JP2001170175A - 静注装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 一定スピードで収縮して連続的に薬液や輸液
を患者の体内に定量注入できるようにする。 【解決手段】 ソフトバックを扁平横置状態で収納する
扁平な本体ケース１０の両側にガイド用スリット１３を
設ける。本体ケースに上面に透明窓１５を有するソフト
バック押え用の開閉蓋１４を取り付ける。本体ケース内
に平面コ字形のスライダー２０を設け、スライダーの両
側板先端部に本体ケースの他端側底面に端部が固定され
た定荷重ばね２３を巻き込んだ巻芯ローラー２２を枢支
する。定荷重ばねの巻芯ローラーの軸の両端にピニオン
２６を設け、これと噛合するラック２７を本体ケースに
固設する。本体ケースの一端部左右両側底面に定荷重ば
ねの巻かれたドラム２８を縦向きに枢支し、定荷重ばね
の繰り出し端をスライダーの両側板先端に結合する。ス
ライダーの後端板に係止部を設け、係止部と係脱可能な
拘止金具を本体ケースの他端板に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、患者の体に装着し
たカテーテルなどに接続して、或いは静脈に刺入して、
薬液を定量的に連続注入する点滴装置として、また、栄
養剤、生理食塩水、リンゲル液等の輸液を定量的に連続
注入する装置としても利用できる静脈内注入装置、所
謂、静注装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、患者の体内に薬液や輸液を定量
的に連続注入するには、薬液や輸液の入ったボトル又は
ソフトバックの注出口を上にしてその注出口のゴム栓に
輸液セットの瓶針を刺入の上、ボトル又はソフトバック
の注出口を下にして支持台に吊し、輸液セットの注入針
を患者の体に装着したカテーテルなどに接続して、或い
は静脈に刺入して、薬液や輸液を重力滴下により静脈内
に連続注入している。

【０００３】ところで、上記連続注入装置は、患者がベ
ッドに寝たまま２〜３時間で注入が終わる場合は良い
が、長時間にわたる注入の場合、例えば患者が排尿、排
便の為にトイレットに通う際には支持台を走行させて移
動しなければならない。その為、連続注入装置が不安定
となり、とりわけ長い輸液セットが障害物に引っ掛った
りして不測の事態が生じる恐れがある。また、上記の重
力落下による連続注入装置では、小児、高齢者、重症患
者の輸液、及び作用の強い薬液を微量に連続注入する場
合、輸液速度及び輸液量を厳格に守ることができないの
で、定量輸液セット、或いは大がかりな輸液ポンプを用
いることが必要となる。

【０００４】他方、従来、患者の体に装着したカテーテ
ルなどに接続して、薬液を定量的に連続注入する器具と
して、特開平５−２４５１９９号公報に記載の薬液連続
注入器具が開発されている。この薬液連続注入器具は、
図７に示すように薬液の注入口２を設けると共に収縮自
在とした薬液収容体１と、この薬液収容体１を収縮させ
る定荷重ばね６とを有し、前記薬液収容体１の後部に定
荷重ばね６の一端を連結すると共に、前記薬液収容体１
の前部に定荷重ばね６の他端を連結したものである。

【０００５】しかしながら、この薬液連続注入器具は、
定荷重ばね６の初動時のセッティングが難しい、また、
薬液収容体１は円筒の蛇腹容器である為、引き伸ばした
定荷重ばね６が真直ぐに収縮していくと問題は無いが、
定荷重ばね６を真直ぐに引張力を働かせるガイドが無い
ゆえに定荷重ばね６に側方から外力が働くと、円筒の蛇
腹容器である薬液収容体１は屈曲し、定荷重ばね６の薬
液収容体１を圧縮する断面積が変化し、安定した薬液の
体内への連続注入ができなくなる。さらに、空の薬液収
容体１に薬液を充填するには、定荷重ばね６を引き伸ば
すことにより薬液収容体１を平常時の大きさに戻して注
入口２から薬液収容体１内に薬液を充填するので、薬液
充填作業が厄介で、しかも薬液連続注入器具を使用する
際には必ずこの薬液充填作業を行わなければならないと
いう煩わしさがある。また、薬液収容体１を真直ぐに収
縮させる壁、或いはガイドが無いので、蛇行しながら収
縮する恐れがある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、前記
の重力滴下による静脈内への薬液や輸液の連続注入の問
題点、及び上記の薬液連続注入器具の問題点を悉く解決
できて、薬液や輸液の入ったソフトバックを扁平横置状
態にして機械的に端部より徐々に押し潰すように絞りな
がら一定スピードで収縮して連続的に薬液や輸液を患者
の体内に精度良く安定して定量注入できるようにした静
注装置を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の静注装置は、一端板中央にＵ字状の切欠を有
し、その切欠の近傍の底面にソフトバック注出栓用の受
座を有し、両側板内面の長手方向に対称にガイド用スリ
ットを有するソフトバック収納用の扁平な本体ケース
と、上面に透明窓が設けられ、一側面が前記本体ケース
の一側面にヒンジ結合され、他側面が前記本体ケースの
他側面に係脱可能になされたソフトバック押え用の開閉
蓋と、前記本体ケースの他端側底面に端部が固定された
広幅の定荷重ばねを巻き込んだ巻芯ローラーを両側板の
先端部に枢支すると共に、両側板外側に突設せるガイド
板にて前記本体ケースのガイド用スリットを摺動する平
面コ字形のスライダーと、前記巻芯ローラーの軸端に設
けたピニオン及び前記本体ケースの両側板内面に設けら
れ、前記ピニオンが噛合回転するラックと、前記本体ケ
ースの一端部左右両側底面に縦向きに枢支した２個のド
ラムに夫々巻き取られ、繰り出し端が前記スライダーの
両側板先端に結合され、前記定荷重ばねよりもばね荷重
の大きい狭い幅の定荷重ばねと、前記スライダーの後端
板に設けられた係止部及び前記本体ケースの他端板に設
けられ、前記係止部と係脱可能になされた拘止金具とよ
り成るものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の静注装置の一実施形態を
図によって説明する。図１において、１０はソフトバッ
ク収納用の扁平な本体ケースで、一端板中央にＵ字状の
切欠１１が設けられ、その切欠１１の近傍の底面にソフ
トバックの注出栓が載る受座１２が設けられ、両側板内
面の中高部長手方向に対称にガイド用スリット１３が底
面と平行に削設されている。１４はソフトバック押え用
の開閉蓋で、上面に透明窓１５が設けられ、一側面が前
記本体ケース１０の一側面にヒンジ１６にて結合され、
他側面に前記本体ケース１０の他側面の両側に設けた横
長の凹部１７に弾性的に嵌合係止される止め具１８が２
個取り付けられ、一端下側にソフトバックの肩をかか
え、注出栓を押える抱止板１９が一体に形成されてい
る。この開閉蓋１４の長さは、本体ケース１０の両端部
上面を開放する短いものである。２０は平面コ字形のス
ライダーで、このスライダー２０は図２（ａ）、
（ｂ）、（ｃ）に示すように両側板２１の先端部に巻芯
ローラー２２が枢支され、この巻芯ローラー２２に広幅
の定荷重ばね２３が巻き込まれ、繰り出し端が本体ケー
ス１０の他端部底面に固定されている。スライダー２０
の両側板２１の外面にはガイド板２４が本体ケース１０
の底面と平行に設けられ、このガイド板２４が前記本体
ケース１０のガイド用スリット１３に嵌め込まれてスラ
イダー２０が摺動するようになっている。前記スライダ
ー２０の両側板２１の外側における巻芯ローラー２２の
軸２５の両端にはピニオン２６が一体に設けられ、この
ピニオン２６が前記本体ケース１０の両側板内面の長手
方向に前記ガイド用スリット１３と平行に設けたラック
２７に噛合し回転するようになっている。前記本体ケー
ス１０の一端部左右両側底面には夫々ドラム２８が縦向
きに枢支され、この２個のドラム２８に夫々前記定荷重
ばね２３よりもばね荷重の大きい狭い幅の定荷重ばね２
９が巻き取られ、その定荷重ばね２９の繰り出し端が図
２（ａ）、（ｂ）、（ｃ）に示すように前記スライダー
２０の両側板２１の先端に結合されている。前記スライ
ダー２０の後端板中央には図３に示すように係止部とし
てＵ字状の切欠３０が設けられ、この切欠３０に対向し
て前記本体ケース１０の他端板内面中央に拘止金具とし
て前記切欠３０の底でスライダー２０の後端板内面に係
止する摘み３１を有するばね３２付勢のフック３３が取
り付けられている。このフック３３を付勢するばね３２
は、前記定荷重ばね２９の引張り力よりも強いものであ
る。尚、前記本体ケース１０には、携帯できるように吊
垂用バンド３４を取り付けてある。また、本体ケース１
０のソフトバックが収納載置される底面には滑り止めシ
ート３５を接着してある。

【０００９】上記のように構成された実施形態の静注装
置を、点滴装置として使用するには、先ず開閉蓋１４を
図４に示すようにヒンジ１６を支点にして本体ケース１
０の一側方に回動して開き、スライダー２０を本体ケー
ス１０の他端側に、定荷重ばね２９のばね荷重に抗して
該定荷重ばね２９を引っ張り出しながら移動し、スライ
ダー２０の両側板２１の先端部に枢支された巻芯ローラ
ー２２に定荷重ばね２３を自身の復元力によって巻き取
っていく。このスライダー２０の移動において、両側板
２１の外側に突設されたガイド板２４が本体ケース１０
のガイド用スリット１３に沿って摺動する。と同時に巻
芯ローラー２２の軸２５の両端に設けられたピニオン２
６が本体ケース１０の両側板内面に設けられたラック２
７と噛合回転して移動する。そして、スライダー２０を
本体ケース１０の他端まで移動すると、スライダー２０
の後端板中央のＵ字状の切欠３０の底でスライダー２０
の後端板内面が、本体ケース１０の他端内面に取り付け
たばね３２付勢のフック３３に係止されて、スライダー
２０が位置決めされ、スライダー２０の前方にソフトバ
ック収納ステースＳが形成される。次にこのソフトバッ
ク収納スペースＳで底面の滑り止めシート３５上に、図
５に示すように薬液の入ったソフトバック３６を扁平状
態に横置収納すると共にソフトバック３６の注出栓３７
を本体ケース１０の一端部底面の受座１２に載せ、注出
栓３７を一端面中央のＵ字状の切欠１１に臨ませる。そ
して、開閉蓋１４をヒンジ１６を支点にして本体ケース
１０の上面に回動して図１に示すように閉じ、該開閉蓋
１４の他側面の止め具１８を本体ケース１０の他側面の
横長の凹部１７に嵌合係止する。かくしてソフトバック
３６は上方から開閉蓋１４にて押えられ、且つ一端下側
の抱止板１９にてソフトバック３６の肩が抱えられると
共に注出栓３７が押えられて位置決めされる。次いで、
図３に示される本体ケース１０の他端内面のばね３２付
勢のフック３３を、摘み３１を押してスライダー２０の
切欠３０の底における後端板内面から外す。その結果、
スライダー２０は定荷重ばね２３よりもドラム２８に巻
き取られるばね荷重の大きい定荷重ばね２９の引張り力
によりガイド板２４にてガイド用スリット１３上を摺動
して引き戻され、これによりスライダー２０の両側板２
１の先端部に枢支された巻芯ローラー２２より定荷重ば
ね２３が引き出され、広幅の定荷重ばね２３はソフトバ
ック３６の端部を絞るように押圧し、定荷重ばね２９の
引張り力をソフトバック３６にかける。従って定荷重ば
ね２９の初動時のセッティングは確実なものとなる。ま
た、この時、ソフトバック３６は滑り止めシート３５上
でずれ動くことがない。

【００１０】上記のように使用準備を調えた静注装置
は、患者の体内にソフトバック３６内の薬液を注入すべ
く、注出栓３７に図示せぬ輸液セットの瓶針を刺入し、
輸液セットの注入針を患者の体に装着したカテーテルな
どに接続し、或いは静脈に刺入して、ソフトバック３６
内の薬液を患者の体内に注入し始める。この薬液の注入
において、ソフトバック３６は本体ケース１０内に扁平
に収納され、前述のように開閉蓋１４にて位置決めされ
た状態にあるので、定荷重ばね２３により端部から絞る
ように押圧されて全体に加圧力が働くので、ソフトバッ
ク３６は図６に示すように撓むことなく常に張った状態
で次第に注出栓３７側に押し潰すように絞りながら収縮
していく。そして押し潰されたソフトバック３６は、引
き出された定荷重ばね２３の巻きぐせによるふくらみ圧
により本体ケース１０の底面にシート状に押えられる。
また、定荷重ばね２３のソフトバック３６を収縮するス
ピードは、巻芯ローラー２２の軸２５の両端に設けられ
ているピニオン２６が本体ケース１０の両側板内面に設
けられているラック２７に噛合して回転していくので、
ソフトバック３６内の薬液が減少していくのにかかわら
ず一定となる。従って、薬液の注出流量は一定し、患者
の体内へ薬液を安定して連続的に精度良く定量注入する
ことができる。さらに開閉蓋１４の上面に透明窓１５が
設けられているので、外からソフトバック３６の薬液の
減量状態が判り、残量を目視することができて至便であ
る。また、本体ケース１０の両側面に吊垂用バンド３４
が取り付けられているので、携帯用としてばかりではな
く、吊垂用としても使用できる。勿論、定置した場合に
は、本体ケース１０が扁平であるので、安定して使用で
きる。

【００１１】然して薬液を患者の体内に注入した後、絞
り押し潰されたソフトバック３６を取り出すには、本体
ケース１０内にソフトバック３６を収納する時に同様に
開閉蓋１４を開き、スライダー２０を本体ケース１０の
他端部まで移動して、ソフトバック３６から定荷重ばね
２３を解放することにより、ソフトバック３６は取り出
すことができる。

【００１２】

【発明の効果】以上の説明で判るように本発明の静注装
置によれば、薬液や輸液の入ったソフトバックを扁平横
置状態にして機械的に端部より徐々に押し潰すように絞
りながら一定スピードで収縮して連続的に薬液や輸液を
患者の体内に精度良く安定して定量注入できる。従って
従来の重力滴下による体内への薬液や輸液の連続注入と
代替でき、ボトルやソフトバックを吊る支持台を用いる
ことなく患者の注入レベルで使用でき、また気圧に関係
なく大気中で１ｍの落差を維持する必要がなく、さらに
定量輸液セット、或いは大がかりな輸液ポンプを用いる
必要がない。また、従来の薬液連続注入器具のように特
別な薬液収容体を用いる必要がなく、定荷重ばねの初動
時のセッティングも確実にできる。しかもばね荷重の大
きい定荷重ばねは左右一対有し、巻芯ローラーに巻かれ
たばね荷重の小さい定荷重ばねに対し真直ぐに引張力を
働かせて引き出し、薬液や輸液の入ったソフトバックを
端部より徐々に押し潰すように絞りながら一定スピート
で真直ぐに収縮するので、薬液や輸液の残量が僅小で略
全量患者の体内に注入できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の静注装置の一実施形態を示す斜視図で
ある。

【図２】図１の静注装置におけるスライダーを示すもの
で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は側面図
である。

【図３】図２のスライダーを本体ケースの後端に移動さ
せた時の拘止手段を示す要部斜視図である。

【図４】図１の静注装置の開閉蓋を開けてソフトバック
を本体ケースに収納するためにスライダーを本体ケース
の後端部に移動させた状態を示す斜視図である。

【図５】図４の本体ケース内にソフトバックを収納した
状態を示す平面図である。

【図６】図５に示されるソフトバックを端部からローラ
ー、ばねにより徐々に押し潰すように絞りながら一定ス
ピードで収縮していく状態を示す側面図である。

【図７】従来の薬液連続注入装置を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０ 本体ケース １１ 切欠 １２ 受座 １３ ガイド用スリット １４ 開閉蓋 １５ 透明窓 １６ ヒンジ １７ 凹部 １８ 止め具 １９ 抱止板 ２０ スライダー ２１ 両側板 ２２ 巻芯ローラー ２３ 定荷重ばね ２４ ガイド板 ２５ 巻芯ローラーの軸 ２６ ピニオン ２７ ラック ２８ ドラム ２９ 定荷重ばね ３０ 切欠 ３１ 摘み ３２ ばね ３３ フック ３４ 吊垂用バンド ３５ 滑り止めシート ３６ ソフトバック ３７ 注出栓

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端板中央にＵ字状の切欠を有し、その
   切欠の近傍の底面にソフトバック注出栓用の受座を有
   し、両側板内面の長手方向に対称にガイド用スリットを
   有するソフトバック収納用の扁平な本体ケースと、上面
   に透明窓が設けられ、一側面が前記本体ケースの一側面
   とヒンジ結合され、他側面が前記本体ケースの他側面に
   係脱可能になされたソフトバック押え用の開閉蓋と、前
   記本体ケースの他端側底面に端部が固定された広幅の定
   荷重ばねを巻き込んだ巻芯ローラーを両側板の先端部に
   枢支すると共に、両側板外側に突設せるガイド板にて前
   記本体ケースのガイド用スリットを摺動する平面コ字形
   のスライダーと、前記巻芯ローラーの軸端に設けたピニ
   オン及び前記本体ケースの両側板内面に設けられ、前記
   ピニオンが噛合回転するラックと、前記本体ケースの一
   端部左右両側底面に縦向きに枢支した２個のドラムに夫
   々巻き取られ、繰り出し端が前記スライダーの両側板先
   端に結合され、前記定荷重ばねよりもばね荷重の大きい
   狭い幅の定荷重ばねと、前記スライダーの後端板に設け
   られた係止部及び前記本体ケースの他端板に設けられ、
   前記係止部と係脱可能になされた拘止金具とより成る静
   注装置。