JP2001219722A - リヤサスペンション - Google Patents

リヤサスペンション

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JP2001219722A
JP2001219722A JP2000031988A JP2000031988A JP2001219722A JP 2001219722 A JP2001219722 A JP 2001219722A JP 2000031988 A JP2000031988 A JP 2000031988A JP 2000031988 A JP2000031988 A JP 2000031988A JP 2001219722 A JP2001219722 A JP 2001219722A
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JP
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vehicle
axle housing
bush
liquid
center
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JP2000031988A
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Akimitsu Watanabe
章光 渡辺
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Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両の乗り心地を極力悪化させないようにしつ
つ、車両が旋回するときにオーバステア気味のロールス
テアを生じさせないようにする。 【解決手段】アッパアーム2およびロアアーム3の前後
両端部をアクスルハウジング1および車体5に対してそ
れぞれ連結する複数の連結部6A,6B,7A,7Bを
有している、リヤサスペンションであって、上記複数の
連結部の少なくとも1つは、一定周波数帯域の振動を受
けたときに車両前後方向のバネ定数がそれ以外のときよ
りも小さくなる液体封入式ブッシュ8を用いた構造とさ
れている。好ましくは、アッパアーム2およびロアアー
ム3のそれぞれの後端部をアクスルハウジング1に連結
する2つの連結部6B,7Bのうち、アクスルハウジン
グ1の中心O2から遠く離れている側の一方の連結部6
Bが、液体封入式ブッシュ8を用いた構造とされてお
り、かつ他方の連結部7Bはゴムブッシュ31bを用い
た構造とされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、リンク式のリヤ
サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リンク式のリヤサスペンションの
一例としては、特開平8−230428号公報に記載の
ものがある。同公報に記載のリヤサスペンションは、本
願の図6に示すように、車幅方向(紙面と直交する方
向)に延びるアクスルハウジング90の長手方向両端部
には、車両前後方向に延びるアッパアーム91(アッパ
コントロールアーム)およびロアアーム92(ロアコン
トロールアーム)の各後端部が一対のブラケット93
a,93bを介して連結された構造を有している。これ
らアッパアーム91およびロアアーム92の各前端部
は、図示されていない車体に連結されている。アッパア
ーム91およびロアアーム92の各前後端部を車体やア
クスルハウジング90に連結する手段としては、ゴムブ
ッシュ95a〜95dが用いられている。これらのう
ち、アッパアーム91とアクスルハウジング90とを連
結するゴムブッシュ95cとしては、車両前後方向に並
ぶ一対のスグリ穴96aをゴム96に設けたものが用い
られている。このゴムブッシュ95cは、車両高さ方向
よりも車両前後方向の方がバネ定数が小さいものとなっ
ている。
【0003】上記構成のリヤサスペンションにおいて
は、アクスルハウジング90が上記公報に記載されてい
るようないわゆるワインドアップ現象などに起因してそ
の中心軸周りに回転振動するときには、ゴムブッシュ9
5cのゴム96を車両前後方向に応答性よく弾性変形さ
せることができる。したがって、上記振動が車体に伝達
することを抑制することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のリヤサスペンションにおいては、車両が旋回してロ
ールしたときに、車両の操安性が悪化する場合があっ
た。この原理は、本願発明の内容を理解する上でも重要
であり、以下に説明する。
【0005】すなわち、車両が旋回してロールすると、
外輪側の後輪が車体に相対してバウンド(上昇)すると
ともに、内輪側の後輪が車体に相対してリバウンド(下
降)する。その際、アクスルハウジング90には捩じり
力が発生するが、アクスルハウジング90は容易には捩
じり変形を生じない強度に製作されているのが通例であ
るため、たとえば2つのゴムブッシュ95c,95dの
ゴムが、上記捩じり力によって弾性変形することとな
る。より具体的には、後輪がバウンドするときには、図
7の実線に示すように、2つのアーム91,92がゴム
ブッシュ95a,95bの中心軸周りに回転する。この
ため、アクスルハウジング90の長手方向端部は、その
姿勢が若干傾くようにして上昇する。この場合、アクス
ルハウジング90には、このアクスルハウジング90を
同図仮想線に示すようなバウンド前の元の姿勢に戻そう
とする方向の捩じり力が作用する。このため、2つのゴ
ムブッシュ95c,95dのゴムが変形し、それらの中
心が矢印Na,Nbに示す車両後方または車両前方に変
位する。ところが、従来のリヤサスペンションにおいて
は、ゴムブッシュ95cのゴムが車両前後方向に弾性変
形し易くされているために、ゴムブッシュ95cの矢印
Na方向への後退量の方が、ゴムブッシュ95dの矢印
Nb方向への前進量よりも大きくなる。その結果、アク
スルハウジング90は、その中心Pよりも下方の所定の
回転中心Oaを中心として矢印Nc方向に回転するのと
同様となり、車両後方に変位する。
【0006】一方、従来において、後輪がリバウンドす
るときには、上記したのと同様な原理により、アクスル
ハウジング90の長手方向端部は、上記とは反対に車両
前方に変位する。したがって、従来においては、車両が
旋回してロールしたときには、バウンドする外輪が車両
後方に変位するとともに、リバウンドする内輪が車両前
方に変位することとなる。このような後輪の変位は、オ
ーバステア特性のロールステアに相当するものであり、
車両の操安性を良好にする上で好ましいものではない。
【0007】なお、上記したロールステアを防止するに
は、ゴムブッシュ95cの車両前後方向のバネ定数を大
きくすればよい。ところが、このようにすると、アクス
ルハウジング90の回転振動が車体に伝達され、車両の
乗り心地が悪化するという問題点が生じる。
【0008】本願発明は、このような事情のもとで考え
出されたものであって、車両の乗り心地を極力悪化させ
ないようにしつつ、車両が旋回するときにオーバステア
気味のロールステアを生じないようにすることができる
リヤサスペンションを提供することをその課題としてい
る。
【0009】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0010】本願発明によって提供されるリヤサスペン
ションは、車幅方向に延びるアクスルハウジングと、車
両前後方向に延びる一対ずつのアッパアームおよびロア
アームと、これら各アッパアームおよび各ロアアームの
前後両端部を車体および上記アクスルハウジングに対し
てそれぞれ連結する複数の連結部と、を有している、リ
ヤサスペンションであって、上記複数の連結部の少なく
とも1つは、一定周波数帯域の振動を受けたときに車両
前後方向のバネ定数がそれ以外のときよりも小さくなる
液体封入式ブッシュを用いた構造とされていることを特
徴としている。
【0011】本願発明においては、次のような効果が得
られる。
【0012】第1に、上記液体封入式ブッシュは、一定
周波数帯域の振動を受けていない通常時においては、車
両前後方向のバネ定数が大きいものにできる。したがっ
て、本願発明では、液体封入式ブッシュの車両前後方向
のバネ定数が大きい通常時において車両が旋回する場合
には、従来とは異なり、ブッシュの車両前後方向のバネ
定数が小さいことに起因してオーバステア気味のロール
ステアを生じるようなことがなくなり、車両の操安性を
良好にすることができる。
【0013】第2に、上記液体封入式ブッシュは、たと
えば上記アクスルハウジングに回転振動が生じ、かつそ
の回転振動が激しくなるなどしてその振動が一定の周波
数帯域になったときには、車両前後方向のバネ定数が小
さくなるために、上記振動に対する減衰力を発揮するこ
ととなる。したがって、本願発明においては、アクスル
ハウジングの全ての周波数帯域の振動に対処することは
困難であるとしても、乗員が不快と感じる一定周波数帯
域の振動が車体に伝達されることについては適切に抑制
することができ、車両の乗り心地を良好にすることが可
能となる。
【0014】本願発明の好ましい実施の形態において
は、上記各アッパアームおよび上記各ロアアームの少な
くとも一方の後端部を上記アクスルハウジングに連結す
る連結部が、上記液体封入式ブッシュを用いた構造とさ
れている。
【0015】このような構成によれば、起振源としての
上記アクスルハウジングに上記液体封入式ブッシュを接
近させることができるために、優れた防振効果が得られ
ることとなる。また、アクスルハウジングに伴ってアッ
パアームやロアアームが振動することも防止することが
可能となる。
【0016】本願発明の他の好ましい実施の形態におい
ては、上記各アッパアームおよび上記各ロアアームのそ
れぞれの後端部を上記アクスルハウジングに連結する2
つの連結部のうち、上記アクスルハウジングの中心から
遠く離れている側の一方の連結部が、上記液体封入式ブ
ッシュを用いた構造とされており、かつ他方の連結部は
ゴムブッシュを用いた構造とされている。
【0017】このような構成によれば、上記一方の連結
部は、上記他方の連結部よりも上記アクスルハウジング
の中心から遠く離れている分だけ、上記他方の連結部と
比較すると、上記アクスルハウジングが回転振動すると
きに受ける振動の振幅が大きく、かつその力が小さいも
のとなる。したがって、上記振動を上記液体封入式ブッ
シュによって抑制するのに好ましいものになるととも
に、上記液体封入式ブッシュの荷重負担を少なくしてそ
の耐久寿命を長くするのにも好ましいものとなる。上記
他方の連結部については、ゴムブッシュを用いた構造と
していることにより、この連結部についての部品コスト
を廉価にし、かつ耐久性を良好にすることが可能であ
る。
【0018】本願発明のその他の特徴および利点につい
ては、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明
らかになるであろう。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0020】図1および図2は、本願発明に係るリヤサ
スペンションの一例を示している。図1以降の図におい
て、矢印Frは車両前方を示し、矢印wは車幅方向を示
し、矢印Upは車両高さ方向の上方を示している。
【0021】図1に示すように、本実施形態のリヤサス
ペンションAは、リンク式のサスペンションであり、ア
クスルハウジング1、左右一対のアッパアーム2、およ
び左右一対のロアアーム3を具備して構成されている。
アクスルハウジング1は、車幅方向に延びており、その
内部には左右一対の後輪Wを駆動回転させるための車軸
(図2の符号10で示す)や、この車軸に駆動力を伝達
するためのディファレンシャルギヤ(図示略)が組み込
まれている。アクスルハウジング1の両端部には、一対
のサススプリング11や一対のショックアブソーバ12
が取り付けられている。
【0022】各アッパアーム2は、車両前後方向に延び
ており、図2に示すように、2つの連結部6A,6Bを
介して車体5とアクスルハウジング1とに連結されてい
る。連結部6Aは、アッパアーム2の前端部に具備され
ているゴムブッシュ21aを、車体5に固定して取り付
けられている車体ブラケット50に取り付けた部分であ
る。ゴムブッシュ21aは、一般のゴムブッシュと同様
に、金属製の外筒と内筒との間に弾性部材としてのゴム
を介在させたものであり、上記内筒の中心穴にボルトな
どの軸体が挿通されることによりその中心軸周りに回転
可能に取り付けられるものである。このようなゴムブッ
シュの構造、およびゴムブッシュがその中心軸周りに回
転可能とされる点については、後述する他のゴムブッシ
ュ31a,31bについても同様である。連結部6B
は、アッパアーム2の後端部に具備されている液体封入
式ブッシュ8を、アクスルハウジング1の長手方向端部
に上向き状に固定して取り付けられているアッパブラケ
ット13aに回転可能に取り付けた部分である。
【0023】図3および図4は、液体封入式ブッシュ8
を示している。液体封入式ブッシュ自体は、従来より既
知であり、たとえばエンジンマウントに利用されている
が、本実施形態の液体封入式ブッシュ8の基本的な構造
はそれと同様である。すなわち、液体封入式ブッシュ8
は、それぞれが金属製の内筒80と外筒81との間にゴ
ム82を介在させているとともに、ゴム82と外筒81
との間には、不凍液などの液体が封入された一対の液室
83が形成された構造を有している。図3によく表れて
いるように、一対の液室83は、内筒80の中心を挟ん
で互いに対向するように設けられており、ゴム82の先
端に止着された金属板部84と外筒81との間に形成さ
れたオリフィス85を介して互いに連通している。
【0024】この液体封入式ブッシュ8は、内筒80ま
たは外筒81が一対の液室83が対向する方向(図3の
矢印N1方向)の力を受けたときには、一対の液室83
の一方から他方に向けて液体が流れ、その際の抵抗によ
り減衰力を発揮するようになっている。ただし、液体封
入式ブッシュ8は、上記した液体の流れに一定の時間を
要し、内筒80と外筒81との相対移動動作についても
一定の時間をかけてなされるために、液体封入式ブッシ
ュ8に振動が作用する場合において、この振動の周波数
が一定の周波数帯域(たとえば100Hz前後の一定帯
域)になるとそのバネ定数が小さくなり、それ以外の周
波数のときにはバネ定数が大きくなる特性を有してい
る。液体封入式ブッシュ8の上記矢印N1と交差する方
向のバネ定数については一定である。図2によく表れて
いるように、液体封入式ブッシュ8は、一対の液室83
が車両前後方向に対向する姿勢に設定されている。した
がって、この液体封入式ブッシュ8は、車両前後方向の
バネ定数が可変となっている。
【0025】各ロアアーム3は、各アッパアーム2と同
様に車両前後方向に延びている。ただし、各ロアアーム
3は、各アッパアーム2よりも長い寸法とされており、
かつ各アッパアーム2よりも低い位置に設けられてい
る。各ロアアーム3は、2つの連結部7A,7Bを介し
て車体5とアクスルハウジング1とに連結されている。
連結部7Aは、ロアアーム3の前端部に具備されている
ゴムブッシュ31aを車体ブラケット50に連結させた
部分である。連結部7Bは、ロアアーム3の後端部に具
備されているゴムブッシュ31bを、アクスルハウジン
グ1の長手方向端部に略水平方向に突出させて固定して
取り付けられているロアブラケット13bに連結させた
部分である。この連結部7Bは、アクスルハウジング1
の前方に配置されている。このようにすれば、車両の最
低地上高さを高くするのに有利となる。ただし、本願発
明はこれに限定されず、連結部7Bをアクスルハウジン
グ1の下方に配置させた構造にしてもかまわない。連結
部7Bの中心高さは、アクスルハウジング1の中心O2
よりも低くされている。また、アクスルハウジング1の
中心O2から連結部6Bの中心までの距離S1は、上記
中心O2から連結部7Bの中心までの距離S2よりも長
くされている。
【0026】各アッパアーム2は、車両が所定の標準車
重とされ、かつ後輪Wがバウンドおよびリバウンドを生
じていない標準状態においては、連結部6Bの中心が連
結部6Aの中心よりも高い後ろ上りの傾斜姿勢となるよ
うに設けられている。これに対し、各ロアアーム3は、
上記した標準状態において、2つの連結部7A,7Bの
各中心が互いに同一高さである水平姿勢、あるいは連結
部7Aの中心よりも連結部7Bの中心の方が高い後ろ上
りの傾斜姿勢となるように設けられている。上記した
「標準車重」は、車両の乗車定員数や最大積載重量など
を考慮して、自動車メーカーが種々に設定することが可
能である。
【0027】次に、上記構成のリヤサスペンションAの
作用について説明する。
【0028】まず、車両が旋回してロールし、外輪側の
後輪Wがバウンドするときには、図5に示すように、ア
ッパアーム2およびロアアーム3がゴムブッシュ21
a,31aの中心軸周りに回転し、アクスルハウジング
1の外輪側の長手方向一端部はその姿勢が若干変更され
るようにして上昇する。一方、内輪側の後輪Wはリバウ
ンドするために、従来技術において説明したのと同様な
原理により、アクスルハウジング1には捩じり力が発生
し、この捩じり力を受けた液体封入式ブッシュ8の中心
は矢印N2の車両後方に向けて変位することとなる。ま
た、ゴムブッシュ31bの中心は、上記捩じり力の作用
により矢印N3で示す車両前方に変位することとなる。
【0029】一方、液体封入式ブッシュ8は、既述した
とおり、高い周波数の一定周波数帯域の振動を受けてい
ないときには車両前後方向のバネ定数が大きい値である
から、そのような高い周波数域の振動がアクスルハウジ
ング1に発生していない限りは、液体封入式ブッシュ8
の矢印N2方向への変位量を少なくすることが可能とな
る。したがって、液体封入式ブッシュ8およびゴムブッ
シュ31bの各中心が上記矢印N2,N3方向に変位す
るときのアクスルハウジング1の回転中心O3をアクス
ルハウジング1の中心O2よりも上方に配置させること
が可能となり、アクスルハウジング1の中心O2を矢印
N4に示す車両前方寄りに変位させることができる。
【0030】車両が旋回するときにリバウンドする内輪
側については、上記したバウンド側の作用と同様な作用
により、アクスルハウジング1の中心を上記とは反対に
車両後方寄りに変位させることができる。したがって、
このリヤサスペンションAにおいては、車両が旋回して
ロールしたときには、バウンドする外輪が車両前方に変
位するとともに、リバウンドする内輪が車両後方に変位
することとなって、ロールステアの特性をアンダステア
気味に修正することができ、車両の操安性を良好にする
ことが可能となる。
【0031】また、このリヤサスペンションAにおい
て、後輪Wがバウンドまたはリバウンドするときには、
後輪Wの回転中心が、図2に示すように、連結部6A,
6Bの各中心どうしを結んだ中心軸線L1と、連結部7
A,7Bの各中心どうしを結んだ中心軸線L2との交点
O1となる。ここで、上記した標準状態において、中心
軸線L1が後ろ上り傾斜しているのに対して、中心軸線
L2は水平な軸線または後ろ上りに傾斜した軸線である
ため、交点O1の高さはアクスルハウジング1および後
輪Wの中心O2よりも低くなる。このように、上記標準
状態において後輪Wの回転中心O1を後輪Wの中心O2
よりも低くすれば、後輪Wがバウンドするときにはその
中心が車両前方に変位する一方、後輪Wがリバウンドす
るときにはその中心が車両後方に変位することとなる。
したがって、このリヤサスペンションAにおいては、車
両が旋回してロールするときに、アンダステア特性のロ
ールステアを積極的に生じさせることができ、図5を参
照して先に説明したアクスルハウジング1の捩じり力に
起因するロールステアの修正作用との相乗的な効果によ
り、車両の操安性を一層良好にすることが可能となる。
【0032】次いで、上記とは異なり、通常走行時にお
いて、いわゆるワインドアップ現象などに起因してアク
スルハウジング1がその中心軸周りに回転振動し、この
回転振動が激しくなって一定周波数帯域の周波数になっ
たときには、液体封入式ブッシュ8の車両前後方向のバ
ネ定数が小さくなる。したがって、アクスルハウジング
1の回転振動に対しては液体封入式ブッシュ8によって
減衰力を発揮させることができ、乗員にとって不快な特
定周波数域の振動が車体5に伝達されることを抑制する
ことが可能となる。
【0033】アクスルハウジング1の回転振動の力は、
液体封入式ブッシュ8に加えて、ゴムブッシュ31bに
よっても受けられるが、液体封入式ブッシュ8の方がゴ
ムブッシュ31bよりもアクスルハウジング1から遠い
距離にあるために、液体封入式ブッシュ8の方がゴムブ
ッシュ31bよりも大きい振幅を受ける。したがって、
液体封入式ブッシュ8によって上記振動を効果的に減衰
させることができる。また、上記振動の力が液体封入式
ブッシュ8およびゴムブッシュ31bに作用する場合に
は、液体封入式ブッシュ8の方がアクスルハウジング1
から離れている分だけ、ゴムブッシュ31bよりも小さ
な力を受けるようにすることができる。したがって、液
体封入式ブッシュ8の荷重負担を少なくし、その耐久寿
命を長くすることも可能となる。
【0034】本願発明に係るリヤサスペンションの各部
の具体的な構成は、上記実施形態の内容に限定されず、
種々に設計変更自在である。
【0035】上記実施形態においては、アッパアーム2
とアクスルハウジング1との連結部6Bに液体封入式ブ
ッシュ8を用いた構造としたが、本願発明はこれに限定
されない。本願発明においては、連結部6Bに代えて、
連結部7B、あるいは連結部6A,7Aのいずれかを液
体封入式ブッシュを用いた構造にしてもかまわない。連
結部6A,7Aのいずれかを液体封入式ブッシュを用い
た構造にした場合には、アクスルハウジング1に伴って
アッパアーム2やロアアーム3が振動するものの、この
場合であっても上記振動が車体5に伝達することを液体
封入式ブッシュの作用によって抑制することが可能であ
り、本願発明の目的を達成することが可能である。ただ
し、アッパアーム2やロアアーム3を振動させないよう
にして、起振源であるアクスルハウジングに近い箇所で
振動を有効に抑制するためには、連結部6B,7Bのい
ずれかに液体封入式ブッシュを設けることが好ましい。
本願発明においては、4つの連結部6A,6B,7A,
7Bのいずれか1箇所のみならず、2箇所あるいはそれ
以上の箇所の連結部が液体封入式ブッシュを用いた構造
にされていてもかまわない。ただし、部品コストを低減
する観点からすれば、1つの連結部のみを液体封入式ブ
ッシュを用いて構成するとともに、他の連結部を安価な
ゴムブッシュを用いて構成することが好ましい。
【0036】液体封入式ブッシュとしては、振動の周波
数が一定周波数になったときに車両前後方向のバネ定数
が急激に小さくなるものでなくてもかまわず、たとえば
振動の周波数が高くなるに連れて上記バネ定数が徐々に
低くなるものであってもかまわない。要は、一定周波数
帯域の車両前後方向のバネ定数が、それ以外のときのバ
ネ定数よりも小さくなるものであればよい。また、本願
発明でいう一定周波数帯域の具体的な値は、車両の特性
をなど考慮して、自動車メーカーが任意に選択できる事
項である。
【0037】上記実施形態においては、アンダステア特
性のロールステアを積極的に生じさせる手段として、ア
ッパアームを後ろ上りの傾斜状とするとともに、ロアア
ームを水平または後ろ上りの傾斜状にしたが、やはり本
願発明はこれに限定されない。アッパアームやロアアー
ムの取り付け角度などはとくに限定されるものではな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るリヤサスペンションの一例を示
す概略斜視図である。
【図2】図1に示すリヤサスペンションの要部側面図で
ある。
【図3】図1および図2のリヤサスペンションに用いら
れている液体封入式ブッシュを示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】図1および図2に示すリヤサスペンションがバ
ウンドするときの状態を示す作用説明図である。
【図6】従来技術を示す要部側面図である。
【図7】従来技術において後輪がバウンドするときの状
態を示す作用説明図である。
【符号の説明】
A リヤサスペンション 1 アクスルハウジング 2 アッパアーム 3 ロアアーム 5 車体 6A 連結部(アッパアームと車体との連結部) 6B 連結部(アッパアームとアクスルハウジングとの
連結部) 7A 連結部(ロアアームと車体との連結部) 7B 連結部(ロアアームとアクスルハウジングとの連
結部) 8 液体封入式ブッシュ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車幅方向に延びるアクスルハウジング
    と、車両前後方向に延びる一対ずつのアッパアームおよ
    びロアアームと、これら各アッパアームおよび各ロアア
    ームの前後両端部を車体および上記アクスルハウジング
    に対してそれぞれ連結する複数の連結部と、を有してい
    る、リヤサスペンションであって、 上記複数の連結部の少なくとも1つは、一定周波数帯域
    の振動を受けたときに車両前後方向のバネ定数がそれ以
    外のときよりも小さくなる液体封入式ブッシュを用いた
    構造とされていることを特徴とする、リヤサスペンショ
    ン。
  2. 【請求項2】 上記各アッパアームおよび上記各ロアア
    ームの少なくとも一方の後端部を上記アクスルハウジン
    グに連結する連結部が、上記液体封入式ブッシュを用い
    た構造とされている、請求項1に記載のリヤサスペンシ
    ョン。
  3. 【請求項3】 上記各アッパアームおよび上記各ロアア
    ームのそれぞれの後端部を上記アクスルハウジングに連
    結する2つの連結部のうち、上記アクスルハウジングの
    中心から遠く離れている側の一方の連結部が、上記液体
    封入式ブッシュを用いた構造とされており、かつ他方の
    連結部はゴムブッシュを用いた構造とされている、請求
    項2に記載のリヤサスペンション。
JP2000031988A 2000-02-09 2000-02-09 リヤサスペンション Pending JP2001219722A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20040025049A (ko) * 2002-09-18 2004-03-24 현대자동차주식회사 리어 서스펜션의 부쉬마운팅 어댑터-댐퍼
JP2022007073A (ja) * 2020-06-25 2022-01-13 株式会社クボタ 作業車

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