JP2001164029A - 多孔質膜およびその製造方法 - Google Patents

多孔質膜およびその製造方法

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JP2001164029A
JP2001164029A JP35231199A JP35231199A JP2001164029A JP 2001164029 A JP2001164029 A JP 2001164029A JP 35231199 A JP35231199 A JP 35231199A JP 35231199 A JP35231199 A JP 35231199A JP 2001164029 A JP2001164029 A JP 2001164029A
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anisotropic
membrane
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Ken Takebe
建 建部
Katsuyuki Oba
克行 大場
Hiroshi Ikeda
浩 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血液などの検体の展開に要する時間を飛躍的に
短縮することができ、かつ非常に測定精度が高い、血糖
などの検体中の特定成分を測定する試験紙に使用する多
孔質膜を提供する。 【解決手段】膜成分となる非水溶性第1成分ポリマーと
被抽出成分である水溶性第2成分を含み、第1成分ポリ
マーの濃度が8〜11wt%の製膜原液を湿式製膜する
ことによって得られる異方性の多孔質膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えば血糖値の測
定のような、検体中の目的成分の量を測定する多孔質
膜、その製造方法、及びその多孔質膜を用いた試験紙に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】血糖値の測定を行う血糖測定装置(血中
成分測定装置)が知られている。この血糖測定装置は、
血中のブドウ糖量に応じて呈色する試験紙の呈色の度合
いを光学的に測定(測色)して血糖値を定量化するもの
である。このような従来の血糖測定装置では、試験紙の
測色は、発光素子および受光素子を備える測光部におい
て、試験紙に光を照射しその反射光の強度を測定するこ
とにより行われている。この血糖測定装置では、試験紙
に血液(検体)を供給・展開する操作を行った後、その
試験紙を遮光状態が確保される空間へ挿入し、血糖値の
測定を開始するが、操作性が劣るという欠点があるとと
もに、試験紙への血液の供給から測色までの時間が一定
でなく、それによる測定誤差が生じるという問題があ
る。そのため、試験紙への供給・展開から測定までの一
連の操作を連続的、自動的に行うことが出来る血糖自動
測定装置の開発が望まれている。
【0003】また、従来の試験紙は、検体を吸収可能な
多孔質材料で構成された1枚のシート基材に試薬を担持
させた構成のものである。この試験紙では、シート基材
の細孔の孔径が0.5μm程度と小さいため、通水性、
すなわち展延性が低く、そのため検体の展開に時間がか
かるという問題がある。このように検体の展開に要する
時間が長いということは、とくに、前記血糖自動測定装
置にとって不利である。
【0004】また、このような問題点を解決する手段と
して、(1)検体中の特定成分と反応して呈色する試薬
を担持する多孔質の第1の層と、検体中の濾別物を濾別
する機能を有する多孔質の第2の層とを積層してなり、
前記第1の層側から検体を供給して使用することを特徴
とする試験紙、(2)前記第1の層および前記第2の層
がそれぞれ親水性を有している上記(1)に記載の試験
紙、(3)前記第1の層における細孔の孔径が8〜50
μmである上記(1)または(2)に記載の試験紙、
(4)前記第2の層における細孔の孔径が5μm 以下
である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の試験
紙、及び(5)前記検体は血液であり、前記濾別物は主
に赤血球を含む血球である上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載の試験紙が、特開平11−183474号
で示されている。
【0005】以上のような第1の層と第2の層に分かれ
た試験紙を使用することで、前述の問題が解決されると
いう。しかしながらこのような試験紙を用いた場合に
も、以下のような問題点がある。第1層目の多孔質膜
は、血球をも透過させ得る大きさの孔を持つことで血液
(検体)を迅速に膜内に展開させ、膜内の多孔質構造表
面に担持してある試薬と測定成分とを反応させて呈色さ
せることが要求される。したがって、孔径を大きくする
ことでより早い血液の展開が得られるため、孔径を大き
くすればする程良いと考えられる。ところが孔径を大き
くしすぎると、多孔質体の表面積が少なくなり、表面に
担持される試薬の量が少なくなってしまい、特に検体中
の被測定物質の濃度が濃い場合、被測定物質の量に比べ
て試薬の量が不足してしまい、正確な測定が出来なくな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、検体
の展開に要する時間を飛躍的に短縮することができ、か
つ非常に測定精度が高い、検体中の特定成分測定用試験
紙、それに用いる多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、以下
の本発明により達成される。 (1)本発明は、平均孔径が3〜10μm、膜厚が50
〜200μm及び空孔率が50〜95%の多孔質膜であ
り、一方の表面の平均孔径と他方の表面の平均孔径の比
が2.0以上である異方性の多孔質膜である。 (2)本発明は、検体中の特定成分と反応して呈色する
試薬を担持する上記(1)に記載の異方性の多孔質膜で
ある。
【0008】(3)本発明は、膜成分となる非水溶性第
1成分ポリマーと被抽出成分である水溶性第2成分を含
み、第1成分ポリマーの濃度が8〜11wt%の製膜原
液を湿式製膜することによって得られる異方性の多孔質
膜である。 (4)本発明は、平均孔径が3〜10μm、膜厚が50
〜200μm及び空孔率が50〜95%であり、一方の
表面の平均孔径と他方の表面の平均孔径の比が2.0以
上である上記(3)に記載の異方性の多孔質膜である。
【0009】(5)本発明は、検体中の特定成分と反応
して呈色する試薬を担持する上記(3)乃至(4)に記
載の異方性の多孔質膜である。 (6)本発明は、前記製膜原液の前記第1成分ポリマー
と前記第2成分との仕込み比が3:1〜1.5:1であ
る上記(3)乃至(5)に記載の異方性の多孔質膜であ
る。
【0010】(7)本発明は、60〜80w/w%の前記
製膜原液の溶媒を含む水系凝固浴を行い湿式製膜するこ
とによって得られる上記(3)乃至(6)に記載の異方
性の多孔質膜である。 (8)本発明は、前記第1成分ポリマーがポリエーテル
スルホンである上記(3)乃至(7)に記載の異方性の
多孔質膜である。
【0011】(9)本発明は、前記第2成分がポリビニ
ルピロリドンである上記(3)乃至(7)に記載の異方
性の多孔質膜である。 (10)本発明は、上記(1)乃至(9)に記載の多孔
質膜の平均孔径の小さい面に、他の多孔質膜を積層する
ことによって得られる試験紙である。
【0012】(11)本発明は、膜成分となる非水溶性
第1成分ポリマーと被抽出成分である水溶性第2成分を
含み、第1成分ポリマーの濃度が8〜11wt%の製膜
原液を用いて湿式製膜することを特徴とする異方性の多
孔質膜の製造方法である。。 (12)本発明は、前記第1成分ポリマーと前記第2成
分との仕込み比が3:1〜1.5:1の製膜原液を用い
ることを特徴とする上記(11)に記載の異方性の多孔
質膜の製造方法である。
【0013】(13)本発明は、60〜80w/w%の前
記製膜原液の溶媒を含む水系凝固浴を行い湿式製膜する
ことを特徴とする上記(11)乃至(12)に記載の異
方性の多孔質膜の製造方法である。 (14)本発明は、前記第1成分ポリマーがポリエーテ
ルスルホンであることを特徴とするを特徴とする上記
(11)乃至(13)に記載の異方性の多孔質膜の製造
方法である。 (15)本発明は、前記第2成分がポリビニルピロリド
ンであることを特徴とする上記(11)乃至(14)に
記載の異方性の多孔質膜の製造方法である。
【0014】上述した検体中の特定成分と反応する試薬
としては、グルコースオキシターゼ(GOD)様酵素、
ペルオキシターゼ(POD)様酵素、アスコルビン酸オ
キシダーゼ様酵素、アルコールオキシダーゼ様酵素、及
びコレステロールオキシダーゼ様酵素などの酵素剤、及
び4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒ
ドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンなど
の発色剤があげられ、これらの単数あるいは複数を使用
することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の異方性の多孔質膜は、一
方の表面の平均孔径が他方の表面の平均孔径よりも大き
いものであり、検体の浸み込み及び一方の表面から他方
の表面への展開を早くし、必要量の試薬を担持し、かつ
検体と試薬が反応する場を提供することが必要とされ
る。検体の浸み込みを早くするためには、検体が供給さ
れる一方の面の孔径を大きくすることで解決できる。し
かし、膜全体にわたって孔径を大きくすると、検体が接
触する表面積が小さくなり、試薬担持量が少なくなって
しまう。そこで、検体を供給する側の孔径を大きくし、
他方の孔径を小さくする異方性構造とすることで、検体
の浸み込み及び展開を早くし、必要量の試薬を担持し、
かつ検体と試薬が反応する場を提供することができるた
め、迅速かつ正確な測定が可能となる。
【0016】本発明の異方性の多孔質膜の具体的な構造
として、平均孔径は3〜10μm、望ましくは3〜7μ
m、より望ましくは3〜5μmであり、検体が供給され
る一方の表面の平均孔径と他方の表面の平均孔径との比
は2.0以上、望ましくは3.0以上、より望ましくは
4.0以上である。
【0017】本発明の異方性の多孔質膜の膜厚は、特に
限定しないが50〜200μm、望ましくは70〜18
0μm、より望ましくは80〜150μmである。膜厚
が50μmを下回ると、膜強度が不足してしまい、20
0μmを越えてしまうと検体の展開に時間がかかってし
まうためである。
【0018】本発明の異方性の多孔質膜の空孔率は、特
に限定しないが50〜95%、望ましくは60〜90
%、より望ましくは70〜88%である。空孔率が50
%を下回ると必要な量の検体を吸収展開することが出来
なくなり、95%を越えると膜強度が不足してしまうた
めである。
【0019】本発明の異方性の多孔質膜の膜材質となる
ポリマーとしては、ニトロセルロース、ポリビニルジフ
ロライド、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエチレンなどが使用できるが、
とりわけ血糖値を測定するために使用する試薬を担持し
た場合には、ポリエーテルスルホンが試薬活性の経時的
劣化が最も少なく好適に使用できる。
【0020】本発明の異方性の多孔質膜に担持される試
薬としては、グルコースオキシターゼ(GOD)様酵
素、ペルオキシターゼ(POD)様酵素、アスコルビン
酸オキシダーゼ様酵素、アルコールオキシダーゼ様酵
素、及びコレステロールオキシダーゼ様酵素など酵素剤
や、4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−
ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンな
どの発色剤があげられる。なお、これらの試薬は、単独
または複数で試験紙に担持される。担持の方法として
は、特に限定しないが、これらの試薬をリン酸緩衝液な
どの緩衝液や水などに溶かして異方性の多孔質膜に含浸
させ、その後乾燥させる方法などがあげられる。
【0021】本発明の異方性の多孔質膜の製造方法とし
ては、湿式製膜が望ましい方法である。多孔質膜の製造
方法としては、他にも溶融製膜、乾式製膜なども知られ
ているが、一方の表面の孔径が反対側の表面の孔径と異
なる異方性膜を製造するには湿式製膜が望ましい方法で
ある。本発明の製造方法は、製膜原液を膜状に広げ水系
凝固浴を行い乾燥させることによって行われる。
【0022】製膜原液を膜状に広げる工程は、ガラスな
どの基材の表面に製膜原液を押し広げあるいは塗り広げ
ることなどにより行われる。この方法は、最終的に得ら
れる多孔質膜の異方性を高め、多孔質膜の一方の表面
(空気に接する面)の孔径と他方の表面(基材に接する
面)の孔径の比を2.0以上に保つのに有効である。
【0023】本発明に用いる製膜原液は、膜成分となる
非水溶性第1成分ポリマーと被抽出成分である水溶性第
2成分を含み、第1成分ポリマーの濃度が8〜11wt
%のものが望ましい。本発明の多孔質膜は、平均孔径が
3〜10μmと、この種の膜としては非常に大きな孔径
に分類されるものである。そのため第1成分ポリマー濃
度が11wt%を越えてしまっては孔径が小さくなって
しまい、8wt%を下回ったのでは膜が弱すぎてその構
造を維持できなくなってしまう。また、第1成分ポリマ
ーのみの単一のポリマー溶液から製造した場合、そのポ
リマーの凝集力により緻密な構造となってしまうが、被
抽出成分である水溶性第2成分を製膜原液に添加するこ
とで、ポリマーの凝集を抑制し、また該成分を抽出除去
したあとの空間に孔が形成され空孔率を向上させること
が出来る。
【0024】第1成分ポリマーとしては、ニトロセルロ
ース、ポリフッ化ビニリデン、セルロースアセテート、
ポリスルホン、ポリエチレンなどが使用できるが、最終
的に得られる多孔質膜がとりわけ血糖値を測定するため
に使用する試薬を担持する場合には、ポリエーテルスル
ホンが試薬の経時劣化が最も少なく好適に使用できる。
被抽出成分である水溶性第2成分としては、第1成分ポ
リマーと完全に溶解せず、溶媒には溶解し、凝固後に容
易に抽出除去できるポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、
ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなど
があげられる。特にポリビニルピロリドンはニトロセル
ロース、ポリビニルジフロライド、セルロースアセテー
ト、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホ
ンなどとは溶解せず、これらのポリマーを溶かす極性溶
媒に溶解し、凝固後には水により抽出除去できるといっ
た特性を持つため望ましい。さらに、ポリビニルピロリ
ドンは抽出後も微量であるが最終的に得られる多孔質膜
に残存し、その水親和性から多孔質膜の親水性を確保す
る効果も有する。
【0025】第1成分ポリマーと水溶性第2成分の溶解
を目的とする製膜原液の溶媒としては、具体的には、N
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの有機
極性溶媒などがあげられるが、特に望ましいのはN−メ
チル−2−ピロリドンである。
【0026】製膜原液の第1成分ポリマーと被抽出成分
である水溶性第2成分との仕込み比は、3:1〜1.
5:1であることが望ましい。第1成分ポリマーが多す
ぎると第2成分の被抽出成分の添加効果が得られずに、
内部に大きな空孔が形成され、安定した多孔質構造が得
られなくなるためであり、第2成分の被抽出成分が多す
ぎると緻密な構造となるためである。
【0027】水系凝固浴は、60〜80w/w%、望まし
くは65〜75w/w%の上記製膜原液の溶媒を含む水系
凝固浴で、温度が20〜60℃、望ましくは25〜50
℃、時間が0.5〜20分間、望ましくは1〜10分間
の条件で行うことが望ましい。凝固浴を100%非溶媒
で行うと、膜状に広げられた製膜原液がその表面におい
て急速に凝固するため緻密なスキン層と呼ばれる層が形
成されてしまい、当初の目的の多孔質構造が得られな
い。そのため、60〜80w/w%の上記製膜原液の溶媒
を含む水系凝固浴を行うことで、緩慢な凝固が実現し、
表面にも多孔質構造が形成される。凝固浴中の製膜原液
の溶媒の濃度が60w/w%を下回ると上述した製膜原液
の溶媒の添加効果が得られず、80w/w%を越えると凝
固能が不足してしまう。
【0028】温度が20℃を下回ると第1成分ポリマー
の析出速度が速すぎて緻密な膜になってしまう。温度が
60℃を上回ると第1成分ポリマーの析出速度が遅すぎ
て膜が形成されない。また、時間が0.5分より短いと
第1成分ポリマーが全て析出しないため膜が形成され
ず、時間が20分より長いと膜構造は変化せず生産効率
が低下してしまう。
【0029】乾燥工程は、特に限定されず、例えば自然
乾燥や電気オーブンなどで、温度が25〜100℃、望
ましくは30〜80℃、時間が1〜24時間、望ましく
は4〜18時間の条件で行う方法などがあげられる。
【0030】本発明の異方性の多孔質膜は、試薬を溶解
した水溶液を含浸させて製造することや、検体の供給、
展開を迅速に行うため、親水化剤を含ませる、親水性を
有する材質から構成する、あるいは親水化処理を行うこ
とが望ましい。親水化剤としては、トライトンX−10
0などの界面活性剤、水溶性シリコン、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコールなどがあげられる。親水化処理として
は、プラズマ処理、グロー放電、コロナ放電、紫外線照
射などの処理方法があげられる。
【0031】本発明の異方性の多孔質膜は単独での使用
も可能だが、本多孔質膜の平均孔径の小さい面に、他の
多孔質膜を積層することによって得られる試験紙として
使用することが望ましい。なお、積層方法は特に限定す
ることなく、例えば、単に重ね合わせ周囲を固定する方
法、接着・融着する方法などがあげられる。他の多孔質
膜としては、検体中の浮遊物、具体的には赤血球等を十
分に濾別・除去するものがあげられ、異方性であるか否
かは特に限定されない。
【0032】なお、本発明の試験紙は、検体中の特定成
分の測定装置に脱着可能なチップ、あるいは測定装置自
体に挿入して使用させるものである。測定装置とは、血
液中の糖分、コレステロールや中性脂肪などや、尿中の
糖分、蛋白や潜血などを、定量的あるいは定性的に測定
する装置があげられる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。各実施例及び比較例の多孔質膜を、以下に示す条件
で製膜した。まず、表1に示す製膜原液を基材(ガラス
板)上に50mlシリンジにて線状に供給し、これをギ
ャップ125μmのアプリケーターによりガラス板上に
塗り拡げた。これを、表1に示す溶媒濃度で調製された
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)水溶液からなる
凝固浴中に浸漬し、第1成分ポリマーを析出させた。凝
固浴の温度は35℃とした。その後、水浴中で溶剤成
分、水溶性第2成分を抽出除去した後、40℃オーブン
中で乾燥させて試験紙を得た。第1成分ポリマーとして
ポリエーテルスルホン(スミカエクセル7300P、住
友化学(株)製)を、第2成分としてポリビニルピロリド
ン(BASFポビドンK−90、BASF製)を、溶媒
としてN−メチル−2−ピロリドン(BASF製)を用
いた。
【0034】表2に製膜された各膜の平均孔径を示す。
各例の膜の平均孔径はASTM F316−86に従い
キャピラリィ フロー ポロメトリィ(Capillary Flow P
orometry)によって測定した。測定装置はパームポロシ
メーター(PMI社製)を使用した。各例の膜の表面平
均孔径は走査型電子顕微鏡(JSM−840日本電子
製)で撮影した画像を画像解析装置(IP−1000P
C 旭化成製)により解析し、視野内の孔の孔径を面積
換算で円相当径として算出し、相加平均を表面平均孔径
とした。したがって、膜の平均孔径と、表面平均孔径は
必ずしも相関関係が成り立つわけではない。膜厚はマイ
クロメーター(ミツトヨ精機製)にて測定した。空孔率
は重量法にて測定した。多孔質膜の条件は、次の通りで
ある。
【0035】材質:ポリエーテルスルホン コートした試薬:GOD、PODおよび4−アミノアン
チピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、トライ
トンX−100
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】(試験例1)上記の各実施例および比較例
の多孔質膜を用い、次の実験を行った。評価する膜を反
射吸光度が測定できるように分光光度計(UV−240
0(PC)S 島津製作所社製)のサンプルホルダーに
固定し、ヒト血液を入り口側の面へマイクロピペット
(エッペンドルフ社製)で5μl添加し、反対面の反射
吸光度の時間変化を測定した。なお、血液の添加は孔径
の大きい面と小さい面の二通りについて行った。1秒間
の反射率の変化割合が、1%を超えた時から、1秒間の
反射率の変化割合が1%を下回ったときまでの時間をし
み出し時間Δtとした。結果を表3に示す。
【0039】測定条件 時間変化 測光値:反射率 波長:610nm スリット幅:2.0nm タイミングモード:オート 測定時間:90秒 サンプリングピッチ:0.1sec セル数:1 データ数:901
【0040】(試験例2)上記の各実施例および比較例
の多孔質膜について、下記の通り試薬担持量の測定を行
った。評価する膜の試薬コート前の重量を精秤し、試薬
コート後の重量から差し引くことで、試薬担持量を算出
した。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明の多孔質膜は、検体の展開速度が
速く、展開に要する時間を短くすることができるととも
に、測色に際し、十分な試薬担持量が確保でき、より高
精度の測定を行うことができる。本発明の多孔質膜は、
他の多孔質膜と積層することにより、検体の展開に要す
る時間を飛躍的に短縮することができ、かつ非常に測定
精度が高い、検体中の特定成分測定用試験紙を提供する
ことができる。
【0043】特に、本発明の多孔質膜は、血液中の糖分
を測定する血糖試験紙に有効に用いられることにより、
血液の展開速度が速く、展開に要する時間を短くするこ
とができるとともに、血糖値の測色に際し、十分な酵素
剤や発色剤などの試薬担持量が確保でき、より高精度の
測定を行うことができる。
【0044】本発明の多孔質膜の製造方法は、検体の展
開速度が速く、展開に要する時間を短くすることができ
るとともに、測色に際し、十分な試薬担持量が確保で
き、より高精度の測定を行うことができる多孔質膜の製
造方法することができる。本発明の製造方法により得ら
れた多孔質膜は、他の多孔質膜と積層することにより、
検体の展開に要する時間を飛躍的に短縮することがで
き、かつ非常に測定精度が高い、検体中の特定成分測定
用試験紙を提供することができる。
【0045】特に、本発明の製造方法により得られた多
孔質膜は、血液中の糖分を測定する血糖試験紙に有効に
用いられることにより、血液の展開速度が速く、展開に
要する時間を短くすることができるとともに、血糖値の
測色に際し、十分な酵素剤や発色剤などの試薬担持量が
確保でき、より高精度の測定を行うことができる。
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Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均孔径が3〜10μm、膜厚が50〜2
    00μm及び空孔率が50〜95%の多孔質膜であり、
    一方の表面の平均孔径と他方の表面の平均孔径の比が
    2.0以上である異方性の多孔質膜。
  2. 【請求項2】膜成分となる非水溶性第1成分ポリマーと
    被抽出成分である水溶性第2成分を含み、第1成分ポリ
    マーの濃度が8〜11wt%の製膜原液を湿式製膜する
    ことによって得られる異方性の多孔質膜。
  3. 【請求項3】平均孔径が3〜10μm、膜厚が50〜2
    00μm及び空孔率が50〜95%であり、一方の表面
    の平均孔径と他方の表面の平均孔径の比が2.0以上で
    ある請求項2に記載の異方性の多孔質膜。
  4. 【請求項4】前記製膜原液の前記第1成分ポリマーと前
    記第2成分との仕込み比が3:1〜1.5:1である請
    求項2乃至3に記載の異方性の多孔質膜。
  5. 【請求項5】60〜80w/w%の前記製膜原液の溶媒を
    含む水系凝固浴を行い湿式製膜することによって得られ
    る請求項2乃至4に記載の異方性の多孔質膜。
  6. 【請求項6】前記第1成分ポリマーがポリエーテルスル
    ホンである請求項2乃至5に記載の異方性の多孔質膜。
  7. 【請求項7】前記第2成分がポリビニルピロリドンであ
    る請求項2乃至5に記載の異方性の多孔質膜。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7に記載の多孔質膜の平均孔
    径の小さい面に、他の多孔質膜を積層することによって
    得られる試験紙。
  9. 【請求項9】膜成分となる非水溶性第1成分ポリマーと
    被抽出成分である水溶性第2成分を含み、第1成分ポリ
    マーの濃度が8〜11wt%の製膜原液を用いて湿式製
    膜することを特徴とする異方性の多孔質膜の製造方法。
  10. 【請求項10】前記第1成分ポリマーと前記第2成分と
    の仕込み比が3:1〜1.5:1の製膜原液を用いるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の異方性の多孔質膜の製
    造方法。
  11. 【請求項11】60〜80w/w%の前記製膜原液の溶媒
    を含む水系凝固浴を行い湿式製膜することを特徴とする
    請求項9乃至10に記載の異方性の多孔質膜の製造方
    法。
  12. 【請求項12】前記第1成分ポリマーがポリエーテルス
    ルホンであることを特徴とするを特徴とする請求項9乃
    至11に記載の異方性の多孔質膜の製造方法。
  13. 【請求項13】前記第2成分がポリビニルピロリドンで
    あることを特徴とする請求項9乃至11に記載の異方性
    の多孔質膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013203814A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Terumo Corp 多孔質膜の製造方法

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