JP2001173914A - ラジアントチューブの燃焼用空気ノズル - Google Patents

ラジアントチューブの燃焼用空気ノズル

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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼材加熱炉等のラジアントチューブに装着され
るバーナーの構成部品である燃焼用空気ノズルの酸化消
耗、変形等を抑制防止しその耐久性を高める。 【解決手段】この燃焼用空気ノズルは、耐熱合金又はセ
ラミック焼結体からなる円筒体をノズル基体(21)と
し、該基体(21)の内周面と外周面とに、セラミックフ
ァイバからなるブランケット等の可撓性を有する円筒状
の成形体(22)(23)を嵌装した多重構造を有している。
ノズル基体(21)が金属製円筒体である場合は、その外
周面を溶射皮膜(24)で被覆した多重構造としてもよい。
ノズル基体(21)の内外周面をセラミックスリーブ(2
2)(23)で被覆する場合は、その断熱効果によりノズル
基体(21)としてセラミック焼結品を適用することもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材熱処理炉等の
加熱炉内に配設されるラジアントチューブのバーナーを
構成する燃焼用空気ノズルの耐久性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ラジアントチューブは、バーナーの燃焼
火炎により加熱されて赤熱状態となり、輻射熱を放出し
て炉内の被処理材を所定温度に加熱する。図3におい
て、1はラジアントチューブであり、炉壁(2)(2)
間に架設され、該チューブ(1)の開口端部にバーナー
(10)が装着されている。バーナー(10)は、図4
に示すように、ラジアントチューブ(1)の軸心と一致
するようにチューブ内に挿入設置される燃焼用空気ノズ
ル(20)とその周囲に配置される燃料ノズル(3
0)、および付属部品(パイロットボディなど。図示せ
ず)等で構成されている。
【0003】上記バーナー(10)の燃焼用空気ノズル
(20)として、従来Cr−Ni系耐熱合金(JIS G512
2 SCH12, SCH15, SCH22, SCH24等)からなる円筒体が使
用されている。燃焼用空気ノズル(20)は、高温燃焼
炎(F)の輻射熱および燃焼ガスの酸化作用を受けて消
耗し易く、また酸化消耗の局在化等によりしばしば変形
する。燃焼用空気ノズル(20)の変形は、ラジアント
チューブの局所的加熱および温度分布の偏りを助長し、
該チューブの熱変形・酸化消耗を加速させ、耐用寿命を
損なう原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】燃焼用空気ノズル(2
0)の酸化消耗及び変形を抑制防止する手段として、該
ノズルの内周面・外周面を、耐熱・耐酸化性を有する溶
射皮膜で被覆保護することが考えられる。しかし、溶射
皮膜を燃焼用空気ノズルの外周面に形成することはでき
るが、内周面に対する溶射施工は不可能である。燃焼用
空気ノズル(20)の内径が溶射施工の可能な大きさを
有しないからである。燃焼用空気ノズル(20)の外周
面を溶射皮膜で被覆保護しただけでは、酸化消耗の抑制
防止効果を十分なものとすることはできない。また、溶
射により形成することができる膜厚は、厚くても数百μ
m程度であり、断熱効果に乏しく、溶射皮膜による変形
防止効果は少ない。
【0005】別法として、燃焼用空気ノズル(20)と
して、セラミック焼結体からなる円筒体を適用すること
が考えられる。しかし、セラミックは脆性材料であり、
昇降温が繰り返される実機使用環境において、熱衝撃に
よる破損を生じ易く、構造部材としての安定性に欠け
る。本発明は、燃焼用空気ノズルの酸化消耗・熱変形等
を効果的に抑制防止し、改良された耐用寿命を付与する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るラジアント
チューブの開口端部に装着されるバーナーを構成する燃
焼用空気ノズルは、耐熱合金またはセラミック焼結体か
らなる円筒体を空気ノズル基体とし、そのノズル基体の
内周面および外周面に、セラミックスファイバからなる
可撓性を有する円筒状成形体であるスリーブが嵌装され
た多重構造を有している。
【0007】また、本発明の燃焼用空気ノズルは、空気
ノズル基体の外周面に、セラミックファイバーからなる
可撓性の円筒状成形体であるスリーブを嵌装する構成に
代え、その外周面を溶射皮膜で被覆した多重構造が与え
られる。
【0008】本発明の燃焼用空気ノズルは、空気ノズル
基体の内周面と外周面とが、セラミックファイバからな
る可撓性を有する円筒形状の成形体(以下「セラミック
スリーブ」と称する)、またはセラミックスリーブと溶
射皮膜とで被覆されていることにより、高温燃焼炎・燃
焼ガスの熱輻射および酸化作用が遮断される。この被覆
保護効果により、酸化消耗および変形等が低減緩和され
る。また、セラミックスリーブは、断熱効果として空気
ノズル基体の肉厚方向の温度勾配および昇降温に伴う熱
応力を低減し、その変形及び亀裂等の発生を抑制防止す
る。空気ノズル基体の内外両面をセラミックスリーブで
被覆した多重構造における断熱保護効果は顕著であり、
空気ノズル基体として、耐熱合金のほか、脆性材料であ
るセラミック焼結品を適用することも可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の燃焼用空気ノズルについ
て、図面を参照して具体的に説明する。図1において、
(21)は空気ノズル基体、(22),(23)はセラ
ミックスリーブである。セラミックスリーブ(22)と
(23)のそれぞれは、空気ノズル基体(21)の内周
面と外周面とに嵌装されて多重構造を形成している。図
2に示した空気ノズル(20)は、上記と異なる多重構
造を有している。この空気ノズル基体(21)の内周面
は、図1のそれと同じようにセラミックスリーブ(2
2)を嵌装されているが、外周面は、図1のセラミック
スリーブと異なって、溶射皮膜(24)で被覆された多
重構造が与えられている。
【0010】空気ノズル基体(21)は、耐熱合金の鋳
造もしくは塑性加工等による円筒体、またはセラミック
焼結品としての円筒体である。耐熱合金は、従来の空気
ノズル材であるCr−Ni系耐熱合金などの各種材種、
セラミックは、窒化珪素,アルミナ,炭化珪素,窒化珪
素,ジルコニア、その他の各種材種が選択使用される。
【0011】セラミックスリーブ(22)(23)は、
前記のように、セラミックファイバからなる可撓性を有
する円筒体である。このものは、例えば、セラミックフ
ァイバにバインダーを添加して調製した組成物をモール
ドで円筒形状に成形し、乾燥・焼成して得られる成形
体、またはバルクファイバーを水中に分散しバインダー
を加えて金網抄造等で所要厚さに積層した後、脱型・乾
燥してブランケットを得、これを円筒状に賦形し両端縁
を耐熱性の接着剤で接合して円筒体に仕上げたもの、あ
るいはセラミックファイバーを積層しながらニードル加
工を施したブランケットを円筒状に丸めて耐熱性接着剤
で接合することにより形成される円筒体等である。セラ
ミックの材種は、例えばアルミナ,窒化珪素,炭化珪
素,ジルコニア等の各種材種から適宜選択される。
【0012】上記セラミックスリーブ(22)(23)
の好ましい例として、商品名「TOMBO No.5410」[ファ
イバー材種:アルミナ,耐用温度(℃):1400〜1500,密
度(g/cm):約0.7,熱伝導率0.23kcal/m・hr・℃(≒
0.27W/m・K)[ニチアス(株)製]であるセラミックファ
イバのブラッケットからなる円筒体が挙げられる。
【0013】セラミックスリーブ(22)(23)の望
ましい肉厚は、その材種や嵩比重、その他の物性により
異なるが、約数mm〜十数mm(代表的には約10m
m)である。この肉厚は溶射皮膜の膜厚(厚くても数百
μm)に比し著しく厚い。このセラミックスリーブの断
熱効果は大であり、ノズル基体(21)の偏熱、温度勾
配等を低減すると共に、昇降温に伴う熱衝撃を効果的に
緩和する。ノズル基体(21)の内外両面にセラミック
スリーブ(22)(23)を装着する多重構造において
は、この断熱効果により、ノズル基体(21)として脆
性材料であるセラミック焼結品を使用することも可能で
ある。
【0014】空気ノズル基体(21)として耐熱合金等
の金属製円筒体を使用し、その中空孔内にセラミックス
リーブ(22)を装着した多重構造とする場合、金属と
セラミックスの熱膨張率の差(一般に金属の熱膨張率は
セラミックのそれより著しく大である)のために、バー
ナーの燃焼運転におけるノズル基体(21)の昇温に伴
って、両者の界面に隙間を生じるが、その隙間幅は小さ
く(約1mm程度)、従ってノズル基体(21)に対す
るスリーブ(22)の保護機能は失われない。
【0015】また、金属製ノズル基体(21)の外周面
にセラミックスリーブ(23)を装着した構造におい
て、ノズル基体(21)の熱膨張のためにスリーブ(2
3)に引張り応力が作用しスリーブ(23)に亀裂・破
断を生じるおそれがある場合には、その熱膨張量を見込
んでスリーブ(23)の内径をやや大きめに設定して、
適当な隙間幅(約1〜2mm)を与えておけばよい。こ
の隙間幅は、バーナーの燃焼運転によるノズル基体(2
1)の熱膨張に伴って減少し、両者はほぼ密着した状態
となるので、ノズル基体(21)の外周面に対する保護
機能が損なわれることはない。
【0016】空気ノズル基体(21)にセラミックスリ
ーブ(22)(23)を装着した場合、そのままでは両
者の係合関係が不安定であるが、その対策として、例え
ば図1,図2に示すように、ノズル基体(21)とセラ
ミックスリーブ(22)(23)とを貫通する小孔(2
5)を適宜の個所に設け、これにボルトないしピン(2
6)を挿通し、両者を緩やかに(熱膨張による体積変化
や熱膨張量の差異等によるひずみが生じない程度の隙間
をもたせて)係合させておけば、スリーブ(22)(2
3)の位置ずれ・脱落等の不具合を生じることはない。
【0017】ノズル基体(21)の外周面に対する溶射
施工は可能であるので、ノズル基体(21)として金属
製円筒体を使用する場合において、図2に示すように、
その外周面を溶射皮膜(24)で被覆した多重構造とす
ることもできる。溶射材は、耐熱・耐酸化性の溶射材料
として公知の各種材料を適宜使用することができるが、
好適な溶射材の例として、Al、またはAl−Si合金(Si含
有量:0.5〜15重量%)が挙げられる。
【0018】上記Al系溶射皮膜は、バーナーの燃焼運
転環境で高温に加熱されてノズル基体(21)の表面に
強固に結合すると共に、燃焼ガスの接触により皮膜表面
に緻密なアルミナ(AlO)を生成し、卓抜した耐酸
化消耗性を示す。また、上記Al系溶射皮膜をアンダー
コートとし、これにCr:5-25%,Al:1-29%,Y:0-5%,Si:0
-14%,残部Ni,Coの1種又は2種からなる耐熱合金をト
ップコートとして溶射施工した積層溶射皮膜を形成する
ことにより、耐酸化消耗性を更に増強することができ
る。
【0019】本発明の燃焼用空気ノズル(20)を燃料
ノズル(30)に組み付けて形成されるバーナー(1
0)の構成およびラジアントチューブへの設置態様は、
従来のそれと同様に行えばよい。図3では、ラジアント
チューブの一方の側にバーナー(3)を設置した形態を
示しているが、チューブ(1)の両側端にバーナーが設
置される交番燃焼方式にも同様に適用される。
【0020】
【発明の効果】本発明の燃焼用空気ノズルは、その内外
周面を、高温燃焼炎・燃焼ガスから遮断保護された多重
構造であることにより、酸化消耗、熱変形、亀裂等の損
傷が効果的に抑制防止され、耐久性が高められると共
に、ラジアントチューブの局所加熱や温度分布の偏りを
抑制防止し、ラジアントチューブの耐用寿命の改善効果
をもたらすものである。また、燃焼用空気ノズルを構成
するセラミックスリーブの装着操作は、溶射施工に比し
著しく簡単・容易であり、燃焼用空気ノズルの低コスト
化にも大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼用空気ノズルの実施例を示す軸方
向断面図である。
【図2】本発明の燃焼用空気ノズルの他の実施例を示す
軸方向断面図である。
【図3】ラジアントチューブのバーナー部を示す管軸方
向断面図である。
【図4】加熱炉内のラジアントチューブを示す管軸方向
断面図である。
【符号の説明】
1:ラジアントチューブ 2:炉壁 10:バーナー 20:燃焼用空気ノズル 21:ノズル基体 22:セラミックスリーブ 23:セラミックスリーブ 24:溶射皮膜 25:係合用小孔 26:ピン(ボルト) 30:燃料ノズル F:燃焼火炎

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジアントチューブの開口端部に装着さ
    れるバーナーを構成する燃焼用空気ノズルであって、耐
    熱合金又はセラミック焼結体からなる円筒体を空気ノズ
    ル基体とし、そのノズル基体の内周面および外周面に、
    セラミックファイバからなる可撓性を有する円筒状成形
    体であるスリーブが嵌装されている多重構造を有する耐
    酸化消耗性・耐変形性等に優れた燃焼用空気ノズル。
  2. 【請求項2】 ラジアントチューブの開口端部に装着さ
    れるバーナーを構成する燃焼用空気ノズルにおいて、耐
    熱合金からなる円筒体を空気ノズル基体とし、そのノズ
    ル基体の内周面に、セラミックファイバからなる可撓性
    を有する円筒状成形体であるスリーブが嵌装され、外周
    面に溶射皮膜が形成されている多重構造を有する耐酸化
    消耗性・耐変形性等に優れた燃焼用空気ノズル。
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