JP2001211880A - γ−グルタミルトランスペプチダーゼ - Google Patents

γ−グルタミルトランスペプチダーゼ

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JP2001211880A
JP2001211880A JP2000027229A JP2000027229A JP2001211880A JP 2001211880 A JP2001211880 A JP 2001211880A JP 2000027229 A JP2000027229 A JP 2000027229A JP 2000027229 A JP2000027229 A JP 2000027229A JP 2001211880 A JP2001211880 A JP 2001211880A
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Japan
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nacl
ggt
glutamyl
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JP2000027229A
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Hidehiko Kumagai
英彦 熊谷
Hideyuki Suzuki
秀之 鈴木
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Ajinomoto Co Inc
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスペルギルス・オリゼのγ−グルタミルト
ランスペプチダーゼを精製し、同定する。 【解決手段】 アスペルギルス・オリゼの培養物から、
下記性質を有するγ−グルタミルトランスペプチダーゼ
を精製する。 (1)作用:ペプチドまたはアミノ酸にγ−グルタミル
基を転移する反応、又は、γ−グルタミル化合物を加水
分解する反応を触媒する。 (2)至適pH:18%NaCl存在下でpH8以上 (3)NaCl耐性:約pH8.7において、NaCl
非存在下での活性に対し、18%NaCl存在下で50
%以上の加水分解活性、又は100%又はそれ以上のペ
プチド転移活性を示す。 (4)電気泳動により観察される性質: 非還元条件下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳
動でほぼ単一のバンドを形成する。 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動で、約40kDa及び約20kDaの二本のバ
ンドを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規γ−グルタミ
ルトランスペプチダーゼに関し、詳しくはアスペルギル
ス・オリゼに由来する耐塩性を有するγ−グルタミルト
ランスペプチダーゼに関する。γ−グルタミルトランス
ペプチダーゼは、ペプチド又はアミノ酸のγ−グルタミ
ル化反応、及びγ−グルタミル化合物の加水分解反応に
用いることができる。これらの反応は、医薬又は食品分
野に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】γ−グルタミルトランスペプチダーゼ
(以下、「GGT」ともいう)は、γ−グルタミル基を
ペプチドまたはアミノ酸に転移する反応を触媒する酵素
である。また、GGTはグルタチオンなどのγ−グルタ
ミル化合物を加水分解する活性を有する。
【0003】GGTは肝臓等の細胞の細胞質膜に存在
し、細胞外のアミノ酸の細胞内への取り込みに関与する
酵素であり、肝機能診断のマーカー(γ−GTP)とし
て知られている。GGTは生物に広く存在し、エシェリ
ヒア・コリ(特開平2−231085号)、及びバチル
ス・ズブチリス(特開平3−232486号)では、同
酵素をコードする遺伝子及びそれらの遺伝子を用いてG
GTを製造する方法が開示されている。また、バチルス
・ズブチリス又はバチルス・リケニフォルミスを酵母エ
キスを含む培地中で好気的条件で培養することによって
GGTを製造する方法が提案されている(特開平4−2
81787号)。
【0004】一方、アスペルギルス・オリゼ(Aspergil
lus oryzae)が産生する細胞外グルタミナーゼ(γ−グ
ルタミンアミドヒドロラーゼ)の粗酵素調製物が、L−
グルタミン及びグリシルグリシンからγ−グルタミルグ
リシルグリシンを生成し、GGT活性を保持することが
報告されている(J. Ferment. Technol., 66(3), 299-3
04 (1988))。しかし、アスペルギルス・オリゼが産生
するGGTは未だ精製されておらず、酵素学的性質も解
明されていなかった。
【0005】尚、ペニシリウム・ロックフォルティの産
生するGGTの部分精製酵素が、比較的耐塩性であるこ
とが知られている(Agric. Biol. Chem., 52(9), 2373-
2374, 1988)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、アス
ペルギルス・オリゼにおいてはGGT活性として確認さ
れているのみであり、酵素の同定はなされていなかっ
た。本発明は、アスペルギルス・オリゼのGGTを精製
し、酵素学的性質を明らかにすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々のア
スペルギルス・オリゼ菌株から高いGGT活性を示す菌
株を選択することに成功し、さらに、同菌株の培養物か
らGGTを均質になるまで精製することに成功し、本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、下記性質を有するGG
Tである。 (1)作用:ペプチドまたはアミノ酸にγ−グルタミル
基を転移する反応、又は、γ−グルタミル化合物を加水
分解する反応を触媒する。 (2)至適pH:18%NaCl存在下でpH8以上。 (3)耐塩性:約pH8.7において、NaCl非存在
下での活性に対し、18%NaCl存在下で50%以上
の加水分解活性、又は100%又はそれ以上のペプチド
転移活性を示す。 (4)電気泳動により観察される性質: 非還元条件下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳
動でほぼ単一のバンドを形成する。 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動で、約40kDa及び約20kDaの二本のバ
ンドを形成する。
【0009】本発明はまた、前記GGTにおいて、大サ
ブユニットと小サブユニットからなり、大サブユニット
はN末端アミノ酸配列中に配列番号1のアミノ酸番号5
〜17のアミノ酸配列を含み、小サブユニットはN末端
アミノ酸配列中に配列番号2のアミノ酸番号2〜14の
アミノ酸配列を、それぞれ含むGGTを提供する。以
下、上記性質を有する本発明のGGTを、単に「GG
T」ということがある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のGGTは、下記性質を有する。
【0011】(1)作用:ペプチドまたはアミノ酸にγ
−グルタミル基を転移する反応、又は、γ−グルタミル
化合物を加水分解する反応を触媒する。 (2)至適pH:18%NaCl存在下でpH8以上 (3)耐塩性:約pH8.7において、NaCl非存在
下での活性に対し、18%NaCl存在下で50%以上
の加水分解活性、又は100%又はそれ以上のペプチド
転移活性を示す。 (4)電気泳動により観察される性質: 非還元条件下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳
動でほぼ単一のバンドを形成する。 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)で、約40kDa及び約
20kDaの二本のバンドを形成する。
【0012】上記の性質を有するGGTは、アスペルギ
ルス・オリゼの小麦ふすま培地を用いた培養物から単
離、精製されたものであり、本発明者により初めて同定
された。このアスペルギルス・オリゼ由来のGGTは、
後記実施例に示すように、SDS−PAGEによる分子
量約40kDaの大サブユニットと分子量約20kDa
の小サブユニットからなり、それぞれのポリペプチドの
N末端アミノ酸配列中に、配列表配列番号1、配列番号
2に示すアミノ酸配列を含んでいる。
【0013】また、本発明のGGTは、少なくともγ−
グルタミル−p−ニトロアニリドからγ−グルタミル基
をグリシルグリシンに転移する。また、γ−グルタミル
−p−ニトロアニリドを加水分解する。
【0014】次に、本発明のGGTの製造法の例を説明
する。アスペルギルス属に属する糸状菌、好ましくはア
スペルギルス・オリゼを、ポテト・デキストロース寒天
培地で胞子が十分に形成されるまで28℃で培養する。
アスペルギルス・オリゼとしては、アスペルギルス・オ
リゼIAM2706株が挙げられる。本発明者らは、アスペル
ギルス・オリゼの種々の菌株約60株から、GGTを高
生産する菌株として、IAM2706株を選択した。同株は、
インスティチュート・オブ・モレキュラー・アンド・セ
ルラー・バイオサイエンス(旧インスティチュート・オ
ブ・アプライド・マイクロバイオロジー)(Institute
of Molecular and Cellular Biosciences. (Formerly,
Institute of Applied Microbiology)、住所:日本国東
京都文京区弥生一丁目東京大学(The university of To
kyo, Yayoi 1-chome, Bunkyo-ku, Tokyo, Japan)から
入手可能である。
【0015】次に、前記培地に形成された胞子の懸濁液
を小麦ふすま培地接種し、28℃で3日程度培養する。
培養途中に培地を攪拌し、通気を良くすることが好まし
い。このようにして得られた培地を、0.05MTri
s−HClpH9に攪拌した後、濾過し、粗酵素液を濾
液として得る。以下の操作は、低温下で行うことが好ま
しい。
【0016】上記粗酵素液を、硫安分画、イオン交換ク
ロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を組
み合わせて分画することにより、GGTを精製すること
ができる。具体的には、例えば以下のようにして行う。
【0017】まず、硫酸アンモニウムを用いて分画す
る。60%飽和の硫安で沈殿せず、80%飽和で沈殿す
る画分を採取する。次に、採取した画分をDEAE−セ
ファデックスA−50カラム(ファルマシア社)に供
し、NaCl濃度勾配(0〜1.0M)で溶出する。次
に、活性画分をセルロファインGC700−mカラム
(生化学工業)でゲル濾過分画する。続いて、活性画分
をギガパイトカラム(生化学工業)に供し、NaCl濃
度勾配(0.01M〜0.7Mリン酸カリウム緩衝液p
H8.0)で溶出し、活性画分を得る。最後に、フェニ
ルセファロースCL−4Bカラムに供し、硫酸アンモニ
ウム濃度勾配(1.0〜0M)で溶出する。
【0018】精製の各段階においては、分画された画分
中に含まれるGGT活性を測定し、活性の高い画分を集
めて次の段階に供試することが好ましい。GGT活性
は、例えば、実施例に示すようにJ. Bacteriol., 168,
1325-1331 (1986)に記載の方法に準じて測定することが
できる。分画された活性画分は、硫安沈殿(80%飽
和)により濃縮し、適当な緩衝液に溶解した後、緩衝液
に対して透析することにより、緩衝液交換を行う。
【0019】精製されたGGTの精製度の確認や分子量
の測定は、ゲル電気泳動、ゲルろ過クロマトグラフィー
等によって行うことができる。また、酵素学的性質は、
反応温度あるいは反応pHを変化させて酵素活性を測定
し、あるいは種々の酵素阻害剤や金属イオン等を反応液
に添加し、残存酵素活性を測定することによって、検討
すればよい。さらに、GGTを種々の濃度のNaCl等
の塩の存在下で測定することにより、耐塩性を調べるこ
とができる。また、GGTを種々のpH条件下又は温度
条件下に一定時間さらした後に酵素活性を測定すること
により、安定pH範囲及び安定温度範囲を調べることが
できる。
【0020】前記したGGTの性質は、このようにして
決定されたものであるが、測定条件によって異なる結果
が得られる場合があることに留意すべきである。例え
ば、ゲル電気泳動による分子量の測定は、用いるゲルの
濃度や分子量マーカーによって影響される。また、酵素
活性は、pHや緩衝液の種類又は塩濃度によって異なる
ことが多い。したがって、GGTの同定に際しては、個
々の性質のみではなく、総合的な検討を行うことが好ま
しい。尚、前記(2)、(3)に示した性質は、実施例
に示したJ. Bacteriol., 168, 1325-1331 (1986)に記載
の方法に準じた方法により測定される活性に基づくもの
である。
【0021】GGTは、アミノ酸を又はペプチドをγ−
グルタミル化することができるので、溶解度の低いアミ
ノ酸又はペプチドをγ−グルタミル化して溶解度を高め
ることができる。また、アミノ酸又はペプチドをγ−グ
ルタミル化することによって、アミノ酸分解酵素又はペ
プチド分解酵素から保護することができる。
【0022】また、味噌や醤油等の食品中のアミノ酸又
はペプチドをγ−グルタミル化することによって、ある
いはγ−グルタミル化合物を加水分解することによっ
て、呈味を改善することができる。本発明のGGTは、
約pH8.7において、NaCl非存在下での活性に対
し、18%NaCl存在下で50%以上の活性を示す。
特に、ペプチド転移活性は、NaCl非存在下に比べ
て、少なくとも18%濃度まではNaCl濃度が増加す
るにつれて活性も高くなる。したがって、NaCl濃度
が高い味噌や醤油中での酵素反応には、本発明のGGT
は好適である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0024】<1>GGT活性及びタンパク質濃度の測
定 以下の実施例において、特記しない限り、GGT活性の
測定は、J. Bacteriol., 168, 1325-1331 (1986)に記載
の方法に準じて行った。具体的には、γ−グルタミル基
供与体としてγ−グルタミル−p−ニトロアニリド(γ
−GpNA)(和光純薬工業)を、受容体としてグリシ
ルグリシンを用いた。γ−GpNA以外の成分を含む溶
液にγ−GpNA溶液を加えることで反応を開始し、3
7℃でインキュベートした後、反応液に3.5N酢酸1
mlを加えて、経時的に反応を停止した。反応液の組成
を表1に示す。
【0025】GGT活性は、上記反応により生成するp
−ニトロアニリン(p−NA)の410nmにおける吸
光度(A410nm)を測定することにより算出した。ペプ
チド転移(transpeptidation)活性は、グリシルグリシ
ンを添加した反応液の410nmにおける吸光度から、
グリシルグリシン無添加の反応液の410nmにおける
吸光度を差し引いた値から算出した。また、加水分解活
性は、グリシルグリシン無添加の反応液の410nmに
おける吸光度変化を測定し、この値から算出した。
【0026】
【表1】 表1反応液組成 ─────────────────────────────────── ペプチド転移活性(ml)加水分解活性(ml) ─────────────────────────────────── 1mM γ−GpNA 0.25 0.25 0.3Mグリシルグリシン pH 8.73 0.1 0 0.5M Tris-HCl pH 8.73 0.05 0.05 水 0 0.1 酵素液 0.1 0.1 ───────────────────────────────────
【0027】酵素活性の単位は、1分間に1μmolの
p−NAを生成する活性を1ユニットとした。酵素活性
の計算には、下記式を用いた。
【0028】
【数1】酵素活性(mU/ml)=(ΔA410nm×1000×v)
/(E×T×V) E:1mM p-NAの410nmにおける分子吸光係数、8.8 v:反応液量(ml)、1.5 T:反応時間(分) V:添加酵素液量(ml)
【0029】タンパク質濃度は、標準タンパク質として
BSA(ウシ血清アルブミン)を用いて、ローリー(Lo
wry)法(J. Biol. Chem., 193, 265-275 (1951))によ
り測定した。
【0030】<2>GGT活性を有する菌株のスクリー
ニング 味噌や醤油の醸造用麹由来のアスペルギルス・オリゼの
種々の菌株約60株から、粗酵素溶液を調製し、GGT
活性及びタンパク質濃度を測定した。具体的な手順は以
下に示すとおりである。
【0031】(1)前培養 ポテト・デキストロース寒天培地(Potato dextrose: D
ifco社)で斜面培地を作製し、同培地に各菌株を接種
し、胞子が十分に形成されるまで28℃で培養した。
【0032】(2)本培養 直径15cm、深さ3.8cmのシャーレに市販の小麦
ふすま(井澤製粉株式会社製、京都市南区久世中久町7
36)30gを入れ、リン酸カリウム緩衝液(0.1M, pH
7.2)を30ml加えてふすまを湿らせ、30分間オー
トクレーブした。前培養した前記の斜面培地に5mlの
滅菌水を加えて十分に攪拌し、胞子懸濁液を得、小麦ふ
すま培地に流し込み、滅菌した薬さじで十分にかき混ぜ
た。培養は、28℃で72時間行った。培養開始から2
4時間後に、通気をよくするために、滅菌した薬さじで
培地を攪拌した。
【0033】(3)粗酵素溶液の調製 本培養後の培地に純水120mlを加えて十分に攪拌
し、4℃で12時間放置した後、さらし木綿の布で濾過
した。濾液を8000r.p.m.で10分間、冷却下で遠心し
た。得られた上清を粗酵素溶液とした。
【0034】(4)高GGT活性株の選択 上記のようにして得られた粗酵素溶液を用いて、<1>
に示した方法によりGGT活性及びタンパク質濃度を測
定し、最も比活性の高い株としてIAM2706株を選択し
た。
【0035】<3>GGTの精製 (3)において純水の代わりに0.05MTris−H
ClpH9を用いた以外は<2>と同様にして、アスペ
ルギルス・オリゼIAM2706株を小麦ふすま培地を入れた
シャーレ30枚を用いて培養し、粗酵素液を調製した。
この粗酵素液から、以下に示す手順によってGGTを精
製した。すべての操作は、4℃で行った。
【0036】(1)ステップ1:硫安分画 上記粗酵素液に、硫酸アンモニウムを60%飽和となる
ように加え、アンモニアを用いてpHを9.0に調整し
た。8000r.p.m.で10分間遠心して上清を取得し、硫酸
アンモニウムを80%飽和となるように加えた。遠心に
より沈殿を採取し、必要最少量の緩衝液A(0.05M Tris
-HCl, pH9.0)に溶解し、緩衝液Aに対して透析した。
【0037】(2)ステップ2:DEAE−セファデッ
クスA−50カラムクロマトグラフィー ステップ1の透析液を、緩衝液Aで平衡化されたDEA
E−セファデックスA−50(ファルマシア社)(3.
0×18cm)に供し、緩衝液A中の0〜1.0MNa
Clの直線グラジエントで溶出した。活性画分は、硫安
沈殿(80%飽和)により濃縮した。遠心により沈殿を
採取し、必要最少量の緩衝液Aに溶解し、緩衝液Aに対
して透析した。
【0038】(3)ステップ3:セルロファインGC7
00−mカラムクロマトグラフィー ステップ2の透析液を、緩衝液Aで平衡化されたセルロ
ファインGC700−mカラム(生化学工業)(1.4
×143cm)に供し、緩衝液Aで溶出した。活性画分
は、硫安沈殿(80%飽和)により濃縮した。遠心によ
り沈殿を採取し、必要最少量の緩衝液B(0.01Mリン酸
カリウム緩衝液、pH8.0)に溶解し、緩衝液Bに対して
透析した。
【0039】(4)ステップ4:ギガパイトカラムクロ
マトグラフィー ステップ3の透析液を、緩衝液Bで平衡化されたギガパ
イト(Gigapite)カラム(生化学工業)(2.7×25
cm)に供し、0.01M〜0.7Mのリン酸カリウム
緩衝液(pH8.0)の直線グラジエントで溶出した。
活性画分は、硫安沈殿(80%飽和)により濃縮した。
遠心により沈殿を採取し、必要最少量の1.0M硫酸ア
ンモニウムを含む緩衝液Aに溶解し、1.0M硫酸アン
モニウムを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0040】(5)ステップ5:フェニルセファロース
CL−4Bカラムクロマトグラフィー ステップ4の透析液を、1.0M硫酸アンモニウムを含
む緩衝液Aで平衡化されたフェニルセファロースCL−
4Bカラム(ファルマシア社)(2.3×13cm)に
供し、緩衝液A中の1.0〜0M硫酸アンモニウムの直
線グラジエントで溶出した。活性画分は、硫安沈殿(8
0%飽和)により濃縮した。遠心により沈殿を採取し、
必要最少量の緩衝液Aに溶解し、緩衝液Aに対して透析
した。
【0041】(6)精製の結果 前記の各ステップによる精製の結果を、表2に示す。
【0042】
【表2】 表2 GGTの精製 ──────────────────────────────────── 全タンパク質(mg) 全活性(U) 比活性(U/mg) ──────────────────────────────────── T H T H ──────────────────────────────────── 粗酵素液 27,200 1,140 537 0.0420 0.0197 硫安沈殿* 2,340 17,700 291 9.73 0.124 DEAE-セファテ゛ックスA-50 240 600 76.8 2.50 0.320 セルロファインGC700-m 144 369 43.3 2.56 0.300 ギガパイト 19.8 240 28.0 12.0 1.4 フェニルセファロースCL-4B 0.92 8.10 0.700 9.00 0.760 ──────────────────────────────────── *:60〜80%飽和 T:ペプチド転移活性 H:加水分解活性
【0043】最終的に、GGTはペプチド転移活性で2
14倍上昇し、収率は0.71%であった。最終精製品
を非還元条件下での30〜4%グラジエント ポリアク
リルアミドゲル電気泳動(native-PAGE)で観察したと
ころ、単一のバンドが認められ、ほぼ単一にまで精製さ
れたことが確認された(図1)。また、還元条件下での
11.6%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS-PAGE)で観察したところ、二本のバンドが認めら
れた(図2)。これらの結果から、アスペルギルス・オ
リゼIAM2706株が産生するGGTは、分子量約40,000の
大サブユニットと、分子量約20,000の小サブユニットか
らなるオリゴマーであることが示された。
【0044】<4>GGTの性質の解析 上記のようにして得られたGGTの酵素学的性質を調べ
た。
【0045】(1)耐塩性 表1に示す反応液に、NaClを0〜18%となるよう
に加え、精製GGTの酵素活性を測定した。結果を図3
に示す。この結果から明らかなように、アスペルギルス
・オリゼIAM2706株が産生するGGTは、高塩濃度下で
も高い残存活性を示し、NaCl非存在下での活性に対
し、18%NaCl存在下で50%以上の加水分解活
性、又は100%又はそれ以上のペプチド転移活性を示
した。特に、ペプチド転移活性は、食塩濃度の増加に伴
って活性が上昇した(図3三角印)。
【0046】(2)耐塩性へのpHの影響 表1に示す反応液において、グリシルグリシン溶液及び
Tris-HCl緩衝液のpHを7.2、7.4、8.0、8.
5及び8.7に調整し、NaClを18%となるように
加え、酵素活性を測定した。結果を図4に示す。その結
果、ペプチド転移活性及び加水分解活性のいずれも、前
記範囲においてはpHが高くなるにつれて概ね上昇し
た。
【0047】(3)N末端アミノ酸配列 精製GGTから、 上記の条件でのSDS−PAGEに
よって大サブユニット及び小サブユニットに分離した。
得られた大サブユニット及び小サブユニットについて、
通常の方法にてPVDF膜にうつしとり、そのN末端ア
ミノ酸配列を、ペプチドシークエンサーを用いて決定し
た。大サブユニットのN末端アミノ酸配列を配列表の配
列番号1に、小サブユニットのN末端アミノ酸配列を配
列番号2に示す。尚、大サブユニットのN末端第一アミ
ノ酸残基は判読できなかった。
【0048】上記アミノ酸配列を、公知のGGTのN末
端アミノ酸配列を比較した結果を、図5に示す。アスペ
ルギルス・オリゼのGGTは、バチルス属細菌のGGT
と、少なくともN末端において高い相同性を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明により、アスペルギルス・オリゼ
由来の新規なγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(G
GT)が提供される。本発明のGGTは耐塩性が高く、
味噌や醤油等の食品中でも酵素活性を示すことができる
ので、これらの食品の呈味の改善に利用することが期待
される。
【0050】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 味の素株式会社(AJINOMOTO CO., INC.) <120> γ−グルタミルトランスペプチダーゼ <130> P-7157 <140> <141> 2000-01-31 <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.0
【0051】 <210> 1 <211> 18 <212> PRT <213> Aspergillus oryzae <220> <221> UNSURE <222> (18) <223> indistinct <400> 1 Asn Lys Val Ala Val Gly Lys Asp Gly Met Val Ala Thr Ala His Pro 1 5 10 15 Leu Ala
【0052】 <210> 2 <211> 25 <212> PRT <213> Aspergillus oryzae <220> <221> UNSURE <222> (1) <223> Xaa=Thr or Lys <220> <221> UNSURE <222> (15) <223> indistinct <220> <221> UNSURE <222> (23) <223> Xaa=Leu or Asn <220> <221> UNSURE <222> (24) <223> Xaa=Phe or Leu <400> 2 Xaa Thr His Phe Thr Val Ala Asp Gln Trp Gly Asn Val Val Ser Phe 1 5 10 15 Thr Thr Thr Ile Glu Gln Xaa Xaa Gly 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のGGTの非還元条件下でのポリアク
リルアミドゲル電気泳動写真。
【図2】 本発明のGGTの還元条件下でのSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動写真。右のレーンは分子
量マーカー(LMW泳動マーカー(ファルマシア
製))。
【図3】 本発明のGGTの耐塩性を示す図。縦軸はN
aClを含まないときの活性に対する相対活性を、横軸
はNaCl濃度を示す。三角印はペプチド転移活性を、
●は加水分解活性を表す。
【図4】 本発明のGGTの耐塩性に与えるpHの影響
を示す図。左縦軸はペプチド転移活性を、右縦軸は加水
分解活性を、横軸はpHをそれぞれ表す。△は食塩無添
加でのペプチド転移活性を、黒三角印は18% NaCl添
加でのペプチド転移活性を、○は食塩無添加での加水分
解活性を、●は18% NaCl添加でのペプチド転移活性
を、それぞれ表す。
【図5】 各種GGTのN末端アミノ酸配列の比較を示
す図。Aは大サブユニットを、Bは小サブユニットを示
す。(・)は不明確であることを、(・/・)はいずれのアミノ
酸残基か不明であることを示す。反転文字は、共通する
アミノ酸残基を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:69) C12R 1:69)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記性質を有するγ−グルタミルトラン
    スペプチダーゼ。 (1)作用:ペプチドまたはアミノ酸にγ−グルタミル
    基を転移する反応、又は、γ−グルタミル化合物を加水
    分解する反応を触媒する。 (2)至適pH:18%NaCl存在下でpH8以上。 (3)耐塩性:約pH8.7において、NaCl非存在
    下での活性に対し、18%NaCl存在下で50%以上
    の加水分解活性、又は100%又はそれ以上のペプチド
    転移活性を示す。 (4)電気泳動により観察される性質: 非還元条件下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳
    動でほぼ単一のバンドを形成する。 還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミドゲル
    電気泳動で、約40kDa及び約20kDaの二本のバ
    ンドを形成する。
  2. 【請求項2】 前記γ−グルタミルトランスペプチダー
    ゼは大サブユニットと小サブユニットからなり、大サブ
    ユニットはN末端アミノ酸配列中に配列番号1のアミノ
    酸番号5〜17のアミノ酸配列を含み、小サブユニット
    はN末端アミノ酸配列中に配列番号2のアミノ酸番号2
    〜14のアミノ酸配列を、それぞれ含むことを特徴とす
    る請求項1記載のγ−グルタミルトランスペプチダー
    ゼ。
  3. 【請求項3】 アスペルギルス属由来である請求項1又
    は2記載のγ−グルタミルトランスペプチダーゼ。
  4. 【請求項4】 アスペルギルス・オリゼ由来である請求
    項3記載のγ−グルタミルトランスペプチダーゼ。
  5. 【請求項5】 アスペルギルス・オリゼIAM2706
    株由来である請求項4記載のγ−グルタミルトランスペ
    プチダーゼ。
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CN104792718A (zh) * 2015-05-12 2015-07-22 山东博科生物产业有限公司 一种血清γ-谷氨酰氨基转移酶试剂及检测方法
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