JP2001181189A - 癒傷促進性基剤 - Google Patents

癒傷促進性基剤

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JP2001181189A JP37309299A JP37309299A JP2001181189A JP 2001181189 A JP2001181189 A JP 2001181189A JP 37309299 A JP37309299 A JP 37309299A JP 37309299 A JP37309299 A JP 37309299A JP 2001181189 A JP2001181189 A JP 2001181189A
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Shigeyoshi Ura
重義 浦
Minoru Nagao
稔 長尾
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KYOTO DOBUTSU KENSA CENTER KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体親和性に富み、創傷の種類に拘わらず適用
可能である癒傷促進性基剤を提供することにある。 【解決手段】本発明の癒傷促進性基剤は、ガラクトース
基を有するオリゴアルドン酸と高分子量ポリアミンとか
らなる塩を含むことを特徴としている。ガラクトース基
を有するオリゴアルドン酸としてはラクトビオン酸があ
り、高分子量ポリアミンとしてはキトサンがある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトや動物の創傷
治療のための癒傷促進性基剤に属する。
【0002】
【従来の技術】キトサン、ポリリジン等のポリアミンは
殺菌作用を示し、ヒトや動物の創傷の治療に有効である
ことが従来より知られている(獣医畜産新報 Vol.50 N
o.12 P1033-1052、J.Modern Veterinary Medicine 199
7.5 P38-44, 1997.7 P61-64, 1997.9 P31-35, 1998.1 P
17-22)。しかし、ポリアミンは生体親和性が良くない
ため、ポリアミンのみからなる癒傷促進性基剤を患部と
接触させると血栓が生じやすく、また刺激性のために患
部に痛みを生ずる。従って、生体親和性の良い癒傷促進
性基剤の開発が求められている。
【0003】生体親和性の良い物質としては、例えばガ
ラクトース基を有する化合物がある。特に、ラクトビオ
ン酸は、生体親和性の他、炎症の原因となる活性酸素ラ
ジカルの生成を抑制する作用ももつ。そのため、ラクト
ビオン酸は移植用臓器類の保存液の主成分として用いら
れており(Transplantation Proceedings 22[5] P2198-
2199、J.Inorganic Biochemistry 49 P23-48、Cryobiol
ogy 33 P413-422、Life Sciences 45 P2373-2380、Radi
cal Biology & Medicine 19[5] P699-704)、ヒトや動
物の炎症抑制、癒傷促進性基剤の成分としても期待され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ラクトビオン
酸及びその通常の塩類は易水溶性のために、これを主成
分とする剤は体表面の患部に適用しても流失しやすく、
効果を発揮する量が定着しにくい。それ故、本発明の目
的は、生体親和性に富み、創傷の種類に拘わらず適用可
能である癒傷促進性基剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の癒傷促進
性基剤を完成することができた。本発明の癒傷促進性基
剤は、ガラクトース基を有するオリゴアルドン酸と高分
子量ポリアミンとからなる塩を含むことを特徴としてい
る。
【0006】本発明の癒傷促進性基剤に含まれるガラク
トース基を有するオリゴアルドン酸と高分子量ポリアミ
ンとからなる塩は、ガラクトース基のもつ生体親和性と
ポリアミンのもつ殺菌作用との両方を備える。よって、
本発明の癒傷促進性基剤は創傷の治療を促す効果があ
り、しかも、塗布等により患部に適用しても痛みを伴う
ような刺激を患部に与えることもない。
【0007】また、本発明の癒傷促進性基剤では、液
状、粉末状、糸状、シート状、スポンジ状(多孔質)等
の種々の剤形が可能である。従って、創傷の種類(例え
ば、擦り傷、切り傷、術創、火傷、凍傷、褥瘡、裂痔、
皮膚の潰瘍、湿疹、被れ、咬傷、過敏性皮膚炎、水虫等
の感染病による皮膚の脱落など)に応じて適当な剤形を
選択することができ、よって、あらゆる創傷に適用する
ことができる。
【0008】本発明の癒傷促進性基剤において、ガラク
トース基を有するオリゴアルドン酸としては、ラクトビ
オン酸、ガラクトシルラクトビオン酸、ガラクトシルマ
ルトビオン酸等がある。ポリアミンとしては、キトサ
ン、ポリリジン等がある。ガラクトシルオリゴアルドン
酸類と高分子ポリアミンとの塩類水溶液は粘着性を有
し、生体親和性に優れ、抗炎症作用、抗菌作用を示す。
また、本発明では、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼ
トニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌消毒性
化合物をさらに配合させることにより、細菌感染防止効
果を向上させることもできる。
【0009】本発明の液状の癒傷促進性基剤は、ガラク
トース基を有するオリゴアルドン酸及びポリアミンを水
に溶解することにより製造される。ここで、ガラクトー
ス基を有するオリゴアルドン酸の好ましい濃度は、0.
2〜20%であり、ポリアミンの好ましい濃度は、0.
1〜10%である。
【0010】本発明の液剤は粘性が高く、そのため、患
部に塗布されると流失しにくく定着し、乾燥すると軟ら
かくて密着性の良い被膜となる。よって、本発明の液剤
によると、患部が保護されながら治癒が促進される。ま
た、本発明の液剤を浴槽に入れると、入浴時に患部が受
ける刺激を和らげることができる。さらに、着衣等によ
る皮膚刺激を和らげるには、洗濯の濯ぎ時に本発明の液
剤を加えると良い。尚、液剤の粘性は、塩の総濃度、使
用するポリアミンの分子量等により調節可能である。粘
性を高くする場合には、ポリアミンとして、より高分子
量のポリアミンを用いると良い。
【0011】本発明の粉末状の癒傷促進性基剤は、上記
の液剤を乾燥後に粉砕するか、スプレードライするか又
はタルク等の微粉にコーティングして乾燥すると製造さ
れる。この粉末剤は、単独で使用されても良いし、ベビ
ーパウダー等の粉末に混合されて使用されても良い。本
発明の粉末剤によると、患部に振りかければ良いので、
浸出液が多い創傷の治療に適する。
【0012】本発明の糸状の癒傷促進性基剤は、上記の
液剤を特別に濃厚に調製し、これを加温熟成して糊状に
し、脱気後にノズルより押し出して乾燥することによっ
て、製造される。また、本発明のシート状の癒傷促進性
基剤は、上記の濃厚液剤を伸展板のような平板上に伸展
して乾燥させることにより製造され、本発明のスポンジ
状の癒傷促進性基剤は、上記の液剤を凍結乾燥すること
により製造される。シート状の癒傷促進性基剤は、吸水
により軟らかくなるため、患部への接着性が良く、火傷
や褥瘡等の患部面積の大きい創傷の治療に適している。
また、スポンジ状の癒傷促進性基剤によると、創傷が深
い穴である場合に、患部を充填して保護することができ
る。
【0013】本発明の癒傷促進性基剤では、糸状、シー
ト状及びスポンジ状以外にも、目的に応じて適当な形に
成形することができる。また、強度を上げたい場合や原
料の液剤を節約したい場合には、成形する替わりに、本
発明の液剤又は粉末剤を適当な形をした保持材に塗布、
含浸又は添着することによって、表面に付着させると良
い。保持材の例としては、キトサン等で成形されたもの
や、紙、布、ガーゼ、フェルトといった繊維製品があ
る。さらに、ガラクトース基を有するオリゴアルドン酸
が溶解した含水アルコール等の溶剤に、ポリアミンの成
形物を浸漬して乾燥させることによっても、表面が本発
明の剤で被覆された成形物を得ることができる。
【0014】成形された本発明の剤及び本発明の剤で被
覆された成形物では、治療の際に塗ったり振りかけたり
する手間を省くことができ、浸出液の多い創傷を治療す
るのに適している。また、患部と接触させない面につい
ては、アルカリ溶液で処理することにより、ポリアミン
を遊離させると良い。この場合、ポリアミンは非水溶性
であるので、耐水性が得られる。
【0015】本発明の癒傷促進性基剤において、ガラク
トース基を有するオリゴアルドン酸とポリアミンとは、
完全に中和された形の塩になっている必要はなく、酸又
は塩基のままの分子が残っていても良い。さらに、それ
らの組成が不均一であっても問題ない。また、カルボキ
シル基とアミノ基とは、通常イオン結合しているが、加
熱処理により脱水縮合させても良い。脱水縮合させてア
ミド結合を形成させると、耐水性を得ることができる。
【0016】
【実施例】−実施例1−液剤の製造 ガラクトース基を有するオリゴアルドン酸としてラクト
ビオン酸を、ポリアミンとしてキトサン(0.5%希酢
酸溶液の粘度が50〜150cp)を用いた。まず、40
gのラクトビオン酸及び20gのキトサンを0.94Lの
水に加えた。これにより、ラクトビオン酸の濃度が4
%、キトサンの濃度が2%となる。次に、温度50℃で
撹拌・溶解した。そして、遠心分離により不溶物を除去
することによって、本発明の液状の癒傷促進性基剤を得
ることができた。
【0017】−実施例2−殺菌消毒性化合物を含む液剤
の製造 実施例1で製造した液剤に、殺菌消毒性化合物として塩
化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム又はグルコ
ン酸クロルヘキシジンを1g/Lの割合で加えて、混合・
溶解した。いずれの化合物を加えた場合にも、殺菌消毒
作用の強化した本発明の液剤を得ることができた。
【0018】−実施例3−粉末剤の製造 実施例1で製造した液剤を濃縮、乾燥させた後、粉砕す
ることにより、本発明の粉末状の癒傷促進性基剤を得る
ことができた。また、上記の液剤を噴霧乾燥することに
よっても、本発明の粉末剤を得ることができた。さら
に、これらの粉末剤は、ベビーパウダーと容易に混合す
ることができた。ベビーパウダーと混合された粉末剤
は、汗疹、被れの治療に有効であった。
【0019】−実施例4−保持材への塗布 実施例1で製造した液剤を、紙、布、ガーゼ及びフェル
トの各繊維製品に塗布した後、乾燥させた。いずれの繊
維製品に対しても、本発明の癒傷促進性基剤を表面に付
着させることができた。
【0020】−実施例5−シート状成形剤の製造 キトサンとしてより高分子量のキトサン(0.5%希酢
酸溶液の粘度が800〜1500cp)を用いた以外は実
施例1と同じ方法で液剤を製造した。次に、この液剤約
200mLをパラフィン伸展器の伸展盤上に作成した30
×30cmの枠内に流し入れ、乾燥させた後に、剥離し
た。これにより、シート状に成形された本発明の癒傷促
進性基剤を得ることができた。そして、水を加えると直
ちに水浸板ゼラチンのように柔軟になった。また、キト
サンの分子量が大きいものほど、液剤の粘度が高く、シ
ートの引っ張り強度が高くなることが判った。さらに、
シートの厚さは、単位面積当たりに注入する固形物量の
増減によって調節できた。
【0021】−実施例6−スポンジ状成形剤の製造 実施例1で製造した液剤200mLを凍結乾燥用トレイ
(20×20×3cm)に入れて、ドライアイス・アセト
ン槽で急速凍結し、20Pa以下の真空下で凍結乾燥する
ことにより、多孔質でスポンジ状に成形された本発明の
癒傷促進性基剤を得ることができた。また、凍結乾燥品
をプレスすることにより、空隙の詰まった任意の形態を
した剤にすることができた。
【0022】−実施例7−糸状成形剤の製造 4gのラクトビオン酸及び2gの高分子量のキトサン
(0.5%希酢酸溶液の粘度が800〜1500cp)を
温度60℃の水20mLに加えて、練り合わせた。次に、
温度60℃の湯浴により糊状になるまで加温熟成し、脱
気後にノズルより押し出した。そして、そのまま乾燥さ
せることにより、糸状に成形された本発明の癒傷促進性
基剤を得ることができた。
【0023】−実施例8−キトサンを遊離させた成形剤
の製造 実施例5〜7で製造したシート状、スポンジ状及び糸状
の成形剤を、濃度2〜4%の水酸化ナトリウム溶液に1
〜2分間浸漬して水洗いすることにより、表面にキトサ
ンの膜を形成させることができた。これらの成形剤は、
耐水性を有し、水中に入れると柔軟ににはなるが溶解は
しなかった。
【0024】−実施例9−本発明の剤によるキトサンの
被覆 濃度70%の含水エタノール液100mLに5gのラクト
ビオン酸を溶解し、これらに粉末状、糸状、シート状、
及びスポンジ状のキトサン成形物を各々10分間浸漬
し、表面にのみ塩の層を形成させ、乾燥させた。これに
より、各キトサン成形物の表面に、本発明の癒傷促進性
基剤の層が形成された。
【0025】同様の作業をエタノール液の濃度及び浸漬
時間を変えて行ったところ、本発明の剤の層は、エタノ
ール濃度が低いほど、また浸漬時間が長いほど厚くなる
ことが判った。これは、水分が多い条件及びラクトビオ
ン酸溶液との接触時間が長い条件では、キトサン成形物
がよく膨潤し、深部まで反応が進むためと思われる。
尚、層の厚さを調べる際には、キトサン成形物は水に溶
けないのに対して形成された層は水に溶けるので、水に
溶かしてその減り具合を測定した。
【0026】−実施例10−成形剤のアミド化 実施例5〜7で製造した各種成形剤を沸騰1−プロパノ
ール中で加熱した。これにより、ラクトビオン酸のカル
ボキシル基とキトサンのアミノ基とが、脱水縮合してア
ミド結合したと思われる。その結果、各成形剤が耐水性
となり、水の中に入れても軟らかくなるが溶けはしなか
った。尚、ラクトビオノ−δ−ラクトンをエタノールに
溶解し、これにキトサン成形物を入れて加熱しても、ア
ミド結合が形成された。但し、成形物の表面にしか形成
されなかった。
【0027】−実施例11−モルモットの擦過傷の治癒
促進効果試験 ハートレイ系モルモット3頭を用意し、各々の背部を剃
毛した。2日後に、注射針を束ねたもので血が滲む程度
の擦過傷を2カ所作り、一方を実施用、他方を比較用と
した。傷を作った直後に、実施用の傷には実施例1で製
造した液剤を塗布し、比較用の傷には生理食塩水を塗布
した。さらに、その翌日から3日間朝夕2回ずつ塗布
し、その間に治癒状況を観察した。また、4日目に剖検
し、病理組織学的観察をした。
【0028】その結果、3日目には比較用の傷のみが残
り、実施用の傷は殆ど治癒した。また、実施用の傷には
いずれも炎症が認められなかった。これらの結果は、病
理組織学的観察によっても裏付けられた。
【0029】−実施例12−モルモットの皮膚潰瘍の治
癒促進効果試験 飼育中のモルモットの耳の後に生じた原因不明で自然治
癒の兆しのない円形潰瘍(直径1cm程度)に、2倍に希
釈した実施例1の液剤を毎日1回ずつスプレーした。そ
の結果、数日後には潰瘍の周囲から皮膚が再生し、1週
間後には傷が塞がり毛が生え始めた。さらに、3週間後
には、潰瘍痕も認められない程度にまで治癒した。
【0030】−実施例13−イヌの皮膚潰瘍の治癒促進
効果試験(1) 飼育中のイヌ(柴犬)の前肢外側に、図1に示すよう
に、2×5cm程度の潰瘍が生じた。この潰瘍は、虫刺さ
れの痒みのため噛み続けたことが原因と推測されるが、
2週間以上経過しても改善しなかった。この潰瘍に、実
施例1で製造した液剤を1回塗布した。
【0031】その結果、図に示すように、4日後に患部
が痂蓋で覆われ(図2)、10日後には痂蓋が取れて皮
膚が再生した(図3)。そして、3週間後には、毛で覆
われ完治した(図4)。以上より、本発明の癒傷促進性
基剤を患部に塗布すると、被膜が形成され、患部が保護
されながら治癒が促進されることが判った。また、本発
明の癒傷促進性基剤では、被膜形成により患部に剤が長
期密着保持されるために効果が持続し、1回だけの塗布
でも十分に完治可能であることが明らかとなった。
【0032】−実施例14−イヌの皮膚潰瘍の治癒促進
効果試験(2) 飼育中のイヌ(柴犬)の後肢外側に、直径3cm程度の円
形の潰瘍が生じ、その周囲に5×10cm程度の脱毛が認
められた。この潰瘍に、実施例5で製造したシート状成
形剤(0.5%希酢酸溶液の粘度が800〜1500cp
のキトサンを使用)を滅菌水に浸した後、貼り付けた。
【0033】その結果、4日後には、潰瘍痕が残っては
いたが、潰瘍周囲に皮膚の再生が認められた。同様の処
理をもう一度すると、10日後には新しい皮膚に完全に
覆われ、3週間後には毛が生えて完治した。
【0034】−実施例15−ヒトの擦過傷の治癒促進効
果試験 滅菌したワイヤーブラシでヒトの右太股に5×15cm程
度の擦過傷を縦に作り、上部5cmの範囲を実施区と、下
部5cmの範囲を比較区とした。そして、実施区には実施
例1の液剤を、比較区にはキトサンの酢酸塩水溶液(キ
トサン2%、酢酸0.6%)を、毎日1回ずつ5日間塗
布した。
【0035】その結果、実施区及び比較区の両方におい
て痂蓋が形成され脱落したが、実施区の方が擦過痕の消
失が早かった。また、比較区では塗布時に刺激痛を感じ
たが、実施区では刺激性は全く感じなかった。これによ
り、ラクトビオン酸は酢酸に比較して生体親和性に優
れ、刺激性のないことが確認された。
【0036】−実施例16−ヒトの水虫の治癒促進効果
(1) 職業上夏期にも長時間長靴を履く人達で、表皮の損傷の
激しい重症の水虫に悩んでいた4人に、2倍に希釈した
実施例1の液剤及びキトサンの酢酸塩水溶液(キトサン
1%、酢酸0.3%)の各々を、左右別の足に毎日1回
ずつスプレーしてもらった。
【0037】その結果、キトサンの酢酸塩水溶液では、
刺激痛のため忌避されたので3日後に打ち切り、刺激痛
のなかった実施例1の液剤に切り換えた。実施例1の液
剤では、使用してから1週間目頃より、表皮が乾燥して
剥離し始め、さらに、ピンク色の新しい皮膚が再生し始
めた。また、1ヶ月後には、全員が完治し、足紋が見ら
れるほどになった。
【0038】−実施例17−ヒトの水虫の治癒促進効果
(2) 実施例16とは別に、特に患部からの浸出液が多かった
3人に、実施例3で製造した粉末剤を毎日1回ずつ使用
してもらった。その結果、1ヶ月後には、全員が完治
し、足紋が見られるほどになった。
【0039】
【発明の効果】本発明の癒傷促進性基剤は、生体親和性
及び殺菌性を有するので、患部を刺激することなく創傷
を治療することができ、さらに、患部の炎症をしずめる
ことができる。また、本発明の癒傷促進性基剤では、液
状、粉末状、糸状、シート状、スポンジ状(多孔質)等
の種々の剤形が可能であり、その上、吸水性にも耐水性
にもすることができる。よって、本発明の癒傷促進性基
剤は、創傷の種類に拘わらず適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例13の試験前の状態を撮影した写真であ
る。
【図2】実施例13の4日後の状態を撮影した写真であ
る。
【図3】実施例13の10日後の状態を撮影した写真で
ある。
【図4】実施例13の3週間後の状態を撮影した写真で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA02 BA04 BA08 BA37 MA02 MA32 MA43 MA63 NA14 ZA891 ZA892 ZA902 ZC751 4C086 AA01 AA02 EA04 EA23 MA02 MA03 MA04 MA32 MA43 MA63 NA14 ZA89 ZA90 ZC75

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラクトース基を有するオリゴアルドン酸
    と高分子量ポリアミンとからなる塩を含むことを特徴と
    する癒傷促進性基剤。
  2. 【請求項2】ガラクトース基を有する前記の酸が、ラク
    トビオン酸である請求項1に記載の癒傷促進性基剤。
  3. 【請求項3】前記のポリアミンが、キトサンである請求
    項1又は2に記載の癒傷促進性基剤。
  4. 【請求項4】さらに、殺菌消毒作用を示す化合物を含む
    請求項1〜3のいずれかに記載の癒傷促進性基剤。
  5. 【請求項5】剤形が液状である請求項1〜4のいずれか
    に記載の癒傷促進性基剤。
  6. 【請求項6】保持材に塗布又は含浸され、乾燥している
    請求項5に記載の癒傷促進性基剤。
  7. 【請求項7】剤形が粉末状である請求項1〜4のいずれ
    かに記載の癒傷促進性基剤。
  8. 【請求項8】保持材に添着されている請求項7に記載の
    癒傷促進性基剤。
  9. 【請求項9】糸状、シート状、又はスポンジ状に成形さ
    れている請求項1〜4のいずれかに記載の癒傷促進性基
    剤。
  10. 【請求項10】表面にポリアミンが遊離している請求項
    9に記載の癒傷促進性基剤。
  11. 【請求項11】カルボキシル基とアミノ基とが脱水縮合
    している請求項1〜10のいずれかに記載の癒傷促進性
    基剤。
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