JP2001194436A - 磁気計測装置 - Google Patents

磁気計測装置

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JP2001194436A
JP2001194436A JP2000005867A JP2000005867A JP2001194436A JP 2001194436 A JP2001194436 A JP 2001194436A JP 2000005867 A JP2000005867 A JP 2000005867A JP 2000005867 A JP2000005867 A JP 2000005867A JP 2001194436 A JP2001194436 A JP 2001194436A
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squid
squids
magnetic
voltage
detection coil
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JP2000005867A
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English (en)
Inventor
Akira Tsukamoto
塚本  晃
一正 ▲高▼木
Kazumasa Takagi
Tokumi Fukazawa
徳海 深沢
Etsuhisa Saotome
悦久 五月女
Yoshinobu Taruya
良信 樽谷
Kazuo Saito
和夫 齊藤
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高温超電導体のSQUIDを使用したより性
能の高い磁束計を提供すること。 【解決手段】 基板上に形成された超電導材料からなる
薄膜1に2つのジョセフソン接合を含む超電導リンク
4,4′と電流・電圧端子で構成されるSQUID6,
6′に共通の検出コイル7を直接接続した2−SQUI
Dダイレクトカップル型磁束計9において、検出コイル
7からSQUID6,6′への磁束伝達効率が異なるた
めに2つのSQUID6,6′の電圧−磁束特性の周期
すなわち有効面積が異なり、2つのSQUID6,6′
の両端に発生する電圧の和を出力とした2−SQUID
磁束計の電圧−磁場特性において変調電圧振幅の傾きが
大きい所を動作点となるようにオフセット磁束を印加し
て、2つのSQUID6,6′を同時にひとつのFLL
回路で動作させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超電導量子干渉素子
(SQUID、Superconducting QUantum Interference
Device)を使用した超高感度の磁束計を用いた高感度磁
場計測システム、たとえば、心磁や脳磁などの生体磁気
計測システムや非破壊検査に有用な磁束計の素子構造と
その駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体窒素の沸点よりも高い臨界温度を持
つ高温超電導材料が発見されて以来、冷却に液体窒素や
冷凍機を用いた超電導素子の応用が検討されている。S
QUIDは半導体など他の素子では得られない超高感度
の磁気センサであり、脳や心臓などから発生する生体磁
気を無侵襲で測定できる他、航空機の機体の微細欠陥な
どを非破壊で検査できる。現在、高品質な薄膜試料が得
られることから高温超電導SQUIDには主にYBa2
Cu3yなどのいわゆる123系超電導体が用いられて
いる。また、磁束計の構造としてはNbなどの低温超電導
体の磁束計では多層プロセスを用いて作製される集積型
SQUIDの磁束計が主流であるが、高温超電導体では
単層の超電導薄膜で形成できるダイレクトカップル型磁
束計が主流である。これは、高温超電導体ではまだ十分
に信頼できる多層構造形成プロセスが確立していないた
めである。
【0003】図1(a)に一般的な1つのSQUIDの
ダイレクトカップル型磁束計の構造模式図を示す。SQ
UID6は超電導薄膜1に形成され,切り欠き部2と弱
結合3を2つ含む超電導リング4と電流−電圧端子5と
で構成される。SQUID6の素子面積は数十μm×数
十μmから数百μm×数百μm程度である。素子面積が
小さいためSQUID6の単体での磁束捕獲面積は小さ
い。通常、一辺が数mmから数十mm程度の大きさの超
電導薄膜からなる検出コイル7をSQUID6に結合さ
せて磁束捕獲面積を大きくし、感度を向上させている。
単体のSQUIDと検出コイルを含めてSQUIDとよ
ぶ場合もあるが、本発明ではSQUID6を単にSQU
IDと呼び、検出コイルを含める場合は磁束計8と呼
ぶ。
【0004】磁束計の磁場分解能SB 1/2
【0005】
【数1】
【0006】で与えられる。ここでAeffは有効面積、S
Φ 1/2は回路のノイズを含めた磁束換算雑音、ΦSQはSQU
IDに固有の雑音、Vnは回路から発生する雑音電圧であ
る。また、dV/dΦは磁束-電圧変換係数で、V-Φ特性の
最大傾きで与えられ、変調電圧振幅ΔVを用いてπΔV
で近似できる。磁場分解能SB1/2を下げるためには回
路のノイズを含めた磁束換算雑音SΦ 1/2を下げ、有効面
積Aeffを増加させることが必要となる。また、SΦ 1/2
SQUIDに固有の雑音と回路から発生する雑音からなって
いるが、「数1」からわかるように雑音は二乗和の平方
根の形で加算されるため、支配的な雑音を下げることが
磁場分解能の向上につながる。最高の感度を得るために
は、ΦSQとVn/(π・ΔV)が同程度になるように設計
する。
【0007】変調電圧振幅ΔVは、熱雑音を考慮した数
値計算により導出された「数2」から「数4」で見積も
ることができる(たとえば、円福ら、ジャパニーズ・ジ
ャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、第32巻
(1993年)L1407頁(K. Enpuku、 Jpn. J. Appl. P
hys. 32 (1993) L 1407))。
【0008】
【数2】
【0009】ただし
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】
【0012】ここでLはSQUIDの超電導リングのイ
ンダクタンス、IcとRnはそれぞれ弱結合の臨界電流と
接合抵抗、Tは動作温度、KBはボルツマン定数、δΦn
は雑音磁束と呼ばれ、熱雑音によりインダクタンスに生
じる雑音を示す。つまり、「数2」の第2項は熱雑音に
よるΔVの減衰を示す。δΦnは温度Tとインダクタン
スLの関数であるが、77Kではインダクタンスのみで
決まり、インダクタンスが小さいほど熱雑音の項は小さ
くなる。また、βはインダクタンスパラメーターと呼ば
れており、通常1−5程度になるように設計する。「数
2」−「数4」より、インダクタンスを小さくすること
でΔVが増加することが判るが、インダクタンスを小さ
くすると検出コイルとの結合が弱くなり有効面積が減少
する。有効面積の減少は電圧−磁束特性の一周期が長い
こと,つまり,SQUIDに1Φ0の磁束を加えるのに
必要な磁場が大きいことに対応する。
【0013】別のアプローチとして同じ特性のSQUI
Dを直列に接続することで有効面積が同じまま大きなΔ
Vを実現することが可能である。各SQUIDの最適バ
イアス電流が一致しており,また,電圧−磁束特性の山
と谷が完全に同期している理想的な場合、n個のSQU
IDを直列にした場合の出力は、単体SQUIDのΔV
のn倍になる。直列に接続することで個々のSQUID
の電圧ノイズも積算されるが、電圧ノイズの位相はラン
ダムであるためSQUIDに固有の雑音ΦSQは√n倍にしか
ならない。したがって、直列にすることにより磁束計の
磁場分解能を向上させることができる。特に,磁束計の
雑音が「数1」において根号の中の第二項が支配的な場
合,つまりSQUIDのΔVが小さいまたは回路雑音が
大きい場合に有効である。
【0014】Schultzeらは検出コイル7が直接SQUI
Dの超電導リング4に接続された構造のダイレクトカッ
プル型磁束計において、図1(b)に示すように2つの
SQUID6を直列に接続することでSQUIDが一つ
のもののほぼ2倍の変調電圧振幅が得られることをアイ
・イー・イー・イー、トランザクション オン アプラ
イド スーパーコンダクティビティ第9巻、3279頁(1
999年)(V. Schultze et al、 IEEE TRANSACTION
ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY VOL.9 (1999)3279)で
報告している。ダイレクトカップル型磁束計では3つ以
上のSQUIDを直列に接続することができないが、単
層の高温超電導薄膜で構成できる。彼らの磁束計(2−
SQUIDダイレクトカップル型磁束計9と呼ぶことに
する)は検出コイル7を備えており磁場分解能も大きい
が、含まれる2つのSQUIDの臨界電流値が一致して
おり,かつ,図2(a)に示すように2つのSQUID
の磁場−電圧特性の周期と位相がほぼ完全に揃っている
必要がある。磁場−電圧特性の周期は2つのSQUID
のインダクタンスを同じ値にすることで実現でき、これ
は通常の微細加工技術を用いて比較的容易に実現でき
る。一方、SQUIDの臨界電流値および磁場−電圧特
性の位相を一致させるためには接合特性(接合の臨界電
流値と接合抵抗値)をそろえる必要がある。しかし、現
在、弱結合として最も広く高温超電導SQUIDの作製
に用いられている粒界ジョセフソン接合では20-30%程
度の接合特性のばらつきがあるため、接合特性が揃った
磁束計の歩留まりが低いのが現状である。臨界電流のず
れはバイアス電流回路を工夫することで比較的容易に調
整可能であるが,磁場−電圧特性の位相ずれの補正は難
しい。磁場−電圧特性に位相ずれがある場合は,図2
(b)に示すように場合によってはΔVがひとつのSQ
UIDのΔVよりも小さくなる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で述べた
ように、高温超電導薄膜により作製されたSQUIDお
よびそれらで構成される磁束計は様々な改良がなされて
きた。本発明はその延長線上にあり、SQUIDおよび
磁束計の性能を一層向上させることを課題としている。
本発明では大きな変調電圧振幅ΔVを実現することで
電圧−磁束換算係数を増加させ、最終的にSQUIDの
磁場分解能を向上させることを可能とするものである。
特に、ΔVを約2倍に向上させることを狙いとした単層
の高温超電導薄膜を用いて作製可能な2−SQUIDダ
イレクトカップル型磁束計において、含まれる2つのS
QUIDの臨界電流および磁場−電圧特性の位相のばら
つきにより変調電圧振幅ΔVの増加が抑制されるという
問題を解決するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明では、単層の高温
超電導薄膜で形成された2つの弱結合を含む超電導リン
グ4と電流、電圧端子5で構成される2つのSQUID
6を直列に接続するとともに、それぞれのSQUID6
が共通の検出コイル7と直接結合させられた2−SQU
IDダイレクトカップル型磁束計10において、検出コ
イルからSQUIDへの磁束伝達効率が若干ことなる2
つのSQUID6,6’で構成する(図1(c))。検
出コイルからSQUIDへの磁束伝達効率はSQUID
インダクタンスの内,検出コイルと結合している部分の
インダクタンスを調整することで容易に可能である。そ
の結果,2つのSQUIDは周期が異なる電圧−磁場特
性(V−Φ特性)を示す(図2(c))。直列に接続さ
れた2つのSQUIDそれぞれに最適なバイアス電流を
流した状態で2つのSQUIDの出力の和を取り出す
と,たとえ印加磁場ゼロ付近ではV−Φ特性の位相がず
れており,足し合わせた出力が互いに打ち消しあってい
たとしても,2つのV−Φ特性の周期が異なるためにあ
る周期FでΔVの極大値が現れる。この極大値はほぼ2
つのSQUIDのΔVを足し合わせた値である。したが
って,あるオフセット磁場を加えΔVの極大値あるいは
その近傍を動作点とすることで1−SQUIDの場合よ
りも大きなΔVを確実に利用できる。また,ΔVの極大
値が現れる周期Fは2つのSQUIDの有効面積の比率
あるいは差に依存する。すなわち,有効面積が僅かしか
違わない場合は周期Fは大きくなる。この場合初期状態
によっては最も近い極大値を動作点にするために必要な
オフセット磁場は大きくなる。一方,有効面積が大きく
異なっている場合は周期Fは短くなる。この場合は,Δ
Vの極大値が現れる周期Fは短いため最も近い極大値を
動作点にするオフセット磁場は小さいが,ΔVの極大値
が2つのSQUIDのΔVよりもやや小さくなる場合が
ある。また,2−SQUIDの有効面積は2つのSQU
IDの有効面積の中間の値となるため,有効面積が大き
く異なっている場合は有効面積が小さくなる。以上のこ
とを考慮すると2つのSQUIDの有効面積の比率は3
0:31よりも大きくまた1:2よりも小さいほうが良
い。特にACバイアスを用いる場合には20:21以
上,1:1。5未満が望ましい。
【0017】以下,本発明の2つのSQUIDの電圧−
磁場特性の周期が異なる2−SQUID磁束計を非同期
2−SQUID磁束計10と呼ぶ。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、実施例をあげて本発明をよ
り具体的に説明するが、以下の開示は本発明の一実施例
にすぎず、本発明の技術範囲を何ら限定するものではな
い。
【0019】実施例1 以下、本発明の第1の実施例を述べる。図3(a)に本
実施例の磁束計を上から見た模式図,(b)にその断面
模式図,(c)に等価回路を示す。本実施例ではバイク
リスタル粒界接合を弱結合に用いた。15は基板であ
り、たとえば、SrTiO3(100)バイクリスタル
基板である。該基板15上には、超電導リング4,
4’、切り欠き2,2’、2つの弱結合3,3’および
電流・電圧端子14,14’よりなるSQUID12,
13が超電導薄膜により2つ形成され、その2つのSQ
UID12,13が同じ超電導薄膜により形成された検
出コイル7と直接結合している。すなわち、検出コイル
7の一部である入力コイル11と超電導リング4とが兼
用されている。2つのSQUID12,13から外側に
形成された電流・電圧端子14,15には外部接続線を
接続するための貴金属薄膜よりなる端子16,17が形
成される。また、検出コイル7に上にも外部接続線を接
続するための貴金属薄膜よりなる端子18,19が複数
個形成させる。便宜上,図の上側のSQUID12をQ
1,下側のSQUID13をQ2と呼び区別することに
する。本発明の第1の実施例ではQ2の切り欠き2’を
Q1の切り欠き2よりも長くすることでSQUIDの検
出コイルと結合している部分のインダクタンスを変え
た。
【0020】図3(c)の等価回路図では検出コイルの
インダクタンスLp1,Lp2,Lp3,Lp4とSQUIDインダク
タンスの内検出コイルと結合しているインダクタンスL
Q1,LQ2以外のインダクタンスを省略している。また,弱
結合は×印で示している。本発明の非同期2−SQUI
Dダイレクトカップル型磁束計ではLQ1とLQ2が異なる点
に特徴がある。
【0021】図4は、図3に示した実施例の作製プロセ
スを説明する図である。図3(a)に示すA−A’の位
置で矢印方向に見た作製プロセスの各過程での断面図の
概要である。
【0022】まず、基板41として10mm角のSrT
iO3(100)バイクリスタル基板を用いた。接合角
としては24゜、30゜、36゜および45゜などが使
用できるが、本実施例では30゜を使用した。上記以外
の接合角も作製可能であるが特注品となるため価格が高
い。
【0023】基板上に膜厚150nmのYBa2Cu3
y(以下YBCOと略す)超電導膜42をKrFエキシ
マレーザーを用いたレーザー蒸着法で作製した。ターゲ
ットには直径20mmの円盤状のYBCO焼結体を用い
た。基板温度は800℃、成膜時の雰囲気は300mT
orrの純酸素とし、レーザーエネルギー70mJ、レ
ーザーエネルギー密度1−2J/cm2、レーザー発信
周波数2Hz、基板とターゲットの間隔を約4cmとし
て成膜を行った。この際、ターゲットがなるべく均一に
削れるように、ターゲットを自転させるとともに、膜厚
の分布を抑えるためレーザー光線をターゲット上でラス
タースキャンさせ、また基板も回転させた。成膜後、酸
素分圧を5Torrまで増加させ、760℃から10℃
/分の速度で200℃以下まで薄膜試料を冷却し成膜装
置から取り出した。ここで、43は基板の結晶粒界、4
4は超電導膜42の結晶粒界である(図4(a))。
【0024】次に、抵抗加熱蒸着法で電極パッド用の貴
金属電極層45としてAu薄膜を、メタルマスク46を
使用して必要な部分にのみ蒸着した。その後、電気炉で
純酸素フロー中、500℃の熱処理を行い、YBCO薄
膜を十分に酸化するとともにAuとYBCOの界面抵抗
を低減した(図4(b))。
【0025】次に、作製した薄膜に膜厚600nmの電
子線描画用のレジスト(製品名ZEP520、日本ゼオ
ン製)をスピンコートした。160℃、10分のプリベ
ークを行った後、電子線描画法で下部YBCO超電導膜
用のパターンを露光し、キシレンで現像することでレジ
ストパターン47を形成した。このパターンは、図3
(a)に示す磁束計のパターンである(図4(c))。
【0026】次に、Arイオンビームエッチングでレジ
ストパターンをYBCO超電導薄膜に転写した。Arの
ガス圧は1。1×10-4Torr、加速電圧は500V
とした。また、イオン衝撃による試料温度の上昇を緩和
するため、3分間のエッチングと3分間の休憩を交互に
繰り返した。この条件でのYBCO薄膜とレジストのエ
ッチング速度はそれぞれ12nm/分および16nm/
分程度であった。下部YBCO薄膜の膜厚150nmに
対してエッチング深さは200nmとし、約50nmの
オーバーエッチングを行った。残ったレジストは2−ブ
タノン中で超音波洗浄することで除去した(図4
(d))。
【0027】実施例1で作製した非同期2−SQUID
ダイレクトカップル型磁束計に含まれる2つのSQUI
Dの特性を表1に示す。この表でIc、Rnは接合1つ当た
りの臨界電流と接合抵抗を表している。SQUIDは2
つの接合からなるので、SQUIDの臨界電流は2Ic
ある。どちらのSQUIDも同じ膜厚、同じ接合幅の粒
界ジョセフソン接合からなっているが、接合特性のばら
つきのため臨界電流2Icが異なっている。ΔVobsとIb
optはそれぞれのSQUIDの最大の変調電圧振幅とそ
のときのバイアス電流値(最適バイアス電流値)であ
る。この最適バイアス電流値はほぼ臨界電流値に等し
い。また、Aeff、Ls、Lpは有効面積、SQUIDのイン
ダクタンス、検出コイルのインダクタンスである。本発
明の第1の実施例ではSQUID13の切り欠き2’を
SQUID12の切り欠き2よりも長くすることでSQ
UIDの検出コイルと結合している部分のインダクタン
スを変えた。つまり,検出コイルと結合している部分の
インダクタンスが大きなQ2の方がQ1より磁束伝達効
率が良い。その結果,Q2の方が有効面積Aeffが大き
い。また,変調電圧振幅ΔVはQ2の方が小さい。これ
は,切り欠き部分の長さを変えたことにより,検出コイ
ルと結合している部分のインダクタンスだけでなくSQ
UID全体のインダクタンスが大きくなったためであ
る。「数2」より明らかなように接合特性が同程度であ
ればSQUID全体のインダクタンスが大きいと変調電
圧振幅ΔVが小さくなる。
【0028】図5(a)は(b)に示したバイアス電流
回路を用いて2つのSQUIDに同時に最適なバイアス
電流を流して測定した非同期2−SQUIDダイレクト
カップル型磁束計のV−Φ特性である。用いた試料は表
1に示した試料と同じである。バイアス電流はIb1を5
0μA,Ib2を27μAとして,Q1,Q2の両方に最
適なバイアス電流を流した。外部磁場がゼロでは2−S
QUIDでのV−Φ特性の変調電圧振幅は非常に小さい
が,これは2つのSQUIDのV−Φ特性の位相が外部
磁場がゼロの状態で大きくずれているためである。しか
し,3−4Φ0程度の磁束を加えた状態では本発明の効
果によりQ1とQ2のΔVの和に相当する大きな変調電
圧振幅ΔVが得られた。
【0029】また,図5(c)は同じ構造の別の非同期
2−SQUIDダイレクトカップル型磁束計の特性であ
る。接合特性の違いにより2つのSQUIDのV−Φ特
性の位相差が異なっているが,逆方向にΦ0程度の磁束
を加えた状態でやはり2つのSQUIDのΔVの和に相
当する変調電圧振幅を得られた。このように本発明の磁
束計では2つのSQUIDのV−Φ特性の位相差がどの
ように異なっていても2つのSQUIDのΔVの和にほ
ぼ相当する変調電圧振幅が得られることが確認できた。
【0030】さらに本発明の効果を調べるため高温超電
導SQUIDで一般的に用いられるACバイアス法での
動作を検証した。使用したACバイアスのFLL(Flux
Locked Loop)回路のブロック図を図6に示す。基本的
な構成は通常のACバイアスのFLL回路と同じである
が,通常の磁束オフセットの調整幅が±Φ0程度である
のに対して本発明の磁束計用のFLL回路では磁束オフ
セットの調整幅が±10Φ0程度と大きい。磁束オフセッ
トの調整幅は2つのSQUIDの有効面積比に応じて適
宜変更する。また,2つのSQUIDの最適バイアス電
流が異なっていても同時に最適なバイアス連流が流せる
ように図5(b)と同じバイアス電流回路が含まれてい
る。本実施例では図5(b)のように1つのバイアス電
源から抵抗分割により2つのSQUIDに異なるバイア
ス電流を流しているが,2つのバイアス電源を用いても
かまわない。
【0031】表1にQ1およびQ2のみで動作させた場
合および上で述べた本発明の方法で動作させた場合の磁
束換算雑音SΦ 1/2を示す。本発明の効果により磁束換算
雑音SΦ 1/2および磁場分解能SB 1/2を下げることができ
た。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 以下、本発明の第2の実施例を述べる。図7(a)に作
製した非同期2−SQUIDダイレクトカップル型磁束
計の構造模式図,(b)に中央のSQUID部分の拡大
図を示す。第2の実施例で作製した磁束計は2つの検出
コイルに入ってきた磁束の差を出力とする1次のグラジ
オメーター(Gradiometer)である。15x15mm2のバイク
リスタルSrTiO3(100)基板50上に作製した膜厚200nmの
YBa2Cu3Oy超伝導薄膜51を用いて一回り大きな磁束計
を作製した。大きな基板を使用することで検出コイルの
面積を大きくでき、より感度が高い磁束計を作製でき
る。ベースラインをできるだけ長くするために基板に対
して斜めに2つの超伝導ループ52,53を持つ8の字
型の検出コイルを配置した。検出コイルが8の字型にな
っているためその中央部分54にはそれぞれの超伝導ル
ープに鎖交した磁束の差に対応した超伝導電流が流れ
る。その超伝導電流を検出するために2つのSQUID
55,56を図7(b)のように配置した。グラジオメ
ーターではバランスが重要なので対称になるようにSQ
UIDや電極を配置した。本実施例ではQ1とQ2の切
り欠き57,58の長さは同じであるが,磁束伝達効率
を変えるため検出コイルと結合している部分の長さ5
9,60を変えることでSQUIDと検出コイルとの結
合しているインダクタンスを変えた。便宜上,結合して
いるインダクタンスが大きい方のSQUID55(図の
上側のSQUID)をQ1,小さい方のSQUID56
をQ2と呼び区別する。
【0034】本実施例は、実施例1とはパターンが異な
るが、作製プロセスは同じであるので説明を省略する。
【0035】図9に電圧−磁束特性を示す。本実施例に
置いても最適オフセット磁束で大きなΔVが得られてい
ることがわかる。表2に実施例2の磁束計の特性を示
す。本発明の2−SQUID直列構造にする事でグラジ
オメーターの性能で最も重要な磁場勾配感度が改善され
ることがわかった。
【0036】以上の2つの実施例からわかるように、非
同期2−SQUIDダイレクトカップル型磁束計では,
接合特性やインダクタンスがばらついていても2つのS
QUIDの直列接続が効果的に作用していることが分か
る。本発明は超電導体の種類に関わりなく効果的である
が,接合特性のばらつきが大きな高温超電導体では極め
て有効である。また,検出コイルとSQUIDを入力コ
イルを介して磁気的に結合した集積型SQUIDにおい
ても本発明は有効である。集積型SQUIDについては
実施例3で述べる。
【0037】
【表2】
【0038】実施例3 本実施例ではNb系超電導体を用いた場合について述べ
る。接合特性のばらつきが少ないNb系超電導体を用いた
場合でも素子のレイアウトや入力コイルとSQUIDの
相互インダクタンスのずれにより2−SQUID構造に
するとV−Φ特性の位相ずれは生じる。したがって,本
発明はNb系超電導体でも有効となる。図9にNb系超電導
体で作製した2-SQUID磁束計の一例を示す。接合はNb-Al
Ox-Nbのトンネル接合である。本実施例では入力コイル
の巻き数を意図的に変えることで検出コイルとSQUI
Dへの磁束伝達効率を変えた。高温超電導体の場合と異
なり,Nb系超電導体では2つのSQUIDのバイアス電
流値がほぼ一致しているため,一系統のバイアス電流回
路で駆動可能である。この場合は駆動回路の磁束オフセ
ット調整幅を広くする必要があるが,基本的には従来の
回路を利用できる。つまり,SQUIDだけを変えるこ
とで容易に従来方法の磁気計測装置に本発明を適用でき
る。
【0039】以上の3つの実施例からわかるように、非
同期2−SQUIDダイレクトカップル型磁束計では,
接合特性やインダクタンスがばらついていても2つのS
QUIDの直列接続が効果的に作用していることが分か
る。なお、SQUIDの重要な構成要素である弱結合
は、実施例では、バイクリスタル基板を用いた粒界接合
(高温超電導)またはNb-AlOx-Nbのトンネル接合(Nb系
超電導)としたが、段差基板を用いたステップエッジ粒
界接合でも、ランプエッジ型や積層型のSNS接合ある
いはSIS接合でも、またこれら以外の構造のジョセフ
ソン接合でも良いのは言うまでもない。また,実施例で
は磁束伝達効率を変えるのに切り欠きの長さまたは入力
コイルの巻き数を変えたが,膜厚やその他のパラメータ
で磁束伝達効率を変えても同様に効果を得ることができ
る。
【0040】
【発明の効果】接合特性にばらつきがある2−SQUI
D磁束計でも、高い磁場分解能の磁束計を再現性よく提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来例の構造上の違いを説明するため
の図で(a)、(b)は1つのSQUIDと検出コイル
および2つのSQUIDと検出コイルを含む磁束計の従
来例の典型的な構成を示す模式図,(c)は本発明によ
る2つのSQUIDと検出コイルを含む磁束計の模式
図。
【図2】本発明の効果を説明するための図で(a)は位
相が一致している場合の従来例の磁束計の典型的な電圧
−磁場特性,(b)は位相がずれている場合の従来例の
磁束計の典型的な電圧−磁場特性,(c)は本発明によ
る磁束計の典型的な電圧−磁場特性を示す。
【図3】(a)は本発明の第1の実施例の磁束計の構造
を示す平面図、(b)はその断面模式図,(c)は第1
の実施例の磁束計の等価回路図。
【図4】本発明の第1の実施例の磁束計の作製プロセス
を工程毎に説明する断面図。
【図5】(a)は(b)に示したバイアス電流回路で最
適バイアス電流を流して測定した本発明の2−SQUI
D磁束計の電圧ー磁束特性、(c)は(b)に示したバ
イアス電流回路で最適バイアス電流を流して測定した別
の本発明の2−SQUID磁束計の電圧ー磁束特性。
【図6】本発明の2−SQUID磁束計を駆動するため
のACバイアスFLL回路のブロック図。
【図7】本発明の第2の実施例の非同期2−SQUID
グラジオメータの(a)平面図と(b)SQUID部分
の拡大図。
【図8】第2の実施例の非同期2−SQUIDグラジオ
メータの電圧−磁場特性。
【図9】第3の実施例の非同期2−SQUID磁束計の
構造模式図。
【符号の説明】
1:超電導薄膜、2,2’:切り欠き、3,3’:弱結
合、4,4’:超電導リング、5:電流・電圧端子、
6,6’:SQUID、7:検出コイル、8:磁束計、
9:2−SQUIDダイレクトカップル磁束計、10:
非同期2−SQUIDダイレクトカップル磁束計、1
1:入力コイル、12:Q1,13:Q2,14,1
4’:電流・電圧端子、15:基板、16,16’:電
流・電圧端子の電極、17,18:検出コイル上に形成
した電極,41:バイクリスタル基板、42:超電導薄
膜、43:基板の結晶粒界、44:超電導薄膜の結晶粒
界、45:貴金属薄膜、46:貴金属薄膜用のメタルマ
スク、47:レジスト,50:基板,51:超伝導薄
膜,52,53:検出コイル,54:検出コイルの中央
部分,55,56:SQUID,57,58:切り欠
き,59,60:SQUIDインダクタのうち検出コイ
ルと結合している部分,61:電極,62,62’:入
力コイル,63,63’:切り欠き,64,64’:ジ
ョセフソン接合,65:電極,66:検出コイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深沢 徳海 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 五月女 悦久 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 樽谷 良信 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 齊藤 和夫 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 Fターム(参考) 2G017 AA04 AD35 BA05 4C027 AA10 EE01 KK01 KK07 4M113 AA04 AA14 AA25 AA29 AA53 AA55 AC08 AC46 AD01 AD04 AD36 AD40 BA01 BA04 BA29 BC04 BC12 CA13 CA34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された超電導材料からなる薄
    膜に2つのジョセフソン接合を含む超電導リングと電流
    ・電圧端子で構成されるSQUID2つに共通の検出コ
    イルを直接接続した2−SQUIDダイレクトカップル
    型磁束計において、検出コイルからSQUIDへの磁束
    伝達効率が異なるために2つのSQUIDの電圧−磁束
    特性の周期すなわち有効面積が異なり,2つのSQUI
    Dの両端に発生する電圧の和を出力とした2−SQUI
    D磁束計の電圧−磁場特性において変調電圧振幅の傾き
    が大きい所を動作点となるようにオフセット磁束を印加
    して,2つのSQUIDを同時にひとつのFLL回路で
    動作させること特徴とする磁気計測装置。
  2. 【請求項2】2つのSQUIDの最適バイアス電流が異
    なる場合にそれぞれに最適なバイアス電流を流すことが
    できるバイアス電流回路を有することを特徴とした請求
    項1記載の磁気計測装置。
  3. 【請求項3】検出コイルと結合している部分のSQUIDの
    インダクタンスを変えることで2つのSQUIDに対す
    る検出コイルからの磁束伝達効率を調整したことを特徴
    とした請求項1または請求項2のいずれかに記載の磁気
    計測装置。
  4. 【請求項4】2つのSQUIDのSQUID全体のインダクタンス
    は同じであることを特徴とした請求項1から請求項3の
    いずれかに記載の磁気計測装置。
  5. 【請求項5】2つのSQUIDの電圧−磁束特性の周期
    の比率すなわち有効面積の比率が30:31以上1:2未満で
    あることを特徴とした請求項1から請求項4のいずれか
    に記載の磁気計測装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100539546B1 (ko) * 2003-01-28 2005-12-29 엘지전자 주식회사 조셉슨 접합을 이용한 자기장 분포 측정 장치
KR100812317B1 (ko) 2006-08-25 2008-03-10 한국표준과학연구원 자장기울기 분포 측정 장치
CN113933762A (zh) * 2021-09-22 2022-01-14 珠海凌达压缩机有限公司 变频压缩机转子磁通量的测量方法及系统

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