JP2001220178A - 熱線遮断性被膜の形成法 - Google Patents
熱線遮断性被膜の形成法Info
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- JP2001220178A JP2001220178A JP2000023716A JP2000023716A JP2001220178A JP 2001220178 A JP2001220178 A JP 2001220178A JP 2000023716 A JP2000023716 A JP 2000023716A JP 2000023716 A JP2000023716 A JP 2000023716A JP 2001220178 A JP2001220178 A JP 2001220178A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 膜ムラ欠陥がなく、耐摩耗性に優れた高品質
な熱線遮断性被膜付き透明基体を得る。 【解決手段】 透明基体に金属酸化物源として酸化コバ
ルト源を含む流体を接触させ、その熱分解により熱線遮
断性金属酸化物被膜を形成する方法であって、酸化コバ
ルト源としてオクチル酸コバルトが含まれる熱線遮断性
被膜の形成法。
な熱線遮断性被膜付き透明基体を得る。 【解決手段】 透明基体に金属酸化物源として酸化コバ
ルト源を含む流体を接触させ、その熱分解により熱線遮
断性金属酸化物被膜を形成する方法であって、酸化コバ
ルト源としてオクチル酸コバルトが含まれる熱線遮断性
被膜の形成法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明基体に熱線遮
断性あるいは更にプライバシー性等を付与すべく熱線遮
断性被膜を形成する方法に関し、特に透明基体として建
築用車両・輸送機器用、あるいは電子機器用のガラスを
適用するものである。
断性あるいは更にプライバシー性等を付与すべく熱線遮
断性被膜を形成する方法に関し、特に透明基体として建
築用車両・輸送機器用、あるいは電子機器用のガラスを
適用するものである。
【0002】
【従来技術および解決すべき課題】ガラス板等の基体に
金属化合物を含む流体を接触させ、その熱分解により金
属酸化物被膜を形成する手段として熱スプレー法やCV
D法(化学的気相成長法)は広く実施されている。特に
フロートガラスを基体とする場合、ガラス製造ラインに
おけるフロートバス出口の加熱ガラスに前記金属化合物
を含む流体を接触させて金属酸化物被膜を形成すること
により、比較的効率的かつ大量に、従って比較的低コス
トで金属酸化物被膜付きガラスが製造できるという利点
がある。
金属化合物を含む流体を接触させ、その熱分解により金
属酸化物被膜を形成する手段として熱スプレー法やCV
D法(化学的気相成長法)は広く実施されている。特に
フロートガラスを基体とする場合、ガラス製造ラインに
おけるフロートバス出口の加熱ガラスに前記金属化合物
を含む流体を接触させて金属酸化物被膜を形成すること
により、比較的効率的かつ大量に、従って比較的低コス
トで金属酸化物被膜付きガラスが製造できるという利点
がある。
【0003】熱線遮断性やプライバシー性の付与を目的
として、ガラスに上記熱分解法によりコバルト酸化物被
膜や、該コバルト酸化物に加え、クロム酸化物、鉄酸化
物、ニッケル酸化物、マンガン酸化物等からなる混合酸
化物被膜を形成することは公知である。
として、ガラスに上記熱分解法によりコバルト酸化物被
膜や、該コバルト酸化物に加え、クロム酸化物、鉄酸化
物、ニッケル酸化物、マンガン酸化物等からなる混合酸
化物被膜を形成することは公知である。
【0004】従来、前記被膜形成用原料としては酸化コ
バルト源としてコバルトアセチルアセトナートで代表さ
れるβ−ジケトン錯塩、またはコバルトアセト酢酸エチ
ルエステルで代表されるβ−ケトエステル錯塩からなる
錯塩を採用し、これに酸化クロム源としての前記同様の
クロム含有錯塩、あるいは更に酸化鉄源としての鉄含有
錯塩、酸化ニッケル源としてのニッケル含有錯塩、酸化
マンガン源としてのマンガン含有錯塩等の一種または複
数種を加え、これらを塩化メチレン等の塩素系有機溶
媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系溶媒に溶解して液調製
し、該調製液を加熱ガラスにスプレーすることにより、
それら金属酸化物の被膜を形成するものである。この方
法は適当な方法ではあるが、なお製造歩留まりや膜品質
において充分満足し得るものではない。
バルト源としてコバルトアセチルアセトナートで代表さ
れるβ−ジケトン錯塩、またはコバルトアセト酢酸エチ
ルエステルで代表されるβ−ケトエステル錯塩からなる
錯塩を採用し、これに酸化クロム源としての前記同様の
クロム含有錯塩、あるいは更に酸化鉄源としての鉄含有
錯塩、酸化ニッケル源としてのニッケル含有錯塩、酸化
マンガン源としてのマンガン含有錯塩等の一種または複
数種を加え、これらを塩化メチレン等の塩素系有機溶
媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系溶媒に溶解して液調製
し、該調製液を加熱ガラスにスプレーすることにより、
それら金属酸化物の被膜を形成するものである。この方
法は適当な方法ではあるが、なお製造歩留まりや膜品質
において充分満足し得るものではない。
【0005】従来技術において、特開平11−71853号公
報には、中空ガラスブロックの内側面に金属酸化物被膜
を形成した熱線反射ガラスブロックが、また、前記金属
酸化物源としてコバルト、ニッケル、鉄、チタン等のナ
フテン酸塩、オクチル酸塩やアセチルアセトン錯塩等を
有機溶媒に溶解し、これをガラスブロックの内側面に噴
霧して金属酸化物被膜を形成することが開示されてい
る。しかしオクチル酸塩等は列記されているのみで、そ
れによる格別の効果については開示、示唆されていな
い。
報には、中空ガラスブロックの内側面に金属酸化物被膜
を形成した熱線反射ガラスブロックが、また、前記金属
酸化物源としてコバルト、ニッケル、鉄、チタン等のナ
フテン酸塩、オクチル酸塩やアセチルアセトン錯塩等を
有機溶媒に溶解し、これをガラスブロックの内側面に噴
霧して金属酸化物被膜を形成することが開示されてい
る。しかしオクチル酸塩等は列記されているのみで、そ
れによる格別の効果については開示、示唆されていな
い。
【0006】本発明は、従来技術に対しより高歩留まり
で膜品質を向上したコバルト酸化物を含む熱線遮断性金
属酸化物被膜を形成する方法、および該金属酸化物酸化
物被膜を提供することを目的とする。
で膜品質を向上したコバルト酸化物を含む熱線遮断性金
属酸化物被膜を形成する方法、および該金属酸化物酸化
物被膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明基体に金
属酸化物源として少なくとも酸化コバルト源を含む流体
を接触させ、その熱分解により熱線遮断性金属酸化物被
膜を形成する方法であって、酸化コバルト源としてオク
チル酸コバルトが含まれる熱線遮断性被膜の形成法であ
る。
属酸化物源として少なくとも酸化コバルト源を含む流体
を接触させ、その熱分解により熱線遮断性金属酸化物被
膜を形成する方法であって、酸化コバルト源としてオク
チル酸コバルトが含まれる熱線遮断性被膜の形成法であ
る。
【0008】前記において、酸化コバルト源としてコバ
ルトβ−ジケトナートまたはコバルトβ−ケトエステル
からなる錯塩を併用し、CoO重量換算でオクチル酸塩:
前記錯塩の比が99:1〜5:95の範囲とするものであ
る。
ルトβ−ジケトナートまたはコバルトβ−ケトエステル
からなる錯塩を併用し、CoO重量換算でオクチル酸塩:
前記錯塩の比が99:1〜5:95の範囲とするものであ
る。
【0009】なお、前記流体に金属酸化物源として少な
くとも酸化クロム源が含まれるのが望ましい。
くとも酸化クロム源が含まれるのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、透明基体として
はガラス、透明ガラスセラミックス、透明セラミックス
等があり、その形状も特定するものではないが、特に各
種製法による板ガラス、例えばフロート板ガラスが好適
に採用できる。熱線遮断性被膜はそれら透明基体に熱線
反射性、熱線吸収性を含む熱線遮断性をはじめ、適度な
透視性を保持したプライバシー性を付与するものであ
り、あるいは更に紫外線遮蔽性、日射遮蔽性を付与する
ものである。
はガラス、透明ガラスセラミックス、透明セラミックス
等があり、その形状も特定するものではないが、特に各
種製法による板ガラス、例えばフロート板ガラスが好適
に採用できる。熱線遮断性被膜はそれら透明基体に熱線
反射性、熱線吸収性を含む熱線遮断性をはじめ、適度な
透視性を保持したプライバシー性を付与するものであ
り、あるいは更に紫外線遮蔽性、日射遮蔽性を付与する
ものである。
【0011】透明基体に酸化コバルト源を含む流体を接
触させる手段としては、酸化コバルト源あるいは更に他
の金属酸化物源を溶解した液を基体表面に噴霧したり、
滴下したり、流下その他の手段で塗布したりすることを
含み、基体は前記接触後加熱するケースであってもよい
が、予め加熱した基体に前記のごとく液を接触させるの
が好適である。
触させる手段としては、酸化コバルト源あるいは更に他
の金属酸化物源を溶解した液を基体表面に噴霧したり、
滴下したり、流下その他の手段で塗布したりすることを
含み、基体は前記接触後加熱するケースであってもよい
が、予め加熱した基体に前記のごとく液を接触させるの
が好適である。
【0012】別の手段としては、酸化コバルト源あるい
は更に他の金属酸化物源を加熱気化させ(勿論熱分解し
ない範囲で行われる)、これとキャリアーガス等との混
合ガスを加熱した基体表面に噴射するいわゆるCVD法
を適用することもできる。
は更に他の金属酸化物源を加熱気化させ(勿論熱分解し
ない範囲で行われる)、これとキャリアーガス等との混
合ガスを加熱した基体表面に噴射するいわゆるCVD法
を適用することもできる。
【0013】先述したように、従来、コバルトアセチル
アセトナート等の錯塩をベースとし、クロムアセチルア
セトナート等の錯塩を加え、あるいは更に鉄アセチルア
セトナート、ニッケルアセチルアセトナート等の錯塩を
適宜添加調合し、これらを塩化メチレンその他の有機溶
媒に溶解して液調製し、該調製液を加熱ガラスにスプレ
ーすることにより、それら金属酸化物からなる熱線遮断
性の被膜を形成することは公知であり、該被膜付きガラ
スは長年に亘り市場に供されている。前記金属類のアセ
チルアセトナート等の錯塩を採用することは一般的であ
り、熱分解法により基体への金属酸化物被膜形成用原料
として奨用されてきた。それら金属アセチルアセトナー
ト等の錯塩は比較的安定した化合物で貯蔵安定性に優
れ、適宜温度に加熱することにより瞬時に熱分解し、基
体に金属化合物被膜、空気雰囲気下においては金属酸化
物被膜を形成する格好の材料であった。
アセトナート等の錯塩をベースとし、クロムアセチルア
セトナート等の錯塩を加え、あるいは更に鉄アセチルア
セトナート、ニッケルアセチルアセトナート等の錯塩を
適宜添加調合し、これらを塩化メチレンその他の有機溶
媒に溶解して液調製し、該調製液を加熱ガラスにスプレ
ーすることにより、それら金属酸化物からなる熱線遮断
性の被膜を形成することは公知であり、該被膜付きガラ
スは長年に亘り市場に供されている。前記金属類のアセ
チルアセトナート等の錯塩を採用することは一般的であ
り、熱分解法により基体への金属酸化物被膜形成用原料
として奨用されてきた。それら金属アセチルアセトナー
ト等の錯塩は比較的安定した化合物で貯蔵安定性に優
れ、適宜温度に加熱することにより瞬時に熱分解し、基
体に金属化合物被膜、空気雰囲気下においては金属酸化
物被膜を形成する格好の材料であった。
【0014】ところが、本発明者らは酸化コバルト源と
してオクチル酸コバルトを採用し、特にオクチル酸コバ
ルトと、コバルト含有錯塩(例えばコバルトアセチルア
セトナート)を併存し、あるいは更に他の金属含有錯塩
とともに溶媒中に溶解した液は貯蔵安定性を劣化するこ
となく、また熱スプレーにおいて製造歩留まりや膜品質
を更に向上することを見出した。
してオクチル酸コバルトを採用し、特にオクチル酸コバ
ルトと、コバルト含有錯塩(例えばコバルトアセチルア
セトナート)を併存し、あるいは更に他の金属含有錯塩
とともに溶媒中に溶解した液は貯蔵安定性を劣化するこ
となく、また熱スプレーにおいて製造歩留まりや膜品質
を更に向上することを見出した。
【0015】なお、オクチル酸コバルトは樹脂の硬化触
媒や反応触媒として広く利用されており安価に入手で
き、従って被膜形成原料コストを安くできるという利点
がある。
媒や反応触媒として広く利用されており安価に入手で
き、従って被膜形成原料コストを安くできるという利点
がある。
【0016】前記の如く酸化コバルト源としてオクチル
酸塩のみを使用する場合であってもよいが、該オクチル
酸塩と、コバルトβ−ジケトナートまたはコバルトβ−
ケトエステルからなる錯塩とが併存するのが好ましく、
その比率は、CoO重量換算でオクチル酸塩:前記錯塩を9
9:1〜5:95の範囲とするのが望ましい。この範囲を
外れると充分に均一かつ耐摩耗性のある良好な被膜を得
るのが難しくなる傾向にある。更に好ましくはオクチル
酸塩:前記錯塩を95:5〜5:95の範囲とするのがよ
い。
酸塩のみを使用する場合であってもよいが、該オクチル
酸塩と、コバルトβ−ジケトナートまたはコバルトβ−
ケトエステルからなる錯塩とが併存するのが好ましく、
その比率は、CoO重量換算でオクチル酸塩:前記錯塩を9
9:1〜5:95の範囲とするのが望ましい。この範囲を
外れると充分に均一かつ耐摩耗性のある良好な被膜を得
るのが難しくなる傾向にある。更に好ましくはオクチル
酸塩:前記錯塩を95:5〜5:95の範囲とするのがよ
い。
【0017】溶媒としては先述したように、メタノー
ル、エタノール等のアルコール系溶媒、トルエン、キシ
レン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン等の塩素系有機溶
媒が採用できる。なお、アルコール系有機溶媒や芳香族
系有機溶媒は、スプレーに際して可燃性炭化水素を発生
し、発火し易いという不具合がある。
ル、エタノール等のアルコール系溶媒、トルエン、キシ
レン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン等の塩素系有機溶
媒が採用できる。なお、アルコール系有機溶媒や芳香族
系有機溶媒は、スプレーに際して可燃性炭化水素を発生
し、発火し易いという不具合がある。
【0018】これに対し、NaBr、CaBr2等の無機臭素化
合物、エチレンビス(テトラブロモフタル)イミド、エ
チレンビスペンタブロモジフェニル、オクタブロモジフ
ェニルオキサイド、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフ
ェニレンエーテル等の有機臭素化合物、珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム等の無機珪素化合物、メチルフェニル
シリコーンオイル、テトラメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン等の有機珪素化合物、Mg、Al等のリン酸
塩や亜リン酸塩等の無機リン酸塩、トリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェート等の有機リン酸塩、Na、K、Ca、Mg等の塩化物か
らなる無機塩素化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリ
エチレン、ヘキサクロロエンドメチレンテトラハイドロ
フタル酸等の有機塩素化合物などの各種発火抑制成分を
溶液中に添加することにより、発火・引火を抑えること
ができ、あるいは前記した塩素系有機溶媒であれば発火
・引火を抑えることができる。
合物、エチレンビス(テトラブロモフタル)イミド、エ
チレンビスペンタブロモジフェニル、オクタブロモジフ
ェニルオキサイド、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフ
ェニレンエーテル等の有機臭素化合物、珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム等の無機珪素化合物、メチルフェニル
シリコーンオイル、テトラメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン等の有機珪素化合物、Mg、Al等のリン酸
塩や亜リン酸塩等の無機リン酸塩、トリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェート等の有機リン酸塩、Na、K、Ca、Mg等の塩化物か
らなる無機塩素化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリ
エチレン、ヘキサクロロエンドメチレンテトラハイドロ
フタル酸等の有機塩素化合物などの各種発火抑制成分を
溶液中に添加することにより、発火・引火を抑えること
ができ、あるいは前記した塩素系有機溶媒であれば発火
・引火を抑えることができる。
【0019】前記の如くオクチル酸コバルトを含有させ
て調製した液は板ガラス製造ライン、特にフロートガラ
ス製造ラインにおけるフロートバス出口から徐冷窯上流
域における温度450℃〜650℃のガラスに好適に施すこと
ができる。なお、スプレー手段としては複数基のスプレ
ーガンをガラス板の幅方向にわたり往復動させる従来の
一般的な方法が採用できる。得られた被膜はガラス板の
幅端付近まで均質で膜厚も安定しており、従来法に比べ
て採板歩留まりを大幅に向上することができる。
て調製した液は板ガラス製造ライン、特にフロートガラ
ス製造ラインにおけるフロートバス出口から徐冷窯上流
域における温度450℃〜650℃のガラスに好適に施すこと
ができる。なお、スプレー手段としては複数基のスプレ
ーガンをガラス板の幅方向にわたり往復動させる従来の
一般的な方法が採用できる。得られた被膜はガラス板の
幅端付近まで均質で膜厚も安定しており、従来法に比べ
て採板歩留まりを大幅に向上することができる。
【0020】また、上記熱分解法により本発明に係る被
膜を製造する際には、予め被膜形成溶液中の金属酸化物
の含有量を使用装置に応じた最適範囲となるように実験
的に決定しておく必要がある。金属酸化物の最適範囲
は、噴霧時の基板温度、噴霧に用いるノズル、噴霧圧、
ガスの排気機構、成膜速度等各条件によって異なるが、
概して被膜形成溶液中の金属酸化物の総量が少なすぎる
と十分な成膜速度が得られず、一方、多すぎると良好な
膜厚分布が得られない。
膜を製造する際には、予め被膜形成溶液中の金属酸化物
の含有量を使用装置に応じた最適範囲となるように実験
的に決定しておく必要がある。金属酸化物の最適範囲
は、噴霧時の基板温度、噴霧に用いるノズル、噴霧圧、
ガスの排気機構、成膜速度等各条件によって異なるが、
概して被膜形成溶液中の金属酸化物の総量が少なすぎる
と十分な成膜速度が得られず、一方、多すぎると良好な
膜厚分布が得られない。
【0021】なお、本発明においては、上記金属酸化物
源からなる気体をキャリアーガスとともに基板に向け噴
射し、いわゆるCVD法により金属酸化物被膜、すなわ
ち熱線遮断性被膜を形成することもできる。この場合
も、加熱気化したオクチル酸コバルトを使用し、あるい
はこれに加熱気化したコバルトβ−ジケトナートまたは
コバルトβ−ケトエステルからなる錯塩を併用し、ある
いは更に加熱気化したクロム含有錯塩、鉄含有錯塩等を
付加導入し、窒素ガス等のキャリアーガスとともに、前
記同様のフロートガラス製造ラインにおける温度450℃
〜650℃のガラスに施すものであり、成膜歩留まりよ
く、耐摩耗性の熱線遮断性被膜を形成するものである。
源からなる気体をキャリアーガスとともに基板に向け噴
射し、いわゆるCVD法により金属酸化物被膜、すなわ
ち熱線遮断性被膜を形成することもできる。この場合
も、加熱気化したオクチル酸コバルトを使用し、あるい
はこれに加熱気化したコバルトβ−ジケトナートまたは
コバルトβ−ケトエステルからなる錯塩を併用し、ある
いは更に加熱気化したクロム含有錯塩、鉄含有錯塩等を
付加導入し、窒素ガス等のキャリアーガスとともに、前
記同様のフロートガラス製造ラインにおける温度450℃
〜650℃のガラスに施すものであり、成膜歩留まりよ
く、耐摩耗性の熱線遮断性被膜を形成するものである。
【0022】
【実施例】以下に、いわゆる熱スプレー法による実施例
により具体的に説明するが、本発明はこれに限定するも
のではない。
により具体的に説明するが、本発明はこれに限定するも
のではない。
【0023】〔実施例1〕酸化コバルト源としてオクチ
ル酸コバルト、酸化クロム源としてクロムアセチルアセ
トナート、酸化鉄源として鉄アセチルアセトナートを採
用し、それらを順に53:44:3の質量比(百分率)で混
合し、該混合原料をジクロロメタンを主とする溶媒に溶
解し、溶質濃度9.5%(質量%、以下においても同様で
ある)の溶液を作成した。該溶液を、フロート板ガラス
製造ラインにおける、スズ浴より引出された幅3500mm、
厚み4mmのソーダ石灰系ガラス(基板温度550℃)の上
に、スプレーガンのレシプロ速度2m/s、スプレー量
3500g/min、スプレー圧10MPaの条件で吹き付けた。そ
の結果、膜厚約55nm、可視光透過率33%で可視域から赤
外域にかけて光透過率を低減し、膜ムラ欠陥のない高品
質な熱線遮断・プライバシー性ガラスが得られ、採り幅
が板幅方向において20%以上拡大(対比較例比)した。
このガラスについて、外観観察により板幅中央部と両側
部近傍における膜ムラを観察し、極めて良好(◎)、良
好(○)、やや劣る(△)、不可(×)の4段階で評価
した。またJIS R 3221に規定する所定条件での耐摩耗性
試験に従って耐摩耗性(テーバー試験前後における可視
光透過率の変動値:膜が摩滅すると可視光透過率は上昇
する)を求めた。この結果を表1に示す。
ル酸コバルト、酸化クロム源としてクロムアセチルアセ
トナート、酸化鉄源として鉄アセチルアセトナートを採
用し、それらを順に53:44:3の質量比(百分率)で混
合し、該混合原料をジクロロメタンを主とする溶媒に溶
解し、溶質濃度9.5%(質量%、以下においても同様で
ある)の溶液を作成した。該溶液を、フロート板ガラス
製造ラインにおける、スズ浴より引出された幅3500mm、
厚み4mmのソーダ石灰系ガラス(基板温度550℃)の上
に、スプレーガンのレシプロ速度2m/s、スプレー量
3500g/min、スプレー圧10MPaの条件で吹き付けた。そ
の結果、膜厚約55nm、可視光透過率33%で可視域から赤
外域にかけて光透過率を低減し、膜ムラ欠陥のない高品
質な熱線遮断・プライバシー性ガラスが得られ、採り幅
が板幅方向において20%以上拡大(対比較例比)した。
このガラスについて、外観観察により板幅中央部と両側
部近傍における膜ムラを観察し、極めて良好(◎)、良
好(○)、やや劣る(△)、不可(×)の4段階で評価
した。またJIS R 3221に規定する所定条件での耐摩耗性
試験に従って耐摩耗性(テーバー試験前後における可視
光透過率の変動値:膜が摩滅すると可視光透過率は上昇
する)を求めた。この結果を表1に示す。
【0024】〔実施例2〕酸化コバルト源としてオクチ
ル酸コバルトおよびコバルトアセチルアセトナート、酸
化クロム源としてクロムアセチルアセトナート、酸化鉄
源として鉄アセチルアセトナートを採用し、それらを順
に25:30:42:3の質量比(百分率)で混合し、該混合
原料をジクロロメタンを主とする溶媒に溶解し、溶質濃
度9.5%の溶液を作成した。該溶液を実施例1同様のソ
ーダ石灰系ガラス上にスプレーガンのレシプロ速度2m
/s、スプレー量3500g/min、スプレー圧10MPaの条件
で吹き付けた。その結果、膜厚約55nm、可視光透過率33
%の膜ムラ欠陥のない高品質な熱線遮断・プライバシー
性ガラスが得られ、採り幅が板幅方向において30%以上
(対比較例比)拡大した。このガラスを実施例1と同様
に評価、測定した。結果を表1に示す。
ル酸コバルトおよびコバルトアセチルアセトナート、酸
化クロム源としてクロムアセチルアセトナート、酸化鉄
源として鉄アセチルアセトナートを採用し、それらを順
に25:30:42:3の質量比(百分率)で混合し、該混合
原料をジクロロメタンを主とする溶媒に溶解し、溶質濃
度9.5%の溶液を作成した。該溶液を実施例1同様のソ
ーダ石灰系ガラス上にスプレーガンのレシプロ速度2m
/s、スプレー量3500g/min、スプレー圧10MPaの条件
で吹き付けた。その結果、膜厚約55nm、可視光透過率33
%の膜ムラ欠陥のない高品質な熱線遮断・プライバシー
性ガラスが得られ、採り幅が板幅方向において30%以上
(対比較例比)拡大した。このガラスを実施例1と同様
に評価、測定した。結果を表1に示す。
【0025】〔比較例1〕酸化コバルト源としてコバル
トアセチルアセトナート、酸化クロム源としてクロムア
セチルアセトナート、酸化鉄源として鉄アセチルアセト
ナートを採用し、それらを順に57:40:3の質量比(百
分率)で混合し、該混合原料をジクロロメタンを主とす
る溶媒に溶解し、溶質濃度9.5%の溶液を作成した。該
溶液を実施例1同様のソーダ石灰系ガラス上にスプレー
ガンのレシプロ速度2m/s、スプレー量3500g/mi
n、スプレー圧10MPaの条件で吹き付け、膜厚約55nm、可
視光透過率33%の熱線遮断・プライバシー性ガラスを得
た。このケースの場合実施例に比較し膜ムラ欠陥の多い
ガラスが得られ、採り幅も狭い。このガラスを実施例1
と同様に評価、測定した。結果を表1に示す。
トアセチルアセトナート、酸化クロム源としてクロムア
セチルアセトナート、酸化鉄源として鉄アセチルアセト
ナートを採用し、それらを順に57:40:3の質量比(百
分率)で混合し、該混合原料をジクロロメタンを主とす
る溶媒に溶解し、溶質濃度9.5%の溶液を作成した。該
溶液を実施例1同様のソーダ石灰系ガラス上にスプレー
ガンのレシプロ速度2m/s、スプレー量3500g/mi
n、スプレー圧10MPaの条件で吹き付け、膜厚約55nm、可
視光透過率33%の熱線遮断・プライバシー性ガラスを得
た。このケースの場合実施例に比較し膜ムラ欠陥の多い
ガラスが得られ、採り幅も狭い。このガラスを実施例1
と同様に評価、測定した。結果を表1に示す。
【0026】表から明らかなとおり、本実施例範囲にお
いて、膜ムラ欠陥がなく、耐摩耗性に優れた高品質な熱
線遮断・プライバシー性ガラスが得られる。また、その
歩留まりも増大し、原料コストも低減できる。
いて、膜ムラ欠陥がなく、耐摩耗性に優れた高品質な熱
線遮断・プライバシー性ガラスが得られる。また、その
歩留まりも増大し、原料コストも低減できる。
【0027】 〔表1〕 ──────────────────────────────────── 試料 酸化コハ゛ルト源 被膜の外観品質 テーハ゛ー試験前後の 可視光透過率の差 中央部 側部近傍 ──────────────────────────────────── 実施例1 オクチル酸コハ゛ルト ◎ ○ 2.6% ──────────────────────────────────── 実施例2 オクチル酸コハ゛ルト ◎ ◎ 2.4% コハ゛ルトアセチルアセトナート ──────────────────────────────────── 比較例1 コハ゛ルトアセチルアセトナート △ △ 4.2% ────────────────────────────────────
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、膜ムラ欠陥がなく、耐
摩耗性に優れた高品質な熱線遮断ガラスが得られ、その
歩留まりも増大し、また原料コストを低減できるという
効果を奏する。
摩耗性に優れた高品質な熱線遮断ガラスが得られ、その
歩留まりも増大し、また原料コストを低減できるという
効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畠中 要 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 神立 孝良 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 井上 元春 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社生産技術研究所内 Fターム(参考) 4F100 AA17B AG00A AR00A BA02 GB07 GB32 GB41 JD10 JN01A 4G059 AA01 AC06 EA01 EB02 EB06
Claims (3)
- 【請求項1】 透明基体に金属酸化物源として少なくと
も酸化コバルト源を含む流体を接触させ、その熱分解に
より熱線遮断性金属酸化物被膜を形成する方法であっ
て、酸化コバルト源としてオクチル酸コバルトが含まれ
ることを特徴とする熱線遮断性被膜の形成法。 - 【請求項2】 酸化コバルト源としてコバルトβ−ジケ
トナートまたはコバルトβ−ケトエステルからなる錯塩
を併用し、CoO重量換算でオクチル酸塩:前記錯塩の比
が99:1〜5:95の範囲であることを特徴とする請求項
1記載の熱線遮断性被膜の形成法。 - 【請求項3】 流体に金属酸化物源として少なくとも酸
化クロム源が含まれることを特徴とする請求項1記載の
熱線遮断性被膜の形成法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000023716A JP2001220178A (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | 熱線遮断性被膜の形成法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000023716A JP2001220178A (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | 熱線遮断性被膜の形成法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001220178A true JP2001220178A (ja) | 2001-08-14 |
Family
ID=18549838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000023716A Pending JP2001220178A (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | 熱線遮断性被膜の形成法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001220178A (ja) |
-
2000
- 2000-02-01 JP JP2000023716A patent/JP2001220178A/ja active Pending
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