JP2001174275A - ハイブリッド航法およびその装置 - Google Patents
ハイブリッド航法およびその装置Info
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Abstract
において、システム方程式の複雑化によるカルマンフィ
ルタのチューニングの煩雑化の問題を解消し、また電波
航法装置における信号処理による雑音の有色化に伴うカ
ルマンフィルタの更新周期の制限の問題を解消した、ハ
イブリッド航法装置を得る。 【解決手段】 誤差の生成過程をランジュバン方程式で
モデル化することによりシステム方程式を単純化し、有
色の観測雑音をマルコフ過程でモデル化して白色雑音化
することにより、その有色雑音の相関時定数よりカルマ
ンフィルタの更新周期を短縮化できるようにする。
Description
航法とを組み合わせたハイブリッド航法装置に関するも
のである。
複数種の航法手段を組み合わせて、それぞれの欠点を補
うことにより、位置や速度などの測定精度を高めたいわ
ゆるハイブリッド航法装置が採用されている。また、測
定された時系列データから現在の状態(位置や速度等の
測定誤差)を推測するためにカルマンフィルタが用いら
れている。
宇宙技術研究所におけるGPS航法飛行実験について,
日本航空宇宙学会誌,第41巻,第468 号,1991年 1月」
には、全世界測位システム(GPS)と慣性航法システ
ム(INS)とのハイブリッド航法に関して報告されて
いる。このようなGPSとINSとのハイブリッド航法
では、GPSとINSの位置情報または位置と速度の情
報をカルマンフィルタに入力し、状態変数であるINS
の位置(2または3箇)、速度(2または3箇)、加速
度(2または3箇)、方位(1箇)、姿勢(2箇)、ジ
ャイロ(3箇)の誤差を最適推定し、INSの位置、速
度、方位、姿勢を最適推定した誤差で補正して高精度の
位置、速度、方位、姿勢の情報を出力するように構成さ
れている。
タの誤差推定の3つのタイプについて、実際の誤差と推
定誤差の変移の例を示している。ここで、縦軸は誤差の
2乗平均値、横軸は経過時間である。ハイブリッド航法
による位置や速度の精度はカルマンフィルタの誤差の推
定精度に依存している。カルマンフィルタで誤差の最適
推定値を得るためには、図3の(A)に示すように、推
定誤差を実際の誤差より少なく見積もるアンダーエスチ
メイトの状態となったり、(B)に示すように、推定誤
差を実際の誤差より大きく見積もるオーバーエスチメイ
トの状態とならないように、すなわち(C)に示すよう
に、推定誤差が実際の誤差に近似するようにカルマンフ
ィルタを適切にチューニングする必要がある。
に使われる従来のカルマンフィルタの状態変数の箇数は
12以上もあり、しかも例えば速度誤差と方位および姿
勢誤差との間、方位および姿勢誤差と位置誤差との間、
方位と姿勢誤差との間などには相互依存の関係があるた
め、慣性航法装置の測定誤差の生成過程を表すシステム
行列の複雑化に伴ってシステム方程式も複雑になる。
においては、システム方程式が複雑であるため、カルマ
ンフィルタが誤差を最適推定できるように、カルマンフ
ィルタをチューニングすることが煩雑であった。
装置においては、信号処理に伴って測定誤差は自己相関
を持つ有色雑音となる。したがって、観測方程式に含ま
れる観測雑音は有色雑音となってしまう。
測雑音が白色雑音であることと、正則(観測雑音の共分
散行列の逆行列が存在する。)であることが前提になっ
ている。そこで従来は、観測雑音が有色雑音である場合
に、上記前提を満たすために、カルマンフィルタの更新
周期を観測雑音の相関時定数より長く設定することによ
って、観測雑音が実質上白色雑音と見なせるようにして
いる。
長くなると、位置や速度の補正がその更新周期でしかで
きなくなってしまう。
においては、信号処理の結果、観測雑音が一般に有色雑
音となるため、カルマンフィルタの更新周期は観測雑音
の相関時定数に制限され、更新周期が長くなり、誤差推
定の精度も劣化してしまう。
化によるカルマンフィルタのチューニングの煩雑化の問
題を解消し、また電波航法装置における信号処理による
雑音の有色化に伴うカルマンフィルタの更新周期の制限
の問題を解消したハイブリッド航法装置を提供すること
にある。
置と慣性航法装置による観測値をそれぞれ入力し、カル
マンフィルタにて慣性航法装置の観測値を補正するハイ
ブリッド航法装置であり、慣性航法装置の測定誤差の生
成過程をランジュバン方程式でモデル化した、測定誤差
を状態変数とするベクトルX、相関時定数により定まる
システム行列Aおよびシステム雑音uによるシステム方
程式を離散時間系に変換した式Xk =Ak- 1 Xk-1 +u
k-1 (kは時間ステップ)を離散系システム方程式と
し、電波航法装置の有色雑音である測定誤差をマルコフ
過程でモデル化して観測雑音を白色雑音とした、前記ベ
クトルX、観測行列Hおよび観測雑音wによる観測方程
式を離散時間系に変換した式Zk =Hk Xk +wk (k
は時間ステップ)を離散系観測方程式とし、前記離散系
システム方程式と前記離散系観測方程式とから構成した
カルマンフィルタを用いる。
ン方程式でモデル化し単純化することによりチューニン
グを簡単にする。また、観測方程式に含まれる雑音を白
色雑音化することにより、カルマンフィルタの更新周期
を短くできるようにする。
ハイブリッド航法装置の構成を示すブロック図である。
ここで、INS1はジャイロと加速度計を用いて、それ
らが装備された航空機の位置を速度等を求める慣性航法
装置、GPS受信機2はGPS衛星からの電波を受信し
て航空機の位置と速度を測定する装置である。3はハイ
ブリッド航法装置であり、INS1とGPS受信機2か
らそれぞれ位置と速度の情報を入力し、INSの位置と
速度の誤差を推定し、この推定した誤差でINSの位置
と速度を補正することによって、高精度の位置と速度情
報を出力する。
フィルタ4は、INS航法装置1とGPS受信機2から
入力された、それぞれの位置と速度の情報からINSの
位置と速度の誤差を最適推定する。
ついて、従来の欠点を解消したハイブリッド航法装置に
ついて説明する。
め、カルマンフィルタのチューニングが煩雑となってい
た。この発明ではまず、システム方程式を単純化するこ
とによりチューニングを簡単にする。
誤差が要因となって発生する。そのうちの70%以上が
ジャイロの誤差に依存しており、加速度計の誤差の影響
は少ない。このことは「早川、星野;慣性航法装置の慣
性素子,日本航空宇宙学会誌,Vol.31,1983年 6月」に
示されている。INSの位置誤差の分散とジャイロの誤
差の関係は〔数1〕で与えられる。この関係は「Diesel
J.W;GPS/INSINTEGRATION BY FUNCTIONAL PART
ITIONING」に示されている。
散Q(t) は、シューラ周期84.4分の1/4周期以上
の時間が経過すると、時間に比例する項が振動項よりも
優勢になり、1シューラ周期以降は、時間に比例する項
が振動項の5倍以上になって、振動項が無視できる。す
なわち、1シューラ周期以降は、INSの位置誤差の分
散は時間に略比例して大きくなっていく。
バン(Langevin)方程式でモデル化できることを示して
いる。
〔数2〕で表し、ランジュバン方程式でモデル化する
と、Aをシステム行列、uをシステム雑音としてシステ
ム方程式は〔数3〕で表される。ただし、Tは転置を示
す。
バン方程式でモデル化することにより、システム方程式
は極めて単純化できた。相関時定数τ1 と北方向および
東方向の加速度誤差un =ue はシステム方程式の設計
要素であり、システムの設計により定まる。なお、〔数
3〕でX′と示したように、微分を意味する′(ドッ
ト)付き記号を以下2文字で表す。
とすると、観測方程式は〔数4〕で表すことができる。
は、受信信号に含まれるマルコフ性の電離層遅れによ
り、また、受信信号に含まれる擬似雑音符号を位相追尾
して測定位置を更新する処理等を行うことにより、自己
相関を持つ有色雑音になり、したがって、観測方程式に
含まれる観測雑音は有色雑音となってしまう。
ら、前述したように、カルマンフィルタの更新周期を相
関時定数より短くすることはできなかったが、この発明
ではこの制限を除くために、有色雑音を確率過程でモデ
ル化することにより、カルマンフィルタの理論の前提を
満たす表示形式に〔数4〕を変形する。
および東方向の位置誤差(νn ,ν e )が、分散σ3 2、
相関時定数τ2 をもつマルコフ過程(1次マルコフ過
程)でモデル化した場合について説明する。
νn ,νe の自己相関関数は
ンの自己相関関数とパワースペクトルとの関係より、
〔数6〕のように、白色雑音wで駆動される方程式で表
すことができる。
4〕、〔数6〕を使って整理すると、〔数7〕が得られ
る。
Yとおくと、〔数7〕は〔数8〕になる。
測でき、新たにZを観測値、Hを観測行列として、〔数
8〕を観測方程式とすれば、〔数8〕は、観測雑音が白
色雑音wであるので、カルマンフィルタの理論の前提を
満たす表示形式に変形した観測方程式になる。ここで相
関時定数τ2 と観測雑音wn =we は観測方程式の設計
要素であり、設計により定まる。例えば、GPS受信機
の測定位置の誤差を収集し、誤差の自己相関関数を求め
ることにより、τ2 ,wn ,we を決定する。
続時間系から更新周期Δの離散時間系に変換すると、シ
ステム方程式は〔数9〕となり、観測方程式は〔数1
0〕となる。ここで、kは0以上の整数であり、k番目
の時刻はΔkで表される。この連続時間系から離散時間
系の変換については「有本著;カルマン・フィルタ,産
業図書,昭和52年」に示されている。
フィルタの式のパラメータを決定する方法は周知技術で
あるので、ここではシステム方程式〔数9〕と観測方程
式〔数10〕から導いたカルマンフィルタの式のみを
〔数11〕〜〔数15〕に示す。
ト)付き記号を以下2文字で表す。
タは、状態変数をランジュバン方程式でモデル化するこ
とにより、単純化したシステム方程式と、有色の観測雑
音を1次マルコフ過程でモデル化することにより、白色
の観測雑音をもつ表示形式に変形した観測方程式とを基
にして構成されている。
む場合は、有色雑音をシステム方程式に組み込むことに
より、前述のカルマンフィルタと同様のカルマンフィル
タが構成できる。
3の処理手順の一例を、図2を参照して説明する。先
ず、上記システム方程式のAk=0 ,Uk=0 、観測方程式
のHk=0 ,Wk=0 を設定する。Ak=0 は〔数9〕で示し
たシステム行列であり、相関時定数τ1 で定まり、U
k=0 は同じく〔数9〕で示した加速度誤差uの共分散行
列にΔを乗じたものであり、これらの値は設計要素であ
る。また、Hk=0 は〔数10〕に示した観測行列であ
り、相関時定数τ2 で定まり、Wk=0 は〔数6〕で示し
た白色雑音wの共分散行列に1/Δを乗じたものであ
り、これらの値も設計要素である。
初期値Pk=0 を設定する。
受信機2より北方向の位置XN ,東方向の位置XE ,北
方向の速度VN ,東方向の速度VE をそれぞれ読み込
む。また、INS航法装置1より北方向の位置XCN,東
方向の位置XCE,北方向の速度VCN,東方向の速度VCE
をそれぞれ読み込む。
^ k/k-1 を〔数11〕から求める。ここで〔数11〕の
Ak は〔数9〕に示したように、kに係わらず一定であ
り、上記設定値Ak=0 を用いる。
から求める。ここでUk は〔数9〕に示したように北方
向および東方向の加速度誤差un ,ue で決定されるの
で、kに係わらず一定であり、上記設定値Uk=0 を用い
る。
から求める。ここでHk は〔数10〕に示したようにk
に係わらず一定であり、上記設定値Hk=0 を用いる。ま
た、Wk も〔数10〕に示したように、kに係わらず一
定であり、上記設定値Wk=0を用いる。
15〕から求める。そして、事後推定値Xk/k を〔数1
4〕から求め、これを出力する。
ことにより、推定誤差が急速に減少し、図1に示したハ
イブリッド航法装置3から、誤差分の補正された位置お
よび速度のデータが出力される。
播式の更新周期をΔ/N(N:2以上の整数)として、
カルマンフィルタの更新周期(誤差推定周期)より短時
間周期で、INSの位置と速度の推定誤差を、その推移
を補外することにより求め、INSの位置と速度を補正
してもよい。
速度を求めるものであったが、同様にして3次元の位置
と速度を求めることもできる。
情報が得られるほか、次の利点がある。 (1) システム方程式をランジュバン方程式でモデル化す
ることにより、システム方程式形式が単純となるため、
設計要素が少なくなって、カルマンフィルタのチューニ
ングが容易になる。また、システム方程式の形式が単純
となるため、カルマンフィルタのチューニング時のシミ
ュレーションと実際の環境とが少し異なっていても、実
際の運用時に大きな推定誤差が生じることがなく、いわ
ゆるロバスト性も高まる。
モデル化し、観測方程式を白色の観測雑音をもつ表示形
式に変形することにより、カルマンフィルタの更新周期
は、観測雑音の相関時定数に制限されることなく、任意
に設定できる。そのため、カルマンフィルタの更新周期
を短くでき、誤差推定の精度が劣化することもない。
NSと、ストラップダウン方式のINSとで異なるが、
カルマンフィルタのアルゴリズムは同一となるので、カ
ルマンフィルタの演算処理部分を変えることなく、いず
れのタイプの慣性航法装置を用いたハイブリッド航法装
置にも適用できる。
置の構成を示す図
すフローチャート
す図
Claims (2)
- 【請求項1】 電波航法装置と慣性航法装置の測定値か
ら、カルマンフィルタにて慣性航法装置の測定誤差を推
定し、補正するハイブリッド航法において、 慣性航法装置の測定誤差の生成過程をランジュバン方程
式でモデル化した、測定誤差を状態変数とするベクトル
X、相関時定数により定まるシステム行列Aおよびシス
テム雑音uによるシステム方程式を離散時間系に変換し
た式Xk =Ak- 1 Xk-1 +uk-1 (kは時間ステップ)
を離散系システム方程式とし、 電波航法装置の有色雑音である測定誤差をマルコフ過程
でモデル化して観測雑音を白色雑音とした、前記ベクト
ルX、観測行列Hおよび観測雑音wによる観測方程式を
離散時間系に変換した式Zk =Hk Xk +wk (kは時
間ステップ)を離散系観測方程式とし、 前記離散系システム方程式と前記離散系観測方程式とか
ら構成したカルマンフィルタを用いたハイブリッド航
法。 - 【請求項2】 電波航法装置と慣性航法装置の測定値を
それぞれ入力し、カルマンフィルタにて慣性航法装置の
測定誤差を推定し、補正するハイブリッド航法装置にお
いて、 慣性航法装置の測定誤差の生成過程をランジュバン方程
式でモデル化した、測定誤差を状態変数とするベクトル
X、相関時定数により定まるシステム行列Aおよびシス
テム雑音uによるシステム方程式を離散時間系に変換し
た式Xk =Ak- 1 Xk-1 +uk-1 (kは時間ステップ)
を離散系システム方程式とし、 電波航法装置の有色雑音である測定誤差をマルコフ過程
でモデル化して観測雑音を白色雑音とした、前記ベクト
ルX、観測行列Hおよび観測雑音wによる観測方程式を
離散時間系に変換した式Zk =Hk Xk +wk (kは時
間ステップ)を離散系観測方程式とし、 前記離散系システム方程式と前記離散系観測方程式とか
ら前記カルマンフィルタを構成したハイブリッド航法装
置。
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