JP2001202971A - 触媒電極および該触媒電極の製造方法並びに燃料電池 - Google Patents

触媒電極および該触媒電極の製造方法並びに燃料電池

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JP2001202971A JP2000012446A JP2000012446A JP2001202971A JP 2001202971 A JP2001202971 A JP 2001202971A JP 2000012446 A JP2000012446 A JP 2000012446A JP 2000012446 A JP2000012446 A JP 2000012446A JP 2001202971 A JP2001202971 A JP 2001202971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒電極において電子伝導性とイオン伝導性
との両方を確保する。 【解決手段】 燃料電池のアノード側電極である触媒電
極22は、表面に触媒34を担持するカーボン粒子32
と、このカーボン粒子32の表面を被覆すると共にカー
ボン粒子32同士を互いに連接するポリマ層36とを備
える。ポリマ層36を構成するポリマは、電子伝導性を
有するポリマを合成するための材料となるモノマと、プ
ロトン伝導性を有するポリマを合成するための材料とな
るモノマとからなるブロック共重合体である。触媒電極
22では、ガス拡散電極側から供給された水素を用いて
触媒34上で電気化学反応が進行し、この反応で生じた
プロトンは、ポリマ層36内を通過して電解質膜側へ移
動する。また、上記反応で生じた電子は、カーボン粒子
32およびポリマ層36内を通過してガス拡散電極側へ
移動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒電極および該
触媒電極の製造方法並びに燃料電池に関し、詳しくは、
燃料ガスおよび酸化ガスの供給を受けて起電力を得る燃
料電池において、前記ガス中の所定の成分を用いた電気
化学反応が進行する場である触媒電極およびその製造方
法並びにこのような触媒電極を備える燃料電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料が有する化学エネルギ
を直接に電気エネルギに変換する装置であり、高いエネ
ルギ効率が期待できる装置として知られている。燃料電
池、例えば固体高分子型燃料電池では、電解質膜を挟ん
で対峙する一対の電極のそれぞれに対して、水素を含有
する燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスを供給するこ
とによって、以下に示す電気化学反応が進行する。
【0003】 H2 → 2H++2e- …(1) 2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2) H2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0004】(1)式はアノード側における反応を示
し、(2)式はカソード側における反応を示し、(3)
式は燃料電池全体で行なわれる反応を示す。これらの反
応は、通常、触媒電極といわれる領域で進行する。触媒
電極は、電解質膜と、電解質膜に供給される上記ガスを
拡散させるガス拡散層との間に設けられ、上記電気化学
反応を促進する触媒と導電性物質とを備えている。この
触媒電極に対しては、ガス拡散層を介して上記ガスが供
給され、触媒電極が備える触媒上で、上記ガスに含まれ
る電極活物質(水素または酸素)を利用して、上記電気
化学反応が進行する。電気化学反応が連続的かつ円滑に
進行するためには、この触媒電極において充分にガスが
拡散して、上記ガスに含まれる電極活物質が触媒に対し
て充分に供給され、充分な導電性が確保される(反応に
寄与する電子およびプロトンの伝達経路が触媒電極にお
いて充分に確保される)ことが必要である。
【0005】このような触媒電極としては、電子伝導性
を有する導電性ポリマに、触媒作用を有する金属のイオ
ンをドーパントとして担持させ、さらに還元処理を行な
って、導電性ポリマ中に触媒金属を析出させて成る電極
が知られている(例えば、特開平3−158490号公
報等)。あるいは、表面に触媒を担持するカーボン微粒
子と、イオン伝導性を有する導電性ポリマを含有する電
解質溶液とを混合して触媒ペーストを製造し、この触媒
ペーストを乾燥させることによって触媒電極を形成する
構成も知られている。このような触媒電極では、内部に
触媒金属を充分に分散させて保持することができると共
に、導電性ポリマを用いることで電極に導電性が付与さ
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、燃料電池に用
いられる触媒電極に求められる導電性とは、上記したよ
うに、反応に寄与する電子およびプロトンの伝達経路の
確保に関わるものであり、電子伝導性とイオン伝導性と
の両方が求められる。しかしながら、従来知られる触媒
電極では、電子伝導性およびイオン伝導性の両方を実現
するという働きにおいて、不十分である場合があった。
すなわち、上記電子伝導性を有する導電性ポリマ中に触
媒金属を析出させて成る電極では、導電性ポリマによっ
てある程度の導電性は実現されるものの、導電性ポリマ
を触媒電極の基材として用いることによって充分に電池
の内部抵抗を抑えるだけの電子伝導性を確保するのは困
難であった。
【0007】また、表面に触媒を担持するカーボン微粒
子と、イオン伝導性を有する導電性ポリマとからなる触
媒ペーストによって触媒電極を形成する構成では、上記
カーボン微粒子によって電子伝導性が実現され、上記導
電性ポリマによってイオン伝導性が実現されるが、電子
伝導性を充分に確保するために触媒電極中におけるカー
ボン微粒子の割合を増すと、イオン伝導性が低下してし
まい、イオン伝導性を充分に確保するために導電性ポリ
マの割合を増すと、電子伝導性が低下してしまう。この
ように、電子伝導性とイオン伝導性との両方を充分に確
保することは困難であった。
【0008】本発明の触媒電極および該触媒電極の製造
方法並びに燃料電池は、こうした問題を解決し、触媒電
極において電子伝導性とイオン伝導性との両方を充分に
確保することを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の触媒電極は、電気化学反応を促進する触媒を備え
る触媒電極であって、少なくとも表面に前記触媒を備え
る複数の触媒粒と、前記複数の触媒粒それぞれの表面の
少なくとも一部を被覆すると共に該複数の触媒粒を互い
に連接し、ポリマによって形成されるポリマ層とを備
え、前記ポリマは、電子伝導性を有するポリマを合成す
るための材料となる第1のモノマと、イオン伝導性を有
するポリマを合成するための材料となる第2のモノマと
をブロック共重合させてなることを要旨とする。
【0010】以上のように構成された本発明の触媒電極
は、電気化学反応を促進する触媒を少なくとも表面に備
える複数の触媒粒それぞれの表面の少なくとも一部を、
ポリマ層を形成するポリマが被覆する。また、このポリ
マ層は、上記複数の触媒粒を互いに連接する。さらに、
ポリマ層を形成するポリマは、電子伝導性を有するポリ
マを合成するための材料となる第1のモノマと、イオン
伝導性を有するポリマを合成するための材料となる第2
のモノマとをブロック共重合させてなる。
【0011】このような触媒電極によれば、電子伝導性
を有するポリマを合成するための材料となる第1のモノ
マと、イオン伝導性を有するポリマを合成するための材
料となる第2のモノマとをブロック共重合させてなるポ
リマによって上記ポリマ層を形成するため、ポリマ層
は、電子伝導性とイオン伝導性との両方の性質を有する
ことができる。このポリマ層は、表面に触媒を備える触
媒粒の表面の少なくとも一部を被覆すると共に、この複
数の触媒粒を互いに連接するため、触媒粒上の触媒にお
いて進行する電気化学反応に伴って授受される電子およ
びイオンは、触媒電極において、ポリマ層内を通過する
ことができる。
【0012】なお、上記第1のモノマと第2のモノマと
は、各々1種類のモノマである必要はない。共重合体を
形成したときに、それぞれの共重合体が、電子伝導性あ
るいはイオン伝導性を示すならば、上記第1のモノマあ
るいは第2のモノマは、それぞれ、複数種のモノマから
なることとしてもよい。
【0013】本発明の触媒電極において、前記イオン伝
導性は、プロトン伝導性であることとしてもよい。この
ような構成とすれば、触媒上で進行する電気化学反応に
伴ってプロトンの授受が行なわれるときに、このプロト
ンがポリマ層を通過することができる。
【0014】このような触媒電極において、前記第2の
モノマは、スルホン酸基を備えるモノマであることとし
てもよい。このような構成とすれば、触媒電極内で、ス
ルホン酸基によってプロトン導電性が実現される。
【0015】あるいは、本発明の触媒電極において、前
記触媒粒は、導電性材料からなることとしてもよい。こ
のような構成とすれば、触媒電極において、上記触媒粒
によっても導電性を確保することができる。
【0016】また、本発明の触媒電極において、前記触
媒粒は、表面に前記触媒を担持するカーボン粒子からな
ることとしてもよい。このような構成とすれば、触媒電
極内において、上記ポリマ層に加えてカーボン粒子によ
って高い電子伝導性が確保される。
【0017】あるいは、本発明の触媒電極において、前
記ポリマは、グラフト型ブロック共重合体であることと
してもよい。
【0018】また、本発明の触媒電極は、前記ポリマ層
に被覆される前記複数の触媒粒の間に、微小な空隙が形
成されることによって、前記触媒電極が多孔質体として
構成されることとしてもよい。このような構成とすれ
ば、電気化学反応に供される物質は、上記空隙を通過し
て触媒電極内部の触媒にまで到達することができ、触媒
電極が備える触媒全体が効率よく電気化学反応に寄与す
ることができる。
【0019】本発明の触媒電極の製造方法は、電気化学
反応を促進する触媒を備える触媒電極の製造方法であっ
て、(a)少なくとも表面に前記触媒を備える触媒粒を
用意する工程と、(b)電子伝導性を有するポリマを合
成するための材料となる第1のモノマと、イオン伝導性
を有するポリマを合成するための材料となる第2のモノ
マとをブロック共重合させてポリマを合成する工程と、
(c)複数の前記触媒粒と前記ポリマとを混合して、触
媒電極を形成するための触媒ペーストを作製する工程と
を備えることを要旨とする。
【0020】このような触媒電極の製造方法によれば、
電子伝導性を有するポリマを合成するための材料となる
第1のモノマと、イオン伝導性を有するポリマを合成す
るための材料となる第2のモノマとをブロック共重合さ
せてなるポリマを用いて触媒電極を製造するため、電子
伝導性とイオン伝導性との両方の性質を充分に備えた触
媒電極を製造することができる。さらに、本発明の触媒
電極の製造方法によれば、複数の触媒粒とポリマとを混
合して成る触媒ペーストによって触媒電極を製造するた
め、完成される触媒電極において触媒粒の間に微小な空
隙を設けることができ、多孔質の触媒電極を製造するこ
とができる。
【0021】本発明の触媒電極の製造方法において、前
記イオン伝導性は、プロトン伝導性であることとしても
よい。これによって、電子伝導性と共にプロトン伝導性
を備える触媒電極を製造することができる。
【0022】このような触媒電極の製造方法において、
前記第2のモノマは、スルホン酸基を備えるモノマであ
ることとしてもよい。このような構成とすれば、スルホ
ン酸基によってプロトン導電性が実現される触媒電極を
製造することができる。
【0023】また、本発明の触媒電極の製造方法におい
て、前記触媒粒は、表面に前記触媒を担持するカーボン
粒子からなることとしてもよい。このような構成とすれ
ば、上記ポリマに加えてカーボン粒子によって高い電子
伝導性が確保される触媒電極を製造することができる。
【0024】あるいは、本発明の触媒電極の製造方法に
おいて、前記(b)工程で合成するポリマは、グラフト
型ブロック共重合体であることとしてもよい。
【0025】本発明の燃料電池は、ガスの供給を受け、
電極において、前記ガス中の成分を活物質として電子お
よびイオンの授受を伴う電気化学反応を進行することに
よって起電力を得る燃料電池であって、前記電極とし
て、請求項1ないし6いずれか記載の触媒電極を用いる
ことを要旨とする。
【0026】以上のように構成された本発明の燃料電池
は、供給された前記ガス中の成分を活物質として、上記
触媒電極が備える触媒上で、電子およびイオンの授受を
伴う電気化学反応を進行することによって起電力を得
る。
【0027】このような燃料電池によれば、触媒電極が
備える前記ポリマ層が、電子伝導性とイオン伝導性とを
備えることによって、電気化学反応に伴う電子およびイ
オンの授受が滞り無く行なわれるため、内部抵抗を充分
に抑えることができる。特に、請求項2または3記載の
触媒電極を用いることにより、電気化学反応に伴いプロ
トンの授受が行なわれる固体高分子型燃料電池などの燃
料電池において、その電池性能を向上させることができ
る。また、請求項4記載の触媒電極を用いることによ
り、触媒電極全体の電子伝導性を高めることができ、燃
料電池の内部抵抗をより低くすることができる。また、
請求項6記載の触媒電極を用いることにより、供給され
たガスが触媒電極の内部の触媒にまで到達することが可
能となり、燃料電池において触媒の利用率およびガスの
利用率を向上することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を
実施例に基づき説明する。図1は、本実施例の触媒電極
22の様子を拡大して示す模式図、図2は、触媒電極2
3を備える燃料電池15(固体高分子型燃料電池)を構
成する単セル20の構造を表わす断面模式図、図3は、
単セル20の構成を表わす分解斜視図である。最初に、
図2および図3に基づいて、単セル20によって構成さ
れる燃料電池15について説明する。
【0029】(1)燃料電池15の構成:燃料電池15
は、固体高分子型燃料電池であり、単セル20を複数積
層したスタック構造を有している。図2および図3に示
すように、単セル20は、電解質膜21と、電解質膜2
1を挟持してサンドイッチ構造をなす一対の触媒電極2
2,23と、このサンドイッチ構造をさらに挟持する一
対のガス拡散電極24,25と、これらの構造をガス拡
散電極24,25の外側からさらに挟持するセパレータ
26a,26bとから構成されている。ここで、セパレ
ータ26a,26bは、ガス拡散電極24,25との間
に、燃料ガス及び酸化ガスの流路を形成する。アノード
側のガス拡散電極24とセパレータ26aとの間には燃
料ガス流路27Pが形成されており、カソード側のガス
拡散電極25とセパレータ26bとの間には酸化ガス流
路28Pが形成されている。
【0030】電解質膜21は、固体高分子材料、例えば
フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン
交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本
実施例では、厚さ50μmのナフィオン膜(デュポン社
製、ナフィオン112)を使用した。
【0031】触媒電極22,23は、表面に触媒を担持
したカーボン粒子と導電性ポリマとからなる層であり、
後述するように、上記触媒を担持したカーボン粒子と導
電性ポリマとからなる触媒ペーストを、ガス拡散電極上
に塗布することによって形成される。この触媒電極2
2,23は、既述した電気化学反応が進行する領域であ
り、本発明の要部に対応するが、その詳しい構造および
製造工程は後述する。
【0032】ガス拡散電極24,25は、それぞれ、表
面をポリテトラフルオロエチレン(PTFE、商品名テ
フロン)によってコーティングすることで撥水化したカ
ーボンペーパによって形成されている。単セル20を形
成するには、まず、電解質膜21をガス拡散電極24,
25で挟持した構造(電極アセンブリ)を形成するが、
その際には、PTFEでコートした上記カーボンペーパ
上に、既述した触媒ペースト(触媒を担持したカーボン
粒子と導電性ポリマとからなるペースト)を塗布したも
のを一対用意し、このカーボンペーパ上に塗布した触媒
ペーストを乾燥させた後、これら一対のカーボンペーパ
で電解質膜21を挟持する。このとき、触媒ペーストの
塗布面が電解質膜側に接する様に配置し、面圧50kg
/cm2、温度130℃にて熱圧プレスを行なって、上
記電極アセンブリを得る。
【0033】セパレータ26a,26bは、ガス不透過
の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過
とした緻密質カーボンや、金属製部材などにより形成さ
れる。セパレータ26a,26bはその表面に、所定の
形状のリブ部を形成しており、既述したように、隣接す
るガス拡散電極との間で燃料ガス流路27Pあるいは酸
化ガス流路28Pを形成する。図2では、各セパレータ
26a,26bの片面においてだけガス流路を成すリブ
が形成されているように表わされているが、実際の燃料
電池では、図3に示すように、各セパレータ26a,2
6bは、その両方の面にそれぞれリブ54およびリブ5
5を形成している。セパレータ26a,26bのそれぞ
れの片面に形成されたリブ54は隣接するガス拡散電極
24との間で燃料ガス流路27Pを形成し、セパレータ
26a,26bの他面に形成されたリブ55は隣接する
単セルが備えるガス拡散電極25との間で酸化ガス流路
28Pを形成する。したがって、セパレータ26a,2
6bは、ガス拡散電極との間でガスの流路を形成すると
共に、隣接する単セル間で燃料ガスと酸化ガスとの流れ
を分離する役割を果たしている。このように、セパレー
タ26a,26bは、実際に組み立てられる燃料電池で
は、形態上、あるいは働きの上で区別はなく、以後、セ
パレータ26と総称する。
【0034】なお、各セパレータの表面に形成されたリ
ブ54,55の形状は、ガス流路を形成してガス拡散電
極に対して燃料ガスまたは酸化ガスを供給可能であれば
良い。本実施例では、各セパレータの表面に形成された
リブ54,55は平行に形成された複数の溝状の構造と
した。図2では、単セル20の構成を模式的に表わすた
めに、燃料ガス流路27Pと酸化ガス流路28Pとを平
行に表わしたが、燃料電池を組み立てる際に実際に用い
るセパレータ26では、各セパレータ26の両面で、リ
ブ54とリブ55とがそれぞれ直交する方向となるよう
に、リブ54,55を形成した(図3参照)。
【0035】また、セパレータ26の周辺部には、4つ
の穴構造が設けられている。燃料ガス流路27Pを形成
するリブ54を連絡する燃料ガス孔50,51と、酸化
ガス流路28Pを形成するリブ55連絡する酸化ガス孔
52,53である。燃料電池15を組み立てたときに
は、各セパレータ26が備える燃料ガス孔50,51は
それぞれ、燃料電池内部をその積層方向に貫通する燃料
ガス供給マニホールドおよび燃料ガス排出マニホールド
を形成する。また、各セパレータ26が備える酸化ガス
孔52,53は、同じく燃料電池内部をその積層方向に
貫通する酸化ガス供給マニホールドおよび酸化ガス排出
マニホールドをそれぞれ形成する。
【0036】以上、燃料電池15の基本構造である単セ
ル20の構成について説明した。実際に燃料電池15と
して組み立てるときには、上記電極アセンブリの間にセ
パレータ26を配置して単セル20を複数組積層し(本
実施例では100組)、その両端にさらに集電板44,
45、絶縁板42,43、エンドプレート40,41を
配置して、図4に示すスタック構造を完成する。集電板
44,45にはそれぞれ出力端子44A,45Aが設け
られており、燃料電池で生じた起電力を出力可能となっ
ている。
【0037】エンドプレート40は、図4に示すように
2つの穴構造を備えている。一つは燃料ガス孔46、も
う一つは酸化ガス孔47である。エンドプレート40と
隣接する絶縁板42および集電板44は、エンドプレー
ト40が備える2つの穴構造と対応する位置に同様の2
つの穴構造を形成している。この燃料ガス孔46は、セ
パレータ26の備える燃料ガス孔50の中央部に開口し
ている。なお、燃料電池を動作させるときには、燃料ガ
ス孔46と図示しない燃料ガス供給装置とが接続され、
水素リッチな燃料ガスが燃料電池内部に供給される。同
様に、酸化ガス孔47は前記セパレータ26の備える酸
化ガス孔52の中央部に対応する位置に形成されてい
る。燃料電池を動作させるときには、この酸化ガス孔4
7と図示しない酸化ガス供給装置とが接続され、酸素を
含有する酸化ガスが燃料電池内部に供給される。ここ
で、燃料ガス供給装置と酸化ガス供給装置は、それぞれ
のガスに対して、必要に応じて所定量の加湿および加圧
を行なって燃料電池に供給する装置である。
【0038】また、エンドプレート41は、エンドプレ
ート40とは異なる位置に2つの穴構造を備えている。
絶縁板43、集電板45もまたエンドプレート41と同
様の位置に、それぞれ2つの穴構造を形成している。エ
ンドプレート41が備える穴構造の一つである燃料ガス
孔(図示せず)は、セパレータ26の備える燃料ガス孔
51の中央部に対応する位置に開口しており、燃料電池
を動作させるときには、図示しない燃料ガス排出装置が
接続される。また、エンドプレート41が備えるもう一
つの穴構造である酸化ガス孔(図示せず)は、セパレー
タ26の備える酸化ガス孔53の中央部に対応する位置
に開口しており、燃料電池を動作させるときには、図示
しない酸化ガス排出装置が接続される。
【0039】次に、以上のような構成を備えた燃料電池
15における燃料ガスおよび酸化ガスの流れについて説
明する。燃料ガスは、上記した所定の燃料ガス供給装置
から、エンドプレート40に形成された燃料ガス孔46
を経て燃料電池内部に導入される。燃料電池内部で燃料
ガスは、燃料ガス供給マニホールドを介して各単セル2
0が備える燃料ガス流路27Pに供給され、各単セル2
0の触媒電極22において進行する電気化学反応に供さ
れる。燃料ガス流路27Pから排出された燃料ガスは、
燃料ガス排出マニホールドに集合してエンドプレート4
1の燃料ガス孔に達し、この燃料ガス孔43から燃料電
池の外部へ排出されて、所定の燃料ガス排出装置に導か
れる。
【0040】同様に酸化ガスは、上記した所定の酸化ガ
ス供給装置から、エンドプレート40に形成された酸化
ガス孔47を経て燃料電池内部に導入される。燃料電池
内部で酸化ガスは、酸化ガス供給マニホールドを介して
各単セル20が備える酸化ガス流路28Pに供給され、
各単セル20の触媒電極23において進行する電気化学
反応に供される。酸化ガス流路28Pから排出された酸
化ガスは、酸化ガス排出マニホールドに集合してエンド
プレート41の酸化ガス孔に達し、この酸化ガス孔から
上記所定の酸化ガス排出装置に排出される。
【0041】(2)触媒電極の構成:図1には、アノー
ド側の触媒電極22の様子を示したが、カソード側の触
媒電極23も同様の構造を有している。これら触媒電極
22,23は、表面に触媒34を担持したカーボン粒子
32同士を、ポリマ層36で互いに結着させて成る。本
実施例の触媒電極22,23は、ポリマ層36が、電子
伝導性とイオン伝導性(プロトン伝導性)との両方を備
えていることを特徴としている。すなわち、電子伝導性
を備える導電性ポリマの材料となるモノマ(単量体)
と、イオン伝導性を備える導電性ポリマの材料となるモ
ノマとをブロック共重合させてなる導電性ポリマによっ
て、ポリマ層36を構成した。したがって、触媒電極2
2,23では、電子(e- )は、カーボン粒子32の内
部とポリマ層36内を通過することができる。また、触
媒電極22,23では、プロトンは、ポリマ層36内を
通過することができる。さらに、触媒電極22,23
は、後述するように、カーボン粒子32と導電性ポリマ
とを混合して成る触媒ペーストによって構成するため、
カーボン粒子32表面の少なくとも一部がポリマ層36
に被覆されて、このポリマ層36同士が互いに連接され
る。また、触媒電極22,23を構成する各カーボン粒
子32間には微小な空隙が形成されており、触媒22,
23は多孔質体として形成される。
【0042】既述したように、所定の燃料ガス供給装置
から燃料電池15に供給された燃料ガスは、燃料ガス供
給マニホールドを介して各単セル20に分配され、各単
セル20内では、そのアノード側において、上記燃料ガ
ス中の水素を用いて(1)式に示した反応が進行する。
その際、各単セル20に分配された燃料ガスは、燃料ガ
ス流路27P内を通過しつつ、ガス拡散電極24内を拡
散して、触媒電極22に到達する。これにより、図1に
示したアノード側の触媒電極22では、多孔質体として
成る触媒電極22の内部にまで燃料ガスが入り込み、ガ
ス拡散電極24側から供給される水素が、ポリマ層36
内を拡散して各カーボン粒子32表面に担持された触媒
34に運ばれて、(1)式に示した反応に供されると共
に、この(1)式に示した反応で生じたプロトンは、電
解質膜21側に向かってポリマ層36内を移動する。ま
た、触媒34上で進行する(1)式に示した反応で生じ
た電子(e- )は、ガス拡散電極24側に向かって、カ
ーボン粒子32の内部とポリマ層36内を移動する(図
1参照)。
【0043】同様に、所定の酸化ガス供給装置から燃料
電池15に供給された酸化ガスは、酸化ガス供給マニホ
ールドを介して各単セル20に分配され、各単セル20
内では、そのカソード側において、上記酸化ガス中の酸
素を用いて(2)式に示した反応が進行する。その際、
各単セル20に分配された酸化ガスは、酸化ガス流路2
8P内を通過しつつ、ガス拡散電極25内を拡散して、
触媒電極23に到達する。これにより、カソード側の触
媒電極23では、多孔質体として成る触媒電極23の内
部にまで酸化ガスが入り込み、ガス拡散電極25側から
供給される酸素が、ポリマ層36内を拡散して各カーボ
ン粒子32表面に担持された触媒34に運ばれて、
(2)式に示した反応に供される。さらに、触媒電極2
3では、電解質膜21を介してアノード側から供給され
るプロトンは、ポリマ層36内をガス拡散電極25側に
移動し、各カーボン粒子表面の触媒34上で(2)式に
示した反応に供される。また、触媒電極23では、ガス
拡散電極25側から上記酸素に加えてさらに電子
(e- )が供給され、この電子(e- )は、カーボン粒
子32の内部とポリマ層36内を通過して、触媒34上
で進行する(2)式に示した反応に供される。なお、触
媒電極22,23において、カーボン粒子32の表面に
担持させる触媒34としては、白金または白金と他の金
属からなる合金などを用いることができるが、本実施例
では白金を用いた。
【0044】触媒電極22,23の備えるポリマ層36
を構成する導電性ポリマが、上記したように電子伝導性
とイオン伝導性との両方を備えるのは、この導電性ポリ
マが、複数種のモノマをブロック共重合させてなること
によっている。従来、電子伝導性を備える導電性ポリマ
を合成するための材料となるモノマや、イオン伝導性を
備える導電性ポリマを合成するための材料となるモノマ
として、種々のものが知られているが、これら異なる性
質を有するモノマをブロック共重合させることによっ
て、電子伝導性とイオン伝導性との両方を備える伝導性
ポリマを得ることができる。以下、ブロック共重合につ
いて説明する。
【0045】ブロック共重合体とは、複数種のモノマか
ら製造される共重合体であって、分子内において、それ
ぞれのモノマが重合した構造がある程度連続した(ブロ
ック的な)配列をとるものを指す。図5は、ブロック共
重合体の構成を表わす説明図である。この図5では、電
子伝導性を有する導電性ポリマを構成するモノマを
「A」、イオン伝導性を有する導電性ポリマを構成する
モノマを「B」と表わした。このように、主要なブロッ
ク共重合体としては、それぞれのモノマが連続した構造
が直線的につながる構造を有するもの(図5(A)参
照)と、一方の性質を備えるモノマが線状に重合した幹
分子から他方の性質を有するモノマが重合した枝分かれ
が生じた構造を有するもの(図5(B)参照)とがあ
る。図5(B)に示した構造を有する重合体は、グラフ
ト型ブロック共重合体と呼ばれる。
【0046】電子伝導性ポリマは、その分子中のπ電子
の働きによって電子伝導性を示す。導電性高分子を構成
する各モノマは二重結合を有しており、二重結合に関与
する電子にはπ電子とσ電子とがあるが、このうちπ電
子は、その電子分布が一つの結合に局在することなく分
子中に広がっており、このπ電子の広がりを大きくする
ことによって(π供役鎖を長くすることによって)、ポ
リマの電子伝導性を高めることができる。上記ブロック
共重合体においては、電子伝導性を実現するモノマが分
子内でブロック的に連続しているため、π電子の広がり
が確保され、電子伝導性を実現することができる。
【0047】また、イオン伝導性ポリマのうち、本実施
例で用いるプロトン伝導性を示すポリマは、これを構成
するモノマが有する官能基(スルホン酸基)がイオン性
解離基であり、水和プロトンがポリマ内でスルホン酸基
から他のスルホン酸基へ移動することによって、プロト
ン伝導性を示す。上記ブロック重合体では、スルホン酸
基を備えるモノマも分子内でブロック的に連続している
ため、水和したプロトンはスルホン酸基からスルホン酸
基へと容易に移動することができ、イオン伝導性を実現
することができる。このように、本実施例のポリマ層3
6を構成するポリマは、上記複数種のモノマをブロック
共重合させて形成することことによって、電子伝導性と
イオン伝導性という異なる性質を、同一分子内で実現す
ることができる。
【0048】以下に、本実施例の触媒電極の製造方法と
して、図5(B)に示したグラフト型ブロック共重合体
よりなるポリマ層36を備える触媒電極の製造方法につ
いて説明する。
【0049】(3)触媒電極の製造方法:既述したよう
に、触媒電極22,23は、触媒を担持したカーボン粒
子と導電性ポリマとからなる触媒ペーストを、ガス拡散
電極上に塗布することによって形成される。図6は、本
実施例の触媒電極22,23を形成するために用いる触
媒ペーストの製造工程を表わす説明図である。最初に、
ニトロベンゼンなどの極性溶媒中で、Et4+PF6 -
Bu4+ClO4 -を支持電解質として、3位に長鎖アル
キル基を導入したチオフェンの電解重合を行なう(ステ
ップS100)。触媒ペーストを製造するには、電子伝
導性とイオン伝導性とを備える上記グラフト型ブロック
共重合体よりなるポリマを得る必要があるが、このステ
ップS100によって、まず、電子伝導性を有するポリ
マ、すなわちポリ(3−アルキルチオフェン)を合成す
る。ステップS100で合成されるポリマの構造を図7
に示す。このポリ(3−アルキルチオフェン)は、クロ
ロホルムなどの一般的有機溶媒に可溶な電子伝導性ポリ
マであり、図5(B)に示したグラフト型ブロック共重
合体の説明図において、モノマAが線状に重合した幹の
構造に相当する。
【0050】次に、ステップS100で合成した電子伝
導性ポリマに対して電子線(400kGy程度)を照射
し、ポリマ中にラジカルを発生させる。さらに、電子線
照射の後、あるいは電子線照射と同時にスチレンスルホ
ン酸モノマを加えてラジカル重合を行なわせ(ステップ
S120)、電子伝導性とともにイオン伝導性を備える
グラフト型ブロック共重合体を得る。すなわち、モノマ
Aが線状に重合した幹の構造に対して、モノマBが重合
してなる枝分かれ構造を付加し、図5(B)に示した構
造を有する分子を得る。このようなグラフト型ブロック
共重合体の合成方法は、放射線重合法と呼ばれる無触媒
重合法であり、開始反応の活性化エネルギが低いために
低温で重合反応を進行させることが可能であって、開始
剤を使わないために高純度のポリマを得ることができ
る。
【0051】次に、触媒を担持したカーボン粒子(白金
を重量比で20%担持したカーボン粒子、例えばvul
canXC72)を用意する(ステップS130)。こ
のカーボン粒子は、粒径が約30nm程度であるが、本
実施例では、複数の粒子が凝集して粒径約数百nm程度
の微粒子となった状態で用いた。続いて、この触媒担持
カーボンと、ステップS120で得た導電性ポリマと、
所定の有機溶媒とを混合して(ステップS140)、触
媒ペーストを完成する。このようにして製造した触媒ペ
ーストを、既述したように、ガス拡散電極24,25上
に塗布し、電解質膜21と共に電極アセンブリを組み立
てることで、触媒電極22,23を形成することができ
る。
【0052】以上のように構成された本実施例によれ
ば、電子伝導性ポリマを構成するモノマと、イオン伝導
性ポリマを構成するモノマとからなるブロック共重合体
を合成し、このブロック共重合体と、触媒を担持したカ
ーボン粒子とを用いて触媒電極を製造するため、電子伝
導性とイオン伝導性との両方を充分に備える触媒電極を
得ることができる。したがって、このような触媒電極を
用いて燃料電池を構成することで、燃料電池においてそ
の内部抵抗を抑え、燃料電池の性能をより向上させるこ
とができる。
【0053】ここで、触媒電極が備えるポリマ層におい
て、電子伝導性ポリマを構成するモノマと、イオン伝導
性ポリマを構成するモノマとからなるブロック共重合体
を用いているため、同一分子内で電子伝導性とイオン伝
導性とを実現することができ、ポリマ層において、電子
伝導性とイオン伝導性とを均一な状態で備えることがで
きる。すなわち、図5(B)に示した構造のグラフト型
ブロック共重合体において、モノマAが線状に重合した
幹部分で電子伝導性を実現し、ここから枝分かれするモ
ノマBの重合体部分によってイオン伝導性を実現してい
る。一般に、分子量が大きく性質が異なる複数種のポリ
マを均一に混合することは困難であるが、本実施例で
は、ポリマ層を構成するポリマとしてブロック共重合体
を用い、同一分子内で電子伝導性とイオン伝導性とを確
保しているため、均一な導電性を有する触媒電極を得る
ことができる。
【0054】なお、上記触媒電極は、触媒を担持したカ
ーボン粒子を備えており、このカーボン粒子の少なくと
も一部は隣接する粒子同士互いに接触している。そのた
め、触媒上で進行する電気化学反応で生じた電子あるい
は電気化学反応で要する電子は、カーボン粒子同士が接
触する部分では、この互いに接するカーボン粒子内部を
通過する。カーボン粒子は電子伝導性が非常に高く、ま
た、カーボン粒子同士が接触していない部分では、上記
ブロック共重合体からなるポリマ層によって電子が伝え
られるため、触媒電極全体で高い電子伝導性を実現する
ことができる。また、本実施例の触媒電極は、粒子状の
カーボン上に触媒を担持することによって、反応に寄与
しうる触媒表面積を充分に確保することができる。カー
ボン粒子間には微小な空隙が生じるため、触媒電極の内
部にまでガス(燃料ガスあるいは酸化ガス)が入り込む
ことができ、触媒電極内部のカーボン粒子上の触媒の表
面にまで、電極活物質(水素あるいは酸素)が容易に到
達することができる。
【0055】ここで、ポリマ層36を形成するブロック
共重合体を合成する際には、電子伝導性ポリマを構成す
るモノマとイオン伝導性ポリマを構成するモノマとの割
合を調節することによって、ポリマ層36が示す電子伝
導性とイオン伝導性の程度を調節すればよい。電子伝導
性とイオン伝導性との両方が充分に確保され、全体とし
て燃料電池の性能が効果的に向上するように、各モノマ
の重合量を調節すればよい。このようなブロック共重合
体を用いて触媒電極を構成すれば、イオン伝導性を確保
するために充分量のポリマを用いても、電子伝導性が大
きく損なわれてしまうことが無く、充分量のポリマを用
いることによって、触媒電極の強度を高めることもでき
る。なお、触媒を担持したカーボン粒子の結着剤として
用いるポリマの量は、上記したように、触媒電極の電子
伝導性およびイオン伝導性および強度が充分となる量で
あって、充分量の電極活物質(水素あるいは酸素)がポ
リマ層内に拡散して触媒上に到達することが可能であれ
ばよい。
【0056】なお、図6に示した触媒ペーストの製造工
程では、ステップS100において電解重合によって電
子伝導性ポリマを合成したが、電解重合に代えて、化学
重合によって電子伝導性ポリマを合成することとしても
良い。また、上記実施例では、ポリマに電子伝導性を付
与するために3−アルキルチオフェンを用い、イオン伝
導性を付与するためにスチレンスルホン酸モノマを用い
たが、同様の性質を有するポリマを構成可能であれば、
他種のモノマを用いても良い。すなわち、図5に示した
構造を有するブロック共重合体を合成する際に、電子伝
導性を付与するモノマAおよびイオン伝導性を付与する
モノマBとして、上記実施例とは異なる物質を用いても
良い。さらに、上記実施例では、ポリ(3−アルキルチ
オフェン)は、支持電解質アニオンによって酸化されて
充分な導電率を示すが、ポリマに対してドーピングを行
ない、導電率を確保することとしても良い。
【0057】また、上記実施例では、触媒電極が備える
ポリマ層を、図5(B)に示したグラフト型ブロック共
重合体によって構成したが、図5(A)に示した構造を
有するブロック共重合体によってポリマ層を形成しても
よい。すなわち、電子伝導性を付与するモノマAがブロ
ック状に連続して重合した構造と、イオン伝導性を付与
するモノマBがブロック状に連続して重合した構造と
が、線状につながってなるブロック重合体を用いても良
い。このようなブロック共重合体は、イオン重合法等の
リビング重合法や、モノマの反応性比の差を利用したラ
ジカル重合法等の周知の方法によって合成することがで
きる。共重合体合成の方法は、用いるモノマの性質に応
じて、電子伝導性とイオン伝導性とを両立する所望の重
合状態が得られるように、適宜選択すればよい。
【0058】さらに、上記実施例では、ポリマ層を構成
するポリマを合成する材料として、電子伝導性を付与す
るためのモノマおよびイオン伝導性を付与するためのモ
ノマとして、それぞれ1種類のモノマを用いたが、複数
種のモノマを用いてそれぞれのブロックを形成すること
としても良い。例えば、図5に示したブロック共重合体
において、モノマAが連続する構造を、電子伝導性を有
するポリマを構成可能な複数種のモノマをランダム共重
合させることによって形成してもよい。
【0059】なお、上記した実施例では、触媒はカーボ
ン粒子上に担持させることとしたが、触媒を担持させる
担体として、カーボン以外の導電性物質、例えば金属粒
子などを用いることとしてもよい。充分な導電性を有
し、粒状に成形可能な物質であれば、上記触媒電極にお
いて触媒を担持する担体として用いることが可能であ
る。あるいは、上記触媒電極において、触媒を表面に担
体するカーボン粒子に代えて、触媒によって形成される
粒子を用いることも可能である。少なくともその表面に
触媒を備えることによって、その触媒上で、供給される
ガス中の電極活物質を用いて電気化学反応を進行するこ
とができ、全体として導電性を備えていれば、上記触媒
を担持するカーボン粒子の代わりに用いることができ
る。
【0060】また、既述した実施例では、電子伝導性と
イオン伝導性とを備える触媒電極を燃料電池に適用する
構成について説明したが、本発明の触媒電極は、燃料電
池以外にも、電子伝導性とイオン伝導性とを要求する触
媒電極を備える装置に適用することができる。このよう
な触媒電極を備える装置としては、単セル20が備える
のと同様の既述した電極アセンブリを備え、水素リッチ
なガス中の所定の成分の濃度を検出するガスセンサ、例
えば一酸化炭素濃度センサやメタノール濃度センサを挙
げることができる。上記電極アセンブリを備えるガスセ
ンサにおいて、一方の電極側に上記所定の成分の濃度を
検出すべき水素リッチガスを供給し、他方の電極側を大
気に開放すると、電解質膜を挟持する電極間に起電力が
生じる。ここで、上記水素リッチガス中に一酸化炭素が
含有されると、触媒電極が備える触媒は一酸化炭素によ
る被毒を受けて、一酸化炭素濃度が高くなるほど電極間
の電位差は低下する。また、上記水素リッチガス中にメ
タノールが含まれる場合にも、メタノール濃度が高くな
るほど電極間の電位差は低下する。従って、供給される
水素リッチガス中の一酸化炭素濃度あるいはメタノール
濃度と、電極間電位差との関係を予め調べて記憶するこ
とにより、一酸化炭素濃度センサあるいはメタノール濃
度センサを構成することができる。このようなセンサに
おいても、触媒電極として電子伝導性とイオン伝導性と
を備える電極が要求されるため、本発明の触媒電極を適
用し、性能の向上を図ることができる。
【0061】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の触媒電極22の様子を拡大して示す
模式図である。
【図2】単セル20の構造を表わす断面模式図である。
【図3】単セル20の構成を表わす分解斜視図である。
【図4】燃料電池15の外観を表わす斜視図である。
【図5】ブロック共重合体の構成を表わす説明図であ
る。
【図6】触媒ペーストの製造工程を表わす説明図であ
る。
【図7】電子伝導性ポリマの構造を表わす説明図であ
る。
【符号の説明】
15…燃料電池 20…単セル 21…電解質膜 22,23…触媒電極 24,25…ガス拡散電極 26,26a,26b…セパレータ 27P…燃料ガス流路 28P…酸化ガス流路 32…カーボン粒子 34…触媒 36…ポリマ層 40,41…エンドプレート 42,43…絶縁板 43…燃料ガス孔 44,45…集電板 44A,45A…出力端子 46…燃料ガス孔 47…酸化ガス孔 50,51…燃料ガス孔 52,53…酸化ガス孔 54,55…リブ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気化学反応を促進する触媒を備える触
    媒電極であって、 少なくとも表面に前記触媒を備える複数の触媒粒と、 前記複数の触媒粒それぞれの表面の少なくとも一部を被
    覆すると共に該複数の触媒粒を互いに連接し、ポリマに
    よって形成されるポリマ層とを備え、 前記ポリマは、電子伝導性を有するポリマを合成するた
    めの材料となる第1のモノマと、イオン伝導性を有する
    ポリマを合成するための材料となる第2のモノマとをブ
    ロック共重合させてなることを特徴とする触媒電極。
  2. 【請求項2】 前記イオン伝導性は、プロトン伝導性で
    ある請求項1記載の触媒電極。
  3. 【請求項3】 前記第2のモノマは、スルホン酸基を備
    えるモノマである請求項2記載の触媒電極。
  4. 【請求項4】 前記触媒粒は、導電性材料からなること
    を特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の触媒電
    極。
  5. 【請求項5】 前記触媒粒は、表面に前記触媒を担持す
    るカーボン粒子からなることを特徴とする請求項1ない
    し4いずれか記載の触媒電極。
  6. 【請求項6】 前記ポリマは、グラフト型ブロック共重
    合体であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか
    記載の触媒電極。
  7. 【請求項7】 前記ポリマ層に被覆される前記複数の触
    媒粒の間に、微小な空隙が形成されることによって、前
    記触媒電極が多孔質体として構成されることを特徴とす
    る請求項1ないし6いずれか記載の触媒電極。
  8. 【請求項8】 電気化学反応を促進する触媒を備える触
    媒電極の製造方法であって、(a)少なくとも表面に前
    記触媒を備える触媒粒を用意する工程と、(b)電子伝
    導性を有するポリマを合成するための材料となる第1の
    モノマと、イオン伝導性を有するポリマを合成するため
    の材料となる第2のモノマとをブロック共重合させてポ
    リマを合成する工程と、(c)複数の前記触媒粒と前記
    ポリマとを混合して、前記触媒電極を形成するための触
    媒ペーストを作製する工程とを備えることを特徴とする
    触媒電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記イオン伝導性は、プロトン伝導性で
    ある請求項8記載の触媒電極の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第2のモノマは、スルホン酸基を
    備えるモノマである請求項9記載の触媒電極の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記触媒粒は、表面に前記触媒を担持
    するカーボン粒子からなることを特徴とする請求項8な
    いし10いずれか記載の触媒電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記(b)工程で合成するポリマは、
    グラフト型ブロック共重合体であることを特徴とする請
    求項8ないし11いずれか記載の触媒電極の製造方法。
  13. 【請求項13】 ガスの供給を受け、電極において、前
    記ガス中の成分を活物質として電子およびイオンの授受
    を伴う電気化学反応を進行することによって起電力を得
    る燃料電池であって、 前記電極として、請求項1ないし7いずれか記載の触媒
    電極を用いることを特徴とする燃料電池。
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