると、まず、ランプ１１より導光板１２に入射した
光線は、導光板１２裏面の反射ドットまたは反射シート
（図示されず）および導光板１２の各側面で反射され、
導光板１２表面から出射される。この光線は光拡散シー
ト１３に入射し、光拡散シート１３で拡散され、光拡散
シート１３表面より出射される。その後、光拡散シート
１３から出射された光線は、プリズムシート１４に入射
し、プリズムシート１４表面から出射され、さらに上方
の図示していない液晶層全面を照明するものである。

【０００４】上記導光板１２の表面から出射される光線
の輝度分布は、ランプ１１と垂直方向を基準にして見た
場合とランプ１１と平行方向を基準にして見た場合とで
は異なり、例えばランプ１１と垂直方向の輝度分布がラ
ンプ１１と反対側の斜め上方に強いピークを示し、ラン
プ１１と平行方向の輝度分布が前記ランプ１１と垂直方
向の輝度分布のピークよりも相対的に低いピークを斜め
上方の左右に示すことがある。

【０００５】一方、従来の光拡散シート１３としては、
例えば、（ａ）基材層の表面に、バインダー中にビーズ
等の光拡散剤が分散した光拡散層が積層されたもの（例
えば実開平５−７３６０２号公報等参照）や、（ｂ）合
成樹脂製のシート成形時に表面にエンボス加工などを施
すことによって、表面に複数の凹凸が形成されているも
の等がある。これらの従来の光拡散シート１３は、分散
させたビーズ等の光拡散剤や表面の凹凸によって拡散能
を発揮することから、光拡散能はシート全面にかつ全方
向に均一であり、上述のような導光板１２から出射され
た光線の前後方向の輝度分布と左右方向の輝度分布との
違いをなくすよう制御することはできない。

【０００６】そのため、前後方向及び左右方向のうち、
主に一の方向の輝度分布のみを拡散し、他の方向の輝度
分布は拡散しない光学シート２１が開発されている（図
４参照）。かかる光学シート２１は、表面側に多数のシ
リンドリカルレンズ部２２を平行にかつ隣接して備えて
いる。かかるシリンドリカルレンズ部２２としては、従
来、半円柱（円柱を中心軸を通る面で二分した一半）状
のものが一般的に用いられている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のような光学シー
ト２１にあっては、シリンドリカルレンズ部２２が半円
柱状であるため、シリンドリカルレンズ部２２の中心軸
と平行な面内では拡散作用はほとんどなく、シリンドリ
カルレンズ部２２の中心軸と垂直な面内でのみ、界面で
屈折され、拡散作用が発揮される。

【０００８】しかし、光線が下方から垂直に入射するこ
ととすると、シリンドリカルレンズ部２２の側方を透過
する光線Ｘほどシリンドリカルレンズ部２２の界面への
入射角θが小さくなり、所定の位置より側方で入射角θ
が臨界角より小さくなる。このように入射角θが臨界角
より小さくなると、光線Ｘはシリンドリカルレンズ部２
２の界面で反射し、表面側へ透過し難くなる。そのた
め、上記従来の半円柱状のシリンドリカルレンズ部２２
では、その側方部分は拡散に寄与せず、逆に、透過率の
低下を招来する要因となっている。

【０００９】本発明はこれらの不都合に鑑みてなされた
ものであり、光線の透過率が高く、視野角の調整が可能
な光学シート、及びこの光学シートを用いて輝度を向上
させたバックライトユニットの提供を目的とするもので
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた発明は、シート面にシリンドリカルレンズ部
をストライプ状に備えた光学シートであって、前記シリ
ンドリカルレンズ部の中心角が１８０°から臨界角の２
倍を減じた角度以下であることを特徴とするものであ
る。

【００１１】ここで、「シリンドリカルレンズ部」と
は、部分円柱（円柱を中心軸と平行な面で分割した一
半）状のレンズ部を意味する。また、シリンドリカルレ
ンズ部の「中心角」とは、横断面を基準として、シリン
ドリカルレンズ部がなす弧の上に立つ中心角を意味す
る。さらに、「シート面」とは、光学シートの表面又は
裏面を意味する。

【００１２】当該光学シートのよれば、下方から垂直に
入射する光線のシリンドリカルレンズ部界面への入射角
は、シリンドリカルレンズ部のどの部分でも臨界角以上
になる。そのため、シリンドリカルレンズ部界面におけ
る光線の反射が低減され、光線の透過率を飛躍的に向上
させることができる。

【００１３】上記光学シートにおいて、隣り合う一対の
上記シリンドリカルレンズ部間に平坦部を有することも
可能である。かかる平坦部は、光線を拡散させずに、そ
のまま透過させる。そのため、当該光学シートにおける
シリンドリカルレンズ部と平坦部との面積比を調整する
ことで、シリンドリカルレンズ部の軸方向と垂直方向の
拡散能を制御することができる。従って、必要最低限の
拡散性が得られるようシリンドリカルレンズ部の配設比
率を小さくし、平坦部の配設比率を大きくすることで、
輝度を向上させることができる。

【００１４】上記光学シートの材料として有機ポリマー
を用いるとよい。このように、有機ポリマーを用いるこ
とで、光学シートの成形が容易になる、光学シートとし
ての使用・取扱いが便利になる等の利点がある。

【００１５】また上記有機ポリマーとしては複屈折の少
ないものが好適である。この手段のように、複屈折の少
ない有機ポリマーを使用すると、複屈折によって光学シ
ートに色や模様が発現することを防止できる。

【００１６】本発明の光学シートは、上述のストライプ
状のシリンドリカルレンズ部に加えて、バインダー中に
ビーズが分散した光拡散層をさらに備えることができ
る。上記シリンドリカルレンズ部は前後方向又は左右方
向の一方のみの輝度分布を主に拡散させ、他方の輝度分
布はほとんど拡散させることはできないが、当該手段に
よれば、バインダー中にビーズが分散し、前後方向と左
右方向の拡散能が均一な光拡散層をさらに備えることか
ら、シリンドリカルレンズ部ではほとんど拡散性がない
方向にも所定の拡散性を付与することができる。そのた
め、導光板や反射シートのドットを隠蔽することができ
る。

【００１７】さらに当該光学シートは、バインダー中に
ビーズが分散したスティッキング防止層をさらに備える
ことも可能である。このように、当該光学シートの表面
側又は裏面側に上記スティッキング防止層を備えること
で、表面側又は裏面側に配設されるプリズムシート等と
のスティッキングを防止することができる。

【００１８】従って、線状のランプと、このランプに沿
うように配設され、ランプから発せられる光線を表面側
へ導く略方形板状の導光板と、この導光板の表面側に配
設された光学シートとを装備する液晶表示装置用のバッ
クライトユニットにおいて、上記本発明の光学シートを
用いると、当該光学シートの光線透過率が上述のように
高いので、ランプの消費エネルギーを向上させることな
く輝度の向上を図ることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ本発
明の実施の形態を詳説する。図１は本発明の一実施形態
に係る光学シートを示す模式的断面図で、図２は図１の
光学シートとは異なる形態に係る光学シートを示す模式
的断面図である。

【００２０】図１の光学シート１は、その表面に、多数
本のシリンドリカルレンズ部２をストライプ状（並列）
にかつ隣接して備えている。このシリンドリカルレンズ
部２は、部分円柱状であり、横断面（円柱の中心軸と垂
直な面）におけるシリンドリカルレンズ部２の中心角α
が１８０°から臨界角の２倍を減じた角度以下とされて
いる。

【００２１】上記光学シート１によれば、シリンドリカ
ルレンズ部が半円柱状の従来の光学シートと同様に、シ
リンドリカルレンズ部２の中心軸と平行な面内では拡散
作用はほとんどなく、シリンドリカルレンズ部２の中心
軸と垂直な面内でのみ拡散作用が発揮される。また、当
該光学シート１によれば、シリンドリカルレンズ部２の
中心角αが１８０°から臨界角の２倍を減じた角度以下
とされているので、裏面側から表面側へ透過する光線が
シリンドリカルレンズ部２と外部との界面で反射される
のを低減でき、その結果、透過率が飛躍的に向上する。

【００２２】これは、平行光線が光学シート１の裏面側
からシート面と垂直に入射することとすると、シリンド
リカルレンズ部２の界面への光線の入射角の最小値は、
シリンドリカルレンズ部２の側方端を通る半径方向がシ
ート面に対してなす角度βとなる。この角度βを臨界角
以上にすること、換言すると、中心軸αを１８０°から
臨界角の２倍を減じた角度以下にすることで、シリンド
リカルレンズ部２の界面での全反射が防止されるためで
ある。

【００２３】また光学シート１は、光線を透過させる必
要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成さ
れている。かかる合成樹脂としては、特に限定されるも
のではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセ
テート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。光学シート
１の厚みは、特には限定されないが、例えば１０μｍ以
上５００μｍ以下、好ましくは７５μｍ以上２５０μｍ
以下とされる。光学シート１の厚みが上記範囲未満であ
ると、光拡散層３を形成する樹脂組成物を塗工した際に
カールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難にな
る等の不都合が発生する。逆に、光学シート２の厚みが
上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してし
まうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大
きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することに
もなる。

【００２４】上記構造を有する光学シート１を形成する
方法としては、（ａ）当該光学シート１の表面形状を反
転させた形状を有するシート型に合成樹脂を積層し、そ
のシート型を剥がすことで表面にシリンドリカルレンズ
部２を形成する方法、（ｂ）光学シート１表面の反転形
状を有する金型に溶融樹脂を注入する射出成型法、
（ｃ）シート化された樹脂を再加熱して前記と同様の金
型と金属板との間にはさんでプレスして形状を転写する
方法、（ｄ）光学シート１表面の反転形状を周面に有す
るロールと他のロールとのニップに溶融状態のシート状
の樹脂を通し、上記形状を転写する押し出しシート成形
法、（ｅ）基材フィルムにＵＶ硬化樹脂を塗布して上記
と同様の反転形状を有するロールに押さえ付けて未硬化
のＵＶ硬化樹脂に形状を転写し、その後紫外線をあてて
ＵＶ硬化樹脂を硬化させる方法、（ｆ）ＵＶ硬化樹脂の
代わりにＥＢ硬化樹脂を使用する方法などがある。

【００２５】従って、当該光学シート１を液晶表示装置
用のバックライトユニットに装備すると、導光板から出
射される光線において前後方向の輝度分布と左右方向の
輝度分布とが異なる場合、拡散させたくない方向に光学
シート１のシリンドリカルレンズ部２を向け、拡散させ
たい方向とシリンドリカルレンズ部２の軸方向とが垂直
になるよう光学シート１を配設することで、前後方向の
輝度分布と左右方向の輝度分布との双方を好ましく拡散
させることができる。また、当該光学シート１の光線透
過率が上述のように高いので、ランプの消費エネルギー
を向上させることなく輝度の向上を図ることができる。

【００２６】図２の光学シート５は、隣り合う一対のシ
リンドリカルレンズ部２間に平坦部３を有するものであ
る。かかる平坦部３は光線を拡散させずにそのまま透過
させるため、輝度を向上させることができる。また、シ
リンドリカルレンズ部２と平坦部３との面積比を調整す
ることで、シリンドリカルレンズ部２と垂直方向の拡散
能を制御することができる。

【００２７】なお、本発明の光学シートは、上記実施形
態に限定されるものではなく、例えば、バインダー中に
ビーズが分散した光拡散層を備えることも可能である。
かかる光拡散層を積層することで、シリンドリカルレン
ズ部の中心軸と平行な面内においても拡散性を付与でき
る。さらに、バインダー中にビーズが分散したスティッ
キング防止層をさらに備えることも可能である。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学シー
トによれば、光線の反射率が低く、光線透過率が高くな
る。従って、この光拡散シートを用いたバックライトユ
ニットによれば、光線の利用効率を向上でき、消費エネ
ルギーを維持しつつ輝度を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模
式的断面図である。

【図２】図１の光学シートとは異なる形態の光学シート
を示す模式的断面図である。

【図３】一般的なバックライトユニットを説明する模式
的斜視図である。

【図４】表面にシリンドリカルレンズ部を有する従来の
光学シートを示す模式的斜視図である。

【図５】図４の光学シートにおけるシリンドリカルレン
ズ部を透過する光線の状態を説明する模式的断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 光学シート ２ シリンドリカルレンズ部 ３ 平坦部 ５ 光学シート １０ バックライトユニット １１ ランプ １２ 導光板 １３ 光拡散シート １４ プリズムシート １４ａ プリズム部 ２１ 光学シート ２２ シリンドリカルレンズ部

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート面にシリンドリカルレンズ部をス
   トライプ状に備えた光学シートであって、 前記シリンドリカルレンズ部の中心角が１８０°から臨
   界角の２倍を減じた角度以下であることを特徴とする光
   学シート。
2. 【請求項２】 隣り合う一対の上記シリンドリカルレン
   ズ部間に平坦部を有する請求項１に記載の光学シート。
3. 【請求項３】 材料として有機ポリマーが用いられてい
   る請求項１又は請求項２に記載の光学シート。
4. 【請求項４】 上記有機ポリマーが複屈折の少ないもの
   である請求項３に記載の光学シート。
5. 【請求項５】 バインダー中にビーズが分散した光拡散
   層をさらに備えた請求項１から請求項４のいずれか１項
   に記載の光学シート。
6. 【請求項６】 バインダー中にビーズが分散したスティ
   ッキング防止層をさらに備えた請求項１から請求項５の
   いずれか１項に記載の光学シート。
7. 【請求項７】 線状のランプと、 このランプに沿うように配設され、ランプから発せられ
   る光線を表面側へ導く略方形板状の導光板と、 この導光板の表面側に配設された請求項１から請求項６
   のいずれか１項に記載の光学シートとを装備する液晶表
   示装置用のバックライトユニット。