JP2001068272A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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JP2001068272A
JP2001068272A JP23669799A JP23669799A JP2001068272A JP 2001068272 A JP2001068272 A JP 2001068272A JP 23669799 A JP23669799 A JP 23669799A JP 23669799 A JP23669799 A JP 23669799A JP 2001068272 A JP2001068272 A JP 2001068272A
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organic
layer
hole injection
injection electrode
organic layer
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JP23669799A
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English (en)
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Michio Arai
三千男 荒井
Kenji Nakatani
賢司 中谷
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極間の部分的なショート、あるいは近似的
なショート状態を防止し、リーク電流の発生による誤発
光、表示ムラの生じない高品位で歩留まりのよい有機E
L素子を実現する。 【解決手段】 ホール注入電極と電子注入電極と、これ
らの電極間に発光機能に関与する有機層とを有し、前記
ホール注入電極1上にはホール注入輸送性材料を含有す
る有機層3を有し、かつこの有機層3が、含有するホー
ル注入輸送性材料のガラス転移温度Tg以上で加熱処理
されている構成の有機EL素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(エレク
トロルミネッセンス)素子に関し、詳しくは、有機化合
物の薄膜に電界を印加して光を放出する素子に用いられ
る有機EL素子の薄膜構造に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、ガラス上に大面積で素
子を形成できるため、ディスプレー用等に研究開発が進
められている。一般に有機EL素子は、ガラス基板上に
ITO等の透明電極を形成し、その上に有機アミン系の
ホール輸送層、電子導電性を示しかつ強い発光を示すた
とえばAlq3 材からなる有機発光層を積層し、さら
に、MgAgなどの仕事関数の小さい電極を形成し、基
本素子としている。
【0003】このような有機EL素子を用いたディスプ
レイを製造する場合、量産工程においては、不良品率を
いかに少なくするかが重要な課題である。すなわち、製
造工程において有機層が不均一に積層されたり、電子注
入電極等の機能性薄膜を積層する際に有機層にダメージ
を与えたり、逆に電子注入電極自体に不純物が混入した
り、酸化したりして、いわゆる輝度ムラ、ドット欠陥等
の不良や品質のバラツキを生じる場合がある。特に、電
流リークの発生は重要な問題であり、逆方向への電流
(リーク電流)があると、クロストロークや、輝度ムラ
等の表示品質の低下を招き、さらには不要な素子の発熱
などの発光に寄与しないエネルギー消費が起こり、発光
効率が低下してしまう。
【0004】従来の有機EL素子は、ホール注入電極を
除き有機層と電子注入電極の膜厚が100〜200nm程
度である。このように薄い膜厚で発光するということ
は、ディスプレイとしては極めて優れた性能を発揮する
ことができるが、有機層の成膜時にゴミ(微細な塵)が
存在する場合、容易にリークを生じてしまう。すなわ
ち、図3に示すように、ホール注入電極1成膜後に、ゴ
ミ2が画素の表面に付着した場合、有機層3を蒸着法に
より成膜するとシャドーイング(shadowing )現象によ
り、直進性のよい蒸着粒子はゴミの影の部分には付着せ
ず、成膜された有機層3とゴミ2との間には、有機層3
の成膜されない影の部分に隙間が生じる。
【0005】そして、図4に示すように、電子注入電極
をスパッタ法で成膜すると、スパッタされた粒子4aは
回り込み(throwing power)が良好であるため、影の部
分にも回り込み、この部分にも電子注入電極4を形成し
てしまう。このため、ホール注入電極1と電子注入電極
4とが、ゴミ2の影の部分では有機層3を介することな
く直接接続され、リーク電流が流れることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電極
間の部分的なショート、あるいは近似的なショート状態
を防止し、リーク電流の発生による誤発光、表示ムラの
生じない高品位で歩留まりのよい有機EL素子を実現す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は、
以下の構成により達成される。 (1) ホール注入電極と電子注入電極と、これらの電
極間に発光機能に関与する有機層とを有し、前記ホール
注入電極上には熱溶融した有機層が隣接して形成され、
かつこの熱溶融した有機層は、含有する有機材料のガラ
ス転移温度Tg以上で加熱処理されている有機EL素
子。 (2) 前記熱溶融した有機層は、ホール注入輸送性材
料を含有する上記(1)の有機EL素子。 (3) 前記加熱処理温度は、100〜250℃である
上記(1)または(2)の有機EL素子。 (4) 前記ホール注入輸送層の膜厚は、5〜100nm
である上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL素子。 (5) ホール注入電極と電子注入電極と、これらの電
極間に発光機能に関与する有機層とを有する有機EL素
子の製造方法であって、前記ホール注入電極上に熱溶融
有機層前駆体を形成した後、この熱溶融有機層前駆体が
含有する有機材料のガラス転移温度Tg以上で加熱処理
を行い、さらに発光機能を有する他の有機層、電子注入
電極を順次成膜して有機EL素子を得る有機EL素子の
製造方法。 (6) 前記熱溶融有機層は、ホール注入輸送性材料を
含有する上記(5)の有機EL素子。 (7) 前記加熱処理温度は、100〜250℃である
上記(5)または(6)の有機EL素子の製造方法。 (8) 前記ホール注入輸送層の膜厚が、5〜100nm
である上記(5)〜(6)のいずれかの有機EL素子の
製造方法。
【0008】
【作用】本発明者は、電流リークの発生のメカニズムに
ついて研究を重ねた結果、主な原因の1つは、ゴミ(微
細な塵)の存在が大きく関与していることを突き止め
た。すなわち、ホール注入電極(ITO)上に付着した
ゴミがあると、このゴミの上から製膜される有機層の材
料は、蒸着法などの回り込みの少ない製膜方法により形
成される。ところが、有機層の上に製膜される電子注入
層は、通常スパッタ法などにより形成されるため、回り
込みが良好であり、有機層とゴミとの間に生じた隙間か
ら進入してホール注入電極に達し、電子注入電極とホー
ル注入電極とが短絡状態となる。
【0009】そこで、例えば図2のようにホール注入電
極上に形成した有機層を含有する有機材料のガラス転移
点以上の温度で加熱処理し、有機材料を流動化させるこ
とによりゴミ2を取り囲むようになり、ゴミ2に対して
隙間の生じないようゴミ2を包み込むように有機層が再
形成され、スパッタされた粒子4aが前記影の部分に入
り込むことができなくなり、リーク電流の発生を防止で
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子は、ホール
注入電極と電子注入電極と、これらの電極間に発光機能
に関与する有機層とを有し、前記ホール注入電極上には
有機材料、好ましくは電荷注入輸送性材料を含有する熱
溶融有機層を有し、かつこの熱溶融有機層が含有する好
ましくは電荷注入輸送性材料である有機材料のガラス転
移温度Tg以上で加熱処理されているものである。
【0011】このように、ホール注入電極上に形成され
た有機材料、好ましくは電荷注入輸送性材料を含有する
有機層を加熱処理することにより、有機材料、好ましく
は電荷注入輸送材料が溶融し、表面張力によりホール注
入電極上に付着したゴミや異物の周りを取り囲むように
流動して有機層を再形成する。このため、ホール注入電
極上に付着したゴミなどの異物は、有機材料により取り
囲まれるようになり、ホール注入電極と、電子注入電極
との部分的短絡を防止することができる。
【0012】本発明の有機EL素子は、発光層とホール
注入電極との間に熱溶融有機層として、好ましくは電荷
輸送性材料を含有する有機層を有する。
【0013】電荷輸送性材料としては、後述するホール
注入輸送性材料や電子注入輸送性材料等があるが、より
好ましくはホール注入輸送性材料である。
【0014】ホール注入輸送性材料には、例えば、特開
昭63−295695号公報、特開平2−191694
号公報、特開平3−792号公報、特開平5−2346
81号公報、特開平5−239455号公報、特開平5
−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。
【0015】電子注入輸送性材料は、トリス(8−キノ
リノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−キノリノ
ールまたはその誘導体を配位子とする有機金属錯体など
のキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン
誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサ
リン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フル
オレン誘導体等を用いることができる。
【0016】これらの化合物は、1種のみを用いても、
2種以上を併用してもよい。2種以上を併用するとき
は、別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0017】これらの物質のガラス転移温度Tgは60
〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度
のものが好ましい。
【0018】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4 Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm
/sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続
して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して
形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げ
るため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低
くしたり、ダークスポットの発生・成長を抑制したりす
ることができる。
【0019】熱溶融有機層の形成に真空蒸着法を用いる
場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、
化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着す
ることが好ましい。
【0020】熱溶融有機層は、含有する有機材料のガラ
ス転移温度Tg以上の温度で加熱処理される。Tg以上
の温度で加熱処理を行うことにより、有機材料が流動化
し、ホール注入電極上に付着しているゴミなどの異物を
取り囲む。
【0021】加熱処理温度はホール注入輸送性材料のガ
ラス転移温度Tg以上であればよく、好ましくは、下地
となる基板やレジスト、絶縁材料、フィルター材料等に
ダメージを与えない温度以下である。具体的には350
℃以下、より好ましくは300℃以下である。さらに
は、100〜250℃の温度範囲であることが好まし
い。加熱温度が高すぎるとホール注入輸送性材料が変質
してホール注入輸送機能が低下してくる。熱溶融有機層
に有機材料を複数種類含有する場合の加熱温度は、含有
する有機材料のうちで最も低いガラス転移温度Tg以上
で行えばよい。少なくとも1種類以上の有機材料が流動
化しいていればよいからである。
【0022】加熱処理の時間としては、特に限定される
ものではないが、通常、5分〜1時間程度である。加熱
処理中の雰囲気としては、有機材料の劣化、変質を防止
するため、酸素のない、例えばN2 ,Ar、あるいはこ
れらの不活性ガスの混合雰囲気中で行うことが好まし
い。
【0023】熱溶融有機層を加熱処理した後、好ましく
はさらに、発光機能に関与する有機層を形成する。この
有機層には、発光機能を有する発光層が含まれる。ま
た、発光層自体を熱溶融有機層としてもよい。
【0024】発光層は、少なくとも発光機能に関与する
1種類、または2種類以上の有機化合物薄膜、またはそ
の積層膜からなる。
【0025】発光層は、ホール(正孔)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合によ
り励起子を生成させる機能を有する。発光層には、比較
的電子的にニュートラルな化合物を用いることで、電子
とホールを容易かつバランスよく注入・輸送することが
できる。
【0026】発光層の厚さは、特に制限されるものでは
なく、形成方法によっても異なるが、通常5〜500nm
程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
【0027】有機EL素子の発光層には、発光機能を有
する化合物である蛍光性物質を含有させる。このような
蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−26469
2号公報に開示されているような化合物、例えばキナク
リドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物から選択
される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8
−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールま
たはその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノ
リン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセ
ン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体
等が挙げられる。さらには、特開平8−12600号公
報(特願平6−110569号)に記載のフェニルアン
トラセン誘導体、特開平8−12969号公報(特願平
6−114456号)に記載のテトラアリールエテン誘
導体等を用いることができる。
【0028】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントと
しての使用が好ましい。このような場合の発光層におけ
る化合物の含有量は0.01〜10体積%、さらには
0.1〜5体積%であることが好ましい。また、ルブレ
ン系では0.01〜20体積%程度が好ましい。ホスト
物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質
の発光波長特性を変化させることができ、長波長に移行
した発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定
性が向上する。
【0029】ホスト物質としては、キノリノラト錯体が
好ましく、さらには8−キノリノールまたはその誘導体
を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このよう
なアルミニウム錯体としては、特開昭63−26469
2号、特開平3−255190号、特開平5−7073
3号、特開平5−258859号、特開平6−2158
74号等に開示されているものを挙げることができる。
【0030】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]等がある。
【0031】また、8−キノリノールまたはその誘導体
のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であって
もよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)
、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−
クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム
(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ
−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル
−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノ
ラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメ
チルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,
3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナ
フトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)
(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,
4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8
−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチ
ル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キ
ノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリ
ノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノ
リノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等が
ある。
【0032】このほか、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス
(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム
(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キ
ノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−
2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −
μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4
−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オ
キソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−
ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオ
ロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ
−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル
−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であっても
よい。
【0033】このほかのホスト物質としては、特開平8
−12600号公報(特願平6−110569号)に記
載のフェニルアントラセン誘導体や特開平8−1296
9号公報(特願平6−114456号)に記載のテトラ
アリールエテン誘導体なども好ましい。
【0034】発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0035】また、発光層は、必要に応じて、少なくと
も1種のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種の電
子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、
さらにはこの混合層中にドーパントを含有させることが
好ましい。このような混合層における化合物の含有量
は、0.01〜20体積%、さらには0.1〜15体積
%とすることが好ましい。
【0036】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるた
め、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命
がのびるという利点がある。また、前述のドーパントを
このような混合層に含有させることにより、混合層自体
のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長
を長波長に移行させることができるとともに、発光強度
を高め、素子の安定性を向上させることもできる。
【0037】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール
注入輸送性の化合物および電子注入輸送性の化合物の中
から選択すればよい。
【0038】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3 )を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0039】ホール注入輸送性の化合物としては、強い
蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送材
料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチリ
ルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用
いるのが好ましい。
【0040】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度によるが、一般的には、ホール注
入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化
合物の重量比が、1/99〜99/1、さらに好ましく
は10/90〜90/10、特に好ましくは20/80
〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0041】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚み以上で、有機化合物層の膜厚未満とすることが
好ましい。具体的には1〜85nmとすることが好まし
く、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすること
が好ましい。
【0042】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは、樹脂バインダー中に分散させ
てコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに
形成する。
【0043】有機材料からなる電子注入輸送層には、上
記の電子注入輸送性材料を用いることが好ましい。
【0044】電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子注
入層の形成は、発光層と同様に、蒸着等によればよい。
【0045】有機の電子注入輸送層の厚さは、特に制限
されるものではなく、形成方法によっても異なるが、通
常5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが
好ましい。
【0046】発光層、電子注入輸送層の形成には、均質
な薄膜が形成できることから、真空蒸着法を用いること
が好ましい。真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの発生・成長を抑制したりする
ことができる。
【0047】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0048】真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状
態または結晶粒径が0.2μm 以下の均質な薄膜が得ら
れる。結晶粒径が0.2μm を超えていると、不均一な
発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなく
なり、電子、ホールの注入効率も著しく低下する。
【0049】ホール注入電極材料は、ホール注入層等へ
ホールを効率よく注入することのできるものが好まし
く、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具
体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ド
ープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In
23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(Zn
O)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これら
の酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよ
い。In2 3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20
wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZO
でのIn2 3 に対するZnOの混合比は、通常、12
〜32wt%程度である。
【0050】ホール注入電極は、仕事関数を調整するた
め、酸化シリコン(SiO2 )を含有していてもよい。
酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、ITOに対する
SiO2 の mol比で0.5〜10%程度が好ましい。S
iO2 を含有することにより、ITOの仕事関数が増大
する。
【0051】光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、
通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率
が50%以上、さらには80%以上、特に90%以上で
あることが好ましい。透過率が低くなりすぎると、発光
層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝
度を得難くなってくる。
【0052】電極の厚さは、50〜500nm、特に50
〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制
限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心
配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られ
ず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0053】陰電極は、有機の電子注入輸送層等との組
み合わせにおいては電子注入性を有する電極として必要
に応じて下記のものを用いることができる。例えば、
K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、B
a、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性
を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金
系、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、A
l・Li(Li:0.01〜14at%)、In・Mg
(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.0
1〜20at%)等が挙げられる。
【0054】陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十分行え
る一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好まし
くは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよい。また、
その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜50
0nm程度とすればよい。
【0055】陰電極(電子注入電極)は、下記の高抵抗
の無機電子注入輸送層との組み合わせでは、低仕事関数
で電子注入性を有している必要がないため、特に限定さ
れる必要はなく、通常の金属を用いることができる。な
かでも、導電率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,
Ti,Cu,Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、
特にAl,Agから選択される1種または2種等の金属
元素が好ましい。
【0056】これら陰電極薄膜の厚さは、電子を無機絶
縁性電子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚
さとすれば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上
とすればよい。また、その上限値には特に制限はない
が、通常膜厚は50〜500nm程度とすればよい。
【0057】陰電極と保護層とを併せた全体の厚さとし
ては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度とす
ればよい。
【0058】本発明の有機EL素子は、有機の電子注入
輸送層に代えて、高抵抗の無機電子注入輸送層を有して
もよい。
【0059】このように、電子の導通パスを有し、ホー
ルをブロックできる高抵抗の無機電子注入輸送層を発光
層と陰電極との間に配置することで、発光層へ電子を効
率よく注入することができ、発光効率が向上するととも
に駆動電圧が低下する。
【0060】この高抵抗の無機電子注入輸送層は、第1
成分として仕事関数4eV以下であって、アルカリ金属元
素、およびアルカリ土類金属元素、およびランタノイド
系元素から選択される1種以上の酸化物と、第2成分と
して仕事関数3〜5eVの金属の1種以上とを含有するも
のである。
【0061】また、好ましくは高抵抗の無機電子注入輸
送層の第2成分を、全成分に対して0.2〜40 mol%
含有させて導電パスを形成することにより、電子注入電
極から発光層側の有機層へ効率よく電子を注入すること
ができる。しかも、有機層から電子注入電極側へのホー
ルの移動を抑制することができ、発光層でのホールと電
子との再結合を効率よく行わせることができる。また、
無機材料の有するメリットと、有機材料の有するメリッ
トとを併せもった有機EL素子とすることができる。本
発明の有機EL素子は、従来の有機電子注入輸送層を有
する素子と同等かそれ以上の輝度が得られ、しかも、耐
熱性、耐候性が高いので従来のものよりも寿命が長く、
リークやダークスポットの発生も少ない。また、比較的
高価な有機物質ばかりではなく、安価で入手しやすく製
造が容易な無機材料も用いることで、製造コストを低減
することもできる。
【0062】高抵抗の無機電子注入輸送層は、その抵抗
率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×103
〜1×108 Ω・cmである。高抵抗の無機電子注入輸送
層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブロ
ック性を維持したまま電子注入効率を飛躍的に向上させ
ることができる。高抵抗の無機電子輸送層の抵抗率は、
シート抵抗と膜厚からも求めることができる。
【0063】高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましく
は第1成分として仕事関数4eV以下、より好ましくは1
〜4eVであって、好ましくはLi,Na,K,Rb,C
sおよびFrから選択される1種以上のアルカリ金属元
素、または、好ましくはMg,CaおよびSrから選択
される1種以上のアルカリ土類金属元素、または、好ま
しくはLaおよびCeから選択される1種以上のランタ
ノイド系元素のいずれかの酸化物を含有する。これらの
なかでも、特に酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。また、これらの混
合物中には酸化リチウムがLi2O換算で、50 mol%
以上含有されていることが好ましい。
【0064】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに第
2成分としてZn,Sn,V,Ru,SmおよびInか
ら選択される1種以上の元素を含有する。この場合の第
2成分の含有量は、好ましくは0.2〜40 mol%、よ
り好ましくは1〜20 mol%である。含有量がこれより
少ないと電子注入機能が低下し、含有量がこれを超える
とホールブロック機能が低下してくる。2種以上を併用
する場合、合計の含有量は上記の範囲にすることが好ま
しい。第2成分は金属元素の状態でも、酸化物の状態で
あってもよい。
【0065】高抵抗である第1成分中に導電性(低抵
抗)の第2成分を含有させることにより、絶縁性物質中
に導電物質が島状に存在するようになり、電子注入のた
めのホッピングパスが形成されるものと考えられる。
【0066】上記第1成分の酸化物は通常化学量論組成
(stoichiometric composition)であるが、これから多
少偏倚して非化学量論的組成(non-stoichiometry)と
なっていてもよい。また、第2成分も、通常、酸化物と
して存在するが、この酸化物も同様である。
【0067】高抵抗の無機電子輸送層には、他に、不純
物として、Hやスパッタガスに用いるNe、Ar、K
r、Xe等を合計5at%以下含有していてもよい。
【0068】なお、高抵抗の無機電子輸送層全体の平均
値としてこのような組成であれば、均一でなくてもよ
く、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよい。
【0069】高抵抗の無機電子輸送層は、通常、非晶質
状態である。
【0070】高抵抗の無機電子輸送層の膜厚としては、
好ましくは0.2〜30nm、特に0.2〜10nm程度が
好ましい。電子注入層がこれより薄くても厚くても、電
子注入層としての機能を十分に発揮できなくなくなって
くる。
【0071】上記の高抵抗の無機電子輸送層の製造方法
としては、スパッタ法、蒸着法などの各種の物理的また
は化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、スパッタ
法が好ましい。なかでも、上記第1成分と第2成分のタ
ーゲットを別個にスパッタする多元スパッタが好まし
い。多元スパッタにすることで、それぞれのターゲット
に好適なスパッタ法を用いることができる。また、1元
スパッタとする場合には、第1成分と第2成分の混合タ
ーゲットを用いてもよい。
【0072】高抵抗の無機電子輸送層をスパッタ法で形
成する場合、スパッタ時のスパッタガスの圧力は、0.
1〜1Paの範囲が好ましい。スパッタガスは、通常のス
パッタ装置に使用される不活性ガス、例えばAr,N
e,Xe,Kr等が使用できる。また、必要によりN2
を用いてもよい。スパッタ時の雰囲気としては、上記ス
パッタガスに加えO2 を1〜99%程度混合して反応性
スパッタを行ってもよい。
【0073】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法や、DCスパッタ法等が使用できる。スパ
ッタ装置の電力としては、好ましくはRFスパッタで
0.1〜10W/cm2 の範囲が好ましく、成膜レートは
0.5〜10nm/min 、特に1〜5nm/min の範囲が好
ましい。
【0074】成膜時の基板温度としては、室温(25
℃)〜150℃程度である。
【0075】さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐ
ために、素子を封止板等により封止することが好まし
い。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層
を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、A
r、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、こ
の封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ま
しくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好
ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常
0.1ppm 程度である。
【0076】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、特にガラスが好ましい。このような
ガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ま
しいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラ
ス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカ
ガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダ
ガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用でき、
好ましい。封止板としては、ガラス板以外にも、金属
板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0077】封止板は、スペーサーを用いて高さを調整
し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料と
しては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガ
ラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好
ましい。
【0078】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0079】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ
樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0080】本発明において、有機EL構造体を形成す
る基板としては、非晶質基板たとえばガラス、石英な
ど、結晶基板たとえば、Si、GaAs、ZnSe、Z
nS、GaP、InPなどがあげられ、またこれらの結
晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形
成した基板も用いることができる。また金属基板として
は、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いる
ことができ、好ましくはガラス基板が用いられる。基板
は、光取り出し側となる場合、上記電極と同様な光透過
性を有することが好ましい。
【0081】さらに、本発明素子を、平面上に多数並べ
てもよい。平面上に並べられたそれぞれの素子の発光色
を変えて、カラーのディスプレーにすることができる。
【0082】基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む
色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコン
トロールしてもよい。
【0083】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0084】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0085】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0086】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0087】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0088】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。また、基板上にホール注入電極と接する状態で形成
される場合、ホール注入電極(ITO、IZO)の成膜
時にダメージを受けないような材料が好ましい。
【0089】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0090】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流
駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30
V 程度とされる。
【0091】本発明の有機EL素子は、例えば図1に示
すように、基板1/ホール注入電極2/ホール注入輸送
層3/発光層4/電子注入輸送層5/陰電極(電子注入
電極)6/保護層とが順次積層された構成とすることが
できる。図1において、ホール注入電極2と陰電極7の
間には、駆動電源Eが接続されている。
【0092】また、上記発明の素子は、膜厚方向に多段
に重ねてもよい。このような素子構造により、発光色の
色調調整や多色化を行うこともできる。
【0093】本発明の有機EL素子は、ディスプレイと
しての応用の他、例えばメモり読み出し/書き込み等に
利用される光ピックアップ、光通信の伝送路中における
中継装置、フォトカプラ等、種々の光応用デバイスに用
いることができる。
【0094】
【実施例】<実施例1>ガラス基板上に、ITO透明電
極(ホール注入電極)を膜厚85nmで64ドット×7ラ
インの画素(一画素当たり280×280μm )を構成
するよう成膜、パターニングした。次いで、パターニン
グされたホール注入電極が形成された基板を、中性洗
剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸
エタノール中から引き上げて乾燥した。次いで、表面を
UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに
固定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0095】次いで、蒸着法により、4,4’,4”−
トリス(−N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル
アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA:Tg
=76℃)を蒸着速度0.1nm/secで55nmの厚さに
蒸着してホール注入層を形成した。
【0096】次いで、ホール注入層が形成された基板を
120℃で10分間加熱処理した。
【0097】さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’
−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェ
ニル(TPD:Tg=95℃)を蒸着速度0.1nm/se
cで20nmの厚さに蒸着してホール輸送層を形成した。
【0098】さらに、減圧を保ったまま、N,N,
N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’
−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)と、トリ
ス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )と、
ルブレンとを、全体の蒸着速度0.2nm/secとして40
nmの厚さに蒸着し、発光層とした。TPD:Alq3 =
1:1(重量比)、この混合物に対してルブレンを5体
積%ドープした。
【0099】さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−
キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度
0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、電子注入輸
送層とした。
【0100】次いで、減圧を保ったまま、AlLi(L
i:7at%)を1nmの厚さに蒸着し、続けてAlを20
0nmの厚さに蒸着し、電子注入電極および補助電極の陰
電極とした。
【0101】最後にガラス封止して有機EL素子を得
た。また比較サンプルとして、ホール注入層、ホール輸
送層を加熱処理しないサンプルを作製した。
【0102】このようにして得られた有機EL素子サン
プルを10サンプル用意し、これらのサンプルの各ドッ
ト間、ライン間について絶縁抵抗を測定し、リーク箇所
の有無を調べた。なお、200MΩ以下をリーク発生と
した。その結果、本発明サンプルでは、リークの生じた
画素は64×7×10=4480個中、2箇所とリーク
発生率は0.26%以下であった。一方、比較サンプル
では64×7×10=4480個中、500箇所とリー
ク発生率は11%以上であった。
【0103】<実施例2>実施例1において、MTDA
TAを形成することなく、N,N’−ジフェニル−N,
N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビ
フェニル(TPD)のみを用いてホール注入輸送層と
し、加熱処理を行った素子、また、上記N,N’−ジフ
ェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−
1,1’−ビフェニルに代えてN,N´−ビス(m−メ
チルフェニル)−N,N´−ジフェニル−1,1´−ビ
フェニル−4,4´−ジアミンを用い、加熱処理を行っ
た素子、また、ホール注入輸送層兼発光層としてN,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−フェニル−N
−4−トリル(4−アミノフェニル)]ベンジジン(A
TP34)またはルブレンを用い、これを加熱処理した
素子を作製し、実施例1と同様に評価したところ、実施
例1と同様に、リークの発生を抑制できることがわかっ
た。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電極間の
部分的なショート、あるいは近似的なショート状態を防
止し、リーク電流の発生による誤発光、表示ムラの生じ
ない高品位で歩留まりのよい有機EL素子を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断
面図である。
【図2】本発明の有機EL素子のホール注入電極上に形
成された有機層とゴミとの関係を示した概略断面図であ
る。
【図3】従来の有機EL素子のホール注入電極上に形成
された有機層とゴミとの関係を示した概略断面図であ
る。
【図4】従来の有機EL素子のホール注入電極上に形成
された有機層とゴミとの関係を示した概略断面図であ
る。
【符号の説明】
21 基板 22 ホール注入電極 23 有機ホール注入層 24 無機絶縁性ホール輸送層 25 発光層 26 電子注入輸送層 27 陰電極(電子注入電極)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホール注入電極と電子注入電極と、これ
    らの電極間に発光機能に関与する有機層とを有し、 前記ホール注入電極上には熱溶融した有機層が隣接して
    形成され、かつこの熱溶融した有機層は、含有する有機
    材料のガラス転移温度Tg以上で加熱処理されている有
    機EL素子。
  2. 【請求項2】 前記熱溶融した有機層は、ホール注入輸
    送性材料を含有する請求項1の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記加熱処理温度は、100〜250℃
    である請求項1または2の有機EL素子。
  4. 【請求項4】 前記ホール注入輸送層の膜厚は、5〜1
    00nmである請求項1〜3のいずれかの有機EL素子。
  5. 【請求項5】 ホール注入電極と電子注入電極と、これ
    らの電極間に発光機能に関与する有機層とを有する有機
    EL素子の製造方法であって、 前記ホール注入電極上に熱溶融有機層前駆体を形成した
    後、 この熱溶融有機層前駆体が含有する有機材料のガラス転
    移温度Tg以上で加熱処理を行い、 さらに発光機能を有する他の有機層、電子注入電極を順
    次成膜して有機EL素子を得る有機EL素子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記熱溶融有機層は、ホール注入輸送性
    材料を含有する請求項5の有機EL素子。
  7. 【請求項7】 前記加熱処理温度は、100〜250℃
    である請求項5または6の有機EL素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ホール注入輸送層の膜厚が、5〜1
    00nmである請求項5〜6のいずれかの有機EL素子の
    製造方法。
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