JP2001167450A - ディスク装置 - Google Patents

ディスク装置

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JP2001167450A
JP2001167450A JP34689799A JP34689799A JP2001167450A JP 2001167450 A JP2001167450 A JP 2001167450A JP 34689799 A JP34689799 A JP 34689799A JP 34689799 A JP34689799 A JP 34689799A JP 2001167450 A JP2001167450 A JP 2001167450A
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disk
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Yukihiro Sai
幸広 細
Shigeru Uchida
繁 内田
Sachinori Kajiwara
祥則 梶原
Yoshimasa Okada
吉正 岡田
Hideo Yoshida
秀夫 吉田
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  • Rotational Drive Of Disk (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、ロングサーチ中に光ピックアップの
移動量を検出して、その位置を測定し、この光ピックア
ップの位置に基づいて、その都度スピンドルモータの回
転数を制御するディスク装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】ディスクのゾーン10にあるトラックをト
ラッキングしている光ピックアップをゾーン0のトラッ
クまでロングサーチさせる際、スピンドルモータをFG
制御で回転制御するとともに、光ピックアップの位置を
スレッドモータの回転量を検知して、光ピックアップの
位置に応じて、スピンドルモータの回転速度を段階的に
変化させ、ロングサーチ終了時には、ゾーン0での最適
な回転速度でスピンドルモータを回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体となるデ
ィスクの記録、再生を行うディスク装置に関するもの
で、特に、ディスクのデータの記録、再生を行うための
光ピックアップを有するディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ディスクを回転させるスピン
ドルモータには、モータ自身の回転が測定できないモー
タが使用される。光ピックアップを有するディスク装置
において、このようなスピンドルモータが使用された場
合、現在記録又は再生を行っているディスク上のトラッ
ク(以下、「原トラック」と呼ぶ。)から、次に記録又
は再生を行うトラック(以下、「目的トラック」と呼
ぶ。)に、光ピックアップを移動させるロングサーチを
行うとき、モータ自身の回転速度が検知できないので、
スピンドルモータの回転制御ができない。
【0003】又、このようなスピンドルモータは、ディ
スクの記録又は再生時において、ディスクに記録された
同期信号をもとにPLL(Phase Locked Loop)制御に
よって、回転制御がなされる。しかし、上記のようなロ
ングサーチでは、ディスクの記録又は再生時のように、
同期信号が得られないので、スピンドルモータの回転制
御を行うことができない。よって、スピンドルモータの
暴走を防ぐため、スピンドルモータの制御回路のゲイン
を下げてロングサーチを行い、このロングサーチ終了直
前にゲインを上げてPLL制御を行えるようにする。
【0004】しかしながら、このようにロングサーチ終
了直前にPLL制御に引き込むようにしたとき、このP
LL制御の引き込みに時間がかかため、このロングサー
チに費やされる時間が長引く。又、ロングサーチ終了直
前にスピンドルモータの回転速度を最適なものにするた
め、外周側の原トラックから内周側の目的トラックにロ
ングサーチを行った際、目的トラックに到達したとき
に、原トラックでの回転速度で回転する瞬間が生じる。
【0005】そのため、後述するレーザービームストロ
ーブ磁界変調によってデータが記録されるディスクなど
では、目的トラックにおいて、光ピックアップから照射
されるレーザービームが照射される時間が長くなる瞬間
が生じる。よって、レーザービームの出力は、どのゾー
ン位置に置いても等しいので、このレーザービームが照
射される箇所が、ディスクの記録層のキュリー点以上の
温度まで上昇されてしまう場合がある。このように、デ
ィスクの記録層のキュリー点以上の温度まで上昇されて
しまうと、ディスクに記録されたデータが消去されてし
まう。
【0006】又、この目的トラックにおけるレーザービ
ームの照射部のデータが消去されるだけでなく、光ピッ
クアップの途中経路となるレーザービームが照射される
部分においてもデータが消去される。即ち、原トラック
から目的トラックにロングサーチが行われるとき、ある
トラックから目的トラックに至るまで、レーザービーム
が照射される箇所のデータが消去される恐れがある。
【0007】よって、このようなモータをスピンドルモ
ータに用いたとき、ロングサーチを行っている間は、光
ピックアップより照射されるレーザービームの出力を落
とし、光ピックアップが目的トラック近傍に到達したと
き、レーザービームの出力を引き上げるという操作をす
る必要があった。しかしながら、これではレーザービー
ムの出力を所定の出力状態になるまで待つ必要があり、
ロングサーチの所要時間を長引かせる結果となる。又、
このレーザービームの出力を切り換えることによって、
このレーザービームの反射光のゲインも変化するため、
この反射光を用いて信号を生成する様々な回路のゲイン
も切り換える必要があるため、回路的にその負担が大き
くなる。
【0008】そこで、特開平7−29300号公報のよ
うに、モータ自身の回転速度が瞬時に測定できるFGモ
ータがスピンドルモータに使用されることによって、回
転制御を可能としたディスク装置が提案されている。
又、特開平11−66723号公報では、ロングサーチ
の時間を短縮するために、ロングサーチ中に目的トラッ
クで最適となる回転速度にスピンドルモータの回転速度
を変更するディスク装置が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−29300
号公報のディスク装置によると、ロングサーチ時に光ピ
ックアップを移動させるスレッドモータの駆動信号をス
ピンドルモータの駆動信号に加えてスピンドルモータの
回転速度を制御する。しかしながら、光ピックアップの
移動方向が検知できるが、光ピックアップの位置を検知
するための手段がないため、ロングサーチ中の光ピック
アップの位置を検知することができない。
【0010】よって、温度変化など環境が変化したとき
や光ピックアップにその移動方向に重力などの外力がか
かったときなど、スレッドモータの駆動信号に対するス
レッドモータの応答特性が変化したとき、光ピックアッ
プが通過するトラックにおけるスピンドルモータの回転
速度が、最適な回転速度と異なる場合がある。このと
き、ディスクがレーザービームストローブ磁界変調でデ
ータが記録されるディスクの場合、光ピックアップが通
過するトラックにおけるスピンドルモータの回転速度が
遅いため、記録されたデータが消去される恐れがある。
【0011】又、特開平11−66723号公報のディ
スク装置によると、ロングサーチ中に目的トラックで最
適となる回転速度にスピンドルモータの回転速度を一気
に変更するため、原トラックから目的トラックへの移動
経路において、スピンドルモータの回転速度がその最適
となる回転速度を下回る箇所がある。このように最適な
回転速度を下回る度合いが大きくなると、上述したよう
に、ディスクがレーザービームストローブ磁界変調でデ
ータが記録されるディスクの場合、レーザービームが照
射される時間が長くなって、記録されたデータが消去さ
れる恐れがある。
【0012】よって、本発明は、ロングサーチ中に光ピ
ックアップの移動量を検出して、その位置を測定し、こ
の光ピックアップの位置に基づいて、その都度スピンド
ルモータの回転数を制御するディスク装置を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のディスク装置
は、データの記録媒体であるディスクにレーザービーム
を照射する光ピックアップと、該光ピックアップをディ
スクの径方向に高速に移動させるためのスレッドモータ
と、前記ディスクを回転させるためのスピンドルモータ
と、該スピンドルモータを駆動するスピンドルモータ駆
動手段と、を有し、前記光ピックアップよりレーザービ
ームを前記ディスクのトラックに照射するとともに、前
記ディスクのトラックの線速度が一定になるように前記
スピンドルモータを回転制御してデータの記録又は再生
を行うディスク装置において、前記ディスクの径方向へ
移動する前記光ピックアップの移動距離を検知する移動
距離検知手段を有し、前記スレッドモータによって、現
在前記レーザービームを照射している第1トラックか
ら、次に前記レーザービームを照射する第2トラック
へ、前記光ピックアップを移動させるロングサーチ動作
を行っている間、前記移動距離検知手段より得られる移
動距離より、前記ディスクに対する前記光ピックアップ
の位置を検知し、その位置において前記光ピックアップ
がレーザービームを照射するトラックに応じて、前記ス
ピンドルモータ駆動手段によって前記スピンドルモータ
の回転速度が変更されることを特徴とする。
【0014】このようなディスク装置において、ロング
サーチ動作を行う際、まず、第1トラックから第2トラ
ックへ移動するときに光ピックアップが横切るトラック
数が算出されて、光ピックアップの移動距離が求められ
る。そして、このロングサーチ時における光ピックアッ
プの移動距離、即ち、横切るトラック数に応じて、ディ
スクの径方向に同心円状に分割された領域の数及びその
領域の幅と、その領域に光ピックアップが至ったときの
スピンドルモータの回転速度が決定される。
【0015】このとき決定される回転速度は、ディスク
の内周側の領域ほど、前記スピンドルモータの回転速度
が速く、前記ディスクの外周側の領域ほど、前記スピン
ドルモータの回転速度が遅くなるように設定される。そ
して、第2トラックを有する領域の回転速度は、光ピッ
クアップが第2トラックにレーザービームを照射する際
に所望される回転速度に設定される。更に、ロングサー
チ動作を行う際、光ピックアップを前記ディスクの外周
側から内周側に移動させるとき、ロングサーチ動作が開
始されるとともに、前記スピンドルモータ駆動手段によ
って、光ピックアップが第2トラックにレーザービーム
を照射する際に必要とされるスピンドルモータの回転速
度で、スピンドルモータが駆動するように制御されるよ
うにしても構わない。
【0016】又、スレッドモータの回転速度を検出する
ためのホール素子を設け、ホール素子からの検出信号を
もとに、その検出信号がゼロクロスする回数などを検出
することによって、スレッドモータの回転量が検知でき
る。そして、ロングサーチ動作を行っている間、このス
レッドモータの回転量より光ピックアップの位置を測定
し、設定された領域に光ピックアップが至ったとき、そ
の領域で設定された回転速度になるように、スピンドル
モータがFG制御される。
【0017】又、ロングサーチ動作中に、スピンドルモ
ータがFG制御されることによって、スピンドルモータ
から出力されるFG信号よりスピンドルモータの回転速
度を検知することができ、スピンドルモータが速度制御
される。更に、ロングサーチ動作が終了し、スピンドル
モータの回転速度が第2トラックを光ピックアップがレ
ーザービームで照射する際に必要な回転速度に達したと
き、PLL制御によって、ディスクより読み出される同
期信号に応じてスピンドルモータが回転制御される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、図面
を参照して説明する。
【0019】<ディスク装置の構成>まず、図1に示す
ディスク装置の内部構造とディスクとの関係を示すブロ
ック図より、ディスク装置の構成について、説明する。
図1のディスク装置は、ディスク1のトラッキングを行
う光ピックアップ2と、光ピックアップ2とディスク1
を挟むようにして対向して設けられる磁気ヘッド3とを
有し、この光ピックアップ2と磁気ヘッド3は、ともに
ディスク1の径方向に移動する。この光ピックアップ2
と磁気ヘッド3によってディスク1の記録が行われると
ともに、光ピックアップ2によってディスク1の再生が
行われる。
【0020】又、光ピックアップ2は、スレッドモータ
5の回転駆動を直線駆動に変換する不図示の中間伝達手
段によって、ディスク1の径方向への移動を行う。そし
て、スレッドモータ5は、PWM(Pulse Width Modula
tion)ドライバ14からのスレッドモータ駆動信号によ
って駆動する。又、このスレッドモータ5内には、N極
とS極とが交互に磁化されたリング上のマグネット(不
図示)と、ホール素子11a,11bとが設けられてい
る。
【0021】このホール素子11a,11bは、所定間
隔隔てて設けられるとともに、その出力が速度・移動距
離演算回路12が送出される。そして、速度・移動距離
演算回路12では、ホール素子11a,11bからの出
力をもとに、光ピックアップ2のディスク1の径方向の
移動速度及び移動距離が演算される。そして移動速度の
演算結果が、DSP(Digital Signal Processor)で構
成されたデジタルサーボ処理回路10に、移動距離の演
算結果が制御用マイコン8に送出される。デジタルサー
ボ処理回路10では、この演算結果と後述するRF処理
回路6からの信号より処理された信号に基づいて、各制
御系を動作させるための信号が生成される。この信号に
基づいてPWM信号生成回路13で生成されたPWM信
号がPWMドライバ14に送出されて、スレッドモータ
駆動信号が生成される。
【0022】又、磁気ヘッド3は、ヘッドモータ16に
よって、ディスク1のディスク面に対して鉛直方向に移
動する。即ち、ディスク1への記録時に、ディスク1に
摺接すべく、ディスク1のディスク面側に磁気ヘッド3
が降下するように、磁気ヘッド昇降駆動回路18によっ
てヘッドモータ16が駆動される。そして、記録が終了
すると、磁気ヘッド3がディスク1から離間する方向に
上昇するように、磁気ヘッド昇降駆動回路18によって
ヘッドモータ16が駆動される。
【0023】このようにして、ヘッドモータ16によっ
てディスク1に摺接するように磁気ヘッド3が移動させ
られたとき、信号処理回路9より与えられるデータ信号
によって、ヘッド駆動回路17が動作する。このヘッド
駆動回路17によって磁気ヘッド3が駆動して、ディス
ク1に対して信号処理回路9より与えられたデータ信号
に応じた磁界を発生し、ディスク1への記録動作が行わ
れる。
【0024】又、光ピックアップ2で光検出されて電流
信号として出力される信号がRF処理回路6によって、
電圧信号に変換される。このRF処理回路6に出力され
る信号のうち、データを有するRF信号に対応する光検
出信号は、位相が正反対の2つの信号からなる。よっ
て、この光検出信号は、RF処理回路6に送出される
と、この2つの信号の差動増幅した後、AGC(Automa
tic Gain Control)処理が施されて信号処理回路9に送
出される。
【0025】そして、信号処理回路9において、エラー
訂正、デインターリーブ、NRZI(Non-Return-to-Ze
ro Invert)変換、ビタビ復号などによって復号化さ
れ、インターフェース20に送出されて、外部に出力さ
れる。このようにして、ディスク1内のデータの再生が
行われる。尚、インターフェース20を介して外部より
データが入力されたとき、このデータが、信号処理回路
9において、上記した変換と逆の変換が行われて符号化
されたデータ信号が、ヘッド駆動回路17に送出され
る。このようにヘッド駆動回路17にデータ信号が送出
された後、上述したように、このヘッド駆動回路17が
そのデータ信号に応じて磁気ヘッド3を駆動させること
によりディスク1への記録が行われる。
【0026】又、デジタルサーボ処理回路10では、R
F信号から得た同期信号が、基本周波数信号となるマス
タークロックに基づいてPLL(Phase Locked Loop)
処理される。このようにPLL処理された信号が、PW
M信号生成回路13でPWM処理された後、スピンドル
モータドライバ15を介してスピンドルモータ4が回転
制御される。このスピンドルモータ4は、ディスク1を
その周方向に動作させるためのモータで、ディスク1を
記録・再生するためにトラッキング動作を行うときに、
上記のようなPLL制御が施される。尚、ディスクの回
転起動時やトラックのロングサーチを行うときは、スピ
ンドルモータ4はFG(Frequency Generator)サーボ
によって制御される。
【0027】又、このFGサーボについて、以下に説明
する。スピンドルモータドライバ15より駆動信号がス
ピンドルモータ4に与えられて、スピンドルモータ4が
回転駆動される。このとき、スピンドルモータ4からそ
のモータ自身の回転に関する信号がスピンドルモータド
ライバ15に帰還され、そして、この帰還された信号を
波形成形して生成されたFG信号を信号処理回路9に送
出する。この信号処理回路9では、このFG信号によっ
て、現在光ピックアップ2がトラッキングしている位置
におけるスピンドルモータ4のあるべき回転速度と比較
され、エラー信号を発生する。このエラー信号に基づい
て、デジタルサーボ処理回路10において、スピンドル
モータ4を駆動するための信号が生成され、PWM信号
生成回路13でPWM処理された後、スピンドルモータ
ドライバ15に与えられる。このようなループによっ
て、FGサーボがなされる。
【0028】尚、スピンドルモータドライバ15で生成
されたFG信号は、制御用マイコン8にも与えられる。
このように与えられたFG信号よりスピンドルモータ4
の回転速度を検出し、光ピックアップ2の位置するゾー
ンのあるべきの回転速度より、スピンドルモータ4の回
転速度が予め設定された所定値以上低い場合に、制御用
マイコン8によって、レーザービームのディスク1への
照射を強制的に停止させる。
【0029】一方、光ピックアップ2で光検出されたト
ラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号といった
エラー信号は、RF処理回路6で処理された後、A/D
コンバータ7でデジタル信号に変換される。このデジタ
ル信号は、デジタルサーボ処理回路10に送出される。
そして、デジタルサーボ処理回路10で処理された信号
がPWM信号生成回路13でPWM処理された後、PW
Mドライバ14を介して、スレッドモータ5や光ピック
アップ2内のアクチュエータ(不図示)を駆動して、フ
ォーカス制御及びトラッキング制御がなされる。
【0030】又、トラッキング制御を行うためのトラッ
キングサーボは、光ピックアップ2→RF処理回路6→
ADコンバータ7→デジタルサーボ処理回路10→PW
M信号生成回路13→PWMドライバ14→光ピックア
ップ2又はスレッドモータ5というメインループと、ホ
ール素子11a,11b→速度・移動距離演算回路12
→デジタルサーボ処理回路10→PWM信号生成回路1
3→PWMドライバ14→光ピックアップ2又はスレッ
ドモータ5というサブループとから構成される。
【0031】更に、このディスク装置は、後述するレー
ザーダイオード41(図5)から出力されるレーザーの
出力を制御するLD(Laser Diode)ドライバ31と、
ディスク1と光ピックアップ2との絶対位置を求める基
準となる位置検出手段となるリミットスイッチのような
機械的なスイッチであるリードインスイッチ32とを有
する。
【0032】このような構成のディスク装置において、
制御用マイコン8、信号処理回路9、デジタルサーボ処
理回路10、及びPWM信号生成回路13によって、制
御回路19が構成される。
【0033】<ディスク>次に、ディスク1の構成につ
いて、図面を参照して以下に説明する。図2は、ディス
ク1の記録領域の構成を示す平面図である。又、図3
は、ディスク1におけるトラックの構成を示す図であ
る。又、図4は、ディスク1に構成される超解像層と記
録層との関係を示す図である。
【0034】このディスク1は、レーザーストローブ磁
界変調記録によって記録されるディスクである。即ち、
磁気ヘッド3(図1)から磁界を受けるとともに光ピッ
クアップ2(図1)からのパルス発光されたレーザービ
ームに基づいて、ディスク1の所定の箇所がキュリー点
以上の温度に高められ、磁気ヘッド3から受ける磁界の
方向に基づいて垂直磁化される。その後、このように磁
化された記録箇所がキュリー点以下の温度に降下する
と、上記のように磁化方向付けされた磁化に固定保持さ
れる。尚、照射されるレーザービームがパルス発光であ
るので、記録された信号のピッチが非常に狭いものとな
り、高密度記録が可能となる。
【0035】まず、ディスク1の構成について、図2を
参照して説明する。ディスク1は、中央位置にスピンド
ルモータ4(図1)の軸に嵌合するためのスピンドル嵌
合用孔25を有し、その最外周部と最内周部にそれぞれ
信号が全く記録されないミラー領域21a,21bが形
成される。そして、ミラー領域21aの内周側にリード
イン領域22が、ミラー領域21bの外周側にリードア
ウト領域24が設けられ、このリードイン領域22の内
周側からリードアウト領域24の外周側に至る領域に、
データを記録するためのメイン情報領域23が形成され
る。
【0036】又、リードイン領域22は、TOC領域で
もあり、後述するウォブルが形成されている。このTO
C(Table Of Contents)領域とは、ディスク製造者が
ディスク製造時に、ディスク記録時や再生時のレーザー
ビームの最適なパワーなどといった製造情報などのTO
C情報を記録した領域であり、そのTOC情報が繰り返
し記録される。このようなTOC情報はユーザーが手に
した時には既に記録済であり、消去することができな
い。尚、このリードイン領域22を、以下「TOC領域
22」と呼ぶ。
【0037】更に、メイン情報領域23は、複数に分割
されたゾーンが形成される。このように複数のゾーンが
形成されたディスク1は、ゾーンCLV(Constant Lin
earVelocity)制御によって、回転制御がなされる。こ
のゾーンCLV制御は、各ゾーンにおいて、その回転数
が一定になるように制御され、又、各ゾーン間の線速度
がほぼ等しくなるように、各ゾーンの固定回転数が決定
される。即ち、各ゾーンにおいては、CAV(Constant
Angular Velocity)制御が行われ、又、各ゾーン間に
おいては、CLV制御が行われる。よって、外周側のゾ
ーンほどその固定回転数が低くなる。
【0038】尚、TOC領域22もこのメイン情報領域
23と同様のゾーンCLV制御が行われるため、TOC
領域22の回転数が、全ての情報記録領域において、最
も低い回転数で制御される。又、本実施形態において、
ディスク1内のメイン情報領域23には、10のゾーン
に分割されているものとし、外周部よりゾーン1、ゾー
ン2、・・・ゾーン10とする。又、TOC領域22
は、ゾーン0に相当する。
【0039】このような構成のディスク1を、ディスク
装置に装着したとき、まず、光ピックアップ2(図1)
がTOC領域22の読み取りを行い、ディスク1のTO
C情報を把握する。そして、このTOC情報を読み取っ
た後、ディスク装置が、記録・再生を開始することが可
能な状態、即ち、スタンバイ状態になる。尚、このディ
スク1を装着してからスタンバイ状態になるまでの時間
を、以下、「スタンバイ時間」と呼ぶ。
【0040】このように、TOC領域22の読み取りを
行う際、その読み取りが可能となるようにするために、
ディスクの回転数を所定の回転数にしなければならな
い。このとき、TOC領域22がディスク1の情報記録
領域の最外周部に存在して、その固定回転数が最も低く
設定されているため、スピンドルモータ4(図1)の立
ち上げが速くなる。よって、スタンバイ時間を短縮する
ことができる。更に、TOC領域22が外周部に設けら
れることによって、TOC領域22の読み込みが、ディ
スク1の偏心に対しても有利となり、そのTOC情報の
読み取りにかかる時間が短くなる。
【0041】次に、ディスク1のトラックの構成につい
て、図3を参照して説明する。ディスク1は、最外周部
から最内周部まで、スパイラル状に1つのグルーブが形
成されている。逆に言えば、最外周部から最内周部ま
で、スパイラル状にランドが形成されることになる。こ
のように形成されたグルーブ及びランドは、光ピックア
ップ2(図1)がディスク1の径方向に移動すると、交
互に検出されることになる。そして、このグルーブとラ
ンドの幅は、例えば、両者とも略0.5μmとするよう
に、互いに略等しい値とする。以下、グルーブ及びラン
ドの幅を、それぞれ、Pとして説明する。
【0042】このように形成されたグルーブ及びランド
は、それぞれ記録可能なトラックとして用いられる。即
ち、図3(b)のように、グルーブからなる記録トラッ
クとランドからなる記録トラックが交互に設けられるこ
とになる。尚、図3(a)は、ディスク1の円周方向に
形成されたグルーブ及びランドの関係を示す図で、矢印
が内周方向を示す。又、図3(b)は、図3(a)の図
のM−M’の断面図である。以下、ランドによって形成
される記録トラックを「トラックA」、グルーブによっ
て形成される記録トラックを「トラックB」とする。こ
のとき、トラックA間及びトラックB間のピッチは、そ
れぞれ2Pとなるが、隣接するトラック同士のピッチ
は、Pとなる。以下、メイン情報領域23のトラックの
構成について、説明する。
【0043】このようなトラックが形成されたとき、ト
ラックA及びトラックBは、所定間隔毎にランド及びグ
ルーブが消滅する。このランド及びグルーブの消滅部分
は、それぞれ、クロックマーク26a,26bとなる。
トラックAに形成されるクロックマーク26aは、グル
ーブの高さと同じであり、その幅Sは、ディスク1上に
形成されるビームスポットの径よりも小さくなるように
設定されている。このようにすることによって、クロッ
クマークの検出時において、その検出信号がゼロになる
部分が連続しない。即ち、クロックマークの検出時で
は、ゼロクロスする箇所が1点になる。又、トラックB
に形成されるクロックマーク26bは、ランドと同じ高
さであり、その幅は、クロックマーク26aと同様Sで
ある。
【0044】よって、トラックA又はトラックBを再生
するとき、それぞれのクロックマーク26a,26bを
検出したときの信号の位相が異なることから、どちらの
トラックを再生しているか確認することができる。この
ことは、トラックA又はトラックBを記録するときも、
同様である。このようなクロックマーク26a,26b
が形成されるトラックA及びトラックBにおいて、それ
ぞれ、クロックマーク26a間、又は、クロックマーク
26b間に、データ部27a,27bが形成される。こ
のデータ部27a,27bは、それぞれ、55個毎に1
つのフレームを形成する。
【0045】又、このように1つのフレームを形成する
55個のデータ部27aの1つには、その側壁にウォブ
ル28aが形成される。又、データ部27aのうち、ウ
ォブル28aが形成されたデータ部に続くデータ部に
は、ウォブル28aが形成された側壁の逆側の側壁に、
ウォブル28bが形成される。このウォブル28a,2
8bは、アドレス情報を記録するために形成されたもの
で、ウォブル28aの示すアドレスデータを「先行アド
レス」、ウォブル28bの示すアドレスデータを「後行
アドレス」と呼ぶ。
【0046】このようなウォブル28a,28bが形成
された2つのデータ部を、「アドレスデータ部」と呼
び、残りの53個のデータ部を「メインデータ部」と呼
ぶ。尚、トラックBにおいては、データ部27bのう
ち、その内壁にウォブル28a,28bが形成された2
つのデータ部を「アドレスデータ部」と呼び、残りの5
3個のデータ部を「メインデータ部」と呼ぶ。よって、
2個のアドレスデータ部と53個のメインデータ部によ
って1個のフレームが形成される。そして、このフレー
ムが16個毎に、1つの情報群として処理され、この情
報群をブロックと呼ぶ。このブロックの1トラックあた
りの数は、そのトラックの位置によって異なり、ディス
ク1の内周側にあるトラックほどその数が少なくなる。
【0047】そして、このアドレスデータ部には、ゾー
ン番号、ブロック番号、及びフレーム番号が記録され、
このアドレスデータ部のデータをもとに、記録、再生、
サーチなどの各モードが実施される。又、アドレスデー
タ部は、このようなデータがウォブルを形成することに
よって記録されるため、ランドとなるトラックAのトラ
ッキング時及びグルーブとなるトラックBのトラッキン
グ時のいずれの場合においても、そのデータを読み出す
ことができる。更に、メインデータ部にデータの書込み
を行う際には、トラックA、トラックBのどちらのトラ
ックにデータを書き込んでいるのかを明確にするための
情報が、その主情報となるデータとともに記録される。
【0048】このようにトラックが構成されるとき、図
3において最も外周側のトラックAの位置情報であるゾ
ーン番号、ブロック番号、及びフレーム番号を、それぞ
れ、a、b、c、とし、その位置表現となるADIPデ
ータを(a,b,c)とする。よって、同じトラック上
の次のフレームのADIPデータは、(a,b,c+
1)となる。今、このゾーンにおけるトラック1本のブ
ロック数をnとすると、フレーム(a,b,c)に対向
する次のトラックAのフレームのADIPデータは、
(a,b+n,c)となる。尚、図3では、便宜上、対
向するフレームのずれがないものとして示されている
が、実際には、数フレーム分のずれが生じる、そして、
このずれがαフレーム分であるとすると、(a,b+
n,c+α)となる。又、このαフレーム分のずれは、
各トラック毎に既知の値であり、ディスク装置において
は、制御用マイコン8(図1)にデータテーブルが用意
されている。
【0049】このADIPデータは、符号化されて、先
行アドレス及び後行アドレスとして、それぞれの側壁の
ウォブル28a,28bに、バイフェーズマーク変調さ
れて記録される。即ち、先行アドレスと後行アドレスの
データが同じか異なるかによって、トラックが判断され
る。トラックAをトラッキングしている際にそのフレー
ムアドレスを認識するためにADIPデータを読み出し
たとき、先行アドレスと後行アドレスの再生信号は逆位
相のものとなる。しかし、この先行アドレスと後行アド
レスはそれぞれバイフェーズマーク変調された信号であ
るため、トラックAをトラッキングしている際、同じフ
レームアドレスを表す情報が連続して読み出される。
【0050】一方、トラックBをトラッキングしている
際にそのフレームアドレスを認識するためにADIPデ
ータを読み出したとき、まず、外周側のウォブル28a
による先行アドレスが読まれ、次に、内周側のウォブル
28bによる後行アドレスが読まれる。このとき、例え
ば、先行アドレスのデータが(a,b,c)となると
き、後行アドレスのデータが(a,b+n,c)となる
(尚、上記したように、トラック毎にフレームのずれが
生じる場合、そのずれとなるαフレーム分を考慮す
る。)。
【0051】このように、ウォブル28aによる先行ア
ドレスとウォブル28bによる後行アドレスのデータが
同じであれば、トラックAをトラッキングしており、
又、ウォブル28aによる先行アドレスとウォブル28
bによる後行アドレスのデータが違えば、トラックBを
トラッキングしていることとなる。よって、ADIPデ
ータを読み出すことによって、ランドのトラックをトラ
ッキングしているか、グルーブのトラックをトラッキン
グしているかが確認できる。
【0052】このようにしてメイン情報領域23にトラ
ックが形成されるが、TOC領域22においても、同様
に、ランドで形成されるトラックAとグルーブで形成さ
れるトラックBを有し、トラックA,Bには、それぞ
れ、クロックマークとデータ部とが設けられる。そし
て、メイン情報領域23と同様に、2個のアドレスデー
タ部と53個のメインデータ部とで1つのフレームが形
成され、2個のアドレスデータは、先行アドレスとなる
ウォブルと後行アドレスとなるウォブルが形成される。
【0053】更に、このようなトラックが形成されるT
OC領域22では、メインデータ部にもウォブルが、先
行アドレスとなるウォブルが形成される側壁と同じ側の
側壁に形成される。即ち、後行アドレスとなるウォブル
が形成される側壁と逆側の側壁に形成され、アドレスデ
ータのように、交互に形成されない。よって、連続する
2つのトラックの一方のトラックにのみ、このウォブル
によるデータが記録されることになる。尚、このように
記録されたTOC領域22では、前述したように、TO
C情報が繰り返し記録されているため、全てを読み出す
必要が無い。
【0054】又、メインデータ部のウォブルが、ランド
の片側の側壁にのみ形成されているため、その記録され
たTOC情報の繰り返し回数が、トラック毎にTOC情
報を記録するものよりも少なくなるようにみえる。しか
しながら、上述したように、ランドで形成されるトラッ
クA、グルーブで形成されるトラックBのいずれをトラ
ッキングしている場合においても、このウォブルからデ
ータを読み出すことができるため、結果的にトラック
A,Bの両方にTOC情報が記録されていることとな
る。
【0055】後述するが、トラックAからトラックBに
移行するとき、又はその逆の動作を行うとき、トラッキ
ングエラー信号の位相を反転してトラッキングサーボ制
御を行う。TOC領域22において、光ピックアップ2
(図1)がトラックAをトラッキングしているとき、ト
ラッキングエラー信号がトラックA用の場合はそのまま
の位相の信号を用い、又、トラッキングエラー信号がト
ラックB用の場合は位相を反転させた信号を用いる。こ
のようにトラッキングエラー信号を変更することによっ
て、トラックを移行することなくTOC情報を読み取る
ことができる。
【0056】よって、例えば、ディスク装置がスタンバ
イ時間にTOC情報を読み取る際、予め、トラックA用
のトラッキングエラー信号を用いるように取り決めがな
されているものとする。このとき、TOC領域22に光
ピックアップ2(図1)を移動させたとき、その到達地
点がトラックBであるとしたとき、このトラックBに隣
接したトラックAに光ピックアップを移動させることな
く、トラッキングエラー信号の位相反転させることによ
って、TOC情報を読み取ることができる。
【0057】このように構成したTOC領域22にも、
データを書き込むようにしても構わない。このとき、T
OC領域22には、データを書き込むためのメインデー
タ部を形成するデータ部にもウォブルが形成されるた
め、SN比が悪くなり、データ部に書き込まれたデータ
を読み取りにくくなる。しかしながら、このデータ部に
書き込むデータの記録密度を下げて記録することによっ
て、ウォブルの影響を低減させることができる。例え
ば、メイン情報領域23のメインデータ部に記録するデ
ータの記録密度の略半分の記録密度で記録することによ
って、ウォブルの影響を大幅に低減させることができ
る。
【0058】このようにデータを書き込まれたTOC領
域22を再生したとき、その再生信号は、メインデータ
にウォブルによる光量変化信号が重畳したものとなる
が、ローパスフィルタを通すことによって、重畳された
高周波のウォブルによる光量変化信号を除くことができ
る。このようにすることで、書き込まれたデータからウ
ォブルの影響を取り除くことができる。
【0059】このようにデータがTOC領域22に書き
込まれるとき、その書き込まれるデータを、例えば、ユ
ーザーTOC(UTOC)情報としても良い。このUT
OC情報は、例えば、ディスク1に音楽情報が記録され
るとき、記録される曲の開始位置と終了位置といった曲
情報であり、このような曲情報となるUTOC情報を把
握することによって、ディスク1に記録された曲からユ
ーザーが再生したい曲を選択することができる。
【0060】よって、このUTOC情報もディスク1の
再生時において必要な情報であるので、TOC情報とと
もに、スタンバイ時間に読み込まれる。今、TOC領域
22にウォブルによって記録したTOC情報とメインデ
ータ部に書き込まれたUTOC情報を同時に読み取るこ
とができるので、TOC情報とUTOC情報を個別に読
み取るときに比べて、そのスタンバイ時間が早くなる。
【0061】更に、超解像層と記録層の関係について、
図4を参照して説明する。ディスク1は、光ピックアッ
プ2(図1)からレーザービームが照射される側に超解
像層が、磁気ヘッド3(図1)が摺接される側に記録層
が設けられる。そして、ディスク1の超解像層がキュリ
ー点に達していないときは、図4(a)に示すように、
超解像層の磁化の向きは、水平方向に向いている。尚、
図4において、記録層のN、S、矢印、及び超解像層の
矢印は、その磁化されている方向を示し、1ビット単位
で描いている。又、記録層のNで磁化された記録単位が
再生された信号を「N信号」、記録層のSで磁化された
記録単位が再生された信号を「S信号」と呼ぶ。
【0062】又、超解像層のキュリー点は、記録層のキ
ュリー点よりも低い。よって、ディスク1の再生時に光
ピックアップ2(図1)よりレーザービームが照射され
たとき、そのレーザービームの出力は、その1ビットの
記録単位の温度が超解像層のキュリー点より高く、記録
層のキュリー点より低くなるように、パワー制御され
る。又、記録時に光ピックアップ2(図1)よりレーザ
ービームが照射されたとき、そのレーザービームの出力
は、その1ビットの記録単位の温度が記録層のキュリー
点より高くなるように、パワー制御される。
【0063】まず、再生時の動作について、以下に説明
する。光ピックアップ2(図1)より、上記のように再
生時の出力となるようにパワー制御されたレーザービー
ムが、ディスク1の超解像層に照射される。そして、超
解像層が、図4(b)又は図4(c)のように、その真
上にある記録層の磁化の向きによって垂直磁化される。
これによって、レーザービームの反射光の偏光面が磁化
された方向に応じた回転を受ける。しかしながら、記録
層に記録されるデータは、高密度に記録されているた
め、レーザービームが照射されて生じるスポットのスポ
ット径が、その記録単位より大きく、3ビットの記録単
位に相当する。即ち、3ビット単位でスポットが形成さ
れる。尚、このレーザービームによって生じるスポット
を「光スポット」と呼ぶ。
【0064】今、図4(b)において、超解像層が存在
しないものとしたとき、光スポットが形成される記録層
の3ビットの記録単位には、Nに磁化された記録単位が
1ビット、Sに磁化された記録単位が2ビット存在する
ため、実際にNに磁化された記録単位を再生するにもか
かわらず、Sに磁化された記録単位としてS信号が再生
される。しかしながら、超解像層を設けることによっ
て、この超解像層がキュリー点に達する箇所は、目標と
する1ビット分の記録単位部のみである。
【0065】よって、図4(b)においては、反射光の
偏光面はNに磁化された記録単位による回転を受け、N
信号が再生される。尚、このようにキュリー点に達する
箇所を「熱スポット」と呼ぶ。又、図4(c)において
は、光スポットの中心に位置する箇所に形成される熱ス
ポットに対応する1ビットの記録単位が、Sに磁化され
ているので、S信号が再生される。
【0066】次に、記録時の動作について、以下に説明
する。光ピックアップ2(図1)より、上記のように記
録時の出力となるようにパワー制御されたレーザービー
ムが、ディスク1の超解像層に照射され、超解像層が、
図4(d)のように垂直磁化される。このとき、磁気ヘ
ッド3(図1)が摺接して、磁界が与えられるので、こ
の磁気ヘッド3の磁界によって、記録層も図4(d)の
ように垂直磁化される。即ち、図4(c)において、S
に磁化された記録単位が、図4(d)のように、磁気ヘ
ッド3によってNの磁界が与えられると、Nに垂直磁化
される。
【0067】このとき、図4(d)において、超解像層
の熱スポットのスポット径が大きくなるものの、記録層
のキュリー点を超える熱スポットのスポット径が1ビッ
トの記録単位に相当する大きさとなる。よって、目標と
する1ビット分の記録単位部のみに、磁気ヘッド3(図
1)による垂直磁化が行われる。
【0068】上記のように、ランド及びグルーブの両方
を記録トラックとし、更に、ディスク1の外側領域にT
OC領域22を設けるとともに、このTOC領域22に
もデータを記録するようにすることによって、直径が略
50mmのディスクに、略1Gbyteの記録容量のデータを記
録することが可能となった。(尚、フロッピーディスク
は1.44Mbyte、直径が120mmのCD(Compact Disk)は65
0Mbyte、直径が64mmのミニディスクは140Mbyteであ
る。)
【0069】<光ピックアップの構成>以下に、光ピッ
クアップ2について、図面を参照して説明する。図5
は、光ピックアップ2の構成を示す外観斜視図である。
光ピックアップ2は、レーザーダイオード41からディ
スク1上の目的とするトラックの中央位置めがけてレー
ザービームが出射される。このレーザービームは、ま
ず、ホログラム素子で構成される第1回析格子42に入
光する。第1回析格子42において、入光したレーザー
ビームから、1つの0次光のメインビームと、2つの1
次光のサブビームとが生成される。このメインビームと
サブビームが、それぞれPBS(Polarizing beam spli
tter)45を通過した後、これらのビームを平行光にす
るコリメータレンズ43を介して、対物レンズ44に入
光する。
【0070】この対物レンズ44は、不図示のアクチュ
エータによって、トラッキングエラー信号に基づいてデ
ィスク1の径方向に移動するように制御される。又、対
物レンズ44に入光するメインビームは、ディスク1上
の目的とするトラックの中央位置にメインスポットを形
成し、対物レンズ44に入光する2つのサブビームは、
それぞれ、メインスポットの形成されたトラックの両隣
のトラックの中央位置にサブスポットを形成する。
【0071】メインデータ部の再生又は記録時に、メイ
ンビームによって形成される熱スポット(図4)によっ
て超解像層(図4)の温度がキュリー点に達し、記録さ
れたデータに基づいて垂直磁化されたディスク1の記録
層(図4)の磁化の方向によって、ディスク1からの反
射光の偏光面が回転される。このようにディスク1上の
メインスポットに形成される熱スポット(図4)の磁化
の方向によって偏光面が回転された反射光は、対物レン
ズ44及びコリメータレンズ43を通過してPBS45
に入光する。又、このとき、目的とするトラックの両隣
にあるそれぞれのトラックに入射されるサブビームが、
サブスポットで反射されて、上述したメインスポットか
らの反射光と同様に、対物レンズ44及びコリメータレ
ンズ43を通過してPBS45に入光する。
【0072】このようにPBS45に入光したメインビ
ーム及びサブビームの反射光の一部が分光された一部の
反射光が、ホログラム素子で構成される第2回析格子4
9に入光し、第2回析格子49によってその進行方向が
変えられる。このようにして第2回析格子49を通過し
た反射光は、第2光検出器50に入光する。更に、この
第2光検出器50において、入光した反射光より、トラ
ッキングエラー信号やフーコー法に基づくフォーカスエ
ラー信号を生成するための光信号が生成される。
【0073】又、PBS45に入光したメインビーム及
びサブビームの反射光が分光された残りの反射光は、9
0°進行方向を変えられ、ウォラストンプリズム46に
入光する。このようにウォラストンプリズム46に入光
した反射光は、ディスク反射時にその偏光面に与えられ
る回転に応じて進行方向が異なる。そして、このように
ウォラストンプリズム46を通過する反射光は、凹レン
ズ47を介して対となる2つのフォトダイオード(不図
示)で構成される第1光検出器48に入光する。
【0074】このとき、第1光検出器48に設けられた
2つのフォトダイオードに、それぞれ、上述した進行方
向の異なる反射光が入射される。この2つのフォトダイ
オードに反射光が入射されると、第1光検出器48がそ
れぞれの反射光に対応した電流信号を生成して、RF処
理回路6(図1)に送出する。この進行方向の異なる反
射光によって生成される電流信号は、互いに逆位相の信
号となり、上述したS信号及びN信号に相当するメイン
データ部に記録されたデータを再生したRF信号であ
る。
【0075】このように、光ピックアップ2内をレーザ
ービームが通過するとき、レーザーダイオード41から
出射されるレーザービームの出力は、記録時には記録層
の温度をキュリー点以上に上昇させるために、再生時の
出力より大きくする必要がある。又、記録時には、再生
時と比べて、レーザービームの出力が大きくなるため、
第1光検出器48及び第2光検出器50に入射される反
射光のレベルも大きくなるため、上記のRF信号及び光
信号のレベルも大きくなる。よって、これらの信号を処
理する光ピックアップ2後段の各回路において、そのゲ
インが再生時に比べて小さくなるように切り換えられ
る。
【0076】又、上述したように、ディスク1のTOC
領域22(図2)に、UTOC情報などを記録する際に
は、その記録密度を下げて記録するために、光ピックア
ップ2のレーザーダイオード41より出射されるレーザ
ービームの発光パルスの時間間隔を広げる。即ち、発光
パルスの周期を長くしてその発光パルスの周波数を少な
くすることによって、TOC領域22(図2)に記録す
るデータの記録密度を、メイン情報領域23(図2)に
記録するデータの記録密度より小さくする。
【0077】<ディスク装着時のサーチ動作>ディスク
1をディスク装置に装着したときのサーチ動作につい
て、図2及び図5を参照して説明する。ディスク1がデ
ィスク装置に装着されると、上述したように、まず、T
OC領域22をサーチする。尚、サーチとは、目標とす
るトラックに光ピックアップ2及び対物レンズ44を移
動させることである。そして、このように、TOC領域
22をサーチすると、TOC領域22内に記録されたT
OC情報やUTOC情報が読み出され、ディスク装置が
スタンバイ状態となる。
【0078】このとき、スタンバイ時間を短くするた
め、光ピックアップ2ができる限り早くTOC領域22
に到達するように、粗サーチやラフサーチのみで光ピッ
クアップ2がTOC領域22に到達できるようにする必
要がある。以下に、この粗サーチ及びラフサーチのそれ
ぞれについて、説明する。
【0079】粗サーチとは、光ピックアップ2の所在す
るトラックの位置と目標とするトラックの位置とのアド
レスデータを比較することによって、約何本のトラック
を横切らなければならないかを算出し、その算出結果に
基づいてスレッドモータ5(図1)を目標とするトラッ
クの位置近傍に到達させるものである。
【0080】又、ラフサーチとは、上記した粗サーチよ
り更に粗い動作となるサーチ手段であり、TOC領域2
2への光ピックアップ2の移動には、このラフサーチが
一般的に用いられる。このラフサーチは、粗サーチのよ
うに横切るトラックの本数を算出することなく、TOC
領域22に光ピックアップ2が到達したときに、ディス
ク1に対向して設けられたリードインスイッチ32が切
り替わってスレッドモータ5(図1)の回転停止させる
といったものである。
【0081】スタンバイ時間を短くするために、このよ
うな粗サーチやラフサーチを一度行うだけで光ピックア
ップ2をTOC領域22に到達させようとすると、その
サーチ手段が粗い動作であるために、TOC領域22の
幅を2mm程度にする必要がある。しかしながら、高密
度記録を目的とするディスク1において、上記のTOC
領域22の幅は、非常に大きいものとなる。よって、こ
のようなTOC領域22をTOC情報のためにのみ用い
たとき、無駄なスペースが広くなることとなる。
【0082】そのため、上述したように、このTOC領
域22にもUTOC情報などのデータを書き込めるよう
にすることで、そのデータの記録容量値を増加すること
ができる。尚、このようにTOC領域22に記録された
データを読み出すとき、上述したように、この記録され
たデータの記録密度が低いので、ウォブルによる高周波
の光量変化信号を、ローパスフィルタで取り除くことに
よって、記録されたデータを読み出すことができる。
【0083】このようにUTOC情報をTOC領域22
に記録されたディスクは、UTOC情報を読みにいく必
要があるので、リードインスイッチ32(図1)によっ
てサーチを行うラフサーチでなく、通常のサーチを行う
必要がある。このように、通常のサーチが行われるた
め、ラフサーチによってサーチされるTOC領域22に
UTOC情報が記憶されていないディスクに比べて、T
OC領域22の領域幅を狭めることができる。又、TO
C領域22にUTOC情報が記憶されたディスクによる
と、TOC情報とUTOC情報が一度に読み込まれるの
で、スタンバイ時間の短縮を図ることができる。
【0084】<第2光検出器で検出される光信号の信号
処理>第2光検出器50で検出される光信号の信号処理
動作について、図面を参照して説明する。図6は、第2
回析格子49を通過するレーザービームの第2光検出器
50に対する入射位置の位置関係を示す図である。
【0085】上述したように、メインビーム及びサブビ
ームのディスク1(図5)からの反射光は、PBS45
(図5)で分光されて、その一部の反射光の1次光が第
2回析格子49で進路が変えられて第2光検出器50に
入光する。第2回析格子49は、図6のように、3つの
それぞれ偏光方向の異なる回析格子A,B1,B2によ
って構成される。この回析格子A,B1,B2の偏光方
向の異なりによって、PBS45で分光されたメインビ
ームやサブビームの反射光を、第2光検出器50におけ
る所定の位置に集光させる。
【0086】又、第2光検出器50は、フォトダイオー
ドD1,D2よりなるフォトダイオード群Daと、フォ
トダイオードE1,E2,E3よりなるフォトダイオー
ド群Dbと、フォトダイオードF1,F2,F3よりな
るフォトダイオード群Dcと、から構成される。このよ
うな第2光検出器50において、回析格子Aを通過する
メインビームの反射光がフォトダイオード群Daのダイ
オードD1,D2の境界部に集光され、このダイオード
D1,D2の光量の差がフォーカスエラー信号となる。
【0087】又、回析格子B1を通過するメインビーム
の反射光はフォトダイオード群DcのダイオードF1
に、そして、2つのサブビームによる反射光はそれぞれ
フォトダイオード群DcのダイオードF2,F3に集光
される。更に、回析格子B2を通過するメインビームの
反射光はフォトダイオード群DbのダイオードE1に、
そして、2つのサブビームによる反射光はそれぞれフォ
トダイオード群DbのダイオードE2,E3に集光され
る。
【0088】このとき、メインビームの反射光が入射さ
れるダイオードE1,F1の光量の差と、メインビーム
が入光するトラックの右隣のトラックにおけるサブビー
ムの反射光が入射されるダイオードE2,F2の光量の
差と、メインビームが入光するトラックの左隣のトラッ
クにおけるサブビームの反射光が入射されるダイオード
E3,F3の光量の差とを用いて、トラッキングエラー
信号及び後述するシフト信号が生成される。
【0089】<トラッキングエラー信号及びシフト信号
の生成>トラッキングエラー信号及びシフト信号の生成
動作について、図面を参照して説明する。図7は、ディ
スク1のトラック上に形成されるメインスポット、及び
サブスポットの関係と、トラッキングエラー信号とシフ
ト信号とを生成するための回路を示す図である。
【0090】トラックA(ランド)とトラックB(グル
ーブ)が交互に、そのトラックピッチがPとなるように
連続的に並んだディスク1に、図7のように、トラック
Aの一つを目標とするトラックとしたとき、このトラッ
クAに光ピックアップ2(図1)よりメインビームが照
射され、メインスポット51が形成される。又、メイン
スポット51が形成されるトラックAの右側に隣接した
トラックBに2つのサブビームのうちの一方が照射さ
れ、サブスポット52が形成される。更に、メインスポ
ット51が形成されるトラックAの左側に隣接したトラ
ックBに2つのサブビームのうちの他方が照射され、サ
ブスポット53が形成される。
【0091】このように形成されたメインスポット51
及びサブスポット52,53からの反射光が、上述した
ように、PBS45(図5)で分光された後、第2回析
格子49(図6)を通過して第2光検出器50に入射さ
れる。このとき、図7のように、メインスポット51が
4等分された1/4円に相当する4つの部分における反
射光が、それぞれフォトダイオードD1,D2,E1,
F1に入射される。又、サブスポット52が2等分され
た半円に相当する2つの部分における反射光が、それぞ
れフォトダイオードE2,F2に入射される。更に、サ
ブスポット53が2等分された半円に相当する2つの部
分における反射光が、それぞれフォトダイオードE3,
F3に入射される。
【0092】尚、フォトダイオードD1,D2,E1,
E2,E3,F1,F2,F3によって出力される電流
信号の値を、それぞれ、d1,d2,e1,e2,e
3,f1,f2,f3とする。又、図7において、フォ
トダイオードD1,D2,E1,E2,E3,F1,F
2,F3を、便宜上、メインスポット51及びサブスポ
ット52,53に対応するように描いており、実際の構
成は、図6のような構成である。
【0093】このようにその値がd1,d2,e1,e
2,e3,f1,f2,f3となる電流信号がRF処理
回路6に送出される。RF処理回路6において、フォト
ダイオードE1,F1の電流信号がそれぞれ、オペアン
プ54の正相入力端子aと逆相入力端子bに、フォトダ
イオードE2,F2の電流信号がそれぞれ、オペアンプ
55の正相入力端子aと逆相入力端子bに、フォトダイ
オードE3,F3の電流信号がそれぞれ、オペアンプ5
6の正相入力端子aと逆相入力端子bに、送出される。
そして、オペアンプ54,55,56において、それぞ
れに入力された2つの電流信号の差信号TE1,TE
2,TE3に相当する電圧信号がそれぞれの出力端子よ
り出力される。
【0094】このオペアンプ54,55,56で求めら
れる差信号TE1,TE2,TE3は、以下の通りであ
る。 TE1=e1−f1 TE2=e2−f2 TE3=e3−f3
【0095】そして、オペアンプ56で求められる差信
号TE3が、乗算器57でG2が乗算され、G2・TE
3に相当する電圧信号が加算器58に送出される。この
加算器58では、オペアンプ56で求められた差信号T
E2を加算することによって、TE2+G2・TE3に
相当する電圧信号を生成して、乗算器59に送出する。
そして、乗算器59において、G1が乗算され、G1・
(TE2+G2・TE3)に相当する電圧信号が生成さ
れて、オペアンプ60の逆相入力端子bと、オペアンプ
61の正相入力端子bに送出される。
【0096】又、オペアンプ60,61の正相入力端子
aには、ともに差信号TE1に相当する電圧信号が送出
される。そして、このオペアンプ60及びオペアンプ6
1は、それぞれ、出力端子よりトラッキングエラー信号
TE及びシフト信号SFSが出力される。このトラッキ
ングエラー信号TE及びシフト信号SFSは、下記の式
によって求まる。 TE=TE1−G1・(TE2+G2・TE3) SFS=TE1+G1・(TE2+G2・TE3)
【0097】このようにして求められるトラッキングエ
ラー信号TEは、乗算器57,59における乗数G2,
G1を、適切な値に選択することによって、オフセット
の無いトラッキングエラー信号となる。本実施形態で
は、このような差動プッシュプル法(DPP方式:Diff
erential Push-Pull method)を用いて、トラッキング
エラー信号TEが求められる。
【0098】このDPP方式について、以下に、簡単に
説明する。周知のように、ディスク上にトラックがスパ
イラル状に形成されるとき、ディスクの記録又は再生を
行う際にトラッキング制御を行う場合、対物レンズが、
トラックの中央位置からずれていく。このような対物レ
ンズのずれ量をシフト量といい、このシフト量に対応す
る電気的信号をオフセットという。以下、メインスポッ
ト51及びサブスポット52,53の各スポットで生じ
るオフセットをB1,B2,B3、各差信号TE1,T
E2,TE3の振幅をA1,A2,A3、対物レンズの
シフト量をXとする。
【0099】このようにして、各値を定めたとき、トラ
ック間のピッチがPであるので、差信号TE1,TE
2,TE3は、それぞれ、以下の式で表される。 TE1=A1・SIN(πX/P)+B1 TE2=A2・SIN(π(X−P)/P)+B2 TE3=A3・SIN(π(X+P)/P)+B3
【0100】このとき、各スポットにおけるオフセット
が各差信号の振幅の割合と同じ割合で生じるため、 B1/A1=B2/A2=B3/A3 となる。よって、乗算器59,57の乗数G1,G2を
以下の式のように決定する。 G1=A1/(2・A2) G2=A2/A3
【0101】上記の式のような値に乗数G1,G2を決
定することによって、トラッキングエラー信号TEは、
以下の式のようになり、オフセットB1,B2,B3の
消滅したトラッキングエラー信号となる。 TE=TE1−G1・(TE2+G2・TE3) =2・A1・SIN(πX/P)
【0102】このDPP方式は、プッシュプル法の変形
である。又、メインビームと2つのサブビームを用い
て、トラッキングエラー信号の検出を行っているが、ラ
ンドとグルーブのトラック幅が同じであるので、この3
つのビームを用いてトラッキングエラー信号の検出を行
う3ビーム方式は採用できない。というのも、3ビーム
方式においては、2つのサブビームの明暗の差を検出す
ることでトラッキングエラー信号を検出するものである
が、本方式では、2つのサブビームから得られる信号の
値が同じ値となるため、2つのサブビームの明暗の差が
検出できないからである。
【0103】又、プッシュプル方式を用いたとき、対物
レンズのシフト量Xに対するトラッキングエラー信号と
なる差信号のオフセットの割合(シフト量を横軸に、オ
フセットを縦軸にしてグラフを描いたときの傾きに相当
する)が、3ビーム方式と比較したとき、極端に大きく
なる。そのため、記録時又は再生時のトラッキング制御
を行う際にこのオフセットが問題となり、このオフセッ
トを低減させることが課題となっていた。しかしなが
ら、本実施形態のように、メインビームと2つのサブビ
ームを用いたDPP方式を採用することによって、上述
したような処理を行って、このオフセットを除去し、ト
ラッキングエラー信号がオフセットを含まない信号とし
て生成される。よって、トラッキング制御を行うとき、
トラックの中央位置を対物レンズが追従するように制御
される。
【0104】又、オペアンプ61の出力端子より送出さ
れるシフト信号SFSは、以下の式のようにオフセット
B1で表されるため、このシフト信号SFSにより、メ
インビームがどれだけ光源光軸からシフトしたかを検出
することができる。 SFS=TE1+G1・(TE2+G2・TE3) =2B1
【0105】<クロックマークの再生>クロックマーク
の再生動作について、以下に説明する。クロックマーク
は、上述した第2光検出器50(図7)のフォトダイオ
ードD1,D2,E1,F1(図7)より得られる電流
信号d1,d2,e1,e2を用いて、RF処理回路6
(図1)で(d1+d2)−(e1+f1)を行うこと
によって検出される。クロックマークのトラック方向の
幅は、メインビームによって形成されるメインスポット
のスポット径よりも小さい。よって、メインビームがク
ロックマークを照射する際、(d1+d2)−(e1+
f1)がゼロクロスするとき、クロックマークの中点を
メインビームが通過したことになる。
【0106】このようにしてクロックマークの中点を検
出してから、次のクロックマークの中点を検出するまで
の時間を所定の値(例えば、400)で分割された周期
のクロックが信号処理回路9(図1)で生成される。こ
のクロックと前述したマスタークロックを用いて、上述
したように、デジタルサーボ処理回路10(図1)にお
いてデジタルPLL処理が施される。このようにPLL
処理が施された信号がPWM信号生成回路13(図1)
でPWM処理された後、このPWM処理された信号がス
ピンドルモータドライバ15(図1)に与えられること
によって、スピンドルモータ4(図1)が回転制御され
る。尚、信号処理回路9(図1)でクロックを生成する
ための分割値は、データの記録密度は低下させているT
OC領域22(図2)においてもメイン情報領域23
(図2)においても同じ値である。
【0107】<ウォブルの再生>ウォブルの再生動作に
ついて、以下に説明する。ウォブルは、上述した第2光
検出器50(図7)のフォトダイオードE1,F1(図
7)より得られる電流信号e1,f1を用いて、RF処
理回路6(図1)でe1−f1を行うことによって検出
される。よって、トラッキングエラー信号検出に使用さ
れる差信号TE1によって、ウォブルが検出される。
【0108】即ち、光ピックアップ2(図1)より与え
られるメインビームがディスク1(図1)のトラックの
中央位置に追従しているならば、そのメインビームが照
射されるメインスポットのうち、フォトダイオードE
1,F1によって検出される部分のいずれか一方にウォ
ブルが存在する。よって、フォトダイオードE1,F1
の電流信号e1,f1がこのウォブルに影響された異な
った値となる。よって、差信号TE1を求めることによ
って、ウォブルの検出が行われる。又、ウォブルによっ
て記録されたデータ以外のデータについては、差信号T
E1を求めたとき相殺されるので、ウォブルによって記
録されたデータであるウォブル信号のみが得られる。
【0109】<トラッキングサーボのメインループ>以
下に、トラッキングサーボのメインループについて、図
面を参照して説明する。図8は、デジタルサーボ処理回
路10の内部構成を示すブロック図である。上述したよ
うに、トラッキングエラー信号は、RF処理回路6(図
1)でDPP方式を用いて求められるため、オフセット
の無いトラッキングエラー信号が得られる。このトラッ
キングエラー信号は、ADコンバータ7(図1)によっ
てデジタル化された後、デジタルサーボ処理回路10に
送出される。
【0110】ADコンバータ7(図1)によってデジタ
ル化されたトラッキングエラー信号がデジタルサーボ処
理回路10に送出されると、まず、極性反転回路81に
送られる。この極性反転回路81では、例えば、トラッ
クA(ランド)の信号を再生しているときにトラックB
(グルーブ)の信号を再生しようとしたとき、対物レン
ズ44(図5)を移動する際に、与えられたトラッキン
グエラー信号の位相を反転させてその再生信号が読みと
れるようにする。即ち、極性反転回路81において、与
えられたトラッキングエラー信号を読み出したトラック
がその設定のトラックと異なるとき、トラッキングエラ
ー信号の位相を反転させる。
【0111】そして、この極性反転回路81の出力信号
は、位相補償回路82及びサンプリング回路87に送出
される。位相補償回路82は、トラッキングサーボ系の
安定化のために設けられた回路で、フィルタで構成され
る。このような位相補償回路82は、例えば、略40Hzま
ではゲインが60dbにフラットに保たれ、略40Hzから1kHz
近傍までゲインが12db/octの割合で降下し、1kHz近傍以
降そのゲインが6db/octの割合で降下するような開ルー
プ特性を満足する。
【0112】この位相補償回路82の出力信号が、トラ
ッキングエラー信号が大きくなるとメインビームをトラ
ックの中央位置に照射させるために、対物レンズ44
(図5)をトラックの中央位置に対向するように引き戻
そうとする力が加えられるネガティブフィードバックの
トラッキング駆動信号となる。そして、このトラッキン
グ駆動信号が、ゲイン切換回路83に入力されて、記録
時及び再生時に対応するゲインによって増幅される。さ
らには、メインビーム照射するトラックに対応したゲイ
ンの切り換えも行われる。
【0113】ゲイン切換回路83は、スイッチSW1の
接点cに接続される。このスイッチSW1の接点dに
は、例えばグランド電圧といった基準電圧が印加され
る。このスイッチSW1によって、ディスク装置の電源
が入っている状態で、ディスク1(図1)の記録や再生
が実施されていないとき、スイッチSW1が接点d側に
接続されて基準電圧を与えることにより、対物レンズ4
4(図5)を中立位置に保持する。又、後述するロング
サーチを行う場合においても、スイッチSW1が接点d
側に接続される。
【0114】スイッチSW1の接点eに、スイッチSW
2の接点c及びスイッチSW3の一端が接続される。そ
して、スイッチSW2の接点eに電源補償回路85が接
続され、スイッチSW3の他端にホールド回路84が接
続される。又、ホールド回路84の出力側にスイッチS
W2の接点dが接続される。電源補償回路85では、ト
ラッキング駆動信号が与えられると、ディスク装置の電
源部(不図示)の電圧の低下に対して、トラッキング駆
動信号のゲインが補償される。このように補償されたト
ラッキング駆動信号が、8ビットデジタル信号生成回路
86に送出されて、8ビットのデジタル信号に変換され
た後、PWM信号生成回路13に送出されて、PWM処
理が施された信号がPWMドライバ14(図1)に与え
られ、対物レンズ44(図5)を駆動する。。又、ホー
ルド回路84は、瞬時瞬時のトラッキング駆動信号をホ
ールドする。
【0115】このように、ゲイン切換回路83、ホール
ド回路84及び電源補償回路85を、スイッチSW1,
SW2,SW3で接続したとき、ディスク1(図1)の
記録又は再生を行う場合は、スイッチSW1,SW2が
接点c側に接続されるとともに、スイッチSW3の接点
が接続される。よって、ゲイン切換回路83よりトラッ
キング駆動信号が電源補償回路85に与えられてトラッ
キングサーボのメインループが閉じた状態となるととも
に、このトラッキング駆動信号がホールド回路84に与
えられ、その瞬時瞬時のトラッキング駆動信号がホール
ドされる。しかし、このホールド回路84でホールドさ
れる信号は、スイッチSW2が接点c側に接続されてい
るため、電源補償回路85に与えられることはない。
【0116】又、後述するキック動作を行うとき、この
キック動作開始時に、スイッチSW2は接点d側に接続
され、又スイッチSW3がOFFになる。これによっ
て、キック動作を開始する直前のトラッキング駆動信号
がホールド回路84からスイッチSW2を介して電源補
償回路85に供給される。このとき、トラッキングサー
ボのメインループが開いた状態となり、ホールド回路8
4でホールドされたトラッキング駆動信号が電源補償回
路85に与えられて補正された後、8ビットデジタル信
号生成回路86で8ビットのデジタル信号とされる。
【0117】そして、この8ビットのトラッキング駆動
信号がPWM信号生成回路13に送出されてPWM処理
された後、PWMドライバ14(図1)に与えられて、
対物レンズ44(図5)のアクチュエータが駆動され
る。又、キック動作が終了すると、スイッチSW2が接
点c側に接続されるとともに、スイッチSW3がONと
なり、トラッキングサーボのメインループが再び閉じた
状態になる。
【0118】一方、極性反転回路81からサンプリング
回路87に送出されたトラッキングエラー信号がサンプ
リングされ、このサンプリング結果が最大振幅検出手段
88、駆動パルス指令回路90に与えられる。最大振幅
検出手段88では、与えられたサンプリング結果よりト
ラッキングエラー信号の振幅の最大値が検出され、又、
駆動パルス指令回路90では、対物レンズ44(図5)
の移動速度を加速又は減速するための加速パルス又は減
速パルスを発生し、電源補償回路85に送出する。更
に、第1カウンタ91では、駆動パルス指令回路90で
生成された後述するカウント信号の切り替わりの回数を
検知することによって、キック動作する際何本のトラッ
クを横切ったかが検出される。
【0119】又、最大振幅検出手段88で検出した振幅
より駆動パルスの周期を決めるためのトラッキングエラ
ー信号のレベルの閾値が閾値生成回路89で生成され、
この生成された閾値が駆動パルス指令回路90に与えら
れる。この駆動パルス指令回路90から信号が第2カウ
ンタ92に与えられ、駆動パルス指令回路90で発生し
た駆動パルスの周期分カウントを行って、その周期が測
定される。又、キック検出回路93では、駆動パルス指
令回路90が対物レンズ44(図5)の移動速度を加速
するための駆動パルスを与えたときからトラッキングエ
ラー信号がゼロクロスするまでのキック動作を検出する
とともに、奇数本のキック動作を行うときには、極性反
転回路81の極性を反転させる。
【0120】<キック動作>まず、原トラックから目的
トラックに対物レンズ44(図5)を移動させるキック
動作について、図8〜図11を参照して説明する。図9
は、1本キック動作における各信号のタイミングチャー
トである。上述したように、トラッキングエラー信号が
サンプリング回路87でサンプリングされる。
【0121】そして、最大振幅検出手段88では、サン
プリング回路87からのサンプリングデータより、常時
トラッキングエラー信号の最大振幅の検出が行われ、記
録時又は再生時において、最大振幅値が異常に大きいか
又は異常に小さいかが検出される。このとき、異常値が
検出されるとトラッキングサーボに異常が起きているこ
とを制御用マイコン8(図1)に認識させる。例えば、
最大振幅検出手段88が検出する最大振幅値が、0.5V±
0.1Vの範囲を外れると異常値と判断するようにする。
【0122】このようにして異常が起きていることが制
御用マイコン8(図1)で認識されると、制御用マイコ
ン8(図1)では、RF処理回路6(図1)やADコン
バータ7(図1)やデジタルサーボ処理回路10などを
構成する各回路のゲインが設定通り(記録時用又は再生
時用、及びトラックA(ランド)用又はトラックB(グ
ルーブ)用)か調べ、設定通りで無ければ設定の変更を
行う。又、このとき、設定通りであれば、その設定値を
変更し、その設定値が異常な値を示すときは記録もしく
は再生を停止する。
【0123】サーチ時においても最大振幅検出手段88
は、トラッキングエラー信号の最大振幅値を検出する。
図9(a)、図10(a)、図11(a)に示すMAX
が、1本キック動作を行ったときに検出される最大振幅
値である。
【0124】(1)1本キック動作 まず、原トラックと目的トラックが隣接したときのキッ
ク動作である1本キック動作について説明する。このと
きのサンプリング波形を図9(a)に示す。又、図9
(b)に、対物レンズ44(図5)を移動させるために
アクチュエータ(不図示)内に設けられた駆動コイルに
与える駆動信号を示す。又、図9(c)に、キック動作
時に何本のトラックを横切ったかを検出するために第1
カウンタ91に与えられるカウント信号を示す。又、図
9(d)に、キック検出回路93が発生するキック動作
が行われていることを示すキック検出信号を示す。
【0125】まず、制御用マイコン8(図1)が1本キ
ックの指令を出すと、時刻Aの時点で対物レンズ44
(図5)の移動速度を加速するように駆動パルス指令回
路90より加速パルスが電源補償回路85に与えられ
る。このとき、同時に、スイッチSW2が接点d側に接
続されるとともにスイッチSW3がOFFとなる。よっ
て、電源補償回路85で、加速パルスがホールド回路8
4から出力されるトラッキング駆動信号に重畳され、こ
の加速パルスが重畳された信号が8ビットデジタル信号
生成回路86で8ビットのデジタル信号とされた後、P
WM信号生成回路13でPWM処理される。
【0126】そして、このようにPWM処理された信号
が、PWMドライバ14(図1)に与えられて、図9
(b)のような加速パルスを含んだ駆動信号によって、
対物レンズ44(図5)を駆動する。このとき、対物レ
ンズ44(図5)は、加速度運動を行う。尚、このと
き、摩擦及び粘性などを無視した場合、等加速度運動と
なる。従って、図9(a)の時刻A〜時刻Bの間におけ
るサンプリングデータの波形は、放物線に近い波形とな
る。又、このとき与えられる加速パルスは、例えば、電
圧振幅値が略250mVの方形波として与えられる。
【0127】又、このとき同時に、キック検出回路93
は駆動パルス指令回路90における加速パルスの発生を
検出することによってキック動作が開始されたことを示
すキック検出信号を、図9(d)のように、ローレベル
(以下、「L」とする)からハイレベル(以下、「H」
とする)に切り換える。又、このキック検出信号は、制
御用マイコン8(図1)に送出する。更に、1本キック
動作を行うため、その横切るトラックの本数が奇数本で
ある。そのため、このキック検出信号は、極性反転回路
81にも与えられ、極性の反転が行われる。
【0128】このように予め、極性反転回路81に信号
を与え、その極性を反転する理由について説明する。本
実施形態で用いるディスクは、トラックA(ランド)及
びトラックB(グルーブ)が交互に形成される。そのた
め、例えば、メインビームによるメインスポットがトラ
ックAの右側に位置するときとトラックBの右側に位置
するときにおいて、そのトラックの中央位置にメインビ
ームを引き込む力の方向が正反対となる。又、これは、
それぞれのトラックの左側にメインスポットが位置する
ときも同様である。即ち、トラックAとトラックBのト
ラッキング駆動信号の位相を互いに逆転させる必要があ
る。尚、ランドのみが又はグルーブのみがトラックとし
て形成されるディスクについては、このような位相の逆
転を行う必要がない。
【0129】よって、奇数本横切ってキック動作を行う
とき、原トラックがトラックB(グルーブ)であれば目
的トラックはトラックA(ランド)である。即ち、キッ
ク動作時に横切るトラックの本数が奇数であれば、その
トラックの状態が変わるので位相の反転を行う。又、逆
に、横切るトラックの本数が偶数であれば、そのトラッ
クの状態が同じであるので位相の反転を行わない。従っ
て、横切る本数が奇数であるとき、目的トラックにメイ
ンビームが達したときには、位相を反転するとともに各
回路のゲインを切り換える必要がある。しかしながら、
メインビームが到達してから切り換えた場合、その分サ
ーボの引き込みに時間がかかる。よって、上記のよう
に、キック検出信号を極性反転回路81に与えて予め切
り換えを行うことにより、このような引き込みにかかる
時間を短縮することができる。
【0130】又、制御用マイコン8(図1)にキック検
出信号を与えるのは、現在キック動作中であることを制
御用マイコン8(図1)に認識させるために行われ、こ
の期間中に制御用マイコン8(図1)が新たにキック動
作指令を出せないようにするためである。更に、制御用
マイコン8(図1)が上記のような加速パルスや後述す
る減速パルスの発生を検出してキック動作期間中である
か否かを検知するよりも、デジタルサーボ処理回路10
よりこのキック検出信号を与えることによって認識させ
る方が、ハード的に負担が少ない。
【0131】又、閾値生成回路89では、前回のキック
動作時に最大振幅検出手段88で検出された最大振幅値
に対する所定値(例えば、最大振幅値の1/2の値)で
あるキック用閾値aが生成され、駆動パルス指令回路9
0に送出される。このように前回のキック動作における
最大振幅値をキック用閾値aの生成に用いる理由を述べ
る。最大振幅値を最大振幅検出手段88で検出する際、
その検出するタイミングは、最大振幅値からサンプリン
グデータが所定量減少したときである。従って、最大値
を検出する前に最大値に対する所定値であるキック用閾
値aに達したとき、後述するように加速パルスの停止を
行うが、この時点においては最大振幅値が検出されな
い。よって、前回のキック動作時に検出された最大振幅
値を用いて、キック用閾値aが決定される。
【0132】このように、前回のキック動作時に検出さ
れた最大振幅値によって、閾値生成回路89でキック用
閾値aが生成されるものとしたが、初めてキック動作を
行ったときは、前回のキック動作時のデータが無いた
め、自動調整時に得られたデータより最大振幅値を得
て、この最大振幅値を使用する。尚、この自動調整と
は、ディスク1(図1)が、ディスク装置に装着された
直後に、フォーカス制御やトラッキング制御を行うため
の各回路のゲインを決定させるために、ディスク装置の
各部を試走させることである。
【0133】そして、上記のようなキック用閾値aが与
えられた駆動パルス指令回路90では、サンプリングデ
ータを常時測定しており、このサンプリングデータがキ
ック用閾値aに達したとき(時刻B)、図9(b)のよ
うに、加速パルスの発生を停止する。尚、第2カウンタ
92は、駆動パルス指令回路90が加速パルスを発生し
た時刻Aにサンプリング回数のカウントを開始し、そし
て、加速パルスの発生を停止する時刻Bにこのカウント
動作を停止する。このときカウントした回数にサンプリ
ング周期を乗算したものが、加速パルス印加時間T1に
等しく、この時間T1が次の減速パルス印加時間として
制御用マイコン8(図1)に記憶される。又、この時刻
Bでは、図9(c)のように、駆動パルス指令回路90
より第1カウンタ91に与えられるカウント信号がHか
らLに切り替わる。
【0134】このように加速パルスの印加が停止された
後、PWMドライバ14(図1)に与えられる信号は、
ホールド回路84から送出されるトラッキング駆動信号
からのみ生成された信号となる。このトラッキング駆動
信号は、キック動作開始直前の対物レンズ44(図5)
の位置を保持する力を発生するための信号であるため、
この信号によって発生する力以外に対物レンズ44(図
5)が受ける外力が無くなる。従って、対物レンズ44
(図5)は、加速パルスを受けたときにその速度が加速
された方向に、キック動作開始直前の対物レンズ44
(図5)の位置を保持しながら、外力を受けることなく
移動する。よって、摩擦及び粘性などを無視したとき、
対物レンズ44(図5)は、等速度運動を開始すること
になる。
【0135】このように、時刻B以降に対物レンズ44
(図5)が移動している間も常時、最大振幅検出手段8
8でサンプリングデータが測定されて、その最大振幅値
MAX(図9(a))が検出され、この値が制御用マイ
コン8(図1)記憶される。この検出された最大振幅値
MAXは、次のキック動作を行うときに、閾値生成回路
89でキック用閾値aを生成するために記憶される。
尚、理論的には、この最大振幅値は、トラックA(ラン
ド)とトラックB(グルーブ)の境界位置で検出され
る。又、このとき、駆動パルス指令回路90においても
サンプリングデータが測定され、その値が再びキック用
閾値aになる時刻Cにおいて、対物レンズ44(図5)
の移動速度を減速させるために、減速パルスを発生す
る。
【0136】この減速パルスは、駆動パルス指令回路9
0より電源補償回路85に与えられて、ホールド回路8
4より与えられるトラッキング駆動信号に重畳される。
このように減速パルスが重畳されたトラッキング駆動信
号が、8ビットデジタル信号生成回路86で8ビットの
デジタル信号にされた後、PWM信号生成回路でPWM
処理されて、PWMドライバ14(図1)に送出され
る。そして、PWMドライバ14(図1)によって図9
(b)のような駆動信号が与えられて、対物レンズ44
(図5)の移動速度が減速するように制御されると、対
物レンズ44(図5)は、加速パルスが与えられたとき
と逆の方向に外力を受け、減速する。
【0137】このように減速パルスが駆動パルス指令回
路90より発生した後、制御用マイコン8(図1)記憶
された加速パルス印加時間T1が経過すると、この減速
パルスの印加が停止される。このとき、減速パルス印加
時間をT2とすると、T2=T1となる。しかしなが
ら、この時間T1が経過する前に、サンプリングデータ
がゼロクロスしたとき、その瞬間に減速パルスの印加が
停止される。よって、このとき、T2<T1となる。こ
のように、減速パルスが発生してから時間T1が経過し
た時刻、又は、減速パルスが発生してからサンプリング
データがゼロクロスした時刻のいずれか早いほうの時刻
が、減速パルスの印加を停止する時刻Dとなる。
【0138】このように減速パルスの印加が停止される
とともに、スイッチSW2が接点c側に接続されるとと
もに、スイッチSW3がONとなることによって、トラ
ッキングサーボのメインループが閉じた状態になる。こ
のとき、ゲイン切換回路83において、そのゲインを引
き上げて引き込みが行われる。この引き込みが終了する
と、ゲイン切換回路83で与えられるゲインが通常の予
め設定された記録時もしくは再生時用のゲインに戻され
て、トラッキングが行われる。尚、このとき、上述した
ように、トラッキング駆動信号が極性反転回路81によ
ってその位相が反転されるようにキック検出信号が与え
られているため、正常なトラッキングサーボ制御が行わ
れる。又、ゲイン切換回路83のゲインも目的トラック
に対応した所定のゲインに切り換えられている。
【0139】このとき、サーボの引き込みが開始された
ことによって、キック検出信号がHからLに切り替わ
り、制御用マイコン8(図1)がキック動作の終了を認
識する。このように認識することによって、制御用マイ
コン8(図1)は、終了時点でトラッキングを行ってい
るトラックが目的トラックでない場合、再びキック動作
を行うように、駆動パルス指令回路90に指令を与える
ことが可能となる。
【0140】又、このキック検出信号の終了に伴い、駆
動パルス指令回路90から第1カウンタ91に与えられ
るカウント信号がLからHに切り替わり、基の状態に戻
され、このカウント信号が何回切り替わったかを第1カ
ウンタ91がカウントし、制御用マイコン8(図1)に
そのカウント結果を与える。このようにカウント結果が
与えられた制御用マイコン8(図1)では、所定通りの
キック動作が行われたかどうかを判定する。図9の場
合、1回しかカウント信号が切り替わっていないので、
1本キック動作が正常に行われたものと判断される。
【0141】(2)2〜4本キック動作 2〜4本キック動作について、2本キック動作を例に挙
げて説明する。尚、この2〜4本キック動作は、基本的
に、1本キック動作と動作の進行において、概略的に同
じである。図10には、2本キック動作時のタイミング
チャートを示す。図10(a)に、このときのサンプリ
ング波形を示す。又、図10(b)に、対物レンズ44
(図5)を移動させるためにアクチュエータ(不図示)
内に設けられた駆動コイルに与える駆動信号を示す。
又、図10(c)に、キック動作時に何本のトラックを
横切ったかを検出するために第1カウンタ91に与えら
れるカウント信号を示す。又、図10(d)に、キック
検出回路93が発生するキック動作が行われていること
を示すキック検出信号を示す。
【0142】まず、1本キック動作と同様に、制御用マ
イコン8(図1)より2本キックの指令が与えられ、駆
動パルス指令回路90より加速パルスが電源補償回路8
5に与えられる(時刻A)。このとき、同時に、スイッ
チSW2が接点d側に接続されるとともにスイッチSW
3がOFFとなる。よって、電源補償回路85で、加速
パルスがホールド回路84から出力されるトラッキング
駆動信号に重畳され、この加速パルスが重畳された信号
が8ビットデジタル信号生成回路86で8ビットのデジ
タル信号とされた後、PWM信号生成回路13でPWM
処理される。
【0143】そして、このようにPWM処理された信号
が、PWMドライバ14(図1)に与えられて、図10
(b)のような加速パルスを含んだ駆動信号によって、
対物レンズ44(図5)を駆動する。このとき、対物レ
ンズ44(図5)は、加速度運動を行う。
【0144】又、このとき同時に、キック検出回路93
は駆動パルス指令回路90における加速パルスの発生を
検出することによってキック動作が開始されたことを示
すキック検出信号を、図10(d)のように、LからH
に切り換える。このキック検出信号は、制御用マイコン
8(図1)に送出する。更に、2本キック動作を行うた
め、その横切るトラックの本数が偶数本である。そのた
め、このキック検出信号は、極性反転回路81に与えら
れず、その極性の反転は行われない。
【0145】このように加速パルスが発生した後、駆動
パルス指令回路90において、サンプリングデータを測
定し、閾値生成回路89より与えられたキック用閾値a
に達したとき(時刻B)、図10(b)のように、加速
パルスの発生を停止する。又、時刻Aから時刻Bの間に
おいて、第2カウンタ92がサンプリング回数をカウン
トし、そのカウント数より加速パルス印加時間T1を求
め、制御用マイコン8(図1)に記憶する。更に、この
時刻Bでは、図10(c)のように、駆動パルス指令回
路90より第1カウンタ91に与えられるカウント信号
がHからLに切り替わる。
【0146】このように加速パルスの印加が停止する
と、対物レンズ44(図5)は、加速パルスを受けたと
きにその速度が加速された方向に、キック動作開始直前
の対物レンズ44(図5)の位置を保持しながら、外力
を受けることなく等速度運動する。このように、時刻B
以降に対物レンズ44(図5)が移動している間も常
時、最大振幅検出手段88でサンプリングデータが測定
されて、その最大振幅値MAX1(図10(a))が検
出され、この値が制御用マイコン8(図1)に記憶され
る。
【0147】このように、最大振幅値MAX1が検出さ
れると、サンプリングデータは、図10(a)のよう
に、ゼロクロスする。今、図10(a)のように、正の
値で最大振幅値MAX1が検出されたとき、サンプリン
グデータはゼロクロスした後、負の値となる。逆に、負
の値で最大振幅値MAX2が検出されたとき、サンプリ
ングデータはゼロクロスした後、正の値となる。
【0148】このように、図10(a)において、サン
プリングデータが負の値となると、駆動パルス指令回路
90において、サンプリングデータを測定し、閾値生成
回路89より与えられたキック用閾値bとなるサンプリ
ングデータが検出される。尚、このキック用閾値bは、
キック用閾値aと同様に、前回のキック動作が行われた
ときに最大振幅検出手段88で測定されるとともに制御
用マイコン8(図1)に記憶された負の側の最大振幅値
に対する所定値(例えば、最大振幅値の1/2の値)
で、閾値生成回路89において生成される。
【0149】そして、図10(a)のように、負の側の
最大振幅値MAX2が最大振幅検出手段88において検
出された後、再び、キック用閾値bと同じ値のサンプリ
ングデータが駆動パルス指令回路90で検出される。こ
のように、2度目にそのキック用閾値bと同じ値となる
サンプリングデータが検出される時刻Cにおいて、駆動
パルス指令回路90より減速パルスが発生する。
【0150】この減速パルスは、駆動パルス指令回路9
0より電源補償回路85に与えられて、ホールド回路8
4より与えられるトラッキング駆動信号に重畳される。
このように減速パルスが重畳されたトラッキング駆動信
号が、8ビットデジタル信号生成回路86で8ビットの
デジタル信号にされた後、PWM信号生成回路でPWM
処理されて、PWMドライバ14(図1)に送出され
る。そして、PWMドライバ14(図1)によって図1
0(b)のような駆動信号が与えられて、対物レンズ4
4(図5)の移動速度が減速するように制御されると、
対物レンズ44(図5)は、加速パルスが与えられたと
きと逆の方向に外力を受け、減速する。又、このとき、
駆動パルス指令回路90において、図10(c)のよう
にカウント信号をLからHに切り換える。
【0151】このように減速パルスが駆動パルス指令回
路90より発生した後、減速パルスが発生してから時間
T1が経過した時刻、又は、減速パルスが発生してから
サンプリングデータがゼロクロスした時刻のいずれか早
いほうの時刻Dにおいて、駆動パルス指令回路90から
の減速パルスの印加が停止される。このように減速パル
スの印加が停止されるとともに、スイッチSW2が接点
c側に接続されるとともに、スイッチSW3がONとな
ることによって、トラッキングサーボのメインループが
閉じた状態になる。このとき、ゲイン切換回路83にお
いて、そのゲインを引き上げて所定時間引き込みが行わ
れる。
【0152】このとき、サーボの引き込みが開始された
ことによって、キック検出信号がHからLに切り替わ
り、制御用マイコン8(図1)がキック動作の終了を認
識する。又、このキック検出信号の終了に伴い、駆動パ
ルス指令回路90より第1カウンタ91に与えられるカ
ウント信号が基の状態に戻され、このカウント信号が何
回切り替わったかを第1カウンタ91がカウントし、制
御用マイコン8(図1)にそのカウント結果を与える。
このようにカウント結果が与えられた制御用マイコン8
(図1)では、所定通りのキック動作が行われたかどう
かを判定する。図10の場合、2回、カウント信号が切
り替わったので、2本キック動作が正常に行われたもの
と判断される。
【0153】そして、引き込みが終了すると、ゲイン切
換回路83で与えられるゲインが通常の予め設定された
記録時もしくは再生時用のゲインに戻されて、トラッキ
ングが行われる。尚、図10を用いて、サンプリングデ
ータがはじめに正の側に移行したときの例について述べ
たが、サンプリングデータがはじめに負の側に移行した
ときは、キック用閾値bが検出されたときに加速パルス
の印加が停止するとともに、キック用閾値aが検出され
たときに減速パルスの印加が始まる。
【0154】又、3本キック動作は、1本キック動作と
同様に、まず、キック動作開始と同時に、トラッキング
サーボのメインループを開くとともにキック検出信号を
極性反転回路81に与えて、極性の反転を行う。そし
て、キック動作開始時からサンプリングデータがキック
用閾値a(キック用閾値b)になるまで、加速パルスを
与える。
【0155】次に、サンプリングデータが2回ゼロクロ
スして正の側(負の側)の最大値を検出した後、再びキ
ック用閾値a(キック用閾値b)を検出した時刻から、
この時刻から加速パルス印加時間が経過した時刻、又
は、減速パルスが発生してからサンプリングデータがゼ
ロクロスした時刻のいずれか早いほうの時刻まで、減速
パルスが与えられる。そして、トラッキングサーボのメ
インループを閉じるとともに、ゲイン切換回路83で与
えるゲインを大きくして引き込みが行われる。
【0156】更に、カウント信号は、キック用閾値a
(キック用閾値b)が検出される加速パルスの印加が停
止したときに、HからLに切り替わり、サンプリングデ
ータがゼロクロスした後、2回目にキック用閾値b(キ
ック用閾値a)が検出されたときにLからHに切り替わ
る。そして、再びサンプリングデータがゼロクロスした
後、1回目にキック用閾値a(キック用閾値b)が検出
されたとき、カウント信号がHからLに変更する。そし
て、減速パルスの印加が停止して引き込みがはじまると
ともに、もとのHの状態にカウント信号が戻される。こ
のとき、第1カウンタ91によってカウント信号の値が
3回変更したことが確認される。尚、4本キック動作に
ついては、前述した2本キック動作及び3本キック動作
と同様の動作を行うので、その説明については省略す
る。
【0157】このように、1〜4本キック動作を行う際
において、対物レンズ44(図5)を移動させるために
その移動速度を加速し、目的トラックで停止させるため
にその移動速度を減速する間に、等速で移動する期間が
設けられる。よって、対物レンズ44(図5)を駆動す
る駆動信号に加速パルスを与えた直後に減速パルスを与
えたときに、対物レンズ44(図5)に加えられる急激
な衝撃を和らげることができる。
【0158】又、対物レンズ44(図5)には、キック
動作開始前の対物レンズ44(図5)を保持しようとす
る力以外の外力が加えられることがないので、ほぼ等速
度運動に等しい動作となる。そのため、トラッキングエ
ラー信号のサンプリングデータが正弦波状のデータとし
て得られる。これによって、キック用閾値a,bの値を
より正確に把握することができるので、加速パルスの印
加停止及び減速パルスの印加開始の時刻を設定通りに正
確に実行することができる。
【0159】更に、本実施形態では、トラッキングエラ
ー信号の最大振幅に対する所定値をキック用閾値とし、
このキック用閾値によって、加速パルスの停止を行って
いる。よって、受光素子の検出特性のバラツキが原因
で、そのトラッキングエラー信号の振幅がばらついて
も、加速パルス印加時間は、ほぼ一定となる。又、減速
パルスの印加開始も同様に、トラッキングエラー信号の
最大振幅に対する所定値であるキック用閾値によって行
われる。そのため、対物レンズ44(図5)が等速で移
動する等速度運動期間もほぼ一定となる。
【0160】このように、加速パルス印加時間、等速度
運動期間、及び減速パルス印加時間がほぼ一定となるの
で、1〜4本キック動作それぞれについて、1回のキッ
ク動作に対する対物レンズ44(図5)の移動量は、受
光素子の検出特性に影響されることなく、ほぼ一定とな
る。
【0161】又、加速パルスがトラッキングエラー信号
の最大振幅に対する所定値となるキック用閾値でその印
加が停止されるため、1〜4本キック動作のそれぞれに
おいて、1キック動作あたりの移動量に対する加速パル
スの印加される期間の移動量の割合が、アクチュエータ
のレスポンス特性がバラツキに影響されず、ほぼ一定と
なる。よって、受光素子の検出特性やアクチュエータの
レスポンス特性のバラツキを吸収することができる。
【0162】このように、受光素子の検出特性やアクチ
ュエータのレスポンス特性のバラツキを吸収することが
できるようになるので、加速パルス及び減速パルスの精
度が上げられたことと等しくなる。従って、加速パルス
及び減速パルスの振幅レベルを大きくすることで、キッ
ク動作における対物レンズ44(図5)に与える加速度
を大きくして、キック動作に費やされる時間を短縮する
ことができる。
【0163】(3)5〜10本キック動作 5〜10本キック動作について、説明する。尚、この5
〜10本キック動作は、基本的に、1〜4本キック動作
と動作の進行において、加速パルスを与えた後、ある期
間、対物レンズ44(図5)を等速度運動させてから、
減速パルスを与える点については、同じである。しかし
ながら、対物レンズ44(図5)の移動量が大きくなる
ので、加速パルス及び減速パルスを与える期間を長くす
る必要がある。
【0164】図11には、6本キック動作時のタイミン
グチャートを示す。図11(a)に、このときのサンプ
リング波形を示す。又、図11(b)に、対物レンズ4
4(図5)を移動させるためにアクチュエータ(不図
示)内に設けられた駆動コイルに与える駆動信号を示
す。又、図11(c)に、キック動作時に何本のトラッ
クを横切ったかを検出するために第1カウンタ91に与
えられるカウント信号を示す。又、図11(d)に、キ
ック検出回路93が発生するキック動作が行われている
ことを示すキック検出信号を示す。以下、図11をもと
にキック動作について説明するが、この6本キック動作
をn本キック動作に対応して説明する。
【0165】まず、1〜4本キック動作と同様に、制御
用マイコン8(図1)よりn(6)本キックの指令が与
えられ、駆動パルス指令回路90より加速パルスが電源
補償回路85に与えられる(時刻A)。このとき、同時
に、スイッチSW2が接点d側に接続されるとともにス
イッチSW3がOFFとなる。よって、電源補償回路8
5で、加速パルスがホールド回路84から出力されるト
ラッキング駆動信号に重畳され、この加速パルスが重畳
された信号が8ビットデジタル信号生成回路86で8ビ
ットのデジタル信号とされた後、PWM信号生成回路1
3でPWM処理される。
【0166】そして、このようにPWM処理された信号
が、PWMドライバ14(図1)に与えられて、図11
(b)のような加速パルスを含んだ駆動信号によって、
対物レンズ44(図5)を駆動する。このとき、対物レ
ンズ44(図5)は、加速度運動を行う。
【0167】又、このとき同時に、キック検出回路93
は駆動パルス指令回路90における加速パルスの発生を
検出することによってキック動作が開始されたことを示
すキック検出信号を、図11(d)のように、LからH
に切り換える。このキック検出信号は、制御用マイコン
8(図1)に送出する。更に、n本キック動作が奇数本
のトラックを横切るときは、このキック検出信号が極性
反転回路81に与えられて、その極性の反転が行われ
る。また図11のように、n本キック動作が偶数本(6
本)のトラックを横切るときは、このキック検出信号が
極性反転回路81に与えられず、その極性の反転は行わ
れない。
【0168】このように加速パルスが発生した後、駆動
パルス指令回路90において、サンプリングデータを測
定し、閾値生成回路89より与えられたキック用閾値a
に達する。このとき、1〜4本キック動作のように、加
速パルスの印加を停止しないが、図11(c)のように
駆動パルス指令回路90においてカウント信号をHから
Lに切り換える。そして、図11(a)のように、1回
目の正の側の最大振幅値が最大振幅検出手段88で検出
されるが、この正の側の最大振幅値は、次のキック動作
時のデータとして使用しない。
【0169】その後、駆動パルス指令回路90におい
て、再び、キック用閾値aとなるサンプリングデータを
検出したとき(時刻B)、図11(b)のように、加速
パルスの発生を停止する。このように加速パルスが印加
された時間T1を、1〜4本キック動作と同様に、第2
カウンタ92によってサンプリング回数をカウントする
ことによって算出され、時間2/3T1が制御用マイコ
ン8(図1)記憶される。このように、加速パルス印加
時間に2/3を乗算したのは、減速パルス時間を加速パ
ルス時間より若干短くするためである。
【0170】このように加速パルスの印加が停止される
ことによって、対物レンズ44(図5)は、加速度運動
から等速度運動に移行する。このとき、加速パルス印加
時間が1〜4本キック動作における加速パルス印加時間
より長く与えられるため、対物レンズ44(図5)の移
動速度は、1〜4本キック動作における移動速度よりも
速い。そして、加速パルスの印加が停止した後、図11
(a)のサンプリングデータがゼロクロスし、閾値生成
回路89より与えられるキック用閾値bとなるサンプリ
ングデータが駆動パルス指令回路90で検出される。こ
のとき、図11(c)のように、駆動パルス指令回路9
0において、カウント信号がLからHに切り換えられ
る。
【0171】その後、図11(a)のように、最大振幅
検出手段88で負の側の最大振幅値が検出され、この最
大振幅値が制御用マイコン8(図1)に記憶される。こ
れは、対物レンズ44(図5)が等速度運動を行ってい
るからである。更に、図11(a)のように、キック用
閾値bとなるサンプリングデータが、駆動パルス指令回
路90で再び検出されるが、このとき、カウント信号は
切り替わらない。このように、カウント信号は、キック
用閾値aが奇数回目に検出されたとき、HからLに切り
替わり、キック用閾値bが奇数回目に検出されたとき、
LからHに切り替わる。よって、これ以降、カウント信
号の切り替わりについては、省略する。
【0172】そして、図11(a)のように、2回目の
正の側の最大振幅値が最大振幅検出手段88で検出され
た後、サンプリングデータがゼロクロスし、2回目の負
の側の最大振幅値が最大振幅検出手段88で検出され
る。このとき、2回目の正の側の最大振幅値が制御用マ
イコン8(図1)記憶されるとともに、1回目に検出さ
れた負の側の最大振幅値の記憶から抹消した後、2回目
の負の側の最大振幅値を制御用マイコン8(図1)に記
憶する。このとき、記憶させる負の側の最大振幅値に2
回目の負の側の最大振幅値に採用するのは、1回目に検
出したものよりも安定したデータが得られるためであ
る。
【0173】即ち、サンプリングデータ得るためのサン
プリング周波数との関係より、記憶させる最大振幅値の
精度を上げるために、速度の低い箇所で測定されたもの
の方が良い。よって、加速度運動が停止した直後より
も、その後に摩擦などの原因により若干速度の落ちた箇
所で得た最大振幅値の方がより安定したデータとして得
られるため、そのデータを最大振幅値として制御用マイ
コン8(図1)に記憶する。
【0174】このように、減速パルスを印加して対物レ
ンズ44(図5)の等速度運動を行っている間に、正及
び負の側の最大振幅値がそれぞれ複数回検出されるが、
このうち、最も安定したデータをそれぞれ選択し、制御
用マイコン8(図1)に正及び負の側の最大振幅値とし
て記憶する。又、上述したようにカウント信号が複数回
切り替わり、このカウント信号がn−1(5)回切り替
わったことが第1カウンタ91で確認された後、次に最
大振幅値が最大振幅検出手段88で検出される。この最
大振幅値が検出される近傍の時刻Cで駆動パルス指令回
路90より減速パルスが発生する。尚、時刻C近傍で検
出された最大振幅値は、n本キック動作が偶数本のキッ
ク動作であるとき、正の側の最大振幅値であり、又、奇
数本のキック動作であるとき、負の側の最大振幅値であ
る。
【0175】このように減速パルスの印加を開始するた
めのトリガは、次の3つのうち最も速い時刻となるもの
である。 1.サンプリング回数がある設定回数に達したとき。 2.時刻C近傍で検出される最大振幅値と同じ極性側の
制御用マイコン8(図1)に記憶された最大振幅値に対
する所定値(例えば、98%)に、サンプリングデータ
が達したとき。 3.n−1(5)回目(この回数は、正負に関係なく最
大振幅値が検出された回数である)に最大振幅値が検出
されたとき。
【0176】1.のようにサンプリング回数を基準とす
るのは、時刻Bから時刻Cまでの対物レンズ44(図
5)の移動量は、原トラックの隣のトラックの所定の位
置から、目的トラックの隣のトラックとこのトラックの
更に隣のトラックとの境界近傍の位置までであるためで
ある。即ち、このように時刻Bから時刻Cまでの対物レ
ンズ44(図5)の移動量が既知の値であるとともに、
対物レンズ44(図5)が等速度運動を行うので、その
速度を検出することで時刻Bから時刻Cまでの時間がわ
かる。よって、この時間をサンプリング時間で除算する
と、サンプリング回数の設定回数が求められる。
【0177】2.のように記憶した最大振幅値を基準と
したときは、その基準となる最大振幅値は、n本キック
動作が偶数本のキック動作であるとき、既に制御用マイ
コン8(図1)に記憶された正の側の最大振幅値であ
り、又、奇数本のキック動作であるとき、既に制御用マ
イコン8(図1)に記憶された負の側の最大振幅値であ
る。又、3.のようにn−1(5)回目に検出された最
大振幅値を基準として減速パルスが発生するのは、この
とき検出された最大振幅値が、この最大振幅値と同極性
で既に記憶された最大振幅値の値よりも小さいととも
に、対物レンズ44(図5)の移動速度が早いときであ
る。尚、2.の記憶した最大振幅値、又は3.のn−1
(5)回目に検出された最大振幅値を基準として減速パ
ルスを発生したとき、減速パルスの印加時間又はその振
幅レベルを補正しても構わない。
【0178】このように時刻Cで減速パルスが印加が開
始し、時間T2(=2/3T1)経過後、減速パルスの
印加が停止される(時刻D)。このように減速パルスの
印加時間が加速パルスの印加時間より短いのは、減速パ
ルスの印加停止後の対物レンズ44(図5)の移動方向
を、加速パルスによる運動方向と同じ方向(目的トラッ
クへ移動する方向)にするためである。即ち、減速パル
スを与えることによって、対物レンズ44の移動方向を
逆方向(原トラックへ移動する方向)にしないようにす
るためである。
【0179】このように減速パルスの印加が停止された
後、1〜4本キック動作では、スイッチSW2及びスイ
ッチSW3が切り替わってトラッキングサーボのメイン
ループが閉じた状態となって引き込み動作が開始される
が、このn(6)本キック動作では、スイッチSW2及
びスイッチSW3の切り換えは行われない。即ち、トラ
ッキングサーボのメインループを開いた状態のままで、
引き込み動作が行われない。
【0180】従って、減速パルスによって減速された速
度で、目的トラックに向かって、対物レンズ44(図
5)が等速度運動する。このとき、対物レンズ44(図
5)の移動速度は、トラッキングサーボによって十分に
引き込みが可能な速度である。このように減速パルスを
与えた後にトラッキングサーボのメインループを開いた
状態のままとするのは、減速された対物レンズ44(図
5)の移動速度が、このトラッキングサーボのメインル
ープを閉じることによって発生する駆動信号により加速
されるのを防ぐためである。
【0181】このように、減速パルスを与えられた後、
対物レンズ44が等速度運動している間に、駆動パルス
指令回路90によってキック用閾値が再び検出されてカ
ウント信号が切り替わるとともに、図11(a)のよう
にサンプリングデータがゼロクロスする。このサンプリ
ングデータのゼロクロスする箇所近傍のサンプリングデ
ータを駆動パルス指令回路90が検出したとき、スイッ
チSW2が接点c側に接続されるとともにスイッチSW
3がONとなってトラッキングサーボのメインループが
閉じる。
【0182】このとき、ゲイン切換回路83で与えるゲ
インを大きくして引き込み動作が開始して、対物レンズ
44(図5)の目的トラックへの引き込みが開始すると
ともに、キック検出回路93がキック検出信号をHから
Lに切り換えて、制御用マイコン8(図1)にキック動
作が終了したことを認識させる。そして、引き込みが終
了すると、ゲイン切換回路83で与えられるゲインが通
常の予め設定された記録時もしくは再生時用のゲインに
戻されて、トラッキングが行われる。
【0183】尚、図11を用いて、サンプリングデータ
がはじめに正の側に移行したときの例について述べた
が、サンプリングデータがはじめに負の側に移行したと
きは、2回目のキック用閾値bが検出されたときに加速
パルスの印加が停止する。又、減速パルスの印加開始
は、n−1回目に検出される最大振幅値近傍である。
【0184】このようなn本キック動作によると、対物
レンズ44(図5)が目的トラックに到達する数本前の
トラックで減速されて、目的トラックでは十分に引き込
みが行われる速度で等速度運動を行って目的トラックに
近づく。そして、目的トラックの中央位置付近に対物レ
ンズ44(図5)が到達したときにトラッキングサーボ
による引き込みが行われるので、確実に目的とするトラ
ックに到達することができる。よって、従来のように、
キック動作をおこなったときに生じる光ピックアップ2
(図1)暴走の発生を防ぐために設けられた滑り止め回
路を必要としない。又、確実に目的トラックに到達する
ので、再度キック動作を行う必要がない。よって、目的
トラックをサーチする時間が短縮される。
【0185】尚、万一正確なキック動作ができず、キッ
ク動作が開始してから所定時間経過してもその目的トラ
ックがとらえられない場合は、トラッキングサーボ回路
を一旦遮断した後、再びONの状態とすることにより、
トラックへの引き込みを瞬時に行って光ピックアップ2
(図1)暴走を防ぐことができる。
【0186】(4)1本キック動作の別例 又、1本キック動作の別例について、以下に説明する。
この1本キック動作は、概略的に説明すると、図9
(b)に示す加速パルスの印加時間T1を短くするとと
もに、減速パルスの印加時間T2を0とするものであ
る。
【0187】まず、制御用マイコン8(図1)が1本キ
ックの指令を出すと、対物レンズ44(図5)の移動速
度を加速するように駆動パルス指令回路90より加速パ
ルスが電源補償回路85に与えられる。このとき、同時
に、スイッチSW2が接点d側に接続されるとともにス
イッチSW3がOFFとして、トラッキングサーボのメ
インループを開いた状態とするともに、ホールド回路8
4からトラッキング駆動信号が電源補償回路85に送出
されるようにする。
【0188】又、閾値生成回路89において、前回のキ
ック動作時に最大振幅検出手段88で検出された最大振
幅値に対する所定値(例えば、最大振幅値の1/10の
値)であるキック用閾値aが生成され、駆動パルス指令
回路90に送出される。尚、このキック用閾値aは、
(1)で説明したキック用閾値aよりも小さい。そし
て、このキック用閾値aとなるサンプリングデータが駆
動パルス指令回路90で検出されると、加速パルスの印
加を停止するとともに、スイッチSW2をc側に接続す
るとともにスイッチSW3をONにしてトラッキングサ
ーボのメインループを閉じる。
【0189】このようにすることによって、対物レンズ
44(図5)の引き込み動作が開始され、原トラックへ
の引き込みが行われようとするが、対物レンズ44(図
5)は、加速パルスによってその移動速度が目的トラッ
クに向かって加速されているので、減速されるものの隣
の目的トラックとの境界を越えることができる。よっ
て、このように目的トラックに移動した対物レンズ44
(図5)は、原トラックとの境界を越えるまでにその移
動速度が減速されるため、目的トラックにおける引き込
み動作によって、目的トラックの中央位置に引き込まれ
る。
【0190】このように加速パルスのエネルギーを小さ
くするために、その印加時間を短くしたが、印加電圧を
小さくすることによって減速パルスを0とした1本キッ
ク動作としても構わない。又、加速パルスを与えた後、
原トラックと目的トラックの境界(サンプリングデータ
が最大振幅値となる)付近に対物レンズ44(図5)が
到達するまで、対物レンズ44(図5)を等速度運動さ
せた後、トラッキングサーボのメインループを閉じて、
引き込み動作を開始しても構わない。
【0191】<トラッキングサーボのサブループ>トラ
ッキングサーボのサブループについて、図面を参照して
説明する。図12は、トラッキングサーボのサブループ
の一部の構成を示すブロック図である。図13は、速度
・移動距離演算回路12の内部構成を示すブロック図で
ある。図14は、スレッドモータ5の回転速度を検出す
るときに生成される各信号のタイミングチャートであ
る。図15は、対物レンズ44、ディスク1、及び光源
の位置関係を示す図である。
【0192】上述したように、光ピックアップ2(図
1)が受光したメインビームやサブビームの反射光か
ら、トラッキングエラー信号TEとシフト信号SFSが
RF処理回路6(図1)で生成される。図12のよう
に、このトラッキングエラー信号TE又はシフト信号S
FSは、ADコンバータ7(図1)でデジタル化された
後、スイッチSW4を介して、デジタルサーボ処理回路
10内のオペアンプ94の正相入力端子aに入力され
る。尚、スイッチSW4の接点cにトラッキングエラー
信号TE又はシフト信号SFSが、スイッチSW4の接
点dに後述するスレッドモータ駆動信号SDが入力さ
れ、スイッチSW4の接点eがオペアンプ94の逆相入
力端子aに接続されるとともに、今、スイッチSW4は
接点c側に接続された状態である。又、このオペアンプ
94の逆相入力端子bには、後述する速度・移動距離演
算回路12から出力される速度信号Eが入力される。
【0193】オペアンプ94からは、トラッキングエラ
ー信号TEもしくはシフト信号SFSと速度信号Eとの
差信号eが出力され、この差信号eが増幅器95で増幅
されて駆動信号e0として出力される。この駆動信号e
0がPWM信号生成回路13に入力され、PWM処理さ
れてPWMドライバ14に与えられる。PWMドライバ
14では、PWM処理された駆動信号に基づいてスレッ
ドモータ5を回転制御し、ホール素子11a,11bが
スレッドモータの回転にあわせて信号P1,P2を出力
し、この信号P1,P2が速度・移動距離演算回路12
に与えられる。このように、メインループによってトラ
ッキング制御されているとき、このようなサブループに
よってスレッドモータ5が制御される。
【0194】又、図14(a)、(b)のような信号P
1,P2が、それぞれ、ホール素子11a,11bより
速度・移動距離演算回路12に入力されると、図13の
ように、信号P1が微分回路101及び比較器103
に、信号P2が微分回路102及び比較器104に与え
られる。又、信号P1,P2において、図14(a)、
(b)より明らかなように、信号P2は信号P1に対し
て、π/2位相が進んでいる。そのため、ホール素子1
1a,11bがスレッドモータ5の出力軸(不図示)と
同期して回転するNSが交互に等間隔で磁化された回転
板(不図示)に対向して配設される。即ち、例えば、N
極ブロックとS極ブロックの境界部にホール素子11a
を配設したとき、ホール素子11bをN極ブロックの中
央位置に配設する。
【0195】信号P1,P2はホール素子11a,11
bとこれらホール素子11a,11bに対向しようとす
るスレッドモータ5の磁化部(不図示)との位置関係を
示す。又、この信号P1,P2は、磁化部の磁極に対し
90°位相のずれた配置となっているため、スレッドモ
ータ5の回転に対して、図14(a)、(b)のような
正弦波で90°位相のずれた波形となる。このような信
号P1,P2が、微分回路101,102でそれぞれ微
分され、微分信号Q1,Q2が生成される。この微分信
号Q1,Q2は、図14(a)、(b)のような波形の
信号P1,P2と比較して、その位相が−90°ずれた
図14(c)、(d)のような波形となる。
【0196】又、比較器103,104では、信号P
1,P2がそれぞれ、図14(a)、(b)の波形の中
心の値と比較される。即ち、図14(a)、(b)の波
形の中心の値を0とすると、位置信号P1,P2のそれ
ぞれの正側の信号が、方形波生成回路105,106に
送出される。方形波生成回路105,106では、それ
ぞれに与えられた位置信号P1,P2の正側の信号よ
り、図14(e)、(f)のような方形波信号R1,R
2を生成する。この方形波信号R1,R2は、それぞ
れ、信号P1,P2をその波形の中心を境界として二値
化した信号である。
【0197】そして、微分回路101,102で生成さ
れた微分信号Q1,Q2が、それぞれ、反転回路10
7,108に与えられ、又、方形波生成回路105,1
06で生成された方形波信号R1,R2が、それぞれ、
反転回路108,107に与えられる。反転回路107
は、方形波信号R2がハイレベル(以下、「H」とす
る)のとき微分信号Q1を反転して出力し、方形波信号
R2がローレベル(以下、「L」とする)のとき微分信
号Q1をそのまま出力する。又、反転回路108は、方
形波信号R1がHのとき微分信号Q2をそのまま出力
し、方形波信号R1がLのとき微分信号Q2を反転して
出力する。
【0198】図14の場合において、方形波信号R2が
Hのとき、微分信号Q1が負の値となり、方形波信号R
2がLのとき、微分信号Q1が正の値となる。又、方形
波信号R1がHのとき、微分信号Q2が正の値となり、
方形波信号R1がLのとき、微分信号Q2が負の値とな
る。よって、反転回路107から出力される信号S1
は、方形波信号R2がHのときに微分信号Q1が反転さ
れた信号となるとともに、反転回路108から出力され
る信号S2は、方形波信号R1がLのときに微分信号Q
2が反転された信号となる。よって、信号S1,S2
が、図14(g)、(h)のようになり、常に正の値と
なる。又、光ピックアップ2(図1)の進行方向が、ホ
ール素子11a,11bより与えられる信号P1,P2
の波形が図14(a)、(b)のようになる場合と逆の
方向であるときは、この信号S1,S2が負の値とな
る。
【0199】そして、この信号S1,S2が加算器10
9で加算され、図14(i)のような信号となり、スレ
ッドモータ5の回転速度に略比例した信号となる。この
信号S1,S2が加算された信号S1+S2が平滑回路
110でスイッチングノイズを除去することにより、平
滑化された速度信号Eが生成される。そして、この平滑
化回路110で生成された速度信号Eが、オペアンプ9
4の逆相入力端子bに入力される。
【0200】このとき得られる速度信号Eは、スレッド
モータ5の絶対的な回転速度でもなく、又、スレッドモ
ータ5の絶対的な回転速度と完全に正比例するものでも
ないが、ほぼ近似的に正比例していると考えて良い。本
実施形態において、ホール素子を2つ用いた2相の位置
信号による速度制御を説明したが、ホール素子を更に複
数用いて、位置信号を多相化することによって速度信号
Eがスレッドモータの絶対的な回転速度に対して正比例
した値に近づく。又、このような速度の検出は、その瞬
時瞬時の速度が検出できるので、トラッキングサーボの
サブループに用いることができる。以下に、このような
トラッキングサーボのサブループの動作について、説明
する。
【0201】(1)トラッキングエラー信号TEを用い
たとき まず、オペアンプ94の正相入力端子aに入力される信
号がトラッキングエラー信号TEであるときのサブルー
プの動作について、説明する。差信号eは、速度・移動
距離演算回路12より出力される速度信号Eとトラッキ
ングエラー信号TEとの差信号であり、その関係は次式
で表される。e=TE−E
【0202】このオペアンプ94より出力される差信号
eは、増幅器95でA倍増幅されるため、増幅器95の
出力信号e0は、次式で表される。 e0=A・e =A・(TE−E)
【0203】この増幅器95の出力信号e0が、PWM
信号生成回路13でPWM処理された後、PWMドライ
バ14を介して駆動信号としてスレッドモータ5に与え
られ、スレッドモータ5がこの駆動信号に応じた速度v
で回転制御される。よって、スレッドモータ5の回転速
度vと出力信号e0は、ほぼ比例関係となるので、その
比例定数をαとしたとき、回転速度vと出力信号e0の
関係は次式で表される。 v=α・e0 =α・A・(TE−E) ・・・(1)
【0204】又、速度・移動距離演算回路12より出力
される速度信号Eは、スレッドモータ5の回転速度v
と、ほぼ比例関係となるので、その比例定数をkとする
と、速度信号Eと回転速度vとの関係は、次式で表され
る。 E=k・v ・・・(2)
【0205】この(2)式より、(1)式のEにk・v
を代入すると、次式のような関係が得られる。 v=α・A・(TE−kv) よって、回転速度vは、次式のように表され、トラッキ
ングエラー信号と正比例の関係となることがわかる。 v=TE/(k+1/(α・A)) ・・・(3)
【0206】今、トラックの中央位置にメインビームに
よるメインスポットが形成されず、トラッキングエラー
信号TEがゼロでなかったとする。このとき、スレッド
モータ5は、(3)式のトラッキングエラー信号TEと
の関係より、回転速度vで微小角度回転する。そして、
瞬時にトラッキングエラー信号TEがゼロとなり、
(3)式の関係より、回転速度がゼロとなりスレッドモ
ータ5が回転を停止しようとする。しかしながら、トラ
ックは同心円上でなくスパイラル状に形成されているた
め、対物レンズ44(図5)がトラックの中央位置から
シフトすることによってメインスポットがトラックの中
央位置からずれ、再びトラッキングエラー信号TEが増
加する。そのため、この増加しかけたトラッキングエラ
ー信号TEによって、再び回転速度が発生し、停止しか
けたスレッドモータが、再び微小角度回転する。
【0207】記録又は再生中のトラッキング動作を行っ
ている間に、このような動作の繰り返しを常に行ってい
るため、スレッドモータ5が常にその回転速度が非常に
低い回転速度で回転し続けることとなる。従って、従来
のディスク装置のように、対物レンズがある程度シフト
して、そのトラッキングエラー信号による駆動信号の大
きさがスレッドモータのコギングよりも大きくなったと
きに初めて、スレッドモータが回転して対物レンズのシ
フト量をゼロにするものとは異なり、常に、スレッドモ
ータが低い回転速度で回転し続ける。よって、このと
き、スレッドモータ5にかかる摩擦は、静摩擦でなく、
動摩擦である。
【0208】(2)シフト信号SFSを用いたとき 次に、オペアンプ94の正相入力端子aに入力される信
号がシフト信号SFSであるときのサブループの動作に
ついて、説明する。この場合、トラッキングエラー信号
TEの代わりにシフト信号SFSが用いられたものであ
るので、スレッドモータ5の回転速度vとシフト信号S
FSとの関係は、(3)式のTEにSFSを代入した次
式で表される。 v=SFS/(k+1/(α・A)) ・・・(4)
【0209】この場合も同様に、トラックの中央位置に
メインビームによるメインスポットが形成されず、シフ
ト信号SFSがゼロでなかったとする。このとき、スレ
ッドモータ5は、(4)式のシフト信号SFSとの関係
より、回転速度vで微小角度回転する。そして、瞬時に
シフト信号SFSがゼロとなり、(4)式の関係より、
回転速度がゼロとなりスレッドモータ5が回転を停止し
ようとする。しかしながら、トラックは同心円上でなく
スパイラル状に形成されているため、対物レンズ44
(図5)がトラックの中央位置からシフトすることによ
ってメインスポットがトラックの中央位置からずれ、再
びシフト信号SFSが増加する。そのため、この増加し
かけたシフト信号SFSによって、再び回転速度が発生
し、停止しかけたスレッドモータが、再び微小角度回転
する。
【0210】記録又は再生中のトラッキング動作を行っ
ている間に、このような動作の繰り返しを常に行ってい
るため、スレッドモータ5が常にその回転速度が非常に
低い回転速度で回転し続けることとなる。従って、従来
のディスク装置のように、対物レンズがある程度シフト
して、そのトラッキングエラー信号による駆動信号の大
きさがスレッドモータのコギングよりも大きくなったと
きに初めて、スレッドモータが回転して対物レンズのシ
フト量をゼロにするものとは異なり、常に、スレッドモ
ータが低い回転速度で回転し続ける。よって、このと
き、スレッドモータ5にかかる摩擦は、静摩擦でなく、
動摩擦である。
【0211】このシフト信号SFSを用いてトラッキン
グサーボのサブループの制御を行ったとき、トラッキン
グエラー信号TEを用いたときと異なり、対物レンズ4
4(図5)のシフト量がわかる。即ち、トラッキングエ
ラー信号TEでは、対物レンズ44(図5)のシフト量
となるオフセットがうち消された信号である。そのた
め、例えば、ポータブルタイプのディスク装置におい
て、図15(a)のように、矢印の方向に重力がかか
り、光ピックアップ2(図1)の光源の光軸がトラック
aに位置するともに、重力がディスクの径方向に加わっ
て対物レンズ44の中心位置がトラックbに位置すると
き、トラックbをとらえた状態でトラッキングエラー信
号TEがゼロとしてトラッキング制御される。
【0212】従って、光源の光軸がトラックaに位置し
たまま、対物レンズ44がトラックbの中央位置に位置
するときに、トラッキングエラー信号TEがゼロとなる
ようにトラッキング制御される。よって、記録時におい
て、磁気ヘッド3は、トラックbに磁界信号を与える必
要がある。又、ポータブルタイプのディスク装置におい
ては、その重力方向が図15(a)の矢印方向と逆方向
にかかる場合もある。そのため、磁気ヘッド3は、この
ような場合も鑑みて、図15(a)のように、広い範囲
で磁界を与えるようにするために、その磁界を発生する
コイルを大きくする必要がある。このように、コイルを
大きくすることは消費電力の増大につながり、ポータブ
ルタイプのディスク装置に用いられる電池の寿命時間の
短縮につながる。
【0213】このように、トラッキングエラー信号TE
を用いたときは、ポータブルタイプのディスク装置のよ
うに、対物レンズ44に加わる力が一定しないディスク
装置には不適であるが、常に光ピックアップ2より発せ
られるレーザービームの光軸方向にのみに常に外力が加
わるようなホームユースタイプのディスク装置には使用
可能である。そこで、ポータブルタイプのディスク装置
にも使用可能となる対物レンズ44のシフト量を表すシ
フト信号SFSを用いたトラッキングサーボのサブルー
プの動作について、更に説明する。
【0214】図15(b)のように、矢印の方向に重力
を受けたとき、トラッキング制御が行われていないと
き、光源の光軸と対物レンズ44の位置関係は、トラッ
キングエラー信号TEを用いたときと同様に、図15
(a)のような関係となる。しかしながら、トラッキン
グ制御が行われると、オペアンプ94の正相入力端子a
に入力されるシフト信号SFSは、ゼロでなく、対物レ
ンズ44のシフト量に応じた値となる。そして、このト
ラッキングサーボのサブループは、このシフト信号SF
Sがゼロになるように作用し、スレッドモータ5が回転
を行う。
【0215】このように、スレッドモータ5が回転を行
うことによって、光源の光軸がトラックb上に位置する
ように光ピックアップ2(図1)を移動させる。即ち、
光源からの光軸と対物レンズ44の中央部とを合致させ
るように光ピックアップ2(図1)を移動し、これらが
トラックbの中央位置で合致した状態で、トラッキング
エラー信号TEをゼロとしてトラッキング制御を開始す
ることになる。よって、ディスク装置の姿勢が変化した
としても、常に光源の光軸と対物レンズ44の中央部と
を合致させるように作用させる働きを有することとな
り、ディスク上に楕円状のスポットの形成のなす割合を
減少させるとともに、磁気ヘッド3が磁界を発生する範
囲を狭めることができる。
【0216】<ロングサーチ>本実施形態のディスク装
置におけるロングサーチも、従来のディスク装置と同様
に、原トラックと目的トラックの間に何本のトラックが
あるかそのトラックの本数を算出した後、スレッドモー
タ5を駆動して光ピックアップ2(図1)を移動させる
という動作を行う。尚、本実施形態では、光ピックアッ
プ2(図1)がどの位置にあるかその位置を検出しなが
ら、ロングサーチが行われる。このようなロングサーチ
について、図12、図14及び図16を参照して説明す
る。図16は、ロングサーチ時におけるスレッドモータ
5に与える駆動信号の電圧値及びスレッドモータ5の回
転速度を示す図である。
【0217】このロングサーチにおけるスレッドモータ
5の制御系は、図12のように表される。即ち、トラッ
キングサーボのサブループと同様のループによって制御
され、スイッチSW4が接点d側に接続されることによ
って、オペアンプ94の正相入力端子aに、トラッキン
グエラー信号TE又はシフト信号SFSの代わりに、ス
レッドモータ駆動信号生成回路96で生成されたスレッ
ドモータ駆動信号SDが入力される。それとともに、増
幅器95の増幅度がAからA1に、速度・移動距離演算
回路12のゲインがkからk1に切り換えられる。又、
スレッドモータ駆動信号生成回路96では、制御用マイ
コン8(図1)からの指令により、スレッドモータ駆動
信号SDを生成する。
【0218】このとき、スレッドモータ5にスレッドモ
ータ5に印加される電圧Vは、次式で表される。 V=A1・(SD−E) =(A1/(1+k1・α・A1))・SD ・・・(5) この(5)式において、係数(A1/(1+k1・α・
A1))は、1よりも小さく、且つ、通常は1に限りな
く近い値になるようにk1及びA1が設定される。従っ
て、通常は、スレッドモータ5にかかる電圧Vは、スレ
ッドモータ駆動信号SDに実質等しい。
【0219】又、スレッドモータ5の回転速度vと、ス
レッドモータ駆動信号SDの関係は、上述した、スレッ
ドモータ5の回転速度vとトラッキングエラー信号TE
又はシフト信号SFSとの関係式である(3)式及び
(4)式と同様、次式のようになる。 v=SD/(k1+1/(α・A1)) ・・・(6)
【0220】スレッドモータ5の回転速度vとスレッド
モータ駆動信号SDの関係が(6)式のような関係にな
ることより、スレッドモータ駆動信号SDによってスレ
ッドモータ5が速度制御されていることがわかる。この
ようにスレッドモータ5が速度制御されているというこ
とは、ディスク装置の姿勢によって、光ピックアップ2
(図1)の移動方向と同じ方向、又はその逆方向に重力
がかかるような場合であっても、スレッドモータ5の回
転速度が一定になるように制御される。
【0221】即ち、光ピックアップ2(図1)の移動方
向と同じ方向に重力がかかる場合は、スレッドモータ5
に印加される電圧が小さくなるように制御され、又、そ
の逆の場合は、スレッドモータ5に印加される電圧が大
きくなるように制御される。よって、スレッドモータが
速度制御されない従来の装置では、重力の影響がその回
転速度に及ぼされるため、光ピックアップの移動距離が
ばらつくが、本実施形態のように、スレッドモータを速
度制御することにより、重力に関係なくその回転速度が
制御されるため、光ピックアップの移動距離のバラツキ
を抑えることができる。
【0222】このようにスレッドモータ5を速度制御す
るロングサーチにおいて、まず、制御用マイコン8(図
1)より指令が与えられると、デジタルサーボ処理回路
10によって、スレッドモータ駆動信号SDが生成さ
れ、オペアンプ94の正相入力端子aに入力される。そ
して、このスレッドモータ駆動信号SDに基づくPWM
処理された信号によってスレッドモータ5が回転駆動さ
れる。
【0223】このとき、トラッキングサーボのメインル
ープにおいて、スイッチSW1(図8)が接点d側に接
続されて基準電圧が電源補償回路85(図8)に与えら
れ、この基準電圧に基づいた基準位置に対物レンズ44
(図5)が保持される。尚、物理的には、対物レンズ4
4(図5)は、正又は負の加速力を受けて、変位する。
そして、速度・移動距離演算回路12によって、光ピッ
クアップ2(図1)の移動距離の演算が行われる。
【0224】まず、この速度・移動距離演算回路12に
おける光ピックアップ2(図1)の移動距離の演算及び
その結果の使用について、以下に説明する。まず、ロン
グサーチを行う前に、原トラックと目的トラックとの間
に何本のトラックが存在するか算出される。このとき、
n本のトラックが原トラックと目的トラックの間に存在
し、又、トラックピッチがpμmとすると、光ピックア
ップ2(図1)が移動する移動距離は、n・pμmとな
る。
【0225】よって、スレッドモータ5が1回転あたり
に光ピックアップ2(図1)を移動させる距離をaμm
とすると、光ピックアップ2(図1)を移動距離分移動
させるためのスレッドモータ5の回転数をb回転とする
と、そのbは、次式で表される。 b=(n・p)/a
【0226】ところで、スレッドモータ5の回転数は、
上述したように、ホール素子11a,11bからの出力
信号によって検出される。即ち、図14(a)、(b)
のようなホール素子11a,11bの出力信号P1,P
2のゼロクロスする回数によって検出される。よって、
今、ホール素子11a,11bに対向する回転板に設け
られるN極及びS極の磁極数が、それぞれc極あるとす
ると、例えば、ホール素子11aの出力信号P1におい
て、2c回ゼロクロスを検出すると、スレッドモータ5
が1回転したことになる。従って、目的トラックに光ピ
ックアップ2(図1)が到達するまでに検出される出力
信号P1又は出力信号P2がゼロクロスする回数dは、
次式で表される。 d=(n・p・2c)/a ・・・(7)
【0227】このように、ホール素子11a,11bの
出力信号P1,P2のいずれか一方がゼロクロスした回
数をカウントし、そのカウント数が(n・p・2c)/
aになったところで、スレッドモータ5を停止させる
と、目的トラックの近傍位置に対物レンズ44(図5)
が位置することになる。尚、この出力信号P1又は出力
信号P2のゼロクロス(以下、「ゼロクロス信号」とす
る)のカウント数の代わりに、図14(e)、(f)の
ような方形波生成回路105,106のそれぞれ出力さ
れるパルス信号R1,R2のいずれか一方のパルス信号
のゼロクロスをカウントして、そのカウント数が(n・
p・2c)/aとなるとき、スレッドモータ5を停止す
るようにしても構わない。
【0228】しかしながら、(7)式の値dが、正の整
数になることはまれであるので、その小数点以下の値に
ゼロクロス信号1カウントあたりの光ピックアップ2
(図1)の移動量(a/(2c))μmを乗算したもの
が誤差となる。従って、ゼロクロス信号1カウントあた
りの光ピックアップ2(図1)の移動量を小さくすれば
するほど、その誤差も小さくなる。即ち、スレッドモー
タ5の1回転あたりのカウント数を増やせば増やすほ
ど、目的トラック近傍のより精度の高い位置にたどり着
くことができる。
【0229】尚、このようにスレッドモータ5の1回転
あたりのカウント数を増やして、更に細かいピッチでカ
ウントするようにする方法としては、以下のようなもの
がある。 1.図14(j)のように、図14(e)、(f)のよ
うな信号R1,R2より、その周波数が信号R1,R2
の2倍となるような信号Sを生成し、この信号Sを用い
て、カウントする。 2.2つのホール素子11a,11bを用いた2相の検
出信号を用いたが、ホール素子の数量を増やした3相な
どの複数相の検出信号を用い、これらの複数相の検出信
号より1つの信号を生成し、カウントする。 3.上記1.又は2.の方法で得た信号の周波数を更に
逓倍した信号を生成し、カウントする。
【0230】1.の場合、図14(e)、(f)で表さ
れる信号R1,R2を、例えば、EXORゲート回路に
入力して、その排他的論理和となる信号Sを出力するこ
とによって生成することができる。即ち、信号R1,R
2が、それぞれ、(H,L)又は(L,H)のときは、
Hに、信号R1,R2が、それぞれ、(L,L)又は
(H,H)のときは、Lになる図14(j)のような信
号Sを生成する。
【0231】2.の場合、1.の場合において、2相の
検出信号P1,P2から得られるパルス信号R1,R2
よりこのパルス信号の2倍の周波数の信号Sを生成した
ように、例えば、n相の検出信号から得られるパルス信
号を組み合わせることによって、この検出信号から得ら
れるパルス信号のn倍の周波数の信号を生成する。尚、
検出信号から得られるパルス信号の周波数は、ホール素
子の数量とは関係がないので、結果的に、1.の場合に
おいて生成した信号Sと比べて、n/2倍の周波数の信
号が得られる。
【0232】3.の場合、例えば、1.又は2.の場合
において生成した信号と、この信号を遅延回路で遅延し
た信号を、EXORゲート回路に入力して組み合わせる
ことによって、1.又は2.の場合において生成した信
号の2倍の周波数の信号を生成することができる。又、
他の例として、バンドパスフィルタによって、1.又は
2.の場合において生成した信号から奇数の高調波成分
を取り出し、この高調波成分を波形成形することによっ
て、1.又は2.の場合において生成した信号が逓倍さ
れた信号を得ることができる。
【0233】次に、スレッドモータ5の回転について説
明する。このとき、スレッドモータ駆動信号SDは、図
16(b)のように変化し、これに応じて、増幅器95
より与えられるスレッドモータを駆動する信号の電圧値
が、図16(a)のように変化する。まず、A地点で、
ロングサーチを行うように制御用マイコン8(図1)よ
り指令が与えられると、図16(b)のように、スレッ
ドモータ駆動信号生成回路96より与えられるスレッド
モータ駆動信号SDに従い、スレッドモータ5の回転速
度が徐々に速くなっていく。
【0234】このとき、スレッドモータ5の回転速度は
スレッドモータ駆動信号SDに比べて少し遅れて立ち上
がる。そのため、速度信号Eがスレッドモータ駆動信号
SDに比べて遅れて立ち上がるので、スレッドモータ駆
動信号SDと速度信号Eとの差であるオペアンプ94よ
り出力される差信号の値が大きくなる。よって、A地点
からB地点に光ピックアップ2(図1)が至るまでの間
に、まず、増幅器95より出力されるスレッドモータ5
を駆動させる信号の電圧値が、図16(a)ように瞬時
に大きくなる。その後、速度信号Eがスレッドモータ駆
動信号SDと比例した値となるため、スレッドモータ駆
動信号SDと速度信号Eとの差であるオペアンプ94よ
り出力される差信号の値が小さくなる。よって、増幅器
95より出力されるスレッドモータ5を駆動させる信号
の電圧値が、図16(a)ように下がる。
【0235】このとき、スレッドモータ5の回転速度の
立ち上がりが急峻なものであると、スレッドモータ5に
拘束電流が流れる。このような拘束電流を避けるため
に、図16(b)のようなスレッドモータ駆動信号SD
を与えることによって、スレッドモータ5の回転速度の
立ち上がりに傾斜を設けている。このA地点からB地点
までのスレッドモータ駆動信号SDの値は、量産時のス
レッドモータ5の特性のバラツキを考慮して、拘束電流
が流れない範囲でスレッドモータ5の回転速度の変化率
が最大となるような値に設定される。
【0236】又、(6)式のように、スレッドモータ駆
動信号SDは、スレッドモータ5の速度制御信号であ
る。つまり、スレッドモータ5の回転速度vが、スレッ
ドモータ駆動信号SDに係数((6)式参照)を乗算し
た速度に制御される。従って、立ち上がり時には、PW
Mドライバ14(図1)より与えられる電圧がスレッド
モータ5の起動電圧を上回らねばならないので、スレッ
ドモータ5には、スレッドモータ駆動信号SD通りの電
圧がPWMドライバ14(図1)より印加されない。即
ち、まず、スレッドモータ5に起動電圧以上の電圧が印
加されて、スレッドモータ5が回転を始めた後に、この
スレッドモータ5はスレッドモータ駆動信号SDによっ
て速度制御される。
【0237】このように、スレッドモータ5が回転を始
めると、スレッドモータ5にかかる摩擦が、静摩擦から
動摩擦に移行し、スレッドモータ5にかかる負荷が極端
に減少する。このとき、スレッドモータ5に印加された
電圧が起動電圧のままであると、その回転数が急激に上
昇するが、本実施形態において、スレッドモータ5が起
動した後、スレッドモータ駆動信号SDで速度制御され
るので、スレッドモータ5に印加される電圧が瞬時に降
下する。その後は、スレッドモータ5に印加される電圧
は、スレッドモータ駆動信号SDの勾配とほぼ同様の勾
配を示してある値まで増加した後減少する。このように
スレッドモータ5の速度制御を行うことによって、スレ
ッドモータ5に印加する電圧がその起動電圧が越えた状
態で急激にスレッドモータ5の回転速度を上げることを
防ぐことができるとともに、そのときのスレッドモータ
5における大電流の発生を防ぐことができる。
【0238】その後、図16(b)のようにスレッドモ
ータ駆動信号SDが所定値に達すると、図16(a)の
ように、増幅器95より与えられるスレッドモータ5を
駆動する信号もほぼ一定の電圧になる。この間、スレッ
ドモータ5への印加電圧とスレッドモータ5の起動電圧
との差となる差電圧によって軸間に発生する軸間ロスを
補う。そして、C地点に光ピックアップ2(図1)が到
達した時点で上述した速度・移動距離演算回路12より
制御用マイコン8(図1)に与えられるゼロクロス信号
などのカウント値が、予め設定した後述する第1の所定
値になったことを制御用マイコン8(図1)で検出され
る。このとき、制御用マイコン8(図1)よりスレッド
モータ駆動信号生成回路96に指令が与えられて、スレ
ッドモータ駆動信号SDの値は、スレッドモータ5への
回転速度が時間の経過とともに徐々に減少するよう、図
16(b)のように、C地点から光ピックアップ2(図
1)がD地点に至るまで、下降する。
【0239】このC地点からD地点に光ピックアップ2
(図1)が移動している間の右下がりの傾斜が、急勾配
であったとき、スレッドモータ5自身による図16
(c)の破線で表される起電力が図16(c)の実線で
表される印加電圧より上回り、その回転方向と逆向きの
電圧がかかる。従って、このC地点からD地点までのス
レッドモータ駆動信号SDの値は、量産時のスレッドモ
ータ5の特性のバラツキを考慮して、C地点からD地点
において常にスレッドモータ5への印加電圧がその起電
力による電圧より上回る範囲において、スレッドモータ
5の回転速度の変化率が最大となる値に設定される。
【0240】図16(b)のように、スレッドモータ駆
動信号SDの値が下降すると、スレッドモータ5が瞬時
にその回転速度を減速することができないので、速度信
号Eの値が遅れて下降する。よって、図16(a)のよ
うに、C地点に到達した時刻より遅れて増幅器95より
与えられるスレッドモータ5を駆動する信号の電圧値が
負の値となる。そして、スレッドモータ5の回転速度が
減速されると、速度信号Eもスレッドモータ駆動信号S
Dに比例して下降するので、増幅器95より与えられる
スレッドモータ5を駆動する信号の電圧値が負の値で一
定となる。
【0241】そして、D地点に光ピックアップ2(図
1)が到達したとき、スレッドモータ5への印加電圧
が、図16(a)のように、スレッドモータ5を動作さ
せるために必要最低限となる最低動作電圧になるよう
に、スレッドモータ駆動信号SDが、図16(b)のよ
うに設定される。尚、このとき設定される最低動作電圧
は、例えば、B地点からC地点の間に印加する電圧の略
1/10とするように、量産時のスレッドモータ5のモ
ータ及び負荷のバラツキを考慮して、真の最低動作電圧
より高く設定される。よって、D地点に光ピックアップ
2(図1)が到達した後、最低動作電圧を一定期間印加
するようにスレッドモータ駆動信号SDの値が、図16
(b)のように設定されることにより、スレッドモータ
5は非常に低い回転速度で駆動される。
【0242】D地点に到達した時刻より遅れて、スレッ
ドモータ5の回転速度が一定となるため、D地点に到達
してから少しの間、速度信号Eは下降した後、一定の値
となる。よって、スレッドモータ駆動信号SDと速度信
号Eとの差が正の値となるため、D地点に到達してから
少し遅れて、増幅器95より与えられるスレッドモータ
5を駆動する信号の電圧値が、図16(a)のように正
の値で一定となる。
【0243】その後、E地点に光ピックアップ2(図
1)が到達したとき、速度・移動距離演算回路12での
上述したゼロクロス信号などのカウント値が、目的トラ
ック位置に相当する最終総カウント数である予め設定し
た第2の所定値になったことを、制御用マイコン8(図
1)で検知する。このとき、図16(b)のように、ス
レッドモータ駆動信号SDの値を0とする。このE地点
直前までのスレッドモータへの印加電圧が最低動作電圧
であるので、スレッドモータ5の慣性力が非常に小さ
い。そのため、E地点でスレッドモータ駆動信号SDの
値を0としたとき、即刻回転が停止する。尚、本出願人
は、実験により、上記した図16(a)のような駆動信
号によってスレッドモータを駆動したとき、目的トラッ
クから±30本の範囲に光ピックアップを到達させると
いう結果を得ている。
【0244】ここで、C地点で検出される第1の所定値
の設定について説明する。この第1の所定値は、最終総
カウント数である第2の所定値の数%(略50〜90%)と
いう値で設定されるが、光ピックアップ2(図1)がサ
ーチ時に横切るトラックの本数によって第1の所定値を
生成するためのパーセンテージが異なる。このパーセン
テージは、サーチ時に横切るトラックの本数が多いほど
高くなる。
【0245】これは、ロングサーチを行う際、B地点か
らC地点の間でのスレッドモータ5の回転速度及び印加
電圧が、サーチ時に横切るトラックの本数に限らずほぼ
一定であるため、その印加電圧を最低動作電圧にする光
ピックアップ2(図1)がC地点からD地点に至る間で
の時間とD地点以降にスレッドモータ5の回転速度を下
げる光ピックアップ2(図1)がD地点からE地点に至
るまでの時間とが、サーチ時に横切るトラックの本数の
多さにあまり影響を受けないからである。
【0246】又、上記ではこの第1の所定値によってC
地点を決定したが、このC地点を決定する別の例を以下
に述べる。この例では、一定の駆動電圧が印加され始め
るB地点から、ゼロクロス信号などのカウント数が最終
総カウント数の半分の値のカウント数に達する点があ
る。このカウント数に達する時刻を時刻Tとすると、光
ピックアップ2(図1)がB地点に到達してから時刻T
までの時間Taを測定する。そして、光ピックアップ2
(図1)がB地点に到達してからこの測定した時間Ta
の2倍の時間2Taに光ピックアップ2(図1)が到達
する位置をC地点とする。
【0247】尚、このとき、A地点からB地点までの駆
動電圧の増加率を表す傾斜と、C地点からD地点までの
駆動電圧の減少率を表す傾斜との絶対値がほぼ同じよう
に設定する必要がある。このようにC地点を設定したと
き、サーチ時に横切る本数に応じてそのパーセンテージ
を切り換えて第1の所定値を設定する必要がない。
【0248】又、上記のように、最終総カウント数を第
2の所定値とするとともに、ゼロクロス信号などのカウ
ント数がこの第2の所定値になったときの光ピックアッ
プ2(図1)の位置をE地点とし、このE地点で、図1
6(b)のように、スレッドモータ駆動信号SDの値を
瞬時に0に切り換えて、スレッドモータ5の回転を停止
させる。このとき、スレッドモータ5に印加される最低
動作電圧がいくら低い電圧といえども、スレッドモータ
駆動信号SDによって、スレッドモータ5の回転速度が
瞬時に0に切り換えられるので、スレッドモータ5内部
に逆起電力が発生するとともに数100mAという大電流が
流れる。
【0249】よって、このような動作状態のまま、この
ディスク装置を用いたとき、このディスク装置に電力を
供給する電源回路として、E地点に光ピックアップ2
(図1)が到達したときに流れる大電流を許容するため
の電源回路が必要となる。又、電源に、例えば、乾電池
などの2次電池を用いた場合、この大電流を許容した寿
命電圧を設定する必要がある。しかしながら、現在、2
次電池はその内部抵抗も増大しているので、大電流を許
容するためにはその寿命電圧を大幅に上げる必要があ
る。そのため、他の動作で十分使用可能な電圧を供給す
ることができるにも関わらず、この大電流が流れること
によって発生した電圧が上記のように設定された寿命電
圧として検知され、2次電池の交換を余儀なくさせられ
ることがある。よって、このような不都合をなくすため
には、図16(a)のE地点に光ピックアップ2(図
1)が到達したときに流れる大電流を防ぐ必要がある。
以下にその防ぐ手段を説明する。
【0250】(1)大電流の発生を防ぐための第1の手
段 まず、第1の手段について、以下に説明する。この第1
の手段は、ゼロクロス信号などのカウント数が、最終総
カウント数より1つ少ないカウント数となったとき、速
度・移動距離演算回路12のゲインを、例えば、元のゲ
インk1の略1/10といったように、大幅に下げる。
尚、このときに光ピックアップ2(図1)が到達する位
置をE地点とする。又、同時に、スレッドモータ駆動信
号SDの値を、図16(b)のように瞬時に0にする。
【0251】このように、速度・移動距離演算回路12
のゲインを大幅に下げることによって、スレッドモータ
5を制御するための制御ループの反応が非常に鈍くな
る。よって、スレッドモータ駆動信号SDが瞬時に0と
低下されるものの、その制御反応が鈍いため、スレッド
モータ5にかかる印加電圧が0Vに達するのに時間を要
する。即ち、スレッドモータ5にかかる印加電圧が徐々
に低下するため、スレッドモータ5のコイルからの逆起
電力もほとんど発生しない。
【0252】このとき、スレッドモータ5は、依然とし
て回転を続けようとするが、光ピックアップ2(図1)
がE地点に到達する前に印加されていた電圧が最低動作
電圧であるため、スレッドモータ5への印加電圧の降下
の割合が低くても、すぐにその停止電圧に達する。そし
て、スレッドモータ5の回転が停止し、スレッドモータ
5自身による起電力の発生が無くなる。即ち、E地点に
光ピックアップ2(図1)が到達したときからスレッド
モータ5への印加電圧が0Vとなるときまで、スレッド
モータ5自身の起電力がその印加電圧を上回る状況が無
いため、大電流が流れることを防ぐことができる。
【0253】(2)大電流の発生を防ぐための第2の手
段 次に、第2の手段について、以下に説明する。この第2
の手段は、ゼロクロス信号などのカウント数が最終総カ
ウント数となる時刻Eにおいて、スレッドモータ5の両
端入力端子を短絡させるものである。このとき、電源か
らスレッドモータ5に電圧がかからないように、電源と
スレッドモータ5の2つの入力端子との間に2つのスイ
ッチを設けるとともに、スレッドモータ5の2つの入力
端子を短絡させるためのスイッチを設ける。そして、電
源と接続される2つのスイッチをOFFにし、入力端子
間に設けられたスイッチをオンにして入力端子が短絡さ
せることによって、大電流が流れることを防ぐことがで
きる。
【0254】又、光ピックアップ2(図1)がE地点に
到達したときに、スレッドモータ駆動信号SDの値を0
にした後、10msec程度、増幅器95より与えられるスレ
ッドモータ5を駆動する信号の電圧値を0Vに保つよう
に設定することによって、スレッドモータ5が短絡状態
となる。よって、このとき、上記の3つのスイッチを設
けたときと同様に、短絡状態とすることができるので、
上記の3つのスイッチを設ける必要がない。このように
して、短絡状態を作ることによって、大電流が流れるこ
とを防ぐことができる。
【0255】上記のようにA地点からE地点間での粗サ
ーチを行われた後、スレッドモータ駆動信号SDによる
スレッドモータ5への電圧印加が停止されて、スレッド
モータ5の回転が停止する。ところで、従来の装置で
は、ロングサーチを行うにおいて、粗サーチ後スレッド
モータの回転停止を待つとともに対物レンズの振動が和
らぐのを待つために数十msecのウェイティング時間を設
ける必要があった。しかしながら、本実施形態のディス
ク装置では、スレッドモータ5の停止直前の印加電圧が
最低動作電圧であるので、スレッドモータ5の回転速度
が非常に小さく、光ピックアップ2(図1)及び対物レ
ンズ44(図5)の慣性力が小さくなり、対物レンズ4
4(図5)の振動も小さい。よって、本実施形態のディ
スク装置におけるウェイティング時間が10msec程度と短
くなる。
【0256】このウェイティング時間が経過した後、ト
ラッキングエラー信号がゼロクロスする間隔を測定し、
この間隔が所定時間以上になると、スイッチSW1(図
8)が接点c側に接続されて、トラッキングサーボによ
る引き込みが開始される。即ち、対物レンズ44(図
5)の移動速度が、所定の速度より小さくなると、対物
レンズ44(図5)の基準位置でのホールドが解除され
て、トラッキングサーボによる引き込みが開始される。
このウェイティング時間経過後から引き込みが開始され
るまでの時間も、上述したウェイティング時間が短くな
る理由と同様の理由により、短くなる。
【0257】このように、トラッキングサーボによって
引き込みが行われた後、このトラッキングサーボで引き
込まれたトラックと目的トラックとの差となるトラック
の本数を算出し、上述したキック動作を繰り返して目的
トラックに対物レンズ44(図5)を移動させる。この
とき、トラッキングサーボで引き込まれたトラックと目
的トラックとの差となるトラックの本数は、上述したよ
うに30本以内に収まるので、従来と比べて、キック動
作を繰り返す回数を減らすことができ、ロングサーチに
費やされる時間の短縮を図ることができる。
【0258】<スピンドルモータの回転制御>以下に、
スピンドルモータ4(図1)のロングサーチ時特に粗サ
ーチ時における回転制御について、図面を参照して説明
する。図17は、ゾーンCLV制御におけるディスク1
(図1)の径方向と回転速度との関係を示す図である。
図18は、超解像層を備えるディスク1(図1)におい
て、ゾーンとその許容回転速度との関係を示す図であ
る。図19は、ディスク1(図1)の内周側から外周方
向へサーチを行うときの、スピンドルモータ4(図1)
の回転速度の制御を示す図である。図20は、ディスク
1(図1)の外周側から内周方向へサーチを行うときの
スピンドルモータ4(図1)の回転速度の制御を示す図
である。
【0259】スピンドルモータ4(図1)は、上述した
ように、記録時や再生時のようにトラッキング動作が行
われているときは、ADIPデータによってPLL制御
される。そして、トラッキング動作が行われていないと
きに、ディスク1(図1)を回転させるときは、スピン
ドルモータ4(図1)は上述したFGサーボによって回
転駆動される。
【0260】又、本実施形態で用いるディスク1(図
1)は、上述したように、超解像層と記録層で構成さ
れ、このディスク1(図1)を再生するときは、ディス
ク1(図1)の再生部が記録層のキュリー点よりも低く
超解像層のキュリー点よりも高い温度になるように、照
射されるレーザービームの出力を制御する必要がある。
従って、超解像層を有しないディスクを再生するときよ
りも、照射されるレーザービームの出力が大きくなる。
【0261】更に、ディスク1(図1)は、上述したゾ
ーンCLV制御によって回転制御される。このディスク
1(図1)の各ゾーンとそのゾーンにおけるスピンドル
モータ4(図1)の回転速度の関係が、図17のように
なる。図17のように、ディスク1(図1)は、1つの
ゾーン内においてスピンドルモータ4(図1)の回転速
度が一定になるように制御され、全体的には、概略線速
度が一定になるように制御される。従って、内周側に位
置するゾーンにおいてはスピンドルモータ4(図1)の
回転速度が高く制御され、逆に、外周側に位置するゾー
ンにおいてはスピンドルモータ4(図1)の回転速度が
低く制御される。
【0262】今、TOC領域22(図2)であるゾーン
0のある位置からメイン情報領域23(図2)の最内周
側にあるゾーン10のある位置まで、上述したロングサ
ーチを行ったとする。又、ゾーン0でのスピンドルモー
タ4(図1)の適切な回転速度を1200rpm、ゾーン10
でのスピンドルモータ4(図1)の適切な回転速度を24
00rpmとする。
【0263】このとき、ゾーン10に光ピックアップ2
(図1)が到達した後にスピンドルモータ4(図1)の
回転速度を2400rpmに変更したとき、ゾーン5からゾー
ン10において、光ピックアップ2(図1)から照射さ
れるレーザービームの照射時間が長く、その照射される
箇所の記録層の温度がキュリー点以上になって、記録さ
れたデータが消去される恐れがある。
【0264】又、このようにデータ消去を避けるため
に、粗サーチを行っている間にレーザービームの出力を
落とし、ゾーン10に光ピックアップ2(図1)が到達
した後に、レーザービームの出力を引き上げる方法もあ
るが、そのレーザービームの出力を所定の出力に引き上
げるのに時間を要するため、ロングサーチに費やす時間
を長引かせることになる。
【0265】しかしながら、本実施形態においては、再
生時にロングサーチを行っても、各ゾーンのデータが消
去されることのない、各ゾーンにおけるスピンドルモー
タ4(図1)の許容回転速度以上の回転速度で、光ピッ
クアップ2(図1)が各ゾーンに到達するときに、スピ
ンドルモータ4(図1)を回転させて、そのゾーンにレ
ーザービームが照射される箇所のデータの消去を防ぐ。
このときのスピンドルモータ4(図1)の動作につい
て、以下に説明する。尚、許容回転速度は、あるゾーン
の最適な回転速度をNrpmとすると、その回転速度の略
0.7倍である略0.7Nrpmとなり、図18に、ゾーンの
最適な回転速度を実線で、そのゾーンの許容回転速度を
波線で示す。
【0266】(1)外周方向へのサーチ時のスピンドル
モータの回転制御 ゾーン10のある位置からゾーン0のある位置までサー
チするときの、スピンドルモータ4(図1)の回転速度
の制御動作の1例について、図19を参照して説明す
る。即ち、内周側のゾーンにあるトラックから外周側の
ゾーンにあるトラックまでへの粗サーチを行うときの動
作について説明する。尚、ゾーン0は、TOC領域22
(図2)であるので、一般的には、このようなサーチは
存在しないが、このTOC領域22(図2)にUTOC
情報が記録されたディスクの場合、このようなディスク
が装着された場合に、このようなサーチが行われる。
【0267】まず、ロングサーチが指令されるととも
に、原トラックから目的トラックまでに光ピックアップ
2(図1)が横切るトラックの本数を検出し、このトラ
ックの本数をもとに光ピックアップ2(図1)の移動距
離が算出される。次に、目的トラックのあるゾーンを検
出するとともに、原トラックのあるゾーンから目的トラ
ックのあるゾーンまでのゾーン数を検出する。
【0268】この検出した光ピックアップ2(図1)の
移動距離とゾーン数より、スピンドルモータ4(図1)
の回転速度を低下させる回数を決定するとともに、回転
速度を低下させる位置を決める。尚、図19の例では、
スピンドルモータ4(図1)の回転速度を低下させる回
数を3回とし、その回転速度を低下させる位置を、光ピ
ックアップ2(図1)が、ゾーン8を通過してゾーン7
にさしかかったとき、ゾーン5を通過してゾーン4にさ
しかかったとき、ゾーン2を通過してゾーン1にさしか
かったときとしている。
【0269】又、このスピンドルモータ5(図1)の回
転速度を低下させる度合いによって、回転速度を低下さ
せるための所要時間が変わるので、この回転速度の低下
に費やされる所要時間と上記した光ピックアップ2(図
1)の移動距離とによって、上記回転速度を低下させる
回数と位置が決定される。尚、検出した光ピックアップ
2(図1)の移動距離やゾーン数が少ないほどスピンド
ルモータ5(図1)の回転速度を低下させる回数が少な
くなる。
【0270】以上のような演算及び設定が制御用マイコ
ン8(図1)で行われる。そして、決定したスピンドル
モータ4(図1)の回転速度を低下させる位置が、上述
したように、速度・移動距離演算回路12により光ピッ
クアップ2(図1)が移動した距離を検出することによ
って、検出される。この検出結果が制御用マイコン8
(図1)に与えられ、回転速度を低下させる位置が検出
されると、制御用マイコン8(図1)で設定した回転速
度に低下されるように、その設定した回転速度を表す信
号が信号処理回路9に与えられ、スピンドルモータ4
(図1)が上述したFGサーボによって制御される。
【0271】このようにすることによって、ディスク1
(図1)の内周側から外周側へロングサーチを行ったと
き、光ピックアップ2(図1)が各ゾーンを通過する
際、各ゾーンにおいてスピンドルモータ4(図1)の回
転速度が、その許容回転速度を下回ることがないので、
ディスク1(図1)におけるレーザービームが照射され
る箇所のデータが消去されることがない。又、目的トラ
ック近傍に光ピックアップ2(図1)が到達したときに
は、スピンドルモータ4がこの目的トラックの存在する
ゾーンに最適の回転速度で駆動しているので、その目的
トラック近傍に、対物レンズ44(図5)が引き込まれ
た後、即時に、そのトラックの情報を読み出すことがで
きる。更に、レーザービームの出力を下げる必要がない
ので、目的トラック近傍に光ピックアップ2(図1)が
到達した際に、レーザービームの出力を引き上げる必要
がない。
【0272】(2)内周方向へのサーチ時のスピンドル
モータの回転制御 2−1.内周方向へのサーチ時のスピンドルモータの回
転制御の第1例 まず、ゾーン0のある位置からゾーン10のある位置ま
でサーチするときの、スピンドルモータ4(図1)の回
転速度の制御動作の1例について、図20を参照して説
明する。即ち、外周側のゾーンにあるトラックから内周
側のゾーンにあるトラックまでへの粗サーチを行うとき
の動作について説明する。
【0273】まず、ロングサーチが指令されると、目的
トラックのあるゾーンが検知され、そのゾーンの最適な
回転速度を表す信号が信号処理回路9(図1)に与えら
れ、スピンドルモータ4(図1)の回転速度が上述した
FGサーボによって、この最適な回転速度に引き上げら
れる。そして、このようにスピンドルモータの回転速度
を変化させるとともに、上述したロングサーチ動作を行
う。このようにすることによって、図20よりも明らか
なように、スピンドルモータ4(図1)の回転速度が許
容回転速度を下回ることがないので、ディスク1(図
1)におけるレーザービームが照射される箇所のデータ
が消去されることがない。
【0274】2−2.内周方向へのサーチ時のスピンド
ルモータの回転制御の第2例 次に、ゾーン0のある位置からゾーン10のある位置ま
でサーチするときの、スピンドルモータ4(図1)の回
転速度の制御動作の2例について、図19を参照して説
明する。この回転制御の例は、上述した内周側のゾーン
にあるトラックから外周側のゾーンにあるトラックまで
への粗サーチを行うときの回転制御と同様に、まず、原
トラックから目的トラックまでに横切るトラックの本数
と(図1)の移動距離を算出するとともに、目的トラッ
クのあるゾーンを検出するとともに、原トラックのある
ゾーンから目的トラックのあるゾーンまでのゾーン数を
検出する。
【0275】そして、この検出した光ピックアップ2
(図1)の移動距離とゾーン数より、内周側のゾーンに
あるトラックから外周側のゾーンにあるトラックまでへ
の粗サーチを行うときの回転制御とは逆に、スピンドル
モータ4(図1)の回転速度を上昇させる回数を決定す
るとともに、回転速度を上昇させる位置を決める。以上
のような演算及び設定が制御用マイコン8(図1)で行
われると、決定したスピンドルモータ4(図1)の回転
速度を上昇させる位置が、上述したように、速度・移動
距離演算回路12により検出される。このように、回転
速度を上昇させる位置が検出されると、制御用マイコン
8(図1)で設定した回転速度に上昇されるように、ス
ピンドルモータ4(図1)が上述したFGサーボによっ
て制御される。
【0276】尚、このように原トラックのあるゾーンか
ら目的トラックのあるゾーンへロングサーチする際、こ
の2つのゾーンの全ての組み合わせに対する上記したそ
れぞれの制御手順を予め制御用マイコン8(図1)にプ
ログラム化して記憶させておくことによって、原トラッ
クのあるゾーンから目的トラックのあるゾーンを認識し
たとき、制御用マイコン8(図1)に記憶された複数の
制御手段より適当な制御手段を選択させることができ、
簡単にロングサーチ時におけるスピンドルモータ4(図
1)の回転制御が行える。更に、このように制御手段を
制御用マイコン(図1)に記憶させる際、ディスク1
(図1)がゾーンCLVによって規格されたものである
ので、スピンドルモータ4(図1)の回転制御のプログ
ラム化を容易にすることができる。
【0277】<ディスク装置の電源投入後の動作>本実
施形態のディスク装置の電源投入後の動作について、図
面を参照して説明する。図21は、このときの各部の出
力信号の関係を示すタイミングチャートである。又、図
25は、ディスク1(図1)の各ゾーンと回転速度との
関係を示した図である。まず、図21(a)のように、
時刻Taで電源が投入されると、ディスク1(図1)の
ゾーン0に相当するTOC領域22(図2)へのラフサ
ーチが行われる。このラフサーチは、上述したように、
ディスク1(図1)の面に対向して設けられたリードイ
ンスイッチ32(図1)が切り替わるTOC領域22
(図2)付近まで、スレッドモータ5(図1)によって
光ピックアップ2(図1)を移動させる。
【0278】このように電源が投入された直後の時刻T
bに、図21(c)、(e)のように、スレッドモータ
5(図1)及びスピンドルモータ4(図1)が同時に起
動する。このように、スレッドモータ5(図1)とスピ
ンドルモータ4(図1)を同時に起動することにより、
電源投入後の立ち上げ時間の短縮を図る。その後、スレ
ッドモータ5(図1)によって上記のようなラフサーチ
が行われ、図21(b)のように、時刻Tcでリードス
イッチ32が切り替わると、スレッドモータ5の駆動を
停止する。
【0279】又、スピンドルモータ4(図1)は、図2
1(e)のように、時刻Tbから時刻Tdまでの間、駆
動電圧として定電圧が加えられる強制加速動作が行わ
れ、この強制加速動作が行われている間、図21(d)
のように出力されるスピンドルモータ4の回転速度を表
すFG信号のパルス間隔が制御用マイコン8(図1)に
よって監視される。このとき、このFG信号のパルス間
隔が所定値以下になると(時刻Td)、スピンドルモー
タ4(図1)の回転制御がFG制御に切り替わる。尚、
図5(d)のように発生するFG信号のパルスを、以
下、「FGパルス」と呼ぶ。
【0280】例えば、今、TOC領域22(図2)に相
当するディスク1(図1)のゾーン0での最適な回転速
度が1200rpm、即ち、ディスク1(図1)が、1秒間に
20回転するときの回転速度が最適な回転速度であると
し、又、ディスク1の1回転あたりに発生するFGパル
スを6パルスとする。更に、スピンドルモータ4(図
1)の回転制御動作を強制加速動作からFG制御動作に
切り換えるタイミングとなるディスク1(図1)の回転
速度を、1秒間に5回転するときの回転速度、即ち、30
0rpmと設定する。
【0281】このとき、FGパルスが1秒間に30パル
ス発生したとき、スピンドルモータ4(図1)の回転制
御動作を強制加速動作からFG制御動作に切り換えるこ
とになる。よって、スピンドルモータ4(図1)の回転
制御動作を強制加速動作からFG制御動作に切り換える
ときのパルス間隔が33msecとなり、制御用マイコン8
(図1)で監視されているパルス間隔が33msec以下とな
ったとき、信号処理回路9によるFG制御に切り換えら
れる。
【0282】そして、図21(e)のように、時刻Td
から時刻Teの間、スピンドルモータ4(図1)をFG
制御し、時刻Teで図25に示すゾーン0での第1所定
回転速度に到達したとき、図21(f)のように、レー
ザードライバ31(図1)が制御用マイコン8(図1)
によってONされ、レーザービームの照射が開始され
る。尚、この第1所定回転速度とは、各ゾーンにおける
上述した許容回転速度より速く、その最適な回転速度よ
りも遅い回転速度であり、サーチ時にレーザービームが
照射されて、記録されたデータが消去されることのない
回転速度である。又、このとき、スピンドルモータ4
(図1)の回転速度が、光ピックアップ2(図1)が到
達したゾーンのデータを読み取ることが可能な最速の回
転速度である、図25のような第2所定回転速度より低
い回転速度であるか確認する。
【0283】その後、図21(g)のように、制御用マ
イコン8(図1)によって、デジタルサーボ処理回路1
0(図1)にフォーカスサーチを行うように指示が与え
られる。このフォーカスサーチは、対物レンズ44(図
5)を光軸方向に上下させて、ディスク1(図1)に照
射されるレーザービームの焦点を合わせる動作である。
そして、レーザービームの焦点が合うと、その時点で、
デジタルサーボ処理回路10(図1)によってフォーカ
スサーチサーボが閉じられる。
【0284】このように、フォーカスサーチサーボが閉
じた状態になると、光ピックアップ2(図1)から出力
される光検出信号よりフォーカスエラー信号をRF処理
回路6(図1)にて生成し、このフォーカスエラー信号
がADコンバータ7(図1)によってデジタル信号に変
換される。このデジタル信号に変換されたフォーカスエ
ラー信号が、デジタルサーボ処理回路10(図1)でイ
コライジングされた後、PWM信号処理回路13(図
1)でPWM処理され、PWMドライバ14(図1)に
与えられる。そして、このPWMドライバ14によって
光ピックアップのフォーカスコイルが駆動されて、対物
レンズ44(図5)が上下に制御され、レーザービーム
の焦点が常にあった状態になるようにフォーカシング制
御される。
【0285】そして、図21(g)のように、トラッキ
ングサーボのメインループを閉じるた後、このトラッキ
ングサーボのサブループとなるスレッドサーボを閉じ
て、トラッキング制御を行う。このとき、スピンドルモ
ータ4(図1)の回転速度はFG制御され、又、一度、
ADIPデータが読み込まれて、そのアドレスが確認さ
れる。この確認したアドレスより、光ピックアップ2
(図1)がTOC領域22(図2)をトラッキングして
いることが確認されると、図21(e)のように、時刻
Tfにおいて、スピンドルモータ4(図1)の回転制御
が、FG制御からPLL制御に切り換えられる。
【0286】このように、スピンドルモータ4(図1)
がPLL制御されるようになると、上述したように、T
OC領域22(図2)内のTOC情報やUTOC情報が
読み出された後、ディスク装置は、スタンバイ状態にな
る。このような制御を行うことによって、スタンバイ時
間を短縮するとともに、ディスク1(図1)内に記録さ
れたデータを消去することなく、スタンバイ状態にする
ことができる。
【0287】<ディスクの停止時の動作>次に、ディス
ク装置に装着したディスクの停止時の動作について、図
面を参照して説明する。図22は、このときの各部の出
力信号の関係を示すタイミングチャートである。今、図
22(c)のように、ディスク1(図1)に記録された
同期信号をもとに、スピンドルモータ4(図1)がPL
L制御されて、データの記録又は再生が行われていると
きに、時刻Taにディスク1(図1)の停止を行うよう
に制御用マイコン8(図1)によって指令されるものと
する。
【0288】この時刻Taにおいて、スピンドルモータ
4(図1)の回転制御が、図22(c)のように、PL
L制御からFG制御に切り換えられるとともに、レーザ
ードライバ31(図1)が制御されて、図22(d)の
ように、レーザービームがOFFされる。この時刻Ta
から時刻Tbの一定期間の間、スピンドルモータ4(図
1)の回転速度が、そのゾーンの最適な回転速度の90%
の回転速度となるように、信号処理回路9(図1)によ
ってFG制御される。そして、時刻Tbになると、スピ
ンドルモータ4(図1)の回転速度が、第1所定回転速
度まで低下されるように、信号処理回路9(図1)によ
ってFG制御される。
【0289】そして、スピンドルモータ4(図1)の回
転速度が第1所定回転速度となってから一定時間が経過
した時刻Tcにおいて、図22(a)のように、電源を
OFFにする。そして、電源がOFFされると、図22
(b)のように、スピンドルモータ4(図1)が惰性で
停止する。このように、急激なブレーキをかけて停止す
ることなく、FG制御を行いながら、ディスク1(図
1)の回転を停止していくことにより、ディスク装置の
各部における回転停止時の急激な電圧変動の発生を防ぐ
ことができる。
【0290】<ディスク停止動作後に回転始動した時の
動作>ディスク1(図1)の回転を停止させた後、再び
回転を始動させたときの動作について、図面を参照して
説明する。図23は、このときの各部の出力信号の関係
を示すタイミングチャートである。図24は、このとき
の各部の出力信号の関係を示すタイミングチャートであ
る。
【0291】まず、図23(b)のように、スピンドル
モータ4(図1)が惰性で停止中で、且つ、スピンドル
モータ4(図1)の回転速度があまり低下されていない
状態において、再び回転始動させたときの動作について
説明する。このとき、まず、時刻Taにおいて、回転始
動の指令が制御用マイコン8(図1)によって与えられ
ると、図23(a)のように、電源がONし、その後、
スピンドルモータ4(図1)が、信号処理回路9によっ
て、その回転速度が第1所定回転速度になるように、図
23(c)のようにFG制御される。
【0292】そして、時刻Taでスピンドルモータ4
(図1)の回転速度が第1所定回転速度に至ると、上述
した電源投入時の動作と同様に、レーザードライバ31
が制御されて、図23(d)のようにレーザービームが
照射される。そして、上述した電源投入時の動作と同様
に、スピンドルモータ4(図1)の回転速度が第2回転
速度より低いか確認された後、フォーカスサーボ及びト
ラッキングサーボが閉じられて、ADIPデータが読み
込まれて、そのアドレスが確認される。その後、時刻T
cにおいて、スピンドルモータ4(図1)は、図23
(c)のように、PLL制御される。
【0293】次に、図24(b)のように、スピンドル
モータ4(図1)が惰性で停止中で、且つ、スピンドル
モータ4(図1)の回転速度がかなり低下した状態にお
いて、再び回転始動させたときの動作について説明す
る。このとき、まず、時刻Taにおいて、回転始動の指
令が制御用マイコン8(図1)によって与えられると、
図24(a)のように、電源がONし、その後、スピン
ドルモータ4(図1)は、駆動電圧として定電圧が与え
られる強制加速動作が図24(c)のように行われる。
そして、電源投入時の動作と同様に、時刻Tbにおい
て、図24(b)のようにFGパルスのパルス間隔が所
定値以下になると、図24(c)のように、スピンドル
モータ4(図1)が、信号処理回路9によって、その回
転速度が第1所定回転速度になるように、FG制御され
る。
【0294】そして、時刻Tcでスピンドルモータ4
(図1)の回転速度が第1所定回転速度に至ると、上述
した電源投入時の動作と同様に、レーザードライバ31
が制御されて、図24(d)のようにレーザービームが
照射される。そして、上述した電源投入時の動作と同様
に、スピンドルモータ4(図1)の回転速度が第2回転
速度より低いか確認された後、フォーカスサーボ及びト
ラッキングサーボが閉じられて、ADIPデータが読み
込まれて、そのアドレスが確認される。その後、時刻T
dで、スピンドルモータ4(図1)は、図24(c)の
ように、PLL制御される。
【0295】
【発明の効果】本発明のディスク装置によると、ロング
サーチ動作時に、光ピックアップの移動量を検出し、こ
の移動量に応じてスピンドルモータの回転速度を制御す
るため、光ピックアップが通過するトラックにおいて適
当な回転速度でディスクを回転させることができる。よ
って、レーザービームストローブ磁界変調によってデー
タが記録されるディスクなどを用いたときに、ロングサ
ーチ時に通過するトラックでのスピンドルモータの回転
速度が低いために、レーザービームが照射される期間が
長くなり、記録されたデータが消去されるといったこと
がなくなる。よって、ロングサーチ動作時に、レーザー
ビームの出力を低下させる必要がなくなるため、ロング
サーチ動作終了時にレーザービームの出力を増大させる
時間が不要となり、ロングサーチ動作にかかる時間が短
縮される。又、目的トラックに光ピックアップが到達し
た時点には、スピンドルモータの回転速度がそのトラッ
クでの最適な回転速度となるように設定されるため、P
LL制御への引き込みが即時行われ、ロングサーチ動作
にかかる時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスク装置の内部構造とディスクとの関係を
示すブロック図。
【図2】ディスクの記録領域の構成を示す平面図。
【図3】ディスクのトラックの構成を示す図。
【図4】ディスクに構成される超解像層と記録層との関
係を示す図。
【図5】光ピックアップの内部構成を示す外観斜視図。
【図6】第2回析格子を通過するレーザービームの第2
光検出器に対する入射位置の位置関係を示す図。
【図7】ディスクのトラック上に形成されるメインスポ
ット及びサブスポットの関係と、トラッキングエラー信
号とシフト信号とを生成するための回路を示す図。
【図8】デジタルサーボ処理回路の内部構成を示すブロ
ック図。
【図9】1本キック動作における各信号のタイミングチ
ャート。
【図10】2本キック動作における各信号のタイミング
チャート。
【図11】6本キック動作における各信号のタイミング
チャート。
【図12】トラッキングサーボのサブループの一部の構
成を示すブロック図。
【図13】速度・移動距離演算回路の内部構成を示すブ
ロック図。
【図14】スレッドモータの回転速度を検出するときに
生成される各信号のタイミングチャート。
【図15】対物レンズ、ディスク、及び光源の位置関係
を示す図。
【図16】ロングサーチ時におけるスレッドモータに与
える駆動信号の電圧値を示す図。
【図17】ゾーンCLV制御におけるディスクの径方向
と回転速度との関係を示す図。
【図18】ディスクのゾーンとその許容回転速度との関
係を示す図。
【図19】ディスクの内周側から外周方向へサーチを行
うときの、スピンドルモータの回転数の制御を示す図。
【図20】ディスクの外周側から内周方向へサーチを行
うときのスピンドルモータの回転数の制御を示す図。
【図21】電源投入時の各部の出力信号の関係を示すタ
イミングチャート。
【図22】ディスクの停止時の各部の出力信号の関係を
示すタイミングチャート。
【図23】ディスクの回転停止後再び回転始動したとき
の各部の出力信号の関係を示すタイミングチャート。
【図24】ディスクの回転停止後再び回転始動したとき
の各部の出力信号の関係を示すタイミングチャート。
【図25】ディスクの各ゾーンと回転速度との関係を示
した図
【符号の説明】
1 ディスク 2 光ピックアップ 3 磁気ヘッド 4 スピンドルモータ 5 スレッドモータ 6 RF処理回路 7 ADコンバータ 8 制御用マイコン 9 信号処理回路 10 デジタルサーボ処理回路 11a,11b ホール素子 12 速度・移動距離演算回路 13 PWM信号生成回路 14 PWMドライバ 15 スピンドルモータドライバ 16 ヘッドモータ 17 ヘッド駆動回路 18 ヘッド昇降駆動回路 19 制御回路 20 インターフェース 21a,21b ミラー領域 22 TOC領域 23 メイン情報領域 24 リードアウト領域 25 スピンドル軸嵌合用孔 26a,26b クロックマーク 27a,27b データ部 28a,28b ウォブル 31 LDドライバ 32 リードインスイッチ 41 レーザーダイオード 42 第1回析格子 43 コリメータレンズ 44 対物レンズ 45 PBS 46 ウォラストンプリズム 47 凹レンズ 48 第1光検出器 49 第2回析格子 50 第2光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶原 祥則 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 岡田 吉正 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 吉田 秀夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5D075 AA03 BB04 CC04 CC07 CC12 5D109 KA05 KA20 KB05 KB12 KC04 KD05 5D117 AA02 CC06 EE07 FF25 FF28

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データの記録媒体であるディスクにレー
    ザービームを照射する光ピックアップと、該光ピックア
    ップをディスクの径方向に高速に移動させるためのスレ
    ッドモータと、前記ディスクを回転させるためのスピン
    ドルモータと、該スピンドルモータを駆動するスピンド
    ルモータ駆動手段と、を有し、前記光ピックアップより
    レーザービームを前記ディスクのトラックに照射すると
    ともに、前記ディスクのトラックの線速度が一定になる
    ように前記スピンドルモータを回転制御してデータの記
    録又は再生を行うディスク装置において、 前記ディスクの径方向へ移動する前記光ピックアップの
    移動距離を検知する移動距離検知手段を有し、 前記スレッドモータによって、現在前記レーザービーム
    を照射している第1トラックから、次に前記レーザービ
    ームを照射する第2トラックへ、前記光ピックアップを
    移動させるロングサーチ動作を行っている間、 前記移動距離検知手段より得られる移動距離より、前記
    ディスクに対する前記光ピックアップの位置を検知し、
    その位置において前記光ピックアップがレーザービーム
    を照射するトラックに応じて、前記スピンドルモータ駆
    動手段によって前記スピンドルモータの回転速度が変更
    されることを特徴とするディスク装置。
  2. 【請求項2】 前記ディスクの径方向に同心円状の領域
    を分割し、該領域毎に前記ロングサーチ動作時に変更さ
    れる前記スピンドルモータの回転速度が決定されること
    を特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  3. 【請求項3】 前記領域が、前記ディスクの内周側の領
    域ほど、前記スピンドルモータの回転速度が速く、前記
    ディスクの外周側の領域ほど、前記スピンドルモータの
    回転速度が遅く設定されることを特徴とする請求項2に
    記載のディスク装置。
  4. 【請求項4】 前記領域の幅及び前記領域の数が、前記
    第1トラックから前記第2トラックへ前記光ピックアッ
    プが移動する移動距離に応じて設定され、前記第2トラ
    ックがある領域の前記スピンドルモータの回転速度が、
    前記光ピックアップが前記第2トラックにレーザービー
    ムを照射する際に必要とされる前記スピンドルモータの
    回転速度に設定されることを特徴とする請求項2又は請
    求項3に記載のディスク装置。
  5. 【請求項5】 前記ロングサーチ動作を行う際、前記光
    ピックアップを前記ディスクの外周側から内周側に移動
    させるとき、前記ロングサーチ動作が開始されるととも
    に、前記スピンドルモータ駆動手段によって、前記光ピ
    ックアップが前記第2トラックにレーザービームを照射
    する際に必要とされる前記スピンドルモータの回転速度
    で、前記スピンドルモータが駆動するように制御される
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4に記載のディスク
    装置。
  6. 【請求項6】 前記スピンドルモータ駆動手段が、前記
    スピンドルモータから与えられるFG信号よりその回転
    速度を検知し、前記スピンドルモータをFG制御するこ
    とによって、駆動することを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれかに記載のディスク装置。
  7. 【請求項7】 前記移動距離検知手段が、前記スレッド
    モータの回転量より前記光ピックアップの移動量を検知
    することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに
    記載のディスク装置。
  8. 【請求項8】 前記スレッドモータの回転速度を検出す
    る複数のホール素子を有し、前記移動距離検知手段にお
    いて、前記複数のホール素子からの検出信号より、前記
    スレッドモータの回転量を測定することによって、前記
    光ピックアップの移動量を検知することを特徴とする請
    求項7に記載のディスク装置。
  9. 【請求項9】 前記ディスクの回転が、前記ディスクの
    径方向に設けられた同心円状のゾーンにおいて、角速度
    一定になるように前記スピンドルモータが回転制御され
    るゾーンCLV制御で制御され、前記領域が複数のゾー
    ンで形成されることを特徴とする請求項1〜請求項8の
    いずれかに記載のディスク装置。
  10. 【請求項10】 前記ディスクが、前記光ピックアップ
    から照射されるレーザービームによる熱が所定値以上に
    なったとき、磁化することが可能となり、データの記録
    及び再生が行われるディスクであって、 前記領域毎に設定される前記スピンドルモータの回転速
    度が、前記光ピックアップからのレーザービームが照射
    される際に、該レーザービームが照射される箇所のデー
    タが消去されない最低の回転速度よりも速い回転速度に
    設定されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいず
    れかに記載のディスク装置。
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