JP2001165279A - 歯車の製造方法 - Google Patents

歯車の製造方法

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JP2001165279A
JP2001165279A JP35001599A JP35001599A JP2001165279A JP 2001165279 A JP2001165279 A JP 2001165279A JP 35001599 A JP35001599 A JP 35001599A JP 35001599 A JP35001599 A JP 35001599A JP 2001165279 A JP2001165279 A JP 2001165279A
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tooth surface
temperature
tooth
bainite
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JP35001599A
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Yoshimi Aoyama
善美 青山
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の歯車の製造方法よりも優れた歯車製造方
法を提供すること。 【解決手段】本発明の歯車の製造方法は、鉄系材料から
なる歯車粗材を機械加工して歯車を形成する機械加工工
程と、その歯車の歯面を加熱して、A1変態点以上の温
度に保持して前記鉄系材料の組織をオーステナイト化す
るオーステナイト化工程と、その歯面の温度を前記鉄系
材料のベイナイト化が進行する第1所定温度範囲内の温
度となるようにその歯面の温度を制御して、少なくとも
その歯面の一部をベイナイト化させるベイナイト化工程
と、その歯面に窒化処理を行う窒化工程とからなること
を特徴とする。つまり、本発明の歯車の製造方法は、歯
車全体ではなく強度が必要な歯面部分のみを加熱して歯
面の強化処理であるベイナイト化処理を行っているの
で、ベイナイト化にともなう歯車への歪みが最小限に抑
えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高負荷のかかる歯車には、高い
耐摩耗性および強度が要求される。従来、高い耐摩耗性
および強度を付与した歯車を製造する方法としては、浸
炭処理を行うもの、特開平9−126301号公報、特
開平11−72159号公報に開示されたように歯車形
成後に表面に軟窒化処理等の窒化処理を行うもの、そし
て、特開平5−93225号公報、特開平7−1368
63号公報に開示されたように歯車粗材全体にオーステ
ンパ処理等のベイナイト処理を行いその後歪みを機械的
加工で修正し、歯車を形成するものがあった。
【0003】このような強化処理の結果、浸炭処理で
は、マルテンサイト変態にともなう焼き入れ歪みが発生
する。また、窒化処理では、歯面表層部の強度が不足す
ることがあり、その場合に、焼き入れ等によって歯面表
層部の強度を高めると前述の浸炭処理のように、焼き入
れ歪み等が発生する。
【0004】したがって、より高精度の歯車を必要とす
る場合は、このように生成した歪みを仕上げ工程により
修正する必要がある。たとえば、仕上げ工程として、歯
車への強化処理の後に、歯面に対してホーニング等の研
削加工が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
歯車の製造方法は、以下の不都合があった。すなわち、
歯車の精度を向上するために行う仕上げ工程は、歯面部
分が強化処理されているので加工性が悪く、生産性に難
点があった。
【0006】また、窒化した歯車は強度向上しようとす
ると母材強度を高める必要があり、そうすると機械加工
性に難点があるので硬さを抑えざるを得ず、最終的に製
造される歯車の強度も充分に高くすることができなかっ
た。
【0007】したがって、本発明は、品質のよい歯車を
生産性よく製造できる歯車の製造方法を提供することを
解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明者は、鋭意研究の結果、以下の歯車の製造
方法を発明した。
【0009】すなわち、本発明の歯車の製造方法は、鉄
系材料からなる歯車粗材を機械加工して歯車を形成する
機械加工工程と、その歯車の歯面を加熱して、A1変態
点以上の温度に保持して前記鉄系材料の組織をオーステ
ナイト化するオーステナイト化工程と、その歯面の温度
を前記鉄系材料のベイナイト化が進行する第1所定温度
範囲内の温度となるようにその歯面の温度を制御して、
少なくともその歯面の一部をベイナイト化させるベイナ
イト化工程と、その歯面に窒化処理を行う窒化工程とか
らなることを特徴とする。
【0010】つまり、本発明の歯車の製造方法は、歯車
全体ではなく強度が必要な歯面部分のみを加熱して歯面
の強化処理であるベイナイト化処理を行っているので、
ベイナイト化にともなう歯車への歪みが最小限に抑えら
れる。また、窒化処理は、一般に処理温度が低いので処
理によって歪みが生じにくい。したがって、高精度の歯
車を製造する場合であっても、強化処理後に仕上げ工程
の必要がない。
【0011】また、本発明の歯車製造方法によると、強
化処理後の被加工性を考慮しなくてもよいので、歯面表
層部の硬さを向上することが可能である。なお、ベイナ
イト化工程において、加熱した部分がすべてベイナイト
組織となる必要はなく、ベイナイト以外にもフェライ
ト、パーライト、およびマルテンサイトを含むものであ
ってもよい。
【0012】したがって、本製造方法によると、歯車の
寸法精度を保ちながら、歯車の生産性に影響を与えずに
歯車の強度を向上させることができる。
【0013】さらに、前記歯面の表層部のみをベイナイ
ト化させることが好ましい。前述のように、歯車の寸法
精度を向上させる目的には、ベイナイト化にともなう歪
みの発生はできるだけ少ない方が好ましい。ベイナイト
化にともなう歯車の歪みを最小限とするには、歯車の歯
部分が必要な強度となるように、歯面の最低限の部分の
みをベイナイト化することにより達成できる。この場合
に、歯面をベイナイト化する部分は、歯車の内部よりも
強度がより必要である部分である表層部とすることが好
ましいからである。
【0014】また、前記オーステナイト化工程における
歯面の加熱は、誘導加熱により行い、その歯車の表層部
のみを加熱することが好ましい。
【0015】前述のように、歯車の歯部分が必要な強度
となるように、ベイナイト化する部分を制御するには、
歯面の表層部付近をベイナイト化させる目的で、歯面の
加熱範囲を制御できることが好ましい。誘導加熱は、流
す交流の周波数を変化させることによって歯面の表面か
ら加熱される深さを制御することが可能である。
【0016】したがって、本製造方法によると、最終的
な歯車に必要な強度に応じて最小限の範囲で歯面の表層
部をベイナイト化させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の歯車の製造方法の
実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、
以下の実施形態により限定されるものではない。
【0018】本実施形態においては、平歯車の製造方法
について説明を行う。なお、本製造方法が適用できる歯
車は、その他の形状の歯車にも適用可能である。
【0019】本実施形態の歯車の製造方法は、機械加工
工程と、オーステナイト化工程と、ベイナイト化工程
と、窒化工程とからなる。
【0020】本発明の歯車の製造方法は、機械加工工程
によって歯車の形状を形成し、オーステナイト化工程と
ベイナイト化工程によって歯車の歯面部分にベイナイト
組織を生成させて、歯車の歯部分の内部強度を向上さ
せ、窒化工程により歯面の硬さを向上させるものであ
る。これらの工程を組み合わせることで、強度および精
度の高い歯車を効率よく製造することができるのであ
る。また、オーステナイト化工程、ベイナイト化工程、
窒化工程は、歯面に歪み等の影響を与えることが少ない
ので、これらの工程を実施した場合でも歯車の精度変化
は、きわめて軽微で、仕上げ工程を要することなくその
まま高精度の歯車を使用することが可能である。
【0021】機械加工工程は、鉄系材料からなる歯車粗
材を機械加工して寸法精度がよい歯車を形成する工程で
ある。
【0022】機械加工工程は、最終的に製造される歯車
の精度を高める目的で行われる工程であって、最終的に
製造する歯車に必要な精度に応じて歯車粗材の歯面に種
々の機械的加工を単独で、もしくは組み合わせて行う。
また、歯面以外にも必要に応じて歯車粗材に機械的加工
を行う。
【0023】機械加工工程は、たとえば、精度の高い切
削加工や、シェービングカッタ等によるシェービング仕
上げ、砥石等によるホーニング仕上げ、ともずり等によ
るラッピング仕上げ、マスタ等によるバーニッシング仕
上げ等の研削仕上げ等の機械的加工方法を単独でもしく
は組み合わせて適用できる。
【0024】歯車精度を高める目的には、機械加工工程
により除去される最終的な仕上げしろは少ないことが好
ましい。
【0025】歯車粗材は、おおまかに歯車の概形が形成
されており、機械加工工程によって、必要な寸法精度を
もった歯車が形成できるものである。歯車粗材を形成す
る方法は、一般的な歯車粗材の形成方法である鍛造、切
削、打ち抜き、引き抜き、転造、鋳造、粉末冶金等の公
知の方法によって行うことができる。このなかでも鍛造
法が好ましい。鍛造法は、寸法精度の良好な歯車を高速
で製造できる。また、これらの種々の方法の組み合わせ
によって歯車の形成を行ってもよい。
【0026】なお、機械加工工程前に、歯面に機械加工
工程の生産性が落ちるような硬化が生じない焼きならし
等の熱処理を行って、歯車のじん性の改善等を行うこと
もできる。機械加工工程前の歯面表面の組織について
は、ベイナイト組織以外のたとえば、フェライト、パー
ライト等の組織であることが生産性向上の面で好まし
い。
【0027】ここで、本発明の歯車の製造方法が適用で
きる鉄系の材料は、熱処理によってベイナイト化が生起
される材料からなるものであれば、特に限定されるもの
ではない。なお、炭素鋼(炭素含有量0.1〜0.5
%)や、Ni、Cr、Mo、V、Al等を含む合金鋼が
好ましい。
【0028】また、好ましい鉄系の材料は、後述するベ
イナイト化工程でのベイナイト化や、窒化工程での窒化
が容易に行える材料とすることが好ましい。たとえば、
鉄系の材料は、炭素;0.18〜0.23重量%、シリ
コン;0.15〜0.35重量%、マンガン;0.60
〜0.85重量%、リン;0.03重量%以下、イオ
ウ;0.03重量%以下、クロム;0.90〜1.20
重量%、モリブデン;0.15〜0.30重量%を含み
残余が鉄および不純物からなる組み合わせの鋼等の公知
の材料である。
【0029】オーステナイト化工程は、歯車の歯面を加
熱して、A1変態点以上の温度に保持する工程である。
【0030】ここで歯面を加熱する温度は、A1変態点
以上であって、必要な量のベイナイトが後述するベイナ
イト化工程で生成できるだけのオーステナイト組織が生
成できる温度であればよい。好ましくは、歯面の温度
を、さらに、オーステナイト領域まで加熱することであ
る。
【0031】そして、このオーステナイト化工程におけ
る加熱は、歯車の酸化を防止する目的で、処理雰囲気を
非酸化雰囲気、たとえば、窒素、アルゴン等の保護雰囲
気もしくは真空等の低圧下として行うことが好ましい。
以下同様に、ベイナイト化工程、窒化工程についても常
温より高温にて行う工程であり、歯車が酸化されやすい
ので、処理雰囲気を非酸化雰囲気として行うことが好ま
しい。
【0032】また、ここで歯面の温度をA1変態点以上
の温度に保持する時間は、加熱温度、材料に依存する時
間であって、実際に歯面が加熱された温度において、歯
面に必要な強度を付与可能なベイナイト量が後述するベ
イナイト化工程で生成できるだけのオーステナイト組織
の量が生成できる時間である。
【0033】歯面の加熱は、局所的に行われることが好
ましく、さらには歯面の表層部に限定されることが好ま
しい。それは、歯面について、加熱によってオーステナ
イト化させる部分も制限する必要があるからである。す
なわち、それは歯面がベイナイト組織となると必然的に
歯面の歪みが大きくなるので、ベイナイト化により不必
要な歪みが生起しないように、ベイナイト化する部分は
必要最小限とすることが好ましいからである。
【0034】歯面の表層部を局所的に加熱する方法とし
ては、誘導加熱、高温媒体との接触、化学炎(特に還元
炎)等を用いることができる。このなかでも誘導加熱に
よる加熱が好ましい。簡易な装置で簡便に歯面の加熱を
行うことができるからである。また、誘導加熱による
と、誘導加熱コイルに流す交流の周波数によって、歯面
から加熱される深さを制御することができる。
【0035】すなわち、交流の周波数が高くなるにつれ
て、歯面が加熱される深さは浅くなる。また、加熱時間
によっても加熱される深さは変化する。たとえば、出力
の小さな誘導加熱器であっても、また周波数が高くて
も、長時間加熱すると熱伝導によって歯面の深くまで加
熱される。
【0036】ベイナイト化工程は、歯面の温度を歯車を
構成する材料のベイナイト化が進行する第1所定温度範
囲内の温度となるように歯面の温度を制御して、少なく
とも歯面の一部をベイナイト化させる工程である。
【0037】歯面は、その一部のみをベイナイト化した
場合であっても、ベイナイト化工程を行わない未処理の
歯車と比較すると、より高強度・高耐久性の歯車とする
ことができるからである。
【0038】歯面温度の制御は、主に歯面にベイナイト
組織を生成させたい部分について行う。ベイナイト化工
程でベイナイト組織を生成させる部分は、歯面のうち、
大きな荷重がかかる部分、たとえば、歯すじ部分や歯元
部分が好ましい。
【0039】歯面の温度制御は、歯面のベイナイト化を
進行させたい部分の温度を歯車を構成する材料のベイナ
イト化が進行するに必要な時間範囲内で、同じく歯車を
構成する材料のベイナイト化が進行する第1所定温度範
囲内の温度となるように、たとえば、歯面の冷却速度を
制御することによって行う。つまり、歯面のベイナイト
化を進行させたい部分の歯面の温度を歯面に必要な量の
ベイナイト組織が生成するようにベイナイト化が進行す
るように冷却速度を制御するのである。このように、歯
面を冷却する速度を制御する方法は、歯面温度の制御が
容易である点から好ましい。
【0040】具体的には歯車を構成する材料によって異
なるが、炭素鋼では、ベイナイト化を進行するのに恒温
変態をさせる必要があって、オーステナイト化工程後、
急冷し、ベイナイト化が進行する恒温状態に保つ必要が
ある。
【0041】それに対して合金鋼では、オーステナイト
化工程後、恒温域を経ずに連続冷却を行ってもある範囲
の冷却速度とすることで、歯面にベイナイト組織を生成
することができる。すなわち、歯車を構成する材料にお
ける歯面の温度と冷却時間との関係を示した連続冷却曲
線(C.C.T.曲線)において、本ベイナイト化工程
における温度制御曲線が、Zw領域と交わるように、歯
面の温度と冷却時間とを制御する。
【0042】したがって、第1所定温度およびその時間
は、歯車を構成する材料のC.C.T.曲線のうち、前
述のC.C.T.曲線のZw領域内に含まれる冷却時間
と温度とのすべての組み合わせが該当する。
【0043】オーステナイト化処理によって生成したオ
ーステナイト組織のうち、ベイナイト化工程によって、
ベイナイト組織とならなかった部分については、たとえ
ば、オーステナイト組織からフェライト組織、パーライ
ト組織に変化しており、さらには、マルテンサイト組織
になっている場合もある。
【0044】ベイナイト化工程において歯面の温度を制
御する方法としては、何らかの媒体に接触させる方法が
例として挙げられる。具体的には、媒体を歯面に接触さ
せた場合に、歯面の温度が適正となるように、この媒体
の温度等の条件を調節し、歯面に接触させること等によ
って行う。媒体は、気体、液体、もしくは固体のいずれ
であってもよく、また、これらの混合物であってもよ
い。このなかでも、気体を媒体として用い、その歯面へ
の接触によって冷却させることが好ましい。気体は、そ
の圧力、温度の調節によって、熱伝導性を制御可能であ
って、容易に歯面の冷却速度を適正に制御することが可
能だからである。また、気体であれば、前述のオーステ
ナイト化工程に引き続き、同じ装置内で冷却工程(ベイ
ナイト化工程)を行うことも容易だからである。
【0045】なお、歯車の歯面に生成するベイナイト組
織は、最終的な歯車における歯面の硬度等の点から、下
ベイナイトとすることが好ましい。
【0046】窒化工程は、主として歯面表層部分に窒化
処理を行い歯面の硬度を向上させる工程である。
【0047】窒化反応は、一般的に表面から内部に向け
て進行する。窒化工程は、何らかの方法で生成させた原
子状ないし分子状窒素を歯車の表面から歯車内部に拡散
させる窒化反応の方法であれば、いずれかの公知の方法
で進行させることができる。また、その他の窒化反応の
方法であっても歯面を窒化できる方法であれば、本発明
の窒化工程として採用することができる。
【0048】たとえば、歯車をアンモニアと窒素等との
混合ガス雰囲気下において加熱する方法、NaCN等を
含む塩浴を用いる方法(タフトライド)等が挙げられ
る。
【0049】窒化工程時に加熱する温度としては、好ま
しくは400℃〜600℃、より好ましくは500℃〜
600℃程度がよい。そして、窒化を行う部分は、歯面
のみに行えば充分であるが、歯車の全体について窒化さ
れることを排除するものではない。
【0050】
【実施例】以下、実施例に基づいて、さらに本発明を具
体的に説明する。なお、図は模式図であり、寸法・形態
等は正確なものではない。
【0051】〈実施例〉 (歯車の製造方法)SCM415材から鍛造によってお
おまかな歯車の形状をもつ歯車粗材を形成した。この歯
車粗材を焼きならし(900℃で30分間加熱して、大
気中に静置する。)した。
【0052】その後、総形フライスカッタにより歯ミゾ
を1つずつ歯切りを行い、歯車を形成する。形成した歯
車は、平歯車でモジュール2.25、ピッチ円径97.
969であった。
【0053】歯車の歯面の加熱を図1に示す加熱冷却装
置を用いて行った。
【0054】歯車1を加熱冷却装置のチャンバ5内に、
開閉扉を介して、歯車保持具3に保持させた。そして、
チャンバ5内を真空ポンプ8によって1.3Paに減圧
した。歯車1を歯車保持具3に連結された軸を介してモ
ータ4によって回転させながら、誘導加熱器の誘導加熱
コイル2によって歯車の歯部分1aを加熱する。歯部分
1aの加熱条件は、歯面のピッチ円部分の温度が950
℃程度になるように加熱した。誘導加熱コイル2aの表
面と歯先部分1aとの距離は、1.5mmとした。誘導
加熱器の動作条件は、交流の周波数が30kHzで、歯
部分1aを加熱する時間を5秒とした。
【0055】その後、モータ4の回転を停止して、窒素
ボンベ16から供給される窒素ガスをレギュレータ11
を通して圧力を調節した後に、誘導加熱コイル2に設け
られた窒素ガス噴射口2aから、歯部分1aに噴射し
た。窒素ガス噴射口2aは、誘導加熱コイル2の全周に
均等に配置した。
【0056】窒素の噴出圧力は、0.4MPaとして、
窒素の流量は毎秒1130L/分とした。チャンバ5内
の圧力は一定となるようにポンプ15により窒素ガスを
窒素ボンベ16に回収した。
【0057】その後、歯車1を570℃のアンモニア:
RXガス(炭化水素変成ガス)=50:50(体積比)
雰囲気中で4時間反応させ、窒化を行った。
【0058】以上の工程によって製造した歯車を実施例
の歯車とした。
【0059】(硬さ試験)実施例の歯車について硬さ試
験を行った。
【0060】硬さ試験は、ビッカース硬さ試験により行
った。圧子への荷重は、0.98Nとして測定した。
【0061】試験方法としては、歯車を切断し、その切
断断面について表面からの深さ方向の硬さを測定した。
【0062】(曲げ疲労限度荷重試験)実施例の歯車に
ついて曲げ疲労限度荷重試験を行った。
【0063】曲げ疲労限度荷重試験は、JISに従い油
圧式繰り返し疲労試験機によって、1000万回の耐久
寿命荷重を求めた。具体的には、歯車を回転しないよう
に固定して、ピッチ円上に荷重を加えて行った。荷重の
繰り返し頻度は、60Hzで行った。
【0064】(歯形精度試験)歯切りによって形成した
直後の歯車と、加熱冷却装置によるオーステナイト化工
程およびベイナイト化工程と、窒化工程とを経た実施例
の歯車とを比較して変形量を求めて精度を求めた。
【0065】具体的には、歯形を歯車測定機によって計
測し、計測した歯形の歯末の面と歯先面との交点と、歯
元の面と歯底面との交点とを結ぶ歯形曲線の長さの両端
部分をそれぞれ20%除いた曲線について、位置のずれ
を求めた。
【0066】〈比較例1〉実施例と同様に歯切りまで行
って製造した歯車を浸炭焼き入れを行った。具体的に
は、歯車をRXガスベースの熱処理炉内に入れ、940
℃で1.8時間反応させた後、860℃で40分間の拡
散処理を行った。肌焼き深さは、0.65mmであっ
た。
【0067】この工程によって製造した歯車を比較例1
の歯車とした。
【0068】この歯車について、実施例と同様の曲げ疲
労限度荷重試験および歯形精度試験を行った。
【0069】〈比較例2〉実施例と同様に歯切りまで行
って製造した歯車を窒化処理を行った。具体的には、実
施例の窒化方法と同様の方法で行った。
【0070】この工程によって製造した歯車を比較例2
の歯車とした。
【0071】この歯車について、実施例と同様の硬さ試
験、曲げ疲労限度荷重試験および歯形精度試験を行っ
た。
【0072】〈試験結果〉硬さ試験の結果を図2に示
す。これより明らかなように、実施例の歯車は、窒化処
理しかしていない比較例2の歯車と比較して深さ方向に
強度が向上していることが明らかとなった。
【0073】曲げ疲労限度荷重試験の結果を図3に示
す。これより明らかなように、実施例の歯車は、比較例
1の歯車よりも、わずかに曲げ疲労限度荷重の値が低い
ものの、比較例2の歯車よりも、大幅な曲げ疲労限度荷
重の向上が認められた。
【0074】歯形精度試験の結果を図4に示す。これよ
り明らかなように、実施例の歯車は、比較例2の歯車よ
りも、歯形精度変化量がわずかに大きいものの、比較例
1の歯車よりも、大幅な歯形精度変化量の減少、すなわ
ち、歯車の寸法精度の向上が認められた。
【0075】すなわち、実施例の歯車は、浸炭処理にほ
ぼ匹敵する強度を有する歯車をほとんど歯車の精度に影
響を与えることなく、達成することができるという効果
が認められた。
【0076】
【発明の効果】以上、本発明は、簡便な方法によって、
歯車の製造コストを上昇させずに、品質のよい歯車を生
産性よく製造できる歯車の製造方法を提供することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた加熱冷却装置の概略図である。
【図2】実施例と比較例2のそれぞれの硬さ試験の結果
を示した図である。
【図3】実施例と比較例1、2とのそれぞれの曲げ疲労
限度荷重試験の結果を示した図である。
【図4】実施例と比較例1、2とのそれぞれの歯形精度
試験の結果を示した図である。
【符号の説明】
1…歯車 2…誘導加熱コイル 2a…窒素ガス噴
射口 2b…ノズル 3…歯車保持具 4…モー
タ 5…チャンバ 5a…開閉扉 6…チャンバ
内気吸入孔 7…電磁バルブ 8…真空ポンプ
9…窒素ガス注入管 10…窒素ガス供給用電磁バル
ブ 11…レギュレータ 12…窒素ガス用電磁バ
ルブ 13…窒素ガス吸入孔 14…窒素ガス吸入
用電磁バルブ 15…ポンプ 16…窒素ボンベ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 55/17 F16H 55/17 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系材料からなる歯車粗材を機械加工し
    て歯車を形成する機械加工工程と、 前記歯車の歯面を加熱して、A1変態点以上の温度に保
    持して前記鉄系材料の組織をオーステナイト化するオー
    ステナイト化工程と、 前記歯面の温度を前記鉄系材料のベイナイト化が進行す
    る第1所定温度範囲内の温度となるように該歯面の温度
    を制御して、少なくとも該歯面の一部をベイナイト化さ
    せるベイナイト化工程と、 前記歯面に窒化処理を行う窒化工程とからなることを特
    徴とする歯車の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記歯面の表層部のみをベイナイト化さ
    せる請求項1に記載の歯車の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記オーステナイト化工程における前記
    歯面の加熱は、誘導加熱により、前記歯車の表層部のみ
    を加熱する請求項1に記載の歯車の製造方法。
JP35001599A 1999-12-09 1999-12-09 歯車の製造方法 Pending JP2001165279A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010185141A (ja) * 2009-02-11 2010-08-26 Boeing Co:The 伝動装置に使用する硬化チタン構造物
CN102560504A (zh) * 2010-12-15 2012-07-11 上海汇众汽车制造有限公司 提高冲压模具寿命的表面处理复合工艺
WO2013147259A1 (ja) * 2012-03-30 2013-10-03 株式会社神戸製鋼所 耐焼付き性に優れた歯車
CN104595461A (zh) * 2015-01-16 2015-05-06 张斐斐 一种用于锥形齿轮的连接装置

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