JP2001165023A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JP2001165023A
JP2001165023A JP34813899A JP34813899A JP2001165023A JP 2001165023 A JP2001165023 A JP 2001165023A JP 34813899 A JP34813899 A JP 34813899A JP 34813899 A JP34813899 A JP 34813899A JP 2001165023 A JP2001165023 A JP 2001165023A
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internal combustion
ignition timing
pressure
cylinder
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Eiji Itakura
英二 板倉
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関
し、外気圧が大きい場合に、内燃機関の筒内圧が過度に
大きくなるのを回避することを目的とする。 【解決手段】 内燃機関10は、通常、最適点火時期M
BTに点火される。外気圧Pがしきい値P0 以上である
場合に、内燃機関10の点火時期を、最適点火時期MB
Tから外気圧Pとしきい値P0 との差圧に応じた量だけ
遅角させる。点火時期が遅角されると、燃焼室28の最
大筒内圧Xmax が小さく抑えられる。従って、外気圧P
が大きい場合に、内燃機関10の筒内圧が過度に大きく
なるのを回避できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の点火時
期制御装置に係り、特に、自動車や航空機等の動力源と
して機能する内燃機関の点火時期を制御する装置として
好適な内燃機関の点火時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−54748
号に開示される如く、気筒内の最大燃焼圧力が許容値を
越える場合に点火時期を遅角させる内燃機関の制御装置
が知られている。この装置は、各気筒の最大燃焼圧力を
検出し、その最大燃焼圧力が許容値を越えないように点
火時期を遅角補正する。点火時期が遅角されると、最大
燃焼圧力は低下する。従って、上記従来の装置によれ
ば、内燃機関の運動系に過大な応力が作用することを防
止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、内燃機関は、
最大出力が得られる時期(以下、最適点火時期と称す)
に点火されると、効率よく作動することができる。従っ
て、内燃機関は、通常、最適点火時期に点火される。と
ころで、外気圧が小さくなるほど、すなわち、内燃機関
の使用される高度が高くなるほど、内燃機関の筒内に吸
入される空気量が少なくなることで、筒内の最大燃焼圧
力が低下し、内燃機関の出力が低下する。外気圧が小さ
い状況下でも内燃機関の出力をある程度大きく維持する
ためには、圧縮比を上げること等により内燃機関のベー
ス性能を高めておくことが有効である。圧縮比を上げれ
ば、燃焼時における筒内圧が上昇することで、外気圧が
小さい状況下でも内燃機関の出力を大きな状態に確保す
ることが可能となる。
【0004】このように圧縮比を上げた構成において
は、外気圧の大小にかかわらず、圧縮比を上げない場合
よりも、内燃機関の筒内圧が大きくなる。このため、上
記の構成では、外気圧が大きい場合に、筒内の最大燃焼
圧力が、内燃機関において強度上許容されている圧力を
越えて大きくなるおそれがある。従って、かかる不都合
を解決するためには、外気圧が大きい状況において、最
大燃焼圧力が許容値を越えないように、点火時期を最適
点火時期から変更することが有効である。
【0005】しかしながら、上記従来の装置では、内燃
機関の点火時期が外気圧の大小に応じて変更されておら
ず、この点、上記従来の装置は、未だ改良の余地を残す
ものであった。本発明は、上述の点に鑑みてなされたも
のであり、外気圧が大きい場合に点火時期を変更するこ
とで、内燃機関の筒内が過度に高圧になるのを回避する
ことが可能な内燃機関の点火時期制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、最大出力が得られる時期に点火され得
る内燃機関の点火時期制御装置であって、外気圧を検出
する外気圧検出手段と、前記外気圧検出手段により検出
された外気圧が所定しきい値以上に大きい場合に、内燃
機関の筒内圧が所定値を越えて大きくならないように、
該内燃機関の点火時期を変更する点火時期変更手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置
により達成される。
【0007】請求項1記載の発明において、内燃機関
は、最大出力が得られる時期に点火され得る。外気圧が
所定しきい値以上に大きい場合は、内燃機関の筒内圧が
所定値を越えて大きくならないように、内燃機関の点火
時期が変更される。このため、本発明によれば、外気圧
が大きい場合に、内燃機関の筒内が過度に高圧になるの
を回避することができる。
【0008】この場合、請求項2に記載する如く、請求
項1記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記
点火時期変更手段は、内燃機関の点火時期を、前記最大
出力が得られる時期から遅角することとしてもよい。請
求項2記載の発明において、点火時期変更手段は、外気
圧が所定しきい値以上に大きい場合に、点火時期を最大
出力が得られる時期から遅角する。点火時期が遅角され
ると、筒内の最大筒内圧が小さくなる。従って、本発明
によれば、外気圧が大きい場合に、内燃機関の筒内が過
度に高圧になるのを回避することができる。
【0009】また、請求項3に記載する如く、請求項2
記載の内燃機関の点火時期制御装置において、内燃機関
の点火時期は、前記最大出力が得られる時期から、前記
外気圧検出手段により検出された外気圧と所定しきい値
との差に応じた量だけ遅角されることとしてもよい。
【0010】請求項3記載の発明において、内燃機関の
点火時期の遅角量は、外気圧検出手段により検出された
外気圧と所定しきい値との差に応じた値である。仮に、
点火時期の遅角量が、外気圧が所定しきい値以上に大き
い状況下では常に一定量であるものとすると、筒内の最
大筒内圧が過度に小さくなる場合がある。この場合、内
燃機関の出力が小さく抑制されることで、内燃機関を効
率よく作動させることができなくなる。
【0011】この点、本発明によれば、点火時期の遅角
量は、検出された外気圧と所定しきい値との差に応じた
値であるので、外気圧が所定しきい値以上に大きい状況
下でも最大筒内圧が過度に小さくなるのが回避される。
従って、本発明によれば、外気圧が大きい場合に、内燃
機関の筒内が過度に高圧になるのを回避しつつ、内燃機
関を効率よく作動させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
自動車や航空機等の内燃機関10のシステム構成図を示
す。本実施例において、内燃機関10は、電子制御ユニ
ット(以下、ECUと称す)12により制御される。図
1に示す如く、内燃機関10は、シリンダブロック14
を備えている。シリンダブロック14の壁中には、内燃
機関10を冷却する冷却水の流通するウォータージャケ
ット16が形成されている。シリンダブロック14の内
部には、気筒数と同数だけ設けられたピストン18が収
納されている。ピストン18には、コンロッド20を介
してクランクシャフト22が連結されている。
【0013】シリンダブロック14の上部には、シリン
ダヘッド26が固定されている。シリンダブロック1
4、シリンダヘッド26、および、ピストン18に囲ま
れる部位には、燃焼室28が形成されている。シリンダ
ヘッド26には、燃焼室28に連通する吸気ポート30
および排気ポート32が形成されている。また、シリン
ダヘッド26には、吸気ポート30と燃焼室28とを導
通または遮断する吸気弁34、排気ポート32と燃焼室
28とを導通または遮断する排気弁36、および、先端
部を燃焼室28に露出させた点火プラグ38が組み込ま
れている。吸気弁34、排気弁36、および、点火プラ
グ38は、それぞれ、内燃機関10の各気筒に対応して
設けられている。点火プラグ38は、後述の如く、所定
のタイミングで高圧の点火信号が供給された場合に、燃
焼室28の内部で火花を発生させる。
【0014】吸気ポート30には、吸気マニホールド4
0が連通している。吸気マニホールド40には、インジ
ェクタ42が配設されている。インジェクタ42は、図
示しない燃料パイプを介して燃料ポンプに接続されてい
ると共に、ECU12に電気的に接続されている。イン
ジェクタ42は、ECU12から駆動信号が供給される
時間だけ、すなわち、燃料噴射期間TAUだけ吸気ポー
ト30に対して燃料を噴射する。
【0015】吸気マニホールド40には、サージタンク
44を介して吸気通路46が連通している。吸気通路4
6は、大気と連通している。吸気通路46の内部には、
アクセルペダルと連動して開閉するスロットルバルブ4
8が配設されている。スロットルバルブ48の近傍に
は、スロットルバルブ48の開度に応じた信号を出力す
るスロットルポジションセンサ50が配設されている。
スロットルポジションセンサ50の出力信号は、ECU
12に供給されている。ECU12は、スロットルポジ
ションセンサ50の出力信号に基づいてスロットルバル
ブ48の開度を検出する。
【0016】吸気通路46の内部には、また、エアフロ
メータ52が配設されている。吸気通路46には、大気
から図示しないエアフィルタを通過した空気が流入す
る。エアフロメータ52は、その内部を流通する空気の
質量(以下、吸入空気量と称す)に応じた出力信号を発
生する。エアフロメータ52の出力信号は、ECU12
に供給されている。ECU12は、エアフロメータ52
の出力信号に基づいて内燃機関10の吸入空気量Gを検
出する。
【0017】内燃機関10の排気ポート32には、排気
マニホールド54が連通している。排気マニホールド5
4には、O2 センサ56が配設されている。O2 センサ
56は、排気マニホールド54内を流通する排気ガス中
の酸素濃度に応じた信号を出力する。O2 センサ56の
出力信号は、ECU12に供給されている。ECU12
は、O2 センサ56の出力信号に基づいて、内燃機関1
0に供給されている混合気の空然比を検出する。排気マ
ニホールド54には、三元触媒を用いて排気ガスを浄化
する触媒コンバータ58が連通している。内燃機関10
から排出された排気ガスは、触媒コンバータ58により
浄化された後、大気中へ放出される。
【0018】内燃機関10は、イグナイタ60およびイ
グニションコイル62を備えている。イグナイタ60
は、ECU12に電気的に接続されている。ECU12
は、内燃機関10の何れかの気筒で点火を行うべき時期
にイグナイタ60に対して点火信号を供給する。イグナ
イタ60は、点火信号と同期してイグニションコイル6
2に対して一次電流を供給する。イグニションコイル6
2に一次電流が供給されると、イグニションコイル62
の2次側に高圧の点火信号が生成される。
【0019】イグニションコイル62の2次側には、デ
ィストリビュータ64が接続されている。ディストリビ
ュータ64は、内燃機関の気筒数と同数の出力端子を備
えている。それらの出力端子は、それぞれ、内燃機関1
0の各気筒に配設された点火プラグ38に接続されてい
る。ディストリビュータ64は、イグニションコイル6
2から供給される高圧の点火信号を内燃機関10のクラ
ンク角に応じて適当な気筒の点火プラグ38に分配す
る。
【0020】ディストリビュータ64には、クランクシ
ャフト22の回転角が基準回転角に達する毎に基準信号
を発生する気筒判別センサ66と、クランクシャフト2
2が所定回転角(例えば30゜CA)回転する毎にパル
ス信号を発生する回転角センサ68とが内蔵されてい
る。気筒判別センサ66の出力信号、および、回転角セ
ンサ68の出力信号は、共にECU12に供給されてい
る。ECU12は、これらのセンサの出力信号に基づい
て、内燃機関10の回転角、および、機関回転数NEを
検出する。
【0021】ECU12には、外気圧に応じた電気信号
を発生する外気圧センサ70が接続されている。外気圧
センサ70の出力信号は、ECU12に供給されてい
る。ECU12は、外気圧センサ70の出力信号に基づ
いて外気圧Pを検出し、内燃機関10を搭載する自動車
や航空機等の高度を推定する。本実施例において、内燃
機関10は、通常、最大出力が得られる時期(以下、最
適点火時期MBTと称す)に点火される。このため、本
実施例によれば、内燃機関10を効率良く作動させるこ
とが可能となる。
【0022】ところで、自動車や航空機の動力源として
機能する内燃機関10は、外気圧が様々に変化する状況
下において使用される。外気圧が小さくなるほど、すな
わち、内燃機関10の使用される高度が高くなるほど、
内燃機関10の筒内への吸入空気量は少なくなる。この
場合には、燃焼室28内の最大圧力(以下、最大筒内圧
max と称す)が低下することで、内燃機関10の出力
が低下する。特に、航空機の内燃機関10においては、
外気圧の変動が大きいため、出力が著しく低下してしま
う。
【0023】外気圧が小さい状況下でも内燃機関10の
出力をある程度大きな状態に維持するためには、内燃機
関10の圧縮比を上げること、あるいは、吸気ポート3
0をスワールの生じ易い形状に変更することにより内燃
機関10の燃焼速度を高めることが有効である。かかる
状態が実現されると、燃焼時における燃焼室28の筒内
圧力が上昇することで、外気圧が小さい状況下でも内燃
機関10の出力を大きな状態に確保することが可能とな
る。
【0024】図2は、圧縮比を上げた場合と上げない場
合とで、外気圧Pと、最適点火時期MBTに点火された
場合の最大筒内圧Xmax-MBT との関係を比較した図を示
す。尚、図2において、圧縮比を上げた場合を実線で、
圧縮比を上げない場合を一点鎖線で、それぞれ示してい
る。図2に示す如く、内燃機関10の圧縮比を上げた場
合は、圧縮比を上げない場合に比して、外気圧Pの大小
にかかわらず、最大筒内圧Xmax-MBT が大きくなる。従
って、圧縮比を上げることとすれば、外気圧Pが小さい
状況下でも内燃機関10の出力を大きくすることが可能
となる。しかしながら、かかる構成においては、外気圧
Pが所定値P0 以上に大きい状況下で内燃機関10が最
適点火時期MBTに点火されると、最大筒内圧X
max-MBT が、内燃機関10において強度上許容されてい
る圧力(以下、許容圧力X0 と称す)を越えて大きくな
るおそれがある。
【0025】図3は、内燃機関10の点火時期と最大筒
内圧Xmax との関係を外気圧Pをパラメータとして表し
た図を示す。また、図4は、内燃機関10の点火時期と
内燃機関10の出力との関係を外気圧Pをパラメータと
して表した図を示す。尚、図3および図4において、外
気圧Pが所定値P0 である場合の波形を一点鎖線で、外
気圧Pが所定値P0 を越えて大きい場合の波形を実線
で、それぞれ示している。また、図4において、最大筒
内圧Xmax-MBT が許容圧力X0 である場合の内燃機関の
出力をY0 としている。
【0026】図3に示す如く、内燃機関10の最大筒内
圧Xmax は、一定の点火時期では外気圧Pが大きくなる
ほど大きくなる一方、点火時期が遅角されるほど小さく
なる。すなわち、点火時期が最適点火時期MBTから遅
角される場合は、内燃機関10の出力が、図4に示す如
く、点火時期が遅角されない場合に比して小さくなると
共に、最大筒内圧Xmax が、図3に示す如く小さく抑え
られる。従って、最大筒内圧Xmax-MBT が許容圧力X0
を越えて大きくなる場合は、すなわち、外気圧Pが所定
値P0 以上に大きくなる場合は、最大筒内圧Xmax が許
容圧力X0 以下に抑えられるように、内燃機関10の点
火時期を最適点火時期MBTから遅角することが適切で
ある。
【0027】本実施例のシステムは、内燃機関10の圧
縮比を通常時に比して上げると共に、外気圧が大きい場
合に点火時期を最適点火時期MBTから遅角させること
で、外気圧が小さい場合にも内燃機関10の出力を大き
な状態に確保しつつ、外気圧が大きい場合に内燃機関1
0の燃焼室28の筒内圧が過度に大きくなるのを回避す
る点に特徴を有している。以下、その特徴部について説
明する。
【0028】図5は、内燃機関10の点火時期を決定す
べく、本実施例においてECU12が実行する制御ルー
チンの一例のフローチャートを示す。図5に示すルーチ
ンは、所定時間ごとに繰り返し起動される定時割り込み
ルーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、
まずステップ100の処理が実行される。ステップ10
0では、外気圧センサ70の出力信号に基づいて外気圧
Pが検出される。
【0029】ステップ102では、上記ステップ100
で検出された外気圧Pがしきい値P 0 以上であるか否か
が判別される。尚、しきい値P0 は、内燃機関10の燃
焼室28の最大筒内圧Xmax が、強度上許容される許容
圧力X0 を越えると判別できる外気圧Pの最小値であ
る。P≧P0 が成立する場合は、最大筒内圧Xmax が許
容圧力X0 を越えないように、内燃機関10の点火時期
を最適点火時期MBTから遅角させることが適切であ
る。従って、P≧P0 が成立すると判別された場合は、
次にステップ104の処理が実行される。
【0030】一方、上記ステップ102においてP≧P
0 が成立しない場合は、内燃機関10を最適点火時期M
BTに点火させることとしても、最大筒内圧Xmax が許
容圧力X0 を越えて大きくなることはない。従って、P
≧P0 が成立しないと判別された場合は、次にステップ
106の処理が実行される。ステップ104では、点火
時期の遅角量ΔTを、外気圧Pとしきい値P0 との差に
応じた値にする処理が実行される。本ステップ104で
は、図4に示すようなマップを参照することにより点火
時期の遅角量ΔTが決定される。
【0031】ステップ106では、点火時期の遅角量Δ
Tを“0”にする処理が実行される。ステップ108で
は、上記ステップ104または106で算出された遅角
量ΔTだけ内燃機関10の点火時期を遅角させる処理が
実行される。本ステップ108の処理が終了すると、今
回のルーチンが終了される。
【0032】上記の処理によれば、内燃機関10の点火
時期を、外気圧Pがしきい値P0 を下回る場合は最適点
火時期MBTに維持し、一方、外気圧Pがしきい値P0
以上である場合は最適点火時期MBTから外気圧Pとし
きい値P0 との差圧に応じた量だけ遅角することができ
る。このように点火時期が遅角されると、燃焼室28の
筒内圧は、許容圧力X0 以下に小さく抑制される。従っ
て、本実施例によれば、外気圧が大きい場合に、燃焼室
28の筒内圧が過度に大きくなるのを回避することがで
きる。
【0033】図6は、本実施例における外気圧Pに応じ
た内燃機関10の出力変化を説明するための図を示す。
尚、図6において、本実施例における内燃機関10の出
力変化を実線で、圧縮比を上げない内燃機関(以下、対
比内燃機関と称す)の出力変化を点線で、それぞれ示し
ている。本実施例においては、通常のシステムに比し
て、内燃機関10の圧縮比が高められている。この場
合、燃焼室28の最大筒内圧Xmax は、外気圧の大小に
かかわらず大きくなる。このため、本実施例によれば、
図6に示す如く、外気圧が小さい状況下において内燃機
関10の出力を対比内燃機関に比して大きくすることが
できる。
【0034】また、本実施例において、内燃機関10の
圧縮比が高められることに起因して、最大筒内圧Xmax
が許容圧力X0 を越える程度に外気圧が大きくなる場合
は、上述の如く、点火時期が遅角されることにより、燃
焼室28の筒内圧が過度に大きくなるのが回避される。
この場合、内燃機関10の出力は、対比内燃機関と同等
程度の大きな値Y0 に維持される。
【0035】従って、本実施例の内燃機関10によれ
ば、外気圧が小さい場合に出力を大きな状態に確保しつ
つ、外気圧が大きい場合に燃焼室28の筒内圧が過度に
大きくなるのを回避することができる。すなわち、本実
施例の内燃機関10によれば、圧縮比を上げることによ
り外気圧が小さい状況下で出力を大きな状態に確保する
こととしても、外気圧が大きい状況下でその圧縮比の上
昇に起因して燃焼室28の筒内圧が過度に大きくなるの
を回避することができる。
【0036】このように、本実施例においては、外気圧
が大きい状況下でも燃焼室28の筒内圧が過度に大きく
なることはないので、内燃機関10の強度を高めること
は不要である。従って、本実施例によれば、内燃機関1
0の重量が増大するのを防止できると共に、設計変更を
回避することができ、その結果、圧縮比の上昇に起因す
る不都合を簡素な構成で回避することができる。
【0037】また、上記図5に示すルーチンによれば、
外気圧Pがしきい値P0 以上である場合、点火時期の最
適点火時期MBTからの遅角量は、その外気圧Pとしき
い値P0 との差圧に応じた量に設定される。すなわち、
点火時期の遅角量は、外気圧Pがしきい値P0 に近接し
ているほど小さく、外気圧Pがしきい値P0 から離間し
ているほど大きくなる。この際、燃焼室28の最大筒内
圧Xmax は、許容圧力X0 に維持される。
【0038】このため、本実施例によれば、外気圧が大
きい状況下で、点火時期を遅角させることに起因して内
燃機関10の筒内圧が過度に小さくなるのを回避するこ
とができる。この場合、内燃機関の効率の低下が必要最
小限に抑制される。上述の如く、本実施例においては、
外気圧が大きい場合に点火時期が遅角されることにより
最大筒内圧Xmax が過度に大きくなるのが回避される。
従って、本実施例によれば、外気圧が大きい場合に、内
燃機関10の筒内が過度に高圧になるのを回避しつつ、
内燃機関10を効率よく作動させることが可能となる。
【0039】尚、上記の実施例においては、ECU12
が、外気圧センサ70の出力信号に基づいて外気圧Pを
検出することにより特許請求の範囲に記載された「外気
圧検出手段」が、上記ステップ104の処理後にステッ
プ108の処理を実行することにより特許請求の範囲に
記載された「点火時期変更手段」が、それぞれ実現され
ている。
【0040】ところで、上記の実施例においては、外気
圧Pを外気圧センサ70を用いて検出することとしてい
るが、本発明はこれに限定されるものではなく、スロッ
トルバルブ48の開度と内燃機関10の機関回転数NE
とに基づいて推定される推定吸入空気量と、エアフロメ
ータ52の出力信号に基づいて検出される実吸入空気量
とを比較することにより外気圧Pを検出することとして
もよい。
【0041】また、上記の実施例においては、内燃機関
10の圧縮比を上げることにより、外気圧が小さい状況
下でも内燃機関10の出力をある程度大きな状態に維持
することとしているが、吸気ポート30をスワールの生
じ易い形状に変更すること等により内燃機関10の燃焼
速度を高め、上記の状態を実現することとしてもよい。
【0042】
【発明の効果】上述の如く、請求項1及び2記載の発明
によれば、外気圧が大きい場合に、点火時期を変更する
ことで、内燃機関の筒内圧が過度に大きくなるのを回避
することができる。また、請求項3記載の発明によれ
ば、外気圧が大きい場合に、内燃機関の筒内圧が過度に
大きくなるのを回避しつつ、内燃機関を効率よく作動さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である内燃機関のシステム構
成図である。
【図2】外気圧Pと、最適点火時期MBTに点火された
場合の最大筒内圧Xmax-MBT との関係を、圧縮比を上げ
た場合と上げない場合とで比較した図である。
【図3】点火時期と最大筒内圧Xmax との関係を外気圧
Pをパラメータとして表した図である。
【図4】点火時期と内燃機関の出力との関係を外気圧P
をパラメータとして表した図である。
【図5】本実施例において点火時期を決定すべく実行さ
れる制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図6】本実施例における外気圧Pに応じた内燃機関の
出力変化を説明するための図である。
【符号の説明】
10 内燃機関 12 電子制御ユニット(ECU) 28 燃焼室 38 点火プラグ 70 外気圧センサ MBT 最適点火時期

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大出力が得られる時期に点火され得る
    内燃機関の点火時期制御装置であって、 外気圧を検出する外気圧検出手段と、 前記外気圧検出手段により検出された外気圧が所定しき
    い値以上に大きい場合に、内燃機関の筒内圧が所定値を
    越えて大きくならないように、該内燃機関の点火時期を
    変更する点火時期変更手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関の点火時期制御
    装置において、 前記点火時期変更手段は、内燃機関の点火時期を、前記
    最大出力が得られる時期から遅角することを特徴とする
    内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の内燃機関の点火時期制御
    装置において、 内燃機関の点火時期は、前記最大出力が得られる時期か
    ら、前記外気圧検出手段により検出された外気圧と所定
    しきい値との差に応じた量だけ遅角されることを特徴と
    する内燃機関の点火時期制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014047729A (ja) * 2012-08-31 2014-03-17 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 内燃機関システムおよびこれを備えた船舶ならびに内燃機関システムの制御方法

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