JP2001181877A - アルカリ金属塩化物の電解方法 - Google Patents

アルカリ金属塩化物の電解方法

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JP2001181877A
JP2001181877A JP36400899A JP36400899A JP2001181877A JP 2001181877 A JP2001181877 A JP 2001181877A JP 36400899 A JP36400899 A JP 36400899A JP 36400899 A JP36400899 A JP 36400899A JP 2001181877 A JP2001181877 A JP 2001181877A
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alkali metal
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brine
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Takashi Kikuchi
隆 菊池
Yasuaki Hashimoto
泰明 橋本
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Nippon Rensui Co
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Nippon Rensui Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】飽和ブライン調製工程、電解工程、塩素脱気工
程、脱芒工程を包含し、当該脱芒工程がイオン交換体が
充填された分離塔にて構成され且つ当該分離塔に淡ブラ
インと水とが交互に通液されるアルカリ金属塩化物の電
解方法であって、上記脱芒工程のイオン交換体の劣化問
題を解決して一層工業的有利な改良されたアルカリ金属
塩化物の電解方法を提供する。 【解決手段】塩素脱気工程と脱芒工程の間に、塩素脱気
工程から導出される淡ブライン中の残存塩素を活性炭で
吸着除去するための塩素吸着除去工程を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ金属塩化
物の電解方法に関し、詳しくは、飽和ブライン調製工
程、電解工程、塩素脱気工程、脱芒工程を包含するアル
カリ金属塩化物の電解方法であって、塩素脱気工程と脱
芒工程の間に精密な塩素除去工程を設けた、工業的に有
利な電解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、飽和ブライン調製工程、電解
工程、塩素脱気工程、脱芒工程を包含するアルカリ金属
塩化物の電解方法は公知である。
【0003】また、上記の脱芒工程に該当する塩水の処
理方法、すなわち、塩水から硫酸イオンを除去する方法
として、(1)硫酸イオンを含有する塩水と水酸化ジル
コニウムを担持して成る粒状イオン交換樹脂とが酸性下
で液体による流動状態で分散させて硫酸イオンを吸着除
去する硫酸イオン吸着工程、及び、(2)硫酸イオンを
吸着した粒状イオン交換樹脂を当該吸着工程のpH値よ
り高pH値の水性液と流動状態で分散接触して吸着硫酸
イオンを脱着する硫酸イオン脱着工程を有する塩水の処
理方法も公知であり(特開平8−67514号公報)、
更に、斯かる塩水の処理方法を利用した電解方法も公知
である(特開平11−158680号公報)。
【0004】しかしながら、上記の公開公報に記載の塩
水の処理方法は、例えば、硫酸イオン脱着工程にアルカ
リ水溶液を必要とするため、薬剤のコスト、設備の材
質、取り扱い性などの点で必ずしも有利とは言えない。
【0005】これに対し、アルカリ等の薬剤を使用しな
い脱芒工程(塩水から硫酸イオンを除去する方法)とし
て、イオン交換体が充填された分離塔に淡ブラインと水
とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有
する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収
すると共に、前者は飽和ブライン調製工程へ循環し、後
者は循環系外に除去する脱芒工程を包含する工業的に有
利な電解方法が知られている。この方法は、クロマト分
離的態様と吸脱着的態様に大別される。そして、淡ブラ
インと交互に通液される水は、クロマト分離的態様の場
合は溶離液として使用され、吸脱着的態様の場合は樹脂
の再生液として使用される。
【0006】例えばクロマト分離的態様の場合の一例と
しては、特開平7−3485号公報に記載の脱芒工程が
挙げられる。同公報には、陰イオン交換基と陽イオン交
換基とを有し且つ両イオン交換基が内部塩を形成してい
る両性イオン交換体が充填された分離塔に上記の淡ブラ
インを通液して上記両性イオン交換体にアルカリ金属塩
化物を吸着させた後、当該分離塔に溶離水を通水してク
ロマト分離を行い、主としてアルカリ金属塩化物を含有
する流出分画液は上記の飽和ブライン調製工程へ循環
し、主として硫酸塩を含有する流出分画液は循環系外に
除去する脱芒工程が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、イオン交換
体が充填された分離塔に淡ブラインと水とを交互に通液
する上記の脱芒工程は、アルカリ等の薬剤を使用しない
ために経済的に有利ではあるが、本発明者らの検討によ
り、塩素脱気工程で除去されずに残存する淡ブライン中
の塩素によって脱芒工程のイオン交換体が劣化するとい
う問題が見出された。
【0008】本発明は、上記実情に鑑みなされたもので
あり、その目的は、飽和ブライン調製工程、電解工程、
塩素脱気工程、脱芒工程を包含し、当該脱芒工程がイオ
ン交換体が充填された分離塔にて構成され且つ当該分離
塔に淡ブラインと水とが交互に通液されるアルカリ金属
塩化物の電解方法であって、上記脱芒工程のイオン交換
体の劣化問題を解決して一層工業的有利な改良されたア
ルカリ金属塩化物の電解方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ金属塩化物
を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和ブラインを
電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解工程から抜
き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低下した淡ブ
ラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、イオン交換体
が充填された分離塔に上記の淡ブラインと水とを交互に
通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出液
と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収すると共
に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環し、後者
は循環系外に除去する脱芒工程を包含するアルカリ金属
塩化物の電解方法において、塩素脱気工程と脱芒工程の
間に、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存
塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程を
設けたことを特徴とするアルカリ金属塩化物の電解方法
に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づき
詳細に説明する。図1は、本発明の電解方法の一例を示
す工程説明図である。図中、符号(1)は飽和ブライン
調製工程の溶解槽、(6)は必要に応じて設けられる精
製設備、(7)は電解工程の電解槽、(13)は塩素脱
気工程の塩素脱気塔、(15)は脱芒工程の分離塔、
(23)は塩素吸着除去工程の塩素吸着塔を示す。
【0011】本発明の電解方法は、不純物として硫酸塩
が含まれたアルカリ金属塩化物を水に溶解する飽和ブラ
イン調製工程、飽和ブラインを電解するイオン交換膜方
式の電解工程、電解工程から抜き出され且つアルカリ金
属塩化物の濃度が低下した淡ブラインから塩素を脱気す
る塩素脱気工程、イオン交換体が充填された分離塔に上
記の淡ブラインと水とを交互に通液し、主としてアルカ
リ金属塩化物を含有する流出液と硫酸塩を含有する流出
液とを分離して回収すると共に、前者は上記の飽和ブラ
イン調製工程へ循環し、後者は循環系外に除去する脱芒
工程を包含し、この点は、以下に説明する様に、例えば
特開平7−3485号公報に記載の電解方法と基本的に
は同じである。
【0012】先ず、溶解槽(1)において送給路(2)
から送られるアルカリ金属塩化物の原塩(不純物として
硫酸塩を含有する)と、導管(3)の枝管(3a)から
の溶解水、電解槽(7)から循環される淡ブライン及び
硫酸塩が実質的に除去された分画液を使用して電解槽
(7)に供給する高濃度塩水を調製する。上記の分画液
とは、分離塔(15)によって硫酸塩が実質的に除去さ
れたアルカリ金属塩化物含有分画液を指す。すなわち、
アルカリ金属塩化物水溶液を電解槽(7)で電解処理し
た後、電解槽(7)から排出されるアルカリ金属塩化物
の含有割合が低下しているアルカリ金属塩化物水溶液
(淡ブライン)をクロマトグラフ手法に従って分画した
硫酸塩を実質的に含まず、アルカリ金属塩化物を含有す
る様に処理した液であって、この分画液は導管(4)を
経て溶解槽(1)に導出される。
【0013】塩水中のアルカリ金属塩化物濃度はできる
だけ高濃度であることが好ましく、通常飽和濃度の塩水
(飽和ブライン)が調製される。溶解槽(1)で調製さ
れた飽和ブラインは、導管(5)により精製設備(6)
に送られ、原塩に由来する飽和ブライン中のカルシウム
塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩などの不純物が
除去される。精製方法としては、例えば、炭酸ソーダ、
苛性ソーダを順次添加して、炭酸カルシウム、水酸化マ
グネシウムとして沈澱させる。更に必要であれば、キレ
−ト樹脂処理などの精製法を併用してもよい。次いで、
飽和ブラインはイオン交換膜方式の電解槽(7)に送ら
れ常法に従って電解が行われる。
【0014】電解槽(7)はイオン交換膜からなる隔膜
(20)により陰極室と陽極室とに分けられ、陰極室で
生成した苛性アルカリは導管(11)から、また、水素
ガスは導管(9)から排出され、陽極室で生成した塩素
ガスは導管(8)から排出され、夫々回収される。電解
により飽和ブライン中のアルカリ金属塩化物の約50%
及び水の約20%が消費され、残った塩水(淡ブライ
ン)は導管(12)から抜き出され溶解槽(1)へ循環
される。電解槽(7)からから抜き出される淡ブライン
中には、通常、アルカリ金属塩化物が180〜200g
/L、硫酸塩が6〜12g/L程度含まれている。ま
た、そのpHは通常2〜4程度である。斯かる淡ブライ
ンは、好適には例えば塩酸により1〜2にpH調節した
後、塩素脱気塔(13)でのエアーレーションにより塩
素が脱気される。そして、要すれば、図示されていない
貯槽に貯えた後、バルブ(14a)の開により、少くと
もその一部を一定量づつ、詳細を後述する本発明による
改良要素である塩素吸着塔(23)へ送給した後、分離
塔(15)へ送給する。
【0015】分離塔(15)には陰イオン交換基と陽イ
オン交換基とを有し、これら両イオンが内部塩を形成し
ている両性イオン交換体が充填されている。内部塩を形
成している両性イオン交換体としては、例えば一般にス
ネークケージ型と呼ばれている樹脂が挙げられる。スネ
ークケージ型樹脂とは、スチレン又はアクリル系の強塩
基性イオン交換体にアクリル酸を含浸、重合させた複合
体であり、ダウケミカル社の「リタ−デイオン11A−
8」、三菱化成社の「ダイヤイオンSR−1」等の名称
で市販されている。また、内部塩を形成している両性イ
オン交換体としては、アクリル系またはスチレン系の架
橋共重合体から成る樹脂母体に直接結合した次の一般式
(1)で示されるイオン交換基を有する樹脂も使用され
る。
【0016】
【化1】
【0017】(式中R1及びR2は、夫々炭素数1〜3の
アルキル基を示し、m及びnは夫々1〜4の数を示
す。)
【0018】一般式(1)で示されるイオン交換基を有
する樹脂は、例えば特公昭60−45942号公報に記
載されている方法に従い、スチレン系の架橋共重合体に
ハロメチル基を導入し、次いで、N,N’−ジメチルグ
リシンの酸無水物、酸アマイド、酸ハロゲン化物、低級
アルキルエステル等のN−置換−アミノ酸の酸誘導体を
反応させた後、加水分解する方法およびこれに準ずる方
法により製造される。
【0019】上記の両性イオン交換体は球状であり、そ
の粒径は、通常100〜1200μm、好ましくは15
0〜350μmである。両性イオン交換体の内部塩を形
成する交換容量は、通常1〜6meq/g樹脂、好まし
くは2.0〜4.5meq/g樹脂である。また、両性
イオン交換体の水分は、通常20〜80重量%、好まし
くは30〜60重量%である。分離塔(15)に充填す
る両性イオン交換体の層高は、イオン交換体の種類や処
理水の量(電解プラントの容量)によるが、通常1〜4
m程度がよい。
【0020】分離塔(15)へ供給する淡ブラインの量
は、原塩中の硫酸塩量や電解槽(7)に供給される飽和
ブライン中に許容される硫酸塩濃度などを考慮して決め
られる。淡ブライン中の硫酸塩は完全に除去する必要は
無く、電解の障害にならない濃度以下に維持すればよ
い。少なくとも、新たに添加される原塩に伴う硫酸塩量
を除くことにより、飽和ブラインへの硫酸塩の更なる蓄
積を阻止すればよい。そのためには電解槽(7)に循環
されるブラインを分離塔(15)で処理すればよい。分
離塔(15)に供給する1回の淡ブラインの量は充填イ
オン交換体容積の0.1〜0.5倍容量であり、通水流
速は空間速度(SV)で1〜5/hがよい。通水温度は
40〜80℃が好ましい。1回量の淡ブラインを通水し
た後バルブ(14a)を閉じ、バルブ(14b)を開い
て導管(3b)から水を分離塔(15)へ通水してクロ
マトグラフ手法に従って、最初に硫酸塩を溶離、流出さ
せ、次いで、アルカリ金属塩化物を溶離流出させる。こ
の水としては、導管(3)からの溶解水を1ミクロン程
度のフィルターで濾過したもの、または、それを軟化し
た軟水の使用が好ましい。1回の通水量は充填イオン交
換体容積の0.2〜1.1倍で、通水流速はSVで通常
1〜5/h、好ましくは上記淡ブラインの通水流速と同
じにするのがよい。通水温度は40〜80℃であり、上
記淡ブラインの通水温度と同じにするのがよい。
【0021】淡ブライン及び溶解水の通水方向は、充填
イオン交換体が分離塔(15)内を完全に充満するよう
に充填されている場合は上向流または下向流の何れでも
よく、イオン交換体が空塔部分を残して充填されている
場合は下向流とし、充填イオン交換体が流動しない様に
通水する。分離塔(15)から流出してくる液中の成分
濃度の変化は電導度計または屈折率計等からなる検出器
で検出し、伝達路(21)及び(22)によってバルブ
(18)及び(19)に伝達し、主として硫酸塩を含有
する流出分画液を流出管(17)を経て系外に排出し、
一方、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出分画
液は導管(4)を経て溶解槽(1)へ循環する。再びバ
ルブ(14a)を開けて淡ブラインの通水を供給し、次
いで、溶解水を通水する操作が繰り返し行われる。溶解
槽(1)では導管(12)から分離塔(15)を経由せ
ずに直接循環される淡ブライン、分離塔(15)からの
アルカリ金属含有流出分画液に、要すれば更に溶解水を
加え、新たに原塩を追加し、飽和ブラインを調製する。
両性イオン交換体に吸着された淡ブラインは水により容
易に溶離され、酸やアルカリによる再生処理をすること
なく再び淡ブラインの処理に使用できる。
【0022】淡ブラインの処理量が適性量であれば原料
塩の添加による新たな硫酸塩の蓄積を防止することが出
来、また、両性イオン交換体の溶離に使用する水は電解
槽(7)で消費される水量の範囲内であるから、分離塔
(15)から流出される主としてアルカリ金属塩化物か
らなる流出分画液を全量溶解槽(1)へ循環することが
出来、電解に使用する水の量および系外に漏出するアル
カリ金属塩化物の量を最小にすることが出来る。また、
廃水の量も少なく経済的である。
【0023】上記に説明した例の場合は、アルカリ等の
薬剤を使用しない脱芒工程、すなわち、イオン交換体が
充填された分離塔に淡ブラインと水とを交互に通液する
脱芒工程として特開平7−3485号公報に記載のクロ
マト分離的態様の脱芒工程を採用したが、本発明におい
ては、吸脱着的態様の脱芒工程であってもよい。斯かる
態様においては、水によって再生(樹脂に吸着された硫
酸根または硫酸塩の脱着)可能な適宜のイオン交換樹脂
が使用される。斯かるイオン交換樹脂の硫酸根または硫
酸塩に対する吸着力は一般に弱いため、破過点に到達す
る前の再生、すなわち、淡ブラインと交互に通液する水
のサイクルは、前記のクロマト分離的態様の場合と同様
になることが多い。
【0024】本発明の最大の特徴は、上記の様なアルカ
リ金属塩化物の電解方法において、塩素脱気工程と脱芒
工程の間に、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中
の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去
工程を設けた点にある。すなわち、本発明においては、
バルブ(14a)の開により、塩素脱気後の淡ブライン
の少くともその一部を一定量づつ、塩素吸着塔(23)
へ送給し、塩素脱気工程で除去されずに残存する淡ブラ
イン中の塩素を吸着除去する。そして、その後、淡ブラ
イン中の塩素が十分に除去された淡ブラインを分離塔
(15)へ送給する。
【0025】上記の塩素吸着塔(23)においては粒状
活性炭が好適に使用され、その粒径は、通常0.5〜1
0mm、好ましくは1.0〜5.0mmである。活性炭
は塩素吸着塔(23)に槽高0.5〜4.0mの高さで
充填される。そして、通液は通常ダウンフローで行わ
れ、その速度は、線速度で通常5.0〜25m/h、通
液温度は通常50〜90℃とされる。
【0026】本発明においては、上記の様に、塩素脱気
工程と脱芒工程の間に、塩素脱気工程から導出される淡
ブライン中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩
素吸着除去工程を設けたことにより、イオン交換体が充
填された分離塔に淡ブラインと水とを交互に通液する脱
芒工程の当該イオン交換体の劣化が防止される。
【0027】また、本発明においては、前記の塩素脱気
工程から導出される淡ブラインを2分割し、前記の3〜
50%は塩素吸着除去工程に導入し、残余は直接に前記
の飽和ブライン調製工程へ循環するのが好ましい。
【0028】すなわち、本発明においては、上記の様
に、淡ブライン中の残存塩素の吸着除去工程を設けるこ
とにより脱芒工程のイオン交換体の劣化防止を図る。し
かしながら、淡ブラインの全量を脱芒工程に供給する必
要はなく、従って、脱芒工程に供給される量見合いの量
の淡ブラインについて残存塩素の吸着除去を行なえばよ
い。上記3〜50%の淡ブライン量は斯かる観点から決
定された量である。
【0029】塩素吸着除去工程に導入される淡ブライン
量が3%未満の場合はイオン交換体の劣化防止を図りつ
つ脱芒処理される淡ブラインの量が少なすぎるため、電
解プラント内に蓄積される芒硝(Na2SO4)の量が増
加し、その結果、電解工程においてイオン交換膜の劣化
や消費電力の増加という問題が惹起される。一方、塩素
吸着除去工程に導入される淡ブライン量が50%を超え
る場合は、不必要な量の淡ブラインを処理する結果とな
り、塩素吸着除去工程で使用する各種の薬剤(活性炭な
ど)や脱芒工程で使用するイオン交換体が不必要に多く
なり経済的ではない。塩素吸着除去工程に導入する淡ブ
ラインの好ましい量は5〜30%、更に好ましい量は5
〜15%である。
【0030】更に、本発明においては、前記の脱芒工程
において、通水する水(クロマト分離的態様の場合の溶
離液または吸脱着的態様の場合の樹脂の再生液)に工業
用水を使用するのが経済的であり好ましい。ここで、工
業用水とは、河川水、地下水、涌き水をポリ塩化アルミ
ニウム(PAC)や硫酸バンド等の凝集剤で処理した水
を指す。斯かる工業用水は、一般に、金属塩を主成分と
する硬度分と共に藻類やコロイダル金属を主とする懸濁
物質を含む。硬度分は、Ca、Mg等の2価イオンが主
成分であり、炭酸カルシウム当量で表される。ここでい
う工業用水の硬度分の量は、通常30〜200mg/L
炭酸カルシウム当量である。また、懸濁物質(SS成
分)の量は、ガラス繊維フィルターに捕捉されるSS成
分として表され、カオリン濁度で通常1〜10度であ
る。
【0031】工業用水を使用した脱芒工程の場合は次の
様に運転するのが更に好ましい。すなわち、イオン交換
体の性能が低下した時点で運転を中止し、イオン交換体
の酸洗浄、アルカリ洗浄またはこれらの交互洗浄を行っ
た後に運転を再開する。ここで、イオン交換体の性能が
低下した時点とは、概略、クロマト分離的態様の場合は
前述の両性イオン交換体によるクロマト分離性能が低下
した時点を意味し、吸脱着的態様の場合はイオン交換樹
脂が破過点に到達した時点を意味する。斯かるイオン交
換体の性能低下は、硬度分によるイオン交換体のコーテ
ィング汚染や懸濁物質によるイオン交換体充填層内への
堆積汚染によって惹起される。
【0032】上記の酸洗浄は、硬度分によるコーティン
グ汚染の際に適用される。そして、酸としてはHClが
好適に使用され、その濃度は、通常10〜150g/
L、好ましくは50〜100g/Lである。洗浄処理後
の排水は系外に排出され、その後に水洗される。
【0033】上記のアルカリ洗浄は、懸濁物質による堆
積汚染の際に適用される。そして、アルカリとしては、
食塩電解の場合はNaOH水溶液が好適に使用され、そ
の濃度は、通常1〜100g/L、好ましくは5〜50
g/Lである。洗浄処理後の排水は系外に排出され、そ
の後に水洗される。
【0034】上記の様に、脱芒工程の酸洗浄および/ま
たはアルカリ洗浄を定期的に行なっても、斯かる洗浄の
インターバルは長期間であるため、薬剤に掛かるコスト
は非常に少なく、工業的な有利性は何ら損なわれない。
【0035】
【実施例】本発明は、上記の様にして実施されるが、以
下に本発明の特徴部分、すなわち、淡ブライン中の残存
塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程の
実施例を当該工程に続く脱芒工程と共に示すが、本発明
は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定され
るものではない。
【0036】実施例1 電解槽(7)から45m3/hで淡ブラインを流出さ
せ、pHを約2に調節し、塩素脱気塔(13)でエアレ
ーションし、61mg−Cl/Lの遊離塩素と5.0g
/L硫酸根を含有する淡ブラインを得た。そして、得ら
れた淡ブラインの内の3.6m3/h(全体の約8%)
について、再度、pHを約11に調節し、平均粒径5m
mの活性炭5.0tが充填された塩素吸着塔(23)に
ダウンフローで通液した。液温は60℃であった。塩素
吸着塔(23)から流出する淡ブラインの遊離塩素を測
定したところ、0.10mg−Cl/L未満であり、淡
ブライン中の硫酸根濃度の変化は見られなかった。
【0037】その後、内径1200mm×長さ4000
mmのカラムに両性イオン交換樹脂(三菱化学株式会社
製「ダイヤイオンDSR01」)2.4m3が充填され
た分離塔(15)に上記の淡ブラインを供給し、次のク
ロマトグラフト手法により硫酸根を除去した。すなわ
ち、淡ブライン3.6m3を5回に分けて0.72m3
処理し、1時間で全量の3.6m3を処理した。(1)先
ず、SV4.0の流速で淡ブライン0.72m3を通液
する。(2)次いで、淡ブラインの通液を止め、SV
4.0の流速で水1.2m3を通液する。以後(1)と
(2)の操作を5回繰り返す。ただし、淡ブラインのp
Hは通液前に約11に調製した。
【0038】分離塔(15)からの流出液の電気伝導率
を測定し、電気伝導率5.0S/m以上の液は回収して
溶解槽(1)に循環し、5.0S/m未満の液は廃棄し
た。この操作により、260kg/dの硫酸根除去能力
が得られ、電解プラント全体の硫酸根濃度が管理でき
た。1年後、分離塔(15)の樹脂を抜き出して調べた
ところ、特に遊離塩素で劣化した兆候は見られなかっ
た。
【0039】実施例2 実施例1において、クロマトグラフト手法による硫酸根
の除去の際、カルシウム硬度81mg−CaCO3
L、マグネシウム硬度35mg−CaCO3/Lを含有
する工業用水を使用した以外は、実施例1と同様に操作
して分離塔(15)にて硫酸根を除去した。
【0040】3ヶ月後、分離塔(15)は通液圧力の上
昇によって通液不能となった。内部の樹脂を抜き出して
調べたところ、両性イオン交換樹脂が炭酸カルシウムの
析出によって固着してブロック状になっていた。
【0041】そこで、分離塔(15)の洗浄処理とし
て、(a)10重量%塩酸4.8m3をSV1.0の流
速で通液、(b)水7.2m3をSV1.0で通液、
(c)4.0重量%苛性ソーダ水7.2m3をSV3.
0で通液、(d)水7.2m3をSV3.0で通液す
る、操作を順次に行なった。この洗浄操作により、ブロ
ック化した両性イオン交換樹脂が元の通液可能な状態に
復帰した。
【0042】実施例3 実施例2において、塩素分解反応器(23)に供給する
際の淡ブラインのpHを約9に変更した以外は、実施例
1と同様に操作して分離塔(15)にて硫酸根を除去し
た。従って、分離塔(15)に通液される淡ブラインの
pHを約9である。その結果、図2の様なクロマト分離
曲線が得られた。引き続き、分離塔(15)にて硫酸根
を除去した結果、図3の様なクロマト分離曲線が得られ
た。すなわち、図2と比較して硫酸根と塩化ナトリウム
の分離状態が悪化していた。これは、懸濁物質によるイ
オン交換体充填層内への堆積汚染による性能低下と判断
される。
【0043】そこで、分離塔(15)の洗浄処理とし
て、(a)0.5重量%苛性ソーダ4.8m3をSV
1.2で通液、(b)水1.4m3をSV1.2で通
液、(c)水9.4m3をSV4.0で通液する、操作
を順次に行なった。この操作の後、分離塔(15)にお
いて、前記と同様のクロマトグラフト手法により硫酸根
を除去した結果、図2と同じクロマト分離曲線が得ら
れ、分離性能が復帰していた。
【0044】比較例1実施例1において、塩素吸着塔
(23)を省略した以外は、実施例1と同様に操作して
電解プラントを運転した。1日後、分離塔(15)の樹
脂を抜き出して調べたところ、樹脂の水分量が70%で
あり(新品時59%)、劣化が著しかった。
【0045】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、飽和ブラ
イン調製工程、電解工程、塩素脱気工程、脱芒工程を包
含し、当該脱芒工程がイオン交換体が充填された分離塔
にて構成され且つ当該分離塔に淡ブラインと水とが交互
に通液されるアルカリ金属塩化物の電解方法であって、
上記脱芒工程のイオン交換体の劣化問題を解決して一層
工業的有利な改良されたアルカリ金属塩化物の電解方法
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解方法の一例を示す工程説明図
【図2】実施例2で得られたクロマト分離曲線
【図3】実施例2で得られたクロマト分離曲線
【符号の説明】
1:飽和ブライン調製工程の溶解槽 6:精製設備 7:電解工程の電解槽 13:塩素脱気工程の塩素脱気塔 15:脱芒工程の分離塔 23:塩素吸着除去工程の塩素吸着塔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ
    金属塩化物を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和
    ブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解
    工程から抜き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低
    下した淡ブラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、イ
    オン交換体が充填された分離塔に上記の淡ブラインと水
    とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有
    する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収
    すると共に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環
    し、後者は循環系外に除去する脱芒工程を包含するアル
    カリ金属塩化物の電解方法において、塩素脱気工程と脱
    芒工程の間に、塩素脱気工程から導出される淡ブライン
    中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除
    去工程を設けたことを特徴とするアルカリ金属塩化物の
    電解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9903027B2 (en) 2008-12-17 2018-02-27 Thyssenkrupp Uhde Chlorine Engineers (Italia) S.R. Process for producing chlorine, caustic soda, and hydrogen

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