JP2001214028A - 耐熱性液状フェノールノボラック樹脂及びその硬化物 - Google Patents

耐熱性液状フェノールノボラック樹脂及びその硬化物

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JP2001214028A
JP2001214028A JP2000025435A JP2000025435A JP2001214028A JP 2001214028 A JP2001214028 A JP 2001214028A JP 2000025435 A JP2000025435 A JP 2000025435A JP 2000025435 A JP2000025435 A JP 2000025435A JP 2001214028 A JP2001214028 A JP 2001214028A
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general formula
heat
phenol novolak
novolak resin
liquid phenol
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JP2000025435A
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English (en)
Inventor
Sukeaki Hirayama
祐誠 平山
Seiichiro Takabayashi
誠一郎 高林
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Meiwa Plastic Industries Ltd
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Meiwa Kasei KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、封止に適する優れた流動性と耐吸湿
性、耐熱性を発揮する耐熱性液状フェノールノボラック
樹脂を提供することを目的とする。 【解決手段】一般式(1)で示される液状フェノール樹
脂と、一般式(2)または一般式(3)のイミド化合物
を含有し、50℃での粘度が1000ポイズ以下である
耐熱性液状フェノールノボラック樹脂により解決され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性に優れた硬化
物が得られる液状タイプのフェノールノボラック樹脂組
成物に関し、さらに詳細には半導体の封止材に適し、特
にチップサイズパッケージなどの半導体封止材に適する
耐熱性液状フェノールノボラック樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】電子材料用、特に半導体(IC)封止用
のエポキシ樹脂としては、耐熱性、電気特性、低吸湿性
に優れることから、現状ではオルソクレゾールノボラッ
クのグリシジルエーテルが主として用いられている。こ
のエポキシ樹脂に対する硬化剤としてはフェノールノボ
ラック、各種アミン類、酸無水物が挙げられるが、IC
封止用としては、耐熱性、信頼性の面から主にフェノー
ルノボラックが用いられている。一方、近年、ICのシ
リコンチップが、ますます高集積化、大型化する反面、
パッケージ外形寸法は、小型、薄形化へと変化し、パッ
ケージをプリント配線板(PCB)に取り付ける際の実
装方式も、従来のピン挿入方式(DIP)から表面実装
方式(SOP,SOJ,QFP、CSP)へ変化してき
た。上記で用いられるフェノールノボラック樹脂は従来
半固形もしくは固形で、半固形もしくは固形のエポキシ
樹脂、硬化触媒、着色剤、ワックス等と共にドライブレ
ンドしてニーダー等で混練し、封止材料を製造し、半導
体をトランスファー成形(160〜170℃)する方式
で用いられている。他方、封止材を流動性のある一液性
として常温でポッティング、ディッピング、浸透圧で半
導体、ダイオード等を封止する方式も行なわれている。
これらは液状のエポキシ樹脂と液状の酸無水物、アミ
ン、アミド等の硬化剤が用いられ、フェノールノボラッ
ク硬化剤は半固形もしくは固形フェノールノボラック樹
脂又は溶剤に溶解したフェノールノボラック樹脂が用い
られている。このような半固形もしくは固形フェノール
ノボラック樹脂を用いた封止材は、流動性が劣り、溶剤
を用いたものは硬化した後、溶媒が封止材中に残存し性
能に悪影響を及ぼす。又、液状タイプのフェノールノボ
ラック樹脂を用いて、無溶媒で封止材を構成することも
試みられているが、硬化後の封止材の耐熱性が低い等の
問題が発生している。その改良方法として、熱可塑性樹
脂や固形フェノールノボラック樹脂の添加を攪拌混合で
行っているが、溶解せずに沈降したり、溶解するもので
も、溶解に長時間を要するなどの製造面に問題が生じ、
耐熱性や耐湿性の性能も低下して好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決し、無溶剤ないしは少量の溶剤の存在下で
封止に適する優れた流動性と耐吸湿性、耐熱性を発揮す
る耐熱性液状フェノールノボラック樹脂を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式(1)で示される液状フェノール樹脂と、一般式
(2)または一般式(3)のイミド化合物を含有し、5
0℃での粘度が1000ポイズ以下である耐熱性液状フ
ェノールノボラック樹脂である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で示される液状フェノール樹脂は、下記一般式
(1)で表されることを特徴とする。即ち、樹脂骨格成
分がフェノールとオルソ位にR1基が炭素数1〜4のア
ルキル基またはアリル基を持つフェノール化合物からな
り、架橋基がメチレン基及び/またはo−ヒドロキシフ
ェニルメチレン基あるいはp−ヒドロキシフェニルメチ
レン基を含有する液状のフェノールノボラック樹脂であ
る。
【化4】
【0006】本発明で使用する液状フェノール樹脂の製
造法は、(A)フェノール、(B)オルソ位に炭素数1
〜4のアルキル基又はアリル基を持つフェノール化合物
と、(C)ホルムアルデヒド及び/または(D)o−ヒ
ドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアル
デヒドを反応させることにより得ることができる。
【0007】(A)フェノールは通常の市販品が使用さ
れる。(B)オルソ位に炭素数1〜4のアルキル基又は
アリル基を持つフェノール化合物としては、オルソクレ
ゾール(o−クレゾール)、オルソエチルフェノール
(o−エチルフェノール)、オルソイソプロピルフェノ
ール(o−イソプロピルフェノール)、2−tert−
ブチルフェノール、o−sec−ブチルフェノールなど
が挙げられる。また、オルソ位にアリル基を持つフェノ
ール化合物としては、オルソアリルフェノール(o−ア
リルフェノール)が挙げられる。これらのフェノール化
合物は単独又は併用して用いることができる。
【0008】(A)及び(B)化合物の配合割合(B)
/((A)+(B))は、モル割合で5〜95モル%、
好ましくは10〜90モル%、より好ましくは10〜8
0モル%である。5モル%より少ない場合でも液状フェ
ノール樹脂は得られるが、得られた樹脂の粘度は高くな
る傾向がある。95モル%より多くても液状フェノール
樹脂は得られるが、製造コストが高くなる。
【0009】(C)ホルムアルデヒドは通常市販品が使
用され、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン水溶
液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等を挙げる
ことができるが、安価なホルマリン水溶液が好ましい。
ホルムアルデヒドは、液状フェノール樹脂でメチレン基
架橋を形成する。
【0010】(D)o−ヒドロキシベンズアルデヒド、
p−ヒドロキシベンズアルデヒドは市販品が使用され
る。これらの化合物は、o−ヒドロキシフェニルメチレ
ン基架橋またはp−ヒドロキシフェニルメチレン基架橋
となり液状フェノール樹脂を形成する。これらo−ヒド
ロキシベンズアルデヒド及びp−ヒドロキシベンズアル
デヒドは単独でも併用して用いても良い。
【0011】(C)ホルムアルデヒドと(D)o−ヒド
ロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデ
ヒドの配合割合(D)/((C)+(D))は、モル割
合で70モル%以下、好ましくは50モル%以下、より
好ましくは5〜50モル%である。70モル%より多い
場合では、得られた樹脂の粘度が高く、25℃で半固形
もしくは固体となる。
【0012】本発明で使用する液状フェノール樹脂のフ
ェノール化合物((A)+(B))と架橋基となる化合
物((C)+(D))の配合割合については、通常、フ
ェノール化合物は架橋基となる化合物に対し、3倍モル
以上であればよい。好ましくは5〜10倍モルである。
3倍モルより少ないと、架橋が進み、得られる樹脂が半
固形もしくは固形となる。余りに多すぎると、未反応の
原料が多くなり経済的でない。
【0013】液状フェノール樹脂の製造は、通常次のよ
うにして行なわれる。即ち、上記の(A)フェノール、
(B)のフェノール化合物、(C)のホルムアルデヒド
及び(D)のo−ヒドロキシベンズアルデヒドあるいは
p−ヒドロキシベンズアルデヒドの架橋剤、及び合成触
媒を所定の配合割合で一括して反応器に仕込み、所定の
温度で所定の反応率まで反応した後、未反応成分の除去
工程を経て目的物の液状フェノール樹脂を得る。特殊な
製造方法としては、フェノールあるいは一つのフェノー
ル化合物と一つの架橋剤及び合成触媒とで前もってプレ
反応させた後、それぞれを併せて反応させて目的とする
液状フェノール樹脂を得ることも可能である。
【0014】このとき、合成触媒としては、酸が用いら
れ蓚酸、パラトルエンスルホン酸、ジメチル硫酸等の有
機酸、塩酸、硫酸等の無機酸を使用することができる。
触媒の使用量は、(A)+(B)のフェノール化合物に
対し0.01〜1重量%の範囲で選択し使用される。少
ないと反応速度が遅く、多すぎると反応が急激に進行し
て反応を制御することが困難となる場合がある。
【0015】反応温度は、使用する化合物の配合割合に
もよるが、通常50〜200℃、好ましくは70〜18
0℃、より好ましくは80〜180℃である。あまり低
いと重合が進まず、余りに高いと反応の制御が難しくな
り、液状フェノール樹脂を得ることが困難となる。
【0016】反応時間は、反応温度にもよるが、通常は
10時間以内である。
【0017】反応圧力は、通常は常圧下で行われるが、
若干の加圧ないし減圧下でも行うことができる。
【0018】反応後、未反応フェノール化合物等は、通
常、減圧下で除去することにより液状フェノール樹脂を
得ることができる。
【0019】本発明で使用される液状フェノール樹脂
は、25℃で液体状態を呈するものであり、25℃で粘
度が500ポイズ(500Ps)以下、好ましくは40
0Ps以下、より好ましくは350Ps以下である。ま
た、25℃での下限の粘度は好ましくは1以上、より好
ましくは5以上である。あまりに低い粘度の液状フェノ
ール樹脂は、現状では入手が困難である。平均重合度n
については特に限定されるものではないが、nが3以下
である液状フェノール樹脂を使用するのが好ましい。本
発明での液状フェノール樹脂は、2量体だけでも使用す
ることができるので平均重合度nは0以上である。好ま
しくは0.3以上である。
【0020】本発明で使用される一般式(2)で示され
る化合物ないし一般式(3)で示されるイミド化合物は
次式に示す構造を有するものである。
【化5】一般式(2) (ただし、式中のR3、R4は芳香族化合物を示し、nは
0もしくは正の整数を示す。)
【化6】一般式(3) (ただし、式中のR3、R4は芳香族化合物を示し、nは
正の整数を示す。)ここで、式中のR3は下記の芳香環
骨格を示す。 ここで、式中のR4は下記の芳香環骨格を示す。 ここで、式中のXは次の構造式を示し、 YはO、S、SO2、炭素原子数0〜6個のアルキル基
を示す。
【0021】本発明に用いられる一般式(2)で示され
る化合物ないし一般式(3)で示されるイミド化合物の
酸の成分としては、芳香族テトラカルボン酸、芳香族テ
トラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体が挙げら
れ、具体的には、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン
酸、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物な
いしはそのエステル化物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラ
カルボン酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物ないしはそのエステル化物、3,3',4,4'-ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物ないしはそのエステル化物、3,
3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3',
4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物な
いしはそのエステル化物、ビス(3,4-ジカルボキシフェ
ニル)メタン酸、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタ
ン酸二無水物ないしはそのエステル化物、2,2-ビス(3,4
-ジカルボキシフェニル)プロパン酸、2,2-ビス(3,4-ジ
カルボキシフェニル)プロパン酸二無水物ないしはその
エステル化物、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水
物ないしはそのエステル化物を挙げることができる。液
状フェノール樹脂への溶解性から、好ましくは2,3,3',
4'-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'-ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物ないしはそのエステル化物
であり、より好ましくは2,3,3',4'-ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物である。これらは単独でも混合して使
用することもできる。酸無水物を混合して用いる場合で
は、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の
成分量が全酸二無水物成分量の75モル%以上を含有し
ていることが好ましい。なお、エステル化物としては、
炭素数1〜4の脂肪族アルコールとのエステル化合物が
挙げられる。
【0022】この発明に用いられる一般式(2)で示さ
れる化合物ないし一般式(3)で示されるイミド化合物
のジアミン成分としては、芳香族ジアミンであり、芳香
環を2個以上有するものである。芳香環1個のジアミン
成分であると液状フェノール樹脂への溶解性が低下して
好ましくない。また、芳香族以外のジアミンを使用すれ
ば耐熱性が向上せず好ましくない。一般式(2)、
(3)のR4で示される芳香族ジアミン成分の具体的種
類としては1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン[1,
4,3-APB]、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
[1,3,3-APB]、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼ
ン[1,3,4-APB]、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパン[BAPP]、4,4'-ジアミノジフェニルエ
ーテル[4,4'-DDE]、3,3'-ジアミノジフェニルエーテ
ル[3,3'-DDE]、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、
4,4'-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'-ジアミノジ
フェニルスルフォン、2,2-ビス(4-アミノフェニル) ヘ
キサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキ
シ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、ビス-[4-(4-
アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス-[4-(3
-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、4,4'-ジア
ミノジフェニルメタンなどのジアミンを挙げることがで
きる。好ましくは2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパン[BAPP]、ビス-[4-(4-アミノフェノ
キシ)フェニル]スルフォン、ビス-[4-(3-アミノフェ
ノキシ)フェニル]スルフォンであり、より好ましく
は、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン[BAPP]である。
【0023】本発明に用いられるイミド化合物として
は、芳香族テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸
二無水物及びその誘導体とジアミン成分の当量比rが
0.0≦r≦0.94及び1.06≦r≦2.0の範囲
にあることが好ましい。ただし、r=[全アミン成分の
当量数]/[全酸成分の当量数]である。rが0.94
を超え、1.06未満であるとイミド化合物の分子量が
高分子量化するため液状フェノール樹脂への溶解性が低
下し好ましくない。また、rが2.0を超えると合成し
た耐熱性液状フェノールノボラック樹脂が着色したり、
信頼性の面で好ましくない。また、イミド化合物の平均
重合度nについては、液状フェノール樹脂との溶解性を
考慮する必要があるが、余りに大きいと溶解しなくなり
本発明の目的を達成できない。好ましくは15以下、よ
り好ましくは10以下である。なお、本発明において一
般式(2)のイミド化合物では芳香族ジアミンを含まな
い場合においても目的を達成することが可能であり、平
均重合度nの下限は0以上である。好ましくは0.3以
上、より好ましくは1以上である。一般式(3)におい
ては平均重合度nの下限は1以上である。
【0024】芳香族テトラカルボン酸、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物及びその誘導体と芳香族ジアミンとの
イミド化反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法
で行われる。非プロトン性極性溶媒は、N,N-ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N
-メチル-2-ピロリドン(NMP) 、テトラヒドロフラン(TH
F)、ジグライム、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサンな
どである。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いて
もよいし、二種類以上を混合してもよい。
【0025】この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶
性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。トルエ
ン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素
が良く使用される。混合溶媒における非極性溶媒の割合
は、30重量%以下であることが好ましい。これは非極
性溶媒の割合が余りに多いと極性溶媒の溶解力が低下し
ポリアミック酸が析出する場合がある。
【0026】芳香族テトラカルボン酸、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物及びその誘導体と芳香族ジアミンとの
反応は、良く乾燥したジアミン成分を前述反応溶媒に溶
解し、これに閉環率98%、より好ましくは99%以上
の良く乾燥した芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加
して反応を進める。このようにして得たポリアミック酸
溶液を続いて有機溶媒中で加熱脱水環化してイミド化し
てイミド化合物にする。イミド化反応によって生じた水
は閉環反応を妨害するため、水と相溶しない有機溶媒を
系中に加えて共沸させてディーン・スターク管などの装
置を使用して系外に排出する。水と相溶しない有機溶媒
としては前記芳香族炭化水素などを使用する。また、イ
ミド化反応の触媒として無水酢酸、β−ピコリン、ピリ
ジンなどの化合物を使用することは妨げない。
【0027】本発明において使用するイミド化合物は、
反応溶液をそのまま使用しても良いが、反応溶液を貧溶
媒中に投入してイミド化合物を再沈析出させて未反応モ
ノマーを取り除き、濾過、乾燥して精製することが好ま
しい。
【0028】本発明において、耐熱性液状フェノールノ
ボラック樹脂の形態にするには、液状フェノール樹脂中
に一般式(2)または一般式(3)で示されるイミド化
合物を均一に溶解して製造する。これらの使用量につい
ては、本発明で得られる耐熱性液状フェノールノボラッ
ク樹脂が液体状態であり、50℃での粘度が1000ポ
イズ以下となれば特に制限はないが、液状のフェノール
樹脂100部に対して、一般式(2)または一般式
(3)で示されるイミド化合物の使用量は3〜50部、
好ましくは5〜40部、より好ましくは10〜30重量
部を均一に溶解して製造する。一般式(2)または一般
式(3)で示されるイミド化合物の使用量が余りに少な
ければ耐熱性が不十分となり、その使用量が余りに多け
れば、液状品の粘度が高くなる傾向が生じ好ましくな
い。
【0029】得られた耐熱性液状フェノールノボラック
樹脂は、液状状態であり、試料約1gをE型粘度計
((株)トキメック製)を使用し50℃で測定した値が
1000Ps以下、好ましくは500Ps以下、より好
ましくは250Ps以下である。下限値については、そ
の粘度が小さけれが小さいほどよいが、通常はイミド化
合物を含有しない液状フェノール樹脂の50℃での粘度
と同じかそれより大きい値である。好ましくは1Ps以
上である。
【0030】次に、得られる耐熱性液状フェノールノボ
ラック樹脂のエポキシ樹脂としての用途として、硬化剤
について説明する。この耐熱性液状フェノールノボラッ
ク樹脂は、フェノール性の水酸基を有しているので、通
常のフェノールノボラック樹脂と同様に、エポキシ樹脂
の硬化剤として用いることができる。この耐熱性液状フ
ェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いたエポキシ
樹脂の硬化物は、低吸水性及び耐熱性に優れる。
【0031】この場合に用いるエポキシ樹脂としては、
例えばビスフェノールAやビスフェノールFなどのビス
フェノール類にエポキシ基を付与したビスフェノールジ
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、オルトクレゾール
ノボラック樹脂及び臭素化フェノールノボラック樹脂等
のフェノールノボラック系の樹脂にエポキシ基を付与し
たノボラック型エポキシ樹脂、ジフェニルメタンジアミ
ンテトラグリシジルエーテルやシクロヘキサンジアミン
テトラグリシジルエーテル等のグリシジルアミン型エポ
キシ樹脂、エポキシ化SBRやエポキシ化大豆油等の脂
肪族エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニル
や3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類にエ
ポキシ基を付与したジヒドロキシビフェニルジグリシジ
ルエーテル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフ
タレンジグリシジルエーテル等の多環芳香族型エポキシ
樹脂等を挙げることができ、ノボラック型エポキシ樹
脂、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エ
ポキシ樹脂及び多環芳香族型エポキシ樹脂が好ましく、
ノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
【0032】本発明の耐熱性液状フェノールノボラック
樹脂を硬化剤として用いてエポキシ樹脂硬化物を得るに
は、例えば、特開平8−143648号公報記載の方法
に準じて、本発明の耐熱性液状フェノールノボラック樹
脂の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とのモル比が概
ね当量となるように、本発明の耐熱性液状フェノールノ
ボラック樹脂と前記エポキシ樹脂とを混合してエポキシ
樹脂組成物とし、これを100〜250℃程度で加熱す
る。この際に、エポキシ樹脂組成物中には、硬化を促進
するために一般的に用いられる硬化促進剤、例えば、N
−メチルイミダゾール、トリエチルアミンやトリフェニ
ルフォスフィン等が添加されているのが好ましい。ま
た、必要に応じて、充填剤、カップリング剤、難燃剤、
易滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、増粘剤等の各種添加
剤を添加してもよい。
【0033】本発明の耐熱性液状フェノールノボラック
樹脂は、エポキシ樹脂等の硬化剤として優れた流動性、
硬化特性を発揮し、低吸水性で耐熱性に優れた樹脂硬化
物を提供する。得られた樹脂は低吸水性で耐熱性に優れ
ることから、IC封止材として耐湿性と耐熱衝撃性を有
する封止用樹脂組成が得られる。
【0034】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。なお、部は重量部を示す。
【0035】実施例1 温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000
容量部のガラス製フラスコにフェノール94部(1モ
ル)、o−アリルフェノール134部(1モル)、42
%ホルマリン17.2部(0.24モル)及び蓚酸2部
を三つ口フラスコに入れ、100℃で5h反応させた
後、160℃まで昇温して脱水し、40torrの減圧
下で未反応成分を除去した。得られた液状フェノール樹
脂の粘度は19Ps(25℃)であり、平均重合度nは
1.4であった。温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備
えた容量500容量部のガラス製フラスコに2,3,3'、4'-
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)
58.8部(200ミリモル)、2,2-ビス[4-(4-アミノ
フェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)41.1部
(100ミリモル)及びN-メチル-2-ピロリドン(NM
P)300部を仕込み、窒素気流中で50℃の温度で溶
解させた後、1時間攪拌した後、この溶液にキシレンを
50部添加し200℃に昇温して3時間還流下に攪拌し
て反応水を除去した後イミド化合物が24重量%均一に
溶解しているポリマー溶液が得られた。次に、室温に戻
したポリマー溶液を加圧濾過してイオン交換水を使用し
て析出・洗浄させてイミド化合物を回収した。200℃
で5時間乾燥して粉末状の酸末端イミド化合物92部
(収率95%、イミド化率:実質的に100%、n=
1)が得られた。次に、容量500容量部のガラス製フ
ラスコに、上記で合成した液状フェノール樹脂100部
に、上記で合成したイミド化合物10部を添加し、窒素
気流下、100℃で2時間攪拌し耐熱性液状フェノール
ノボラック樹脂を得た。得られた耐熱性液状フェノール
ノボラック樹脂の粘度は9Ps(50℃)であり、OH
当量は151g/eqであった。さらに、得られた耐熱
性液状フェノールノボラック樹脂80重量部とビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂(油化シェル−エポキシ社製E
p828:エポキシ当量189g/eq)100重量部
及びトリフェニルフォスフィン1重量部を25℃で均一
混合後(25℃での流動性の目安)、150℃、1分間
加熱した後、金型(150×70×4mm)に注入後、
150℃で5時間、さらに180℃で3時間恒温槽で硬
化させテストピースを作成した。このようにして得られ
たテストピースの硬化特性を表3に示した。ここで、得
られた液体フェノール樹脂、耐熱性液状フェノールノボ
ラック樹脂の特性及びテストピースの硬化特性の評価方
法は以下の通りである。 (1)平均重合度(n) GPC測定装置(東ソー社製HLC−802A型)を用
い、分子量分布を測定して平均重合度nを算出した。 (2)粘度測定 JIS K6909に準じてE型粘度計((株)トキメ
ック社製)で測定した。 (3)OH当量の測定 試料2〜3gを無水酢酸1.25gでアセチル化し、ア
セチル化後の酢酸を水酸化カリウムで滴定し、OH当量
を求めた。(アセチル化法) (4)吸水率 JIS K6911に準じて、試験片(直径50±1m
m、厚さ3±1mm)を成形し、100℃の熱水中に2
4h浸した後、前後の重量変化より求めた。 (5)Tg(ガラス転位温度)の測定 熱機械分析法(TMA法)により求めた。 (6)曲げ強度及びヤング率 JIS K6911に準じて測定した。
【0036】実施例2 実施例1において2,3,3'、4'-ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物(a−BPDA)29.0部(100ミリモ
ル)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン(BAPP)82.1部(200ミリモル)の割合
に変えて合成して、200℃で5時間乾燥して粉末状の
アミン末端イミド化合物101部(収率94%、イミド
化率:実質的に100%、n=1)を得た以外は、実施
例1に準じて耐熱性液状フェノールノボラック樹脂を得
た。得られた樹脂の性状を表1に併せて示した。次に、
表2に示す配合割合にてテストピースを作成し、テスト
ピースの硬化物特性を表3に示した。
【0037】実施例3〜6 表1に示す組成で合成したイミド化合物と液状フェノー
ル樹脂から、実施例1に準じて耐熱性液状フェノールノ
ボラック樹脂を得た。次に、得られた耐熱性液状フェノ
ールノボラック樹脂とエポキシ樹脂を表2の割合で反応
させ、実施例1に準じてテストピースを作成し、硬化物
特性を評価した。それぞれの物性を表2及び表3に示し
た。
【0038】比較例1 温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000
容量部のガラス製フラスコにフェノール94部(1モ
ル)、o−アリルフェノール134部(1モル)、42
%ホルマリン17.2部(0.24モル)及び蓚酸2部
を三つ口フラスコに入れ、100℃で5h反応させた
後、160℃まで昇温して脱水し、40torrの減圧
下で未反応成分を除去した。得られた液状フェノール樹
脂の粘度は19Ps(25℃)であり、平均重合度nは
1.4であった。次に、この液状フェノール樹脂75重
量部とビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル−
エポキシ社製Ep828:エポキシ当量189g/e
q)100重量部及びトリフェニルフォスフィン1重量
部を25℃で均一混合後(25℃での流動性の目安)、
150℃、1分間加熱した後、金型(150×70×4
mm)に注入後、150℃で5時間、さらに180℃で
3時間恒温槽で硬化させテストピースを作成した。この
ようにして得られたテストピースの硬化特性を表3に示
した。
【0039】比較例2〜3 表1に示す組成で合成したイミド化合物と液状フェノー
ルノ樹脂から、実施例1に準じて耐熱性液状フェノール
ノボラック樹脂を得た。次に、得られた耐熱性液状フェ
ノールノボラック樹脂とエポキシ樹脂を表2の割合で反
応させ、実施例1に準じてテストピースを作成し、硬化
物特性を評価した。それぞれの物性を表2及び表3に示
した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】以上、詳述した通り本発明の耐熱性液状
フェノールノボラック樹脂は、エポキシ樹脂等の硬化剤
として優れた流動性、吸湿特性、耐熱性を発揮する樹脂
硬化物を提供する。得られた樹脂は上記特性から一液性
の液状封止材に使用し半導体封止に使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31 (72)発明者 高林 誠一郎 山口県宇部市大字小串1988番地の20 明和 化成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CC04W CM04X EL066 EN076 GQ05 4J043 PA02 PB08 PB15 QB26 QB31 RA34 SA06 SB01 TA14 TA22 TB01 UA122 UA131 UA132 UA141 UA151 UB022 UB062 UB121 UB122 UB152 UB281 UB301 ZB02 4M109 AA01 EB03 EC05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で示される液状フェノール樹
    脂と、一般式(2)または一般式(3)のイミド化合物
    を含有し、50℃での粘度が1000ポイズ以下である
    耐熱性液状フェノールノボラック樹脂。 【化1】一般式(1) 【化2】一般式(2) (ただし、式中のR3、R4は芳香族化合物を示し、nは
    0もしくは正の整数を示す。) 【化3】一般式(3) (ただし、式中のR3、R4は芳香族化合物を示し、nは
    正の整数を示す。)ここで、式中のR3は下記の芳香環
    骨格を示す。 ここで、式中のR4は下記の芳香環骨格を示す。 ここで、式中のXは次の構造式を示し、 YはO、S、SO2、炭素原子数0〜6個のアルキル基
    を示す。
  2. 【請求項2】一般式(2)または一般式(3)で示され
    るイミド化合物が、芳香族テトラカルボン酸、芳香族テ
    トラカルボン酸二無水物及びその誘導体のうち少なくと
    も1以上の化合物と芳香族ジアミンから得られる請求項
    1記載の耐熱性液状フェノールノボラック樹脂。
  3. 【請求項3】一般式(1)で示される液状フェノール樹
    脂100部に対して、一般式(2)または一般式(3)
    で示されるイミド化合物を3〜50部含有する請求項1
    または2記載の耐熱性液状フェノールノボラック樹脂。
  4. 【請求項4】一般式(1)で示される液状フェノール樹
    脂の平均重合度nが3以下であり、一般式(2)または
    一般式(3)で示されるイミド化合物の平均重合度nが
    15以下である請求項1から3のいずれか1項記載の耐
    熱性液状フェノールノボラック樹脂。
  5. 【請求項5】一般式(2)または(3)で示されるイミ
    ド化合物の酸の成分である芳香族テトラカルボン酸、芳
    香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体が、
    2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'-ビ
    フェニルテトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体
    である請求項1から4のいずれか1項記載の耐熱性液状
    フェノールノボラック樹脂
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性液
    状フェノールノボラック樹脂を含む半導体封止用硬化
    剤。
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