JP2001193616A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2001193616A JP2000004623A JP2000004623A JP2001193616A JP 2001193616 A JP2001193616 A JP 2001193616A JP 2000004623 A JP2000004623 A JP 2000004623A JP 2000004623 A JP2000004623 A JP 2000004623A JP 2001193616 A JP2001193616 A JP 2001193616A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 点火コイルの一次巻線への印加電圧の変動に
依らず点火コイルに蓄積する磁束エネルギを一定に維持
できる内燃機関用点火装置を安価に提供する。 【解決手段】 本内燃機関用点火装置1は、主制御用ト
ランジスタ15をオフ状態に維持するためのマイコン2
1を、ECU31とは別に備えている。そして、ECU
31が点火指令信号IGをハイレベルにしても、マイコ
ン21が通電開始遅延信号Sbをハイレベルにしている
間は、主制御用トランジスタ15がオフ状態に維持され
て一次電流i1は流れない。そして、マイコン21は、
電源電圧値に応じて算出された通電開始遅延時間Tsだ
け一次電流i1の通電開始時期を遅延させており、電源
電圧の変動が生じても点火コイル13に蓄積される磁束
エネルギは一定に制御される。よって、高価なスイッチ
ング素子からなる一次電流制御用スイッチを設けること
なく蓄積する磁束エネルギを一定に制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火コイルの一次
巻線に供給される一次電流の遮断により二次コイルにて
発生させた点火用高電圧を点火プラグに印加して、点火
プラグを火花放電させる内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電源装置からの電源電圧を点
火コイルの一次巻線に印加(供給)し、この時流れる一
次電流を一定時間通電した後に遮断することで点火コイ
ルの二次巻線に点火用高電圧を誘起させ、点火プラグに
火花放電を発生させる電流遮断型の内燃機関用点火装置
が知られている。
【0003】そして、こうした電流遮断型の内燃機関用
点火装置においては、二次巻線にて発生する点火用高電
圧の大きさが、点火コイルの一次/二次巻線の巻数比、
および一次巻線への通電電流により点火コイルに蓄積さ
れた磁束エネルギの大きさによって決定される。
【0004】このため、点火コイルの仕様(巻数比)が
同一条件であれば、点火用高電圧は、点火コイルに蓄積
される磁束エネルギW1によって定まることになり、こ
の磁束エネルギW1は、[数1]で表すことができる。
なお、L1は一次巻線のインダクタンスであり、I1は
通電遮断時の一次電流の電流値である。
【0005】
【数1】
【0006】また、点火プラグの火花放電で消費される
火花放電エネルギW2は、[数2]で表すことができ
る。なお、CF は二次巻線が接続される回路の浮遊容量
であり、V2は二次巻線の両端に発生する点火用高電圧
であり、kは係数である。そして、CF は点火プラグの
電極間の浮遊容量とほぼ等しく、点火用高電圧V2は点
火プラグの電極間電圧とほぼ等しい値を示す。
【0007】
【数2】
【0008】次に、火花放電エネルギW2は、点火コイ
ルに蓄積された磁束エネルギW1から供給されており、
磁束エネルギW1のすべてが火花放電エネルギW2とし
て消費されたときに、点火プラグの電極間に発生する電
極間電圧(点火用高電圧V2)は、最大値を示すことに
なる。このとき、[数1]におけるW1および[数2]
におけるW2はそれぞれ等しい値となり、L1,CF
kが一定値であるとしてV2について整理すると、[数
3]に示すようになり、点火用高電圧V2は、通電遮断
時の一次電流I1に比例することが判る。
【0009】
【数3】
【0010】他方、電源装置とともに閉ループを形成し
た一次巻線を流れる一次電流I1は、[数4]のように
表すことができる。
【0011】
【数4】
【0012】なお、Eは電源装置が出力する電源電圧で
あり、tは一次電流通電時間であり、R1は一次巻線の
巻線抵抗であり、τは閉ループ回路のL1とR1で定ま
る時定数(=L1/R1)である。このとき、L1およ
びR1が一定であれば、[数3]と[数4]から、点火
用高電圧V2は、電源電圧Eおよび一次電流通電時間t
により定まることになる。
【0013】そして、上記従来の電流遮断型の内燃機関
用点火装置では、一般に電源電圧として定電圧(例えば
12(v))を電源電圧として出力する直流電源装置を
用いることから、[数4]における電源電圧Eを一定と
考えることができ、一次電流通電時間tを変化させるこ
とで、点火コイルに蓄積される磁束エネルギを変化させ
ることができる。このため、上記従来の内燃機関用点火
装置では、火花放電が発生可能な点火用高電圧を確保す
るために、一次電流通電時間tを十分に長く設定するこ
とで、火花放電の発生に必要な磁束エネルギを点火コイ
ルに蓄積できるように構成されている。
【0014】しかし、上記従来の内燃機関用点火装置に
おいては、点火コイルの一次巻線に印加される電圧を厳
密に一定値に維持することは難しく、この印加電圧が変
動することで点火コイルに蓄積される磁束エネルギが変
化して、一次電流の通電遮断時に発生する点火用高電圧
の電圧値が変動してしまう虞がある。つまり、内燃機関
に備えられた直流電源装置では、例えば、内燃機関の始
動時や発電機のトラブルなどの影響によって、出力され
る電源電圧が定格値よりも低下し、点火コイルに十分な
磁束エネルギを蓄積できなくなり点火用高電圧の電圧値
が低下してしまい、火花放電を発生できす失火を招く虞
がある。
【0015】また、例えば、電源電圧が定格値よりも高
くなると、一次巻線に流れる一次電流の電流値が大きく
なり、この一次電流の通電・遮断を制御するために一次
巻線と接続されるスイッチング素子に過剰な電流が流れ
ることになる。このため、スイッチ素子としてトランジ
スタを用いた内燃機関用点火装置では、トランジスタの
発熱量が増大してしまい、トランジスタへの負担が大き
くなって寿命が短くなるか、あるいは、トランジスタが
破壊されてしまうことがある。
【0016】こうした電源電圧の変動により発生する問
題に対して、特開平11−241670号公報に記載さ
れた内燃機関用点火装置が提案されており、この点火装
置には、一次電流の通電・遮断を制御するためのトラン
ジスタ(主制御トランジスタ)とは別に、直流電源装置
と一次巻線との間に一次電流制御用スイッチが設けられ
ている。そして、一次電流制御用スイッチのオン・オフ
状態(スイッチング駆動)を制御して、一次電流をほぼ
一定に保つよう制御している。これにより、電源電圧の
変動が発生した場合でも、点火コイルに蓄積される磁束
エネルギをほぼ一定に維持することができ、主制御トラ
ンジスタからの発熱や失火の発生を抑制している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報による内燃機関用点火装置においては、一次電流制御
用スイッチには主制御トランジスタと同じ大きさの電流
が流れることから、一次電流制御スイッチとして容量の
大きいスイッチング素子を使用する必要があり、点火装
置のコストが高くなるという問題がある。つまり、半導
体素子からなるスイッチング素子は、大電流に耐えられ
るものほど(容量が大きいものほど)高価になるため
に、一次電流制御用スイッチを設けるにあたりコスト的
な問題が生じてしまう。
【0018】また、一般に、トランジスタの電流増幅率
FEは5〜20程度であることを考慮すると、上記公報
技術における一次電流制御用スイッチとしては電流増幅
率h FE=20のトランジスタを用いる必要があり、10
[A]の一次電流を流す場合には、500[mA]のベ
ース電流をそのトランジスタに流す必要がある。このた
め、一次電流制御用スイッチとしてのトランジスタをス
イッチング駆動するために別途設けられるトランジスタ
についても、比較的大きな電流に耐えることができる大
容量のものを使用する必要があり、さらにコストが高く
なってしまう。
【0019】これに対して、一次電流制御用スイッチと
して、電流駆動のトランジスタではなく電圧駆動のFE
Tを用いることで、一次電流制御スイッチを駆動するた
めのスイッチとして、大容量のものを使用する必要がな
くなる。しかし、電源電圧の電位が直接印加される一次
電流制御スイッチとしてnチャネルのFETを用いる場
合、FETをオン状態(短絡状態)にするためには、ゲ
ート信号に電源電圧の電位よりもさらに高い電位を印加
する必要がある。そして、こうした高電位を発生させる
ためには、例えば、電圧昇圧装置を設けると良いが、電
圧昇圧装置は高価であるためコストが高くなってしま
う。
【0020】これに対して、ゲートへの入力信号が低電
位となるときにON状態となるpチャネルのFETを用
いることで、電圧昇圧装置を用いる必要は無くなるが、
pチャネルのFETは、nチャネルのFETに比べて高
価であることから、この場合もコストの上昇を招いてし
まう。
【0021】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
のであり、点火コイルの一次巻線に印加される電圧の変
動に依らず点火コイルに蓄積させる磁束エネルギを一定
に維持することができる内燃機関用点火装置を、高価な
トランジスタやFETといったスイッチング素子を用い
ることなく安価に提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の発明は、直流電源装置と、
この直流電源装置により電源電圧が印加されることで一
次電流が流れる一次巻線と、内燃機関に装着された点火
プラグと閉ループを形成する二次巻線とを有する点火コ
イルと、一次巻線および直流電源装置と共に閉ループを
形成し、一次巻線に流れる一次電流を通電、遮断するた
めのスイッチング手段と、内燃機関の運転状態に応じて
点火指令信号を出力してスイッチング手段のスイッチン
グ駆動を行うことにより、一次巻線に流れる一次電流を
通電、遮断して二次巻線に点火用高電圧を発生させ、点
火プラグに火花放電を発生させる点火制御手段と、を備
えた内燃機関用点火装置であって、直流電源装置から出
力される電源電圧値を検出する電源電圧検出手段と、電
源電圧検出手段により検出された電源電圧値に基づき一
次巻線への通電開始を遅らせるための通電開始遅延時間
を設定すると共に、点火制御手段による一次巻線への通
電開始時期を通電開始遅延時間だけ遅らせる通電開始時
期遅延手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】つまり、本発明の内燃機関用点火装置で
は、内燃機関の運転状態に応じて出力される点火指令信
号が出力された時に単に一次巻線への通電を開始するの
ではなく、点火制御手段による通電開始時期から通電開
始遅延時間だけ遅延させた時期に通電を開始するよう
に、一次巻線への通電開始時期を遅延させる制御を行っ
ている点が着目すべき点である。なお、このような通電
開始時期の遅延制御は、通電開始時期遅延手段を備える
ことで実現している。
【0024】そして、通電開始時期遅延手段は、電源装
置が出力する電源電圧値に基づいて通電開始遅延時間を
設定して、点火制御手段による通電開始時期から通電開
始遅延時間だけ遅らせた時期を、一次巻線への通電開始
時期とするよう動作する。こうした通電開始時期遅延手
段を実現するには、点火制御手段による点火指令信号の
制御に拘わらず、スイッチング手段を開放状態(オフ状
態)に強制的に維持できればよく、例えば、スイッチン
グ手段に入力される点火指令信号の状態を、スイッチン
グ手段が開放状態となるように強制的に維持するとよ
い。そして、スイッチング手段を短絡状態(オン状態)
にするために点火制御手段から点火指令信号が出力され
てから、通電開始遅延時間が経過するまでの間、通電開
始時期遅延手段は、点火指令信号の状態をスイッチング
手段が開放状態となる状態に強制的に加工するのであ
る。
【0025】これにより、通電開始時期遅延手段による
加工後の点火指令信号(以下、加工後点火指令信号と呼
ぶ)がスイッチング手段に入力されることにより、スイ
ッチング手段は点火制御手段から制御することができな
くなり、点火制御手段による通電開始時期に一次巻線へ
の通電が行われなくなる。
【0026】そして、通電開始遅延時間が経過した後
に、通電開始時期遅延手段がスイッチング手段に入力さ
れる点火指令信号の強制的な制御を停止すると、スイッ
チング手段は点火制御手段によって制御可能となり、ス
イッチング手段は、点火制御手段による制御に基づき短
絡状態(オン状態)となる。これにより、一次巻線への
通電が開始されることになり、点火制御手段によって決
定された通電開始時期から通電開始遅延時間が経過した
後に、一次巻線への通電開始時期を遅延させることがで
きる。
【0027】このとき、通電開始時期遅延手段は、電源
電圧検出手段により検出される電源電圧値に応じて通電
開始遅延時間を設定することから、電源電圧が変動した
場合でも、点火コイルに蓄積する磁束エネルギをほぼ一
定に維持できるように通電開始遅延時間を設定すること
が可能となる。
【0028】したがって、本発明(請求項1)の内燃機
関用点火装置によれば、高価なトランジスタやFETと
いったスイッチング素子を使用することなく点火コイル
に蓄積する磁束エネルギをほぼ一定に維持することがで
き、失火の発生やスイッチング素子における発熱量の増
大を抑制できる内燃機関用点火装置を安価に実現するこ
とができる。
【0029】なお、通電開始時期遅延手段は、一次巻線
への通電開始時期のみを制御するものであり、一次電流
の遮断時期、つまり点火時期を変更することはなく、点
火時期は点火制御手段によって決定されるため、通電開
始時期遅延手段を設けたことにより、点火時期に影響が
及ぶことはない。
【0030】また、何らかの原因により、通電開始時期
遅延手段が正常に動作できない状態となっても、通電開
始遅延時間が0[sec ]となる場合と等しい状態で、点
火制御手段によってスイッチング手段が制御されるの
で、一次電流の通電および遮断は継続的に行うことがで
き、ひいては内燃機関の運転を継続することが可能であ
る。
【0031】そして、前述の通電開始時期遅延手段は、
請求項2に記載のように、検出された電源電圧値が高い
ほど通電開始遅延時間を長く設定し、検出された電源電
圧値が低いほど通電開始遅延時間を短く設定するとよ
い。つまり、上述の内燃機関用点火装置では、電源装置
が出力する電源電圧値が高くなるほど、通電時に一次巻
線に流れる一次電流値が大きくなり、スイッチング手段
に流れる電流値が大きくなる。このため、例えば、スイ
ッチング手段として半導体素子からなるトランジスタを
用いた場合、同一の通電時間であっても電流値が大きく
なることでトランジスタの発熱量が大きくなってしま
う。
【0032】一方、電源電圧値が高くなることで、単位
時間あたりに点火コイルに蓄積される磁束エネルギは大
きくなるため、点火制御手段によって設定された一次電
流通電時間よりも短い通電時間で、点火プラグでの火花
放電を発生可能な磁束エネルギを点火コイルに蓄積する
ことができる。
【0033】このため、電源電圧値が高い場合には、火
花放電の発生に必要なエネルギを蓄積できる範囲内で、
通電開始遅延時間を長く設定して、スイッチング手段へ
の通電時間(一次電流通電時間)を短く設定することに
より、スイッチング手段における発熱が過剰とならない
ようにするとよい。
【0034】反対に、電源装置が出力する電源電圧値が
低くなるほど、通電時に一次巻線に流れる一次電流値が
小さくなり、スイッチング手段における発熱は軽減され
るものの、単位時間あたりに点火コイルに蓄積される磁
束エネルギは小さくなってしまう。このため、電源電圧
値が低い場合には、火花放電が発生可能な磁束エネルギ
を十分に点火コイルに蓄積できるように、一次電流通電
時間を長く設定することが望ましく、つまり、通電開始
遅延時間を短く設定すると良い。
【0035】ここで、点火制御手段は、一般に、最も着
火性の劣る運転条件においても燃料への着火が可能な火
花放電を発生できるように、例えば、電源電圧値が低下
した場合でも点火コイルに十分な磁束エネルギが蓄積さ
れるように、一次電流通電時間は長く設定されている。
このため、本内燃機関用点火装置では、電源電圧が定格
値である時には、通電開始時期遅延手段によって通電時
期を遅延させて最適な通電時間を設定することで、最適
な磁束エネルギを蓄積することが可能となる。
【0036】したがって、本発明(請求項2)の内燃機
関用点火装置によれば、電源電圧値の変動に応じて、通
電開始遅延時間の大きさを前述のように変化させること
により、点火コイルに蓄積される磁束エネルギを最適な
値に設定することができる。これにより、スイッチング
手段における発熱が過剰となることがなく、また、火花
放電を発生させるための磁束エネルギを確実に点火コイ
ルに蓄積させることができる。
【0037】ところで、前述の点火制御手段は、CP
U,RAM,ROMおよび入出力ポート等を主要部とす
るマイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)か
らなる内燃機関制御用の電子制御装置の内部処理により
実現することが一般的である。そして、近年の電子制御
装置では、点火制御のみならず、内燃機関各部に設けら
れたセンサ(例えばクランク角センサ等)からの入力に
基づき、燃料噴射量,空燃比,燃料噴射時期等の多くの
制御処理を実行しており、電子制御装置における内部処
理の負荷はかなり高くなっている。このため、上述の通
電開始時期遅延手段を、電子制御装置における内部処理
により実現する場合、処理負荷が上昇して装置自体の許
容範囲を超えてしまい、各制御処理を正常に実行するこ
とができなくなる虞がある。
【0038】そこで、請求項3に記載のように、前述の
通電開始遅延時間は、点火指令信号を出力する点火制御
手段とは独立した形態で設けられた制御機器にて設定さ
れるとよい。つまり、通電開始時期遅延手段としての処
理を実行するための制御機器を、点火制御手段(一般に
は、内燃機関制御用の電子制御装置)とは独立した形態
で設けることで、点火制御手段にて通電開始時期を遅延
させるための処理を実行する必要がなくなり、点火制御
手段(電子制御装置)の処理負荷を上昇させることがな
い。なお、制御機器は、マイコンあるいは抵抗素子や容
量素子などからなる電気回路などを用いて構成すること
ができる。
【0039】一方、点火指令信号を出力する点火制御手
段(電子制御装置)として処理能力の高いマイコンを用
いれば、通電開始時期遅延手段を他の制御処理とともに
1つのマイコンにて処理することが可能となる。しか
し、点火制御手段(電子制御装置)を構成するマイコン
は、設計時に必要十分の容量およびポート数(端子数)
のものを選定するため、既存のものに対して当該制御機
能を付加する際には、ソフトウェア処理の追加のみなら
ず、容量およびボート数を含めてマイコン自体を基本部
分から設計する必要がある。この場合には、多大な開発
費を費やすことになってしまう。
【0040】そこで、請求項3に記載のように、通電開
始時期遅延手段を点火制御手段から独立した制御機器で
実行するように内燃機関用点火装置を構成すれば、現在
生産されている既存の内燃機関用点火装置に対して、通
電開始時期遅延手段としての制御機器を追加すること
で、通電開始時期を遅延させる機能を有する内燃機関用
点火装置を実現できる。
【0041】このため、既存の点火制御手段(電子制御
装置)の設計変更をすることなく、前述の電源電圧の変
動に影響されずに点火コイルへの蓄積エネルギをほぼ一
定に維持できる本内燃機関用点火装置を安価にかつ簡易
的に実現することができる。また、点火装置の構成部品
のほとんどを流用できることから、特に量産型の内燃機
関に対して本内燃機関用点火装置の構成を適用すれば、
少量生産の内燃機関に適用した場合に比べて、生産量全
体として節約可能なコストが大きくなるため、コスト節
約の効果がより一層大きくなる。
【0042】なお、通電開始時期遅延手段としての処理
を実行するためのマイコンとしては、演算能力が4〜8
[bit ]で、最低8[bit ]程度のA/Dコンバータ
と、2つの入力ポートおよび1つの出力ポートと、を備
えているマイコンであれば当機能を実現することができ
る。そして、こうしたレベルのマイコンは大容量のトラ
ンジスタに比べて低価格であることから、当該内燃機関
用点火装置を安価に実現することができる。
【0043】ところで、上述の内燃機関用点火装置は、
請求項4に記載のように、燃料として気体燃料を用いる
ガスエンジンに用いられることで、より効果を発揮す
る。つまり、気体燃料は、液体燃料(例えばガソリン)
に比べて絶縁性が高いため、ガスエンジンにおいて燃料
への着火を確実に行うためには、ガソリンエンジンに比
べて相対的に高い点火用高電圧を点火プラグに印加して
火花放電を発生させる必要がある。従って、気体燃料を
用いるガスエンジン向けの点火コイルとしての最大二次
電圧(点火用高電圧)発生能力は、ガソリンエンジン向
けのそれよりも高く設定しておく必要がある(例えば、
ガソリンエンジン向けの点火コイルとしての最大二次電
圧が30kV以上とすれば、ガスエンジン向けのそれは
40kV以上に設定)。そのため、ガスエンジンにおい
ては、燃料へ確実に着火できるように、一次巻線への通
電・遮断時の電流値は比較的大きく設定されている。
【0044】そして、ガスエンジンでは、例えば、電源
電圧が高くなる方向に変動した場合、一次巻線に供給さ
れる一次電流はさらに大きくなり、スイッチング手段と
してトランジスタを用いる場合にそのトランジスタに流
れる電流がさらに大きくなって、トランジスタの発熱量
が増大してトランジスタが破壊される可能性が高くな
る。
【0045】このため、ガスエンジンに本発明の上記内
燃機関用点火装置を備えて、一次電流の通電開始時期を
遅延させて通電時間を短縮させることで、トランジスタ
に過剰な電流が長時間流れることがなくなり、スイッチ
ング手段としてのトランジスタが破壊されるのを防ぐこ
とができる。
【0046】よって、請求項4に記載のように、気体燃
料を用いるガスエンジンに対して請求項1から請求項3
のいずれかに記載の内燃機関用点火装置を適用すれば、
電源電圧の変動によるスイッチング手段の破壊を防止で
きるという効果を発揮させることができる。
【0047】また、ガスエンジンのうち、定置型ガスエ
ンジンに備えられる内燃機関用点火装置には、例えば、
電力会社から供給される商用電源などの交流電圧(例え
ば、100[v]あるいは200[v])を、変圧器,
整流器および平滑回路などを用いて直流電圧に変換し、
こうして得られる直流電圧を用いて一次巻線への通電電
流を発生させて、点火用高電圧を発生させているものが
ある。
【0048】そして、こうした商用電源を用いた定置型
ガスエンジンの内燃機関用点火装置では、一次巻線へ印
加される電圧の変動が発生しやすく、スイッチング手段
が破壊され易い。つまり、電力会社から供給される電力
に対する電力需要は季節毎に変化しており、この電力需
要の変化が要因となって、商用電源の交流電圧値は、季
節毎(例えば夏と冬)に異なる値を示すのである。な
お、商用電源の交流電圧値は、予め定められた許容範囲
内で変動している。
【0049】このように、許容範囲内ではあるものの、
電力会社から供給される商用電源の交流電圧値が変動す
ることにより、変換後の直流電圧の電圧値も季節毎に異
なる値を示すことになり、定置型ガスエンジンでは、一
次巻線への通電電流を発生するための電源電圧が季節毎
に変化することになる。
【0050】前述したように、ガスエンジンでは、燃料
への着火性が最も劣る場合を考慮して一次電流の通電時
間を決定することから、直流電圧の電圧値が低くなる
(換言すれば、一次電流が最も小さくなる)季節の電圧
値を基準として、一次電流の通電時間が設定される。こ
れに対して、直流電圧の電圧値が高くなる季節において
は、電圧値が低い時期に適した通電時間で通電されるに
もかかわらず一次電流が大きくなるため、スイッチング
手段への負担が大きくなってスイッチング手段が破壊さ
れる可能性が高くなる。
【0051】従って、定置型ガスエンジンに対して上記
の内燃機関用点火装置を適用して一次電流の通電開始時
期を遅延させることで通電時間を短縮させて、トランジ
スタに過剰な電流が長時間流れるのを避けることで、ス
イッチング手段を保護するという効果をより発揮するこ
とができる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1に、実施例の内燃機関用点火
装置の概略構成を表す構成図を示す。なお、本実施例の
内燃機関用点火装置は、燃料として気体燃料を用いる定
置型ガスエンジンに備えられた内燃機関用点火装置であ
る。
【0053】図1に示すように、実施例の内燃機関用点
火装置1は、商用電源の交流電圧を変換して放電用の直
流電圧(例えば電源電圧12V)を出力する直流電源装
置11と、一次巻線L1と二次巻線L2とを備えた点火
コイル13と、一次巻線L1と直列接続されたnpn型
トランジスタからなる主制御用トランジスタ15と、二
次巻線L2と閉ループを形成するとともに内燃機関の気
筒に設けられた点火プラグ17と、点火プラグ17の電
極17a−17b間に火花放電を発生させるために、主
制御用トランジスタ15に対して内燃機関の運転状態に
応じた点火指令信号IGを出力する内燃機関制御用の電
子制御装置(以下、ECUと呼ぶ)31と、を備えてい
る。さらに、内燃機関用点火装置1は、一次巻線への通
電開始時期を遅延させるためのマイクロコンピュータ
(以下マイコンともいう)21と、直流電源装置11か
ら出力される電源電圧を変圧してマイコン21の駆動用
電圧(例えば5[v])を発生する電圧変換回路23
と、マイコン21からの通電開始遅延信号Sbに基づき
主制御用トランジスタ15をオフ状態に維持するための
npn型トランジスタからなる通電遅延用トランジスタ
25と、直流電源装置11から一次巻線L1に供給され
る電源電圧を検出するための電源電圧検出回路27と、
を備えている。
【0054】これらのうち、主制御用トランジスタ15
は、点火コイル13の一次巻線L1への通電(オン状
態)・非通電(オフ状態)を切り換える前述の半導体素
子からなるスイッチング素子であり、本実施例の内燃機
関用点火装置1はフルトランジスタ型の点火装置であ
る。
【0055】そして、直流電源装置11は、変圧器,整
流器,平滑回路などを備えており、商用電源からの交流
電圧(例えばAC100[v])を変圧,整流および平
滑化することで、直流電圧(例えば電源電圧12
[v])に変換している。また、ECU31は、内燃機
関の運転状態に基づいて、内燃機関の火花放電発生時
期、燃料噴射量、エンジン回転数等を総合的に制御する
ために備えられており、CPU,RAM,ROMおよび
入出力部を主要部とするマイクロコンピュータ(マイコ
ン)にて構成されている。
【0056】なお、ECU31以外の各構成要素は、複
数の気筒を備えた内燃機関では各気筒ごとに備えてられ
ているが、図1では図面を見易くするために、1気筒分
のみを記している。そして、点火コイル13の一次巻線
L1の一端は直流電源装置11の正極に接続され、他端
は主制御用トランジスタ15のコレクタに接続されてい
る。また、二次巻線L2の一端は、整流素子Dを介し
て、直流電源装置11の正極に接続されている一次巻線
L1の一端に接続され、他端は点火プラグ17の中心電
極17aに接続されている。さらに、点火プラグ17の
接地電極17bは、直流電源装置11の負極と同電位の
グランドに接地されており、主制御用トランジスタ15
のベースは抵抗R3を介してECU31と接続され、主
制御用トランジスタ15のエミッタは、直流電源装置1
1の負極と同電位のグランドに接地されている。
【0057】このため、主制御用トランジスタ15のベ
ースに入力される加工後点火指令信号Saがローレベル
(一般にグランド電位)である場合には、主制御用トラ
ンジスタ15にベース電流は流れず、主制御用トランジ
スタ15はオフ状態となり、主制御用トランジスタ15
を通じて一次巻線L1に電流が流れることはない。ま
た、加工後点火指令信号Saがハイレベル(例えば、定
電圧電源からの供給電圧5[v])である場合には、主
制御用トランジスタ15はオン状態となり、直流電源装
置11の正極側から点火コイル13の一次巻線L1を通
って直流電源装置11の負極側に至る一次巻線L1の通
電経路を形成し、一次巻線L1に一次電流i1が流れ
る。
【0058】なお、ここで、主制御用トランジスタ15
のオン状態とは、主制御用トランジスタ15のコレクタ
−エミッタ間が導通した状態(短絡された状態)を表
し、オフ状態とは、主制御用トランジスタ15のコレク
タ−エミッタ間が導通していない状態(開放された状
態)を表している。
【0059】したがって、加工後点火指令信号Saがハ
イレベルであり、一次巻線L1に一次電流i1が流れて
いる状態の時に、加工後点火指令信号Saがローレベル
になると、主制御用トランジスタ15がターンオフし、
一次巻線L1への一次電流i1の通電を停止(遮断)す
ることになる。すると、点火コイル13の磁束密度が急
激に変化して二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、こ
の点火用高電圧が点火プラグ17に印加されることで、
点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発
生する。
【0060】尚、点火コイル13は、主制御用トランジ
スタ15による一次巻線L1における一次電流i1の通
電・遮断により、点火プラグ17の中心電極17a側に
グランド電位よりも低い負の点火用高電圧を発生させる
ように構成されており、点火プラグ17での火花放電に
伴い二次巻線L2に流れる二次電流i2は、点火プラグ
17の中心電極17aから二次巻線L2を通って、一次
巻線L1側に流れる。また、二次巻線L2と一次巻線L
1との接続部分には、二次巻線L2から一次巻線L1側
に電流が流れるのを許容し、逆方向への電流の流れを阻
止するために、ダイオード等からなる整流素子Dが設け
られている。本実施例では、整流素子Dとして、アノー
ドが二次巻線L2に、カソードが一次巻線L1に接続さ
れたダイオードを設けており、整流素子Dの動作によっ
て、主制御用トランジスタ15のターンオン時(一次巻
線L1への通電開始時)に二次巻線L2に電流が流れる
のが阻止される。
【0061】次に、電圧変換回路23は、電圧基準端子
がグランドに接地され、入力端子が直流電源装置11の
正極に接続され、出力端子がマイコン21に接続されて
おり、入力端子へ入力される電圧値を変圧して出力端子
から出力している。つまり、直流電源装置11から出力
される電源電圧(例えば12[v])を変圧してマイコ
ン21に駆動用電圧(例えば5[v])を供給してい
る。なお、電圧変換回路23は、いわゆる三端子レギュ
レータを用いて構成することができる。
【0062】また、電源電圧検出回路27は、抵抗R1
と抵抗R2とが直列接続されて構成されており、電源電
圧検出回路27のうち、抵抗R1の側の端部は直流電源
装置11の正極に接続され、抵抗R2の側の端部は直流
電源装置11の負極(換言すればグランド)に接続され
ている。さらに、抵抗R1と抵抗R2との接続点がマイ
コン21に接続されており、抵抗R1と抵抗R2による
電源電圧の分圧Vsがマイコン21に入力される。
【0063】このとき、抵抗R1および抵抗R2のそれ
ぞれの抵抗値は、直流電源装置11が出力する電源電圧
値の変動範囲に対応する分圧Vsの変動範囲が、マイコ
ン21の入力ポートにおける入力レンジの許容範囲内と
なるように決定されている。そして、分圧Vsは直流電
源装置11が出力する電源電圧の電圧値に応じて変動し
ており、マイコン21は、入力レンジに適した下限値か
ら上限値までの範囲内(例えば、0〜5[v])で変化
する分圧Vsが入力されることで、電源電圧値を検出す
ることができる。
【0064】次に、通電遅延用トランジスタ25は、コ
レクタが主制御用トランジスタ15のベースに接続さ
れ、エミッタがグランドに接地されて、ベースがマイコ
ン21における通電開始遅延信号Sbを出力する端子に
接続されている。そして、通電遅延用トランジスタ25
のベースに入力される通電開始遅延信号Sbがローレベ
ル(一般にグランド電位)である場合には、通電遅延用
トランジスタ25にベース電流は流れず、通電遅延用ト
ランジスタ25はオフ状態となる。このとき、主制御用
トランジスタ15のベースに入力される加工後点火指令
信号Saは、ECU31が出力する点火指令信号IGの
状態に基づいて状態が決定される。つまり、通電遅延用
トランジスタ25がオフ状態であるときには、主制御用
トランジスタ15は、ECU31からの指令によって、
オン状態あるいはオフ状態に制御される。
【0065】また、通電開始遅延信号Sbがハイレベル
(例えば、定電圧電源からの供給電圧5[v])である
場合には、通電遅延用トランジスタ25にベース電流が
流れ、通電遅延用トランジスタ25はオン状態となる。
このとき、加工後点火指令信号Saは強制的にローレベ
ルに維持されることになり、ECU31が出力する点火
指令信号IGの状態に基づいて加工後点火指令信号Sa
の状態が決定されることはない。つまり、通電遅延用ト
ランジスタ25がオン状態であるときには、主制御用ト
ランジスタ15は、ECU31からの指令に拘わらず、
オフ状態を維持することになる。
【0066】よって、マイコン21から出力される通電
開始遅延信号Sbがローレベルであるときには、主制御
用トランジスタ15は、ECU31からの指令に基づい
てオン状態あるいはオフ状態が決定される。また、通電
開始遅延信号Sbがハイレベルであるときには、主制御
用トランジスタ15は、ECU31からの指令に依らず
常にオフ状態となる。
【0067】次に、マイコン21は、電圧変換回路23
から駆動用電圧が供給されることで駆動しており、電源
電圧検出回路27から分圧Vsが入力され、ECU31
から点火指令信号IGが入力されており、また、通電開
始遅延信号Sbを通電遅延用トランジスタ25に出力し
ている。そして、マイコン21は、分圧Vsに基づいて
通電開始遅延時間を設定して、点火指令信号IGのハイ
レベルへの状態変化に同期して通電開始遅延信号Sbを
ハイレベル状態にして出力する。なお、マイコン21で
の処理内容の詳細は後述する。
【0068】続いて、図2に、図1に示す概略構成図に
おける、点火指令信号IG,加工後点火指令信号Sa、
通電開始遅延信号Sb、一次電流i1,点火プラグ17
の中心電極17aの電位Vp、の各状態を表すタイムチ
ャートを示す。図2における時刻t1にて、点火指令信
号IGがローからハイレベルに切り換わると、これに同
期して、かつ電源電圧検出回路27にて検出された電源
電圧の分圧Vsに基づいて通電開始遅延信号Sbがロー
からハイレベルに切り換わり、これにより加工後点火指
令信号Saはローレベルに維持されるため、一次巻線L
1に一次電流i1は流れない。そして、通電開始遅延時
間が経過した時刻t2にて、通電開始遅延信号Sbがロ
ーレベルに切り換わると加工後点火指令信号Saがロー
からハイレベルに切り換わり、主制御用トランジスタ1
5がオン状態となって一次電流i1が流れ始める。
【0069】さらに時間が経過して点火時期である時刻
t3になると、点火指令信号IGがハイからローレベル
に切り換わり、主制御用トランジスタ15がオフ状態と
なる。これにより、一次巻線L1への一次電流i1の通
電が遮断され、点火プラグ17の中心電極17aに負の
点火用高電圧が印加されて、その電位Vpが急峻に低下
し、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電
が発生する。そして、点火コイル13に蓄積された磁束
エネルギが火花放電の発生のために消費されていき、火
花放電を維持することができなくなるまで磁束エネルギ
が消費された時刻t4にて火花放電が自然に終了する。
【0070】このように、点火指令信号IGがハイレベ
ルとなっても、通電開始遅延信号Sbがハイレベルであ
るときには一次電流i1が流れることはないため、通電
開始遅延信号Sbによって、一次電流i1の通電開始時
期が遅延可能となることが判る。これにより、本内燃機
関用点火装置における一次電流通電時間は、ECU31
によって設定される一次電流通電時間(時刻t1から時
刻t3)よりも短い時間(時刻t2から時刻t3)とな
ることが判る。
【0071】また、図3に、異なる通電開始遅延時間が
設定された場合の、加工後点火指令信号Saと一次電流
i1のそれぞれの波形を示す。図3において実線で示す
波形が通電開始遅延時間が短い場合の波形であり、破線
で示す波形が通電開始遅延時間が長い場合の波形であ
る。そして、図3における時刻t11が通電開始遅延時
間が短い場合の通電開始時期であり、時刻t12が通電
開始遅延時間が長い場合の通電開始時期であり、図2に
おける時刻t2に相当する。また、図3における時刻t
13が点火時期であり、図2における時刻t3に相当す
る。
【0072】また、通電開始遅延時間は後述するマイコ
ン21で設定されており、電源電圧が低いときには通電
開始遅延時間は短く設定され、電源電圧が高いときには
通電開始遅延時間は長く設定される。このため、電源電
圧の値に拘わらず、通電開始遅延時間の制御により点火
時期(時刻t13)での一次電流i1の電流値をほぼ等
しい値に制御することができるのである。なお、マイコ
ン21における通電開始遅延時間の設定処理の内容につ
いては、後で説明する。
【0073】次に、ECU31において実行される点火
制御処理について説明する。なお、ECU31は、前述
したように内燃機関の火花放電発生時期、燃料噴射量、
アイドル回転数等を総合的に制御するためのものであ
り、以下に説明する点火制御処理の他に、内燃機関の吸
入空気量(吸気管圧力),回転速度,スロットル開度,
冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運
転状態検出処理や、燃料噴射時期で燃料を吸気管内に供
給するための燃料制御処理などを行っている。
【0074】また、点火制御処理は、内燃機関の始動
後、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出
するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関
が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1
回の割合で実行される。そして、内燃機関が始動されて
点火制御処理が開始されると、まず、別途実行される運
転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読
込み、読み込んだ運転状態に基づいて予め設定されたマ
ップあるいは計算式を用いて、内燃機関の運転状態に適
した点火時期を設定し、今回の燃焼サイクルにおける点
火時期を設定する。なお、点火時期を設定するための上
記マップあるいは計算式は、例えば、内燃機関のエンジ
ン回転速度やエンジン負荷などの運転状態をパラメータ
として、内燃機関の運転状態に応じた点火時期を設定す
るように構成するとよい。
【0075】続いて、設定された点火時期を基準とし
て、この点火時期よりも所定時間だけ早い時刻で点火指
令信号IGをハイレベルに変化させることで、主制御用
トランジスタ15を動作させて一次巻線L1への一次電
流i1の通電を開始する。ここで、所定時間とは、火花
放電前の一次電流通電時間のことであり、着火性の劣る
運転条件においても確実に燃料に着火できる火花放電を
発生させるため、つまり、高い点火用高電圧を発生させ
るために、一次電流通電時間には点火コイルに十分な磁
束エネルギを蓄積できる時間が予め設定されている。こ
れにより、火花放電が発生してから終了するまでの火花
放電継続時間も十分長くなり、例えば、低負荷低回転な
どの着火性の劣る運転状態においても、火炎核の成長を
助けて燃料を確実に燃焼させることができるようにな
る。
【0076】なお、点火指令信号IGをハイレベルに変
化させたときに、マイコン21から出力される通電開始
遅延信号Sbがハイレベルとなる場合には、主制御用ト
ランジスタ15はオフ状態に維持される。そのあと、通
電開始遅延信号Sbがローレベルに変化した時点で、主
制御用トランジスタ15はオン状態となり、一次巻線L
1への通電が開始される。
【0077】そして、点火制御処理では、点火指令信号
IGをハイレベルに変化させてから一次電流通電時間が
経過した点火時期にて、点火指令信号IGをローレベル
に変化させて、主制御用トランジスタ15をオフ状態に
する。こうして主制御用トランジスタ15をオフ状態に
することで一次電流i1を急激に遮断し、誘導起電力で
ある点火用高電圧を二次巻線L2に発生させて、点火プ
ラグ17に火花放電を発生させる。
【0078】よって、点火制御処理は、内燃機関の状態
に応じてECU31にて設定された点火時期で火花放電
が発生するように点火指令信号IGを制御することで、
内燃機関の運転状態に適した点火時期に点火プラグ17
の電極間に火花放電を発生させ、燃料を燃焼させるよう
に処理を行っている。
【0079】次に、マイコン21にて実行される通電開
始時期遅延制御処理について、図4に示すフローチャー
トに従い説明する。なお、通電開始時期遅延制御処理
は、内燃機関が始動されるとともに起動されて、以下に
説明する処理を開始する。そして、通電開始時期遅延制
御処理が開始されると、まず、S110では、カウンタ
Nに0を代入してカウンタNのリセットを行う。なお、
このカウンタNは、電源電圧を検出するタイミングを判
定するために用いられるカウンタである。
【0080】次に、S120では、通電開始遅延時間T
sに初期値を設定する。この初期値は、内燃機関の始動
直後の運転状態に適した値に設定することが望ましく、
内燃機関の始動直後は内燃機関の温度が低く、燃料への
着火性が劣る運転状態であることから、一次電流通電時
間が長くなるような値あるいは通電開始遅延時間Tsが
0[sec ]となるように、通電開始遅延時間Tsを設定
すると良い。
【0081】続くS130では、ECU31から出力さ
れる点火指令信号IGの立ち上がり方向(ローレベルか
らハイレベル)の状態変化が発生したか否かを判定して
おり、肯定判定されるとS140に移行し、否定判定さ
れると同ステップを繰り返し実行することで、点火指令
信号IGが状態変化するまで待機する。つまり、S13
0では、ECU31で実行される点火制御処理による一
次巻線L1への通電開始時期であるか否かを判定してい
る。
【0082】そして、S130で肯定判定されるとS1
40に移行し、S140では、通電開始遅延信号Sbを
ハイレベル状態にして、通電遅延用トランジスタ25へ
の出力を開始する(図2における時刻t1)。これによ
り、主制御用トランジスタ15のベースに入力される加
工後点火指令信号Saは、強制的にローレベルに維持さ
れることになり、ECU31が出力する点火指令信号I
Gによって加工後点火指令信号Saの状態が決定される
ことはない。つまり、主制御用トランジスタ15は、E
CU31からの指令に拘わらず、オフ状態を維持するこ
とになる。
【0083】次に、S150では、点火指令信号IGの
状態変化が発生してから(S130で肯定判定されてか
ら)の時間経過を計測するためのタイマーカウントを開
始する。続くS160では、S150でカウントを開始
したタイマー値が、通電開始遅延時間Ts以上であるか
否かを判定しており、肯定判定されるとS170に移行
し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行するこ
とで、タイマー値が通電開始遅延時間Ts以上になるま
で待機する。つまり、S160では、点火指令信号IG
の状態変化が発生してから(S130で肯定判定されて
から)、通電開始遅延時間Tsが経過したか否かを判定
している。
【0084】そして、S160で肯定判定されるとS1
70に移行し、S170では、ハイレベル状態の通電開
始遅延信号Sbの出力を終了する(図2における時刻t
2)。これにより、通電遅延用トランジスタ25はオフ
状態となり、主制御用トランジスタ15のベースに入力
される加工後点火指令信号Saは、ECU31が出力す
る点火指令信号IGによって状態が決定される。このと
き、ECU31から出力される点火指令信号IGはハイ
レベルである場合、加工後点火指令信号Saはハイレベ
ルとなり、主制御用トランジスタ15がオン状態となっ
て一次巻線L1に一次電流i1が流れ始める。
【0085】なお、この後、ECU31にて実行される
前述した点火制御処理によって、一次電流i1が遮断さ
れて、点火プラグ17の電極間に火花放電が発生する
(図2における時刻t3)。また、S170の処理が実
行されてS180に移行すると、S180では、S15
0で開始したタイマーカウントを停止し、続くS190
では、タイマー値に0を代入して、タイマーをリセット
する。
【0086】次のS200では、カウンタNに1を加算
する(カウンタNをインクリメントする)ことで、カウ
ンタNを更新している。続くS210では、カウンタN
が5以上であるか否かを判定しており、肯定判定される
とS220に移行し、否定判定されるとS130に移行
する。なお、本通電開始時期遅延制御処理は、5回の燃
焼サイクルに1回の割合で電源電圧の検出を行ってお
り、S210では電源電圧を検出する燃焼サイクル(タ
イミング)であるか否かを判定している。
【0087】そして、S210で否定判定されるとS1
30に移行し、S130では次の燃焼サイクルにおける
通電開始時期を検出する。その後、カウンタNが5以上
になるまで、すなわち、S210で肯定判定されるまで
は、S130からS210までの処理を繰り返し実行す
ることで、同一の通電開始遅延時間Tsを用いて各燃焼
サイクルにおける通電開始時期の遅延処理を行う。
【0088】そして、同一の通電開始遅延時間Tsを用
いた通電開始時期の遅延処理を繰り返し行い、カウンタ
Nが5以上になると、S210で肯定判定されてS22
0に移行する。すると、S220では電源電圧検出ルー
チンを起動する。ここで、電源電圧検出ルーチンの処理
内容について、図5に示すフローチャートを用いて以下
に説明する。
【0089】まず、電源電圧検出ルーチンが起動される
と、S310では、電源電圧検出回路27から入力され
る分圧Vsを電源電圧Vs1として検出し、次のS32
0では電源電圧Vs1を変数Aに代入する。次のS33
0では、電源電圧検出回路27から入力される分圧Vs
を電源電圧Vs2として検出し、次のS340では電源
電圧Vs2を変数Bに代入する。
【0090】さらにS350では、電源電圧検出回路2
7から入力される分圧Vsを電源電圧Vs3として検出
し、次のS360では電源電圧Vs3を変数Cに代入す
る。そして、次のS370では、変数A,B,Cの平均
値を算出し、算出した平均値に、抵抗R1および抵抗R
2の各抵抗値により決定される分圧Vsに対する電源電
圧の比率を乗じることで、S310,S330,S35
0にて検出した電源電圧値を算出する。
【0091】続くS380では、S370で算出された
電源電圧値に基づいて、電源電圧値をパラメータとする
予め設定されたマップあるいは計算式を用いて、通電開
始遅延時間を算出する。なお、この算出処理に用いる上
記マップあるいは計算式は、点火コイル13に蓄積され
る磁束エネルギが一定となるように、電源電圧値に応じ
て最適な通電開始遅延時間が算出されるように構成され
ている。つまり、電源電圧値が高くなるほど通電開始遅
延時間が長くなるように、また、電源電圧値が低くなる
ほど通電開示遅延時間が短くなるように構成されてい
る。
【0092】そして、次のS390では、通電開始時期
遅延制御処理にて使用する通電開始遅延時間Tsに、S
380で算出した通電開始遅延時間を代入することで、
通電開始遅延時間Tsを更新する。続くS400では、
通電開始時期遅延制御処理にて使用するカウンタNに0
を代入することで、カウンタNをリセットする。
【0093】そして、S400の処理が終了すると共に
電源電圧検出ルーチンは終了し、通電開始時期遅延制御
処理に処理が移行する。なお、電源電圧検出ルーチン
は、通電開始時期遅延制御処理におけるS220の処理
により起動された後、次の燃焼サイクルにおいてECU
31から点火指令信号IGが出力されるまでの間に、上
述のS310からS400までの処理を終了する。
【0094】このように、電源電圧検出ルーチンでは、
3回検出した分圧Vsから電源電圧を算出し、算出した
電源電圧値に基づいて通電開始遅延時間Tsを更新する
とともに、カウンタNをリセットしている。なお、電源
電圧の検出を3回実施しているのは、検出精度を向上さ
せるためである。
【0095】こうして電源電圧検出ルーチンが終了し
て、通電開始時期遅延制御処理のS220に処理が移行
すると、S220での処理が終了してS130に移行す
る。そして、この後の通電開始時期遅延制御処理では、
電源電圧検出ルーチンにて更新された通電開始遅延時間
Tsを用いて、一次電流i1の通電開始時期の遅延制御
を実行する。その後、S130からS210までの処理
を繰り返し実行し、同一の通電開始遅延時間Tsを用い
て5回の燃焼サイクルにおける通電開始時期の遅延処理
を行うと、S210で肯定判定されて、再び電源電圧検
出ルーチンが実行されて、通電開始遅延時間Tsが更新
される。
【0096】このように、通電開始時期遅延制御処理
は、起動直後は予め定められた通電開始遅延時間Tsの
初期値に基づいて一次電流i1の通電開始時期の制御を
行い、その後、5回の燃焼サイクルに1回の割合で電源
電圧の検出を行い、検出した電源電圧に基づいて通電開
始遅延時間Tsを更新する。そして、通電開始時期遅延
制御処理では、最終的に設定されている通電開始遅延時
間Tsに基づいて、一次巻線L1への通電開始時期の遅
延制御を行っている。
【0097】なお、本実施例の内燃機関用点火装置で
は、主制御用トランジスタ15が特許請求の範囲に記載
のスイッチング手段に相当し、点火制御処理が実行され
るECU31が点火制御手段に相当し、電源電圧検出回
路27が電源電圧検出手段に相当し、マイコン21およ
び通電遅延用トランジスタ25が通電開始時期遅延手段
に相当する。また、マイコン21は特許請求の範囲に記
載の制御機器にも相当する。
【0098】以上説明したように、本実施例の内燃機関
用点火装置では、ECU31にて実行される点火制御処
理が、一次巻線L1への通電を開始するために点火指令
信号IGをハイレベル状態にして出力しても、必ずしも
点火指令信号IGが出力されるタイミングで一次巻線へ
の通電が開始されるのではない。つまり、マイコン21
にて実行される通電開始時期遅延制御処理が、通電開始
遅延信号Sbをハイレベルにしている間は、点火指令信
号IGの状態に依らず、主制御用トランジスタ15がオ
フ状態に維持されるため、一次巻線L1への通電が行わ
れない。
【0099】そして、点火指令信号IGがハイレベルと
なった後、電源電圧値に応じて設定された通電開始遅延
時間Tsが経過すると、通電開始遅延信号Sbがローレ
ベルに状態変化し、このタイミングで一次巻線L1への
通電が開始されるのである。すなわち、本内燃機関用点
火装置では、通電開始時期遅延制御処理を実行するマイ
コン21を設けて、電源電圧値に応じて一次巻線L1へ
の通電時期を遅延させることで、電源電圧の変動が生じ
た場合でも点火コイル13に蓄積する磁束エネルギをほ
ぼ一定に制御している。
【0100】よって、本実施例の内燃機関用点火装置で
は、主制御スイッチとしての主制御用トランジスタ15
とは別に一次電流制御用スイッチを設けることなく、電
源電圧の変動に影響されずに点火コイル13に蓄積する
磁束エネルギを一定に制御することが可能となる。
【0101】なお、本実施例の内燃機関用点火装置を実
現するためには、マイコン21,電圧変換回路23,通
電遅延用トランジスタ25,電源電圧検出回路27、を
設ける必要があるが、これらは一次電流制御用スイッチ
として用いる大容量のスイッチング手段に比べて低価格
である。つまり、マイコン21は演算能力が比較的低い
低価格のマイコンで実現でき、電圧変換回路23は汎用
の三端子レギュレータを用い、通電遅延用トランジスタ
25は小信号用のトランジスタを用い、電源電圧検出回
路27は2個の抵抗素子を用いることで実現できる。
【0102】したがって、本実施例の内燃機関用点火装
置によれば、大容量でかつ高価なスイッチング手段(ト
ランジスタ)を使用することなく点火コイルに蓄積する
磁束エネルギを一定に制御することができ、失火の発生
やスイッチング手段における発熱量の増大を抑制できる
内燃機関用点火装置を安価に実現することができる。
【0103】なお、マイコン21および通電遅延用トラ
ンジスタ25は、一次巻線L1への通電開始時期のみを
制御するものであり、一次電流i1の遮断時期、つまり
点火時期を変更することはなく、点火時期はECU31
によって決定される。このため、マイコン21および通
電遅延用トランジスタ25を設けたことにより、点火時
期に影響が及ぶことはない。また、何らかの原因によ
り、マイコン21から通電開始遅延信号Sbが出力でき
ない状態となっても、通電遅延用トランジスタ25はオ
フ状態となるため、ECU31によって主制御用トラン
ジスタ15が制御されて一次電流i1の通電および遮断
の制御が行われることから、内燃機関の運転を継続する
ことが可能である。
【0104】したがって、本実施例の内燃機関用点火装
置によれば、電源電圧値の変動が原因となって、主制御
用トランジスタ15における発熱が過剰となることや、
点火プラグでの火花放電の発生に必要なエネルギが蓄積
できなくなるのを防ぐことができる。
【0105】さらに、本実施例では、点火制御,燃料噴
射量,空燃比,燃料噴射時期等の多くの制御処理を実行
するECU31とは独立した形態で、一次巻線への通電
開始時期の遅延制御処理を行うマイコン21を、即ち制
御機器を設けている。このため、本実施例の内燃機関用
点火装置によれば、一次巻線への通電開始時期遅延制御
処理を実践するにあたりECU31の処理負荷を上昇さ
せてしまうことが全くなく、ECU31における点火制
御処理などの各制御処理を正常に実行することが可能と
なる。
【0106】また、ECU31とは別に、通電開始時期
の遅延制御を行うマイコン21を備える構成であること
から、既存の内燃機関用点火装置に備えられたECU3
1の構成を設計変更することなく流用することができ、
本内燃機関用点火装置をの適用を安価にかつ簡易的に実
現することができる。
【0107】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様を採ることができる。例えば、電源装置として
は、商用電源からの交流電圧を変化して直流電圧を出力
する電源装置ではなく、充電された電気エネルギを直流
電圧として出力するバッテリを用いても、本発明の内燃
機関用点火装置を実現できる。
【0108】また、上記実施例では、5回の燃焼サイク
ルに1回の割合で電源電圧を検出して通電開始遅延時間
Tsを更新しているが、この更新周期は、例えば、10
回の燃焼サイクルに1回でも良く、電源電圧の変動が発
生する可能性に応じて最適な更新周期を設定するとよ
い。
【0109】さらに、燃料として気体燃料を用いるガス
エンジンに限定することはなく、例えばガソリンなどの
液体燃料を用いる内燃機関において本発明の内燃機関用
点火装置を適用してもよい。そして、本実施例では、マ
イコンを用いて制御機器を構成し、一次巻線への通電時
期を遅延させる制御を行っているが、抵抗素子や容量素
子などからなる電気回路を用いて通電時期の遅延制御を
行うための制御機器を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の内燃機関用点火装置の概略構成を表
す構成図である。
【図2】 実施例の内燃機関用点火装置の各部の状態を
表すタイムチャートである。
【図3】 異なる通電開始遅延時間が設定された場合の
加工後点火指令信号Saおよび一次電流i1の波形であ
る。
【図4】 通電開始時期遅延制御処理の処理内容を示す
フローチャートである。
【図5】 電源電圧検出ルーチンの処理内容を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、11…直流電源装置、13…
点火コイル、15…主制御用トランジスタ、17…点火
プラグ、21…マイコン、23…電圧変換回路、25…
通電遅延用トランジスタ、27…電源電圧検出回路、3
1…電子制御装置(ECU)、L1…一次巻線、L2…
二次巻線、R1…抵抗、R2…抵抗。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源装置と、 該直流電源装置により電源電圧が印加されることで一次
    電流が流れる一次巻線と、内燃機関に装着された点火プ
    ラグと閉ループを形成する二次巻線とを有する点火コイ
    ルと、 前記一次巻線および前記直流電源装置と共に閉ループを
    形成し、当該一次巻線に流れる前記一次電流を通電、遮
    断するためのスイッチング手段と、 内燃機関の運転状態に応じて点火指令信号を出力して前
    記スイッチング手段のスイッチング駆動を行うことによ
    り、前記一次巻線に流れる前記一次電流を通電、遮断し
    て前記二次巻線に点火用高電圧を発生させ、前記点火プ
    ラグに火花放電を発生させる点火制御手段と、を備えた
    内燃機関用点火装置であって、 前記直流電源装置から出力される電源電圧値を検出する
    電源電圧検出手段と、 該電源電圧検出手段により検出された電源電圧値に基づ
    き前記一次巻線への通電開始を遅らせるための通電開始
    遅延時間を設定すると共に、前記点火制御手段による該
    一次巻線への通電開始時期を該通電開始遅延時間だけ遅
    らせる通電開始時期遅延手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記通電開始時期遅延手段は、検出され
    た前記電源電圧値が高いほど前記通電開始遅延時間を長
    く設定し、検出された前記電源電圧値が低いほど前記通
    電開始遅延時間を短く設定すること、を特徴とする請求
    項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記通電開始遅延時間は、前記点火指令
    信号を出力する点火制御手段とは独立した形態で設けら
    れた制御機器にて設定されること、を特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】 前記内燃機関は、燃料として気体燃料を
    用いるガスエンジンであること、を特徴とする請求項1
    から請求項3のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
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