JP2001212742A - 光学素子の加工時の保持方法及び、光学素子の固定方法、光学素子の保持工具、並びに光学素子の加工方法 - Google Patents

光学素子の加工時の保持方法及び、光学素子の固定方法、光学素子の保持工具、並びに光学素子の加工方法

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JP2001212742A
JP2001212742A JP2000331055A JP2000331055A JP2001212742A JP 2001212742 A JP2001212742 A JP 2001212742A JP 2000331055 A JP2000331055 A JP 2000331055A JP 2000331055 A JP2000331055 A JP 2000331055A JP 2001212742 A JP2001212742 A JP 2001212742A
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Atsushi Yano
敦 矢野
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Lens Barrels (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Mounting And Adjusting Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】レンズ保持部材を加熱して接着剤により被加工
レンズを貼り付け固定する場合の、貼り付け位置の精度
を保証する。 【解決手段】レンズ等の光学素子の加工時の該光学素子
を保持部材に保持する方法であって、前記保持部材の光
学素子保持位置に接着剤に依り光学素子を保持する場合
に、保持位置に保持された光学素子と前記保持部材との
間の空間と、外部大気との通気を行うようにしたことを
特徴とした光学素子の加工時の保持方法により、レンズ
の保持部材への接着剤の軟化作業のための加熱操作によ
るレンズ保持空間内の空気の温度上昇によるレンズ貼り
付け位置精度の狂いを防ぎ、正確なレンズ加工を可能と
することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラ用レンズ、光
学機器用のレンズ等の凹凸レンズ、メニスカスレンズ、
鏡面部材等の反射面、透過面などの光学機能面を有する
光学素子の被加工面を研削加工や、研磨加工する際に、
リセス皿等のレンズ保持部材に保持する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ等の光学機能面を研削加工又は研
磨加工する場合、リセス皿等のレンズ保持部材上に被加
工用のレンズを貼り付けて固定保持し、研削/研磨加工
装置にて加工する。
【0003】保持部材1は図4に示すように、レンズ2
を収容する座ぐり部1Aにレンズの被加工面2Bの裏面
を保持する突起状の保持部1Bを形成し、該保持部に接
着剤を添付し、保持部材1を加熱して接着剤を軟化さ
せ、接着剤の固化によってレンズ2を保持部材1(リセ
ス皿)に取り付けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】カメラ用、光学機器用
のレンズの加工面はミクロンオーダーの高い加工表面精
度が要求される。
【0005】そのために、被加工レンズの保持部材への
高い取り付け精度が要求される。
【0006】図4に示す従来方法の場合、保持部材1に
添付した接着剤を軟化させるために保持部材を所定の軟
化温度に加熱操作し、レンズを保持部に押し付けて、接
着剤との接触を図り、接着剤を介してレンズを保持部材
に固定保持させる。ところが、保持部材がかなり高い温
度(接着剤の軟化温度として100℃前後の温度)に加
熱されるため、保持部材自体が加熱と冷却の熱膨張・収
縮作用と、周囲の大気の温度変化に依る影響を受ける。
【0007】特に、保持部材に取り付けたレンズが、保
持部材の高い温度の影響により貼り付け位置が狂うのを
防ぐ対策が必要である。
【0008】そのために、貼り付けたレンズを抑える専
用の押さえ工具等が必要となる。
【0009】更に、レンズと保持部材との間の空気が保
持部材の加熱に依る温度でかなりの高い温度に上昇し、
レンズの温度上昇を招き、レンズの熱膨張作用を起こす
ことになり、レンズの取り付け位置の精度の狂いとなる
等の問題があった。
【0010】さらに、レンズと保持部材との間の空気が
熱膨張し、その圧力によりレンズを保持部材から押し上
げて、レンズの貼り付け精度が低下するという問題もあ
った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、レンズ等の光学素子の加工時の該光学素
子を保持部材に保持する方法であって、前記保持部材の
光学素子保持位置に接着剤に依り光学素子を保持する場
合に、保持位置に保持された光学素子と前記保持部材と
の間の空間と、外部大気との通気を行うようにしたこと
を特徴とした光学素子の加工時の保持方法を提案する。
【0012】又、本発明の1つは、保持部材に輪帯状突
起部と通気用の穴を設け、前記輪帯状突起部を接着剤の
軟化温度に加熱し、前記輪帯状突起部に接着剤を塗布
し、研削又は研磨加工する被加工面を上面にして光学素
子を前記保持部材の接着剤上の突起部に押し付けること
により、光学素子の裏面と前記保持部材との間の密閉空
間内の加熱空気を前記通気用穴から解放し、続いて、前
記光学素子を回転操作し、前記接着剤を冷却して光学素
子を保持部材に固定するようにしたことを特徴とした光
学素子の固定方法を提案する。
【0013】更に、本発明は、レンズ等の光学素子の加
工時の該光学素子を保持部材に保持する部材であって、
前記保持部材の光学素子保持位置に接着剤に依り光学素
子を保持する場合に、保持位置に保持された光学素子と
前記保持部材との間の空間と、外部大気との通気を行う
通気部を設けたことを特徴とした光学素子の保持工具の
提案により上記課題の解決を図る。
【0014】更に、本発明は、レンズ等の複数の光学素
子を取り付け部上に貼り付けて研削研磨等の加工を行う
保持工具であって、個々の前記光学素子を貼り付け保持
する輪帯状保持部と、個々の前記光学素子の取り付け部
に設けた通気穴と、前記保持工具の軸部に設けた前記個
々の通気穴と連通した連通孔を形成したことを特徴とし
た光学素子の保持部材を提案する。
【0015】更に本発明の他の発明は、被加工用光学素
子を素子保持部材に貼り付け固定して該光学素子を研削
又は研磨加工装置に装着して加工する場合に、前記素子
保持部材を加熱操作して接着剤を軟化させ、前記素子保
持部材に被加工用光学素子を貼り付け操作する際に、素
子保持部材と被加工用光学素子との密閉空間内の高温ガ
スを排出させるようにしたことを特徴とした光学素子の
保持方法の提案により上記課題の解決を図る。
【0016】更に、本発明は、光学素子の光学面を加工
するための光学素子の加工方法であって、前記光学素子
を保持部材に接着剤で保持するに際し、前記保持部材と
該保持部材により接着保持される前記光学素子との間を
通気する穴部を設けるとともに、前記光学素子の接着保
持の後に、前記穴部を塞いで加工するようにしたことを
特徴とした光学素子の加工方法を提案する。
【0017】更に、本発明は、光学素子の加工方法であ
って、通気穴を形成した保持部材に前記光学素子を接着
剤で固定保持した後に、前記通気穴を塞いだ状態で前記
光学素子の光学面に加工液を供給して加工を行い、その
後、前記保持部材を加熱して前記光学素子の接着固定を
解除するようにしたことを特徴とした光学素子の加工方
法を提案する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。
【0019】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態を示す、レンズ保持部材1と、該レンズ保持
部材1に貼り付け保持されるレンズ2を示す図である。
【0020】本実施形態では、レンズ2は、図2に示す
粗研削工程と、図3に示す精研削工程及び研磨工程を経
て製造される。
【0021】図1において、レンズ保持部材1は本体部
1Aと、外周枠部1Bと、レンズ保持用の突起部1C
と、粗研削装置の後述するコレットチャックに保持され
るチャック基準面1Fとを備えている。
【0022】外周枠部1Bは図2に示すように、保持部
材1にレンズ2を保持する際にレンズの外周部を位置決
めする。
【0023】突起部1Cは本体部1Aの内側底面から輪
帯状に突出し、その先端には外側に向かって高くなる傾
斜面が形成されている。
【0024】レンズ2は、その傾斜面により点(線)接
触状態に貼り付けられる。
【0025】本実施形態のレンズ2は、一方の面が凸面
で他方の面が凹面のメニスカスレンズであり、2Aが加
工面、2Bが非加工面である。
【0026】レンズ保持部材1には、本体部1Aに、内
側から外側に貫通する貫通穴1Dが形成されている。
【0027】本例において、レンズ2の直径寸法は10
〜60mm、曲率半径は10〜100mm、レンズ材
料はカメラ等の光学レンズ用材料である。
【0028】レンズ保持部材の材料はステンレス材料、
突起部1Cの高さ寸法は2.0mm、輪帯状の突起部1
Cの直径寸法は11.5mmである。
【0029】貫通穴1Dの直径寸法は2mm、本体部1
Aの厚さ寸法は6.0mmである。
【0030】1Eは、レンズ保持部材1を図3に示す精
研削工具8A及び研磨工具8Bに対して回転揺動運動さ
せるための不図示の棒状部材に係合する係合凹部であ
る。
【0031】4は棒状形状の固形接着剤であり、松脂、
ワックス剤、タール成分のピッチ剤などの混練物であ
る。
【0032】次にレンズ保持部材1にレンズを貼り付け
る操作について説明する。
【0033】初めに、レンズ保持部材1を加熱装置(不
図示)により、接着剤4の軟化温度である約100℃に
加熱する。
【0034】続いて、接着剤4の先端をレンズ保持部材
1の輪帯状の突起部1Cの先端傾斜部に押し当てること
で、接着剤4を軟化させつつ突起部1C先端に添付す
る。
【0035】次に、被加工用のレンズ2の非加工面2B
を突起部1C上に載せ、軽く押し付けながら1〜1/2
回転程度回転させる。
【0036】レンズ2の突起部1Cへの押し付け操作の
工程において、最初に突起部1Cがレンズ2により覆わ
れた状態で、レンズ保持部材の突起部1Cの内側部分と
レンズ2の非加工面2Bとで構成される空間W内の空気
は、高温のレンズ保持部材に暖められて高温となる。
【0037】この密閉空間W内の空気は、その温度上昇
により膨張し、突起部1Cに載せられたレンズ2は、突
起部1Cから浮き上がる方向に押し上げられる。しか
し、レンズ2の突起部1Cへの押け付け操作により、空
間W内の高温の空気はレンズ保持部材1に形成された貫
通穴1Dから外部に排出される。
【0038】この高温の空気が空間W内から排出される
ことにより、レンズの浮き上がりが抑制される。
【0039】空間W内の高温の空気の排出が行われる
と、突起部1C上に載せられたレンズ2は、接着剤の粘
性により突起部1C上に安定して位置決めされ、その
後、接着剤の冷却操作で、レンズ2はレンズ保持部材1
の取り付け固定位置に精度良く保持される。
【0040】なお、レンズ2がレンズ保持部材1に接着
された後には、貫通穴1Dが封止材により封止される。
貫通穴1Dが封止されず開放されたままであると、研削
/研磨加工時に、研削/研磨液が貫通穴1Dを介してレ
ンズ保持部材1内に浸入する。研削/研磨加工が終了し
たレンズ2をレンズ保持部材1から取り外すときには、
接着剤を再度軟化させるためにレンズ保持部材1を加熱
する必要があるが、この加熱時に上記のレンズ保持部材
1内に浸入した研削/研磨液が蒸発して蒸気となり、レ
ンズ2の表面を侵すことがある。そのため、レンズ2が
侵されない様にするには、研削/研磨液がレンズ保持部
材1内に浸入しないように貫通穴1Dを封止しておく必
要がある。
【0041】次に、レンズ2の粗研削/精研削及び研磨
加工は図2、図3に示す工程で行われる。
【0042】図2において、図1に示した工程の方法で
レンズ2をレンズ保持部材2に貼り付け固定し、レンズ
保持部材1を粗研削装置(不図示)の回転軸部のチャッ
クに装着して、レンズ保持部材1に保持したレンズ2を
回転支持する。
【0043】ここで、レンズ2を保持したレンズ保持部
材1を不図示の粗研削装置の回転軸に取り付けるための
コレットチャックの構造について、図9及び図10を参
照して説明する。
【0044】図9はチャックにレンズ保持部材1を取り
付ける前の状態を示す図であり、図10はチャックにレ
ンズ保持部材1を固定した状態を示す図である。
【0045】図9及び図10において、コレットチャッ
ク50は、粗研削装置の回転軸46に固定ねじ48によ
り固定されるコレットチャック本体52と、樹脂材料、
金属材料などの弾性を有する材料からなり、コレットチ
ャック本体52に挿入されるチャック部54と、チャッ
ク部54をコレットチャック本体52に対して引き込み
/押し出し動作させるドローイングバー56と、チャッ
ク部54とドローイングバー56とを接続するためのジ
ョイント部材58とを備えている。チャック部54には
すり割54aが円周上の複数箇所に形成されており、チ
ャック部54の先端部が開閉できるように構成されてい
る。またチャック部54の先端部には、レンズ保持部材
1のチャック基準面1Fをチャックするための凹部54
cが形成されている。
【0046】このように構成されたコレットチャックで
は、図9に示すように、ドローイングバー56が不図示
の手動レバーにより図中右方向に押し出し動作される
と、コレットチャック本体52からチャック部54が押
し出されて、コレットチャック本体52の先端部52a
からチャック部54の斜面54bが離れ、チャック部5
4が矢印A方向に広がり、それに伴って凹部54cも広
がる。これによりレンズ保持部材1をチャック部54に
装着可能となる。
【0047】逆に、図10に示すように、ドローイング
バー56が不図示の手動レバーにより図中左方向に引き
込み動作されると、チャック部54がコレットチャック
本体52に引き込まれ、コレットチャック本体52の先
端部52aがチャック部54の斜面54bに当接し、チ
ャック部54が矢印B方向に閉じる。それに伴ってチャ
ック部54の凹部54cも閉じて、チャック部54にレ
ンズ保持部材1がチャッキングされ、固定される。
【0048】上記のようなコレットチャックによりレン
ズ保持部材1を粗研削装置の回転軸46にチャッキング
した後に、図2に示すように、レンズ2の被加工面2A
を粗研削工具6の回転運動により粗研削加工を行なう。
【0049】更に、粗研削加工の終了したレンズ2は、
図3に示した精研削工具8Aにより精研削加工が行わ
れ、その後研磨工具8Bにより研磨加工が行なわれる。
精研削工具8A及び研磨工具8Bは、その形状は同じで
あり、材質が異なる。
【0050】精研削工具8Aは、例えばダイヤモンド砥
石を貼り付けた工具であり、研磨工具8Bは、例えばポ
リウレタンシートを貼り付けた工具である。また、精研
削加工時及び研磨加工時には、異なる研削/研磨液が使
用される。
【0051】実際の精研削/研磨加工時には、図3に示
すように、精研削工具8A又は研磨工具8B上にレンズ
保持部材1に固定されたレンズ2を載置し、不図示の精
研削/研磨装置に配置された揺動する棒状部材の先端
に、レンズ保持部材1の係合凹部1Eを引っ掛けて、レ
ンズ2を精研削工具8A又は研磨工具8Bの回転運動に
対して相対的に揺動/回転運動させる。
【0052】本実施形態に係るレンズ保持部材1と上記
したレンズ保持方法によるレンズ保持で、上記の粗研削
/精研削及び研磨加工によるレンズ2の加工後の精度は
良好であった。
【0053】具体的には、研磨加工終了後の、レンズ2
のレンズ中心部の厚さの設計上の目標値は1.70±
0.05mmであるが、実際の加工後の寸法精度は加工
レンズ数100個について1.70〜1.72mmの範
囲内となり、寸法のバラツキ値は0.02mmであっ
た。
【0054】又、図4、図5に示すような両凸レンズ
で、直径寸法の異なるレンズの場合の測定結果について
以下説明する。
【0055】図4はレンズ保持部材(リセス皿)に貫通
孔を形成しない従来方法を示し、図5は本実施形態のよ
うに保持部材1に貫通穴1Dを形成した場合を示してい
る。これらのそれぞれの場合について、レンズ保持部材
の基準位置から貼り付けレンズの曲率面の頂点位置まで
の距離t1,t2を測定した。
【0056】レンズ直径寸法12φの場合、レンズ保持
部材1に貫通穴1Dを設けた場合では、t2寸法の変化
の差は+0.002mmであり、従来方法の貫通穴1D
の無い場合では、t1寸法の変化の差は+0.22mm
であった。
【0057】レンズ直径寸法23φの場合、貫通穴1D
が有る場合は、t2は+0.005mm、穴無しの場合
は、t1は+0.38mmであった。
【0058】又、レンズ直径寸法35φの場合、貫通穴
1Dが有る場合は、t2は+0.003mm、穴無しの
場合は、t1は+0.45mmであった。
【0059】即ち、同じ寸法のレンズを同じ加工条件で
加工すると、貼り付け高さ寸法t1とt2の寸法値に2
20〜450μmの差が生じることになり、その結果、
貫通穴が無い場合には粗研削/精研削及び研磨の加工量
がそれだけ余分に加工されてレンズの厚さ寸法が薄くな
り、一般レンズのt寸法公差0.1mmをはるかに越え
て不良品となってしまう。
【0060】(第2の実施形態)図6以下は、1つのレ
ンズ保持部材(リセス皿)10に複数の被加工用レンズ
12A,12B,12C,12D,,,,12Nの14個を貼り
付け固定する例を示す図である。
【0061】図6は、レンズ保持部材10の貼り付け固
定面10Aに14個の被加工用レンズ12A,12B,
12C,,,,,12Nを固定した状態の平面図であ
る。
【0062】図7は図6のX−X方向の断面図、図8は
要部断面部分図である。
【0063】本例のレンズ保持部材10は、レンズ貼り
付け固定面10A上に各レンズを固定するための座ぐり
凹部10p1,10p2,,,10p14を14個分有
し、その各座ぐり凹部内に各レンズを貼り付け保持する
ための輪帯状突起部10A,10B(不図示)、、、が
夫々形成されている。
【0064】また、上記の輪帯状突起部は第1の実施形
態と同様に、先端部に傾斜面を有している。
【0065】個々の座ぐり凹部の中央位置には貫通孔1
0a,10b,,,,10nが形成されている。
【0066】各貫通孔10a〜10nはレンズ保持部材
10の軸部10Xに形成された中心孔10Yに接続され
ており、この中心孔10Yは大気に開放されている。
【0067】各座ぐり凹部の貫通孔10a,10
b,,,は中心孔10Yに向けて形成されている。
【0068】本実施形態において、レンズ保持部材10
を加熱装置により接着剤の軟化温度以上に加熱し、各座
ぐり凹部内の輪帯状突起部の先端に接着剤を添付して、
被加工用レンズを順次押し付けることで、座ぐり凹部1
0p1,,,10p14内のレンズとの間の空間W内
の、レンズ保持部材10の加熱により温度上昇した空気
を貫通孔10a〜10nから中心孔10Yに排気する。
【0069】ここで、レンズ保持部材10を粗研削装置
60の回転軸62に取り付けるためのコレットチャック
64の構造について、図11及び図12を参照して説明
する。
【0070】図11はチャックにレンズ保持部材10を
取り付ける前の状態を示す図であり、図12はチャック
にレンズ保持部材10を固定した状態を示す図である。
【0071】図11及び図12において、コレットチャ
ック64は、粗研削装置60の回転軸62に固定ねじ6
6により固定されるコレットチャック本体68と、樹脂
材料、金属材料などの弾性を有する材料からなり、コレ
ットチャック本体68に挿入されるチャック部70と、
チャック部70をコレットチャック本体68に対して引
き込み/押し出し動作させるドローイングバー72と、
ドローイングバー72の動きを制限するストッパ74と
を備えている。チャック部70にはすり割70aが円周
上の複数箇所に形成されており、チャック部70の先端
部が開閉できるように構成されている。またチャック部
70の先端部には、レンズ保持部材10の軸部10Xを
チャックするための凹部70cが形成されている。
【0072】このように構成されたコレットチャックで
は、図11に示すように、回転軸62が不図示の手動レ
バーにより図中下方に引き込み動作されると、ドローイ
ングバー72の下端部がストッパ74に当接し、コレッ
トチャック本体68からチャック部70が押し出され
て、コレットチャック本体68の内斜面68aからチャ
ック部70の斜面70bが離れ、チャック部70が矢印
C方向に広がり、それに伴って凹部70cも広がる。こ
れによりレンズ保持部材10をチャック部70に装着可
能となる。
【0073】逆に、図12に示すように、回転軸62が
不図示の手動レバーにより図中上方に押し出し動作され
ると、ドローイングバー72の下端部がストッパ74か
ら離れ、ドローイングバー72を図中下方に付勢する不
図示のバネの力によりチャック部70がコレットチャッ
ク本体68内に引き込まれ、コレットチャック本体68
の内斜面68aがチャック部70の斜面70bに当接
し、チャック部70が閉じる。それに伴ってチャック部
70の凹部70cも閉じて、チャック部70にレンズ保
持部材10がチャッキングされ、固定される。
【0074】
【発明の効果】以上のように、本発明に依れば、レンズ
等の光学素子の加工時の該光学素子を保持部材に保持す
る方法であって、前記保持部材の光学素子保持位置に接
着剤に依り光学素子を保持する場合に、保持位置に保持
された光学素子と前記保持部材との間の空間と、外部大
気との通気を行うようにしたことを特徴とした光学素子
の加工時の保持方法により、レンズの保持部材への接着
剤の軟化作業のための加熱操作によるレンズ保持空間内
の空気の温度上昇によるレンズ貼り付け位置精度の狂い
を防ぎ、正確なレンズ加工を可能とすることができた。
【0075】更に、本発明は、保持部材に輪帯状突起部
と通気用の穴を設け、前記輪帯状突起部を接着剤の軟化
温度に加熱し、前記輪帯状突起部に接着剤を塗布し、研
削又は研磨加工する被加工面を上面にして光学素子を前
記保持部材の接着剤上の突起部に押し付けることによ
り、光学素子の裏面と前記保持部材との間の密閉空間内
の加熱空気を前記通気用穴から解放し、続いて、前記光
学素子を回転操作し、前記接着剤を冷却して光学素子を
保持部材に固定するようにしたことを特徴とした光学素
子の固定方法に依り、安定した貼り付け方法を得る事が
できた。
【0076】又、本発明は、レンズ等の光学素子の加工
時の該光学素子を保持部材に保持する部材であって、前
記保持部材の光学素子保持位置に接着剤に依り光学素子
を保持する場合に、保持位置に保持された光学素子と前
記保持部材との間の空間と、外部大気との通気を行う通
気部を設けたことを特徴とした光学素子の保持工具の提
案により、作業性の向上を図る事ができた。
【0077】更に、レンズ等の複数の光学素子を取り付
け部上に貼り付けて研削研磨等の加工を行う保持工具で
あって、個々の前記光学素子を貼り付け保持する輪帯状
保持部と、個々の前記光学素子の取り付け部に設けた通
気穴と、前記保持工具の軸部に設けた前記個々の通気穴
と連通した連通孔を形成したことを特徴とした光学素子
の保持部材に依り、複数のレンズ加工時のレンズの加工
精度のバラツキのない生産性の高いレンズ保持部材を得
る事ができた。
【0078】また、光学素子の保持部材に通気穴を設
け、光学素子を貼り付けた後にこの通気穴を塞ぐことに
より、光学素子材料が研磨/研削液に侵されることを防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のレンズをレンズ保持
部材上に貼り付け固定する説明図である。
【図2】本発明のレンズ保持部材による粗研削加工の説
明図である。
【図3】精研削加工及び研磨加工の説明図である。
【図4】従来の貼り付けの場合の説明図である。
【図5】本発明によるレンズ貼り付けの説明図である。
【図6】第2の実施形態のレンズ保持部材の平面図であ
る。
【図7】図6のX−X方向の断面図である。
【図8】図7の部分図である。
【図9】チャックにレンズ保持部材を取り付ける前の状
態を示す図である。
【図10】チャックにレンズ保持部材を固定した状態を
示す図である。
【図11】チャックにレンズ保持部材を取り付ける前の
状態を示す図である。
【図12】チャックにレンズ保持部材を固定した状態を
示す図である。
【符号の説明】
1 レンズ保持部材(リセス皿) 1A 本体部 1B 周壁部 1C 輪帯状突起部 1D 貫通穴 1E 軸受部 1F チャック基準面 2 被加工用レンズ 2A 被加工面 4 接着剤 6 粗研削工具 8A 精研削工具 8B 研磨工具 10 レンズ保持部材(リセス皿) 10A レンズ貼り付け面 10a 貫通穴 10X レンズ保持部材の軸部 10Y 中心貫通穴 12A 被加工用レンズ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンズ等の光学素子の加工時の該光学素
    子を保持部材に保持する方法であって、前記保持部材の
    光学素子保持位置に接着剤に依り光学素子を保持する場
    合に、保持位置に保持された光学素子と前記保持部材と
    の間の空間と、外部大気との通気を行うようにしたこと
    を特徴とした光学素子の加工時の保持方法。
  2. 【請求項2】 保持部材に輪帯状突起部と通気用の穴を
    設け、前記輪帯状突起部を接着剤の軟化温度に加熱し、
    前記輪帯状突起部に接着剤を塗布し、研削又は研磨加工
    する被加工面を上面にして光学素子を前記保持部材の接
    着剤上の突起部に押し付けることにより、光学素子の裏
    面と前記保持部材との間の密閉空間内の加熱空気を前記
    通気用穴から解放し、続いて、前記光学素子を回転操作
    し、前記接着剤を冷却して光学素子を保持部材に固定す
    るようにしたことを特徴とした光学素子の固定方法。
  3. 【請求項3】 レンズ等の光学素子の加工時の該光学素
    子を保持部材に保持する部材であって、前記保持部材の
    光学素子保持位置に接着剤に依り光学素子を保持する場
    合に、保持位置に保持された光学素子と前記保持部材と
    の間の空間と、外部大気との通気を行う通気部を設けた
    ことを特徴とした光学素子の保持工具。
  4. 【請求項4】 レンズ等の複数の光学素子を取り付け部
    上に貼り付けて研削研磨等の加工を行う保持工具であっ
    て、個々の前記光学素子を貼り付け保持する輪帯状保持
    部と、個々の前記光学素子の取り付け部に設けた通気穴
    と、前記保持工具の軸部に設けた前記個々の通気穴と連
    通した連通孔を形成したことを特徴とした光学素子の保
    持部材。
  5. 【請求項5】 被加工用光学素子を素子保持部材に貼り
    付け固定して該光学素子を研削又は研磨加工装置に装着
    して加工する場合に、前記素子保持部材を加熱操作して
    接着剤を軟化させ、前記素子保持部材に被加工用光学素
    子を貼り付け操作する際に、素子保持部材と被加工用光
    学素子との密閉空間内の高温ガスを排出させるようにし
    たことを特徴とした光学素子の保持方法。
  6. 【請求項6】 光学素子の光学面を加工するための光学
    素子の加工方法であって、前記光学素子を保持部材に接
    着剤で保持するに際し、前記保持部材と該保持部材によ
    り接着保持される前記光学素子との間を通気する穴部を
    設けるとともに、前記光学素子の接着保持の後に、前記
    穴部を塞いで加工するようにしたことを特徴とした光学
    素子の加工方法。
  7. 【請求項7】 光学素子の加工方法であって、通気穴を
    形成した保持部材に前記光学素子を接着剤で固定保持し
    た後に、前記通気穴を塞いだ状態で前記光学素子の光学
    面に加工液を供給して加工を行い、その後、前記保持部
    材を加熱して前記光学素子の接着固定を解除するように
    したことを特徴とした光学素子の加工方法。
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