JP2001171446A - 車体用エネルギー吸収部材 - Google Patents

車体用エネルギー吸収部材

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JP2001171446A
JP2001171446A JP35604799A JP35604799A JP2001171446A JP 2001171446 A JP2001171446 A JP 2001171446A JP 35604799 A JP35604799 A JP 35604799A JP 35604799 A JP35604799 A JP 35604799A JP 2001171446 A JP2001171446 A JP 2001171446A
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energy absorbing
vehicle body
bumper
absorbing member
collision
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Hiroshi Karizume
浩志 狩集
Toru Hashimura
徹 橋村
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現行のバンパー補強材やドアビーム等のエ
ネルギー吸収部材のデザインや設計条件を大幅に変更す
ることなく、バンパー補強材圧壊時の最大荷重を低減し
つつ、バンパーステイの打ち抜き現象の防止も達成で
き、車両の衝突時のエネルギー吸収性能を高めることが
できるエネルギー吸収部材を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 断面形状が略矩形の中空構造を有し、
アルミニウム合金製押出形材からなり、略水平方向に延
在して用いられる車体用エネルギー吸収部材1 であっ
て、車体用エネルギー吸収部材1 における車体フレーム
7 の端部と連結される両端部分のウエブ3a、3bの両外壁
面に、部分的な凹み6a、6bを予め設け、車体用エネルギ
ー吸収部材1 に対する略水平方向からの荷重に対して、
前記部分的な凹み6a、6bを起点に、前記両端部分のウエ
ブ3a、3bが中空構造の内側に屈曲するように構成したこ
ととしたことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に車体衝突時の
エネルギー吸収性能に優れたアルミニウム合金製(以
下、アルミニウムを単にAlと言う)押出形材からなる車
体用エネルギー吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体には、バンパー補強材やド
アビーム等の車体用エネルギー吸収部材が設けられてい
る。この内、例えば、車体の前端および後端に取り付け
られているバンパーの内部には、強度補強部材としての
バンパー補強材 (バンパーリインフォースメント、或い
はバンパーレインフォースなどとも言う) が設けられて
いる。このバンパー補強材は、周知の通り、バンパース
テイを介して、あるいは直接フロントサイドメンバやリ
ヤサイドメンバ等、車体前後方向の骨格部材の車体フレ
ーム (車体メンバ) に連結、固定されて構成されてい
る。また、前記ドアビームなどはブラケットなどを介し
てドアフレームに連結、固定されて構成されている。
【0003】今、バンパー補強材の場合を例にすると、
より具体的には、例えば特開平4-31152 号公報等に開示
されているように、車体長手方向に延在するフロントサ
イドメンバの前部に、断面形状が略矩形 (口形) の中空
構造のバンパーステイーを介して、同じく中空構造のバ
ンパー補強材を略車幅方向 (略水平方向) 固定、延在さ
せる構造である。そして、このような構造とすることに
よって、車体の前方からの衝突に対し、バンパー補強材
が横方向( 略水平方向) に圧壊、およびバンパーステイ
ーが軸方向に圧壊して衝突エネルギーを吸収する。
【0004】したがって、これらバンパー補強材や、バ
ンパーステイには、車体の衝突により加わった外力のエ
ネルギー (衝突エネルギー) を、自らの塑性変形 (座屈
変形) により吸収し、前記車体メンバ等を保護する性能
が求められる。
【0005】近年、これらバンパー補強材やバンパース
テイ、或いはフロントサイドメンバやリヤサイドメンバ
等に、軽量化のために、従来使用されていた鋼材に代わ
って、5000系、6000系、7000系等の高強度Al合金製の押
出形材 (長手方向に同一断面形状を有する形材) が使用
され始めている。
【0006】Al合金は、鋼などに比して、前記エネルギ
ー吸収性能に優れる。また、長手方向に同一断面形状を
有するAl合金製押出形材は、バンパー補強材、バンパー
ステイなどに汎用されている、剛性に優れた断面形状が
略矩形の中空構造を、効率的に、かつ大量に製造するこ
とが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような断
面形状が略矩形の中空構造を有し、Al合金製押出形材か
らなるバンパー補強材を用いた場合、バンパー補強部材
に対する略水平方向からの荷重 (車両の衝突時の) に対
して、バンパー補強部材の圧壊時の最大荷重 (水平方向
に変形するのに必要な荷重) が高く、また、衝突エネル
ギーの吸収性能も低くなる場合があるという問題を生じ
る。
【0008】例えば、図5(a)に具体例を示す通り、従来
のAl合金製押出形材からなるバンパー補強材101 は、前
壁部104 と後壁部105 とを2 つのウエブ (側壁)103 a
103 b により接続した断面形状が口形の形状を有してい
る。そして、図示しないフロントサイドメンバの前部
に、Al合金製押出形材や鋼材からなる、断面形状が略矩
形の中空構造のバンパーステイ102 を介して固定されて
いる。なお、バンパー補強材101 とバンパーステイ102
とは、溶接あるいはボルト等の締結具107 等により互い
に固定されている。
【0009】ここにおいて、図5(b)に示す通り、車両の
衝突時に、バンパー補強材101 に対し、略水平方向から
大きな荷重F が加わった場合、バンパー補強材101 は横
圧壊(水平方向に変形) 状態となる。この時、バンパー
補強材101 の中空構造におけるウエブ103 a 、103 b
は、ウエブの立脚方向 (水平方向) に力がかかる結果、
通常、曲げ変形箇所107 を起点に、ウエブ103 a 、103
b が中空構造の外側方向に変形、座屈する。この結果、
バンパー補強材101 が衝突エネルギーの吸収を行い、フ
ロントサイドメンバ等の車体メンバ類が圧壊するのを保
護する。
【0010】この際、断面形状が略矩形の中空構造のバ
ンパー補強部材101 の前記圧壊時の最大荷重は、図4 で
後述する通り、必然的に高い。したがって、この最大荷
重が、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類の、車種
等によって異なる、許容荷重(強度) よりも高い場合に
は、車両の衝突時において、バンパー補強部材101 の変
形による十分なエネルギー吸収が行われるよりも先に、
フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に衝突時の荷重
がかかり、これら車体メンバ類に損傷を与えることにつ
ながる。
【0011】一方、バンパー補強材101 の変形が生じ
て、前記ウエブ103 a 、103 b の中空構造の外側方向へ
の変形が進んでも、衝突荷重が大きい場合などでは、図
5(b)に示す通り、ウエブ103 a 、103 b と後壁部105 と
の接続箇所 (コーナー部)106や、曲げ変形箇所107 等で
割れが生じる場合がある。この割れが生じると、割れが
生じた後では、バンパー補強材101 の変形が生じず、バ
ンパー補強材101 によるエネルギー吸収が行われないこ
とにつながる。したがって、車両の衝突時において、Al
合金製押出形材からなるバンパー補強材では、衝突のエ
ネルギー吸収量が不足して、フロントサイドメンバ等の
車体メンバ類に損傷を与えることにつながる。
【0012】また、更に前記バンパー補強材101 の変形
(圧壊) が進む乃至大きな荷重が加わると、図5(c)に示
す通り、バンパー補強材101 を支持するバンパーステイ
102が、その前端部で接しているバンパー補強材101 の
後壁部105 を突き抜けて、バンパー補強材101 の中空構
造内に侵入する、いわゆるステイの打ち抜き現象が生じ
る場合がある。
【0013】このステイの打ち抜き現象が生じた場合、
これより後では、バンパー補強材101 の変形が生じず、
バンパー補強材101 によるエネルギー吸収が行われない
ことになる。したがって、このステイの打ち抜き現象が
生じた場合、車両の衝突時における、バンパー補強材10
1 のエネルギー吸収量が不足して、フロントサイドメン
バ等の車体メンバ類に損傷を与えることにつながる。ま
た、バンパー補強材101 の荷重変位特性における、衝突
初期のピーク荷重が高くなり、衝突初期のピーク荷重時
に、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与
える可能性もある。
【0014】これに対し、衝突のエネルギー吸収量を大
きくするために乃至ステイの打ち抜き現象を防止するた
めに、バンパー補強材101 を構成するAl合金自体を高強
度化する、或いはウエブ103 a 、103 b や後壁部105 の
Al合金の厚みを厚くする、バンパー補強材に、断面形状
が目形、日形、田形等の中リブを設けて補強する等の方
法が考えられる。
【0015】しかし、Al合金材を高強度化した場合に、
押出等の形材製造や曲げ等の形材の成形加工が難しくな
るとともに、割れが生じやすく、却って、衝突のエネル
ギー吸収量を小さくしたり、ステイの打ち抜き現象を助
長することにもつながる。また、単にAl合金材の厚みを
厚くしたり、前記中リブを設けた場合、重量が増加し
て、Al合金による軽量化の利点が損なわれるとともに、
バンパー補強材が塑性変形しにくくなり、却って、車両
の衝突時におけるエネルギー吸収量が不足する。更に、
単にAl合金材の厚みを厚くしたり、前記中リブを設けた
場合、バンパー補強材圧壊時の最大荷重が、サイドメン
バーの許容荷重以上に高くなり、却って、フロントサイ
ドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与える可能性も高
い。
【0016】したがって、これまで以上に、バンパー補
強材に対して、衝突エネルギー吸収量の増大やバンパー
補強材圧壊時の最大荷重の低減、およびステイの打ち抜
き現象の防止が求められている。そして、これに対し、
バンパー補強材の構造面や設計面からの改善が求められ
ている (ドアビーム等の他のAl合金製車体用エネルギー
部材でも同様) 。にも拘わらず、バンパー補強材の構造
や設計を大幅に変更した場合には、他の車体メンバやバ
ンパーステイ等の設計変更や車体自体の設計変更につな
がる可能性もあり、このような変更は許容できない。
【0017】この点、現行のバンパー補強材のデザイン
や設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善によ
り、前記衝突エネルギー吸収量の増大やバンパー補強材
圧壊時の最大荷重の低減、および打ち抜き現象の防止を
はかることができれば、それにこしたことはないが、効
果的かつ効率的な改善策はこれまでに無かったのが実情
である。
【0018】したがって、本発明の目的は、現行のバン
パー補強材やドアビーム等のエネルギー吸収部材のデザ
インや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善
により、バンパー補強材圧壊時の最大荷重を低減しつ
つ、衝突エネルギー吸収量の増大を達成し、前記打ち抜
き現象の防止も達成でき、車両の衝突時のエネルギー吸
収性能を高めることができる、Al合金製押出形材からな
るエネルギー吸収部材を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明Al合金製押出形材からなる車体用エネルギー
吸収部材の要旨は、断面形状が略矩形の中空構造を有
し、アルミニウム(Al)合金製押出形材からなり、略水平
方向に延在して用いられる車体用エネルギー吸収部材で
あって、車体用エネルギー吸収部材における車体フレー
ムの端部と連結される両端部分のウエブの両外壁面に、
部分的な凹みを予め設け、車体用エネルギー吸収部材に
対する略水平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹
みを起点に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に
屈曲するように構成したことである。
【0020】請求項1の車体用エネルギー吸収部材は、
断面形状が略矩形の中空構造を有するAl合金製押出形材
からなることを前提に、車体用エネルギー吸収部材の両
端部分のウエブの両外壁面に、部分的な凹みを、該凹み
を起点に前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲
するように、予め設けている。この結果、現行の車体用
エネルギー吸収部材のデザインや設計条件を大幅に変更
することなく、簡単な改善により、車体用エネルギー吸
収部材に対する略水平方向からの荷重に対して、バンパ
ー補強材圧壊時の最大荷重を低減しつつ、衝突エネルギ
ー吸収量の増大を達成し、前記打ち抜き現象の防止も達
成することが可能となる。
【0021】また、請求項2の車体用エネルギー吸収部
材は、ウエブの両外壁面に設けた部分的な前記凹みが、
車体用エネルギー吸収部材の長手方向が長軸、幅方向が
短軸となるような略楕円形の形状であるため、車体用エ
ネルギー吸収部材に対する略水平方向からの荷重に対し
て、該凹みを起点に前記両端部分のウエブが中空構造の
内側に、より屈曲しやすくすることができる。
【0022】更に、請求項3の車体用エネルギー吸収部
材は、前記効果を得る凹みを、エンボス加工により、ウ
エブの両外壁面に、部分的に、かつ簡便に設けることが
可能となる。
【0023】そして、請求項4の車体用エネルギー吸収
部材は、Al合金として、AA乃至JIS5000系、6000系、700
0系から選択される、成形性が良くかつ高強度の規格Al
合金を用いるので、押出加工等、車体用エネルギー吸収
部材への製造がしやすく、かつ、より衝突エネルギー吸
収量の増大を達成し、前記打ち抜き現象の防止も達成す
ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
つき、バンパー補強部材の場合について、図面を用いて
説明する。
【0025】本発明では、前記した通り、現行の車体用
エネルギー吸収部材のデザインや設計条件を大幅に変更
することなく、簡単な改善により、前記打ち抜き現象を
防止し、車両の高速衝突時のエネルギー吸収性能を高め
る。このため、バンパー補強部材の基本的な構造および
バンパー補強部材とバンパーステイとの締結方法 (図示
しない) などは、前記した図5(a)の従来の中空構造のバ
ンパー補強部材と同じである。
【0026】即ち、図1(a)に斜視図、(b) に平面図で、
本発明に係るバンパー補強部材の一実施態様を示す通
り、バンパー補強部材1 は、前壁部4 と後壁部5 とを、
2 つのウエブ 3 a、3 b により接続した断面形状が口形
の中空一体構造を有している。そして、この中空一体構
造は、Al合金製押出形材からなり、長手方向に渡って断
面形状は同一である。本発明に係るバンパー補強部材の
断面形状は、軽量化の点からは、口形の中空構造が好ま
しいし、口形の軽量中空構造で可能である。ただ、車種
によって要求強度が異なり、また、軽量化よりも高強度
が要求されるような場合もある。したがって、このよう
な場合には、バンパー補強部材をより補強するために、
例えば、中空構造内に補強用の中リブを入れて、断面形
状を日形、田形、目形等にすることなども可能である。
【0027】そして、バンパー補強部材1 は、車体の前
方のバンパーの態様を例に示すと、自動車の車幅方向に
間隔を空けて、かつ車体の長手 (走行) 方向に延在する
2 本のフロントサイドメンバ7 の前端部に、各々カップ
状構造 (図2 に示すような)の鋼製のバンパーステイ2
を介して、略水平方向 (車幅方向) に延在するように、
その両端部において、固定されている。なお、車体後方
のバンパーの態様も、基本的にはこれと同じである。
【0028】このバンパーステイの形状や構造は、現行
バンパーステイと同様に自由であって、材料としてもAl
合金製であっても鋼製であっても良い。また、Al合金製
押出形材で製作する場合には、断面形状が口形、あるい
は、中空構造内に補強用の中リブを入れた、断面形状が
日形、田形、目形等にしたものが適宜選択される。な
お、バンパー補強部材1 とバンパーステイ2 とは、従来
と同じく、溶接あるいは図5 に示すようなボルト等の締
結具等により互いに固定されている。また、バンパー補
強部材1 は、バンパーステイ2 で介さずに、直接、フロ
ントサイドメンバ7 の前端部に取り付けても良い。
【0029】(凹み)ここにおいて、前記従来技術との相
違点は、ウエブ3 a 、3 b の、ステイまたは車体メンバ
の端部と連結される両端部分のウエブの両外壁面に予め
設けられた部分的な凹み6 a 、6 b のみである。この凹
み6 a 、6 b は、バンパー補強部材1 に対する略水平方
向からの荷重に対して、前記凹み6 a 、6 b を起点に、
前記両端部分のウエブ3 a 、3 b のみが中空構造の内側
に屈曲するようにするものである。
【0030】この凹み6 a 、6 b の存在によって、バン
パー補強部材に対する略水平方向からの荷重に対して、
凹み6 a 、6 b が無い従来のバンパー補強部材に比し
て、凹み6 a 、6 b を起点として、バンパー補強部材が
横圧壊 (水平方向に変形) しやすくなり、バンパー補強
材圧壊時の最大荷重を低減しつつ、衝突エネルギー吸収
量の増大を達成できる。また、前記両端部分のウエブ3
a 、3 b の中空構造の内側への屈曲により、この屈曲部
においてバンパーステイの先端部を保持するため、前記
バンパーステイの打ち抜き現象の防止も達成できる。
【0031】したがって、凹み6 a 、6 b のウエブ3
a 、3 b に設ける位置、その大きさ (幅と長さ) と深
さ等は、車種等によって決まる、バンパー補強材圧壊時
の要求最大荷重量 (最大荷重の低減度合い) や、衝突エ
ネルギー吸収量の要求程度、そして、打ち抜き現象の防
止に必要な中空構造の内側への屈曲程度等の観点から、
適宜選択される。
【0032】なお、本実施態様では、凹み6 a 、6
b は、ウエブ3 a 、3 b の両外壁面のうちの、ステイ側
後方に、バンパー補強部材1 の長手方向に延在するよう
に設けている。この方が、外壁面の前方側に設けるより
も少ない荷重で、ウエブ3 a 、3 b を中空構造の内側に
屈曲させやすく、前記バンパー補強材圧壊時の最大荷重
量を下げる際に有効である。
【0033】そして、凹み6 a 、6 b は、バンパー補強
部材1 の長手方向の径L1が長軸、バンパー補強部材1 の
幅方向の径L2が短軸となるような略楕円形に設けてい
る。凹み6 a 、6 b をこのような略楕円形とすることに
より、まず、凹み6 a 、6 b の深さとともに凹み6 a
6 b の幅方向の径L2の大きさによって、バンパー補強部
材1 への略水平方向からの荷重に対する、ウエブ3 a
3 b の中空構造の内側への屈曲の起点となることを確保
する。凹み6 a 、6 b の深さと幅方向の径L2があまり小
さすぎると、略水平方向からの荷重の大きさにもよる
が、前記屈曲の起点となり得ず、結果として、前記バン
パー補強材圧壊時の最大荷重量の低減やエネルギー吸収
量の向上およびステイの打ち抜き防止効果が弱まる。
【0034】また、凹み6 a 、6 b の深さとともに、凹
み6 a 、6 b の長手方向の径L1や幅方向の径L2の大きさ
によって、バンパー補強部材1 への略水平方向からの荷
重に対する、ウエブ3 a 、3 b の中空構造の内側へ屈曲
する部分の、バンパー補強部材1 における長手方向の長
さを規定できる。この凹み6 a 、6 b の深さ、長手方向
の径L1や幅方向の径L2があまり小さすぎると、ウエブ3
a 、3 b の中空構造の内側へ屈曲する効果を発揮できな
いで、従来技術のように、ウエブ3 a 、3 b が中空構造
の外側方向に変形乃至座屈する。また、ウエブ3 a 、3
b が中空構造の内側へ屈曲する部分を十分確保できず、
前記バンパー補強材圧壊時の最大荷重量やエネルギー吸
収量の向上およびステイの打ち抜き防止効果が弱まる。
【0035】この点は、凹みが楕円形でなくても、円形
等の他の形状を有していても同じであり、要は、凹みを
予め設けるに際しては、バンパー補強部材に対する略水
平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹みを起点
に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲する
ように設けることが重要となる。
【0036】なお、凹み6 a 、6 b の他の設け方とし
て、前記凹みの効果を阻害しない範囲で、前記図1 の通
り、凹みをウエブの両外壁面に1 個ずつ、また凹みの長
さL1をバンパーステイの幅と同じ長さとせずとも、図3
(a)、(b) に示すように、凹みの長さL1をバンパーステ
イの幅より多少長くしても、或いは短くしても、更に
は、バンパー補強部材の長手方向に分割して、2 個以上
設けても良い。
【0037】(凹みの作用)図2(a)、(b) に、上記に説明
した本発明における凹み6 a 、6 b の作用を示す。な
お、図2(a)、(b) は、図1(a)、(b) に示した本発明バン
パー補強部材の実施態様の正面図である。
【0038】今、バンパー補強部材1 に対し、略水平方
向からの衝突荷重F が加わった場合、凹み6 a 、6 b
起点として、前記両端部分のウエブ3 a 、3 b を中空構
造の内側に屈曲しやすくする。この結果、前記バンパー
補強材圧壊時の最大荷重量の低減が図れる。また、更
に、変形が進んだとしても、ウエブと後壁部5 との接続
箇所 (コーナー部) や、曲げ変形箇所等で割れが生じる
可能性が少ない。この結果、エネルギー吸収量の向上が
図れる。
【0039】そして、前記箇所に割れが生じない場合で
も、あるいは割れが生じた場合でも、このウエブが内側
に座屈した部分9 a 、9 b によって後壁部5 を保持する
ことによって、或いは、ウエブが内側に座屈した部分9
a 、9 b と後壁部5 との干渉作用によって、バンパース
テイ2 による後壁部5 の突き抜けを防止して、ステイの
打ち抜き現象を防止する。
【0040】この結果は、前記割れやステイの打ち抜き
現象による衝突エネルギー吸収量の低下を防止し、ウエ
ブの内側への座屈後も、バンパー補強部材1 の変形によ
る、エネルギー吸収が継続して行われ、衝突エネルギー
の吸収量が大きくなる効果をもたらす。したがって、本
発明における特徴的な要件である前記凹みは、バンパー
補強部材1 の荷重変位特性における、衝突初期のピーク
荷重を一定以下に抑制する効果、ステイの打ち抜き現象
防止等による衝突エネルギーの吸収量が大きくなる効果
を有し、衝突時に、フロントサイドメンバ等の車体メン
バ類に損傷を与えることがなくなる。
【0041】(適用Al合金)次に、本発明で用いるAl合金
について説明する。本発明で用いるAl合金自体は、前記
した通り、本発明の目的が、特殊なAl合金を用いず、汎
用 (規格)Al 合金材を用いることであるから、使用する
Al合金の種類は、通常、この種構造部材用途に汎用され
る、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較
的高いAl合金の適用が好適に用いられる。特に、これら
7000系 (Al-Zn-Mg系) Al合金や6000系(Al-Mg-Si 系)Al
合金を、押出加工後人工時効処理したT5や押出加工後更
に溶体化処理した後に人工時効硬化処理したT6等の調質
処理材が好ましい。
【0042】しかし、一方で、前記した材料側から種々
提案されている成分や組織を制御した特殊なAl合金であ
っても、本発明の構成をとることによって、当然エネル
ギー吸収性能も優れたものとなる。したがって、コスト
的には、従来の汎用 (規格)Al 合金材が有望であるもの
の、従来の特殊なAl合金であっても、勿論、本発明には
使用可能である。
【0043】(Al合金製中空形材の製造)また、本発明に
係る断面が略矩形形状のAl合金製中空形材の製造自体
は、鋳造、均質化熱処理、熱間押出、調質熱処理等を、
主要工程とする常法により製造される。
【0044】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。図1 、図
2 に示した断面形状が口形の中空構造の、JIS 6N01Al合
金押出形材のT5材 (耐力240N/mm2) 製のバンパー補強部
材1 を準備した。なお、この6N01Al合金押出形材のT5材
は、車体用のエネルギー吸収材として汎用されており、
同じく汎用されているJIS 7003Al合金等の7000系Al合金
に比べると、衝突荷重時に割れやすいという特性を有す
る。したがって、本実施例における6N01Al合金押出形材
での良好な結果は、JIS 7003Al合金等の7000系Al合金押
出形材の結果にも反映させることが可能である。
【0045】ここにおいて、本実施例バンパー補強部材
1 の仕様は、前壁部と後壁部の幅を50mm、ウエブ3 a
3 b の高さを40mm、これら各肉厚を1.5mm とした。この
バンパー補強部材1 に、図2 に示したようなカップ状に
プレス成形した普通鋼製のバンパーステイ2 であって、
径をバンパー補強部材1 の幅と同じ 50mm 、高さを15m
m、肉厚を2.5mm としたバンパーステイ2 を締結手段
(ボルト、ナット)8を介して固定した。
【0046】この際、凹み6 a 、6 b は、ウエブ3 a
3 b の両外壁面のうちの、バンパー補強部材1 の前端部
から27.5 mm ステイ側後方の位置に、バンパー補強部材
1 の長手方向に延在するように、エンポス加工により設
けた。そして、凹みの条件は、バンパー補強部材1 の長
手方向の径L1が70 mm 、バンパー補強部材1 の幅方向の
径L2が15 mm 、中心深さが5mm となるような楕円形とし
た。
【0047】また、比較のために、本発明のウエブの両
外壁面に設ける凹みを設けない以外は、全て発明例と同
じ条件とした比較例を準備した。そして、これら発明例
と比較例のバンパー補強部材とバンパーステイの組み立
て体の衝突時のエネルギー吸収性とステイの打ち抜き性
を評価した。
【0048】評価方法は、これら組み立て体中空材のバ
リア試験を行い、車両の衝突時を想定して、バンパー補
強部材を略水平方向に配置した前記組み立て体を固定壁
に衝突させ、この際の衝突時のエネルギー吸収性とステ
イの打ち抜き性を調査した。衝突は、固定壁に対し、組
み立て体をバンパー補強部材の前面全てが均一に固定壁
に当たるように、軽衝突のカナダ等の規格である、2.22
m/sec (8km/hr)の速度で衝突させ、バンパー補強部材の
前面に、また略水平方向に衝撃力 (衝突荷重)が加わる
ようにした。
【0049】この結果、まず、バリア試験を行ったバン
パー補強部材の目視観察を行った結果、比較例の方は、
ウエブが中空構造の外側方向に変形、座屈しており、ウ
エブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等で割れが
生じているとともに、ステイがその前端部で接している
バンパー補強部材の後壁部を突き抜けて、バンパー補強
部材の中空構造内に侵入しており、ステイの打ち抜きが
生じていた。
【0050】これに対し、発明例の方は、予めウエブに
設けた凹みを起点として、バンパー補強部材の、ステイ
の前端部に対応する、両端部分のウエブが中空構造の内
側に屈曲しており、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲
げ変形箇所等での割れや、ステイの打ち抜きは生じてい
なかった。
【0051】更に、測定した発明例と比較例の衝突時の
エネルギー吸収性を、図4 に荷重変位特性として示す。
図4 から分かる通り、点線で示す比較例は、横軸の変位
が約1 〜2mm 部分の衝突初期のピーク荷重が高い。ま
た、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等で
の割れにより、横軸の変位が約14mm部分を越えるあたり
から荷重 (エネルギー吸収量) が低下し、更に、横軸の
変位が約16〜18mm部分で、ステイの打ち抜きが生じた結
果、これより後では、バンパー補強部材の変形が生じ
ず、バンパー補強部材によるエネルギー吸収が行われ
ず、荷重 (エネルギー吸収量) が著しく低下している。
【0052】これに対し、実線で示す発明例は、横軸の
変位が約1 〜2mm 部分の衝突初期のピーク荷重が、比較
例に比して、著しく低い。また、比較例でウエブと後壁
部との接続箇所や曲げ変形箇所等での割れが生じた、横
軸の変位が約14mm部分を越えるあたりでも荷重 (エネル
ギー吸収量) は低下していない。更に、比較例でステイ
の打ち抜きが生じた、横軸の変位が約16〜18mm部分以降
の荷重 (エネルギー吸収量) も高い。したがって、これ
ら荷重変位特性の結果は、前記目視観察結果と良く対応
している。
【0053】以上の結果から、本発明バンパー補強部材
により、衝突初期のピーク (最大)荷重を一定以下に抑
制することが可能であり、バンパーステイの打ち抜き現
象の防止効果と、衝突エネルギーの吸収量の向上の効果
が裏付けられる。そして、本発明バンパー補強部材が、
衝突荷重時に、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類
に損傷を与えることがない効果も裏付けている。なお、
これらの効果は、ドアビームなどの他の車体用エネルギ
ー吸収部材においても同様に得られる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、現行のバンパー補強材
やドアビーム等のエネルギー吸収部材のデザインや設計
条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、バ
ンパー補強材圧壊時の最大荷重を低減しつつ、衝突エネ
ルギー吸収量の増大を達成し、前記打ち抜き現象の防止
も達成でき、車両の衝突時のエネルギー吸収性能を高め
ることができる、Al合金製押出形材からなるエネルギー
吸収部材を提供することができる。このため、車体用エ
ネルギー吸収部材などの輸送機等の構造部材用に、Al合
金材の用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値
が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明車体用エネルギー吸収部材の実施態様を
示す説明図である。
【図2】本発明車体用エネルギー吸収部材の効果を示す
説明図である。
【図3】本発明車体用エネルギー吸収部材の別の実施態
様を示す説明図である。
【図4】本発明車体用エネルギー吸収部材の荷重変位特
性示す説明図である。
【図5】従来の車体用エネルギー吸収部材を示す説明図
である。
【符号の説明】
1:バンパー補強材、2:バンパーステイ、3:ウエブ、4:前
壁部、5:後壁部、6:凹み、7:フロントサイドメンバ、

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面形状が略矩形の中空構造を有し、ア
    ルミニウム合金製押出形材からなり、略水平方向に延在
    して用いられる車体用エネルギー吸収部材であって、車
    体用エネルギー吸収部材における車体フレームの端部と
    連結される両端部分のウエブの両外壁面に、部分的な凹
    みを予め設け、車体用エネルギー吸収部材に対する略水
    平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹みを起点
    に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲する
    ように構成したことを特徴とする車体用エネルギー吸収
    部材。
  2. 【請求項2】 前記凹みが、車体用エネルギー吸収部材
    の長手方向が長軸、車体用エネルギー吸収部材の幅方向
    が短軸となるような略楕円形である請求項1に記載の車
    体用エネルギー吸収部材。
  3. 【請求項3】 前記凹みがエンボス加工により設けられ
    たものである請求項1または2に記載の車体用エネルギ
    ー吸収部材。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金として、AA乃至JI
    S 5000系、6000系、7000系から選択される規格アルミニ
    ウム合金を用いる請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の車体用エネルギー吸収部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010083381A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Kobe Steel Ltd バンパーシステム及びその製造方法
JP2015147536A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 富士重工業株式会社 車両用バンパビーム
CN107672548A (zh) * 2017-10-27 2018-02-09 河北工业大学 一种保险杠及汽车

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