JP2001163941A - 新規ポリカルボキシレートとその用途 - Google Patents

新規ポリカルボキシレートとその用途

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JP2001163941A
JP2001163941A JP34654699A JP34654699A JP2001163941A JP 2001163941 A JP2001163941 A JP 2001163941A JP 34654699 A JP34654699 A JP 34654699A JP 34654699 A JP34654699 A JP 34654699A JP 2001163941 A JP2001163941 A JP 2001163941A
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polycarboxylate
polymer
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biodegradability
test
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JP34654699A
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Takuya Saeki
卓哉 佐伯
Akihiko Kanzaki
明彦 神崎
Junichi Nakamura
潤一 中村
Giichi Fujii
義一 藤井
Shigeru Yamaguchi
繁 山口
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い生分解性と金属イオン捕捉能を有し、且
つ、従来不十分であった耐熱性を高いレベルに引き上げ
た、新規なポリカルボキシレートを提供する。 【解決手段】 本発明に係るポリカルボキシレートは、
ポリグリオキシル酸構造単位を有するポリカルボキシレ
ートにおいて、重合体末端がプロピレンオキシドおよび
/またはエピクロルヒドリンで安定化され、且つ、その
プロピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリン
の付加モル数が5未満であることを特徴とし、あるい
は、生分解性が60%以上、耐熱性が185℃以上、カ
ルシウムイオン捕捉能が200以上であることを特徴と
する。さらに、本発明に係る洗剤ビルダー、水処理剤
は、本発明のポリカルボキシレートを含むことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリカルボ
キシレートに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカルボキシレートは、分子内に多数
のカルボキシレート基を有しているので、水中に存在す
るカルシウムイオンやマグネシウムイオンを捕捉する作
用(キレート作用、分散作用)に優れており、かつ、河
川等の環境汚染の原因となるリンを含んでいないので、
従来より、洗剤用ビルダーとして好適に用いられてい
る。
【0003】また、上記ポリカルボキシレートの重合体
骨格中にアセタール構造単位が含まれているポリアセタ
ールカルボキシレートは、そのアセタール構造単位の存
在により、生分解性を有する洗剤ビルダーに好適な重合
体とされている(米国特許第4144226号等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
生分解性を有するポリカルボキシレートは、その生分解
性と金属イオン捕捉能については実用レベルを発現する
ものもあるが、一方で、耐熱性については十分なレベル
にはなく、例えば、高温下での種々の処理を行った場合
に、重合体の骨格が切断される等の分解が起こり、生分
解性と金属イオン捕捉能の性能も低下してしまうという
欠点があった。特に、粉末状として生産する際には、高
温での粉末乾燥工程に耐えられないことがある。
【0005】したがって本発明が解決しようとする課題
は、高い生分解性と金属イオン捕捉能を有し、且つ、従
来不十分であった耐熱性を高いレベルに引き上げた、新
規なポリカルボキシレートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討した。その結果、ポリグリオキシル酸
骨格を有するポリカルボキシレートにおいて、重合体末
端を、特定量の特定アルキレンオキシド類で安定化すれ
ば、耐熱性を高めることができ、しかも、生分解性とカ
ルシウムイオン捕捉能も従来の実用レベルと同等以上を
発揮できることを見出した。本発明はこのようにして完
成された。
【0007】すなわち本発明に係るポリカルボキシレー
トは、生分解性が60%以上、耐熱性が185℃以上、
カルシウムイオン捕捉能が200以上であることを特徴
とする。また、本発明に係るポリカルボキシレートは、
下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリカル
ボキシレートにおいて、重合体末端がプロピレンオキシ
ドおよび/またはエピクロルヒドリンで安定化され、且
つ、そのプロピレンオキシドおよび/またはエピクロル
ヒドリンの付加モル数が5未満であることを特徴とす
る。
【0008】
【化3】
【0009】さらに、本発明に係る洗剤ビルダー、水処
理剤は、本発明のポリカルボキシレートを含むことを特
徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 (重合体)本発明に係るポリカルボキシレートは、生分
解性が60%以上、耐熱性が185℃以上、カルシウム
イオン捕捉能が200以上であることを特徴とする。
【0011】前記3種類の性能を有するポリカルボキシ
レートとは、分子内にカルボキシレート基を有する重合
体であれば特に限定されず、また、ホモ重合体、ブロッ
ク共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体等の重合
体骨格構造も限定されない。ただし、生分解性、耐熱
性、カルシウムイオン捕捉能が上記の条件を全て満たす
ことが必要であるので、好ましくは、下記一般式(1)
で示されるポリグリオキシル酸構造単位を有する重合体
であることが好ましい。当該ポリグリオキシル酸構造単
位の有するアセタール構造によって本発明に係る生分解
性が十分に発揮できるからである。
【0012】
【化4】
【0013】一般式(1)中、Mは、水素原子、炭素数
1〜4のアルキル基、1〜3価の金属原子、アンモニウ
ム基(NH4 )、及び、有機アミン基から選ばれる1種
または2種以上である。前記炭素数1〜4のアルキル基
の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げ
ることができる。これらのアルキル基は1種または2種
以上を使用してもよい。
【0014】前記1〜3価の金属原子の具体例として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウ
ム、鉄等を挙げることができる。これらの金属原子は1
種または2種以上を使用してもよい。前記有機アミン基
とは、窒素原子に結合する基の少なくとも1種が有機基
であり、カルボキシル基との塩を形成できる構造の基で
あれば特に限定されない。このような有機アミン類の具
体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、i
so−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブ
チルアミン、tert−ブチルアミン、アリルアミン、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等
の炭素数1〜4のアルキルアミン;ドデシルアミン、オ
クタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルア
ミン、アニリン、ジプロピルアミン、ジシクロヘキシル
アミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等のその他ア
ミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げる
ことができる。これらの有機アミン類は1種または2種
以上を使用してもよい。
【0015】Mは、水素原子;ナトリウム、カリウム、
マグネシウム、カルシウム、等の金属原子;アンモニウ
ム基;アルカノールアミン、炭素数1〜4のアルキルア
ミン等の有機アミン類から由来する有機アミン基より選
ばれる少なくとも1種が好ましい。Mが炭素数1〜4の
アルキル基であると、一般式(1)で示されるポリグリ
オキシレート構造単位中にある官能基(−COOM)は
エステル基となる。それに対して、Mが1〜3価の金属
原子、アンモニウム基および有機アミン基から選ばれる
1種であると、ポリグリオキシレート構造単位中にある
官能基(−COOM)はカルボン酸塩からなる基とな
り、静電作用によって正電荷を帯びた物質との間で親和
力が生じ、キレート能力およびスケール防止性能が高く
なるため好ましい。なお、上記エステル基からカルボン
酸塩からなる基への変換は後述の方法で容易にすること
ができる。
【0016】本発明に係る前記3種類の性能を有するポ
リカルボキシレート中の、一般式(1)で示される構造
単位の含有率は、好ましくは20〜100重量%、より
好ましくは30〜100重量%である。前記3種類の性
能を有するポリカルボキシレート中に、前記一般式
(1)で示される構造単位以外の構造単位が含まれてい
る場合、その構造については特に限定されないが、例え
ば、ポリグリオキシレート構造と類似の構造であるケタ
ール結合を有するポリカルボキシレートなどが挙げられ
る。
【0017】前記3種類の性能を有するポリカルボキシ
レート中に、前記一般式(1)で示される構造単位が含
まれている場合は、重合体末端が、下記一般式(2)で
示されるオキシラン化合物で安定化されていることが好
ましい。オキシラン化合物中のR’は、アルキル基、ア
ルケニル基、アルキルフェニル基、フェニル基、およ
び、ベンジル基から選ばれる1種である。特に、このオ
キシラン化合物として、プロピレンオキシドおよび/ま
たはエピクロルヒドリンで安定化されていることが好ま
しい。前記一般式(1)で示される構造単位が含まれて
いるポリカルボキシレートは、主鎖にアセタール構造を
有しているので、末端部が不安定である。このため、当
該末端部を安定化させることが必要となり、従来は、ア
ルキルビニルエーテルあるいはエチレンオキシドを末端
付加させていたが、本発明に係る前記3種類の性能を有
するポリカルボキシレートにおいては、末端部を、プロ
ピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリンで安
定化させることが好ましい態様である。プロピレンオキ
シドおよび/またはエピクロルヒドリンを用いることに
より、本発明に係る前記3種類の性能が全て高いレベル
で発揮され、特に耐熱性においては従来に比較して優れ
たレベルを実現できる。
【0018】
【化5】
【0019】また、前記3種類の性能を有するポリカル
ボキシレートの重量平均分子量は、500〜50000
0であることが好ましい範囲であり、より好ましくは、
1000〜200000、最も好ましくは、2000〜
100000である。重量平均分子量が500よりも低
いと、カルシウムイオン捕捉能が低く、かつ、クレイや
顔料等の分散性が低下するために好ましくなく、500
000よりも大きいと、分子量が低い場合と同様に、ク
レイや顔料等の分散性が低下するために好ましくない。
【0020】前記本発明のポリカルボキシレートは、生
分解性が60%以上である。60%より低い生分解性を
有する場合には、生分解させる条件(土壌、温度、湿度
等)によっては、分解が十分でないことがあり、好まし
くない。60%以上の生分解性を有することにより、前
記本発明のポリカルボキシレートは、分解条件に左右さ
れないで生分解性を発現でき、例えば、使用環境によら
ずに十分な生分解性を発揮できる洗剤用途等に好適とな
る。より好ましくは62%以上、さらにより好ましくは
64%以上、最も好ましくは65%以上である。
【0021】前記本発明のポリカルボキシレートは、耐
熱性が185℃以上である。好ましくは190℃以上、
より好ましくは195℃以上、さらにより好ましくは2
00℃以上、最も好ましくは203℃以上である。耐熱
性が185℃よりも低いと、当該重合体の製造過程にお
ける高温処理工程で分解等が起こりやすくなり、結果と
して、生分解性やカルシウムイオン捕捉能等の性能の低
下へとつながる。特に、当該重合体を粉末状態で得る場
合は、高温での乾燥工程が必要であり、185℃以上の
十分な耐熱性が要求される。ここで、本発明にいう耐熱
性とは、ポリカルボキシレート自身の耐熱性の温度であ
り、得られたポリカルボキシレートに含まれる他と物質
の分解は含まない。なお、耐熱性が185℃以上におい
て、他の不純物の分解を防ぐために、精製を行うことは
好ましい態様の一つである。
【0022】前記本発明のポリカルボキシレートは、カ
ルシウムイオン捕捉能が200以上であり、好ましくは
250以上、より好ましくは270以上、さらにより好
ましくは300以上、特に好ましくは340以上、最も
好ましくは360以上である。カルシウムイオン捕捉能
が200より低いと、十分な捕捉効果が得られず、特に
洗剤や水処理等を用途とする場合に問題がある。
【0023】本発明の前記ポリカルボキシレートは、以
上に述べた3種の条件、すなわち、(1)生分解性が6
0%以上、(2)耐熱性が185℃以上、(3)カルシ
ウムイオン捕捉能が200以上、の3種の条件を同時に
全て満たすという特徴を有しているので、従来の、生分
解性と耐熱性は満足していたが、カルシウムイオン捕捉
能が不十分であった重合体や、生分解性とカルシウムイ
オン捕捉能は満足していたが、耐熱性が不十分であった
重合体や、耐熱性とカルシウムイオン捕捉能は満足して
いたが、生分解性が不十分であった重合体の持つ欠点を
カバーすることができる、新規なポリカルボキシレート
である。
【0024】本発明のポリカルボキシレートは、前記の
3種類の性能を有する重合体であるが、また、別の視点
から本発明の技術的思想を捉えると、本発明に係る別の
ポリカルボキシレートは、前記一般式(1)で示される
構造単位を有するポリカルボキシレートにおいて、重合
体末端がプロピレンオキシドおよび/またはエピクロル
ヒドリンで安定化され、且つ、そのプロピレンオキシド
および/またはエピクロルヒドリンの付加モル数が5未
満であることを特徴としてもよく、この特徴を有すれ
ば、本発明に係る前記3種類の性能を好ましくは発揮し
得る。
【0025】前記本発明に係る別のポリカルボキシレー
トは、前記一般式(1)で示される構造単位を有し、且
つ、重合体末端がプロピレンオキシドおよび/またはエ
ピクロルヒドリンで安定化されているが、これは、3種
の条件を有する本発明のポリカルボキシレートにおける
好ましい形態として先に説明をしたものと同様の理由に
よる。
【0026】前記本発明に係る別のポリカルボキシレー
トは、安定化のために付加されたプロピレンオキシドお
よび/またはエピクロルヒドリンの付加モル数が5未満
であることを特徴とする。当該付加モル数が5以上の場
合は、付加したプロピレンオキシドおよび/またはエピ
クロルヒドリン部分が生分解しにくくなり、ひいては重
合体全体の生分解性が低下してしまうので好ましくな
い。また、当該付加モル数が5以上の場合、カルシウム
イオン捕捉能も低下してしまうので、好ましくない。当
該付加モル数が5未満であれば、生分解性が十分に発揮
でき、カルシウムイオン捕捉能の低下も抑制しつつ、且
つ、重合体の安定化効果も十分に発揮できる。このプロ
ピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリンの付
加モル数は、好ましくは、1〜4であり、より好ましく
は、1〜3である。
【0027】また、前記本発明に係る別のポリカルボキ
シレートの重量平均分子量は、500〜500000で
あることが好ましい範囲であり、より好ましくは、10
00〜200000、最も好ましくは、2000〜10
0000である。重量平均分子量が500よりも低い
と、カルシウムイオン捕捉能が低く、クレイや顔料の分
散性が低下するために好ましくなく、500000より
も大きいと、分子量が低い場合と同様、クレイや顔料の
分散性が低下するために好ましくない。
【0028】本発明に係るポリカルボキシレートを製造
するための方法は特に限定されないが、例えば、好まし
い重合体の態様の一つである、一般式(1)で表される
グリオキシル酸系単量体単位を有し、重合体末端がプロ
ピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリンで安
定化された重合体の場合は、下記一般式(3)で示され
るグリオキシル酸系単量体に、必要に応じて、他の単量
体を配合し、触媒の存在下で重合反応させ、さらに、プ
ロピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリンを
付加反応させて製造することが一般的である。また、本
発明で列記した触媒の存在下でグリオキシル酸単量体と
重合しうるような単量体であれば、特に限定なく用いる
ことができる。
【0029】
【化6】
【0030】グリオキシル酸系単量体は一般式(3)で
示されるグリオキシル酸アルキルエステルであり、Rは
炭素数1〜4のアルキル基である。Rとして用いられる
炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、
n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基等を挙げることができる。これらの
アルキル基は1種または2種以上を使用するものでもよ
い。特に、反応性の高いメチル基が好ましい。
【0031】重合体の製造は触媒存在下で行われること
が一般的である。触媒としては特に限定はないが、具体
例としては、カチオン重合触媒およびアニオン重合触媒
から選ばれる1種を挙げることができる。カチオン重合
触媒の具体例としては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテ
ラート(BF3 ・Et2 O)、トリフルオロ酢酸、塩
酸、硫酸、リン酸、5酸化リン等を挙げることができ
る。
【0032】アニオン重合触媒の具体例としては、ジエ
チル亜鉛、n−ブチルリチウム等の有機金属化合物;水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム等のアルカリ(土類)金属化合物;
ピリジン、2−ヒドロキシピリジン−H2 O錯体、トリ
エチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等のア
ミン;ソジオメチルマロネートエステル;ナトリウムメ
トキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコ
キシド等を挙げることができる。
【0033】本発明に係る重合体の製造には、一般にア
ニオン重合触媒を用いたほうが、重合体の数平均分子量
の制御が容易であり好ましい。触媒の使用量については
特に限定はなく、触媒の種類により異なるが、例えば、
アミン触媒では単量体に対して0.001〜10重量%
であることが好ましい。
【0034】本発明に係る重合体の製造時の反応温度
は、反応条件によって異なり、用いられる触媒や溶媒の
種類により適宜定められ特に限定はないが、通常は−8
0〜50℃の範囲内で行われる。−80℃より低い温度
であれば冷却を行うのが困難であり、50℃を超える温
度では、得られる重合体の収率が低下する。本発明に係
る重合体の製造方法では、溶媒を使用した溶液重合、無
溶媒系の塊状重合のいずれの方法で行ってもよい。な
お、溶液重合は回分式、連続式のいずれの方式でも行う
ことができる。
【0035】溶液重合で使用される溶媒は、反応に使用
される原料、および反応によって得られる重合体と混和
し得ること、不所望の副反応に関与しないこと等の条件
を満たせば特に限定はない。このような溶媒の具体例と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水
素;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン等のケト
ン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル化合物等を挙げることができる。その中でも、反応物
および生成物を溶解する溶解性および使用時の利便性か
ら、塩化メチレン、トルエン、酢酸メチル、ジオキサ
ン、アセトンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0036】また、溶媒の使用量は、得られる重合体1
00重量部に対して溶媒10〜2000重量部になるよ
うにすると、生産性の面だけでなく副反応を抑制するこ
とができるため好ましいが、条件によっては、無溶媒で
行ってもよい場合もある。本発明に係る重合体の末端部
を解重合に対して安定とするために、プロピレンオキシ
ドおよび/またはエピクロルヒドリンを付加反応させる
場合、反応触媒の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、
ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、リン酸等のプロトン
酸;塩化アルミニウム、アルキルアルミニウムハライ
ド、トリアルキルアルミニウム、3フッ化ホウ素ジエチ
ルエーテラート等のルイス酸を挙げることができる。こ
れらの反応触媒は1種または2種以上を使用することが
できる。
【0037】反応触媒の使用量については特に限定はな
く、触媒の種類により適宜決定される。プロピレンオキ
シドおよび/またはエピクロルヒドリンの付加反応で
は、先の重合体を製造する際に用いた溶媒をそのまま使
用することができる。また、反応温度は−80〜50℃
で行うのが好ましい。
【0038】本発明に係る重合体の製造方法に使用され
るグリオキシル酸系単量体はグリオキシル酸アルキルエ
ステルであるため、重合体の主鎖にエステル基がペンダ
ントした構造である。エステルのままでも後述の各種用
途に使用することができるが、得られた重合体をさらに
アルカリ性物質でケン化反応させて、エステル基をカル
ボン酸塩からなる基に変換すると、水系で使用する場合
には水溶性が高くなるため好ましい。
【0039】アルカリ性物質の具体例としては、水酸化
カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の1
〜3価金属の水酸化物を挙げることができる。これらの
アルカリ性物質は1種または2種以上を使用することが
できる。アルカリ性物質の使用量については特に限定は
ないが、重合反応で用いたグリオキシル酸系単量体に対
して1.0〜2.0(モル比)であると好ましい。さら
に好ましくは1.1〜1.5である。
【0040】ケン化反応は、アルカリ性物質を含む水溶
液中に重合体を加え、反応温度0〜100℃、さらに好
ましくは20〜70℃で行う。ケン化反応によって得ら
れるカルボン酸の1〜3価金属の塩からなる基をさらに
イオン交換法等によって、カルボン酸アンモニウム塩か
らなる基またはカルボン酸のアミン塩からなる基に容易
に変換することができる。たとえば、アミンの塩酸塩等
の強酸塩を混合することにより、塩の交換を行い、必要
であれば、生じた無機塩を除去すればよい。
【0041】以上の本発明に係るポリカルボキシレート
は、その優れた生分解性、耐熱性、カルシウムイオン捕
捉能により、様々な用途に用いることができるが、特
に、洗剤ビルダー、洗剤組成物、繊維処理剤、水処理
剤、顔料分散剤に適用して用いることが好ましく、特
に、洗剤ビルダー、水処理剤には好適である。以下にそ
れぞれの用途について説明する。 (洗剤ビルダー、洗剤組成物)本発明に係る洗剤用ビル
ダーは本発明のポリカルボキシレートを必須成分として
含み、他のアセタール系重合体、ビニル系重合体等のブ
ロック共重合体以外の成分をさらに含むものであっても
よい。通常、前記洗剤ビルダー中の本発明のポリカルボ
キシレートの配合割合は、1〜100重量%であり、好
ましくは10〜100重量%、より好ましくは50〜1
00重量%である。
【0042】この洗剤用ビルダーは、分散性およびキレ
ート能力に優れ、洗浄性能が高く、優れた生分解性を有
している。洗剤用ビルダーは、洗濯中において洗剤組成
物を含む水溶液のpHを一定に保ち、水溶液中のカルシ
ウムイオン等を捕捉し、被洗濯物から引き剥がした汚れ
を水溶液中に分散させ、汚れが被洗濯物に再付着するの
を防止する働きがある。
【0043】本発明に係る洗剤用ビルダーは、界面活性
剤、および、必要に応じて後述のその他成分と組み合わ
せることにより、洗剤組成物とすることができる。洗剤
組成物の形態は、液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物のい
ずれであっても、限定はされない。界面活性剤は、アニ
オン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系
界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれる少なくと
も1種であり、これらの界面活性剤は1種または2種以
上を使用することができる。
【0044】アニオン系界面活性剤の具体例としては、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケ
ニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸
塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸ま
たはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不
飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカル
ボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸
型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステ
ルまたはその塩等を挙げることができる。
【0045】ノニオン系界面活性剤の具体例としては、
ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高
級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキ
サイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコ
キシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミ
ンオキサイド等を挙げることができる。
【0046】カチオン系界面活性剤の具体例としては、
第4アンモニウム塩等を挙げることができる。両性界面
活性剤の具体例としては、カルボキシル型またはスルホ
ベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができる。洗
剤組成物に含まれる界面活性剤の配合割合は、通常、洗
剤組成物中、10〜60重量%であり、好ましくは15
〜50重量%である。界面活性剤の配合割合が10重量
%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる。
他方、60重量%を超えると、経済性が低下する。
【0047】洗剤組成物に含まれる前記洗剤用ビルダー
の配合割合は、通常、洗剤組成物中、0.1〜60重量
%であり、好ましくは3〜30重量%である。洗剤用ビ
ルダーの配合割合が0.1重量%未満であると、十分な
洗剤性能を発揮できなくなる。他方、60重量%を超え
ると、経済性が低下する。洗剤組成物は、界面活性剤お
よび洗剤用ビルダー以外に、必要に応じて、プロテアー
ゼ、(アルカリ)リパーゼ、(アルカリ)セルラーゼ等
の酵素;ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩等のアルカリビルダ
ー;ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA
(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレント
リアミン六酢酸)クエン酸等のキレートビルダー;再付
着防止剤;蛍光剤;漂白剤;香料;ゼオライト等のその
他成分を含有してもよく、これらのその他成分は1種ま
たは2種以上を使用することができる。
【0048】酵素については、アルカリ洗浄液中で活性
が高い、アルカリリパーゼや、アルカリセルラーゼが好
ましい。また、酵素の配合割合は、通常、洗剤組成物
中、0.01〜5重量%である。酵素の配合割合が0.
01重量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できな
くなる。他方、5重量%を超えると、経済性が低下す
る。 (繊維処理剤)本発明のポリカルボキシレートは繊維処
理剤に用いることもできる。この繊維処理剤は、本発明
のポリカルボキシレートと、染色剤、過酸化物および界
面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとを含
んでなるものであり、繊維処理における精練、染色、漂
白、ソーピングの工程で使用することができる。この場
合、繊維処理剤中の本発明のポリカルボキシレートの含
有量は特に限定されず、所望によりその添加量を調整す
ることができる。例えば、繊維処理剤中の本発明のポリ
カルボキシレートの含有量は、繊維処理剤中、好ましく
は1〜100重量%、より好ましくは5〜100重量%
である。また、性能、効果に影響しない範囲で、公知の
水溶性重合体を含むことができる。その水溶性重合体の
量は限定されないが、多く含有しすぎると本来の特徴で
ある生分解性が発揮しなくなるので好ましくない。染色
剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通
常使用されるものが挙げられる。本発明のポリカルボキ
シレートと、染色剤、過酸化物および界面活性剤からな
る群より選ばれる少なくとも1つとの比率は、たとえ
ば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のた
めには、ポリカルボキシレート1重量部に対して、染色
剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる
少なくとも1つを0.1〜100重量部という割合で配
合される。例えば、上記純分換算で配合された繊維処理
剤であって、所定の使いやすい濃度の水溶液状態である
ことが、繊維処理剤の好ましい形態である。使用形態、
目的により、その所定の濃度を決めることができ、特に
限定されるものではない。繊維処理剤を使用できる繊維
は特に限定されないが、たとえば、木綿、麻等のセルロ
ース系繊維;ナイロン、ポリエステル等の化学繊維;羊
毛、絹糸等の動物性繊維;人絹等の半合成繊維およびこ
れらの織物および混紡品が挙げられる。
【0049】繊維処理剤を精練工程に適用する場合は、
本発明のポリカルボキシレートと、アルカリ剤および界
面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用
する場合では、本発明のポリカルボキシレートと、過酸
化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナ
トリウム等の珪酸系薬剤とを配合するのが好ましい。 (水処理剤)本発明に係る水処理剤は、本発明のポリカ
ルボキシレートをそのまま単独で使用した場合にも高い
性能を発揮するが、必要に応じてその他の添加剤を含む
ものであってもよい。
【0050】本発明の水処理剤は、冷却水系、ボイラー
水系などの水系に、そのまま添加することができる。本
発明の水処理剤が本発明のポリカルボキシレート以外の
重合体を含む場合には、別々に添加してもよい。本発明
の水処理剤中の、本発明のポリカルボキシレートの含有
量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100重量
%、より好ましくは5〜100重量%である。
【0051】本発明の水処理剤はポリカルボキシレート
を含んでなるので、キレート能力、および、スケール防
止性能に優れ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫
酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、シリ
カ、鉄塩などのスケールの防止、除去に用いることがで
きるので、冷却水系、ボイラー系、海水淡水化装置、パ
ルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に用いられ
る。
【0052】なお、水に対する水処理剤の配合量は特に
限定はないが、水1リットルに対して、水処理剤1〜1
00mgであるのが好ましい。 (顔料分散剤)本発明のポリカルボキシレートは顔料分
散剤に用いることもできる。この顔料分散剤は本発明の
ポリカルボキシレートを必須成分として含み、これ以外
の成分を含むものであってもよい。
【0053】この顔料分散剤中の、本発明のポリカルボ
キシレートの含有量は、特に限定されないが、好ましく
は1〜100重量%、より好ましくは5〜100重量%
である。顔料分散剤は、カオリン、クレー、炭酸カルシ
ウム、酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、水
酸化マグネシウム等の顔料を水中に分散させるのに用い
られる。
【0054】顔料に対する顔料分散剤の配合量は特に限
定はないが、顔料100重量部に対して、顔料分散剤
0.01〜1.0重量部であると好ましい。顔料分散剤
は、本発明のポリカルボキシレートを含んでなるので、
分散性に優れ、高濃度においても低粘度であり安定性に
優れた分散液を調整し得る。そのため、紙用顔料の分散
のために用いる分散剤として特に好ましく使用すること
ができると共に、繊維加工、建材加工、塗料、窯業等の
分野においても幅広く応用できるものである。
【0055】なお、本発明のポリカルボキシレートは上
記の各用途以外に、セラミック等のバインダー、凝集剤
等としても有用である。
【0056】
【実施例】以下に本発明を具体的に説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。 (生分解性試験)生分解性は、OECDガイドラインに
記載の修正MITI試験(I)法に準じて生分解率を測
定することにより評価した。 (耐熱性試験)耐熱性の評価は、重合体の分解温度を測
定することで行った。重合体の分解温度の測定方法は以
下の通りである。
【0057】メタノールにて再沈精製した重合体約10
mgをアルミニウム製の試料セルに量り取り、試料セル
を測定器(島津製作所社製DTG−50)にセットし、
試料室に空気を35ml/分で流した。昇温を1℃/分
で行い、DTAにより、分解温度を測定した。 (カルシウムイオン捕捉能試験)水に塩化カルシウムを
カルシウムイオン濃度が1.0×10-3モル/Lとなる
ように溶解させて調製した水溶液50mlを、100m
lビーカーに入れた。次に、該水溶液に重合体10mg
(固形分換算)を添加し、25℃で10分間攪拌(スタ
ーラー使用)した。その後、該水溶液中のカルシウムイ
オン濃度を、オリオン社製カルシウム電極(93−2
0)を用いた同社製イオンアナライザー(EA920)
を使用して測定した。そして、重合体を添加する前後の
濃度差から、重合体が捕捉したカルシウムイオンの量を
求め、この量を炭酸カルシウムの量(mg)に換算し
た。 (洗浄力試験)測定対象の洗剤用ビルダー(固形分換
算)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、
2号ケイ酸ナトリウム、無水炭酸ナトリウムおよび無水
硫酸ナトリウムを3/25/12.5/12.5/47
の重量比で混合することにより、洗剤組成物を得た。
【0058】また、以下の方法で汚染布を調製した。ま
ず、ミリスチン酸6.64g、オレイン酸6.64g、
トリステアリン6.64g、トリオレイン6.64g、
ステアリン酸コレステロール0.88g、パラフィンワ
ックス(mp48〜50℃)4.40g、スクワレン
4.40gおよびコレステロール3.52gを四塩化炭
素に溶解させた後、クレイ(関東ローム)(試験用ダス
ト11種、日本粉体工業技術協会製)39.76gとカ
ーボンブラック(日本油化学協会指定洗浄力試験用)
0.48gを加え、ホモミキサーにより毎分約7000
回転で30分間攪拌して人工汚垢を2つ調製した。な
お、クレイとカーボンブラック以外の成分は、市販の一
級または特級試薬のものを用いた。次に、連続自動汚染
機を用い、試験布(JIS準拠の金巾3号白色綿布)を
上記で調製した人工汚垢で2回汚染し、25℃で3週間
放置した後、これを10cm×10cmの大きさに切っ
て、人工汚染布とした。
【0059】次に、上記で調製した10cm×10cm
の人工汚染布8枚を、上記で調製した洗剤組成物の水溶
液1リットル中に入れ、ターゴトメータ(上島製作所
(株)製)により100rpmで下記の条件下で洗浄し
た。 (洗浄条件): 洗濯時間:10分間 洗剤組成物濃度:200ppm(直鎖アルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム換算) サンプル:200ppm 水の硬度:3°DH 水温:25℃ すすぎ:水道水で5分間 洗浄性能は、汚染前の原布および洗浄前後の汚染布の反
射率を色差計で測定し、次式により洗浄率を求めること
により、評価した。 洗浄率(%)=(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/
(原布の反射率−洗浄前の反射率)×100
【0060】(水処理剤性能試験)以下に示す耐ゲル化
性試験およびスケール抑制率の測定を行って水処理剤の
性能を評価した。 1)耐ゲル化性試験:容量225mlのガラス瓶中で、
塩化カルシウム(2水塩)100mg/l水溶液100
gと、各重合体の水溶液(濃度1%)1mlとを混合
し、NaOHを用いて試験液のpHを8.5に合わせた
ものをA液とした。
【0061】塩化カルシウム(2水塩)100mg/l
水溶液の代わりに純水100gをブランクとして用い、
これと1%ポリマー水溶液1mlとを上記と同様のガラ
ス瓶中で混合し、pHをNaOHで8.5に合わせたも
のをB液とした。上記のガラス瓶を密閉し、90℃で2
時間静置した後、UV380nmに対するガラス瓶中の
各溶液の吸光度を測定して下式によりゲル化度を計算し
た。その数値が小さいほど耐ゲル化性が高いことを意味
し、薬剤が有効に働く。 ゲル化度=(A液の吸光度)−(B液の吸光度)
【0062】2)スケール抑制率:容量225mlのガ
ラス瓶に水を170g入れ、1.56%塩化カルシウム
(2水塩)水溶液10g、および0.02%ポリマー水
溶液3gを混合し、さらに3%炭酸水素ナトリウム水溶
液10gおよび水7gを加え全量を200gとした。上
記のガラス瓶を密閉し、70℃で3時間加熱処理を行っ
た。冷却した後、沈降物を0.45μmのメンブランフ
ィルターで濾過し、ろ液のカルシウム濃度をICP分析
法により測定した。下式により炭酸カルシウムスケール
抑制率(%)を求めた。 スケール抑制率(%)=〔(Z−Y)/(X−Y)〕×
100 ただし、X:試験前の液中に溶解していたカルシウム濃
度(%) Y:スケール防止剤無添加ろ液中でのカルシウム濃度
(%) Z:試験後ろ液中のカルシウム濃度(%)
【0063】(顔料分散性試験)以下に示すスラリー粘
度を測定することにより、顔料の分散性を確認した。軽
質炭酸カルシウム(ブリリアント1500:白石工業株
式会社製)/水=60/40(重量比)となるよう調製
したスラリーに、測定対象の重合体を炭酸カルシウムに
対して0.3重量%となる量で添加し、3分間攪拌し、
1分間静置した後の粘度をB型回転粘度計型式BM(東
京計器社製)で測定した。なお、いずれの重合体も添加
しないときは、スラリーは流動性がなく、粘度測定は不
可能であった。
【0064】(繊維処理剤性能試験)各重合体を2g/
L(固形分換算)含有する繊維処理剤を、下記の各種成
分の配合により形成した。 重合体 2g/L 過酸化水素 10g/L 水酸化ナトリウム 2g/L 3号珪酸ナトリウム 5g/L 次に、上記の繊維処理剤を用い、下記の漂白条件で漂白
試験を行った。なお、試験布として、精錬した綿天竺製
ニットを用いた。 使用水の硬度 35・DH(ドイツ硬度) 浴比 1:25 温度 85℃ 時間 20分間 続いて、漂白処理した布の風合いを、官能検査法により
判定した。風合いの評価基準は以下の通りであった。 ○: ソフト △: ややハード ×: かなりハード さらに、漂白処理した布の白色度を、スガ試験機株式会
社製3MカラーコンピューターSM−3型を用いて測色
し、Lab系の白色度式: W=100−[(100−L)2 +a2 +b2 1/2 L:測定された明度 a:測定された赤色のクロマチックネス指数 b:測定された青色のクロマチックネス指数 によって白色度(W値)を求め、評価した。さらに、縫
製性は、布を4枚重ねにし、本縫ミシンで針#11Sを
用いて30cm空縫いした場合の地糸切れ箇所数で評価
した。
【0065】[実施例1]窒素でシールした反応容器に
塩化メチレン30ml、水0.04ml及びピリジン5
μlを投入し、その反応容器に蒸留により精製したグリ
オキシル酸メチル20gを約15分間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間50分攪拌を継続した。グリオキシ
ル酸メチルの滴下時及びその後の攪拌をしていた時の反
応溶液の温度は約30℃に維持した。その後、反応溶液
の温度を5℃まで下げた後、3フッ化ホウ素ジエチルエ
ーテラート43μlを反応溶液に加えた。その反応溶液
にプロピレンオキシド2.01gを5分かけて加えた。
その後、反応溶液の温度を30℃に維持し、2時間10
分反応を行った。この反応溶液全量を取り出した。48
%水酸化ナトリウム溶液3.78gと水9.07gが投
入されている反応容器に、先の反応溶液全量と48%水
酸化ナトリウム18.92gを1時間かけて反応温度を
50℃に維持して滴下した。引き続き、1時間30分加
水分解を行った。加水分解終了後、反応溶液を減圧濃縮
し、加水分解によって生成したメタノールを除去し、プ
ロピレンオキシド末端安定化ポリグリオキシル酸ナトリ
ウム(重合体1)水溶液を得た。
【0066】得られたポリグリオキシル酸ナトリウム
(重合体1)をゲル浸透クロマトグラフィー(以下GP
Cと略す)で分析したところ数平均分子量が5,000
であった。さらに、1 H−NMRの測定結果は以下の通
りであり、末端のプロピレンオキシドは平均1.3個の
連鎖であった。分析結果を表1に示した。1 H−NMR(δ値、溶媒:重水):0.9〜1.1
(3H)、3.1〜3.2(1H)、3.3〜3.5
(2H)、4.8〜5.2(19H) 得られたポリグリオキシル酸ナトリウム(重合体1)に
ついて、生分解性試験、耐熱性試験、カルシウムイオン
捕捉能試験を行った。結果を表2に示した。
【0067】また、洗浄力試験を行った結果を表3に、
水処理剤性能試験を行った結果を表4に、顔料分散性試
験を行った結果を表5に、繊維処理剤性能試験を行った
結果を表6に示した。 [実施例2]プロピレンオキシドの使用量を10.5g
に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、重合
体2を得た。分析の結果を表1に示した。得られた重合
体2について、生分解性試験、耐熱性試験、カルシウム
イオン捕捉能試験を行った。結果を表2に示した。ま
た、洗浄力試験を行った結果を表3に、水処理剤性能試
験を行った結果を表4に、顔料分散性試験を行った結果
を表5に、繊維処理剤性能試験を行った結果を表6に示
した。
【0068】[実施例3]窒素でシールした反応容器に
プロピレンオキシド9.89g、及び、ピリジン7.6
μlを投入し、その反応容器に蒸留により精製したグリ
オキシル酸メチル52.38gを約30分間かけて滴下
した。滴下終了後、1時間攪拌を継続した。グリオキシ
ル酸メチルの滴下時及び1時間攪拌をしていた時の反応
溶液の温度は約−20℃に維持した。その後、3フッ化
ホウ素ジエチルエーテラート74μlを反応溶液に加え
た。そのまま、38分間反応させた後、再び反応溶液に
3フッ化ホウ素ジエチルエーテラート74μl加え、3
時間反応を行った。このときの反応温度は約0℃であっ
た。加水分解以降の操作は、実施例1と同様の操作を行
い、重合体3を得た。分析の結果を表1に示す。
【0069】得られた重合体3について、生分解性試
験、耐熱性試験、カルシウムイオン捕捉能試験を行っ
た。結果を表2に示した。 [実施例4]プロピレンオキシド2.01gをエピクロ
ルヒドリン3.20gに変更した以外は、実施例1と同
様の操作を行い、重合体4を得た。分析の結果を表1に
示した。得られた重合体4について、生分解性試験、耐
熱性試験、カルシウムイオン捕捉能試験を行った。結果
を表2に示した。また、洗浄力試験を行った結果を表3
に、水処理剤性能試験を行った結果を表4に、顔料分散
性試験を行った結果を表5に示した。
【0070】[比較例1〜4]表2に示した重合体につ
いて、実施例と同様に、生分解性試験、耐熱性試験、カ
ルシウムイオン捕捉能試験を行った。結果を表2に示し
た。なお、エチレンオキシド末端安定化ポリグリオキシ
ル酸ナトリウムは、米国特許第4144226号記載の
方法で合成したポリグリオキシル酸メチルを実施例1と
同様の方法で加水分解、精製を行って得たもの(エチレ
ンオキシド末端数は平均2.0個)を用い、エチルビニ
ルエーテル末端安定化ポリグリオキシル酸ナトリウム
は、米国特許第4144226号記載の方法で合成した
ポリグリオキシル酸メチルを実施例1と同様の方法で加
水分解、精製を行って得たもの(分子量3800)を用
い、ポリアスパラギン酸ナトリウムは、シグマ社製ポリ
(L−アスパラギン酸ナトリウム)(分子量9900)
を用い、ポリヒドロキシアクリル酸ナトリウムは、分子
量10000のものを用いた。 [比較例5〜6]重合体1〜4の代わりに、ジグリコー
ル酸を洗剤ビルダーとして用いて洗浄力試験を行った
(比較例5)。また、洗剤ビルダーとして何も用いない
で洗浄力試験を行った(比較例6)。結果を表3に示し
た。 [比較例7]重合体1〜4の代わりに、ポリアクリル酸
ナトリウム(分子量:5000)を洗剤ビルダーとして
用いて水処理剤性能試験を行った。結果を表4に示し
た。 [比較例8]重合体1〜4の代わりに、ポリアクリル酸
ナトリウム(分子量:5000)を洗剤ビルダーとして
用いて顔料分散性試験を行った。結果を表5に示した。 [比較例9]重合体1〜4の代わりに、ポリアクリル酸
ナトリウム(分子量:5000)を洗剤ビルダーとして
用いて繊維処理剤性能試験を行った。結果を表6に示し
た。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、高い生分解性と金属イ
オン捕捉能を有し、且つ、従来不十分であった耐熱性を
高いレベルに引き上げた、新規なポリカルボキシレート
を提供できる。
フロントページの続き (72)発明者 中村 潤一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 藤井 義一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 山口 繁 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4H003 EB38 FA03 FA07 4J032 AA12 AB01 AB04 AB35 AC02 AC03 AD07 AD22 AD23 AD28 AD41 AD43 AD44 AD51 AD52 AE03 AE05 AF00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生分解性が60%以上、耐熱性が185℃
    以上、カルシウムイオン捕捉能が200以上である、ポ
    リカルボキシレート。
  2. 【請求項2】下記一般式(1)で示される構造単位を有
    する、請求項1に記載のポリカルボキシレート。 【化1】
  3. 【請求項3】重合体末端がプロピレンオキシドおよび/
    またはエピクロルヒドリンで安定化されている、請求項
    2に記載のポリカルボキシレート。
  4. 【請求項4】下記一般式(1)で示される構造単位を有
    するポリカルボキシレートにおいて、重合体末端がプロ
    ピレンオキシドおよび/またはエピクロルヒドリンで安
    定化され、且つ、そのプロピレンオキシドおよび/また
    はエピクロルヒドリンの付加モル数が5未満であること
    を特徴とする、ポリカルボキシレート。 【化2】
  5. 【請求項5】請求項1から4までのいずれかに記載のポ
    リカルボキシレートを含む洗剤ビルダー。
  6. 【請求項6】請求項1から4までのいずれかに記載のポ
    リカルボキシレートを含む水処理剤。
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