JP2001205178A - 円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】浸漬塗布法により光導電層が表面に塗布形成さ
れた円筒状基体の下端部の内外面にある不要な塗布膜被
除去面を、精確かつ効率的に所望の寸法範囲に除去処理
することができ、生産性の向上が容易に図れる円筒状電
子写真用感光体の塗布膜除去装置を提供することにあ
る。 【解決手段】浸漬塗布法により光導電層が表面に塗布形
成された円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置にお
いて、前記内外面各拭取体のうち内面拭取体が上下二段
に設けられ、かつ上段の拭取体の拭取体主要部を間欠状
に構成した円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置と
することにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真用感光体
の製造装置に関連し、詳しくは光導電層を円筒状基体の
表面に浸漬塗布形成する時に最下端部に付随的に付着し
てしまう不要な塗布膜を除去する工程で用いられる不要
塗布膜除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真用感光体を用いた電子写真装置
は、従来、複写機に適用されて広く活用されている。近
年では、レーザービームプリンターやファクシミリなど
にも応用されて、高速、高画質、高品質、低騒音などの
特徴から適用分野が急速に拡大している。

【０００３】これらの電子写真装置に用いられる電子写
真用感光体は、円筒状基体の表面に光導電層を形成する
ことにより製造される。光導電材料としては、近年、材
料の多様性や毒性の観点から有機化合物の適用が増加し
ている。

【０００４】これらの有機化合物からなる光導電材料を
用いた光導電層の形成方法としては、量産性及びコスト
的観点から一般に塗布法が広く普及し、中でも浸漬塗布
法が最も量産性に優れた方法として主流となっている。

【０００５】浸漬塗布法では、円筒状基体をその上端で
把持機構により把持し、その円筒軸が鉛直をなすように
して下降させ、光導電層形成用の有機化合物を含む塗布
液の中に浸漬した後に適切な速さで上昇させて引き上
げ、円筒状基体の表面に付着した塗布液を乾燥する一連
の塗布工程を積層順に逐次繰り返すことによって光導電
層を形成するのが通常の方法である。

【０００６】円筒状基体を浸漬して引き上げる過程で
は、円筒状基体の下端部は必ず塗布液の中に浸漬される
ことから、円筒状基体の下端部外側には外表面に必要と
される幅員を超える端縁部まで塗布液が付着してしまう
だけでなく、円筒状基体の下端部内側にも中空部内外の
圧力が平衡する位置まで塗布液が侵入して付着する。こ
の円筒状基体下端部の内外周面上の塗布膜は、電子写真
感光体としてはその電子写真プロセスの過程で支障の生
じる膜であり、除去することが必要である。

【０００７】従来、円筒状基体の下端部に付着した不要
な塗布膜の除去処理には、円筒状基体を昇降可能な把持
機構に円筒軸が鉛直をなすように吊り下げ、円筒軸に一
致する回転軸を有する可回転の取付台の凸部に例えば編
織物，不織布，スポンジ，刷毛などからなる比較的柔軟
性のある拭取体を同心円状に配設し、吊り下げられた円
筒状基体を適当な位置に下降させて取付台を回転させた
時、拭取体を円筒状基体の下端部の内周面及び外周面の
塗布膜被除去面に接触させることによって除去する方法
が多用されていた。

【０００８】以下、従来の技術の代表的な例について図
２を参照して説明する。

【０００９】図２は、従来の円筒状電子写真用感光体の
塗布膜除去装置の一例による要部断面図である。回転軸
体７０が図示しない支持台の上面に鉛直に立設され、円
盤状の回転台６０が中央の軸穴６０ａに回転軸体７０を
貫通させて配設される。回転台６０の上面には凹凸型対
称断面形状の取付台５０が中央部に位置する凸部５０ａ
の軸穴5０bに回転軸体７０を貫通させるようにして載置
される。取付台５０は固定具５ｂを介して回転台６０に
固定され、取付台５０の凸部５０aの周囲には適切な硬
度で柔軟性のある内面拭取体４０a及び外面拭取体４０
ｂがそれぞれの先端部を円筒状基体１の下端部にある塗
布膜被除去面の所定域に接触するように回転軸体７０の
中心に対して同心円状に配設される。内面拭取体４０a
は外面拭取体４０ｂより上方に設けられている。拭取り
処理が行われる基体の外面領域は光導電機能を有する塗
布膜の機能領域外の下端部に限定されるが、基体内面は
そのような領域的な制限がないので、内面拭取体４０a
をより上方に配置することにより、円筒状基体１を３〜
４回昇降させれば拭取り領域を拡大させ得るようにして
いる。取付台５0の凸部５０aのさらに上部には回転軸体
７０が貫通するための軸穴３aを中央に設けた案内機構
３設けられる。この案内機構３は円筒状基体の降下時に
回転軸体と軸心を合致させる機能を有している。回転軸
体７０の上端部には溶剤吐出口２aを備えた溶剤吐出機
構２が押具９により前記取付台５０上部の案内機構３の
上端部に固定され取付台５０と一体になって回転するよ
うに支持される。浸漬塗布法により光導電層が表面に塗
布形成された円筒状基体１をその円筒軸が鉛直をなすよ
うに把持して吊り下げるための把持機構８が回転軸体７
０の中心に対向する位置に図示しない昇降機構を介して
配設されている。

【００１０】上記の構成により、浸漬塗布法による浸漬
工程を終了した円筒状基体１を円筒軸が鉛直をなすよう
に把持機構８に吊り下げ、昇降機構を作動させて内面拭
取体４０ａ及び外面拭取体４０ｂの各刷毛先端部を円筒
状基体１の下端部の内周面及び外周面の塗布膜被除去面
の所定域に接触するように円筒軸方向の位置決めを行
い、図示しない歯車，ローラー又はベルトなどからなる
回転伝達機構を介して回転台６０と取付台５０を回転軸
体７０中心に回転させながら、3〜4回円筒状基体の昇降
を繰り返して円筒状基体１に付着した不要な塗布膜を除
去していた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】このような円筒状電子
写真用感光体の塗布膜除去装置により、塗布膜の除去処
理の際には、１回の処理工程で多数の同一形状の円筒状
基体をそれぞれの把持機構に吊り下げて同時に処理を行
うことができるので、その生産性は著しく向上したが、
拭取り後の刷毛に塗布膜成分の残渣が残る個体がしばし
ば見られ、その結果、基体下端部の拭取りが充分でない
ものが生じるなど、拭取りの精度にバラツキがあった。
その問題の解決のためには処理時間を長くすることによ
り拭取り精度を上げざるを得ず作業効率の面で問題があ
った。基体下端部に少しでも拭取り残渣があると、乾燥
後にそれが粉末となって発塵源となり、製品外観、品質
上のトラブルの原因になるので、塗布膜残渣を少しでも
残さないように拭取り、かつ効率的に処理することが望
まれていた。

【００１２】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは浸漬塗布法により光
導電層が表面に塗布形成された円筒状基体の下端部の内
外面にある不要な塗布膜被除去面を、精確かつ効率的に
所望の寸法範囲に除去処理することができ、生産性の向
上が容易に図れる円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去
装置を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、浸漬塗
布法により光導電層が表面に塗布形成された円筒状電子
写真用感光体の基体を円筒軸が鉛直をなすように吊り下
げて昇降させる把持機構と、前記円筒状基体の下端部の
内外面に付着した不要な塗布膜を除去するための各内外
面拭取体をそれぞれ配設した凹凸状回転取付台と、この
取付台の中心の凸部の軸穴を貫通して鉛直に立設される
回転軸体と、この回転軸体内を上ってきた拭取溶剤を吐
出する口を有し回転軸体の上端部に載置される拭取溶剤
吐出機構と、降下する円筒状基体軸心を前記回転軸体の
軸心に合致させるための案内機構を前記取付台の凸部と
前記拭取溶剤吐出機構の間に載置する塗布膜除去装置に
おいて、前記内外面各拭取体のうち内面拭取体が上下二
段に設けられ、かつ上段の拭取体の拭取体主要部を間欠
状に構成した円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置
とすることにより達成される。

【００１４】また、本発明は、前記の塗布膜除去装置に
おいて、円筒状基体の下端部の内外面に付着した不要な
塗布膜を除去するための内外面拭取体が刷毛を主要部と
する円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置とするこ
とが望ましい。

【００１５】さらにまた、本発明は、前記の塗布膜除去
装置において、上段の内面拭取体の円状拭取主要部を８
分割の間欠状に配設した円筒状電子写真用感光体の塗布
膜除去装置とすることが望ましい。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明による電子写真用感光体の
塗布膜除去装置は、従来の塗布膜除去装置の内面拭取体
が一段構成であったため、円筒状基体の下端部内側の拭
取りが充分ではなかった点を改良し、さらに内面拭取体
の一段構成を二段構成とした場合に下段の拭取体への拭
取溶剤の供給が不足する改良したものである。

【００１７】以下に本発明における具体的な実施例を示
すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。

【００１８】図１,図３,図４及び図５を参照して本発明
による円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置の詳細
について説明する。

【００１９】図１は、本発明による円筒状電子写真用感
光体の塗布膜除去装置の一実施例を示す要部断面図であ
る。図示しない支持台の上面には回転軸体７が鉛直に立
設され、回転軸体７を中央の軸穴６ａに貫通させた円盤
状の回転台６が配設され、回転台６の上面には回転軸体
７を中央の軸穴５cに貫通させた凹凸型対称断面形状の
取付台５が固定具５ｂを介して固定される。軸穴５cの
周囲の取付台凸部５aには比較的剛硬な刷毛を外側に向
けた第一内面拭取体４a(下段)と第二内面拭取体４ｂ
（上段）が配設され、取付台凹部には刷毛を内側に向け
た外面拭取体４cがそれぞれ刷毛の先端部を円筒状基体
１の塗布膜被除去面の所定域に接触するようにかつ互い
に同心円状に配設される。第二拭取体４bの上部には回
転軸体７が貫通する軸穴３aを中央に有する案内機構３
が載置され、円筒状基体１が降下の際、その中心軸を回
転軸体７の軸と合致させるように機能している。回転軸
体７と案内機構３の上端部には塗布膜の溶解を介助する
ための溶剤が吐出される溶剤吐出口２ａを備える溶剤吐
出機構２が押具９を介して配設される。その上方には浸
漬塗布法により光導電層が表面に塗布形成された円筒状
基体１を円筒軸が鉛直をなすように把持して吊り下げる
ための把持機構８が中心を回転軸体７の中心に対向する
位置に図示しない昇降機構を介して配設されている。

【００２０】上記の構成において、本発明の最大の特長
であるところは第二と第一の上下二段の内面拭取体４
ｂ、４aが設けられていることである。この構成によ
り、浸漬塗布法による浸漬工程を終了した円筒状基体の
下端部内側に付随的に塗布されてしまう不要な塗布膜の
除去が短時間に効率良く行われる。さらにその際に、上
段の第二内面拭取体４ｂを図３の上面図に示すように刷
毛の部分を一部切り欠いて8分割の間欠状にしてあるの
で、上部の溶剤吐出機構２から吐出される拭取溶剤が下
段の第一内面拭取体４aへ容易に供給されるようにな
り、拭取精度がより短時間に向上する。図3、図4、図５
はそれぞれ上述した第二内面拭取体、第一内面拭取体、
外面拭取体の上面図を示す。

【００２１】なお、上記いずれの構造においても、円筒
状基体１が降下の際、その中心軸を回転軸体７の軸と合
致させる必要があるので、軸穴を貫通する回転軸体７が
取付台５の水平方向の変位を妨げないように軸穴と回転
軸体７との間には適切な隙間を設けている。 （実施例）外径３０ｍｍ，内径２７ｍｍ，長さ３２０ｍ
ｍのアルミニウム合金製の円筒状基体を用いて所定の浸
漬塗布を行った後、本発明による電子写真用感光体の塗
布膜除去装置（図１参照）の把持機構８に円筒状基体１
を２０個吊り下げて固定し、基体下端部の不要塗布膜の
拭取りのために基体を1分間タクトで3回上下に昇降させ
た。さらに基体を取り替えて5回、不要塗布膜の拭取り
処理を繰り返して実施例１〜５とした。この際、第二内
面拭取体の刷毛は図３に示すようなリングを８分割し、
交互に刷毛の有無を配した間欠状の形態のものを用い
た。第一内面拭取体、外面拭取体はそれぞれ４、５に示
すように従来のものと同様にリングの全周に均一に刷毛
が配されているものを用いた。各実施例について、基体
下端部の内外面の不要塗布膜の拭取り性を目視により評
価した。各結果を表１に示す。（比較例）従来の電子写
真用感光体の塗布膜除去装置（図２参照）を用いて把持
機構８に円筒状基体１を２０個吊り下げて固定し、基体
下端部にある不要塗布膜の拭取りのために基体を３分間
タクトで3回上下に昇降させた。さらに基体を取り替え
て5回不要塗布膜の拭取り処理を繰り返して比較例１〜
５とした。その他は実施例と同様とした。

【００２２】実施例１〜５ならびに比較例１〜５におい
て得られた円筒状基体について、各実施例および比較例
から1個づつ計5個を無作為に抽出してその内面及び外面
の拭取状態について調査した。

【００２３】以上の結果を表１に示す。

【００２４】

【表１】 表１から明らかなように、実施例では、5個の基体につ
いて内面及び外面の拭取状態がいずれも安定して良好で
あったのに対し、比較例では、拭取状態に塗布膜のスジ
状拭き取り残渣、内面汚れ、塗布膜成分残留などが確認
されて処理が安定しないことが判る。しかもタクトは３
分の１に短縮され、生産性が高くなることが判明した。

【００２５】

【発明の効果】本発明の塗布膜除去装置は、以上説明し
たように構成されているので、浸漬塗布法により光導電
層が表面に塗布形成された円筒状基体の下端部の内外面
にある不要な塗布膜被除去面を、精確かつ効率的に所望
の寸法範囲に除去処理することができ、生産性の向上が
容易に図れる円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の塗布膜除去装置の一実施態様を示す
断面図である。

【図２】従来の塗布膜除去装置を示す断面図である。

【図３】本発明の内面拭取刷毛を示す平面図である。

【図４】本発明の内面拭取刷毛を示す平面図である。

【図５】本発明の外面拭取刷毛を示す平面図である。

【符号の説明】

１：円筒状基体、 ２:溶剤吐出機構、 ２a：溶剤
吐出口 ３：案内機構、 ４:拭取体、 ５:取付台、
７:回転軸体 ８:把持機構。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浸漬塗布法により光導電層が表面に塗布
   形成された円筒状電子写真用感光体の基体を円筒軸が鉛
   直をなすように吊り下げて昇降させる把持機構と、前記
   円筒状基体の下端部の内外面に付着した不要な塗布膜を
   除去するための各内外面拭取体をそれぞれ配設した凹凸
   状回転取付台と、この取付台の中心の凸部の軸穴を貫通
   して鉛直に立設される回転軸体と、この回転軸体内を上
   ってきた拭取溶剤を吐出する口を有し回転軸体の上端部
   に載置される拭取溶剤吐出機構と、降下する円筒状基体
   軸心を前記回転軸体の軸心に合致させるための案内機構
   を前記取付台の凸部と前記拭取溶剤吐出機構の間に載置
   する塗布膜除去装置において、前記内外面各拭取体のう
   ち内面拭取体が上下二段に設けられ、かつ上段の拭取体
   の拭取体主要部を間欠状に構成したことを特徴とする円
   筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置。
2. 【請求項２】 円筒状基体の下端部の内外面に付着した
   不要な塗布膜を除去するための内外面拭取体が刷毛を主
   要部とするものであることを特徴とする請求項１記載の
   円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置。
3. 【請求項３】 上段の内面拭取体の拭取体主要部を８分
   割の間欠状に配設したことを特徴とする請求項１または
   ２記載の円筒状電子写真用感光体の塗布膜除去装置