JP2001182704A - 制御弁のバネ力調整方法およびその装置 - Google Patents

制御弁のバネ力調整方法およびその装置

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JP2001182704A JP36846399A JP36846399A JP2001182704A JP 2001182704 A JP2001182704 A JP 2001182704A JP 36846399 A JP36846399 A JP 36846399A JP 36846399 A JP36846399 A JP 36846399A JP 2001182704 A JP2001182704 A JP 2001182704A
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祥二 戸澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御弁における復帰バネのバネ定数を制御系
で簡単に調整できるようにする。 【解決手段】 パイロット流量を制御するパイロットス
プール54と、パイロットスプール54によりパイロット流
量を制御することにより主流量を制御するメインポペッ
ト41とにより、パイロット流量増幅型の制御弁を形成す
る。パイロットスプール54に対し、負荷圧力Ploadを感
知する負荷圧力感知部77と、パイロットスプール54を中
立位置に復帰させる復帰バネ62と、パイロットスプール
54を復帰バネ62に対抗して変位させるための推力を発生
させるプッシュソレノイド57とを設ける。そして、プッ
シュソレノイド57に供給する推力発生用の電気信号のゲ
インを、ゲイン調整装置により負荷圧力Ploadに応じて
補正することにより復帰バネ62のバネ力を調整し、制御
弁としての性能を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、復帰バネのバネ力
を調整する制御弁のバネ力調整方法およびその装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図15は、従来の例えば油圧ショベルな
どの建設機械に設けられているメータイン・メータアウ
ト分離型の制御回路を示し、可変容量型のポンプ1と、
負荷Wを駆動するシリンダ型の流体圧アクチュエータ2
との間には、2個のメータインバルブA1IMV ,A2IMV お
よび2個のメータアウトバルブA3IMV ,A4IMV からなる
ブリッジ回路3が設けられている。
【0003】さらに、ポンプ1とブリッジ回路3との間
の通路にはロードホールドチェック弁4が設けられ、ま
た、ブリッジ回路3と流体圧アクチュエータ2との間の
2通路にはリーク防止用のドリフト低減弁(パイロット
操作型チェック弁)5がそれぞれ設けられている。
【0004】また、ポンプ1の吐出口には、通路6によ
り、他の流体圧アクチュエータ(図示せず)を制御する
ブリッジ回路(図示せず)が同様に接続されている。
【0005】さらに、ポンプ1の吐出口とタンク7との
間には、上記複数の流体圧アクチュエータ2のブリッジ
回路3などの制御時に連動して制御される1個の共通バ
イパス弁8と、ポンプ吐出圧力を設定するメインリリー
フ弁9とが設けられている。
【0006】メータインバルブA1IMV ,A2IMV 、メータ
アウトバルブA3IMV ,A4IMV および共通バイパス弁8
は、通常、スプール弁タイプの中間絞りノッチ付き開閉
弁であり、操作レバーの操作量に応じてコントローラ
(図示せず)より出力された電気信号で作動されるプッ
シュソレノイドにより、スプール弁ストロークを制御さ
れる。
【0007】この回路において、例えば流体圧アクチュ
エータ2を負荷Wに抗して伸張させる場合、ドリフト低
減弁5を開口させ、メータインバルブA1IMV およびメー
タアウトバルブA4IMV は閉止したまま、可変容量型のポ
ンプ1の吐出量を徐々に増加させるとともに、共通バイ
パス弁8を徐々に閉止させ、メータインバルブA2IMVお
よびメータアウトバルブA3IMV を徐々に開くように制御
する。
【0008】一方、流体圧アクチュエータ2を収縮させ
る場合は、ドリフト低減弁5を開口させ、メータインバ
ルブA2IMV およびメータアウトバルブA3IMV は閉止した
まま、可変容量型のポンプ1の吐出量を徐々に増加させ
るとともに、共通バイパス弁8を徐々に閉止させ、メー
タインバルブA1IMV およびメータアウトバルブA4IMVを
徐々に開くように制御する。このような制御は、図示さ
れない操作レバーによりコントローラを介してなされ
る。
【0009】図16に示されるように、従来は、流体圧
アクチュエータ2の負荷圧力を圧力センサ10Aで検出し
て、コントローラ10Bにより演算処理し、コントローラ1
0Bより出力された電気信号によりメータインバルブA2IM
Vなどの制御弁のソレノイドSОLを駆動することによ
り、制御弁の変位量を負荷圧力に応じて制御している。
【0010】負荷圧力の変動による制御弁の復帰量は、
復帰バネSPRのバネ定数および取付荷重によって決定さ
れる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来は、復帰バネSPR
のバネ定数が一定であることを前提にして制御している
から、復帰バネSPRのバネ定数が小さい場合は、負荷圧
力が高いとき(フィードバック力が大きいとき)に、制
御弁の変位量が大きくなり、弁開度が全開または全閉す
るため、安定した制御が困難となる。また、逆に復帰バ
ネSPRのバネ定数が大きすぎる場合は、負荷圧力の変動
に対する制御弁の感度が低下し、制御精度が低下する問
題がある。
【0012】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、制御弁における復帰バネのバネ定数を制御系で簡
単に調整できるようにすることを目的とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発
明は、制御弁に復帰バネのバネ力と負荷圧力による力と
復帰バネのバネ力に対抗する向きに働く自在に制御可能
の推力とを作用させ、推力を負荷圧力に応じて補正する
ことにより復帰バネのバネ力を調整する制御弁のバネ力
調整方法である。
【0014】そして、自在に制御可能の推力を負荷圧力
に応じて補正することにより復帰バネのバネ力を調整す
るから、制御弁における復帰バネのバネ定数を自在に調
整して、制御弁としての性能を向上させる。
【0015】請求項2に記載された発明は、請求項1記
載の制御弁のバネ力調整方法において、負荷圧力が高い
領域では推力を減少させることによりバネ定数を大きく
するように補正し、負荷圧力が低い領域では推力を増加
させることによりバネ定数を小さくするように補正する
制御弁のバネ力調整方法である。
【0016】そして、負荷圧力が高い領域では、推力を
減少させることにより、復帰バネのバネ力(バネ定数)
を相対的に大きくするように補正するから、負荷圧力の
変動に対する制御弁の変位を抑制し、制御系の安定性を
向上させる。また、逆に負荷圧力が低い領域では、推力
を増加させることにより、復帰バネのバネ力(バネ定
数)を相対的に小さくするように補正するから、わずか
な負荷圧力の変化も感度良く感知し、制御精度を良くす
るとともに、圧力制御の応答性を向上させる。
【0017】請求項3に記載された発明は、制御弁に負
荷圧力をフィードバックさせ、制御弁に作用する推力と
バネ力とフィードバック力との釣合い関係から負荷圧力
を推定する際に、請求項1または2記載の制御弁のバネ
力調整方法を用いるものである。
【0018】そして、負荷圧力を推定する際にこのバネ
力調整方法を用いることにより、わずかな負荷圧力の変
化も感度良く感知し、負荷圧力の推定精度を向上させ
る。
【0019】請求項4に記載された発明は、流量を制御
する制御弁と、制御弁に設けられ負荷圧力を感知する負
荷圧力感知部と、制御弁を中立位置に復帰させる復帰バ
ネと、制御弁を復帰バネに対抗して変位させるための推
力を発生させるソレノイドと、ソレノイドに供給される
推力発生用の電気信号のゲインを負荷圧力に応じて補正
することにより復帰バネのバネ力を調整するゲイン調整
装置とを具備した制御弁のバネ力調整装置である。
【0020】そして、制御弁の負荷圧力感知部で感知さ
れた負荷圧力に応じて、ゲイン調整装置により、ソレノ
イドに供給される推力発生用の電気信号のゲインを補正
することにより、負荷圧力に応じてソレノイドの推力を
補正し、これにより、制御弁における復帰バネのバネ定
数を自在に調整して、制御弁としての性能を向上させ
る。
【0021】請求項5に記載された発明は、請求項4記
載の制御弁のバネ力調整装置において、パイロット流量
を制御するパイロット弁と、パイロット弁によりパイロ
ット流量を制御することにより主流量を制御する主弁と
を具備したパイロット流量増幅型の制御弁において、主
弁の負荷圧力を感知する負荷圧力感知部、復帰バネおよ
びソレノイドがパイロット弁に対して設けられた制御弁
のバネ力調整装置である。
【0022】そして、パイロット弁の負荷圧力感知部で
感知された主弁の負荷圧力に応じて、ゲイン調整装置に
より、パイロット弁のソレノイドに供給される推力発生
用の電気信号のゲインを補正することにより、主弁の負
荷圧力に応じてソレノイドの推力を補正し、これによ
り、パイロット弁に対する復帰バネのバネ定数を自在に
調整して、パイロット弁の性能を向上させ、ひいてはパ
イロット流量増幅型の主弁の性能を向上させる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
1乃至図14を参照しながら説明する。
【0024】先ず、図1および図2に示された一実施の
形態を説明する。なお、図15に示された従来の制御回
路と同様の部分には同一符号を付する。
【0025】図2は、パイロット流量増幅型の制御弁と
してのメータインバルブA1IMV ,A2IMV と、パイロット
流量増幅型の制御弁としてのメータアウトバルブA3IMV
,A4IMV とを組合せたブリッジ回路3により、メータ
イン・メータアウト分離型の制御回路を構成したもの
で、ポンプ斜板1aにより吐出流量を可変制御できる可変
容量型のポンプ1の吐出口にポンプ吐出通路11が接続さ
れ、このポンプ吐出通路11に、一の流体圧アクチュエー
タ2を制御するための一のブリッジ回路3の二つのメー
タインバルブA1IMV ,A2IMV にそれぞれ連通する通路1
2,13が接続され、また、上記ポンプ吐出通路11には、
他の流体圧アクチュエータ2aを制御するための他のブリ
ッジ回路3aに連通する通路6も接続されている。
【0026】さらに、ポンプ1の吐出口には、ポンプ1
から吐出された作動流体の各ブリッジ回路3,3aに対す
る供給量を制御する共通バイパス弁8と、ポンプ吐出圧
力の上限を設定するメインリリーフ弁9とが、複数のブ
リッジ回路3,3aに対し共通に設けられている。
【0027】一方のブリッジ回路3について説明する
と、ポンプ吐出通路11に通路12,13を介して2つのメー
タインバルブA1IMV ,A2IMV がそれぞれ接続され、これ
らのメータインバルブA1IMV ,A2IMV に、流体圧アクチ
ュエータ2への通路14,15とタンク通路16,17との間を
制御する2つのメータアウトバルブA3IMV ,A4IMV がそ
れぞれ接続され、タンク通路16,17はタンク7に接続さ
れている。
【0028】さらに、このブリッジ回路3の上側に図示
されたメータインバルブA1IMV とメータアウトバルブA3
IMV とを経て引出された通路14a は、流体圧アクチュエ
ータ2のピストン2pよりロッド側が位置する室(以下、
「ロッド側室2r」という)に接続され、また、下側に図
示されたメータインバルブA2IMV とメータアウトバルブ
A4IMV とを経て引出された通路15a は、流体圧アクチュ
エータ2のピストン2pよりヘッド側に位置する室(以
下、「ヘッド側室2h」という)に接続されている。
【0029】図1および図2を参照して、前記各メータ
アウトバルブA3IMV ,A4IMV を説明すると、バルブハウ
ジング21内にそれぞれ設けられた主弁としてのメインポ
ペット22を中心に構成されており、バルブハウジング21
内にそれぞれ形成された弁室23にて各メインポペット22
がそれぞれ軸方向へ変位自在に設けられ、各弁室23に前
記流体圧アクチュエータ2よりの戻り通路14a ,15a が
それぞれ連通されている。
【0030】これらのメータアウト側のメインポペット
22の側面部には、各メインポペット22の軸方向変位が大
きくなるにしたがって、それぞれの開口面積が比例的に
拡大変化する可変スロット25がそれぞれ軸方向に形成さ
れている。
【0031】これらの可変スロット25は、各メインポペ
ット22の反対側端部にそれぞれ形成されたドレン流量制
御部26がシート27に着座している状態で、バルブハウジ
ング21内にそれぞれ形成されたバネ室28と連通する若干
の開口25a を有する。それぞれのシート27は、タンク通
路16,17によりそれぞれタンク7に連通されている。
【0032】これらのメータアウト側のメインポペット
22に対する各バネ室28には、ドレン流量制御部26をシー
ト27側へ押圧する方向すなわち閉じ方向に押圧する圧縮
コイル状の復帰バネ29がそれぞれ内蔵されている。
【0033】また、各メインポペット22の開度を制御す
る手段として、各バネ室28から各タンク通路16,17にわ
たって、シート30を介し連通可能な通路31および通路32
がそれぞれ引出され、各通路31,32中には、パイロット
弁としてのパイロットスプール33がそれぞれ介在され、
これらのパイロットスプール33は、各バネ室28を図示さ
れないコントローラからの電気信号に応じてドレン制御
するもので、各パイロットスプール33を中立位置(閉止
位置)に附勢するバネ室24内の復帰バネ34と、これらの
復帰バネ34に抗してパイロットスプール33をそれぞれ駆
動する駆動手段としてのプッシュソレノイド35とを備え
ている。
【0034】パイロットスプール33の変位が中立位置近
辺の不感帯(デッドバンド)以下の微小変位であるとき
は、シート30での通過流量が0となる。
【0035】各メータアウトバルブA3IMV ,A4IMV のパ
イロットスプール33には、流体圧アクチュエータ2より
の戻り通路14a ,15a が通路36によりそれぞれ連通さ
れ、過大な負荷圧力に対して、後述するリリーフ機能を
有する。
【0036】図1に示されるように、前記プッシュソレ
ノイド35は、励磁用のコイル35a と、パイロットスプー
ル33の上部に一体化された可動鉄心35b とからなる。
【0037】各メータアウトバルブA3IMV ,A4IMV のパ
イロットスプール33には、負荷圧力感知部38がそれぞれ
大径に形成され、これらの負荷圧力感知部38の上側に負
荷圧力室39がそれぞれ形成され、これらの負荷圧力室39
に流体圧アクチュエータ2よりの戻り通路14a ,15a が
通路36によりそれぞれ連通されている。
【0038】これにより、流体圧アクチュエータ2より
の戻り通路14a ,15a に過大な負荷圧力が生じたとき、
その負荷圧力は、負荷圧力室39に導かれ、負荷圧力感知
部38を図示下方へ押圧するので、シート30が開口され、
バネ室28を減圧して、メインポペット22をリフトするこ
とにより、弁室23をタンク7に連通するリリーフ機能を
有する。
【0039】このプッシュソレノイド35の上側には、パ
イロットスプール33の軸方向ストロークを検出する変位
センサ40が取付けられている。この変位センサ40は、プ
ッシュソレノイド35上にコイル40a がセンサ取付筒材40
b を介して取付けられ、このセンサ取付筒材40b の内部
に前記可動鉄心35b と一体的に移動するコア40c が嵌合
されたものであり、コイル40a によりコア40c の軸方向
変位量すなわちパイロットスプール33の軸方向変位量を
検出する。
【0040】パイロットスプール33、可動鉄心35b およ
びコア40c には全長にわたって作動流体を排出するため
のドレン孔37が穿設されている。
【0041】このように構成された各メータアウトバル
ブA3IMV ,A4IMV において、流体圧アクチュエータ2よ
りの戻り流量Qのうち一部の流量qは、パイロット可変
スロット25の開口25a よりバネ室28に流入する。メイン
ポペット22のストローク制御は、バネ室28に連通したシ
ート30のパイロットスプール33による開度制御で達成さ
れ、このパイロットスプール33を通過する流量はqであ
る。
【0042】このメータアウト側のメインポペット22の
ストローク制御により、ドレン流量制御部26がシート27
の開度を制御するから、主流量LQがコントロールさ
れ、この主流量LQは、あたかもパイロットスプール33
で制御されたパイロット流量qが増幅された様相を呈す
る。
【0043】一方、このパイロットスプール33が閉止
し、流量qも主流量LQもゼロ値となっているときに、
流体圧アクチュエータ2よりの戻り通路14a ,15a の戻
り圧力が上昇し、通路36を経てパイロットスプール33の
負荷圧力感知部38に作用する力と、プッシュソレノイド
35の推力との和が、復帰バネ34の附勢力に打ち勝つと、
パイロットスプール33が変位してシート30が開口し、パ
イロット流量qが流れ始め、メータアウト側のメインポ
ペット22の可変スロット25の開口25a の前後に差圧が生
じ、メインポペット22はバネ室28側へ移動し、シート27
が開口し、主流量LQが発生することにより、流体圧ア
クチュエータ2よりの戻り通路14a または15a の戻り圧
力が異常上昇することを抑えて、パイロットスプール33
に作用する圧縮コイル状の復帰バネ34およびプッシュソ
レノイド35の推力により設定された一定の圧力値で整定
するリリーフ弁機能を有する。
【0044】次に、前記メータインバルブA1IMV ,A2IM
V を説明すると、バルブハウジング21の内部に設けられ
た主弁としてのメインポペット41を中心に構成されてお
り、この点は、メータアウトバルブA3IMV ,A4IMV と同
様であるが、このメインポペット41自体の構造と、その
パイロット制御手段はメータアウトバルブA3IMV ,A4IM
V と異なる。
【0045】メータインバルブA1IMV ,A2IMV の構造は
同一であるから、ここでは、シリンダヘッド側のメータ
インバルブA2IMV を例にとって詳細に説明する。
【0046】図2に示されるように、前記メータイン側
のメインポペット41は、内部に高圧選択手段としてのシ
ャトル弁42を持ち、このシャトル弁42の一方の入口側に
形成された通路43は、ポンプ1の吐出口にポンプ吐出通
路11を介して連通された通路13に開口され、ポンプ吐出
圧力をシャトル弁42に導き、また、シャトル弁42の他方
の入口側に形成された通路44は、流体圧アクチュエータ
2のヘッド側室2hに通路15を経て連通された環状空間45
に開口され、流体圧アクチュエータ2へ供給される圧力
または流体圧アクチュエータ2の負荷圧力をシャトル弁
42に導き、シャトル弁42は、これらの圧力のうちで高圧
側を選択する。
【0047】このシャトル弁42の出力側に形成されたメ
インポペット41内の通路46は、メインポペット41の周面
に軸方向に加工された可変スロット47に連通されてい
る。この可変スロット47は、メインポペット41の移動ス
トロークに応じて開口面積が増加する。
【0048】この可変スロット47は、メインポペット41
の流量制御部48がシート49に着座している状態で、バル
ブハウジング21内に形成された圧力室としてのバネ室51
と連通する若干の開口47a を有するものである。
【0049】このメインポペット41に対するバネ室51に
は、メインポペット41の流量制御部48をシート49に押圧
する圧縮コイル状の復帰バネ52が設けられ、このバネ室
51は、通路53により、パイロット弁としてのパイロット
スプール54に連通されている。
【0050】図1に示されるように、このパイロットス
プール54は、バルブハウジング21内に形成された嵌合穴
55に摺動自在に嵌合され、この嵌合穴55の先端には、パ
イロットスプール54により開閉されるシート56が設けら
れている。
【0051】パイロットスプール54は、外部の駆動手段
としてのプッシュソレノイド57によりストローク制御さ
れる。このプッシュソレノイド57は、バルブハウジング
21上に設置されたコイル57a内に、パイロットスプール5
4の図示上端部に一体化された可動鉄心57b が移動自在
に嵌合されたもので、コイル57a に通電することによ
り、パイロットスプール54をバルブハウジング21内に押
込む方向(シート56から開口する方向)に付勢する励磁
力を得ることができる。
【0052】パイロットスプール54の図示下端部は、バ
ルブハウジング21内に形成されたバネ室61に挿入され、
このバネ室61内に設けられた圧縮コイル状の復帰バネ62
によりパイロットスプール54を図において上方へ復帰さ
せる付勢力が付与されている。
【0053】バネ室61は、通路63によりチェック弁64に
連通され、さらに通路65を経て前記通路15に連通されて
いる。
【0054】パイロットスプール54の比較的下部には、
周溝66を介してランド部68とポペット部69とが形成さ
れ、このポペット部69が中立位置で前記シート56に係止
されている。
【0055】パイロットスプール54の変位が中立位置近
辺の不感帯(デッドバンド)以下の微小変位であるとき
は、シート56での通過流量が0となる。
【0056】前記嵌合穴55には常に周溝66に開口する環
状溝71が形成され、この環状溝71に前記通路53によりメ
ータイン側のメインポペット41のバネ室51が連通されて
いる。
【0057】また、パイロットスプール54の比較的上部
には、大径の負荷圧力感知部77が形成され、この負荷圧
力感知部77の図示下側に、負荷圧力感知部77と嵌合する
嵌合穴により負荷圧力室78が形成され、この負荷圧力室
78が通路79により前記通路65に連通されている。負荷圧
力感知部77の上側部は通路81によりタンク7に連通され
ている。
【0058】また、前記パイロットスプール54には、そ
の作動ストロークを検出することによりパイロットスプ
ール54の開口面積を監視できる開口面積監視手段として
の変位センサ82が設けられている。
【0059】この変位センサ82は、プッシュソレノイド
57上にコイル82a がセンサ取付筒材82b を介して取付け
られ、このセンサ取付筒材82b の内部に前記可動鉄心57
b と一体的に移動するコア82c が嵌合されたものであ
り、コイル82a によりコア82cの軸方向変位量すなわち
パイロットスプール54の軸方向変位量を検出する。
【0060】さらに、パイロットスプール54、可動鉄心
57b およびコア82c の全長にわたって、作動流体を排出
するためのドレン孔83が貫通穿設されている。
【0061】なお、前記メインポペット22およびパイロ
ットスプール33により一方の制御弁を構成し、また前記
メインポペット41およびパイロットスプール54により他
方の制御弁を構成する。
【0062】このように構成されたメータインバルブA1
IMV ,A2IMV において、プッシュソレノイド57が励磁さ
れて復帰バネ62のバネ力に抗してパイロットスプール54
が押込まれる方向に移動すると、前記パイロットスプー
ル54のポペット部69がシート56を開口するから、メイン
ポペット41のバネ室51は、通路53、環状溝71、周溝66、
シート56、パイロットスプール54のバネ室61、通路63、
チェック弁64および通路65を経て、流体圧アクチュエー
タ2への通路15に連通され、パイロットスプール54の変
位量に応じてバネ室51が減圧制御され、メインポペット
41が開口するようにストローク制御され、シート49を経
て通路13から通路15へ流出する主流量は、あたかもパイ
ロットスプール54で制御されたパイロット流量が増幅さ
れた様相を呈する。
【0063】図2に示されるように、86は、油圧ショベ
ルなどの建設機械に搭載されたコントローラであり、こ
のコントローラ86の入力端子に、各アクチュエータ2,
2aに対するコマンド信号を発する操作レバー87、ポンプ
吐出通路11に設けられたポンプ吐出圧力検出用のポンプ
圧力センサ88、およびメータインバルブA1IMV ,A2IMV
の変位センサ82およびメータアウトバルブA3IMV ,A4IM
V の変位センサ40がそれぞれ接続され、このコントロー
ラ86の出力端子に、メータインバルブA1IMV ,A2IMV の
プッシュソレノイド57およびメータアウトバルブA3IMV
,A4IMV のプッシュソレノイド35がそれぞれ接続さ
れ、操作レバー87から入力された指令信号がコントロー
ラ86で演算処理されて、メータインバルブA1IMV ,A2IM
V およびメータアウトバルブA3IMV ,A4IMV を、以下に
説明するような最適な条件で制御する。
【0064】図3は、ポンプ1から流体圧アクチュエー
タ2のヘッド側室2hに作動油を供給するメータインバル
ブA2IMV用の圧力・流量複合制御系を示すブロック図で
あり、この制御系は、操作レバー87のレバー操作量L
と、メインポペット41で制御される流量Qすなわちアク
チュエータ速度と、負荷圧力Pすなわちアクチュエータ
作動力との関係を示す3次元マップ91を備えている。
【0065】この3次元マップ91は、レバー操作量Lと
負荷圧力Pとを入力することにより、対応する流量Qを
求めることができ、また、レバー操作量Lと流量Qとを
入力することにより、対応する負荷圧力Pを求めること
ができる。
【0066】L−Q面における曲線は、無負荷時の流量
特性すなわち速度モジュレーション特性を示し、また、
L−P面における曲線は、流体圧アクチュエータ2が負
荷により動けなくなったストール状態における圧力特性
すなわち力モジュレーション特性を示し、通常は、それ
らの間の曲面におけるレバー操作量Lと対応する負荷圧
力Pまたは流量Qを用いる。
【0067】この3次元マップ91から引出された実線は
流量Qを示し、また、点線は負荷圧力Pを示す。
【0068】この制御系には、圧力センサを用いること
なく流体圧アクチュエータ2の負荷圧力Ploadを推定す
る負荷圧力演算装置92が設けられている。この負荷圧力
演算装置92は、後で詳述するが、主としてメータイン側
のパイロットスプール54のプッシュソレノイド57に供給
される駆動電流Iおよび変位センサ82により検出された
変位量Xか、またはメータアウト側のパイロットスプー
ル33のプッシュソレノイド35に供給される駆動電流Iお
よび変位センサ40により検出された変位量Xから、負荷
圧力Ploadを推定する。
【0069】前記メインポペット41により制御される流
量Qは次の式1で表すことができる。
【0070】
【式1】Q=α・A・(PP−Pload1/2 ここで、αは定数、Aはメインポペット41の流量制御部
48・シート49間の開口面積、PPはポンプ圧力センサ88
により検出されたポンプ吐出圧力、Ploadは負荷圧力で
ある。
【0071】式1よりメインポペット41の開口面積A
は、次の式2により表される。
【0072】
【式2】A=Q/{α・(PP−Pload1/2} したがって、前記操作レバー87にてレバー操作量Lを入
力することにより3次元マップ91から出力された要求流
量値Qを与えると、ポンプ圧力センサ88により検出され
たポンプ吐出圧力PPと、負荷圧力演算装置92により高
精度で推定された負荷圧力Ploadとにより、メインポペ
ット41の開口面積Aを演算することができる。
【0073】メインポペット41の開口面積Aと、メイン
ポペット41の変位量XPは、予め設計された所定の関係
にあり、その関係を関数で表すと、XP=f(A)であ
り、図3に関数93で示す。
【0074】メインポペット41の変位量XPが決まる
と、流量値Q、ポンプ吐出圧力PP、負荷圧力Pload
加味しながら、メインポペット41の変位量XPを実現す
るためのパイロットスプール54の変位量XCを、XC=f
(XP)で表される関数94により求めることができる。
【0075】この変位量XCを目標値として、変位セン
サ82により検出されたパイロットスプール54の実際の変
位量Xとの誤差を、比較器95により演算し、その誤差に
2種類の可変調整可能のゲインKiおよびゲインKPを乗
じて、加算器96に入力する。
【0076】ゲインKiおよびゲインKPを可変調整する
のは、ゲイン調整装置97であり、ゲイン調整によりプッ
シュソレノイド57に供給される電流値Iを調整すること
で、相対的にパイロットスプール54の復帰バネ62のバネ
定数を負荷圧力Ploadに応じて任意に変更できる。
【0077】すなわち、プッシュソレノイド57の推力と
復帰バネ62のバネ力は、パイロットスプール54に対し反
対方向に作用するので、例えば、復帰バネ62を強くする
(バネ定数を大きくする)必要があるときは、ゲイン調
整装置97によりプッシュソレノイド57への電流値Iを決
定するゲインKiおよびゲインKPを小さくするように調
整して、プッシュソレノイド57の推力を減少させるよう
に補正することにより、相対的に復帰バネ62のバネ定数
を大きくして強くした場合と同等の効果が得られる。
【0078】ゲイン調整装置97は、直接的には流量制御
系のゲインKiおよびゲインKPを調整するが、これによ
り、次の圧力制御装置98などの圧力制御系とのバランス
を調整する機能もある。
【0079】また、前記加算器96には、圧力制御装置98
およびフィードフォワードコントローラ99を経た信号も
入力される。
【0080】圧力制御装置98は、圧力フィードバックコ
ントローラ101と、作業負荷推定装置102とを備えてい
る。
【0081】圧力フィードバックコントローラ101は、
負荷圧力演算装置92により推定された負荷圧力Pload
の関係で、プッシュソレノイド57に供給される電流値を
制御することで、例えば負荷圧力Ploadが設定圧力を超
えないように圧力制御して、制御系の安定性を図ること
が可能である。
【0082】作業負荷推定装置102は、例えば油圧ショ
ベルのフロント作業装置が作動しているときに、そのブ
ームシリンダなどの負荷圧力を推定する場合は、負荷圧
力演算装置92により推定された負荷圧力Ploadが、純粋
な作業負荷(荷の静的荷重)だけでなく、フロント作業
装置の慣性負荷の影響も受けたものであることを前提と
して、その慣性負荷の影響を取除くことにより、バケッ
ト内の作業負荷を精度良く推定するものである。
【0083】フィードフォワードコントローラ99は、フ
ィードバック制御系の演算遅れなどにより制御系が不安
定となるおそれを改善するために設置する。
【0084】次に、図1および図2に示された実施形態
の作用を説明する。
【0085】操作レバー87を操作すると、この操作レバ
ー87から発信されたコマンド電気信号がコントローラ86
で演算処理され、コントローラ86より出力された電流値
などの電気信号により、共通バイパス弁8が徐々に閉止
されるとともに、ポンプ斜板1aの制御によりポンプ吐出
量が徐々に増大する。
【0086】同時に、コントローラ86よりメータインバ
ルブA1IMV ,A2IMV のプッシュソレノイド57またはメー
タアウトバルブA3IMV ,A4IMVのプッシュソレノイド35
へ操作レバー量に応じたコマンド信号(電流)が供給さ
れ、電流が供給されたプッシュソレノイド57,35では推
力が発生し、パイロットスプール54,33が、復帰バネ6
2,34のバネ力に抗して変位することにより、パイロッ
ト流量が発生する。
【0087】これにより、バネ室51またはバネ室28が減
圧され、メータイン側のメインポペット41またはメータ
アウト側のメインポペット22がリフトし、ポンプ1から
流体圧アクチュエータ2のロッド側室2rおよびヘッド側
室2hの一方に供給されるとともに他方からタンク7に排
出される作動油が、2つのメータインバルブA1IMV ,A2
IMV および2つのメータアウトバルブA3IMV ,A4IMV で
形成されたブリッジ回路3により制御される。
【0088】例えば、メータインバルブA1IMV ,A2IMV
は、プッシュソレノイド57によりパイロットスプール54
を復帰バネ62に抗して変位させ、シート56を開口させる
ことにより、通路13,43,46、可変スロット47の開口47
a 、バネ室51、通路53、シート56、バネ室61、通路63、
チェック弁64、通路65を経て通路15へ至るパイロット流
れが生じると、可変スロット47の開口47a の前後で差圧
が生じ、この差圧によりメインポペット41が復帰バネ52
に抗して変位し、メインポペット41のシート49が開口
し、通路11から通路13および通路15を経た作動流体(圧
油)が流体圧アクチュエータ2のヘッド側室2hへ供給さ
れ、負荷圧力Ploadが発生する。
【0089】作業中に、このヘッド側室2h における負
荷圧力Ploadが上昇すると、パイロットスプール54の負
荷圧力室78に臨む負荷圧力感知部77の下側段差部がその
上昇した負荷圧力Ploadを受けて、パイロットスプール
54が図示上方の中立位置側へ変位し、シート56に対する
ポペット部69の開度が減少する。
【0090】これにより、メインポペット41上のバネ室
51内が昇圧し、メインポペット41の上面および下面に作
用する圧力の差すなわち差圧が減少し、メインポペット
41が復帰バネ52の復元力により閉じ方向に作用し、高負
荷駆動を防止できるとともに、操作レバー87の急激な入
力操作により負荷圧力Ploadが急上昇しても、負荷圧力
室78にフィードバックされた負荷圧力Ploadによりパイ
ロットスプール54が直ちに中立位置側に戻され、これに
伴い、メインポペット41も直ちに中立位置側に戻され、
負荷圧力が応答良く減少することで、負荷圧力の変動を
抑え込むことができる。この圧力制御は後でさらに説明
する。
【0091】一方、メータアウトバルブA3IMV ,A4IMV
は、プッシュソレノイド35によりパイロットスプール33
を復帰バネ34に抗して変位させ、シート30を開口させる
ことにより、通路15a 、可変スロット25の開口25a 、バ
ネ室28、通路31、シート30、バネ室24、通路32、タンク
通路17を経てタンク7へ至るパイロット流れが生じる
と、可変スロット25の開口25a の前後で差圧が生じ、こ
の差圧によりメインポペット22が復帰バネ29に抗して変
位し、メインポペット22のシート27が開口し、流体圧ア
クチュエータ2のヘッド側室2hから通路15a 、シート27
およびタンク通路17を経た作動流体(圧油)がタンク7
へ排出される。
【0092】作業中に、このヘッド側室2h における負
荷圧力Ploadが上昇すると、パイロットスプール33の負
荷圧力室39に臨む負荷圧力感知部38の上側段差部がその
上昇した負荷圧力Ploadを受けて、パイロットスプール
33がシート30から離反する方向に変位する。
【0093】これにより、メインポペット22上のバネ室
28内が減圧され、メインポペット22の上面および下面に
作用する差圧が増大し、メインポペット22が復帰バネ29
の復元力に抗して開き方向に作用し、通路15aをタンク
7に連通するから、操作レバー87の急激な入力操作によ
り負荷圧力Ploadが急上昇しても、前記負荷圧力感知部
38への負荷圧力フィードバックにより負荷圧力Pload
自動的に応答良く減少することで、この負荷圧力Pload
の変動を抑え込むことができる。
【0094】また、メータインバルブA1IMV ,A2IMV の
リーク低減機能を説明すると、操作レバー87が中立位置
にあり、コマンド(電流値)が各プッシュソレノイド57
に与えられないときは、パイロットスプール54は図1に
示されたように中立位置にある。また、共通バイパス弁
8が開いており、さらに可変容量型のポンプ1からのポ
ンプ吐出量も最少であるから、通路13の圧力は低圧力で
ある。
【0095】この場合、シリンダ型の流体圧アクチュエ
ータ2のヘッド側室2hに通路13の圧力以上の負荷圧力P
loadがある場合は、通路15よりシャトル弁42で高圧選択
されて、この負荷圧力Ploadが可変スロット47の開口47
a よりバネ室51へ導入され、復帰バネ52のバネ力と共に
メータイン側のメインポペット41をシート49側に押圧す
るため、通路15から通路13へ至るリークは発生しない。
【0096】また、メータインバルブA1IMV ,A2IMV の
ロードホールドチェック弁機能を説明すると、操作レバ
ー87が操作され、共通バイパス弁8が閉止してゆき、ポ
ンプ吐出量が増大すると共に、プッシュソレノイド57へ
コントローラ86よりコマンド(電流値)が供給され、パ
イロットスプール54を押込む方向に作用すると、ポペッ
ト部69がシート56を開いてゆく。
【0097】このとき、まだ通路15の負荷圧力Pload
通路13の圧力より高圧であると、メインポペット41のバ
ネ室51は高圧側の通路15の圧力に等しく、このメインポ
ペット41は閉止したままであり、これはロードホールド
チェック弁としての機能を果たしていることになる。
【0098】さらに、共通バイパス弁8が閉止し、ポン
プ吐出量が増大すると、やがて通路13のポンプ吐出圧力
は通路15の負荷圧力Ploadを超えて高くなってくる。
【0099】このとき、シャトル弁42により通路13側の
圧力が高圧選択されてメインポペット41のバネ室51より
パイロットスプール54のポペット部69に作用し、この圧
力は通路65の圧力(=通路15の圧力)より高いため、通
路53からシート56、バネ室61およびチェック弁64を経て
通路65へ流れるパイロット流量が発生する。
【0100】このメータイン側のメインポペット41は、
パイロット流量増幅機能を有しているので、パイロット
流量の増加にしたがってバネ室51の圧力が下降し、メイ
ンポペット41の流量制御部48がシート49よりリフトし、
弁先端部の開口面積の漸次増加により通路13より通路15
へ制御された主流量が発生し、シリンダ型の流体圧アク
チュエータ2はゆっくり伸張してゆく。
【0101】次に、図3に示された制御系の各部をその
機能とともに説明する。
【0102】(1)負荷圧力推定機能 供給側(メータイン側)のパイロットスプール54と排出
側(メータアウト側)のパイロットスプール33とを独立
させたブリッジ回路3において、パイロットスプール54
を駆動する場合はパイロットスプール33は非駆動側とな
り、また、パイロットスプール33を駆動する場合はパイ
ロットスプール54は非駆動側となるが、その非駆動側の
パイロットスプール54または33を、通過流量が零のまま
となる中立位置近辺の不感帯(デッドバンド)におい
て、微少変位させることで負荷圧力Ploadを推定する。
【0103】例えば、メータイン側のパイロットスプー
ル54が非駆動側の場合は、このパイロットスプール54を
下方へ微小変位させるが、その場合、パイロットスプー
ル54を下方へ変位量Xだけ微小変位させたときは、図1
にて上向きに作用する力は、質量mのパイロットスプー
ル54が加速度d2X/dt2で運動する際の反力m・d2X/dt
2と、パイロットスプール54が油中で運動する際の粘性
抵抗C・dX/dt(Cは粘性抵抗に関する減衰定数)と、
復帰バネ62の圧縮量Xによる反発力K・X(Kはバネ定
数)と、復帰バネ62の取付荷重Rと、通路15から通路6
5,79を経てドーナツエリア状の負荷圧力室78までフィ
ードバックされた負荷圧力Ploadがパイロットスプール
54の負荷圧力感知部77の下側受圧面積Area に対し作用
する力Pload・Area とであり、一方、図にて下向きに
作用する力は、プッシュソレノイド57に電流Iを流した
ときに生ずる電流Iに比例した押力Fと、複数のブリッ
ジ回路3,3aから共通のタンク7に作動油が排出される
構造から生ずるタンクライン圧Ptが負荷圧力感知部77
の上側受圧面積Area に対し作用する力Pt・Area
であり、パイロットスプール54の中立位置近辺の不感帯
(デッドバンド)においてはシート56とポペット部69と
の間に通過流量が発生しないので、この通過流量に伴っ
て発生するフローフォースを考慮する必要がなく、上記
の上向きの力と下向きの力とがバランスするので、次の
式3が成立する。
【0104】
【式3】m・d2X/dt2+C・dX/dt+K・X+R+Pload
・Area =F+Pt・Area 書換えると、下記の式4になる。
【0105】
【式4】Pload={F−(m・d2X/dt2+C・dX/dt+K
・X+R)+Pt・Area}/Are a この式4において、m、C、K、RおよびArea は既知
の定数であり、X、dX/dtおよびd2X/dt2 は、変位セン
サ82により測定または測定値から演算することができ、
Fはソレノイド電流Iから演算でき、タンクライン圧P
tは共通の圧力センサにより検出できるから、負荷圧力
loadは、上式で推定することができる。
【0106】図4は、このような負荷圧力を推定演算す
る負荷圧力演算装置92をブロック図としたものであり、
前記プッシュソレノイド57への電流Iは関数112により
押力Fに変換され、この押力Fは、ノイズを含むもので
あるため、ノイズフィルタ113によりそのノイズを除去
する。そして、この押力Fなどの各数値を演算部114に
入力して、負荷圧力Ploadを演算により求める。
【0107】さらに、この負荷圧力演算装置92は、パイ
ロットスプール54の変位X、速度dX/dtおよび加速度d2X
/dt2からノイズを除去するノイズフィルタ115を備えて
いる。
【0108】一方、メータアウト側の通路15のパイロッ
トスプール33が非駆動側の場合は、同様に、このパイロ
ットスプール33をデッドバンドの範囲内で微小変位させ
ることにより、負荷圧力Ploadを推定することができ
る。
【0109】このように、パイロットスプール33,54に
段付き形成された負荷圧力感知部38,77に負荷圧力P
loadをフィードバックさせ、そのフィードバック力とパ
イロットスプール33,54の推力などとの釣合い関係から
負荷圧力Ploadを推定する負荷圧力演算装置92が形成さ
れている。
【0110】要するに、この負荷圧力演算装置92は、供
給側(ポンプ側)のパイロット弁と排出側(タンク側)
のパイロット弁とを独立させ、非駆動側のパイロット弁
での通過流量が零となる中立位置近辺の不感帯(デッド
バンド)において、この非駆動側のパイロット弁を微少
変位させることにより、通過流量に伴って発生するフロ
ーフォースを考慮することなく、また負荷圧力を検出す
るための圧力センサを用いることなく、負荷圧力Pload
を高精度に推定できる。
【0111】(2)流量制御機能 前記式1 Q=α・A・(PP−Pload1/2 において、ポンプ吐出圧力PPはポンプ圧力センサ88に
より検出され、負荷圧力Ploadは負荷圧力演算装置92に
より演算できるから、レバー操作により駆動電流をプッ
シュソレノイド57に供給して、前記関数93,94により演
算されたパイロットスプール54の変位量XCをフィード
バック制御することにより、既に説明したようにメイン
ポペット41の変位量を制御し、すなわちメインポペット
41の開口面積Aを制御することで、メインポペット41で
の流量Qを実現して、流体圧アクチュエータ2の作動速
度を制御する。
【0112】(3)圧力制御機能 例えば、流体圧アクチュエータ2のヘッド側室2h にお
ける負荷圧力Ploadが上昇すると、パイロットスプール
54の負荷圧力室78に臨む負荷圧力感知部77の下側段差部
がその負荷圧力Ploadを受けて、パイロットスプール54
は図示上方へ変位する。これにより、シート56に対する
ポペット部69の開度が減少し、高負荷駆動が防止され
る。
【0113】ポンプ1からの吐出圧力が、駆動したい負
荷圧力よりも高いときでも、この高負荷駆動防止機能に
よりポペット部69の開口中においても、パイロットスプ
ール54が中立位置(図示された閉止位置)に戻され、ポ
ペット部69がシート56を閉じることで、負荷圧力Pload
がポンプ吐出圧力まで上昇することを防止できる。
【0114】さらに、パイロットスプール54に段付き形
状に設けられた負荷圧力感知部77に対し負荷圧力をフィ
ードバックし、ひいては、このパイロットスプール54に
より制御されるメインポペット41の流量制御機構に負荷
圧力をフィードバックする負荷圧力フィードバック機構
が形成されており、メインポペット41により負荷圧力を
設定された値に制御できる。
【0115】これを図5で説明すると、操作レバー87の
ステップ入力に対して、実負荷圧力が急上昇して突出す
ると、パイロットスプール54が実パイロットスプール変
位の特性曲線に示されるように、負荷圧力感知部77など
の負荷圧力フィードバック機構により中立位置側に戻さ
れる。これに伴い、メインポペット41も実メインポペッ
ト変位の特性曲線に示されるように、中立位置側に戻さ
れ、実負荷圧力が応答良く減少することで、負荷圧力の
変動を抑え込むことができる。
【0116】このときに、駆動したい負荷圧力P
loadは、プッシュソレノイド57の推力すなわち駆動電流
によって調整する。
【0117】すなわち、前記負荷圧力演算装置92により
負荷圧力Ploadを推定できるから、パイロットスプール
54に接続されているプッシュソレノイド57を用いてその
負荷圧力Ploadに対抗する推力を調整する。
【0118】例えば、前記圧力フィードバックコントロ
ーラ101によって、プッシュソレノイド57の推力を立上
げるときに、この推力を、対抗する負荷圧力Ploadによ
るフィードバック力(負荷圧力感知部77の下側受圧面に
作用する上向きの力)より一時的に若干減少させること
で、パイロットスプール54を応答良く中立位置方向へ戻
すことができ、設定圧力を超えないように負荷圧力を圧
力制御することができる。
【0119】これを、図6に実線で示すと、操作レバー
87のステップ入力に対してプッシュソレノイド57の推力
が立上がった際に、その立上がり直後にプッシュソレノ
イド57への入力電流値をいったん下げて、その推力を負
荷圧力Ploadによるフィードバック力より減少させるこ
とで、パイロットスプール54を閉じ方向に動作させ、メ
インポペット41のバネ室51を一時的に昇圧させて、メイ
ンポペット41の開口動作を抑制することにより、負荷圧
力Ploadが設定圧力をオーバシュートしないように圧力
制御して、制御系の安定性を図ることができる。点線
は、オーバシュートした状態である。
【0120】このように、リリーフ弁などの圧力制御弁
を流体圧アクチュエータごとに用いることなく、また負
荷圧力を検出するための圧力センサを用いることなく、
プッシュソレノイド57の推力すなわち駆動電流を制御す
ることによって、流量制御手段でもあるメインポペット
41によって負荷圧力Ploadを調整することができる。
【0121】なお、従来、負荷圧力を圧力センサなどを
用いて計測し、電気的にパイロットスプールを絞り制御
することにより、負荷圧力が予め設定しておいた圧力を
超えないように制御する手法もあるが、フィードバック
の演算遅れなどにより制御系が不安定となる不具合があ
る。
【0122】(4)復帰バネ力調整機能 メータインバルブA2IMV で説明すると、ゲイン調整装置
97により、負荷圧力P loadに応じてパイロットスプール
54のプッシュソレノイド57に通電される電流値を制御し
て、プッシュソレノイド57の推力を増加または減少させ
るように補正することで、復帰バネ62のバネ力(バネ定
数)を実質的に調整する。
【0123】例えば、負荷圧力Ploadが高い領域では、
すなわち負荷圧力感知部77へのフィードバック力が大き
い領域では、ゲイン調整装置97によりプッシュソレノイ
ド57に供給される電流値のゲインを下げ、プッシュソレ
ノイド57の推力を減少させることにより、復帰バネ62の
バネ力(バネ定数)を相対的に大きくするように補正す
る。これにより、負荷圧力の変動に対するパイロットス
プール54の変位を抑制し、制御系の安定性を向上させ
る。
【0124】また、逆に負荷圧力Ploadが低い領域で
は、ゲイン調整装置97によりプッシュソレノイド57に供
給される電流値のゲインを上げ、プッシュソレノイド57
の推力を増加させることにより、復帰バネ62のバネ力
(バネ定数)を相対的に小さくするように補正する。こ
れにより、わずかな負荷圧力の変化も感度良くフィード
バック感知し、制御精度を良くするとともに、圧力制御
の応答性を向上させる。
【0125】特に、パイロットスプール54に負荷圧力P
loadをフィードバックさせ、パイロットスプール54に作
用する推力とバネ力とフィードバック力との釣合い関係
から、負荷圧力演算装置92により負荷圧力を推定する際
に、このゲイン調整手法を用いると、負荷圧力の推定精
度を向上できる。
【0126】このように、負荷圧力演算装置92により推
定された負荷圧力Ploadに応じて、ゲイン調整装置97に
よりプッシュソレノイド57に供給される電流値ゲインを
制御することで、その推力を制御すれば、パイロットス
プール54の復帰バネ62のバネ定数を実質的に可変制御で
き、制御系の安定性、制御精度および応答性を向上で
き、円滑な操作性を得ることができる。
【0127】このバネ力調整は、メータアウトバルブA3
IMV ,A4IMV でも可能であり、例えばメータアウトバル
ブA4IMV において、負荷圧力Ploadが高い領域では、す
なわち通路36から負荷圧力感知部38へフィードバックさ
れる負荷圧力Ploadによる力が大きい領域では、復帰バ
ネ34のバネ力(バネ定数)が相対的に大きくなるよう
に、ゲイン調整装置(97に相当するが図示せず)により
プッシュソレノイド35に供給される電流値のゲインを下
げ、プッシュソレノイド35の推力を減少させるように補
正することで、負荷圧力の変動に対するスプールの変位
を抑制し、制御系の安定性を向上させる。
【0128】また、逆に負荷圧力Ploadが低い領域で
は、復帰バネ34のバネ力(バネ定数)が相対的に小さく
なるように、ゲイン調整装置によりプッシュソレノイド
35に供給される電流値のゲインを上げ、プッシュソレノ
イド35の推力を増加させるように補正することで、わず
かな負荷圧力の変化も感度良くフィードバック感知し、
制御精度および負荷圧力の推定精度を良くするととも
に、圧力制御の応答性を向上させる。
【0129】(5)建設機械の作業負荷推定機能 図7に示されるように、作業機械としての油圧ショベル
には、可動体としての作業腕(以下、この作業腕をフロ
ント作業装置FLという)が上下方向へ回動自在に軸支さ
れ、このフロント作業装置FLは、流体圧アクチュエータ
(以下、この流体圧アクチュエータをブームシリンダ2
BMという)により上下動される。
【0130】前記作業負荷推定装置102は、油圧ショベ
ルによる積込み作業などにおいて、作業負荷としてのバ
ケット内負荷(土砂荷重)WLを次のように推定する。
【0131】作業中はブームシリンダ2BMが動いている
場合が多く、ブームシリンダ2BMのヘッド側に生じた負
荷圧力Ploadは慣性負荷の影響を受けるため、精度良く
バケット内負荷WLを推定するためには、慣性負荷の影
響を除去する必要がある。
【0132】そこで、先ず、ブームシリンダ2BMの負荷
圧力Ploadの時系列データを、負荷圧力計測手段として
の負荷圧力演算装置92により間接的に計測し、図8に示
されるように、連続的に計測した負荷圧力Ploadの時系
列データから、慣性負荷による影響である所定範囲の周
波数成分(ω0〜ω1)を抽出して差引き、その差引き後
の負荷圧力Ploadを用いてバケット内負荷WLを推定す
る。
【0133】慣性負荷による所定範囲の周波数成分(ω
0〜ω1)は、計測した負荷圧力Plo adの時系列データを
バンドパスフィルタ121に一定時間だけ通すことによっ
て抽出し、この抽出された所定範囲の周波数成分(ω0
〜ω1)を、所定周波数除去演算部としての減算器122に
て、計測した負荷圧力Ploadの時系列データから差引く
ことにより、慣性負荷の影響を除去できる。
【0134】バンドパスフィルタ121を一定時間だけ使
うのは、その後の追従性を良くするためである。
【0135】この場合、バンドパスフィルタ121のバン
ド幅(ω0〜ω1)は、フロント作業装置FLの固有周波数
に合わせる。これにより、フロント作業装置FLの固有振
動による慣性負荷を効果的に除去できる。
【0136】図9に示されるように、バンドパスフィル
タ121は、微分要素123によってω0以下の周波数をカッ
トし、ローパスフィルタ124によってω1以上の周波数を
カットすることにより、所定範囲の周波数成分(ω0
ω1)を抽出する。
【0137】減算器122にて所定範囲の周波数成分(ω0
〜ω1)を差引いた負荷圧力Ploadは、作業負荷演算部1
25に入力して、フロント作業装置FLの先端バケット内に
ある作業負荷すなわちバケット内負荷WLを演算により
推定する。
【0138】すなわち、この作業負荷演算部125では、
フロント作業装置FLの各回動軸部に設けられた回動角度
検出器でフロント作業装置FLの姿勢を計測してバケット
内負荷WLの(X,Z)座標値を求め、前記慣性負荷の
影響を取除いたブームシリンダ2BMのヘッド側室の負荷
圧力Ploadと、バケット内負荷WLの(X,Z)座標値
とから、バケット内負荷WLを、WL=f(Pload,X,
Z)により演算することができる。
【0139】このバケット内負荷WLは、作業毎に演算
して積算することにより、例えば運搬車両に対する土砂
などの積込み総重量を簡単に算出でき、特別な荷重セン
サを用いることなく、許容重量の超過を防止できる。
【0140】図10は、点線により、慣性負荷の影響を
受けている負荷圧力Ploadの時系列データを示し、ま
た、実線により、バンドパスフィルタ121を通して抽出
した所定範囲の周波数成分(ω0〜ω1)を取除いた負荷
圧力Ploadの時系列データ、すなわちフロント作業装置
FLの慣性負荷の影響を取除いた負荷圧力Ploadの時系列
データを示す。
【0141】このように、油圧ショベルの積込み作業な
どにおいてブームシリンダ2BMが作動している最中で
も、フロント作業装置FLの慣性負荷の影響を排除して、
シリンダの負荷圧力Ploadを精度良く推定し、シリンダ
の負荷圧力Ploadとフロント作業装置FLの姿勢とから、
バケット内負荷WLを迅速かつ正確に求めることができ
る。
【0142】次に、この作業負荷推定装置102により慣
性負荷の影響を排除して高精度に推定されたブームシリ
ンダ2BMの負荷圧力は、圧力フィードバックコントロー
ラ101に取り込まれ、圧力制御に用いられる。その制御
のシミュレーション結果を、図11〜図14に示す。
【0143】(シミュレーション条件) (1)シリンダ初期負荷:0Pa(バケットを地上に置
いた状況を想定) (2)ポンプ初期負荷:20×9.81×104Pa、ただし、レ
バー操作後のポンプ吐出圧力は、実シリンダ負荷圧力よ
り20×9.81×104Pa以上高くなるようにメインリリーフ
弁9が制御されているものとする。
【0144】(3)レバー入力:シミュレーション開始
0.2秒後にステップ入力(100%)、ただし、レバー入力
は20Hzの2次系ローパスフィルタを通したものとす
る。
【0145】(4)シリンダ負荷圧力:100×9.81×104
Pa、ただし、シリンダ負荷圧力はシリンダが動き出し
た直後に発生するものとする。
【0146】・図11は、圧力制御系への操作レバーの
ステップ入力に対する実メインポペット変位、要求メイ
ンポペット変位、実パイロットスプール変位、要求パイ
ロットスプール変位の各シミュレーション結果を示すス
テップ応答特性図である。
【0147】A :操作レバー位置 B :実メインポペット変位 C :要求メインポペット変位 D :実パイロットスプール変位 E :要求パイロットスプール変位 ・図12は、圧力制御系への操作レバーのステップ入力
に対する実シリンダ速度および実シリンダ変位の各シミ
ュレーション結果を示すステップ応答特性図である。
【0148】F :実シリンダ速度 G :実シリンダ変位 ・図13は、流量制御系への操作レバーのステップ入力
に対する実メインポペット変位、要求メインポペット変
位、実パイロットスプール変位、要求パイロットスプー
ル変位の各シミュレーション結果を示すステップ応答特
性図である。
【0149】A´:操作レバー位置 B´:実メインポペット変位 C´:要求メインポペット変位 D´:実パイロットスプール変位 E´:要求パイロットスプール変位 ・図14は、流量制御系への操作レバーのステップ入力
に対する実シリンダ速度および実シリンダ変位の各シミ
ュレーション結果を示すステップ応答特性図である。
【0150】F´:実シリンダ速度 G´:実シリンダ変位 (シミュレーション結果)図11のシミュレーション結
果と図13のシミュレーション結果とを比較すると、流
量制御より圧力制御の方が負荷圧力の変動が小さく、し
かも早く収束することがわかる。これは、負荷圧力が高
いとき、パイロットスプール54が中立位置(閉止位置)
方向に戻され、それに伴い、メインポペット41の開口が
減少し、これにより、負荷圧力が減少するためである。
【0151】また、図12のシミュレーション結果と図
14のシミュレーション結果とを比較すると、流量制御
より圧力制御の方がシリンダ速度変化が滑らかであり、
流体圧アクチュエータ2をスムーズに作動させることが
できる。
【0152】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、自在に制
御可能の推力を負荷圧力に応じて補正することにより復
帰バネのバネ力を調整するから、制御弁における復帰バ
ネのバネ定数を自在に調整して、制御弁としての性能を
向上できる。
【0153】請求項2記載の発明によれば、負荷圧力が
高い領域では、推力を減少させることにより、復帰バネ
のバネ力(バネ定数)を相対的に大きくするように補正
するから、負荷圧力の変動に対する制御弁の変位を抑制
して、制御系の安定性を向上できる。また、逆に負荷圧
力が低い領域では、推力を増加させることにより、復帰
バネのバネ力(バネ定数)を相対的に小さくするように
補正するから、わずかな負荷圧力の変化も感度良く感知
し、制御精度を向上できるとともに、圧力制御の応答性
を向上できる。
【0154】請求項3記載の発明によれば、負荷圧力を
推定する際にこのバネ力調整方法を用いることにより、
わずかな負荷圧力の変化も感度良く感知し、負荷圧力の
推定精度を向上できる。
【0155】請求項4記載の発明によれば、制御弁の負
荷圧力感知部で感知された負荷圧力に応じて、ゲイン調
整装置により、ソレノイドに供給される推力発生用の電
気信号のゲインを補正することにより、負荷圧力に応じ
てソレノイドの推力を補正でき、これにより、制御弁に
おける復帰バネのバネ定数を自在に調整でき、制御弁と
しての性能を向上できるバネ力調整装置を提供できる。
【0156】請求項5記載の発明によれば、パイロット
弁の負荷圧力感知部で感知された主弁の負荷圧力に応じ
て、ゲイン調整装置により、パイロット弁のソレノイド
に供給される推力発生用の電気信号のゲインを補正する
ことにより、主弁の負荷圧力に応じてソレノイドの推力
を補正でき、これにより、パイロット弁に対する復帰バ
ネのバネ定数を自在に調整でき、パイロット弁の性能を
向上でき、ひいてはパイロット流量増幅型の主弁の性能
を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバネ力調整装置に係る制御弁の一実施
の形態を示す断面図である。
【図2】同上制御弁により形成されたブリッジ回路の一
実施の形態を示す流体圧回路図である。
【図3】同上制御弁を圧力−流量複合制御する制御系の
一実施の形態を示すブロック図である。
【図4】同上制御系における負荷圧力演算装置の一例を
示すブロック図である。
【図5】同上制御系における負荷圧力フィードバック機
能の一例を示す特性図である。
【図6】同上制御系における圧力制御機能の一例を示す
特性図である。
【図7】同上制御系における作業負荷推定装置の機能を
説明するための説明図である。
【図8】同上作業負荷推定装置の一例を示すブロック図
である。
【図9】同上作業負荷推定装置におけるバンドパスフィ
ルタの一例を示すブロック図である。
【図10】同上作業負荷推定装置により慣性負荷の影響
を除去する機能の一例を示す特性図である。
【図11】本発明に係る圧力制御系への操作レバーのス
テップ入力に対するメインポペット変位およびパイロッ
トスプール変位のシミュレーション結果を示すステップ
応答特性図である。
【図12】同上圧力制御系への操作レバーのステップ入
力に対するシリンダ速度およびシリンダ変位のシミュレ
ーション結果を示すステップ応答特性図である。
【図13】本発明に係る流量制御系への操作レバーのス
テップ入力に対するメインポペット変位およびパイロッ
トスプール変位のシミュレーション結果を示すステップ
応答特性図である。
【図14】同上流量制御系への操作レバーのステップ入
力に対するシリンダ速度およびシリンダ変位のシミュレ
ーション結果を示すステップ応答特性図である。
【図15】ブリッジ回路を含む流体圧アクチュエータ制
御回路を示す回路図である。
【図16】従来の圧力センサを用いた負荷圧力フィード
バック機構を示す回路図である。
【符号の説明】
22,41 制御弁の主弁としてのメインポペット 33,54 制御弁のパイロット弁としてのパイロットス
プール 34,62 復帰バネ 35,57 プッシュソレノイド 38,77 負荷圧力感知部 97 ゲイン調整装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D003 AA01 AB03 AB04 BA02 BB01 DA01 DA03 DA04 DB02 DB04 DB05 DC02 DC03 DC05 3H089 AA22 AA23 AA60 BB30 CC01 DA03 DB44 DB48 EE16 EE31 FF07 GG02 JJ02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御弁に復帰バネのバネ力と負荷圧力に
    よる力と復帰バネのバネ力に対抗する向きに働く自在に
    制御可能の推力とを作用させ、 推力を負荷圧力に応じて補正することにより復帰バネの
    バネ力を調整することを特徴とする制御弁のバネ力調整
    方法。
  2. 【請求項2】 負荷圧力が高い領域では推力を減少させ
    ることによりバネ定数を大きくするように補正し、 負荷圧力が低い領域では推力を増加させることによりバ
    ネ定数を小さくするように補正することを特徴とする請
    求項1記載の制御弁のバネ力調整方法。
  3. 【請求項3】 制御弁に負荷圧力をフィードバックさ
    せ、 制御弁に作用する推力とバネ力とフィードバック力との
    釣合い関係から負荷圧力を推定する際に用いることを特
    徴とする請求項1または2記載の制御弁のバネ力調整方
    法。
  4. 【請求項4】 流量を制御する制御弁と、 制御弁に設けられ負荷圧力を感知する負荷圧力感知部
    と、 制御弁を中立位置に復帰させる復帰バネと、 制御弁を復帰バネに対抗して変位させるための推力を発
    生させるソレノイドと、 ソレノイドに供給される推力発生用の電気信号のゲイン
    を負荷圧力に応じて補正することにより復帰バネのバネ
    力を調整するゲイン調整装置とを具備したことを特徴と
    する制御弁のバネ力調整装置。
  5. 【請求項5】 パイロット流量を制御するパイロット弁
    と、 パイロット弁によりパイロット流量を制御することによ
    り主流量を制御する主弁とを具備したパイロット流量増
    幅型の制御弁において、 主弁の負荷圧力を感知する負荷圧力感知部、復帰バネお
    よびソレノイドがパイロット弁に対して設けられたこと
    を特徴とする請求項4記載の制御弁のバネ力調整装置。
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