JP2001196173A - 有機el表示装置 - Google Patents

有機el表示装置

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JP2001196173A
JP2001196173A JP2000001367A JP2000001367A JP2001196173A JP 2001196173 A JP2001196173 A JP 2001196173A JP 2000001367 A JP2000001367 A JP 2000001367A JP 2000001367 A JP2000001367 A JP 2000001367A JP 2001196173 A JP2001196173 A JP 2001196173A
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organic
layer
color filter
electrode
filter layer
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JP2000001367A
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English (en)
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Michio Arai
三千男 荒井
Etsuo Mihashi
悦央 三橋
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラーフィルターの段差による配線の段切れ
を防止し、低コストで高品位で歩留まりのよい有機EL
表示装置を実現する。 【解決手段】 基板上に制御電極と一組の被制御電極と
が非単結晶シリコン基体に形成されているスイッチング
素子と、このスイッチング素子により駆動される有機E
L素子とを有し、前記有機EL素子は、前記基板側から
カラーフィルター層と、ホール注入電極と、電子注入電
極と、カラーフィルター層とを順次有し、これらの電極
間に発光機能に関与する有機層を有し、前記カラーフィ
ルター層は、蒸着法により形成されている構成の有機E
L表示装置とした。なお、有機EL素子は基板側から電
子注入電極と、ホール注入電極と、カラーフィルター層
とを順次有する構成であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(エレク
トロルミネッセンス)素子に関し、詳しくは、有機化合
物の薄膜に電界を印加して光を放出する素子に用いられ
る有機EL表示装置のフィルター構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、有機EL素子を用いた表
示装置が開発されている。有機EL素子を多数使用した
有機EL素子装置をアクティブマトリックス回路により
駆動する場合、各ELのピクセル(画素)には、このビ
クセルに対して供給する電流を制御するための薄膜トラ
ンジスタ(TFT)の如きFET(電界効果トランジス
タ)が一組ずつ接続されている。すなわち有機EL素子
に駆動電流を流すバイアス用のTFTと、そのバイアス
用TFTを選択すべきかを示すスイッチ用のTFTが一
組ずつ接続されている。
【0003】従来のアクティブマトリックス型の有機E
L表示装置の回路図の一例を図12,13に示す。この
有機EL表示装置310は、画面311内のX方向信号
線X1,X2…、Y方向信号線Y1,Y2…、電源Vd
d線Vdd1,Vdd2…、スイッチ用TFTトランジスタ
Ty11,12、Ty21,22…、電流制御用TFT
トランジスタM11,12、M21,22…、有機EL
素子EL110,120、EL210,220…、コン
デンサC11,12、C21,22…と、X方向周辺駆
動回路312,Y方向周辺駆動回路313等により構成
される。
【0004】X方向信号線X1,X2、Y方向信号線Y
1,Y2により画素が特定され、その画素においてスイ
ッチ用TFTトランジスタTy11,12、Ty21,
22がオンにされてその信号保持用コンデンサC11,
12、C21,22に画像データが保持される。これに
より、電流制御用のTFTのTFTトランジスタM1
1,12、M21,22がオンにされ、電源線Vdd1、
Vdd2により有機EL素子EL110,120、EL2
10,220に画像データに応じたバイアス用の電流が
流れ、これが発光される。
【0005】例えばx方向信号線X1に画像データに応
じた信号が出力され、Y方向信号線Y1にY方向走査信
号が出力されると、これにより特定された画素のスイッ
チ用TFTトランジスタTy11がオンになり、画像デ
ータに応じた信号により電流制御用TFTトランジスタ
M11が導通されて有機EL素子えL110に、この画
像データに応じた発光電流が流れ、発光制御される。こ
のように、画素毎に、薄膜型のEL素子と、前記EL素
子の発光制御用の電流制御用TFTトランジスタと、前
記電流制御用TFTトランジスタのゲート電極に接続さ
れた信号保持用のコンデンサと、前記キャパシタへのデ
ータ書き込み用のスイッチ用のTFTトランジスタ等を
有するアクティブマトリックス型EL画像表示装置にお
いて、EL素子の発光強度は、信号保持用のキャパシタ
に蓄積された電圧によって制御された発光電流制御用の
非線形素子であるTFTトランジスタに流れる電流で決
定される(A66-in 201pi Electroluminescent Display
T.P.Brody、F.C.Luo、et.al、IEEE Trans ElectronI)evice
s、Vol. ED-22、No. 9、Sep. 1975, P739~P749参照)。
【0006】ところで、このような有機EL素子を用い
たアクティブマトリクス型ディスプレイとして、種々の
応用例が考えられるが、中でもカラーディスプレイへの
応用への期待は高い。発光体をカラーディスプレイとし
て応用する場合、例えば、 (1)赤、緑、青の各色の発光層を各画素毎に形成す
る。 (2)発光層を白色発光とし、カラーフィルター層を用
いて青、緑、赤の3元色を得る。 (3)発光層は青色などの単色発光とし、蛍光材料で構
成された蛍光変換層、あるいはこれとカラーフィルタ層
とを組み合わせてその他の表示色を得る。といった手法
が一般的である。
【0007】しかし、発光体自体で複数の発光色を用意
する場合、赤色発光の発光層に用いる蛍光材料として適
当なものが少なく、色純度の高い赤色が得られ難いとい
う問題がある。しかも、青色発光層の寿命が他の発光層
に比べて極端に短いため、発光装置全体の寿命が青色発
光層の寿命に支配されてしまう。
【0008】一方、単一の発光層と、蛍光材料で構成さ
れた蛍光変換層および/またはカラーフィルター層とを
組み合わせてカラーディスプレイとする方法は、単独の
有機EL素子のみで構成できるため、構成が単純で安価
であるばかりか、蛍光変換層および/またはカラーフィ
ルター層をパターン形成することによりフルカラー化で
きる点で優れた方式といえる。しかし、有機EL構造体
上にフォトレジスト技術により所定のパターンで蛍光変
換層および/またはカラーフィルター層を設けること
は、パターニング技術や有機EL構造体へのダメージ等
の点から極めて困難である。また、基板上に蛍光変換層
および/またはカラーフィルター層をパターン形成し、
その上に有機EL構造体を積層すると、段差ができてい
るので、断切れ(膜の不連続部分)が生じ、配線がつな
げられなくて電流が流れないために、有機EL素子とし
て機能しなくなってしまうという問題があった。
【0009】しかも、カラーフィルター層を形成する際
に用いられるカラーレジスト材はかなり高価な材料であ
り、このような材料を用いることなくカラーフィルター
層を形成することができれば有機EL素子を応用した製
品を極めて安価に提供することができる。
【0010】また、従来のカラーフィルター層は、樹脂
バインダー中に顔料、染料を分散させた構造であるた
め、通常塗布等により形成される。このため、塗り分け
による画素毎のカラーフィルターの形成は極めて困難で
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カラ
ーフィルターの段差による配線の段切れを防止し、低コ
ストで高品位で歩留まりのよい有機EL表示装置を実現
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は、
以下の構成により達成される。 (1) 基板上に制御電極と一組の被制御電極とが非単
結晶シリコン基体に形成されているスイッチング素子
と、このスイッチング素子により駆動される有機EL素
子とを有し、前記有機EL素子は、前記基板側からカラ
ーフィルター層と、ホール注入電極と、電子注入電極と
を順次有し、これらの電極間に発光機能に関与する有機
層を有し、前記カラーフィルター層は、蒸着法により形
成されている有機EL表示装置。 (2) 基板上に制御電極と一組の被制御電極とが非単
結晶シリコン基体に形成されているスイッチング素子
と、このスイッチング素子により駆動される有機EL素
子とを有し、前記有機EL素子は、前記基板側から電子
注入電極と、ホール注入電極と、カラーフィルター層と
を順次有し、前記各電極間に発光機能に関与する有機層
を有し、前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成
されている有機EL表示装置。 (3) 前記からフィルター層は、顔料にて形成されて
いる上記(1)または(2)の有機EL表示装置。 (4) 前記カラーフィルター層の膜厚は、2000nm
以下である上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL表
示装置。 (5) 前記蒸着法は、マスク蒸着法である上記(1)
〜(4)のいずれかの有機EL表示装置。 (6) 前記基板は、樹脂材料により形成されている上
記(1)〜(5)のいずれかの有機得EL表示装置。 (7) 発光層から得られる発光光は、少なくとも波長
450〜650nmの連続した発光スペクトルを有する白
色発光である上記(1)〜(7)のいずれかの有機EL
表示装置。 (8) 樹脂封止構造体を有する上記(1)〜(7)の
いずれかの有機EL表示装置。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子は、基板上
に制御電極と一組の被制御電極とが非単結晶シリコン基
体に形成されているスイッチング素子と、このスイッチ
ング素子により駆動される有機EL素子とを有し、前記
有機EL素子は、前記基板側からカラーフィルター層
と、ホール注入電極と、電子注入電極と、カラーフィル
ター層とを順次有し、これらの電極間に発光機能に関与
する有機層を有し、前記カラーフィルター層は、蒸着法
により形成されているものである。
【0014】あるいは、前記有機EL素子は、前記基板
側から電子注入電極と、ホール注入電極と、カラーフィ
ルター層とを順次有する逆積層構成であってもよい。
【0015】このように、カラーフィルター層を蒸着法
で形成することにより、カラーフィルター層の厚みを極
めて薄くすることができ、段差部での配線切れなどの不
具合を防止できる。また、高価なレジスト材を用いるこ
となくフィルター層を形成できるので、有機EL表示装
置のコストを引き下げることができ、しかも顔料以外の
成分を含有していないので、色純度の高いフィルターを
形成することができる。また、カラーフィルター層は平
坦な薄膜で形成されるので、オーバーコート層が不要と
なり、製造工程が少なくなり、製造工数を短縮でき、さ
らにコストを低減することができる。また、マスク蒸着
法を用いることで、極めて容易に3原色の塗り分けを行
うことが出来、小さな画素面積内にもフルカラー表示用
のフィルターを配置することが出来る。
【0016】カラーフィルター層の膜厚は、好ましくは
2000nm以下、特に300〜600nm程度である。カ
ラーフィルター層の膜厚が薄すぎるとカラーフィルター
層としての機能が低下してくる。逆に膜厚が厚すぎる
と、成膜工程に時間がかかりすぎるとともに、素子全体
の厚みが厚くなり、段切れなどの問題も生じやすくなっ
てくる。
【0017】カラーフィルター層には、気相堆積法で形
成可能なもののなかから好適なものを適宜選択して用い
ればよく、有機EL素子の発光する光に合わせてカラー
フィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最
適化すればよい。具体的には、有機顔料が好ましく、な
かでも多環式顔料またはアゾ顔料が好ましい。
【0018】多環式顔料としては、フタロシアニン系、
アントラキノン系、ペリレンおよびペリノン系、チオイ
ンジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソイン
ドリノン系、キノフタロン系等が挙げられ、これらのな
かでも、赤色系のフィルターとしてキナクリドン系、青
色系のフィルターとしてフタロシアニン系、緑色系のフ
ィルターとして前記キナクリドン系とフタロシアニン系
の混合物が好ましい。
【0019】アゾ顔料としては、不溶性アゾ顔料が好ま
しく、β−ナフトール系、ナフトールAS系、アセト酢
酸アリールアミド系等のモノアゾ顔料、アセト酢酸アリ
ールアミド系、ピラゾロン系等のジスアゾ顔料が好まし
い。
【0020】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできる材料を併用すれ
ば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
【0021】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を形
成してカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0022】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものである。
【0023】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0024】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0025】カラーフィルター層の形成には蒸着法を用
い、上記カラーフィルター材料を直接気化し、成膜させ
る。蒸着法としてはマスク蒸着法が好ましい。
【0026】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4 Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm
/sec 程度とすることが好ましい。
【0027】カラーフィルター層の形成に真空蒸着法を
用いる場合において、複数の化合物を含有させる場合、
化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着す
ることが好ましい。
【0028】カラーフィルター層が下地層となる場合、
つまり基板と有機EL構造体との間に形成される場合に
は、カラーフィルター層と電極との間にバリア層を形成
することが好ましい。バリア層を形成することにより、
カラーフィルター層を電極のパターニングの際のエッチ
ング、洗浄液等から保護することができる。また、いわ
ゆる逆積層構成の場合には、ホール注入電極上に形成さ
れたカラーフィルター層を覆うようにバリア層を形成す
ることが好ましい。この場合バリア層は、水分、ガスを
防ぎ、有機EL構造体が腐食・汚染されるのを防止す
る。
【0029】バリア層は、好ましくは酸化ケイ素により
形成され、好ましくは632nmにおける屈折率が1.
40〜1.55、より好ましくは1.44〜1.48で
ある。屈折率がこれより高いと、有機層中の成分に対す
るバリア性がなくなってくる。低いと、水分等に対する
バリア性がなくなってくる。
【0030】バリア層は、SiOx以外に、不可避不純
物として、N、C、Ar等を0.5wt%以下含有してい
てもよい。
【0031】SiOxのxは1.8〜2.2、特に1.
90〜2.05であることが好ましい。xがバリア層全
体の平均値としてこのような値であれば、xの値は厚さ
方向に勾配をもっていてもよい。
【0032】バリア層表面の平均表面粗さ(Ra )は、
2〜50nmが好ましい。また、最大表面粗さ(Rmax )
は、10〜50nmが好ましい。バリア層表面で膜の平坦
性が悪くなると、電流リークやダークスポットが発生す
る要因となる。そのため、適当な成膜条件を選び、異常
粒成長を抑え、ホール注入電極に接する界面の平均表面
粗さ(Ra )、最大表面粗さ(Rmax )を上記範囲内に
することが好ましい。
【0033】また、バリア層の発光光の透過率は80%
以上であることが好ましい。透過率が低くなると、発光
層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝
度が得られなくなる傾向がある。
【0034】また、バリア層の膜厚は、前記の範囲内で
あれば特に制限されないが、5〜50nm、特に10〜3
0nmであることが好ましい。
【0035】このSiOxを含有する膜は、プラズマC
VD法等によっても成膜できるが、スパッタ法で成膜す
ることが好ましい。上述のような膜を形成するために
は、特にRF電源を用いた高周波スパッタ法が好まし
い。プラズマCVD法では、反応ガスによって水素が膜
中に混入する可能性が高く、それによって水分に対する
バリア性が劣化してしまうことがある。
【0036】スパッタ法を用いて成膜する場合、スパッ
タガスには、通常のスパッタ装置に使用される不活性ガ
スが使用できる。中でも、Ar、Kr、Xeのいずれ
か、あるいは、これらの少なくとも1種以上のガスを含
む混合ガスを用いることが好ましい。
【0037】スパッタガスにAr、Kr、Xeのいずれ
かを主スパッタガスとして用いる場合、基板ターゲット
間距離の積は20〜60Pa・cm、特に30〜50Pa・cm
の範囲が好ましい。この条件であればいずれのスパッタ
ガスを用いても好ましい結果を得ることができるが、特
にArを用いることが好ましい。
【0038】スパッタ法としては、RFスパッタ法を用
いることが好ましい。RFスパッタ装置の電力は10〜
100W/cm2 の範囲が好ましい。周波数は13.56
MHzが好ましい。成膜レートは5〜50nm/分の範囲が
好ましい。成膜中の圧力は0.1〜1Paの範囲が好ま
しい。
【0039】発光層は、少なくとも発光機能に関与する
1種類、または2種類以上の有機化合物薄膜、またはそ
の積層膜からなる。
【0040】発光層は、少なくとも発光機能に関与する
1種類、または2種類以上の有機化合物薄膜、またはそ
の積層膜からなる。本発明における発光層は、好ましく
は白色発光が得られる発光層である。白色発光とは、代
表的な有機EL素子では、少なくとも波長450〜65
0nm、特に400〜700nmの連続した発光スペクトル
が得られることをいう。この場合、発光波長帯域中にお
いて発光強度の強弱が有る程度見られるが、本発明にお
いては上記波長帯域に発光光が得られるもので有れば白
色発光とする。白色発光は単一の発光層から得られるも
のでも、複数の発光層の発光光を合成して得られるもの
であってもよい。
【0041】本発明では好ましくは発光層は2層とし、
それぞれホスト物質に蛍光物質であるドーパントがドー
プされた構造を有するものとする。発光層はホール(正
孔)および電子の注入機能、それらの輸送機能、ホール
と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有す
る。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物を
用いることが好ましい。また、発光層を2層とし、好ま
しくはそれぞれ異なった発光波長を有する蛍光物質をド
ーピングさせることで、広い発光波長帯域を確保した
り、発光色の色彩の自由度を広くすることができる。発
光帯域を広くすることで、これと蛍光物質などを用いた
色変換膜や、カラーフィルター等と組み合わせ、容易に
フルカラーのディスプレイや、白色発光を得ることがで
きる。また、発光層の発光色の組み合わせによっても種
々の発光色や、白色発光を得ることができる。なお、発
光層が2層より多くなると、各発光層への電子/ホール
の注入効率が低下し、発光効率が著しく低下してくる。
【0042】本発明の有機EL素子の発光層には、発光
作用を有する化合物である蛍光性物質をドーパントとし
て含有させる。このような蛍光性物質としては、例え
ば、特開昭63−264692号公報に開示されている
ような化合物、例えばルブレン系、クマリン系、キナク
リドン系、ジシアノメチルピラン系等の化合物から選択
される少なくとも1種以上が挙げられる。
【0043】このような化合物の好ましい例として以下
に示すものがある。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】また、これとは別に、あるいはこれに加え
て、本出願人による、特願平10−137505号、特
願平11−124971号、同125044号に記載さ
れているようなナフタセン系化合物も好ましい。特に前
記化合物と併用することにより、素子の寿命を飛躍的に
向上させることができる。
【0050】ナフタセン系化合物は、好ましくは下記式
(III)で表される基本骨格を有する。
【0051】
【化6】
【0052】式(III)中、R1 〜R4 はそれぞれ非置
換、または置換基を有するアルキル基、アリール基、ア
ミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかを表
す。また、好ましくはアリール基、アミノ基、複素環基
およびアルケニル基のいずれかである。
【0053】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環や環
集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好まし
く、置換基を有していても良い。
【0054】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリ
ル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1
−、および2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,
m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナ
ントリル基等である。
【0055】R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミ
ノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂
肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有する
ことが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビ
スナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0056】R1 〜R4 で表される複素環基としては、
ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員
環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環
芳香複素環基等が挙げられる。
【0057】R1 〜R4 で表されるアルケニル基として
は、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1
−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、
および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,
2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置
換のものであっても良い。
【0058】芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環
基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル
基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げ
られる。
【0059】R1 〜R4 が置換基を有する場合、これら
の置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ
基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のい
ずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、
複素環基およびアルケニル基については上記R1 〜R4
と同様である。
【0060】R1 〜R4 の置換基となるアリーロキシ基
としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するもの
が好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキ
シ基等である。
【0061】これら置換基の2種以上が縮合環を形成し
ていてもよい。また、さらに置換されていても良く、そ
の場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
【0062】R1 〜R4 が置換基を有する場合、少なく
ともその2種以上が上記置換基を有することが好まし
い。その置換位置としては特に限定されるものではな
く、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。また、R
1 とR4 、R2 とR3 はそれぞれ同じものであることが
好ましいが異なっていてもよい。
【0063】また、R1 〜R8 のうちの少なくとも5種
以上、より好ましくは6種以上が非置換または置換基を
有するアルキル基、アリール基、アミノ基、アルケニル
基または複素環基である。
【0064】R5 ,R6 ,R7 およびR8 は、それぞれ
水素または置換基を有していても良いアルキル基、アリ
ール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表
す。
【0065】R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるア
ルキル基としては、炭素数が1〜6のものが好ましく、
直鎖状であっても分岐を有していても良い。アルキル基
の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、
(n,i)プロピル基、(n,i,sec,tert)
−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル
基等が挙げられる。
【0066】R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるア
リール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記R1
〜R4 の場合と同様である。また、R5 とR6 、R7
8は、それぞれ同じものであることが好ましいが、異
なっていても良い。
【0067】また、ナフタセン系化合物は、さらに下記
の式(IV)で表される基本骨格を有するものが好まし
い。
【0068】
【化7】
【0069】上記式(IV)中、R11〜R13、R21
23、R31〜R33およびR41〜R43は水素、アリール
基、アミノ基、複素環基、アリーロキシ基およびアルケ
ニル基のいずれかである。また、これらのうちの少なく
とも1群中にはアリール基、アミノ基、複素環基および
アリーロキシ基のいずれかを置換基として有することが
好ましい。これらの2種以上が縮合環を形成していても
よい。あるいは、これらの全てが水素である場合にはR
5 ,R6 ,R7 およびR8 のいずれかにはアルキル基、
またはアリール基を有することが好ましい。
【0070】アリール基、アミノ基、複素環基およびア
リーロキシ基の好ましい態様としては上記R1 〜R4
同様である。また。R11〜R13とR41〜R43、R21〜R
23とR31〜R33は、それぞれ同じであることが好ましい
が異なっていてもよい。
【0071】R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33およ
びR41〜R43の置換基となるアミノ基としては、アルキ
ルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等
いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、
および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが
好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジト
リルアミノ基、ビスビフェニリルアミノ基等が挙げられ
る。
【0072】形成される縮合環としては、例えばインデ
ン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノ
リン、isoキノリン、キノクサリン、フェナジン、ア
クリジン、インドール、カルバゾール、フェノキサジ
ン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフ
ェン、ベンゾフラン、アクリドン、ベンズイミダゾー
ル、クマリン、フラボン等を挙げることができる。
【0073】このような化合物の好ましい例として以下
に示すものがある。
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】これらの蛍光物質は、各発光層において少
なくとも1種以上が、それぞれ異なった発光波長を有す
るものが含有されていることが好ましい。
【0077】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましい。このような場
合の発光層におけるドーパントの含有量は、0.01〜
20wt%、さらには0.1〜15wt%とすることが好ま
しい。また、発光層中の前記テトラセン骨格を有する化
合物の含有量は、0.01〜10wt% 、さらには0.1
〜5wt% であることが好ましい。
【0078】発光層は、ホスト物質して、ホール輸送性
化合物、電子注入輸送性化合物のいずれかを有するか、
またはこれらの混合層とする。
【0079】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こり難くなり、有
機化合物がダメージを受け難くなり、素子寿命がのびる
という利点がある。前述のドーパントをこのような混合
層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長
特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行
させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素
子の安定性を向上させることができる。
【0080】発光層のホスト物質に用いられるホール輸
送性化合物および電子輸送性化合物は、各々、後述のホ
ール注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化
合物の中から選択すればよい。なかでも、ホール輸送層
用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、
例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体を用いるのが好ましい。
【0081】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特に下記構造のトリス(8−
キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を用いること
が好ましい。また、フェニルアントラセン誘導体、テト
ラアリールエテン誘導体を用いることもできる。
【0082】
【化10】
【0083】ホール輸送性化合物としては、強い蛍光を
持ったアミン誘導体、例えばホール輸送材料であるテト
ラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンな
いしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミ
ン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾ
ール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオ
キサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等を挙げること
ができる。特にテトラアリールベンジシン化合物(トリ
アリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TP
D)、特願平8−358416号に示されているような
トリアリールアミン多量体(ATP)が好ましい。
【0084】トリフェニルジアミン誘導体の好ましい例
として以下に示すものがある。
【0085】
【化11】
【0086】
【化12】
【0087】
【化13】
【0088】トリアリールアミン多量体の好ましい例と
して以下に示すものがある。
【0089】
【化14】
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般
的には、ホール注入輸送性化合物/電子注入輸送性化合
物の重量比が、好ましくは1/99〜99/1、より好
ましくは10/90〜90/10、特に20/80〜8
0/20、さらには40/60〜60/40程度となる
ようにすることが好ましい。
【0093】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させて
コーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形
成する。
【0094】ホール注入輸送層は、ホール注入電極から
のホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送
する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送
層は、電子注入電極からの電子の注入を容易にする機
能、電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げる機
能を有するものであり、これらの層は、発光層に注入さ
れるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領域を
最適化させ、発光効率を改善する。
【0095】発光層一層分の厚さは、分子層一層に相当
する厚みから、発光層の膜厚未満とすることが好まし
く、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さら
には5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好まし
い。
【0096】発光層全体の厚さは特に限定されず、形成
方法によっても異なるが、通常、5〜500nm程度、特
に10〜300nmとすることが好ましい。
【0097】ホール注入層、ホール輸送層、および電子
注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計による
が、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程
度とすればよい。ホール注入層とホール輸送層は、それ
ぞれ1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、
輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、
輸送層で500nm程度である。
【0098】ホール注入層、およびホール輸送層には、
例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリー
ルジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳
香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導
体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ
基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等
を挙げることができる。これらのなかでもテトラアリー
ルベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリ
フェニルジアミン:TPD)、特願平8−358416
号に示されているようなトリアリールアミン多量体(A
TP)が好ましい。その他、特開昭63−295695
号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−7
92号公報、特開平5−234681号公報、特開平5
−239455号公報、特開平5−299174号公
報、特開平7−126225号公報、特開平7−126
226号公報、特開平8−100172号公報、EP0
650955A1等に記載されている各種有機化合物を
用いることができる。これらの化合物は2種以上を併用
してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混
合したりすればよい。
【0099】ホール注入層とホール輸送層とを設層する
場合、上記化合物のなかから好ましい組合せを選択して
用いることができる。このとき、ホール注入電極(IT
O等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層
の順に積層することが好ましい。また、ホール注入電極
表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好まし
い。特に、ATPをホール注入層に用い、TPDをホー
ル輸送層に用いるとよい。このような積層とすることに
よって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダーク
スポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子
化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄
い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができる
ため、ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、
可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の
色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができ
る。ホール注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合
物を蒸着することにより形成することができる。
【0100】また、電子注入輸送層には、トリス(8−
キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノ
リノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体
などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリ
レン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノ
キサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換
フルオレン誘導体等を用いることができる。発光層は電
子輸送層を兼ねたものであってもよく、このような場合
はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用す
ることが好ましい。電子注入輸送層の形成は発光層と同
様に蒸着等によればよい。
【0101】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりするこ
とができる。
【0102】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0103】ホール注入電極材料は、ホール注入層等へ
ホールを効率よく注入することのできるものが好まし
く、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具
体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ド
ープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In
23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(Zn
O)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これら
の酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよ
い。In2 3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20
wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZO
でのIn2 3 に対するZnOの混合比は、通常、12
〜32wt%程度である。
【0104】ホール注入電極は、仕事関数を調整するた
め、酸化シリコン(SiO2 )を含有していてもよい。
酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、ITOに対する
SiO2 の mol比で0.5〜10%程度が好ましい。S
iO2 を含有することにより、ITOの仕事関数が増大
する。
【0105】光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、
通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率
が50%以上、さらには80%以上、特に90%以上で
あることが好ましい。透過率が低くなりすぎると、発光
層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝
度を得難くなってくる。
【0106】電極の厚さは、50〜500nm、特に50
〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制
限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心
配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られ
ず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0107】陰電極は、有機の電子注入輸送層等との組
み合わせにおいては電子注入性を有する電極として必要
に応じて下記のものを用いることができる。例えば、
K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、B
a、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性
を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金
系、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、A
l・Li(Li:0.01〜14at%)、In・Mg
(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.0
1〜20at%)等が挙げられる。
【0108】陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十分行え
る一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好まし
くは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよい。また、
その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜50
0nm程度とすればよい。
【0109】陰電極(電子注入電極)は、無機電子注入
輸送層との組み合わせでは、低仕事関数で電子注入性を
有している必要がないため、特に限定される必要はな
く、通常の金属を用いることができる。なかでも、導電
率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,Ti,Cu,
Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,A
gから選択される1種または2種等の金属元素が好まし
い。
【0110】これら陰電極薄膜の厚さは、電子を無機電
子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚さとす
れば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上とすれ
ばよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常
膜厚は50〜500nm程度とすればよい。
【0111】陰電極と保護層とを併せた全体の厚さとし
ては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度とす
ればよい。
【0112】さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐ
ために、素子を封止板等により封止することが好まし
い。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層
を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、A
r、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、こ
の封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ま
しくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好
ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常
0.1ppm 程度である。
【0113】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、特にガラス、樹脂が好ましい。この
ようなガラス材として、コストの面からアルカリガラス
が好ましいが、特に、ソーダガラスで、表面処理の無い
ガラス材が安価に使用でき、好ましい。樹脂材として
は、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリカーボネー
ト等の熱可塑性樹脂等が好ましい。
【0114】封止板は、スペーサーを用いて高さを調整
し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料と
しては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガ
ラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好
ましい。
【0115】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0116】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ
樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0117】有機EL素子は、通常、直流駆動型、パル
ス駆動型のEL素子として用いられる。印加電圧は、通
常、2〜30V 程度とされる。
【0118】本発明のスイッチング素子は、制御電極と
一組の被制御電極とがシリコン基体に形成され、有機E
L素子を直接駆動する半導体であれば特に規制されるも
のではないが、表示装置として機能させるにはTFT
(Thin Film Transistor)タイプのものが好ましい。
【0119】本発明に用いられる基板は、絶縁性であ
り、石英、サファイア、ガラスのような透明材料である
ことが好ましい。ここで、透明とは、有機EL表示装置
における実際的な使用に対して充分な光を透過する性質
を有することを意味する。例えば、所望の発光波長帯域
で50%以上の光を透過するものは透明と考えられる。
また、低歪点ガラスとは、約700℃以上の温度で歪む
ガラスをいう。
【0120】本発明に用いられる有機EL素子は、例え
ば図1に示すように、TFTが形成された基板などの基
体1/カラーフィルター層2/バリア層3/ホール注入
電極4/ホール注入輸送層5/発光層6/電子注入輸送
層7/陰電極(電子注入電極)8とが順次積層された構
成とすることができる。また、図2に示すように、基体
1/陰電極(電子注入電極)8/電子注入輸送層7/発
光層6/ホール注入輸送層5/ホール注入電極4/カラ
ーフィルター層2/バリア層3とが順次積層された逆積
層構成とすることもできる。図2の構成では、光取り出
し側は基体と反対側のホール注入電極側となる。この場
合、バリア層3は省略してもよいし、ホール注入電極4
とカラーフィルター層2との間に形成してもよい。図
1,2において、ホール注入電極4と陰電極8の間に
は、駆動電源9が接続されている。
【0121】本発明において、薄膜トランジスター(T
FT)は有機EL素子の駆動のために用いられる。
【0122】本発明のスイッチング素子について、図3
を参照しつつさらに具体的に説明する。図3は、有機E
L素子を駆動するTFTアレイの一例を示した平面図で
ある。
【0123】図において、ソースバス11にはソース電
極13が接続され、コンタクトホール13aを介してシ
リコン基体21上に形成されているソース部位と接続し
ている。このシリコン基体21上には図示しない他の画
素のTFT素子と共通に接続されているゲートバス12
が形成されていて、このゲートバス12がシリコン基体
21と交わる部分にゲート電極が形成される。
【0124】ソース部位とゲート電極を挟んでシリコン
基体上に形成されているドレイン部位にはコンタクトホ
ール14aを介してドレイン配線14が接続されてい
る。このドレイン配線14はコンタクトホール14bを
介してゲートライン15と接続され、このゲートライン
15はTFT2を構成するシリコン基体22上に形成さ
れるとともに、キャパシタ18の一方の電極と接続され
ている。キャパシタ18の他方の電極はアースバス23
と接続されるとともに、ソース電極17と接続され、こ
のソース電極17はコンタクトホール17aを介してT
FT1のソース部位と接続されている。ゲートライン1
5がシリコン素体22と交わる部位に、ゲート電極が形
成されることとなる。
【0125】ソース部位とゲート電極15を挟んでシリ
コン基体上に形成されているドレイン部位にはコンタク
トホール16aを介してドレイン配線16が接続され、
このドレイン配線16は画素となる有機EL素子の一方
の電極を構成するか、それと接続されている。
【0126】この有機EL素子を直接駆動するTFT1
およびこれを駆動するTFT2等が本発明におけるスイ
ッチング素子(TFT)に相当する。
【0127】このスイッチング素子の活性層は、例え
ば、n+ /i/n+ 領域が形成された部分であり、n+
はN型にドーピングされた部位,iはドーピングされて
いない部位を示す。この活性層のドーピングがされた部
位はP型にドーピングされたP+であっても良い。この
活性層は、好ましくはポリシリコンで形成される。ポリ
シリコンは、アモルファスSiに比べ通電に対し十分な
安定性を示す。
【0128】ポリシリコンの前駆体としてのα−Si層
は、各種CVD法により積層しうるが、好ましくはプラ
ズマCVD法により積層する。その後、KrF(248
nm)レーザーなどのエキシマーレーザーによりアニール
し、結晶化する。具体的な方法としては、SID´9
6,Digestoftechnicalpapers
P17〜28に示されているような方法を用いるとよ
い。
【0129】エキシマレーザーのアニーリングとして
は、基板温度100〜300℃に維持するのが好まし
く、100〜300mJ/cm2 のエネルギー量をもつ
レーザー光でアニール化するのが好ましい。
【0130】このほかに、通常用いられている熱アニー
ル法を用いて結晶化してもよい。また、熱アニール法と
レーザーアニール法を併用することにより、さらに好ま
しい結果を得ることができる。
【0131】活性処理されたポリシリコンには、900
℃前後の加熱処理を経て形成されるシリコン薄膜(いわ
ゆる高温ポリシリコン膜)や600℃以下の比較的低温
で形成されるシリコン薄膜(いわゆる低温ポリシリコン
膜)がある。本発明の活性層は、高温ポリシリコン、低
温ポリシリコンのいずれであってもよい。
【0132】活性層、すなわちα−Siの膜厚は100
〜800Å、好ましくは300〜500Åである。
【0133】活性層(ポリシリコン層)は、フォトリソ
グラフィにより、スイッチング素子として必要な構成と
なるようアイランドにパターン化される。
【0134】用いられる基板は、絶縁性を有する石英、
セラミック、サファイア、ガラス等を用いることができ
るが、好ましくは低歪点ガラスのような高価でない材料
である。ガラス基板が用いられるときにはTFT−EL
の製造全体がガラスの溶融または歪みを回避し、能動領
域内にドーパントの外側拡散(out−diffusi
on)を回避するため、アニーリングは低プロセス温度
で実施される。このようにしてガラス基板に対して全て
の製造段階は800℃以下、好ましくは600℃以下で
なされなければならない。
【0135】また、制御電極を構成するため、好ましく
は絶縁ゲート材料がポリシリコンアイランド上および絶
縁基板の表面にわたり積層される。絶縁材料は好ましく
はプラズマCVD(PECVD)または減圧CVD(L
PCVD)のような化学蒸着(CVD)により積層され
る二酸化シリコン(SiO2 )である。ゲート酸化物絶
縁層の厚さは好ましくは約50〜200nmである。基板
温度としては250〜400℃が好ましくさらに高品質
の絶縁ゲート材料を得るためにはアニールを300〜6
00℃で1〜3時間程度施すのが好ましい。
【0136】さらに、制御電極として、例えばゲート電
極を蒸着またはスパッタリング等により形成し、ゲート
電極をパターンニングする。ゲート電極の好ましい膜厚
は100〜500nmである。
【0137】好ましいゲート形成方法としてはゲートと
してポリシリコンを用いる次の技術がある。
【0138】<n型Pドープポリシリコン>ゲート電極
は、プラズマCVD法でPドープのα−Siを形成し、
これを600℃アニールにより多結晶化させ、n型の多
結晶Siとし、ホトリソグラフィーの手法を用いてパタ
ーニングする。
【0139】必要により、信号電極線および走査電極線
を形成してもよい。Al合金,Al,Cr,W,Moな
どの金属線をフォトリソグラフィにより形成する。
【0140】また、Alゲートを使用するときは、絶縁
するために陽極酸化を2回にわたり行うのが好ましい。
陽極酸化に関しては特公平8−15120号公報に詳細
に開示されている。
【0141】さらに、イオンドーピングによりn+ また
はP+ の部位を形成する。
【0142】被制御電極としてのドレイン,ソースなど
のコンタクトは、上記絶縁膜を開口した箇所で行う。上
記絶縁膜の内、SiO2 は、例えばTEOS(テトラエ
トキシシラン)をガスとして基板温度250〜400℃
の間に設定しPECVDにより得ることができる。また
ECR−CVDで基板温度を100〜300℃としても
得ることができる。
【0143】層間絶縁膜は、例えば、下記の方法で形成
することができる。
【0144】プラズマエッチングによるエッチバック法
各種CVD法,プラズマCVD,PECVD(プラズマ
インハンスドCVD),LPCVD(減圧CVD)法な
どによりSiO2 シリカを好ましくは0.2μm〜3μ
m成膜する。
【0145】この方法により平坦化された層間絶縁膜
(SiO2 )を得ることができる。この方法には、シリ
カの他,PSG,BSG(リンシリカガラス,ボロンシ
リカガラス)を用いることもできるし、Si34 など
チッ化シリコン系化合物を用いることがもできる。
【0146】以上のようにして、スイッチング素子が形
成される。
【0147】スイッチング素子のオフ電流は、1×10
-8 A以下、特に1×10-10 A以下である。その下限と
しては特に規制されるものではなく、少ないほど好まし
いが、通常、1×10-13 A、好ましくは1×10-14 A
程度である。オフ電流が多くなると、誤発光やコントラ
ストの低下を招く。
【0148】スイッチング素子の電界移動度は、好まし
くは60(cm2 /V・sec)以下、特に30〜50(cm2
/V・sec)である。
【0149】次に、本発明のスイッチング素子のより具
体的な構成、およびその製造工程について図を参照しつ
つ説明する。
【0150】先ず、図4に示すように、基板101上に
スパッタ法、各種CVD法、好ましくはプラズマCVD
法等により、α−Si層102を積層する。
【0151】その後、図5に示すように、エキシマレー
ザー115等によりアニール、結晶化を行い、活性層1
02aを形成する。
【0152】さらに、図6に示すように、結晶化された
活性層(ポリシリコン層)102aをフォトリソグラフ
ィによりアイランドにパターン化する。
【0153】次に、図7に示すように、絶縁ゲート10
3をポリシリコンアイランド102a上および絶縁基板
101の表面にわたり積層する。基板温度としては25
0〜400℃が好ましくさらに高品質の絶縁ゲート材料
を得るためにはアニールを300〜600℃で1〜3時
間程度施すのが好ましい。
【0154】次に、図8に示すように、ゲート電極10
4を蒸着またはスパッタリングで成膜する。
【0155】次いで、図9に示すように、ゲート電極1
04をパターニングし、パターニングされたゲート電極
104上からイオンドーピング116を行い、n+ また
はP+ の部位を形成し、さらに、信号電極線および走査
電極線をフォトリソグラフィーにより形成する。
【0156】次いで、ドレイン,ソースなどのコンタク
トを形成する。コンタクトは、絶縁膜111を開口した
箇所で行う。先ず、常圧CVD法により、層間絶縁層と
してSiO2 膜を成膜する。次いで、層間絶縁層をエッ
チングしてコンタクトホールを形成し、ドレイン、ソー
ス接続部を開口する。
【0157】開口したドレイン、ソース接続部に、それ
ぞれドレイン配線電極112、ソース配線電極113を
成膜して、ドレイン、ソース電極と接続する。この場
合、ドレイン、ソース電極のいずれか一方が、有機EL
素子の第1の電極、または第2の電極として機能する
か、これと接続される。図示例ではホール注入電極であ
るITO(115)と接続される。さらに、ドレイン配
線電極112上に絶縁膜114を形成し、同時に画素部
分以外を覆うエッジカバーを形成して図10に示すよう
なスイッチング素子を得る。
【0158】なお、ホール注入電極等、有機EL素子の
電極との接続には、例えば図11に示すように配線電極
113と、ホール注入電極115との間に両者の接続性
を向上させるために、TiN等の接続金属層116を形
成するとよい。
【0159】
【実施例】<実施例1>コーニング製1737耐熱性無
アルカリガラス基板の上にアモルファス・シリコン層を
約600Åの厚さでCVD法により成膜した。この成膜
条件は、下記の通りである。 Si26 ガス:100SCCM、圧力:0.3Torr、温
度:480℃。
【0160】それからこのアモルファス・シリコン層を
固相成長させて活性層(ポリシリコン層)とした。この
固相成長は、熱アニールとレーザーアニールを併用し
た。その条件は下記の通りである。
【0161】<熱アニール> N2 :1SLM、温度:600℃、処理時間:24時間
【0162】<レーザーアニール> KrF:254nm、エネルギー密度:200mJ/cm2
ショット数:50次いで、このポリシリコン層をパター
ニングして活性シリコン層:500Åを得た。
【0163】この活性シリコン層の上にゲート酸化膜と
なるSiO2 層を、例えばプラズマCVD法により、約
800Å成膜した。成膜条件は例えば下記の通りであ
る。 投入パワー:50W、TEOS(テトラエトキシシラ
ン)ガス:50SCCM、O 2 :500SCCM、圧力:0.1
〜0.5Torr、温度:350℃。
【0164】このSiO2 層の上に、ゲート電極となる
Mo−Si2 層を、スパッタ法により、約1000Å成
膜した。それからこのMo−Si2 層および上記で形成
したSiO2 層を、例えばドライエッチングによりパタ
ーニングし、ゲート電極およびゲード酸化膜を得た。
【0165】次いで、このゲート電極をマスクとしてシ
リコン活性層のソース・ドレイン領域となるべき部分に
イオンドーピング法により、N型の不純物:Pをドーピ
ングした。
【0166】次に、これを窒素雰囲気中で約550℃で
10時間加熱して、ドーパントの活性化を行った。さら
に、水素雰囲気中で約400℃で30分加熱処理して水
素化を行い、半導体の欠陥準位密度を減少させた。
【0167】そして、この基板全体に層間絶縁層となる
SiO2 層を、厚さ約8000Å成形した。この層間絶
縁層となるSiO2 の成膜条件は、以下の通りである。
【0168】O2/N2 :10SLM 5%SiH4/N2 :1SLM 1%PH3/N2 :500SCCM N2 :10SLM 温度:410℃ 圧力:大気圧
【0169】この層間絶縁層となるSiO2 膜をエッチ
ングし、コンタクト用のホールを形成した。次いで、ド
レイン、ソース配線電極としてAlを蒸着した。
【0170】得られたTFTアレイのS値は1.0(V
/decade)、オフ電流は4×10-10Aであった。
【0171】次に、有機EL素子の形成領域に青色フィ
ルター層と、赤色フィルター層と、緑色フィルター層と
して、フタロシアニンブルー(青色)、キナクリドンレ
ッド(赤色)、フタロシアニンブルーおよびキナクリド
ンレッド(緑色)をそれぞれマスク蒸着法により形成し
た。
【0172】蒸着時の圧力は1×10-4Pa以下とし、各
フィルター層の膜厚は、400nmとした。
【0173】次に、ターゲットにSiO2を用い、RF
スパッタ法で、バリア層を、成膜速度10nm/minで、
30nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスはA
r100sccmで、成膜中の圧力は0.5Paとした。ま
た、温度は室温で、投入電力は周波数13.56MHzで
500W、基板・ターゲット間は5cmであった。成膜し
たバリア層の組成はSiO1.8であった。
【0174】次に、ITO透明電極(ホール注入電極)
を膜厚85nmで64ドット×7ラインの画素(一画素当
たり200×200μm )を構成するよう成膜、パター
ニングし、上記TFTの被制御電極の一方と接続した。
そして、パターニングされたホール注入電極が形成され
た基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超
音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し
た。その後、UV/O3洗浄を行った。
【0175】次に、再び真空蒸着装置の基板ホルダーに
固定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0176】減圧状態を保ったまま、下記構造のN,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチル
フェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]
−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(ATP
34)を蒸着速度0.2nm/sec で40nmの膜厚に蒸着
し、ホール注入層とした。
【0177】
【化17】
【0178】次いで、下記構造のN,N´−ビス(m−
メチルフェニル)−N,N´−ジフェニル−1,1´−
ビフェニル−4,4´−ジアミン(TPD27)を蒸着
速度0.2nm/secで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送
層とした。
【0179】
【化18】
【0180】次いで、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
ルブレンを、1体積%ドープしたものを、全体の蒸着速
度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第1の発
光層とした。
【0181】
【化19】
【0182】さらに、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
DSMAを、2.5体積%ドープしたものを、全体の蒸
着速度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第2
の発光層とした。
【0183】
【化20】
【0184】次に、減圧状態を保ったまま、Alq3 を
蒸着速度0.2nm/sec.で50nmの厚さに蒸着して、電
子注入輸送層とした。
【0185】次いで、減圧を保ったまま、AlLi(L
i:7at%)を1nmの厚さに蒸着し、続けてAlを20
0nmの厚さに蒸着し、電子注入電極および補助電極の陰
電極とした。
【0186】最後にガラス封止して有機EL表示装置を
得た。
【0187】このようにして得られた有機EL素子は、
TFTのオン・オフ動作に従い、明滅した。また、マス
ク蒸着法により形成されているため、200μm 角の画
素内に3原色のフィルター層を形成することができた。
また、発光層から得られる発光光は400〜700nmの
波長帯域の白色光であった。
【0188】得られたサンプルを10サンプル用意し、
各画素を10mA/cm2 の定電流密度で所定のパターンに
駆動し、表示面を目視により観察したところ、従来のカ
ラーフィルターを用いたものに比べ色味、彩度の表現に
優れた表示画面が得られることが確認できた。また、カ
ラーレジスト材とオーバーコートの形成が不要になった
ため、約30%以上のコスト低減が可能となった。
【0189】<実施例2>実施例1において、TFT素
子を形成した後に有機EL素子の形成領域となる部分
に、真空蒸着法によりAlを200nmの厚さに蒸着し、
続けてAlLi(Li:7at%)を1nmの厚さに蒸着
し、所定のパターンにパターニングして補助電極および
電子注入電極の陰電極とした。
【0190】次に、減圧状態を保ったまま、トリス(8
−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度
0.2nm/sec.で50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸
送層とした。
【0191】次いで、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
DSMAを、2.5体積%ドープしたものを、全体の蒸
着速度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第2
の発光層とした。
【0192】さらに、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
ルブレンを、1体積%ドープしたものを、全体の蒸着速
度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第1の発
光層とした。
【0193】次いで、TPD27を蒸着速度0.2nm/s
ecで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
【0194】減圧状態を保ったまま、N,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−
N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−
ビフェニル−4,4’−ジアミン(ATP34)を蒸着
速度0.2nm/sec で40nmの膜厚に蒸着し、ホール注
入層とした。
【0195】次に、スパッタ装置に移し、ITO透明電
極(ホール注入電極)を膜厚85nmで64ドット×7ラ
インの画素(一画素当たり200×200μm )を構成
するよう成膜、パターニングした。
【0196】次いで、青色フィルター層と、赤色フィル
ター層と、緑色フィルター層として、フタロシアニンブ
ルー(青色)、キナクリドンレッド(赤色)、フタロシ
アニンブルーおよびキナクリドンレッド(緑色)をそれ
ぞれマスク蒸着法により形成した。
【0197】次に、ターゲットにSiO2を用い、RF
スパッタ法で、バリア層を、成膜速度10nm/minで、
30nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスはA
r100sccmで、成膜中の圧力は0.5Paとした。ま
た、温度は室温で、投入電力は周波数13.56MHzで
500W、基板・ターゲット間は5cmであった。成膜し
たバリア層の組成はSiO1.9であった。
【0198】最後にガラス封止して有機EL表示装置を
得た。
【0199】得られた有機EL表示装置を実施例1と同
様にして評価したところ、実施例1とほぼ同様の結果が
得られた。また、カラーフィルター層の形成に伴う有機
EL素子へのダメージはほとんど見られなかった。
【0200】<実施例3>実施例2において、封止板を
ガラス板からPET(ポリエチレンテレフタレート)フ
ィルムにSiO2 コートを施したものに代えた以外は実
施例2と同様にして作製した有機EL表示装置につい
て、実施例2の表示装置とともに輝度半減時間を評価し
たところ、ほぼ同様の結果となり、PET製の封止板を
用いても十分実用性を有することがわかった。
【0201】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、カラーフ
ィルターの段差による配線の段切れを防止し、低コスト
で高品位で歩留まりのよい有機EL表示装置を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断
面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の他の基本構成(逆積
層)を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置の一例を示す平面図
である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図5】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図7】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図9】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示す
一部断面図である。
【図10】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示
す一部断面図である。
【図11】本発明の有機EL表示装置の一製造工程を示
す一部断面図である。
【図12】有機EL表示装置の構成例を示すブロック図
である。
【図13】図12のA部拡大図である。
【符号の説明】
1 基板 2 カラーフィルター層 3 バリア層 4 ホール注入電極 5 ホール注入輸送層 6 発光層 7 電子注入輸送層 8 陰電極(電子注入電極) 1 ゲート 2 シリコン基体 11 ソースバス 12 ゲートバス 13 ソース電極 14 ドレイン電極 15 ゲートライン 16 ドレイン電極 17 ソース電極 18 キャパシタ 21、22 シリコン基体 101 基板 102 アモルファスシリコン層 102a 活性層 103 ゲート酸化膜 104 ゲート電極 105 絶縁膜 106 レジスト
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB00 AB03 AB04 AB13 AB18 BA06 BB01 BB04 BB06 CA01 CA02 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02 FA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に制御電極と一組の被制御電極と
    が非単結晶シリコン基体に形成されているスイッチング
    素子と、 このスイッチング素子により駆動される有機EL素子と
    を有し、 前記有機EL素子は、前記基板側からカラーフィルター
    層と、ホール注入電極と、電子注入電極とを順次有し、 これらの電極間に発光機能に関与する有機層を有し、 前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成されてい
    る有機EL表示装置。
  2. 【請求項2】 基板上に制御電極と一組の被制御電極と
    が非単結晶シリコン基体に形成されているスイッチング
    素子と、 このスイッチング素子により駆動される有機EL素子と
    を有し、 前記有機EL素子は、前記基板側から電子注入電極と、
    ホール注入電極と、カラーフィルター層とを順次有し、 前記各電極間に発光機能に関与する有機層を有し、 前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成されてい
    る有機EL表示装置。
  3. 【請求項3】 前記からフィルター層は、顔料にて形成
    されている請求項1または2の有機EL表示装置。
  4. 【請求項4】 前記カラーフィルター層の膜厚は、20
    00nm以下である請求項1〜3のいずれかの有機EL表
    示装置。
  5. 【請求項5】 前記蒸着法は、マスク蒸着法である請求
    項1〜4のいずれかの有機EL表示装置。
  6. 【請求項6】 前記基板は、樹脂材料により形成されて
    いる請求項1〜5のいずれかの有機得EL表示装置。
  7. 【請求項7】 発光層から得られる発光光は、少なくと
    も波長450〜650nmの連続した発光スペクトルを有
    する白色発光である請求項1〜7のいずれかの有機EL
    表示装置。
  8. 【請求項8】 樹脂封止構造体を有する請求項1〜7の
    いずれかの有機EL表示装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002083689A (ja) * 2000-06-29 2002-03-22 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置
JP2004220804A (ja) * 2003-01-09 2004-08-05 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機発光素子、および、有機発光素子の製造方法
JP2014196495A (ja) * 2009-12-24 2014-10-16 三星ディスプレイ株式會社Samsung Display Co.,Ltd. 表示装置の製造方法
CN111509007A (zh) * 2015-10-30 2020-08-07 乐金显示有限公司 有机发光显示装置及其制造方法

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