JP2001217474A - 可撓性圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

可撓性圧電素子およびその製造方法

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JP2001217474A
JP2001217474A JP2000021623A JP2000021623A JP2001217474A JP 2001217474 A JP2001217474 A JP 2001217474A JP 2000021623 A JP2000021623 A JP 2000021623A JP 2000021623 A JP2000021623 A JP 2000021623A JP 2001217474 A JP2001217474 A JP 2001217474A
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Takeshi Nagai
彪 長井
Yu Fukuda
祐 福田
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
Yuko Fujii
優子 藤井
Tadashi Nakatani
直史 中谷
Hiroyuki Ogino
弘之 荻野
Koji Yoshino
浩二 吉野
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な製造工程を必要とし、また、大きな面
積の圧電素子の製造が困難であるという課題があった。 【解決手段】 複数の平板状圧電セラミック1と複数の
平板状導電体4を高分子母材2中に配列した複合圧電体
シート5と、前記複合圧電体シート5の両面に配置され
た電極3a、3bを備え、前記平板状圧電セラミック1
の一方の表面が前記両電極3a、3bの一方の電極に接
続され、前記平板状圧電セラミック1の他の表面が前記
平板状導電体4の一方の表面に接続され、かつ、前記平
板状導電体4の他の表面が前記両電極3a、3bの他の
電極に接続されたものであり、プレス法などの簡単な製
造方法により圧電素子を製造でき、また、同素子の大面
積化も容易であるという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は可撓性圧電素子とそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の圧電素子は以下のような
ものであった。特開平7−327297号公報(以下、
従来例1とする)では、図4に示す可撓性圧電素子を用
いた圧電スピーカが提案されている。複数の平板状圧電
セラミック1が高分子母材2の中に配列された複合圧電
体シートの両面に電極3aと3bを配置して圧電素子が
形成される。この複合圧電体シートは平板状圧電セラミ
ックの有する圧電体特性と高分子母材の有する弾性特性
を併せ持つので、スピーカ用振動子として好適であると
開示されている。
【0003】また、特開平8−223694号公報(以
下、従来例2とする)でも、図4と類似の圧電素子が開
示されている。この圧電素子は高分子母材として硬質性
高分子と軟質性高分子の積層体を用いて、剛性を高める
と共に圧電特性も高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
1の圧電素子では、複雑な製造工程を必要とするという
課題を有していた。すなわち、分極処理された圧電セラ
ミック板を準備し、その一方の表面に格子状に所定の幅
の溝を形成した後、その溝部に未硬化の高分子母材充
填、これを固化する。この後、圧電セラミック板の他の
表面を格子面が現れるまで研磨する。その後、真空蒸着
法などによりアルミニウム膜などの電極膜を両面に形成
して圧電素子が完成する。このように、溝加工、高分子
母材の充填・硬化、研磨加工、更には真空蒸着などの多
くの工程と複雑な手順を必要としていた。
【0005】また、圧電セラミック板の面積を大きくす
る(例えば、B4サイズ)ことは困難であるので、従来
の圧電素子は大きな面積を必要とする応用(例えば、足
踏みマットなどへの適用)に不向きであるという課題も
あった。
【0006】また、従来例2には製造工程が記載されて
いないが、この圧電素子は高分子母材として硬質性高分
子と軟質性高分子の積層体を用いているので、従来例1
と同様に複雑な製造工程を必要とすると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、複数の平板状圧電セラミックと複数の平
板状導電体を高分子母材中に配列した複合圧電体シート
と、前記複合圧電体シートの両面に配置された電極を備
え、前記平板状圧電セラミックの一方の表面が前記両電
極の一方の電極に接続され、前記平板状圧電セラミック
の他の表面が前記平板状導電体の一方の表面に接続さ
れ、かつ、前記平板状導電体の他の表面が前記両電極の
他の電極に接続されたされた可撓性圧電素子である。
【0008】上記発明によれば、複合圧電体シートは複
数の平板状圧電セラミックと複数の平板状導電体を高分
子母材中に配列した構成であるので、プレス法などの簡
単な製造方法により圧電素子を製造できる。また、同素
子の大面積化も容易である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1にかかる可撓性
圧電素子は、複数の平板状圧電セラミックと複数の平板
状導電体を高分子母材中に配列した複合圧電体シート
と、前記複合圧電体シートの両面に配置された電極を備
え、前記平板状圧電セラミックの一方の表面が前記両電
極の一方の電極に接続され、前記平板状圧電セラミック
の他の表面が前記平板状導電体の一方の表面に接続さ
れ、かつ、前記平板状導電体の他の表面が前記両電極の
他の電極に接続されたされた可撓性圧電素子である。
【0010】複合圧電体シートは複数の平板状圧電セラ
ミックと複数の平板状導電体を高分子母材中に配列した
構成であるので、プレス法などの簡単な製造方法により
圧電素子を製造できる。また、同素子の大面積化も容易
である。
【0011】本発明の請求項2にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックは分極済である。平板状圧
電セラミックは、可撓性圧電素子を形成する前にセラミ
ック単独の状態で既に分極されているので、充分な分極
ができる。
【0012】本発明の請求項3にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックが直径5mm以上の円板であ
る。この形状の平板状圧電セラミックは、圧電体ブザー
用として工業的に多量に利用されているので、安価であ
り、入手も容易である。
【0013】本発明の請求項4にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックがチタン酸鉛とジルコン酸
鉛の固溶体である。同組成の圧電セラミックは工業的に
多量に利用されているので、安価であり、入手も容易で
ある。
【0014】本発明の請求項5にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックの他の表面が導電性塗布膜
を介して平板状導電体の一方の表面に接続された構成で
あるので、平板状圧電セラミックと平板状導電体の電気
的接続が安定化できる。
【0015】本発明の請求項6にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体が金属板である。
【0016】平板状金属板は、導電性のみならず適度な
剛性と適度な弾性を併せ持つ。このまて大きな外部応力
が印加されたとき、平板状金属板は適度な剛性を有する
ので、平板状圧電セラミックの変形を防止する結果、ク
ラックや割れが発生しない。他方、平板状金属板は適度
な弾性も有するので、外部応力に応じて微少に変形する
ので、平板状圧電セラミックに微少な歪みが発生するこ
とを妨げない。
【0017】本発明の請求項7にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体がステンレス鋼であるので、導電性
と共に実用に充分な剛性と弾性を有する平板状導電体が
得られる。また、ステンレス鋼は工業的に多量に利用さ
れているので、低価格である。
【0018】本発明の請求項8にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体の他の表面が導電性塗布膜を介して
他の電極に接続されているので、平板状導電体と他の電
極の電気的接続が安定化できる。
【0019】本発明の請求項9にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックの一方の表面が導電性塗布
膜を介して一方の電極に接続されているので、平板状圧
電セラミックと一方の電極の電気的接続が安定化でき
る。
【0020】本発明の請求項10にかかる可撓性圧電素
子では、導電性塗布膜が、溶剤と樹脂と金属粉末から成
るペーストを塗布後乾燥した導電性塗布膜であるので、
複合圧電体シートを構成する高分子母材の耐熱範囲内の
低温(150℃以下)で導電性塗布膜を得られる。
【0021】本発明の請求項11にかかる可撓性圧電素
子では、高分子母材が塩素化ポリエチレンである。塩素
化ポリエチレンは優れた耐熱性と優れた可撓性を有する
ので、これら特性を兼ね備えた複合圧電体シートが得ら
れる。
【0022】本発明の請求項12にかかる可撓性圧電素
子では、電極が電極用高分子と導電性粒子から成る複合
導電体である。
【0023】導電性粒子の接触を通して複合導電体の導
電性が確保される。また、電極用高分子自身の可撓性を
通して複合導電体の可撓性が確保される。また、複合導
電体電極の電極用高分子と、複合圧電体シートの高分子
母材の軟化温度の適切な選択により、複合導電体電極と
複合圧電体シートを容易に熱プレスにより接着できる。
【0024】本発明の請求項13にかかる可撓性圧電素
子では、導電性粒子がカーボンである。カーボン粒子は
工業的に多量に利用されているので、安価であり、入手
も容易である。
【0025】本発明の請求項14にかかる可撓性圧電素
子では、高分子母材および電極用高分子が塩素化ポリエ
チレンである。
【0026】複合圧電体シートおよび電極ともに塩素化
ポリエチレンを用いているので、優れた耐熱性と優れた
可撓性を有する圧電素子が得られる。また、電極を複合
圧電体に接着するとき、上記両者に含まれる塩素化ポリ
エチレン同志を熱プレス法などにより容易に結合でき
る。従って、複合導電体電極を複合圧電体シートに容易
に、強固に接着できる。
【0027】本発明の請求項15にかかる可撓性圧電素
子の製造方法は、複数の開口部を有する高分子母材シー
トおよび、平板状導電体と平板状圧電セラミックの順で
配置された積層物を複数個準備し、複数の前記積層物を
複数の前記開口部位置に配置した後、この配置物を熱プ
レスして一体化して複合圧電体シートを形成し、前記複
合圧電体シートの両面に複合導電体を前記熱プレスによ
り接着して製造される。複合圧電体シートの開口部を通
して、平板状圧電セラミック1と複合導電体の一つが電
気的に接続される。この可撓性圧電素子は、主として熱
プレス法による簡単な工程で製造できる。また、面積の
大きな可撓性圧電素子も製造できる。
【0028】本発明の請求項16にかかる可撓性圧電素
子は、高分子母材および電極用高分子に塩素化ポリエチ
レンを用い、80〜180℃で熱プレスして製造され
る。塩素化ポリエチレンを用いているので、80〜18
0℃という比較的低温で圧電素子を製造できる。
【0029】
【実施例】以下、本本発明の実施例について図面を用い
て説明する。
【0030】(実施例1)図1は本発明の実施例1の可
撓性圧電素子の構成図である。この可撓性圧電素子は複
数の平板状圧電セラミック1と複数の平板状導電体4を
高分子母材2中に配列した複合圧電体シート5と、この
複合圧電体シート5の両面に配置された電極3a、3b
とから成り、平板状圧電セラミック1の一方の表面が一
方の電極3aに接続され、平板状圧電セラミックの他の
表面が平板状導電体の一方の表面に接続され、且つ、平
板状導電体の他の表面が他の電極3bに接続されたる。
複合圧電体シート4は、後述するように、複数の開口部
を有する高分子母材シートおよび、平板状導電体4と平
板状圧電セラミック1の順で配置された積層物を複数個
準備し、複数の前記積層物を複数の前記開口部位置に配
置した後、この配置物を熱プレスして一体化して形成さ
れる。
【0031】このように複合圧電体シート4は、溝加
工、高分子母材の充填・硬化、研磨加工などの複雑な製
造工程を必要としない。また、後述するように、電極3
a、3bとして複合導電体を用いた場合、複合圧電体シ
ート4と複合導電体3a、3bも熱プレス法により接着
できるので、本発明の可撓性圧電素子は簡素な製造工程
で製造できる。また、熱プレス法は、数十cm角程度の面
積を容易にプレスできるので、大面積可撓性圧電素子を
用意に形成できる。
【0032】複合圧電体シート4は、複数の開口部を有
する高分子母材シートおよび、平板状導電体4と平板状
圧電セラミック1の順で配置された積層物を複数個準備
し、複数の前記積層物を複数の前記開口部位置に配置し
た後、この配置物を熱プレスして一体化して形成され
る。このとき平板状導電体4の面積は平板状圧電セラミ
ック1のそれよりも大きく選ばれる。例えば、直径10
mmの平板状圧電セラミック1の場合、平板状導電体の直
径は13mm程度が選ばれる。また、高分子母材シートに
設けられた開口部の面積は、平板状導電体4の面積と平
板状圧電セラミック1の面積の間の面積が選ばれる。上
述した例の場合、開口部の直径は12mm程度が選ばれ
る。このようにして選ばれた各構成物を上述したように
配置した後、熱プレスすることにより図1に示した構成
の複合圧電体シート5が得られる。なお、熱プレス後、
例えば平板状圧電セラミック1の端部に小さな空隙部
(図示していない)が生じることもあるが、この空隙部
は圧電性能に大きな影響を及ぼさない。
【0033】本発明の可撓性圧電素子に圧電性能を付与
するために平板状圧電セラミック1は分極される。分極
は、図1に示した本発明の可撓性圧電素子を形成後にな
される場合および可撓性圧電素子を形成の前にセラミッ
ク単体の状態でなされる場合がある。前者の場合、後述
するように、分極のためにセラミック単体に特別な電極
を形成する必要がない、複数の平板状圧電セラミック1
を同時に分極できるので分極工程が簡素であるという長
所がある。この場合、後述する実施例2の構成が電気的
接続の安定性の点で優れている。しかし、平板状圧電セ
ラミック1と両電極3a、3b間の絶縁耐電圧は多くの
要因、例えば電極間の沿面距離、表面の汚れ、分極時の
温度などにより決められ、分極電圧は最小の絶縁耐圧に
依存する。従って、分極電圧は低くなりがちであるの
で、充分な分極電圧を印加できない。このため分極が不
十分になりがちであるという欠点がある。この場合感度
が小さくなる。感度が小さくても低価格であることが求
められる場合、、平板状圧電セラミック1は可撓性圧電
素子を形成後に分極されることが好ましい。上述したよ
うに、分極工程が簡素であるからである。
【0034】他方、後者の場合、分極のために特別な電
極(図示していなし)を平板状圧電セラミック1の両面
に形成する必要がある。複数の平板状圧電セラミック1
を個々に分極するので分極工程が複雑になるという短所
がある。しかし、120℃でも絶縁耐電圧の優れたシリ
コン油中での分極ができるので、充分な分極電圧を印加
でき、大きな感度が得られるという長所がある。従っ
て、高価格であっても広い面積にわたり均一で高い圧電
性能を必要とする場合、平板状圧電セラミック1は、高
分子母材シート中に埋め込まれる前にセラミック単体の
状態で分極されることが好ましい。上述したように、平
板状圧電セラミック1は均一で充分に分極されるからで
ある。
【0035】平板状圧電セラミック1の形状は矩形状で
も、円板状でもあるいは多角形状でもよいが、直径5mm
以上の円板であることが好ましい。この形状の圧電セラ
ミック1はブザー用などの電子部品用セラミックとして
工業的に多量に実用されているので、安価であり、ま
た、入手も容易であるからである。また、平板状圧電セ
ラミック1単体の状態での分極工程も確立しているの
で、容易に分極できる。
【0036】平板状圧電セラミック1の材質はチタン酸
鉛とジルコン酸鉛の固溶体であることが望ましい。この
組成の圧電セラミックは、上記形状と同様、電子部品用
セラミックとして工業的に多量に実用されているので、
安価であり、また、入手も容易であるからである。
【0037】(実施例2)図2は本発明の実施例2の可
撓性圧電素子の構成図である。平板状圧電セラミック1
の他の表面は導電性塗布膜6aを介して平板状導電体4
の一方の表面に接続され、平板状導電体4の他の表面は
導電性塗布膜6bを介して他の電極3bに接続され、お
よび平板状圧電セラミック1の一方の表面は導電性塗布
膜6cを介して一方の電極3aに接続されている。
【0038】平板状圧電セラミック1、導電性塗布膜6
aおよび両電極3a、3bの各構成物は、各導電性塗布
膜6a、6b、6cによりそれぞれ接続されるので、各
構成物間の電気的接続が安定化される。電気的接続の安
定化には、各導電性塗布膜6a、6b、6cは、必ずし
も各構成物の全表面にわたり形成される必要はない。電
気的接続の安定化以外にも、本発明の可撓性圧電素子を
製造するとき、中間の製造工程で仕掛品、例えば、平板
状圧電セラミック1と平板状導電体4が導電性塗布膜6
aにより軽く接着された積層仕掛品は、両者の移動作業
や特定位置への配置作業などを同時にできるので、作業
効率が向上するという利点も生じる。なお、各導電性塗
布膜6a、6b、6cは、必ずしも全て必要としない。
例えば、平板状圧電セラミック1が分極済みである場
合、平板状圧電セラミック1の一方の表面と一方の電極
3a間の導電性塗布膜6cは、特に必要で無い。前述し
たように、分極するために電極(図示していない)が既
に形成されているからである。また、平板状導電体4の
他の表面と他の電極3b間の導電性塗布膜6bも、平板
状導電体4としてステンレス鋼を用いた場合、特に必要
で無い。ステンレス鋼と他の電極3bの接触抵抗は小さ
く、両者の安定な電気的接続が得られ易いからである。
しかし、平板状導電体4として、後述する複合導電体を
用いた場合、導電性塗布膜6bを用いることが望まし
い。複合導電体と他の電極3bの接触抵抗は大きく、ま
た、不安定であるからである。
【0039】導電性塗布膜6a、6b、6cとして、チ
クロヘキサノンなどの溶剤とポリエステル系などの樹脂
と銀粉末などの金属粉末から成る導電性ペーストを塗布
後乾燥した導電性塗布膜が優れている。この種の導電性
ペーストの乾燥温度は150℃以下であるので、複合圧
電体シート5に用いられる高分子母材2の耐熱温度範囲
内の温度で導電性ペーストを乾燥できる。また、平板状
圧電セラミック1として、分極済の圧電セラミックを用
いた場合でも、圧電セラミックのキュリー温度は、通常
300℃以上であるので、分極の消失も生じない。
【0040】平板状導電体4として、複合導電体、Ba
TiO3−SrTiO3系などの導電性セラミック、金属
など種々の材料が使用可能であるが、これら種々の材料
の中でも金属を用いた平板状金属板が好ましい。平板状
金属板は、導電性のみならず適度な剛性と適度な弾性を
併せ持つからである。本発明の可撓性圧電素子に外部応
力が印加されたとき、この外部応力により平板状圧電セ
ラミック1に微少な歪みが発生する結果電極3a、3b
間に電圧が観測される。しかし、大きな外部応力が印加
されたとき、平板状圧電セラミック1は脆性を示すの
で、クラックや割れが発生し易い。このような場合、平
板状金属板は適度な剛性を有するので、平板状圧電セラ
ミック1の変形を防止する結果、クラックや割れが発生
しない。他方、平板状金属板は適度な弾性も有するの
で、外部応力に応じて微少に変形するので、平板状圧電
セラミック1に微少な歪みが発生することを妨げない。
平板状金属板は種々の金属材料で構成できるが、ステン
レス鋼で構成することが好ましい。ステンレス鋼は種々
の金属の中でも大きな剛性有すると共に工業的にも多量
に利用されているので、低価格である。
【0041】高分子母材2としてエポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、クロロプレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂な
どが用いられるが、これらの中でも塩素化ポリエチレン
は、120℃の高耐熱性を有する点で優れている。他の
樹脂の耐熱性は60〜80℃程度である。また、塩素化
ポリエチレンは分子量や結晶化度などを適切に選ぶこと
により、加硫無しでも上記高耐熱性を実現できる点でも
好ましい。例えば、クロロプレン・ゴムとチタン酸鉛粉
末から成る複合圧電体は、通常、両者を混合した後温度
170℃、圧力約150kg/cm2の条件下で加硫される。
加硫は専用の装置と工程を必要とするので、無加硫で複
合圧電体を形成することが好ましい。
【0042】(実施例3)電極3a、3bとして、アル
ミニウム、ニッケルなどの蒸着膜やスパッタ膜、銀の印
刷・焼成膜などが用いられている。しかし、これらの電
極3a、3bを複合圧電体シート4表面に形成すると
き、例えば、真空蒸着装置、スパッタ装置、印刷装置・
焼成炉などの専用の製造装置を必要とし、また、複雑な
手順も要求される。これらのことを考慮すると、電極3
a、3bとして、図3に示す複合導電体電極7a、7b
を用いることが望ましい。複合導電体電極7a、7b
は、電極用高分子71、71’と導電性粒子72、7
2’とからそれぞれ構成される。このとき導電性粒子7
2、72’は電極用高分子71、71’の中で網目状に
相互に接触して配列され、これらの接触を通して複合導
電体7a、7bの導電性が確保される。また、電極用高
分子71、71’により、それ自身の可撓性を通して複
合導電体7a、7bの可撓性が確保される。
【0043】複合導電体電極7a、7bと複合圧電体シ
ート4を積層して熱プレスしたとき、複合導電体電極7
a、7bの電極用高分子71、71’と、複合圧電体シ
ート4の高分子母材2とは、両者の軟化温度の適切な選
択により、容易に接着できる。従って、電極形成のため
の特別な製造装置を必要としない点で優れている。電極
用高分子として、高分子母材2と同様、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂、クロロプレン樹脂、塩素化ポリエチレン
樹脂などが用いられる。また、導電性粒子として、カー
ボン粒子や銀粒子が用いられる。銀粒子を用いた場合、
複合導電体電極7a、7bの比抵抗値は5x10ー3Ω・
cm程度の小さな値を示すが、カーボン粒子を用いた場
合、同比抵抗値は約一桁以上の大きな値を示す。
【0044】この圧電素子を人体検知に用いた場合の周
波数範囲は約5Hz程度であるので、そのときの複合圧電
体シート4のインピーダンスは約100kΩ以上であ
り、電極3a、3bの抵抗値は1kΩ以下程度で充分で
あるので、導電性粒子として低価格のカーボン粒子を用
いることが望ましい。
【0045】本発明の可撓性圧電素子は、複数の開口部
を有する高分子母材シート2および、平板状導電体4と
平板状圧電セラミック1の順で配置された積層物を複数
個準備し、複数の積層物を複数の開口部位置に配置した
後、この配置物を熱プレスして一体化して複合圧電体シ
ートを形成し、この複合圧電体シートの両面に複合導電
体を熱プレスにより接着して製造される。複合圧電体シ
ートの開口部を通して、平板状圧電セラミック1と複合
導電体の一つが電気的に接続される。残りの複合導電体
は平板状導電体4と電気的に接続される。このように本
発明の可撓性圧電素子は、主として熱プレス法による簡
単な工程で製造できる。また、面積の大きな可撓性圧電
素子も製造できる。
【0046】高分子母材2として塩素化ポリエチレンを
用いた複合圧電体シート4に、複合導電体電極7a、7
bを形成する場合、複合導電体電極7a、7bの電極用
高分子として塩素化ポリエチレンを用いることが好まし
い。複合圧電体シート4にも、複合導電体電極7a、7
bにも、塩素化ポリエチレンが用いられているので、両
者は熱プレス法で容易に、強固に接着されるからであ
る。塩素化ポリエチレンの温度を室温から上昇したと
き、約80℃以下までは殆ど熱膨張しないが、80〜1
80℃で大きく熱膨張し、約180℃以上で熱膨張は飽
和する。約180℃以上の温度では、塩素化ポリエチレ
ンは溶融状態に近いと考えられる。この熱膨張特性から
塩素化ポリエチレンの熱的に活性な温度範囲80〜18
0℃で熱プレスすることが好ましい。なお、高分子母材
シート中に埋め込まれる前にセラミック単体の状態で分
極された平板状圧電セラミック1を用いた場合でも、平
板状圧電セラミック1のキュー温度は300℃以上であ
るので、上記温度範囲は何らに分極影響しない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
かかる可撓性圧電素子は、平板状圧電セラミックの一方
の表面が一方の電極に接続され、平板状圧電セラミック
の他の表面が平板状導電体の一方の表面に接続され、か
つ、平板状導電体の他の表面が他の電極に接続されたさ
れた構成でわる。従って、プレス法などの簡単な製造方
法により圧電素子を製造できる。また、同素子の大面積
化も容易である。
【0048】また、本発明の請求項2にかかる可撓性圧
電素子では、平板状圧電セラミックが単独の状態で分極
済されるので、充分な分極ができる。従って、広い面積
にわたり高感度な可撓性圧電素子が得られる。
【0049】また、本発明の請求項3にかかる可撓性圧
電素子では、平板状圧電セラミックが直径5mm以上の円
板である。この形状の平板状圧電セラミックは、圧電体
ブザー用として工業的に多量に利用されているので、安
価であり、入手も容易である。
【0050】また、本発明の請求項4にかかる可撓性圧
電素子では、平板状圧電セラミックとしてチタン酸鉛と
ジルコン酸鉛の固溶体を用いているので、安価であり、
入手も容易である。
【0051】本発明の請求項5にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックの他の表面が導電性塗布膜
を介して平板状導電体の一方の表面に接続された構成で
あるので、平板状圧電セラミックと平板状導電体の電気
的接続が安定化できる。
【0052】本発明の請求項6にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体が金属板である。
【0053】平板状金属板は、導電性のみならず適度な
剛性と適度な弾性を併せ持つ。このたて大きな外部応力
が印加されたとき、平板状金属板は適度な剛性を有する
ので、平板状圧電セラミックの変形を防止する結果、ク
ラックや割れが発生しない。他方、平板状金属板は適度
な弾性も有するので、外部応力に応じて微少に変形する
ので、平板状圧電セラミックに微少な歪みが発生するこ
とを妨げない。
【0054】本発明の請求項7にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体がステンレス鋼であるので、導電性
と共に実用に充分な剛性と弾性を有する平板状導電体が
得られる。また、ステンレス鋼は工業的に多量に利用さ
れているので、低価格である。
【0055】本発明の請求項8にかかる可撓性圧電素子
では、平板状導電体の他の表面が導電性塗布膜を介して
他の電極に接続されているので、平板状導電体と他の電
極の電気的接続が安定化できる。
【0056】本発明の請求項9にかかる可撓性圧電素子
では、平板状圧電セラミックの一方の表面が導電性塗布
膜を介して一方の電極に接続されているので、平板状圧
電セラミックと一方の電極の電気的接続が安定化でき
る。
【0057】本発明の請求項10にかかる可撓性圧電素
子では、導電性塗布膜が、溶剤と樹脂と金属粉末から成
るペーストを塗布後乾燥した導電性塗布膜であるので、
複合圧電体シートを構成する高分子母材の耐熱範囲内の
低温(150℃以下)で導電性塗布膜を得られる。
【0058】本発明の請求項11にかかる可撓性圧電素
子では、高分子母材が塩素化ポリエチレンである。塩素
化ポリエチレンは優れた耐熱性と優れた可撓性を有する
ので、これら特性を兼ね備えた複合圧電体シートが得ら
れる。
【0059】本発明の請求項12にかかる可撓性圧電素
子では、電極として可撓性と導電性を備えた複合導電体
を用いているので、軟化温度の適切な選択により、容易
に熱プレスにより接着できる。従って、電極形成のため
の特別な製造装置を必要としない。
【0060】本発明の請求項13にかかる可撓性圧電素
子では、導電性粒子としてカーボンを用いているので、
安価であり、入手も容易である。
【0061】本発明の請求項14にかかる可撓性圧電素
子では、高分子母材および電極用高分子として塩素化ポ
リエチレンを用いているので、上記両者に含まれる塩素
化ポリエチレン同志を熱プレス法により容易に結合でき
る。従って、電極を複合圧電体に容易に、強固に接着で
きる。
【0062】本発明の請求項15にかかる可撓性圧電素
子の製造方法は、複数の開口部を有する高分子母材シー
トおよび、平板状導電体と平板状圧電セラミックの順で
配置された積層物を複数個準備し、複数の前記積層物を
複数の前記開口部位置に配置した後、この配置物を熱プ
レスして一体化して複合圧電体シートを形成し、前記複
合圧電体シートの両面に複合導電体を前記熱プレスによ
り接着して製造される。複合圧電体シートの開口部を通
して、平板状圧電セラミック1と複合導電体の一つが電
気的に接続される。この可撓性圧電素子は、主として熱
プレス法による簡単な工程で製造できる。また、面積の
大きな可撓性圧電素子も製造できる。
【0063】本発明の請求項16にかかる可撓性圧電素
子は、高分子母材および電極用高分子に塩素化ポリエチ
レンを用いているので、80〜180℃という比較的低
温で圧電素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における可撓性圧電素子の断
面図
【図2】本発明の実施例1における可撓性圧電素子の断
面図
【図3】本発明の実施例3における可撓性圧電素子の断
面図
【図4】従来の圧電素子(従来例1)の断面図
【符号の説明】
1 平板状圧電セラミック 2 高分子母材 3a 一方の電極 3b 他の電極 4 平板状導電体 5 複合圧電体シート 6a、6b、6c 導電性塗布膜 7a、7b 複合導電体電極 71、71’ 電極用高分子 72、72’ 導電性粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 雅彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 藤井 優子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中谷 直史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 荻野 弘之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 吉野 浩二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D004 BB01 GG00

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の平板状圧電セラミックと複数の平板
    状導電体を高分子母材中に配列した複合圧電体シート
    と、前記複合圧電体シートの両面に配置された電極を備
    え、前記平板状圧電セラミックの一方の表面が前記両電
    極の一方の電極に接続され、前記平板状圧電セラミック
    の他の表面が前記平板状導電体の一方の表面に接続さ
    れ、かつ、前記平板状導電体の他の表面が前記両電極の
    他の電極に接続された可撓性圧電素子。
  2. 【請求項2】平板状圧電セラミックが分極済である請求
    項1記載の可撓性圧電素子。
  3. 【請求項3】平板状圧電セラミックが直径5mm以上の円
    板である請求項1記載の可撓性圧電素子。
  4. 【請求項4】平板状圧電セラミックがチタン酸鉛とジル
    コン酸鉛の固溶体である請求項1記載の可撓性圧電素
    子。
  5. 【請求項5】平板状圧電セラミックの他の表面が導電性
    塗布膜を介して平板状導電体の一方の表面に接続された
    請求項1記載の可撓性圧電素子。
  6. 【請求項6】平板状導電体が平板状金属板である請求項
    1記載の可撓性圧電素子。
  7. 【請求項7】平板状導電体がステンレス鋼である請求項
    6記載の可撓性圧電素子。
  8. 【請求項8】平板状導電体の他の表面が導電性塗布膜を
    介して他の電極に接続された請求項1記載の可撓性圧電
    素子。
  9. 【請求項9】平板状圧電セラミックの一方の表面が導電
    性塗布膜を介して一方の電極に接続された請求項1記載
    の可撓性圧電素子。
  10. 【請求項10】導電性塗布膜が、溶剤と樹脂と金属粉末
    から成るペーストを塗布後乾燥した導電性塗布膜である
    請求項5または8または9記載の可撓性圧電素子。
  11. 【請求項11】高分子母材が塩素化ポリエチレンである
    請求項1記載の可撓性圧電素子。
  12. 【請求項12】電極が電極用高分子と導電性粒子から成
    る複合導電体である請求項1〜8記載の可撓性圧電素
    子。
  13. 【請求項13】導電性粒子がカーボンである請求項12
    記載の可撓性圧電素子。
  14. 【請求項14】電極用高分子が塩素化ポリエチレンであ
    る請求項12記載の可撓性圧電素子。
  15. 【請求項15】複数の開口部を有する高分子母材シート
    および平板状導電体と平板状圧電セラミックの順で配置
    された積層物を複数個準備し、複数の前記積層物を複数
    の前記開口部位置に配置した後、この配置物を熱プレス
    して一体化して複合圧電体シートを形成し、前記複合圧
    電体シートの両面に複合導電体を前記熱プレスにより接
    着する請求項1記載の可撓性圧電素子の製造方法。
  16. 【請求項16】高分子母材および電極用高分子に塩素化
    ポリエチレンを用い、80〜180℃で熱プレスする請
    求項15記載の可撓性圧電素子の製造方法。
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