JP2001198686A - アルミニウム合金製ケース及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製ケース及びその製造方法

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JP2001198686A JP2000006912A JP2000006912A JP2001198686A JP 2001198686 A JP2001198686 A JP 2001198686A JP 2000006912 A JP2000006912 A JP 2000006912A JP 2000006912 A JP2000006912 A JP 2000006912A JP 2001198686 A JP2001198686 A JP 2001198686A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外装材に適するアルミ合金と内装材に適するア
ルミ合金との異種合金材を使い分け、これらアルミ合金
材をレーザースポット溶接で強固に一体接合してなるケ
ースとその製造方法を提供する。 【解決手段】外装カバー1aはMg:2〜5%のAl−
Mg系アルミ合金製とし、内装ケース1bはMn:1.0〜
1.5%で且つMg含有量が極微量のAl−Mn系アルミ
合金製とし、内装ケース1bのスポット溶接箇所に予め
形成した薄肉加工部3と、さらにショットブラスト加工
により水素吸蔵合金パウダーを擦り込み含浸させた水素
ガス吸収層20にレーザービームを照射して、Mg燃焼
により発生する水素ガスをアルミ表面に含浸させた水素
吸蔵合金に吸収させ、溶融アルミ合金の凝固速度の感受
性を制御して、外装カバー1aと内装ケース1bをスポ
ット溶接により強固に一体化し、アルミニウム合金製ケ
ースを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば携帯電話,
写真撮影用カメラ,撮像用ビデオカメラ,携帯型オーデ
ィオ機器,ノートパソコンその他の電子機器製品の筐
体、電池ケース、化粧品やその他の製品の外ケース等を
構成するアルミニウム合金製のケースとその製造方法に
関するもので、詳しくは、夫々異なる特性を有するアル
ミニウム合金からなる外装カバーと内装ケースとを、予
めショットブラスト加工により水素吸蔵合金パウダーを
高速で噴射してアルミ溶接部表面に擦り込み含浸させ、
Mg燃焼で発生する水素ガスを水素ガス吸収層により吸
収し凝固速度の感受性を制御してアルミ溶接効果を高め
ながら、レーザースポット溶接により一体化してなるア
ルミニウム合金製ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記した電子機器製品等に採用さ
れている筐体等のケースは、硬質プラスチックで成形さ
れたものが使用されていたが、電磁妨害波を抑えると共
に、製品の軽量化や耐久性及びデザイン性,リサイクル
性の向上などの観点から、チタン合金製,アルミニウム
合金製,ステンレス合金製とする要望がある。上記ケー
スをアルミニウム合金製とする場合、外装材となる外装
カバーと、内蔵する電子部品を搭載する機構部材として
の内装ケースとを別個に作製し、この外装カバーと内装
ケースを溶接により強固に一体化する必要がある。しか
し乍らアルミニウム材は、一部の純アルミ材を除いてそ
のほとんどが溶接困難である。例えば、JISによる合金
番号A5052のアルミニウム合金は、所定量のMgを
含有する組成であることから、所望の強度,硬度を有す
ると共に疲労強度が高く、表面耐摩耗性、成形性、耐海
水性等にも優れるという特性を有するため、電子機器製
品の筐体等の成形材料として好ましい。ところが、該A
5052アルミニウム合金をレーザー溶接により一体接
合しようとした場合、含有するMgが燃焼する際の熱影
響や水素ガスの発生、溶融したアルミ成分の凝固温度,
速度の影響等により、溶接割れ(凝固割れ)、ブローホ
ール(融合不良)、溶接変形(熱変形)等が発生しやす
く、安定した溶接加工が出来ないという不具合がある。
よって、上記外装カバーと内装ケースの双方をA505
2のアルミニウム合金製とした場合、かしめ接合やホッ
トメルト接着接合により接合一体化するようになり、接
合作業に手間がかかると共に、所望の接合強度が得られ
なくなる虞れがある。
【0003】これに対し、純度の高い純アルミ材(JIS
合金番号A1000系など)やAl−Mn系のアルミ合
金(JIS合金番号A3000系など)は、Mgを殆ど含
有しない組成であるため溶接性に優れており、レーザー
溶接接合が可能である。しかし乍ら、純度の高い純アル
ミ材やAl−Mn系のアルミ合金は、Mgを殆ど含んで
おらず軟らかい為、前述したAl−Mg系アルミ合金と
比較すると材料強度,硬度や表面耐摩耗性、成形性の面
で劣り、電子機器製品の筐体等の成形材料としては必ず
しも適していない。
【0004】一方、例えば特開昭60−31247号や
特公平1−32658号に開示されるようにAl−Si
系組成になるろう材を用いたり、特公平2−24709
4号に開示されるように中間金属層としてのCuとNi
の複合電気メッキや無電解Niメッキ層を介在させるこ
とも考えられるが、このような場合、溶接対象部分の材
料成分に対応させて、適正な配合比と適宜厚さのろう材
や中間金属層を選択して別途形成する必要がある。さら
に、溶接時にろう材の厚みにむらがあるとろう材が硬く
なり溶接部分が脆くなったりし、また、CuとNiの複
合電気メッキや無電解Niによるメッキ厚のバラツキに
より、溶接箇所にNiAl3の初昌で溶接部にクラックが
入ったり、溶接強度が落ちると共に、製造に手間がかか
り製造コストが高くなる虞れもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したよう
な従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処
は、電子機器製品の筐体や化粧品その他の製品の外ケー
ス等をアルミニウム合金製ケースで提供しようとするも
のである。さらに詳しくは、材料強度と表面硬度が高
く、成形加工性に優れ、表面耐摩耗性を有することから
外装材として適するアルミ合金と、溶接性に優れること
から内装材としての利用に適するアルミ合金との、各々
機械的性質,特性に優れた異種アルミニウム合金材料を
使い分け、これらアルミ合金材料を、ろう材や中間金属
層等の電気メッキ別材料を用いることなく、ショットブ
ラスト加工により水素吸蔵合金パウダーを直接アルミ合
金の溶接表面に均一に擦り込み含浸させ、レーザー溶接
によるMg燃焼で発生する水素ガスをその水素吸蔵合金
パウダーに吸収させ、溶融後のアルミ合金の凝固速度の
感受性を制御してクラック等の発生を防止し、強固に一
体接合してなるケースとその製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1に係る発明は、例えば電子機器
製品の筐体や、化粧品その他の製品の外ケース等を構成
するアルミニウム合金製のケースであって、異なる組成
のアルミニウム合金からなる外装カバーと内装ケースと
をレーザー溶接により一体化してなり、外装材としての
外装カバーはMg含有量2〜5%の組成のAl−Mg系
アルミニウム合金で形成し、機構部材としての内装ケー
スはMn含有量0.8〜1.5%で且つMg含有量が極
微量(少なくとも1.0%以下)の組成のAl−Mn系
アルミニウム合金で形成し、この外装カバーと内装ケー
スを、粒径100〜150μmの水素吸蔵合金パウダー
を、80〜120m/secの噴射速度で高速噴射するシ
ョットブラスト加工により、外装カバーと内装ケースの
溶接されるアルミ合金表面に打ち込み含浸させて水素ガ
ス吸収層を生成させ、アルミ溶接で発生するMgからの
水素ガスを吸収しながら、溶融後のアルミ合金の凝固速
度の感受性を制御し、レーザースポット溶接により外装
カバーと内装ケースを直接一体接合してなることを要旨
とする。本発明において、水素吸蔵性を有する合金とし
ては、例えば、Ni(ニッケル),Mo(モリブデ
ン),Fe(鉄),Cr(クロム),Nb(ニオブ),
Ti(チタン),Zr(ジルコニウム),V(バナジウ
ム)等を主要成分とする合金、具体的には、Ni合金、
Ti−Fe系合金、Zr−V系合金、Ti−Mn系合金
等を例示できる。
【0007】このような構成によれば、材料強度と表面
硬度が高く、成形加工性に優れ、耐摩耗性を有すること
から外装材として適するアルミニウム合金からなる外装
カバーと、レーザーによる溶接性に優れることから内装
材として適するアルミニウム合金からなる内装ケースと
が、溶接割れ,ブローホール,溶接変形,クラック等を
生ずることなく強固に接合一体化されると共に、酸化防
止処理を施す必要がないので美観性にも優れたアルミニ
ウム合金製ケースを提供することが出来る。
【0008】また本発明の請求項2に係る発明は、夫々
異なる特性を有するアルミニウム合金からなる外装カバ
ーと内装ケースとを、予めショットブラスト加工により
アルミ合金溶接表面に水素吸蔵合金パウダーを擦り込み
含浸させ、Mg燃焼で発生する水素ガスをその合金パウ
ダーに吸収させ、溶融したアルミ合金の凝固速度の感受
性を制御して溶接クラックの防止等を図り、レーザース
ポット溶接により一体化してアルミニウム合金製ケース
を得る製造方法であって、外装カバーはMg含有量2〜
5%の組成のAl−Mg系アルミニウム合金製とし、内
装ケースはMn含有量1.0〜1.5%で且つMg含有
量が極微量(少なくとも1.0%以下)の組成のAl−
Mn系アルミニウム合金製とし、内装ケースにおけるレ
ーザースポット溶接箇所に予め薄肉加工を施し、ショッ
トブラスト加工により水素吸蔵性を有する合金のパウダ
ーをアルミ溶接部分に打ち込んで擦り込み含浸させ、さ
らに、この内装ケースを外装カバーの内側に重ねた後、
前記薄肉加工部にレーザービームを照射して、外装カバ
ーと内装ケースをスポット溶接により直接一体化するこ
とを要旨とするアルミニウム合金製ケースの製造方法で
ある。
【0009】このような方法によれば、アルミ表面に含
浸させた水素吸蔵合金パウダーが、アルミ溶接時の燃焼
により発生する水素ガスを吸収すると共に、溶接溶融後
のアルミ合金の冷却・凝固速度を制御し、更に、内装ケ
ースがMgを殆ど含まない組成であることから、レーザ
ービーム照射によるスポット溶接に際し溶接割れ(凝固
割れ)、ブローホール(融合不良)、溶接変形(熱変
形)等が発生する虞れが少なく、安定した溶接加工を行
うことが出来る。よって、外装材としての外装カバーと
機構部材としての内装ケースとを各々機械的性質,特性
に優れた異種アルミニウム合金材料で作製し、これらを
レーザースポット溶接により強固に接合一体化して、前
記外装カバーと内装ケースからなるアルミニウム合金製
ケースを得ることが出来る。また、内装ケースにおける
スポット溶接箇所に予め薄肉加工を施してアルミニウム
合金の板厚を減少させ、その薄肉加工部(板厚減少部)
にレーザービームを照射するようにしたので、レーザー
溶接によるアルミニウム合金の溶け込みが速くなってレ
ーザービームの照射出力,照射時間を少ないものとし、
且つ、ショットブラスト加工によりアルミ合金の表面に
含浸させた水素吸蔵性を有する合金パウダーにより溶接
時の水素ガスを吸収し、凝固速度の感受性を制御して、
外装カバーと内装ケースを強固に接合一体化することが
出来る。
【0010】本発明の請求項3に係る発明は、請求項2
の製造方法において、内装ケースにおける薄肉加工部
に、さらに孔あけ加工を施し、該薄肉孔あけ加工部にレ
ーザービームを照射して、外装カバーと内装ケースをス
ポット溶接により一体化することを要旨とするアルミニ
ウム合金製ケースの製造方法である。
【0011】このような方法によれば、請求項2による
作用に加え、薄肉加工部にあけた孔により、内装ケース
(Al−Mn系アルミニウム合金)に含まれる極微量の
Mgの燃焼等により発生する水素ガスの浮上散逸が促さ
れる。更に、内装ケースのアルミニウム合金が溶け込ん
で外装カバーに接した際、外装カバー(Al−Mg系ア
ルミニウム合金)に含まれるMgも若干溶融燃焼する
が、その燃焼により発生する水素ガスの浮上散逸も、前
記孔と、予め外装カバーと内装ケースのアルミ合金表面
にショットブラスト加工により含浸された水素吸蔵合金
パウダーの水素ガス吸収層で促進され、且つ該水素ガス
吸収層により溶融アルミ合金の凝固速度の感受性が制御
される。よって、上記薄肉加工部の溶け込みと外装カバ
ーにおける対応箇所の溶融により強固な接合が図れると
共に、該溶融接合部分における水素ガスの内在を防止
し、溶接割れ、ブローホール、溶接変形、クラック等が
発生する虞れをより確実に低減して、より安定した強固
な溶接加工を行うことが出来る。
【0012】本発明の請求項4に係る発明は、請求項2
又は3の製造方法において、アルミニウム合金材表面か
らのレーザー反射光がレーザー照射部に当たらないよ
う、レーザービームを、レーザースポット溶接箇所に対
し所定角度傾斜させて照射することを要旨とするアルミ
ニウム合金製ケースの製造方法である。具体的には、ス
ポット溶接箇所に向けてレーザービームを真正面から当
てた場合に対し、約15度程度以上の角度をもってレー
ザー照射することが考えられる。
【0013】このような方法によれば、請求項2又は3
による作用に加え、アルミニウム合金材表面に反射した
レーザービームの反射光がレーザー照射部に直接当たる
虞れを防止することが出来る。
【0014】尚、本発明における外装カバーとは、例え
ば携帯電話、スチールカメラ、デジタルカメラ、ビデオ
カメラ、CDプレーヤー、MDプレーヤー、ナビゲータ
ー、モバイルコンピュータ、ノート・パソコンやその他
の携帯型、車載型、据置型の各種電子機器製品、電池ケ
ース、化粧品やその他の製品の外ケースにおける外装材
を構成するものであり、内装ケースとは、外装カバーに
一体成形することが困難な係合用凸部や凹部などのケー
ス組立て用構造部、内蔵する電子部品の搭載部等を備え
たものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面を参照して説明する。本例では、携帯電話の筐体
を構成するフロント側筐体1とリヤ側筐体2を、夫々本
発明に係るアルミニウム合金製ケースで形成した例を示
す。フロント側筐体1、リヤ側筐体2は図1に示す形状
に構成されるもので、夫々、異なる組成のアルミニウム
合金からなる外装カバー1a,2aと内装ケース1b,
2bをレーザースポット溶接により一体化してなる。
【0016】外装カバー1a,2aは、各々フロント側
筐体1,リヤ側筐体2の外装材を構成するもので、所定
量のMg(マグネシウム)を含有することから、材質強
度,表面硬度,疲労強度が高く、プレス成形性が良く、
耐摩耗性,耐海水性にも優れるアルミニウム合金板によ
り、図示する形状にプレス成形される。具体的には、M
gの含有量が2〜5%の組成であるAl−Mg系アルミ
ニウム合金、例えばJIS合金番号A5000系のアルミ
ニウム合金材を用いることができ、本例ではA5052
アルミニウム合金を用いた。
【0017】機構部材となる内装ケース1b,2bは、
Mgを殆ど含有しないため溶接性に優れ、YAGレーザ
ーで安定した溶接加工が可能であるアルミニウム合金板
により、フロント側筐体1とリヤ側筐体2を組立てるた
めの爪形状や溝形状等の係合用凸部5a,係合用凹部5
bと、内蔵する電子部品の搭載部6等を備えた形状にプ
レス成形される。具体的には、Mn(マンガン)の含有
量が0.8〜1.5%で且つMgの含有量が極微量であ
る組成のAl−Mn系アルミニウム合金、例えばJIS合
金番号A3000系のアルミニウム合金を用いることが
出来、この中でもMg含有量が不可避不純物の範囲であ
るものがより好ましく用いられ、本例ではA3003ア
ルミニウム合金を用いた。
【0018】内装ケース1b,2bにおける外装カバー
1a,2aとのスポット溶接箇所には、内装ケース1
b,2bの板厚に対し1/2〜1/3程度の厚みとなる薄
肉加工部3を、プレス・コイニング加工により予め形成
すると共に、その薄肉加工部3に小径孔プレスによる孔
あけ加工を行って、ガス抜き孔4を形成する。更に、外
装カバー1a,2aの内側面と内装ケース1b,2bの
内外両面には、水素吸蔵性を有する合金、例えば粒径1
00〜150μmのNi合金の金属パウダーをショット
ブラスト装置にて80〜120m/secの噴射速度で高
速噴射することで、前記外装カバー1a,2aの内側面
と、内装ケース1b,2bの内外両面のアルミニウム合
金表面に、前記水素吸蔵性合金の金属パウダーを打ち込
みその衝撃エネルギーで擦り込み含浸させて、水素ガス
吸収層20を生成する。
【0019】これにより、内装ケース1b,2bにおけ
るレーザービーム照射で溶け込むスポット溶接箇所(薄
肉加工部3)は、使用板厚の1/2〜1/3程度の板厚ま
で減少してアルミニウム合金の溶け込みが容易になり、
レーザービームの照射出力,照射時間が極力少なくて済
む。更に、薄肉加工部3にガス抜き孔4を設けると共
に、水素ガス吸収層20を形成したことにより、内装ケ
ース1b,2bに含まれる極微量のMgの燃焼等により
発生する水素ガスの浮上散逸が促され、且つ水素ガス吸
収層20が水素ガスを吸収すると共に溶融後のアルミ合
金の冷却・凝固速度を制御する。さらに、薄肉加工部3
のアルミニウム合金が溶け込んで外装カバー1a,2a
に接した際、外装カバー1a,2aに含まれるMgも若
干溶融燃焼するが、その燃焼により発生する水素ガスの
浮上散逸もガス抜き孔4により促進されると共に、水素
ガス吸収層20が水素ガスを吸収する。よって、薄肉加
工部3周囲のアルミ合金の溶け込みと外装カバー1a,
2aにおける対応箇所のアルミ合金の溶融により強固な
接合が図れると共に、該溶融接合部分における水素ガス
の内在を防止し、溶接割れ、ブローホール、溶接変形、
クラック等が発生する虞れをより確実に低減する、レー
ザースポット溶接に最適な形状加工が施される。よっ
て、強固で且つ安定したレーザー溶接加工を行うことが
出来るようになる。
【0020】上記したような構成になる内装ケース1
b,2bを外装カバー1a,2aの内側に重ね合わせ、
夫々の内装ケース1b,2bのスポット溶接箇所(薄肉
加工部3)にレーザービームを照射して、外装カバー1
aと内装ケース1b、外装カバー2aと内装ケース2b
を溶接一体化した。本例では、YAGレーザーの最大出
力が300W〜350W以内、一ヶ所のスポット溶接箇
所に対するピーク・パワーとして10KW以下の15〜
35J(ジュール)でパルス幅1.2〜10ms、20
分割以上のパルス波形制御が可能であって、ビーム径
0.3mmで溶接加工が出来るYAGレーザー加工装置
を用いた。そうして、上記薄肉加工部3に対し、アルミ
ニウム合金からの反射光が、該レーザー加工装置の集光
レンズ10に直接当たらないよう、具体的には薄肉加工
部3に対しレーザービームを真正面から当てた場合の仮
想中心線12に対し、YAGレーザーの集光中心11を
約15度程度以上の傾斜角度θを持って傾けて、レーザ
ービームを当てた。よって、内装ケース1b,2bのア
ルミニウム合金材表面からのレーザー反射光の発生を極
力避け、集光レンズ10にレーザー反射光が直接当たら
ないようにしながら、レーザー出力の効率を向上させ、
アルミニウム合金の溶接強度を高めて、A5052アル
ミニウム合金製の外装カバー1a,2aの内側に、A3
003アルミニウム合金製の内装ケース1b,2bをレ
ーザースポット溶接し、ろう材や電気メッキ中間金属層
等を介在させることなく、外装カバー1aと内装ケース
1b,外装カバー2aと内装ケース2bを強固に一体化
することが出来た。尚、外装カバー1a,2aと内装ケ
ース1b,2bを溶接一体化するためのレーザー加工装
置としては、内装ケース1b,2bにおける内側面の数
十カ所に設けるスポット溶接箇所(薄肉加工部3)に対
し、レーザービームが高速で照射できるようコンピュー
タで位置決め制御するCNC・YAGレーザー溶接機を
用いることが好ましい。
【0021】以上、本発明の実施形態の一例として携帯
電話の筐体への対応例を説明したが、本発明はこれに限
定されず、スチールカメラ、デジタルカメラ、ビデオカ
メラ、CDプレーヤー、MDプレーヤー、ナビゲータ
ー、モバイルコンピュータ、ノート・パソコンやその他
の携帯型、車載型、据置型の各種電子機器製品、電池ケ
ース、化粧品やその他の製品の外ケース等への対応が可
能であることは云うまでもない。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成したの
で、以下の効果を奏する。 (請求項1)材料強度と表面硬度が高く、成形加工性に
優れ、耐摩耗性を有するアルミニウム合金からなる外装
カバーと、溶接性に優れるアルミニウム合金からなる内
装ケースとが強固に接合一体化された、例えば携帯電
話,カメラ,ビデオカメラ,オーディオ機器,ノートパ
ソコン等の各種電子機器製品の筐体や、電池ケース、化
粧品その他の製品の外ケース等を構成するに好適なアル
ミニウム合金製ケースを提供することが出来、これら製
品の電磁妨害波を抑え、軽量化、耐久性及びデザイン性
の向上等を図ることが出来る。また、ろう材や電気メッ
キ中間金属層等を用いることなく溶接一体化するもので
あり、強固な溶接一体化が可能であると共に、酸化被膜
の除去作業が不要であるため溶接箇所の美観性に優れ、
しかも低コストでの製造が可能である。さらに、再利用
が容易なアルミニウム合金材を用いるので環境問題や資
源のリサイクルにも適し、地球環境の改善にも寄与し得
る等、多くの効果を奏する。
【0023】(請求項2)内装ケースがMgを殆ど含ま
ない組成であると共に水素ガス吸収層を形成し、且つ水
素ガス吸収層が溶融合金の凝固速度の感受性を制御する
ため、レーザービーム照射によるスポット溶接に際し溶
接割れ、ブローホール、溶接変形等が発生する虞れが少
なく、安定した溶接加工を行うことが出来る。よって、
外装材としての外装カバーと機構部材としての内装ケー
スとを各々機械的性質,特性に優れた異種アルミニウム
合金材料で作製し得ると共に、Mg燃焼時に発生する水
素ガスを、予めアルミ合金溶接面にショットブラスト加
工により擦り込み含浸させた水素吸蔵合金に吸収させ、
外装カバーと内装ケースをレーザースポット溶接により
強固に接合一体化して、請求項1による効果を有するア
ルミニウム合金製ケースを得ることが出来る。さらに、
スポット溶接箇所に予め薄肉加工を施してアルミニウム
合金の板厚を減少させ、その薄肉加工部(板厚減少部)
にレーザービームを照射するようにしたので、レーザー
照射によるアルミニウム合金の溶け込みが容易になり、
レーザービームの照射出力,照射時間を少ないものとし
て製造コストを低減しながら、外装カバーと内装ケース
を強固に接合一体化することが出来る。
【0024】(請求項3)請求項2による効果に加え、
内装ケースと外装カバーに含まれるMgの燃焼により発
生する水素ガスの浮上散逸を促進すると共に凝固速度の
感受性を制御して、溶接割れ、ブローホール、溶接変形
等が発生する虞れをより確実に低減して、より強固で安
定した溶接加工を行うことが出来る等の効果がある。
【0025】(請求項4)請求項2又は3による効果に
加え、アルミニウム合金材表面に反射したレーザービー
ムの反射光がレーザー照射部に直接当たる虞れを防止し
ながら、レーザー出力効率を向上させ、安定した溶接加
工を行うことが出来る等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図。
【図4】図1の(X)−(X)線に沿う拡大断面図。
【図5】図4のレーザー溶接前の状態を示す要部拡大
図。
【符号の説明】
1,2:筐体 1a,2a:外装カバー 1b,2b:内装ケース 3:薄肉加工部(スポット溶接箇所) 4:ガス抜き孔 5a:係合用凸部 5b:係合用凹部 6:電子部品搭載部 10:集光レンズ 11:レーザービームの集光 20:水素ガス吸収層 θ:レーザービーム照射の傾斜角度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる組成のアルミニウム合金からなる
    外装カバーと内装ケースとをレーザースポット溶接によ
    り一体化してなるアルミニウム合金製ケースであって、 上記外装カバーはMg(マグネシウム)の含有量が2〜
    5%の組成であるAl−Mg系アルミニウム合金製と
    し、 上記内装ケースはMn(マンガン)の含有量が0.8〜
    1.5%で且つMgの含有量が極微量である組成のAl
    −Mn系アルミニウム合金製とし、 前記外装カバーと内装ケースをプレス加工により成形
    し、その外装カバーと内装ケースにおける少なくともレ
    ーザースポット溶接する双方の接触面に、水素吸蔵合金
    の金属パウダーをショットブラスト加工にて噴射するこ
    とで、前記接触面のアルミニウム合金表面に、前記水素
    吸蔵合金の金属パウダーを打ち込みその衝撃エネルギー
    で擦り込み含浸させて水素ガス吸収層を生成し、レーザ
    ー溶接にて発生した水素ガスを前記水素ガス吸収層に吸
    収させ凝固速度の感受性を制御して、スポット溶接によ
    り外装カバーと内装ケースを直接一体化してなることを
    特徴とするアルミニウム合金製ケース。
  2. 【請求項2】 夫々異なる特性を有するアルミニウム合
    金からなる外装カバーと内装ケースとを、レーザースポ
    ット溶接により一体化してアルミニウム合金製ケースを
    得る製造方法であって、 上記外装カバーはMg(マグネシウム)の含有量が2〜
    5%の組成であるAl−Mg系アルミニウム合金製と
    し、 上記内装ケースはMn(マンガン)の含有量が0.8〜
    1.5%で且つMgの含有量が極微量である組成のAl
    −Mn系アルミニウム合金製とし、 上記内装ケースにおけるレーザースポット溶接箇所に予
    め薄肉プレス加工を施した後、水素吸蔵性を有する合金
    の金属パウダーを、ショットブラスト装置にて80〜1
    20m/secの噴射速度で高速噴射して、外装カバーと
    内装ケースのアルミニウム合金表面に前記水素吸蔵合金
    の金属パウダーを打ち込みその衝撃エネルギーにより擦
    り込み含浸させて、外装カバーの内側と内装ケースの内
    外両側に水素ガス吸収層となる梨地面を生成し、 次いで内装ケースを外装カバーの内側に重ねた後、前記
    薄肉プレス加工部にレーザービームを照射して、上記外
    装カバーと内装ケースをスポット溶接により直接一体化
    することを特徴とするアルミニウム合金製ケースの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 上記内装ケースにおける薄肉加工部に、
    さらに孔あけ加工を施し、該薄肉孔あけ加工部にレーザ
    ービームを照射して、上記外装カバーと内装ケースをス
    ポット溶接により一体化することを特徴とする請求項2
    記載のアルミニウム合金製ケースの製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム合金材表面からのレーザー
    反射光がレーザー照射部に当たらないよう、上記レーザ
    ービームを、レーザースポット溶接箇所に対し所定角度
    をもって傾斜させて照射することを特徴とする請求項2
    又は3記載のアルミニウム合金製ケースの製造方法。
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